2021年1月8日金曜日

“緊急事態”AI予測で14日に東京で5000人感染 死者数増も止まらず1カ月後に115人死亡も―【私の論評】日本では2016年にはインフルエンザの感染者数が1週間で200万超となったが、医療崩壊も経済の落ち込みもなかった、希望を失うな(゚д゚)!

“緊急事態”AI予測で14日に東京で5000人感染 死者数増も止まらず1カ月後に115人死亡も

緊急事態宣言から一夜明け、通勤客で混雑する品川駅=8日午前


 2度目の緊急事態宣言が発令された東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県。東京では7日の新規感染者数が2447人と過去最多を大幅に更新したが、グーグルの人工知能(AI)予測では、1週間後の14日には陽性者数4806人という数字が出ている。菅義偉首相は記者会見で「1カ月後には必ず事態を改善させる」と決意を示すが、先行きは厳しい。


 飲食店に午後8時までの営業時間短縮を要請し、応じない場合は施設名を公表できる。テレワーク推進による出勤者数の7割削減、午後8時以降の外出自粛、イベント人数制限を打ち出した。

 医療体制の拡充に向け、1都3県でコロナ患者を受け入れる医療機関には1床当たり450万円の支援金を上乗せし、重症者を受け入れるベッド1床につき最大約2000万円の支援になると説明した。

 西村康稔経済再生担当相は宣言解除の目安について、東京の新規感染者数が「1日当たり500人」としているが、現状はその5倍近い数字だ。検査数が増えているだけでなく、クリスマスや年末年始で市中感染が加速した可能性がある。

 グーグルは5日時点で、7日は1854人と予測したが、現状はこれを上ぶれしている。予測は日々変動するが、5000人を突破することも十分に考えられる。

 気になる先行きだが、14日をピークに減少に転じるものの、2月1日時点でも1089人という予測だ。宣言の期限である同7日に500人まで減らせるかは微妙だ。

 グーグル予測で深刻なのは、死者数が右肩上がりで増えていることで、2月1日には東京だけで115人が死亡するとしている。

 都は7日、これまで3500床としていた確保病床数が4000床に増えたと説明し、使用率はやや下がって8割程度になった。ただ、なお4759人が入院や療養先を調整中としている。

 小池百合子知事は7日の臨時記者会見で「状況は危機的で深刻。対策は人の流れを徹底して止めることだ。徹底するようお願いしたい」と呼び掛けたが、これまで医療崩壊を防ぐ十分な手立てを行ってきたのかも問われそうだ。

【私の論評】日本では2016年にはインフルエンザの感染者数が1週間で200万超となったが、医療崩壊も経済の落ち込みもなかった、希望を失うな(゚д゚)!

上の記事や、マスコミのコロナ報道だけをみていると、とんでもない状況になることだけが過剰に報道されています。このようなときには、ただ脅威を煽っただけでは、多くの人々が不安に陥るだけです。

多くの人が客観的に物事を認識するための一番簡単な方法は過去との比較です。では、過去にはどのようなことがあったかといえば、一番先に頭に浮かぶのは2016年インフルエンザの流行です。

この時は、どうだったかといえば、 国立感染症研究所によれば、2016年2月14日までの1週間で報告されたインフルエンザの患者数は、全国で推計約205万人でした。

200万人を突破したのは、当該シーズンで初めてのことでした。2週連続で全国的に大きな流行を示す「警報レベル」を超えていて、全国6285の学校や幼稚園などで休校や学年・学級閉鎖の報告がありました。今シーズンは流行入りが遅れたため、例年であればピークを過ぎる2月下旬でも流行が続く可能性があるとされていました。

以下に当時のインフルエンザの報道の動画を掲載します。


今年のコロナはたしかに、昨年よりは感染者が増えていはいるものの、1週間で200万と言うレベルと、比較すればかなり低いです。

2016年といえば、覚えている人も多いでしょうが、まずは緊急事態宣言など発令されていませんでした。飲食店の営業時間の時短短縮もないし、移動の自粛の要請もなされていませんでした。そのため、目立った経済の落ち込みも見られませんでした。街場にいっても、マスクをしていない人が結構いました。さらに際立つのは、医療崩壊などは起こりませんでしたし、起こりそうだという報道もなされていませんでし。

では、インフルエンザの状況は今年はどうなのかといえば、先月27日までの1週間に報告された患者の数は全国で69人で、例年より大幅に少ない状況が続いています。

厚生労働省によりますと、先月27日までの1週間に全国およそ5000か所の医療機関から報告があったインフルエンザの患者数は前の週から1人減って合わせて69人でした。

患者が報告された地域は、前の週の24の都道府県から4つ増え、28の都道府県となりました。

インフルエンザは1医療機関当たりの1週間の患者数が全国で1人を超えると「全国的な流行期」入りとされていますが、今の時点では0.01人と大きく下回っています。

国立感染症研究所などによりますと、例年、この時期には1万人から10万人程度の報告があるということです。

インフルエンザが年を越えた1月まで、全国的に流行期入りしなかったのは2015年から2016年にかけてのシーズン以来、5年ぶりだということで、今シーズンは大幅に感染者が少ない状態が続いています。

そうして、これはたまたまということではなく、南半球では一足先に冬シーズンというか、インフルエンザのシーズンに入り、もうすでにそのシーズンは終わっており、やはり非常に患者数が少ないのです。

南半球の国のひとつ「オーストラリア」の流行データを見てみます。

グラフは、WHO(世界保健機関)の「Influenza surveillance report」より取得しました。期間は、2019年の3月6日から今年の9月6日までです。昨年取得したデータです。



棒グラフが、インフルエンザ陽性となった検体数。赤の線グラフは陽性率(検体のうち、陽性になったものの割合)です。

2019年の7月ごろには大きなピークがあり、流行が起きたことが分かります。ところが今年の7月(というか4月以降)は、ほぼゼロです。

オーストラリアの他の南半球の国々のデータも見ましたが、同様のインフルエンザ「消滅状態」が起きていました。

なぜインフルエンザの報告数が減ったのでしょうか。もしかすると、新型コロナの影響で、症状があっても病院に行かないなどして把握されていない患者が存在しているのではという、疑念も湧いてきます。

ただ、オーストラリア保健省が出しているレポートを読んでみたところ、そういうわけではないようです。

検査は十分と言えるほどに多く行われているのに、ほとんどインフルエンザウイルスが検出されていませんでした。流行は本当に起きていない可能性が高いと言えそうです。

なぜ昨年の冬シーズンに、オーストラリアでインフルエンザの流行が記録的に低く抑えられたのか。先述のレポートの中で、オーストラリア保健省は次のように指摘しています。
新型コロナウイルス感染症の流行に関連して行われた公衆衛生上の対策や、メッセージを多くの人が守っていることが、インフルエンザを含む急性呼吸器感染症の感染拡大に影響を与えている可能性が高い。出典:AUSTRALIAN INFLUENZA SURVEILLANCE REPORT No. 10, 2020 より
新型コロナ対策で行われている取り組みは、考えてみれば当然ですが、インフルエンザ対策としても有効です。また、コロナ感染拡大の影響で、国を超えた移動が大幅に減ったことも感染の防止に役立っていそうです。

この冬の日本、そしていちはやく冬を迎えた南半球の国々の状況は、「社会の多くの人が同時に感染症の対策をとると、その効果は驚くほどてきめんに現れる」という可能性を示しています。

この冬「ツインデミック」、すなわち新型コロナとインフルエンザが同時流行することによって医療機関が大混乱し、失われないで済むはずの命がたくさん失われる事態が心配されてきました。

現状の日本のデータ、そして南半球の事例からは「私たち一人ひとりが、すでに行っている感染対策を着実に続けていれば、そんな不幸な事態を防げるかもしれない」という「希望」が示されたと捉えるべきです。
・適切なマスク着用

・3密(特に多人数の会食)を避ける

・帰宅時などに手を洗う
現在「第3波」と呼ばれるコロナ陽性確認者の増加が報道される中で、上記のような対策を続けて本当に意味があるのだろうかとついつい思ってしまいがちです。

ところが、間接的ではありますが、インフルエンザに関するこれまでのデータは、そういう地味ですぐには意義を実感できない対策が、ちゃんと効果をあげていることを示しつつあります。

このようなことを言うと、コロナとインフルエンザでは根本的に異なると言う人もいそうですが、インフルエンザを侮るべきではありません。

日本で確認された20歳未満の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症例では、重篤肺炎例は2例にとどまり、死亡例はなかったことが明らかになりました。皆さんの中には、昨年10代女性かコロナでなくなったと報道されていたことを覚えている方もいらっしゃるかもしれません。あれは、後に間違いであったことが報告されています。

コロナの場合は、このように若年層というか、子供が罹患しても死者はいままでは出ていません。しかし、インフルエンザの場合は、全世代に広く罹患して、子供も例外ではありません。2016年のときに、インフルエンザ脳症で多くの子供がなくなったという痛ましい事例も多くありました。

それにしても、2016年には一週間で患者が200万人を超えたのですが、医療崩壊が起きたり、起こりそうだとの報道がなかったのはなせなのでしょうか。実際2016年に医療崩壊は起きていません。

その原因は、やはりインフルエンザとコロナの感染症の分類に原因があると考えられます。

現在、新型コロナは「指定感染症」に指定されており、「2類感染症以上の取り扱い」となっています。感染症法では、感染症を危険度によって最も高い1類から相対的に低い5類まで分類し、それぞれに該当する疾病と取りうる措置が明記されています。この分類とは別に感染症法では、「指定感染症」として、政令によって時限的に1~5類に相当する対応をすることができます。


中国武漢市での感染拡大が伝えられた当初、新型コロナは「2類感染症相当」に位置付けられました。その後、1類で可能になる「無症状者への適用」が追加され、さらに、1類でも指定されていない「外出自粛要請」「建物の立入制限」なども加えられて、現在は事実上「2類感染症以上」になっています。

8月28日には、当時の安倍政権により新型コロナに「2類感染症以上の取り扱い」がふさわしいのかどうか、再検討することが表明されました。具体的な議論については、9月16日に発足した菅新政権が引き継がれたはずなのですが、なぜか今もそのままです。

新型コロナ感染症の扱いが、「2類以上」ということは、過剰な対応と言わざるを得ません。

「指定感染症」そのものを解除して、感染症としては季節性インフルエンザと同レベルの対応に変えるべきと考えべきです。その理由は以下の3点です。

第1に、足元までのデータで確認される限り、新型コロナは2類や1類に該当するほど危険性が高くなかったからです。

当初は未知のウイルスであり、中国武漢市での肺炎患者の急増などを踏まえれば、指定感染症とすることはやむをえない対応でした。しかし、その後半年以上を経て、新型コロナは「あらゆる犠牲を払ってでも回避すべき」といった脅威のウイルスではないと判断できるようになりました。

1~3類に指定されているペスト、コレラ、腸チフスなどと同等の危険性と位置付けるのは過剰対応です。季節性インフルエンザや麻疹が含まれる5類相当が妥当なところです。

第2に、医療崩壊を防ぐためです。

2類相当に指定されると、原則として感染者は指定医療機関に入院させなければならないです。ところが、新型コロナのPCR検査で陽性となった人には無症状者や軽症者が非常に多く、すべて入院させてしまうと病床があっという間に埋まってしまいます。

これに関しては、昨年中に軽症者は指定されたホテル等の宿泊施設で療養すことになりましたが、それでも感染者が増えれば当然のことながら、医療現場に負担がかかります。実際、この記事の冒頭にも掲載したように、医療崩壊の危機が叫ばれています。

ただし、以前にもこのブログでも述べたように、日本の医療は民間で成り立っているところがあるので、その民間病院がコロナ患者を受け入れると、現状では赤字になるという状況があり、医療現場の人たちの賃金も下がるという状況にあります。

政府として、この問題も解決しないと、医療崩壊の危機を防ぐことはできないでしょう。

第3に、国民の疲弊が見すごせないレベルに達しているからです。

職場では、従業員の健康状態のモニタリング、感染予防対策、感染者・濃厚接触者の調査など、多種多様な追加措置が求められています。学校でも、もともと長時間労働が常態化していた教職員が、消毒などの感染予防策を講じなければならず、業務多忙に拍車がかかっています。

また、子どもの学習の遅れや心理的ストレスも無視できないです。外出抑制による運動不足で、健康2次被害も懸念されています。これらもすべて、指定感染症によって「当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある」と位置付けられたことに起因したものです。

さらに、感染症対応という観点からだけでなく、経済のさらなる悪化を防ぐためにも指定感染症の解除が不可欠です。

コロナショックで景気後退に陥った主因は個人消費の急減でした。実際、今年4~6月期の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比年率28.1%減という統計開始以来最大のマイナスになりましたが、この6割近くは個人消費の減少で説明できる。過去のどんな景気後退局面でも、これほど個人消費が落ち込むことはありませんでした。

そして、個人消費落ち込みの主因は、消費者の活動抑制です。これは、政府・自治体からの要請によって消費者の活動が制限されたこと、消費者が自ら活動を自粛したこと、という2つの面からもたらされました。いずれも、新型コロナが指定感染症に指定されたことが原因で生じた動きです。

であれば、政府はまずは、コロナ感染症の扱いを2類にすべきです。それに、先日もこのブログに示したように、政府の経済対策は万全です、第三次補正で様々な予算をつけたとともに、予備費5兆円も積んであります。だから、コロナに関する様々な対策ができるはずです。

政府としては、戦争でたとえると、十分な弾薬を整え、銃に弾を込めていつでも撃てる状態にあるといえます。

コロナを2類に分類して、コロナ感染症患者を受け入れる病院ならびに、その医療関係者などには、十分な給付金を付与するなどのことをすべきでしょう。それで医療崩壊は必ず防ぐことができます。

実際2016年の日本では、一週間で200万人以上のコロナ感染者を出しながらも、医療崩壊をおこさず、経済が目立って落ちるということもなかったわけですから、実行しようと思えば必ずできるはずです。

特にコロナを2類に分類するということは、なるべくはやく実行すべきです。遅くても、コロナワクチンの接種が行われるときにはそうすべきです。

それと、上の記事では、“緊急事態”AI予測などとして、仰々しく報道してぃますが、この記事を書いた人は、本質をとらえず、多くの人を不安に陥れているように思います。

このグーグルの予測は、古典的なよく知られている感染症の微分方程式を解くことによって実施されています。これは、高橋洋一氏かそう語っていました。

これは、感染者数のみで組み立てられた微分方程式であり、様々な要素を組み込むとかえって予測がしにくくなるため、その時々の感染者数の変化には、感染症の傾向やそれに対する対策や多くの人々の行動変容なども全て含まれることを前提としています。

高橋氏は昨年はこの古典的な微分方程式を実際に解いて、コロナ感染者数の予測していたのですが、GOOGLEが予測をサイトに掲載するようになってからは、同じ方式で予測していることがわかったので、GOOGLEの予測をみるようにして、現在では自分で解くようなことはしていないそうです。

私自身も、理系の端くれですから、一時予測を自分でしてみようと思ったのですが、高橋洋一氏がやっていたのを参照するようにしたことと、最近ではGOOGLEが予測を出しているので、結局一度もしたことはありません。



ただ一ついえることは、結局GOOGLEの感染者予測数は、昔から知られている古典的な感染者数の微分法的式を解いているに過ぎなく、人が計算すると時間がかかるのですが、AIにそれを実行させれば速いだけということです。本質は昔から変わりありません。

ですから、正確無比ということはありえないし、大体の傾向がつかめるくらいのものです。実際10日前のものと最新の予測とは異なっています。

実際にGOOGLEの予測をみても、一日の感染者数は日本全国で最大で9000であり、1万人にも達していません。

それでも、最悪1万人が一週間継続して、感染者になったとして7万人であり、2016年のインフルエンザ蔓延のときの1週間で200万人には到底及ばないことがわかります。それにこの予測は感染者数の変動しか、考慮にいれていないわけですから、あくまで現在のままだと、こうなり得るくらいに捉えるべきです。

一人一人の行動変容や、何らかの対策を行えば、減る可能性は十分にあります。

以上、日本ではかつてインフルエンザが猛威をふるい、一週間で200万超の感染者を出してさえ医療崩壊も経済の落ち込みもなかったこと、コロナの感染者が増えつつあるといっても、この時のインフルエンザと比較すれば、はるかに少ないこと。冬季にインフルエンザとコロナが同時に猛威を振るう可能性は低いこと、政府の経済対策は十分であること、GOOGLの感染者予測は大雑把な傾向を掴むためのものであること等を述べてきました。

コロナ感染が爆発したとしても、なんとかやりようはあるわけです。マスコミは、日々コロナの感染者数などを公表するのは良いのですが、現状のコロナの背景には上記のようなことがあることについては、ほとんど報道しません。結果として不安ばかりを煽っています。

私自身は、先にはきっと「希望」があるということを、個人的には確信しています。

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