2024年7月16日火曜日

「改造車内で若い兵士の腎臓と眼球摘出」 元中国医師が「臓器狩り」証言、台湾で会見―【私の論評】中国の臓器移植問題:非人道的行為の実態と国際的懸念の高まり

「改造車内で若い兵士の腎臓と眼球摘出」 元中国医師が「臓器狩り」証言、台湾で会見

まとめ
  • 台湾の立法委員と民間団体が、中国での違法な臓器移植の横行を指摘し、各国に規制法の制定を呼びかけた。
  • 元中国軍医の鄭治氏が、1994年に目撃した18歳未満の兵士からの臓器摘出の実態を証言した。
  • 中国当局による「臓器狩り」の対象には、法輪功信者やウイグル人、チベット人が含まれているとの指摘がある。
  • カナダの報告書によると、中国当局は年間6万〜10万件の臓器移植を実施していると推計されている。
  • 台湾の政治家らは、中国の臓器収奪を規制するための法整備を進める意向を示している。
中国軍の病院に勤務していた際の生体臓器摘出について証言する鄭治氏(中央)=15日

 台湾の政治家と民間団体が中国における非合法な臓器摘出と移植の横行を指摘し、各国に規制法の制定を呼びかける記者会見を開きました。この会見で、元中国軍医の鄭治氏が1994年に目撃した衝撃的な臓器摘出の実態を証言しました。鄭氏は、18歳未満の兵士から臓器を摘出し軍高官に移植する「秘密軍事任務」に参加させられ、改造車両内で麻酔なしに若い兵士から腎臓と眼球を摘出する手術を目撃したと語りました。

 中国当局による「臓器狩り」の対象には、法輪功信者やウイグル人、チベット人が含まれているとの指摘があり、カナダの報告書によると中国当局は年間6万〜10万件の臓器移植を実施していると推計されています。国連人権理事会が中国に独立機関による調査を求めましたが、中国側は否定し拒否しました。

 これらの深刻な問題に対し、台湾の政治家らは中国の臓器収奪を規制するための法整備を進める意向を示しています。この記事は、中国における非合法な臓器摘出の実態と、それに対する国際社会の懸念や対応を明らかにしています。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】中国の臓器移植問題:非人道的行為の実態と国際的懸念の高まり

まとめ
  • 麻酔なしの臓器摘出は非人道的で、医療倫理に反する重大な人権侵害行為である。
  • 中国では「脳死誘発器」の存在が報告され、臓器移植のためのドナーを人為的に作り出している可能性がある。
  • 中国の臓器移植急増の背景には、強制的な臓器摘出や死刑囚からの臓器摘出、大規模な営利事業化などの要因がある。
  • 中国の臓器移植システムには不透明性があり、国際社会からの批判と疑惑が高まっている。
  • この問題は医療倫理と人権の観点から国際的な懸念事項となっており、継続的な調査と監視が必要である。
腎臓の移植手術を行う医師ら。移植を待つ患者は毎年約30万人に上る=2019年2月、中国湖南省衡陽市

麻酔なしに腎臓や眼球を摘出することは、医学的に正当化できない非人道的で残虐な行為です。通常の医療行為では、患者の苦痛軽減と手術の安全性向上のために必ず麻酔が使用されます。

しかし、この事例では麻酔を使用しないことに特別な意図があったと考えられます。残虐性を強調し、極限状況下での軍事的訓練の一環として行われた可能性や、非倫理的な人体実験であった可能性、さらには被害者や周囲の人々に恐怖を植え付け支配を強化する手段であった可能性などが考えられます。

これらの行為は医療倫理に反し、基本的人権を著しく侵害する重大な犯罪行為です。このような非人道的な行為は、たとえ戦時中の極端な状況下であっても決して正当化されるものではありません。

こうした証言は、戦争犯罪や人道に対する罪の実態を明らかにし、将来同様の事態が起こらないようにするための重要な記録となります。同時に、医療倫理や人権の重要性を再認識させ、平和の尊さを訴える強力なメッセージとなるのです。

ただ、この臓器を取られた若い兵士は、すでに脳死状態にあった可能性もあります。2022年4月、アメリカの非営利団体「世界臓器狩り調査委員会(WOIPFG)」が、中国の病院で使用されている「脳死誘発器」の存在を報告しました。この機器は、生きている人間を人為的に脳死状態にし、臓器摘出を可能にするものだとされています。

この報告によると、中国の複数の病院で、この機器が使用されているとのことです。機器の使用目的は、臓器移植のためのドナーを「作り出す」ことにあると考えられています。この情報は、中国の臓器移植システムにおける倫理的問題をさらに深刻化させるものです。強制的な臓器摘出や、同意のない臓器提供の疑惑に加え、このような機器の存在は、人権侵害の可能性をさらに高めています。

しかし、中国政府はこれらの疑惑を否定し続けており、独立した調査も拒否しています。国際社会からは、中国の臓器移植システムの透明性向上と、これらの深刻な疑惑に対する適切な対応が強く求められています。この問題は、医療倫理と人権の観点から極めて重大であり、継続的な調査と国際的な監視が必要です。

人を人為的に脳死状態にするという機器の模型

中国の臓器移植が急増した背景には、複数の深刻な要因が絡み合っています。まず、中国政府が危険視する集団、特に法輪功学習者やウイグル人、チベット人などからの強制的な臓器摘出が行われているとの指摘があります。また、中国は世界最大の死刑執行国であり、死刑囚からの臓器摘出が長年行われてきました。2015年に停止を宣言しましたが、実際の遵守状況は不明瞭です。

さらに、中国では臓器移植が「1兆円ビジネス」と呼ばれるほどの大規模な営利事業となっており、海外からの富裕な患者を引き付けています。特に注目すべきは、中国での心臓移植の待機期間が平均1〜2ヶ月と極端に短いことです。これは通常の臓器提供システムでは説明がつかず、不自然な臓器供給源の存在を示唆しています。


また、中国は米国以上の移植大国でありながら、国際学術誌に移植関係の論文が掲載されないのは、ドナー情報を明らかにできないためと考えられています。2013年には中国共産党が国家臓器流通システムを構築し、臓器移植の管理を強化しました。

これらの要因が複雑に絡み合い、中国の臓器移植数が急増する一方で、国際社会からの批判と疑惑も高まっています。中国政府は強制的な臓器摘出の疑惑を否定していますが、独立した調査を拒否しており、実態の解明が強く求められています。この問題は、医療倫理と人権の観点から国際的な懸念事項となっており、透明性の確保と適切な対応が急務となっています。

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