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2019年10月1日火曜日

消費増税なぜ止められなかった? 財務相の顔立てた政治的決定も…社会保障の制度設計をないがしろに―【私の論評】安倍総理は、いずれ「5%減税」を公約として、衆院解散総選挙の道を選ぶことになる(゚д゚)!

消費増税なぜ止められなかった? 財務相の顔立てた政治的決定も…社会保障の制度設計をないがしろに

高橋洋一 日本の解き方

安倍総理

10月1日から消費税率が10%に引き上げられた。「3党合意」で増税が決まった経緯や、その後2回増税を延期した安倍晋三首相が今回は延期しなかった理由などをあらためて振り返っておこう。

 3党合意とは、2012年6月、民主党、自民党、公明党の3党間における「社会保障と税の一体改革」に関する合意を指す。消費増税、子ども・子育て支援、最低保障年金などが盛り込まれるなかで、消費増税だけが先行、子ども・子育て支援はその後制度化されたが、最低保障年金などは実現していない。

 社会保障と税の一体改革といえば、世界的な潮流は税と社会保険料を一体として徴収する「歳入庁」の設置が主要な鍵になるが、民主党は歳入庁を公約して政権交代しながら、その後取り下げた。一方、消費税を社会保障目的税化するという世界にも例のない無謀な社会保障改革だったことは、筆者は繰り返し指摘してきた。

 世界の社会保障運営は保険方式であり、その財源は社会保険料である。ただし、低所得者の保険料は高所得者の所得税から充てられている。

 社会保障運営を保険方式とするのは、社会保障を「施しもの」と考えると支出基準が曖昧になり、結果としてひどい財政運営になってしまうためだ。保険原理であれば、機械計算で給付額が決定され、給付が可能になる。残念ながら、保険方式以外の社会保障運営で成功した例は寡聞にして知らない。

 こうした社会保障の運営を保険方式にする以上、支出段階では、所得再分配機能はあまりない。年金は死んだ人から長生きの人への再配分、医療は健康な人から病気の人への再配分でしかないからだ。かろうじて所得再配分になっているのが、社会保険料を低所得者人から取らずに、高所得者の所得税で充てている点だ。この意味からも、消費税が社会保障財源にならないのが世界の常識だ。

 3党合意は社会保障運営の大前提で間違っている。これは3党合意を主導した財務省のロジックの破綻でもある。財務省は、単に社会保障を人質とすれば消費税を上げやすいと考え、社会保障の長期的な制度設計をないがしろにしたのだ。

 しかも、11年の東日本大震災後に、連帯といいながら、震災復興増税、8%への消費増税、さらに10%への消費増税という恐ろしい「ホップ、ステップ、ジャンプ増税」を、政権運営が不慣れな民主党に押しつけた。自民党もそれに乗り、まんまと成功したわけだ。

 安倍首相はそうした経緯を知っていたはずで、2回増税をスキップしたが、盟友の麻生太郎財務相の顔にこれ以上泥を塗ることはできないという政治的な理由で今回増税を決定したのではないか。

 経済政策としてまずいのは承知の上なので、臨時国会などで適切な経済対策を打ち、消費増税の悪影響を極力回避しようとするだろう。

 だが、米中貿易戦争や英国の欧州連合離脱問題、ホルムズ海峡問題、日韓問題の影響は大きく、日本経済がどうなるのか、不安は消えない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】安倍総理は、いずれ「5%減税」を公約として、衆院解散総選挙の道を選ぶことになる(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の記事では、過去の増税を阻止できなかった状況について様々な分析をしています。この分析は総合的でありながら、かなり緻密で簡潔にまとまっています。

これに対して何かを付け足すことはできませんし、付け足したにしても冗長になるだけなので、それはやめて、私としては今後のことについて掲載しようと思います。

今後のことを考えるには、やはり衆院選の行方を考えるとわかりやすくなると思います。
今年に入って、まことしやかにささやかれていた衆参同時選挙。ふたを開けてみると、7月に行われた「第25回参議院議員通常選挙(以下、参院選)」は、参院選だけで行われ、衆議院解散総選挙(以下、衆院選)は行われませんでした。では、2017年10月に前回選挙が行われた衆院選は、いつ行われるのでしょうか?

衆議院議員の任期は4年間ですが、歴史を紐解いても、任期を満了したのは1度だけ。ほかは、すべて任期の途中での解散総選挙となっています。衆議院の解散権が時の内閣総理大臣の専権事項となっている以上、安倍首相の解散「カード」の切り方が今後の政局の焦点となってきています。

安倍首相は7月の参院選が終わった直後、「迷わなかったといったら嘘になる」と衆参同時選挙の可能性も考えたことを否定しませんでした。これは、自民党が65議席を獲得して大勝した2013年参院選の当選組が改選を迎え、当初大幅な議席減が予想されたためですが、情勢調査などにより危機は小さいとの判断が党内でなされ同時選挙の可能性がなくったとみられています。参院選の結果も自民党は56議席を獲得したように、大幅な減少とはなりませんでした。

今後、それでも2021年9月の自民党総裁任期満了までに、衆議院の解散総選挙が行われると見るべきです。日本国憲法制定後、これまで衆議院の任期満了まで解散がなされなかったのは、1976年の三木武夫内閣の際の1度だけしかありません。

三木武夫氏

解散はいずれある、と考えるのが現実的です。そして、そのタイミングですが、大きく分けて3つあでしょう。1つ目が年内。2つ目が来年。3つ目が再来年です。そして、3ついずれも首相にとってはネガティブな要素がつきまといます。

年内をみてみると、10月1日に消費税が10パーセントに引き上げられました。この増税では、与党の中でも公明党が主張した軽減税率も導入されますが、導入前から制度の複雑さに先行きが危惧されている制度だけに、国民からの不満が政府に向かう可能性もあるとみられています。また、同22日には、天皇陛下の即位の「即位礼正殿の儀」が行われます。

来年2020年になると、増税の影響で、景気が落ち込む可能性があります。同年の7月から9月にかけては、東京五輪・パラリンピックも開催されます。同年7月30日には、東京都知事が任期満了を迎えるため、それまでに都知事選も行われることになります。慌ただしいスケジュールの上に、景気批判が高まっているかもしれません。

再来年2021年になると、自民党の党総裁選が9月、衆議院議員の任期満了が10月、と大きな政治日程が続くことになり、追い込まれた形での解散を首相が選択する可能性も高まります。

こういった中で、自民党関係者や経済界の方々の間では「消費税がやはりカギなのではないか。安倍首相も簡単に、負ける選挙はしないと思われる」という声が大きいようです。

消費増税でも、国民の消費が下がらず、成果が上がるということは14年の増税の時でも明らかなように、あり得ません。バブル崩壊後、現在まで続いているデフレーションですが、さらにデフレスパイラルの底に沈む可能性が高いです。

それは、以下のグラフをみても明らかです。消費税を増税すると消費税税収自体は「安定」的ですが、税収全体は消費税の影響でそれまでの税収の伸びから大きくダウンすることが観測できます。影響は複数年に及びます。さらにその後も経済全体のコントロールをきちんとしないと税収は伸びず、消費税はまったく安定に寄与しません。

クリックすると拡大します

来年の秋頃には、消費税10パーセントに上げた影響で、景気がどうなっているかはっきりします。悪い数字が出た直後に、首相は『消費増税は成功とは言えなかった。責任を持って、消費税を(5パーセントあたりまで)下げます』といって、それを理由とした解散をすすべきです。

これは私の憶測ですが、これについては案外麻生副総理と安倍総理は合意しているのではないかと思います。麻生氏は義理堅いですから、安倍首相にあらがってまで、財務省の肩を持つことはないでしょう。

財務省の増税シフトはかなり強く、彼らにとっては、10%増税は中途経過に過ぎなく、いずれ15%、20%それ以上を増税をする腹です。

おそらく、一度10%増税に踏み切らないと、財務省の抵抗は凄まじいものなると予想されたのだと思います。日本の官庁としては、最低といわれるような文部省ですら、加計学園問題では、前川元事務次官をはじめかなりの抵抗を示したわけですから、財務省の抵抗はそれを遥かに凌駕した凄まじいものになるでしょう。

安倍総理としては、日本の将来を考えた場合、10%を超える増税は望ましくないと考えているようです。実際、安倍晋三首相は7月の参院選に先立つ記者会見で、追加増税について「今後10年間くらいは必要はない」と述べています。

であれば、10%以上の増税をさせないためにも、国民の信を問うために、総選挙を実施する必要があります。時期としては、東京五輪・パラリンピック後、来年の晩秋から年末にかけての頃が効果的です。

そうして、この時に5%への減税を公約にすれば良いのです。消費税を下げた場合、長期的にはインフレーションになっていくことが見込まれますが、現在の20年以上続くデフレ状況と違って、モノは売れるようになることが想定されます。そうして、日本はデフレから完璧に脱することになります。そうなると、日銀の物価目標2%も達成しやすくなります。

さらには、安倍総理の念願である、憲法改正もやりやすくなるはすです。何もしなければ、そもそも、景気が低迷し、内閣支持率が低下し、選挙をしても改憲勢力が2/3を占めることも叶わず、憲法改正は遠のくことになるでしょう。

そうして、物価目標2%超えて、4%にでもなった場合には、今度は財務省が大好きな増税をすれば良いのです。これに抵抗する勢力は今の日本では皆無でしょう。

増税して、減税して、また増税するという一連のサイクルを実施すれば、財務省の何がなんでも、一方的に増税する、何が何でも緊縮するという世界の財政政策からみれば、かけ離れた馬鹿げた政策は打ち砕かれることになります。

それこそ、必要に応じて機動的に増税、減税を実施するというまともな財政政策が日本でも当たり前にできるようになります。

減税導入当初は、市場が活気を帯びることが予想され、そうなると、2021年に予定されている自民党総裁選の行方も違った形でみえてくるのでは、と考えられます。さらに、その後、景気が加熱したときに、タイミングを逃さず増税すれば、大多数の国民の中にも、日本でも機動的財政政策が当たり前になったとの確信を持つことができるのではないでしょうか。

いずれにせよ最終的な解散の判断は、安倍首相の意向ひとつです。与党も、野党も、衆議院の解散時期に関しては首相の動向に油断できない状態が続きそうです。

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2015年2月6日金曜日

国の債務超過490兆円を意外と簡単に減らす方法―【私の論評】正体見たり枯れ尾花!財務省が省益と考える、自らの配賦権を強化するために国民や政府などないがしろにし日本は借金漬けのようにみせかけているだけ(゚д゚)!

国の債務超過490兆円を意外と簡単に減らす方法

財務省は、2013年度末の国のバランスシートをまとめ、2014年3月末時点で資産・負債差額(負債が資産を上回る債務超過額)は490兆円と発表したという報道があった。

まず、その資料をみてみよう。

日本国の貸借対照表 クリックすると拡大します

資産は総計653兆円。そのうち、現預金19兆円、有価証券129兆円、貸付金138兆円、出資66兆円、計352兆円が比較的換金可能な金融資産である。そのほかに、有形固定資産178兆円、運用寄託金105兆円、その他18兆円。

負債は1143兆円。その内訳は、公債856兆円、政府短期証券102兆円、借入金28兆円、これらがいわゆる国の借金で計976兆円。運用寄託金の見合い負債である公的年金預り金112兆円、その他45兆円。

先進国と比較して、日本政府のバランスシートの特徴をいえば、政府資産が巨額なことだ。政府資産額としては世界一である。政府資産の中身についても、比較的換金可能な金融資産の割合がきわめて大きい。

巨額な資産をオープンにせず
債務の多さだけを強調した過去の政府


実は、国のバランスシートは前から公表されている。20年前にはじめて国のバランスシートを作ったのは筆者である。

その当時、政府内で資産・負債総合管理(ALM)を行う必要があり、国のバランスシートを作成したが、幹部から口外しないようにかなり注意を受けた。あまりに資産が多額にあったからであり、それまで国の借金いくらと、資産をいわずに負債だけで財政危機を説明してきたからだ。

その結果、国のバランスシートを公表しても、あまりマスコミへ説明しなかった。このため、バランスシートの資産・負債差額(債務超過額)の数字があっても、財務省が説明しないので、マスコミは記事を書けない状態だった。

今回、資産・負債差額が報道されたということは、財務省がマスコミにレク(説明)したはずだ。どうして、このような方向転換があったのか。

為替介入で得た外債で運用含み益、
いわば借金で財テクという実態


資産・負債差額に着目するのは世界標準なので、財務省もようやく世界に近づいたというのが一つの理由だ。もっとも、ほかの国は政府資産が少額なので、ネットの資産・負債差額で見ても、グロスの負債額だけを見ても大差ない。日本の場合、政府資産額が大きいので、債務額をグロスで見るか、ネットで見るかは大きな違いがある。

もう一つ考えられる理由は、債務超過額をいっている以上、政府資産の売却・整理はあまりいわれないですむ。売却・整理しても債務超過額はそれほど変わらないからだ。

これは、資産のうち外貨債権が100兆円以上あり、それが最近の円安で20兆円程度の含み益が出ていることが大きく関係している。これは、外為特会に関わる部分で、バランスシートでいえば、資産の有価証券と負債の短期政府証券にあたるところだ。

日本の外貨準備が大きいことに着目して、その運用をもっと積極的に行うという政府系ファンドの提言がしばしばある。実態をいえば、実際に外資系証券会社をはじめとして「運用」の委託を財務省から受けている会社は確かに存在している。

外為運用の秘密ということで、100兆円の運用なので、証券会社への実入りも大きい。これが財務省の利権を担っているのが問題だ。外為特会をみれば、政府短期証券という「国債」によって資金調達をして、為替介入という名目で外債購入し、その後「運用」しているわけだ。

いってみれば、借金が大変といいながら、さらに借金して財テクを行っているわけだ。

しかも、変動相場制という建前とも、今の外為運用は矛盾している。変動相場制であれば、一度為替介入して外債を購入しても、その外債の償還期限が来たら償還し、それで調達した政府短期証券も償還し、資産と負債を両方ともに減少させるのが筋だ。ところが、日本の外為特会では、外債のロールオーバーを行うことで、事実上の為替介入を継続している。その結果、先進国では類を見ない巨額な外為資金になっている。



国際的な観点からいえば、外為資金を圧縮して、同時に政府短期証券を減らすことが望ましい。しかも、現在では円安で結果として上述のような20兆円程度の含み益があるので、絶好の機会だ。

これまで財務省は、政府資産は道路などを例に挙げて、換金できないと説明してきた。ただし、これは有形固定資産178兆円にはあてはまるが、その約2倍にもなる金融資産ではあてはまらない。特殊法人などを廃止または民営化すれば換金可能だ。

また、政府資産に含まれる運用寄託金105兆円を将来の年金のために処分できないといってきたが、それを処分せよなんていう人はいない。問題は金融資産である。財務省はこれからどのような説明をするのだろうか。

BS上は債務超過でも
徴税権という「簿外」資産が


最後に考えられる理由は、債務超過を強調して財政再建の必要性をいうことだ。普通の企業であれば、債務超過であれば、破綻である。しかし、国の場合には事情が異なる。

他の国のバランスシートをみても、債務超過は珍しくない。日本の債務超過額は名目GDPの90%程度であるが、たとえばアメリカの債務超過額も名目GDP比でみればやはり90%程度であり、日本とほとんど同じである。もし日本が財政破綻というなら、アメリカも財政破綻だが、そうなっていない。

国の場合、形式的には債務超過であっても、国家としての徴税権という「簿外」の資産があると考えてもいい。日本の場合、少なくとも年間で40~50兆円くらいの税収が確実にある。これが将来も続くとすれば、それらの現在価値は割引率4%で1000~1250兆円程度である。これを資産と考えてもいいのであるから、少しぐらいの債務超過は問題にならない。

さらに、国のバランスシートだけで判断するのもミスリーディングだ。企業のバランスシートを見るとき、単体ベースと連結ベースの両方を見るように、国の場合も単体だけではなく、連結ベースも見なければいけない。

今でも、政府の子会社である特殊法人などを含めた連結ベースでのバランスシートは作成されている。国の単体ベースより2ヵ月くらい遅れて公表されているので、今年も3月末くらいに公表されるだろう(2012年度末の連結バランスシートは、財務省HP 平成24年度連結財務書類pdf にある)。
【ブログ管理人注:この連結財務書類現在では、見ることができません。財務省に何か思惑があるのでしょうか・・・・】

日銀のBSを連結すると
国の負債超過は200兆円減?


ただし、ここでは日本銀行が連結対象になっていない。日本銀行は認可法人であるが、連結ベースに含めて考えた方がいいこともある。荒っぽい方法だが、日本銀行のバランスシートを合算してみよう。他の政府子会社をすべて連結として含めて、債務超過額は若干低くなるはずだが、簡潔にするために、日本銀行だけを連結に含めてみよう。

日本銀行のバランスシートは単純にいえば、資産に国債、負債は日銀当座預金と日銀券である。日銀当座預金は日銀券と代替可能なので、日本銀行の負債は日銀券のみとみても、間違いではない。

となると、アバウトには、日本銀行のバランスシート(2014年3月末)は、資産の国債200兆円、負債の日銀券200兆円とみてもいい。これを国のバランスシートに合算すれば、負債の中の公債・政府短期証券が200兆円減少し、その代わりに日銀券200兆円が入るわけだ。

ここで、日銀券200兆円は、形式的には負債だが、利息負担もないし、返済義務もない。いってみれば、この分は負債とみなさない考え方もありうる。その考え方にたてば、債務超過額は490兆円から290兆円にあるわけだ。このあたりについて、公会計で定説はないと思うが、日銀保有国債分については、国にとって償還も利払いも必要ないので、債務超過額が減ったといってもいいだろう。

こうした点について、経済財政諮問会議はしっかり議論する必要があるが、今のメンバーではとてもできそうにないのが気になるところである。

(高橋洋一)

この記事の詳細は、こちらから!

【私の論評】正体見たり枯れ尾花!財務省が省益と考える、自らの配賦権を強化するために国民や政府などないがしろにし日本は借金漬けのようにみせかけているだけ(゚д゚)!

さて、上の記事は高橋氏によるものですが、さすがに以前は大蔵省にいたので、内部事情も詳しく、客観的にいろいろと指摘しています。そうして、高橋氏は、この記事に関して以下の様なツイートをしています。
さて、高橋氏のツイートのこの3点に関しては、上記の記事で詳細に説明されているわけではありません。というより、このことを前提として上の記事が書かれているといっても良いと思います。よって、この記事を理解するためには、この3点について理解しておく必要があると思われますので、以下にそれを掲載しようと思います。

①中銀の独立性の意味

日本の中央銀行である日本銀行

これについては、昨日解説したばかりです。詳細については、昨日のこのブログの記事をご覧いただくものとして、以下に中銀の独立性に直接かかわる部分のみビックアップして掲載しておきます。
世界標準の中央銀行の独立性は、政府が国の金融政策の方針を定め、中央銀行はその方針に従い、専門家的な立場から、具体的な金融政策の方法を他から独立して、自由に選択し実行できるし、それに失敗すれば、責任をとるというものです。 
特に、中央銀行の「目標の独立性(goal independence)と手段の独立性(instrument i
ndependence)の違いを認識すべきです。中央銀行が自由に目標を設定できるという目標の独立性を民主主義社会で正当化することはできません。なぜなら、中央銀行のメンバーは全員が官僚であって、国民から選挙で選ばれるわけではないし、国民から信託を受けた人々ではありません。 
しかし、中央銀行が干渉を受けずに適切な金融政策を実施できるような手段の独立性は、経済安定のために極めて重要です。手段の独立性は守られるべぎてす。 
しかし、現状の日銀法では、「目標の独立性」が保障されているのです。  
日本銀行も、このような世界標準の中央銀行の役割を担うようにすべきであって、そのためには、日銀法の改正が必要です。
②日銀は政府子会社

これに関しては、すでに①で一部述べています。「中央銀行のメンバーは全員が官僚であって、国民から選挙で選ばれるわけではないし、国民から信託を受けた人々ではありません」というくだりです。

国民から民主的な手続きである選挙選ばれた、与党を中心とする政府自体が、大企業にたとえれば、本部機能を有する本社であり、日本銀行はその子会社にすぎないということです。

日銀は、政府にとっては、一下部組織にすぎないということです。実際、日本銀行は株式会社であり、JASDAQに上場会社でもあります。とはいえ、もちろん日本銀行の株式の過半数は日本政府が保持しています。現実に、日本政府は日本銀行の親会社に該当いているのです。

なお、会計基準では親会社と、小会社の決算は、それぞれ単独で出すとともに両者の連結での決算もださなければならないことになっています。

大企業においては連結財務諸表を作成することが義務付けられている

なぜそういうことになるかといえば、過去には連結決算をしないで、赤字をすべて小会社に押し付け、本社は真っ黒であるかのように見せかけていた例があり、とんでもないことになったことがあったからです。それまでは、公にする必要のなかった、連結決算の必要性が叫ばれ、今では連結決算をするのが当たり前になりました。

日本政府の日銀の関係もそれと同じことです。政府は政府で決算を出します、日銀も日銀の決算を出さなければなりません。それとともに、政府と日銀を含む、政府の子会社である特殊法人などを含めた連結ベースで決算書をだすべきです。連結決算を見なければ、日本政府とその関連組織の全体像は見えてきません。

連結決算のルールにより、親会社と子会社間のお金の貸し借りは相殺されます。また、親会社から子会社への利払い(逆も同じ)も連結決算で相殺されてしまいます。日本政府が「子会社」の日本銀行からお金を借りた場合、返済や利払いの負担など生じません。

これを国債の実例で説明します。国債の購入とは、「政府にお金を貸す」という意味です。日本銀行が日本国債を購入するということは、「日銀が日本政府にお金を貸す」ということです。この場合、まさに「子会社から親会社へのお金の貸付」に該当し、親会社側は返済や利払い負担が発生しません。無論、親会社である日本政府が日銀に利払いをしても構わないし、実際にしています。しかしこれは、日銀の決算後に「国庫納付金」として返還されています。

さて、重要なのは、子会社である日本銀行が、親会社の日本政府に「カネを返せ」などということはあり得ません。結果的に、日本政府は日銀に国債を購入させることで、借金の返済や利払いの負担が消滅してしまうのです。

日本政府が発行している国債は「外国人保有分」を含め100%日本円建てです。日本の中央銀行である日本銀行は、市中の国債を買い取る代金として「新しい日本円」を発行します。日本円の発行は日本銀行の主業務の一つです。日本銀行は通常業務として日本国債を「買わねばならない」のです。そして、日本銀行は日本政府の子会社です。
であれば、日本政府は国債の償還(返済)不能などのデフォルトに陥ることはできないのです。財政破綻「しない」のではありません、財政破綻「できない」のです。日銀が政府の子会社であり、日本国債が100%円建であるかぎりは、この事実は覆ることはありません。

日銀が政府の子会社であるというのは、こういう意味です。

③統合政府

統合政府とは、経済学では政府と政府の子会社である特殊法人などを含めたものを「統合政府」と呼びます。これだけでは、何を意味するのか、理解することができないと思われますので、以下では、日銀の買いオペによる、民間銀行の保有する国債を買い入れを例として、統合政府と政府、小会社の関連について述べていきます。

政府の借金は1000兆円を超えており、さらなる借金の増大を危惧する人は多いです。ところが、実は近年「国の借金」は減少傾向にあります。ただしここでは、政府の借金=国の借金という馬鹿な考えで話をしているのではありません。

以下では、話を単純にするため、政府と中央銀行を合わせて「統合政府」と呼ぶことにします(下図)。

政府と中央銀行はともに公的部門であり国の機関であるはずなので、「国の借金」とは「政府の借金」ではなく「統合政府の借金」を意味していなくてはならないはずです。



中央銀行が買いオペにより、民間銀行の保有する国債を買い入れれば、それだけ民間部門の国債は回収されます。近年、日銀による国債の買い入れ額は、国債の新規発行額を上回っています。つまり、民間部門の国債保有額は減っており、「国の借金」も減っているのです。それゆえ、今のところ増税は必要ありません。これは、10%増税は、無論のこと、8%増税もしかりです。

ただしこの場合、日銀による国債の買い入れが政府支出の財源となっています。これは「財政ファイナンス」と呼ばれ、財政の信頼性を損ない金利を高騰させるものと繰り返し批判されてきました。しかし、実際には、長期国債の金利ですら長期下落傾向にあり、今や0.5%を割り込んでいます。

これだけ日本の財政危機が叫ばれている中で、長期金利が低位安定している事態は不思議でも何でもありません。マーケットは、デフレやディスインフレ(低い率のインフレ)の下での財政ファイナンスに何の危険性もないことを無意識に理解しているのです。

懸念される弊害は過度のインフレですが、2%といったインフレ率目標はそれを防ぐ役割も果たし得ます。また、景気が十分回復して2%のインフレ率を超えたならば、自然に税収は増大するし、増税によって景気の過熱を抑えることもできます。したがって、インフレ率目標達成後、金利の引き上げにより政府の利払いが増えたとしても、それを超える税収増が財政再建を可能とするでしょう。逆に言うと、インフレ率目標が達成され、ゼロ金利政策が解除できるようになるまでは、増税する必要はないし増税すべきでもないのです。

以上、高橋洋一氏のツイートにでてきた、3点について説明させていただきました。

ここまで、説明すると、高橋洋一氏ははっきりとは述べていませんが、巨額な資産をオープンにせず債務の多さだけを強調すると、借金で財テクという実態や、日銀のBSを連結すると国の負債超過は200兆円減になるにもかかわらず、連結決算が公表されていないなどの不可思議なことがなぜ起こっているのかが、よくご理解できると思います。

要するに、財務省が省益と考える、自らの配賦権を強化するために、国民や政府などないがしろにしてあたかも日本は借金漬けのようにみせかけているということです。ありもしない、200兆円の謝金をあかたもあるかのように見せかけ、さらに自分たちの手元に金を引き寄せようとしているということです。

これが、財務省による10%増税推進の本質です。とんでもないです。こんなことに騙され続ける、マスコミや政治家は馬鹿です。これに騙され続けるということは、大勢の人々を不安に陥れるだけのことです。しかし、そんな不安やおそれは全くないということです。まさに、正体見たり枯れ尾花という故事の通りです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか(゚д゚)!

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