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2014年1月6日月曜日

高橋洋一・嘉悦大教授が占う2014年の日本経済 消費増税で成長鈍化は必至 ―【私の論評】高橋洋一氏の読みは正しい、なぜなら先行事例がかなりあるから!!ただし、経済が伸びないからといって、安部総理を個人攻撃すれば中国・韓国、マスコミの思う壺(゚д゚)!

高橋洋一・嘉悦大教授が占う2014年の日本経済 消費増税で成長鈍化は必至 
2014.01.06
高橋洋一氏
1年前の夕刊フジ新春特別号に書いた2013年の経済見通しに関する記事を読み返してみると、「安倍政権の誕生でデフレ脱却が加速」「夏場までに日経平均株価は1万2000~1万5000円」「為替は1ドル=100円程度」と予測していた。当時、アベノミクスの金融緩和について、財政破綻になるとか、金利が急騰するなどと間違っていた学者や評論家は多かったが、13年7~8月の株価は1万3600~1万4800円、為替は1ドル=96~101円だったので、筆者の予測はほぼ的中したといえるのではないか。

今年もそこまで期待されているとなかなか厳しいが、足元のトレンドと財政政策から定量的に判断するなら、14年度の経済成長率は13年度より鈍化するだろう。マイナス成長になる可能性も、かなり少ないものの排除できない。元凶はもちろん4月から消費税率が8%にアップすることだ。増税とセットで実施予定の経済対策やアベノミクスをもってしても、景気悪化は避けがたい。

実質経済成長率を見てみると、13年度は消費税増税前の駆け込み需要も加わり2・7%程度で着地しそうだが、増税が実施される14年度の成長率をどう見るか。政府は1・0%、日銀は1・5%、民間シンクタンク11社は0~1・6%とばらついているが平均は0・7%だ。

筆者はマイナス0・1%~プラス0・9%とみている。金融政策によって実質2%成長は確保されているが、増税前の駆け込み需要の反動減でマイナス0・7%、さらに増税の悪影響がフルに出るとマイナス1・3%程度とみる。

幅をもたせているのは、政府の出方がわからないからだ。今のままの5兆円程度の財政対策なら、0%程度で最悪はマイナスもありえるだろうが、追加財政対策や追加金融緩和があれば、景気の鈍化は和らげられる。

こうした経済状況では、株価は今年前半のような爆発的な上昇はあまり期待できない。夏場までは1万4000~1万8000円程度だろう。20年の東京五輪開催は面白いテーマだが、14年中に実現する話は少ない。

為替は、米FRB(連邦準備制度理事会)の金融緩和がどこまで続くか次第であるが、14年夏までに1ドル=100~110円程度ではないか。

消費税率10%への引き上げは15年10月に予定されているので、半年前の15年4月が決断のデッドラインだが、通常国会を考えると、14年末にも判断することがあり得る。14年の景気があまり芳しくないとみられることや、さらに15年9月に自民党総裁選があることを考えると10%への増税はスキップされる可能性もある。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】高橋洋一氏の読みは正しい、なぜなら先行事例がかなりあるから!!ただし、経済が伸びないからといって、安部総理を個人攻撃すれば中国・韓国、マスコミの思う壺(゚д゚)!

私は、高橋氏が語っているように、政府がどうでるのかわからないので、まだ何ともいいようがないですが、今年の経済は、高橋氏の言うとおりの展開となると思います。要するに、思ったほど伸びません。

なぜなら、それは先行事例があまりに多すぎるからです。昨年は、世界中の国々で、景気が良くなくて、財政赤字を削減しようとして、増税し国々は軒並み、全部失敗しています。だから、まともな経済学者や、識者の間では、不況に陥り、財政赤字が目立ったにせよ、まずこのような場合は、経済成長を優先させるべきであり、財政赤字を削減するために増税などすべきではないという認識が高まっていました。

一番顕著な例はイギリスです。昨年は、一昨年とこのブログでは、イギリスの経済の悪化について掲載しており、そうして、イギリスの事例から日本でもデフレの最中に増税するは、全くの間違いであることを主張してきました。

まず、以下にそれらの記事のURLを掲載させていただきます。
【国際政治経済学入門】税収減、失業増…消費増税失敗 英の教訓―【私の論評】増税はまだ本決まりではない!!まだ防ぐ機会はある!!(一昨年7月18日の記事) 
五輪に沸くロンドンが「ゴーストタウン」化 短期的な景気浮揚効果の予測に疑問符―【私の論評】不況のイギリスでは増税した後で増刷して、さらにオリンピックでも景気浮揚の効果はなくなったというのに、日本ではこれから増税とはこれいかに?(一昨年8月2日の記事)
 
【五輪閉会式】景気後退、将来への懸念は消えず 政争の予感も―【私の論評】イギリスの今日の姿は、明日の日本の姿である!!(一昨年8月13日の記事)
 

さて、詳細はこれらの記事をご覧いただくものとして、これらの記事では、イギリスでは不況のため、財政赤字が目立つようになり、この財政赤字を減らすために、2011年に付加価値税(日本の消費税にあたる)を大幅増税しました。

そうしたところ、経済はさらに落ち込み、雇用も悪化しました。それも、特に若者雇用がかなり悪化しました。これに対処するべくイギリスの中央銀行(日本の日銀にあたる)である、イングランド銀行は、大規模な金融緩和策を実施しました。そうして、この金融緩和によって、イギリスはハイパーインフレになるなどといわれましたが、そのようなことにはなりませんでした。

しかし、それにしても、2012年の段階では、イギリスの景気は回復せず、財政赤字を削減するために、付加価値税を増税したにもかかわらず、税収は増えるどころかかえって減って、2012年の時点では、財政赤字の削減の目処もたちませんでした。

さすがに、昨年の2013年になってからは、景気がある程度回復しましたが、それにしても、問題は山積しています。このように、不景気のときに、財政赤字幅が増えたからといって、経済成長政策ではなく、増税をしてしまえば、失敗するという格好の事例になっていました。

こういう先行事例があるにもかかわらず、この先行事例が日本では、ほとんど顧みられず、財務省も、政治家も、マスコミもこぞって、財政赤字を減らすため、増税するのは当然のことという論理で、今年4月から増税を決めてしまいしまた。

そうして、このような事例は、イギリスだけにはとどまりませんでした。EUでは、イギリスの他にも、イタリア、スペイン、ポルトガルで、不景気で、財政赤字が目立ったということで、財政赤字を削減しようと、増税しました。ことごとく全部失敗しました。これに関しては、昨年のこのブログでも紹介させていただいたので、その記事のURLを以下に掲載します。
【メディアの嘘を見抜け】酷すぎ、今年の経済白書はバカか工作員の未来日記なのか―【私の論評】マスコミがその巣窟になつている現在、せめて役所それも内閣府だけは馬鹿とスパイはお断りにしていただきたい!
 
詳細は、この記事をご覧いただくものとてして、この記事では、イギリス、スペイン、イタリア、ポルトガルが、財政赤字を削減しようとして、増税してすべからく全部失敗していることを掲載しました。

そうして、あろうことか、このような失敗事例があるにも関わらず、内閣府が出した経済白書においては、この事実が隠蔽されてること、特に、増税後どうなったかをはっきり公表していないという異常事態について掲載しました。本当にとんでもないことです。

このような先行事例、事実をオブラートに包んわからないようにして、日本も増税しても、景気に影響がないかのような、内容を掲載していました。これは、事実を曲げるとんでもないものでした。本当に、昨年の経済白書は、バカか工作員の未来日記なのかと誹られても、言い訳できないような内容でした。

こうした事例については、財務省も、マスコミも、政治家もほとんど問題にするということはなく、結局増税に突っ走ってしまいました。

特に、イギリスの事例は、増税した後に、金融緩和といことで、日本とは少し違います。日本の場合は、昨年の4月より、異次元の包括的金融緩和をしました。そうして、今年の4月に増税します。丁度、順番がイギリスとは反対です。金融緩和をした、昨年は、上の記事高橋氏も言っていたように、経済はかなり回復しました。

しかし、今年4月から増税すれば、増税下の金融緩和ということになり、イギリスと同じような状況になります。これは、悪くなるとみるのが当たり前です。

どう考えてみても、増税はかなり景気に悪影響を及ばします。おそらく、政府が5兆円の経済対策しか行なわなければ、景気の伸びは今年よりも鈍化するのは、必定です。おそらく、高橋洋一氏の予想する通りになることでしょう。

上では、EUの例をあげましたが、実は先行事例として、素晴らしい例があります。それは、何かといえば、日本の事例です。これも、このブログでは、何回か紹介させていただきました。



簡単に述べると、約80年ほど前に、世界恐慌があったのはご存知だと思います。この、世界恐慌の原因は、深刻なデフレであったことが、1990年台の研究で今では明らかにされています。日本も、当時アメリカの金融恐慌に影響を受けて、深刻なデフレに陥っていました。日本では、この大恐慌を昭和恐慌と呼んでいました。

こうしたときに、日本は、何にをしたでしょうか?それは、当時の大蔵大臣である高橋是清による、今でいうところのリフレ政策でした。そうです。増税など一切していません。金融緩和をと財政支出政策を同時に行ったのです。そうして、金融緩和を行っても、ハイパーインフレになることもなく、国債が暴落したということもありませんでした。それどころか、日本は、いち早く昭和恐慌から脱出しました。当時、日本は、世界で一番早く、世界恐慌から脱出しました。世界で日本だけが、大東亜戦争の前に恐慌から脱出することができました。これは、日本が世界に誇るべきことだと思います。

今の日本では、日本の英雄高橋是清のことは、顧みられていない

アメリカが金融恐慌から脱出できたのは、大東亜戦争がばじまてから、数年経てからのことでした。

日本にはさらに新しい、事例があります。それは、多くの方々がご存知のように、小泉政権の時に増税なしでほぼ財政再建したという事実があります。このときには、金融緩和のみによって、あとわずかで、日本はデフレから脱却できそうなところまでいきましたが、残念ながら、小泉政権の後の第一次安倍政権のときに、日銀が金融引き締めに転じて、せっかくの金融緩和の成果が雲散霧消して、日本はまたまた、デフレスパイラルの泥沼に落ちこんでしまいました。

このような先行事例があったにも関わらず、日本では、昨年デフレの最中の増税という愚かなことを決定していまったのです。まさに、愚かしいとしか言いようがありません。

しかし、ここで、さらに日本を悪くさせないために、敢えて一言付け加えさせていただきます。増税を決断したのは、無論最終的には、安部総理です。こんな、愚かしいことをする総理大臣なら切ってしまえなどということは、夢々思うべきではないということです。

安部総理は、自民党や、財務省などか、増税決まりというようなことを言っていたときも、はっきりとは意思表示せず、10月に入ってから慎重に発表を行いました。安部総理は、おそらく、上記の先行事例のことなど、良く理解されていると思います。他の、自民党の幹部などが知らなくて、安部総理だけはご存知だったと思います。

しかし、昨年の10月の時点で、増税見送りを決めてしまえば、世論の支持は高まるでしょうが、絶対に増税しなければならないなどと、財務省に吹き込まれて信じこんでしまっている、多数の自民党の議員を納得させ、支援を得て、安倍政権を長期政権化することが不可能になってしまいます。そうなれば、次の総裁選に立候補することすらできなくなってしまう可能性が大です。

だから、こそ、安部総理は、百害あって一利なしの増税に踏み切らざるをえなかったのです。これに関しては、本人も、苦渋の決断であったと述懐しています。本当にそうだったと思います。

今年、増税すれば、当然経済は悪化し、腰折れします。しかし、それは、承知の上で、安倍政権を長期政権化するために、妥協をしたのです。安倍長期政権が成就すれば、次の増税10%は阻止できる可能性が高まります。増税しても、なるべく経済が悪化しないようにしつつ、最終的にはアベノミクスで経済を良くしようと考えているのだと思います。

安部総理

麻生財務大臣は、年初そうそう、10%増税に言及していますが、日本経済が未だデフレから回復しきっていない状況で更に増税してしまえば、日本はとんでもないことになり、またまた、デフレスパイラルの泥沼に落ち込み、とんでもないことになります。財務省は、増税さえすれば、自らの省益を高めることができますから、全くおかまいなしです。日本がどうなっても、自分たちの省益さえ強まれば、それで良いのです。なぜ増税して、財務省の省益がたかまるかといえば、財務官僚の歳出権を拡大できるからです。こういう視点でとらえれば、増税は、歳出権拡大の実践であり、財政再建が遠のくのも当然のことです。

とにかく、消費税10%ということにでもなれば、日本は、失われた20年が、40年になるということになることでしょう。これから、先20年もさらに、デフレに悩まされ続けることになります。そうして、日本が弱体化すれば、マスコミは大喜びだし、最も喜ぶのは、中国です。日本がデフレに落ち込み、円高になれば、また中国は、日本の富を利用して、経済発展できる可能性が高まります。

そんな馬鹿なことにならないためにも、安部総理には頑張っていただかなけれはなりません。今年の課題は、10%増税絶対阻止です。そうして、できうれば、増税しても、財政出動5兆円に終わらせことなく、もつと多くして、経済の落ち込みを防ぐべきです。そのようにして、増税の悪影響を削減すべきです。

これらが、今年の大きな課題となると思います。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年11月19日火曜日

【経済学101】ラルス・クリステンセン 「ヒットラーを権力の座に押し上げたのはハイパーインフレではなくデフレである」―【私の論評】日本も過去の歴史を学んでいない、政治家・官僚・マスゴミ・似非識者が多すぎ!過去を学ばない、ないがしろにする者には創造性は育まれず、馬鹿の壁をさらに高くするだけ!

【経済学101】ラルス・クリステンセン 「ヒットラーを権力の座に押し上げたのはハイパーインフレではなくデフレである」

デフレがヒトラーを生み出した!ファシズムの温床、デフレ!

2か月ほど前のことだが、マシュー・オブライエン(Matthew O’Brien)がアトランティック紙で次のように語っている。

ハイパーインフレーションからヒットラーの台頭に至るまでは一直線を引くことができる ことは誰もが知っていることだろう。しかし、この件に関しては誰もが知っていると思い込んでいることは間違いなのである。ナチスが権力の座に就いたのは物価が4日ごとに倍になったハイパーインフレの時期(1923年)-この時期にもナチスは権力の獲得を目指していたが、その試みはうまくいかなかった-ではなく物価が下落していたデフレの時期(1933年)なのである。

オブライエンの言う通りである。しかしながら不幸なことに、ヨーロッパの政策当局者らの中には過去の(経済や政治に関する)歴史をきちんと学んでいる人物がほとんどいないようである。加えて、自由市場に基づく資本主義体制を擁護する者の中で次のことに気付いている人物もまたほとんどいないようである。すなわち、資本主義体制に対する最大の脅威は過度の金融緩和ではなく過度の金融引き締めなのであり、過度の金融引き締めこそが反動的なポピュリスト―右か左かを問わず―が権力の座に就く土壌を形成することになるのだ。

(追記) ドイツのシュピーゲル紙が次のように語っている。

1922年から1923年にかけてドイツ全土を襲ったハイパーインフレはついにはアドルフ・ヒットラーの台頭を促したのであった。

・・・ドイツのメディアの中にも自国(ドイツ)の歴史からきちんと教訓を学ぶ必要のある人物がいるようである。

オブライエンの記事の存在を教えてくれたことを含めPetar Siskoに感謝。

P.S. スコット・サムナー(Scott Sumner)が直近のブログエントリーの中で自由市場の擁護者の多くが金融政策に関わる問題を巡っていかに間違った考えを抱いているかを話題にしている。

もう一つP.S. デフレ圧力に晒されているユーロ圏で進行しているこの新しいニュースにも要注目である。

【私の論評】日本には過去の歴史を学んでいない、政治家・官僚・マスゴミ・似非識者が多すぎ!過去を学ばない、ないがしろにする者には創造性は育まれず、馬鹿の壁をさらに高くするだけ(゚д゚)!

1938年9月1日、ベルリンの「アドルフ・ヒトラー
広場」で行進中の兵士たちに敬礼するヒトラー。

おそらく、ドイツの歴史について忘れ去られていることで、重要なことがもう一つあります。それは、ドイツの当時の空前のハイパーインフレの原因は何であったかというものです。これも日本はもとより、ほとんどの国の政策担当者や、マスコミに忘れ去られています。特に、日本は酷いです。

第一次世界大戦後のドイツがハイパーインフレになった原因としてはいくつもありますが、その大きな直接的な原因の一つは当時のドイツ連邦銀行の独立性によるものです。

この当時のドイツにおける中央銀行(ドイツ連邦銀行)の独立性とは、現在世界各国で標準となっている独立性とは異なります。

現在の世界標準の中央銀行の独立性とは、国の金融政策はその方針を政府が定め、中央銀行はその方針に従い、専門家的な立場から、その方針を実現するための手段を自由に選択できるというものです。国の金融政策の方針はあくまで、政府が定めるということです。

ドイツ連邦銀行

当時のドイツ連邦銀行は独立性を有していましたが、その独立性の中身は、現在の世界標準の独立性とは異なるものでした。どのようなものであったかといえば、国の金融政策は、方針まで含めて中央銀行であるドイツ連邦銀行が定めるというものでした。

政府は、選挙で選ばれた議員などもその構成員の中に含まれ、民意も直接的に反映されるものですが、中央銀行は政府の一下部機関に過ぎず、そんなところが、国の金融政策を独自で決定するのは本来あってはならないことです。しかし、その当時のドイツはそうではなく、結果としてドイツ連銀が、政府の意向とは関係なく、貨幣を大量に刷り増すことになり、ハイパーインフレになってしまいました。

こうしたことの反省もあり、現在の世界の中央銀行の独立性とは、先ほども述べたように、政府の決めた金融政策の方向性に従い、専門的な立場からその方法を自由に選ぶことができるというように制限されたのです。

日本銀行

このことも、忘れ去られています。特に、現在の日本では忘れ去られています。日本でも、従来は日本銀行の独立性はごくまともなものでしたが、平成9年(1997年)6月18日の日銀法改正により、日銀の独立性は拡大され、日銀が国の金融政策の方針を定めることができるようになりました。

この次の年、1998年より日本は完璧にデフレに突入し、それから15年以上もの年月がたっています。その間、ほんのいっとき金融緩和をした例外の期間をのぞき、日銀はデフレであるにも関わらず、ずっと金融引き締め政策を継続し、日本はデフレスパイラルの泥沼に落ち込むこととなりました。安倍政権が誕生することになり、安倍総理が金融緩和をすると約束し、実際に4月から異次元の包括的金融緩和を実行したところ、未だデフレから脱却はできないものの、景気は確実に良くなりました。

過去の日銀の金融政策は全くの間違いであることが、実証されました。15年もの長きにわたって、日銀は誤謬を繰り返していたことが白日の元に晒されることになりました。

以上に述べたことからも、現在の日銀法による、日銀の独立性はあまりに強大すぎます。日銀は、政府の一下部組織に過ぎません。そんな下部組織の、金融政策会議により、日本国の金融政策が定められるという今日の方式は明らかに間違っています。

しかし、特に日銀黒田体制ができあがるまでは、国会議員などが日銀を批判すると、馬鹿なマスコミ、似非識者などは、日銀の独立性を楯にとって「批判するのはおかしい、日銀の独立性に反する」などとはやしたてました。これは、全くおかしなことです。たとえ、現行の日銀法の範囲内で考えたとしても、政府の一下部機関に過ぎない日銀が失敗すれば、批判されるのは当然のことであり、独立性があるからといって、全く批判してはならないなどということにはなりません。

過去の歴史を学ばないのは、何もドイツの政策担当者やマスコミだけではありません。多くの国の政策担当者、マスコミにみられる現象です。しかし、日本では過去の栄光ともいうべき自国の歴史がすっかり忘れ去られ、デフレを長期間にわたって放置するということが平然として行われてきました。

高橋是清

日本の過去の栄光とは、世界恐慌(日本では昭和恐慌)を世界で一番早く脱却したという世界に誇る日本の英知を示す輝かしい歴史です。これは、高橋是清による金融緩和、積極財政政策によるものです。これに関しては、以前のこのブログにも掲載したことがありますので、以下のその記事のURLを掲載します。
ポール・クルーグマンの新著『さっさと不況を終わらせろ』−【私の論評】まったくその通り!!
ポール・クルーグマン博士

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事の【私の論評】においては、高橋是清の金融・財政政策についてその概要を解説させていただきました。是非ご覧になってください。

世界恐慌の原因は、深刻なデフレでした。デフレのときには、金融緩和、積極財政を実施し、早期に経済を立て直すという現在のマクロ経済学上では、当たり前のど真ん中を、日本では昭和恐慌からの早期脱出という形で理論だけではなく、実際に実行してみせたわけです。

この事実は、あまり語られることはありませんでした。それは、様々な原因があるものの、やはり第二次世界大戦に日本が負けたということが大きく影響していると思います。

アメリカは、日本のような政策をとらなかったため、戦前にデフレから脱却することはできませんでした。アメリカがデフレから脱却できたのは、戦争を遂行するための金融緩和政策と、積極財政が効いてきた大戦の最中のことです。もし、戦争がなかったら、回復は相当遅れたことと重います。20~30年か、もっと長く続いたかもしれません。なぜなら、アメリカは、デフレであっても、リフレ政策をするという考えは全くなかったからです。戦争により、戦時国債を乱発することによる結果としての金融緩和、戦争を遂行するため、大量の兵士に給料を支払い訓練して、兵器・要員を大量に生産、戦地まで運ぶという事業による結果としての積極財政がリフレ政策と同じような効果をだしたため、ようやくデフレから脱却できたのです。

そもそも、深刻な世界恐慌から敗戦国の日本が世界で一番先に脱却していたという事実は、アメリカなどの戦勝国からすれば、とても容認できないことだったと思います。実は、戦勝国よりも敗戦国である日本のほうが、知恵があり、経済的には優れていたなどという事実はあまり公にしたくない事実だったと思います。

そのためか、戦後の教育の基本は、ソ連のコミンテルンが大勢を占めた、アメリカGHG(事実です、GHQの構成員のほとんどはソ連のスパイか、馬鹿のいずれかでした)によって創られたこともあり、この事実は日本では学校でもあまり教えられることもありませんでした。しかし、私たち日本人は、この事実を日本の英知を示す素晴らしい一つの事例であることをしっかりと記憶にとどめるべぎです。特に政治家・官僚、政策担当者、マスコミの特に経済記者の方々はその詳細まで含めて、学ぶべぎてす。

日本でも、政治家、官僚、政策担当者が、しっかり学んでいれば、15年間もデフレを放置するなどということにはならなかったはです。過去を学ばない、ないがしろにする者には創造性は育まれせん。

それは、アインシュタインの言葉でも理解できることです。これについては、以前のこのブログても掲載したことなので、以下にそのURLを掲載します。
BOOK REVIEW 『これからの思考の教科書』- ビジネススキルとしての思考法を順を追って学べる良書―【私の論評】常に革新的であるために、一つの思考方法に凝り固まるな!!アインシュタインと菅総理大臣から真摯に学ぼう!!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にアインシュタインの発言などを抜粋して掲載します。
このことを端的に示しているのが、アインシュタインです。アインシュタインといえば、あの相対性理論で有名です。特にその中でも、「E=MC2」という式は、統合的思考の産物です。わずか、この一行の式の持つ意味はまるで、広大な宇宙のようです。 
こうした、アインシュタイン自身が自分の業績について語った言葉が印象的です。「私の理論は、すでに先人がそのほとんどすべてを開拓したものです。私が付け加えたのは最後のほんの!%程度くらいにすぎません」。これは、かなり、謙遜した言葉と受け取られるかもしれません。しかし、真実です。 
アインシュタインは、先人が開拓した物理の理論を情報として、徹底的に、頭の中にインプットしたのだと思います。そうして、そこから、様々な知識を生み出し、その過程で、無論、論理的思考と、水平的思考を駆使し、最後の最後で、統合的思考方法を適用して、壮大な理論を「E=MC2」という、単純な公式としてまとめあげたのです。わずか、!%といいながら、その1%は、偉大であり、人類の金字塔となったのです。
アインシュタインは、科学の分野の人であり、先人が開拓した物理の理論を情報として、徹底的頭の中にインプットしました。金融、経済でも同じことです、高橋是清の実施した事柄や、ケインズなどの理論については、政治家や政策担当者は真摯に勉強すべきです。

アインシュタイン

また、私たち一般人も、詳細までは知らなくても、歴史的事実として概要は知っておくべきものと思います。そのようなことが実際に実行されていれば、デフレが15年も続くだとか、来年の4月に増税するなどのことはなかったものと思います。

一人のリーダーだけがそのような姿勢であっても、世の中は変えられません。大勢の人がそのようにしなければ、馬鹿なことはこれからも何度となく繰り返されると思います。私は、安倍総理は過去を真摯に学んでおり、本当は増税などしたくなかったのでしょうが、自民党の中でも、過去の歴史を学んでいる人はほんの一握りであり、それに抗って増税を見送った場合には、安倍長期政権は実現することはかなわず、結局は大事を成すチャンスすらなくなってしまうので、妥協せざるを得なかったのだと思います。残念なことです。平成15年の総裁選には是非勝利をおさめて、これから馬鹿なことが繰り返されないよう頑張っていただきたいものです。

アインシュタインのいうように、日本の過去の政策担当者らが、高橋是清などの先人の研究を徹底的に調べ、それに何らかの新しい1%の新しいことを付け加えるようなことができていたら、デフレになるどころか、今頃日本は大躍進していたかもしれません。

結局、過去を学ばず、ないがしろにする者には創造性は育まれず、馬鹿の壁をさらに高くするだけなのだと思います。何事においても、過去の歴史を真摯に学び、それに新たな1%を付け加えることができたら、天才になれるということかもしれません。ただし、その1%が難しいということだと思います。しかし、その前にまずは、過去の歴史を真摯に学ばない者には、何も新しいことはできないということです。

過去を学ぶ手段としては、何も社会科学、自然科学を学ぶだけではなく、歴史や文学などもあります。この分野もある程度は齧らないと、馬鹿の壁がさらに積みあがるだけになります。読書にはこうした役割もあるということです。どんなに科学が発展したといっても、人間の生きている時間など限られており、生きているうちに自ら直接体験できることなどたかが知れています。古今東西の先達の考えたこと、感じたことなど学べば、自ら直接体験できないことにまで視野は広がります。視野の広がりが、馬鹿の壁を崩してくれます。しかし、そのようなことをしない人は、馬鹿の壁をうず高く、積み上げて馬鹿な人生を送り、一生を終えることになります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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