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2019年5月8日水曜日

中国、1年間で1000万人が失業 天安門の再来を事情通懸念―【私の論評】平成の始まりに起きた、この事件を風化させるな(゚д゚)!

中国、1年間で1000万人が失業 天安門の再来を事情通懸念

あの悪夢が繰り返されるのか

中国の今年1~3月期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.4%増だった。これは、28年ぶりの低成長だった昨年全体の経済成長率の6.6%を下回る結果となり、中国経済の減速傾向が鮮明になった。これに伴い、中国では昨年1年間で約1000万人が職を失うなど、今後も失業ラッシュが続くことで、中国各地で激しい労働争議が発生することが予想される。

中国では昨年7月からトランプ米政権が対中貿易赤字の拡大を理由に、中国からの輸入品への関税を増額するなど米中貿易戦争が勃発しており、中国経済に大きな打撃を与えている。

中国国家統計局が1月21日に発表した2018年のGDPは実質で前年比6.6%増だったが、成長率は2017年から0.2ポイント縮小し、天安門事件の影響があった1990年以来28年ぶりの低水準となっている。

このため、中国では対米輸出の比率の高い製品を製造している企業が影響を被っており、圧倒的な人気を誇ってきた米アップルのiPhoneの売れ行きに急ブレーキがかかっている。「世界のiPhoneの半分超を生産する」(中国メディア)といわれる河南省鄭州の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業グループでは、出稼ぎ労働者が増える繁忙期は従業員が40万人を超えるといわれるが、今年に入って、5万人規模の労働者を前倒しでリストラしたと伝えられる。

今後も米中間の貿易戦争が激しくなれば、さらに失業者が増えるのは必至だ。中国国家統計局の調査では、中国の貿易産業で働く労働者は昨年下半期で、全体の2分の1が解雇されており、中国農業農村省は「740万人の農民工(出稼ぎ農民)が地元に戻った」と発表。

さらに、中国の経済ニュース専門サイト「財新網」は昨年11月、「国内雇用低迷のため、202万件の求人広告が消えた」と報じたほか、「網易」も同時期、「今年上半期国内504万社が倒産、失業者数200万人超」との見出しを掲げた記事を配信した。

『習近平の正体』の著書もあり、中国問題に詳しいジャーナリストの相馬勝氏はこう指摘する。

「失業率の上昇で、労働者デモの激化など社会が不安定になり、その結果、中国共産党への信頼感が薄れれば、中国共産党による一党独裁体制が揺るぎかねない。習近平国家主席はこれを極めて恐れており、何とか米中貿易戦争の激化を回避したいと思っているのはやまやまだが、特効薬はいまのところ見当たらず、このままでは習近平最高指導部体制の存続も懸念される事態となることも予想される。今年の6月4日は天安門事件の30周年記念日だが、まさに早晩、天安門事件の再来も否定できないだろう」

【私の論評】平成の始まりに起きた、この事件を風化させるな(゚д゚)!

上の記事で今年は、天安門事件の30周年記念日と述べています。このブログでは過去においては天安門事件について取り上げたこともありますが、ここしばらくは取り上げていませんし、また掲載の仕方が、どちらかといえば、ある程度知っていることを前提としてとりあげているところがありました。

現在は、平成も終わり令和の御世となりました。思い返してみると、天安門事件は平成の始まりと重なります。平成元年、1989年を振り返ると、その年の6月4日に中国で天安門事件があったことを忘れてはならないでしょうあれほどの大事件も、中国国内では未だに全く報道されず、ネットでも検索できません。日本でも風化しているところもありますので、以下に簡単に解説します。

天安門事件とは。きっかけは胡耀邦の追悼集会

1989年4月15日、胡耀邦元総書記が心筋梗塞のため亡くなります。北京にある天安門広場では、学生らによって追悼集会が開かれました。

1989年4月15日の胡氏の死去を悼んで学生や民衆が天安門広場で行った
追悼活動。これが、同年6月4日の天安門事件のきっかけとなった

この集会は、胡耀邦を解任した最高指導者、鄧小平への抗議活動の意味合いも含んでいました。追悼集会は徐々に形を変え、中国独裁体制を否定し、民主化への移行を求めるものになっていったのです。

集会はヒートアップし、デモへと発展していきます。この動きを察知した中国共産党は、戒厳令を布き、デモの鎮圧のために警察ではなく軍隊を動員。無差別に発砲をし、強引に鎮圧しました。

この事件は、当然世界から猛烈な批判を浴びることになります。

現在でも中国共産党は、天安門事件に関するあらゆる検閲をおこなっており、中国国内ではこの件についてインターネットで調べることすらできない状態です。

ではこの事件が起こった原因は、どのようなものがあるのでしょうか。

天安門事件が起こった原因

発端は、亡くなった胡耀邦元総書記の追悼をするために、学生たちが天安門広場に集まってきたことでした。

学生のなかには中国共産党による独裁体制を快く思っていない者もおり、独裁体制を打破すべしといったような強硬派もいたのです。彼らが声高に独裁体制打倒を叫び、追悼集会は反体制派の集会と化しました。この動きは北京だけでなく、西安や南京などにも広がっていきます。


当時の天安門での抗議活動の動画

ここまでなら、彼らを解散させて穏便に収めることができたかもしれません。

しかし「人民日報」という中国共産党の機関紙が「旗幟鮮明に動乱に反対せよ」という社説を一面に掲載します。ここには学生たちの活動を「動乱」と位置づけ、共産党の指導に反するため断固として反対しなければならないという内容が記されていました。

これに学生たちが猛反発し、ハンガーストライキといった過激な行動に出るようになりました。以降、中国共産党の高官が話し合いをしようとしても、学生側は拒否します。

そして、しびれを切らした中国共産党が実力行使に出たのです。

天安門事件の死者数は?

中国共産党の公式発表によると、死者は学生や軍を合わせて319人とのことですが、一説ではそれよりもはるかに多い3000人とされています。

日本でも一斉に天安門事件を報道しましたが、各新聞紙でばらつきがありました。たとえば読売新聞は「死者3000人以上」、毎日新聞は「死者2600人かそれ以上」、朝日新聞は「死者2000人、負傷者5000人以上」といった具合で、正確な数は把握しきれていません。

英国で2017年に公開された外交文書によると、中国当局が民主化運動を弾圧した1989年の天安門事件で、中国軍が殺害した人数は少なくとも1万人に上ると報告されていることが明らかになっています。

「1万人」という人数は、当時のアラン・ドナルド駐中国英国大使が1989年6月5日付の極秘公電で英国政府に報告したものです。大使は、「中国国務院委員を務める親しい友人から聞いた情報を伝えてきた」人物から入手した数字だと説明しています。

国務院は中国の内閣に相当 し、首相が議長を務めます。

天安門事件の死者数はこれまで、数百人~1000人以上と、様々に推計されていました。

中国国内でもこの事件をひた隠しにするため、追加調査はおそらくおこなわれないでしょう。

天安門事件の犠牲者

情報が錯綜していますが、いずれにしても319人よりはるかに多い、というのは間違いないです。

天安門事件の真相

鄧小平(左)と趙紫陽(右)

事件当時、中国共産党内には鄧小平と趙紫陽という人物がいました。趙紫陽は総書記でしたが、実権を握っていたのは発言力の大きい鄧小平でした。

当時の共産党内には、共産主義を徹底しておこなう鄧が率いる長老派の存在があり、天安門事件を利用して政敵の排除を狙っていたようです。

ここでいう政敵というのは、趙紫陽のことです。共産主義の枠を超えた経済政策を打ち立て、若者から人気のあった趙は、伝統的な共産主義を維持したい長老派からは厄介な存在として認知されていました。

天安門事件の発端となるデモが起こった時も、趙は平和的な解決を模索し、積極的な話し合いをしていました。しかし学生のなかには過激な意見を持つものもいて、話し合いはどれも決裂しています。

鄧はこのデモを反社会的行動とみなし、軍隊によるデモの強制解散を実行します。趙は武力弾圧に断固反対しましたが、鄧は趙の役職をすべて解任して軟禁状態にし、大虐殺が実行されました。

天安門事件というと民主化デモの弾圧に目が行きがちですが、中国共産党内の政権闘争という側面もあったのです。

天安門事件を報道する当時の朝日新聞

今年は30周年ということもあって、習近平指導部は年初から人権派弁護士や中国に残っている民主化運動活動家を多数拘束しているようです。

香港メディアによると、民主化活動家の陳斌氏も逮捕されたといいます。同氏は2016年6月、天安門事件で戦車の前に立ちはだかった学生運動指導者の姿を描いた酒瓶のラベルを作り、白酒(焼酎)の瓶に貼りつけて配ったところ、社会の治安を乱したとの容疑で逮捕されました。この4月には裁判で懲役3年半の実刑判決が下されたといいます。

このほかにも、大学では学生らが不審な活動をしていないかを互いに見張り合い、怪しい動きをしている学生の密告を奨励していると伝えられています。こうした状況から、中国指導部は民主化運動の再燃を強く警戒しているのは間違いないです。

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2016年3月5日土曜日

【中国全人代2016】李克強首相が「改革」を70回連呼 標的は「ゾンビ企業」だが600万人失業、社会不安の恐れも―【私の論評】中国は『中所得国のわな』から抜け出せず国家自体がゾンビ化してしまう(゚д゚)!


開幕した全人代で政府活動報告を終えて拍手する中国の李克強首相=5日、北京の人民大会堂

習近平政権が初めて独自策定した中国の新たな中期経済政策「第13次5カ年計画(2016~20年)」は、年平均6・5%以上の安定成長を続けながら、国有企業の統廃合や人員整理など、痛みの伴う構造改革も断行するという「新常態(ニューノーマル)」入りを内外に改めて宣言した。

李克強首相は5日の開幕式に約2時間かけて読み上げた「政府活動報告」の中で、「改革」というキーワードを70回近く使った。

構造改革の過程では、石炭や鉄鋼など、過剰な生産や在庫の重圧で赤字続きにもかかわらず生き延びている「ゾンビ企業」で600万人もの失業者が出ることが予想される。失業対策など社会保障が後手に回れば抗議デモが頻発、社会不安が増大する懸念がある。

ただ、改革を先送りすれば経済失速という決定的な事態を招きかねない。中国共産党は、20年を目標年度として国内総生産と国民平均所得の「倍増計画」を打ち出している。21年に成立100年を迎える党の威信がかかるが、公約を果たさねば習政権の「正統性」まで問われる恐れもある。

しかし、構造改革で最大のヤマ場となる国有企業のリストラ策が、北京の中央政府からの命令ひとつで順調に進むとはかぎらない。

鉄鋼、石炭、ガラス、セメント、アルミニウムの5業種が「ゾンビ企業」の代表格。工場閉鎖などリストラ計画をまとめる中で、地元の国有企業が標的になると、資金を支援しあっている周辺地場企業も共倒れになるとの懸念があり、地方政府は早くも及び腰だ。

中国で流通していたゾンビ肉(40年前に冷凍された肉)


解雇などで生じる大量の失業者への社会保障が後手に回ると、真っ先に不満がぶつけられる先は地方政府だ。構造改革の痛みに耐えるどころか、社会不安が一気に広がる懸念もある。

これに対し、財政省の予算案では、「過剰生産能力の解消に全ての責任を中央政府が負う」として、16年は500億元(約8750億円)を計上した。構造改革の痛みをめぐって、「新常態」で攻めの姿勢の中央政府と“旧態依然”で抵抗する地方政府の対立が表面化する場面も予想される。

李氏は、「(途上国から先進国に脱皮する前に成長が足踏み状態となる)『中所得国のわな』を克服する重要な5年間だ」と指摘した。周辺国へのインフラ輸出や国内の個人消費拡大が次なる成長戦略だが、「わな」に陥らない保証はなく、前途は多難だ。

【私の論評】中国は『中所得国のわな』から抜け出せず国家自体がゾンビ化してしまう(゚д゚)!

李克強氏が全人代で語った『中所得国のわな』は『中進国のわな』ともいいこのブログでも掲載したことが何度かあります。その代表的な記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】人民元のSDR採用後の中国 一党独裁と社会主義体制で困難抱えて行き詰まる―【私の論評】中間層を創出しない中国の、人民元国際通貨化は絶望的(゚д゚)!
中国人民元のSDR構成通貨入りを発表する
IMFのラガルド専務理事=11月30日、ワシントン
この記事は、昨年12月のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、『中進国の罠』に関する部分のみ以下にコピペします。
中国が、一人当たり国内総生産(GDP)1万ドル前後で経済停滞に陥るという「中進国の罠」にはまりかけているのも懸念材料だ。一般論として、中進国の罠を超えるためには、大きな構造改革が必要であるが、そこでも中国の体制問題がネックになる。 
中国は、当面AIIBによって「人民元通貨圏」のような中国のための経済圏を作りつつ、国有企業改革などを行ってTPPなどの資本主義経済圏への段階的参加を模索するとみられる。しかし、一党独裁体制を捨てきれないことが最後までネックになり、行き詰まるだろう。
・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・ 

中国が今の一党独裁を継続していては、高橋氏がブログ冒頭の記事で、指摘していた、「中所得国の罠」に陥る可能性が大というよりも、もうその罠に完璧に落ち込んでいます。 
中所得国の罠の模式図
「中所得国の罠」とは、多くの途上国が経済発展により一人当たりGDPが中程度の水準(中所得)に達した後、発展パターンや戦略を転換できず、成長率が低下、あるいは長期にわたって低迷することをいいます。 
この「中所得国の罠」を突破するのは結構難しいことです。アメリカを別格として、日本は60年代に、香港、シンガポールは70年代に、韓国は80年代にその罠を突破したといわれています。ただし、アジアでもマレーシアやタイは未だに、罠にはまっています。 
中南米でも、ブラジル、チリ、メキシコも罠に陥っていて、一人当たりGDPが1万ドルを突破してもその後は伸び悩んでいます。 
政治的自由と、経済的自由は、表裏一体であり、経済的自由がないと、IMFのような国際機関の提言は実行できません。経済的自由を保つには、政治的自由が不可欠です。
これに関しては、このブログでも表現は異なるものの、過去に何度か掲載してきました。

現在のように、一握りの富裕層が経済活動をするというのであれば、いずれというか、もうすでに中国はそうなのですが、経済発展には上限があり、それ以上は伸びることができなくなり、それこそ、「中所得国の罠」にはまってしまうのです。

中国の場合確かに、国全体としてのGDPは大きくなりましたが、それにしても、一人あたりのGDPは、まだ日本の1/10程度であり、まさに中進国の下の部類です。さらに憂うべきことは、中国がGDPを伸ばしてきたにもかかわらず、個人消費は伸びることなく、現在ではなんとGDPの35%に過ぎません。

これは、米国は70%、日本を含める先進国では、60%台であることを考えると、中国はあまりにも低いです。

中国が中所得国の罠から脱して、さらに経済発展をするということになれば、個人消費をもっと増やす必要があります。そのためには、現状のように、一握りの富裕層と、その他大勢の貧困層という状況を改め経済的中間層を創りだす必要があります。

そうして、この中間層が、社会・経済的に活発に活動できるための、基盤を整備する必要があります。

基盤を整備するためには、現状の中国ではほとんど実現されていない、民主化、経済と政治の分離、法治国家化は欠かせません。まずは、これができなければ、何も進みません。他の中進国が「中進国の罠」に嵌っているのは、結局これができないからです。

結局、中国に限らず、一党独裁が最後に障害になるのです。そう考えると、中国の外患内憂はそう簡単に解決しないことでしょう。
ブログ冒頭の記事を見ていても、「ゾンビ企業」をなんとかしようとしているのは、わかりますが、その手段がはっきり示されていません。

先日、NHK クローズアツプでも、中国がゾンビ企業をなんとかしようとしていることが報道されていましたが、そのとき報道されていた内容も、ITで個人起業家やサービス業の起業家を増やすようなことが報道されていましたが、政府としては奨励したり、奨励金を出したりする程度です。

河北省唐山のゾンビ企業の敷地に積み上げられた鉄鋼製品
この程度のことで、本当の意味での構造改革ができるとは到底思えません。今回の中国の不景気は構造的なものであり、中国の現状の社会や経済を根本的に変えるないとなかなか達成できるものではありません。

それに、いきなり構造改革をしようにも、ただゾンビ企業を潰すだけでは、何の解決にもなりません。まずは、経済対策を打ちながら、時間をかけながら構造改革を行っていくべきでしょう。

やはり、キーワードは、上でも示したように、ある程度の民主化、経済と政治の分離、法治国家化を避けて通ることはできません。

これらがある程度以上確保されていなければ、中間層が自由に社会・経済活動を活発化させることはできません。先進国がなぜ先進国になれたかといえば、先進国がこれらを他の国々に先駆けてこれを実施したからです。

日本は、立ち遅れていましたが、明治維新によって、これを実行し、遅ればせながらも先進国に仲間入りすることができました。

これを実行するために、日本もそれなりの犠牲を強いられました。幕藩体制崩壊による、武士階級の崩壊です。

このような犠牲を出しながらも日本が明治維新以降様々な改革を行ったのは、当時の先進国、いわゆる列強に負けて植民地化されることを避けるためです。

とにかく、当時の先進国では、他国に先駆けて、民主化、経済と政治の分離、法治国家化を成し遂げました。なぜ、そうしたかというと、これからが実現できなければ、経済力をはじめとする国力を増すことには限界があったからです。

しかし、イギリスなどが先んじてこれを実行し、国力を増したため、近隣諸国もそれに負けることはできず、追随した結果、いわゆる西欧の列強が生まれたのです。いわゆる西欧列強は、他国の国民に対してはそうではないどころか、弱小国を次々と植民地化するなど、暴虐の限りをつくしたのですが、国内ではこの原則を貫いたため、強力な国家をつくり上げることに成功しました。



日本は、西欧列強による植民地化されるという脅威から日本を守るためと、国の力を増すため、明治維新をなしとげ、その後も改革を続けて、先進国に仲間入りすることができました。

そうして、いわゆる発展途上国から、先進国に転身したのは、世界で日本だけです。それ以外の例外はありません。逆に先進国の地位から、発展途上国に転身したのは、世界でアルゼンチンだけです。

しかし、これを今の中国で実施するとなると、それこそ、中国共産党中央政府の統治の正当性が毀損されてしまう可能性が大です。

天安門事件を起こした頃と何も体制が変わっていない、今の中国がやすやすと民主化することはあり得ないでしょう。政治と経済の分離についても、今の中国では政治と経済が不可分に結びついており、完全に分離するのは到底無理です。人治国家である中国では当然法治国家化も無理です。

そうなると、中国もやはり『中所得国の罠』からぬけ出すことはできないということです。この先中国がこの罠から抜け出すことができるとしたら、現在の中国共産党中央政府が崩壊した時です。それ以外にはあり得ないです。

いずれにせよ、今のままでは、今後中国は図体がでかいだけの、凡庸なアジアの一独裁国への道をまっしぐらに進むしかありません。そうして、世界的にあまり影響力を持たなくなった中国においてても、あいかわらず、性懲りもなく国内の権力闘争は続けられていることでしょう。

なぜなら、中華思想の持ち主である彼らにとっては、世界の中心は中国であり、対外的なことよりも、国内の情勢が優先するのが当たり前だからです。彼らにとっては、尖閣問題な南シナ海のことですら、国内の権力闘争などの情勢と強く結びついているのですから。

そうして、気づいた頃には、国営企業だけではなく、国家そのものがゾンビ化していることでしょう。

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