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2019年11月12日火曜日

実弾発砲、催涙ガス…香港騒乱さらに泥沼化 中国武装警察も本格介入―【私の論評】香港擾乱は「死のハイウェイ」のインパクトに匹敵!中共は「潮時」をわきまえないと滅びの道を歩むことに(゚д゚)!

実弾発砲、催涙ガス…香港騒乱さらに泥沼化 中国武装警察も本格介入


香港のデモが泥沼化している。「逃亡犯条例」改正案を発端に抗議活動が続くなか、警官が実弾を発砲、21歳の男子学生が重体となった。金融街にも催涙弾の白煙が立ちこめ、香港株は暴落した。専門家は中国の習近平政権の鎮圧が一段と強化されると指摘、武装警察に加え、人民解放軍が介入する恐れもあると警告する。

香港島東部・西湾河の地下鉄駅前で11日、道路に障害物を置くなど抗議活動を行っていた若者と黄色いベストを着用した警官がもみ合いとなり、そこに近づいた黒シャツ、マスク姿の男子学生が、1メートルも満たないような至近距離で警官から発砲を受けた。

撃たれた男性は腹部から流血したが警官は手当てをする様子もなく、荒々しくうつぶせに拘束。別の若者が近づいた際にも2発撃った。

報道によると、男子学生は集中治療室(ICU)に入り、緊急手術を受けた。銃弾は脊髄付近に届き、肝臓や腎臓の一部が傷ついたため切除したという。

発砲による負傷者は10月の2人に続き3人目だが、香港警察は「脅威を感じたため発砲した。事前に警告する時間はなかった」と正当性を主張。林鄭月娥行政長官も「暴力行為を社会全体が厳しく非難すべきだ」と同調し、今後も厳しく取り締まる方針を表明した。

評論家の石平氏は「今月に入って林鄭長官は、習主席と面会し、長官への“信頼”という名の圧力をかけられた。そのため香港に戻った後、鎮圧がエスカレートしている。もはや市民と政府との関係は修復できないだろう」と解説する。

自由経済都市としての香港も失われつつある。銀行や証券会社が集まる金融街セントラル(中環)では白い催涙ガスが立ちこめ、スーツ姿の会社員ら大勢の市民が逃げ惑った。

■香港株は暴落

11日の香港株式市場でハンセン指数は2・62%下落。1日当たりの下げ幅としては過去3カ月で最大となった。

ネット上には、1人の市民を4人ほどの警官が取り囲み、警棒で袋だたきにする様子や、バイクに乗った警官が市民を意図的にはねようとする映像も投稿されている。



前出の石平氏は「習政権の体制維持のために、市民と香港そのものが二重の意味で“殺されている”。中国の武装した公安警察が香港警察に入り込んでおり、今後、鎮圧の規模を拡大させるだろう。それでも国際社会が無視し続けるのならば、最後は人民解放軍が市民を襲う恐れもある」と指摘した。

第二の天安門事件の現実味が日に日に強まっている。

【私の論評】香港擾乱は「死のハイウェイ」のインパクトに匹敵!中共は「潮時」をわきまえないと滅びの道を歩むことに(゚д゚)!



香港の様子は、サイトの動画等で今何が起こっているのかがよくわかります。これらの、動画は世界中に拡散されています。

これによってどのようなことが起こるのか、考えてみたいと思います。これらの動画が与えるインパクトは相当なものです。

私が、これらの動画を見ていて思い出したのは、28年前、戦争史上最悪の大虐殺のひとつと言われた、クウェートの町から32キロ西にあるイラクのハイウェイ80で起きた奇襲攻撃のことです。

多国籍軍が数キロの長さに渡って渋滞に掴まった車両を軍民問わずに爆撃したこの道路は後に「死のハイウェイ」称されました。下にショッキングな写真を掲載します。

死のハイウェイで撮影されたイラク兵の焼死体


この写真は、最初は多くの人々から公表するのは、残酷すぎると見なされていましたが、後に最初の湾岸戦争の最も有名な画像の1つになりました。この写真はケン・ジャレックにより撮影されました。

おそらく、爆撃で焼死したイラク兵だと思われます。非常に残酷で恐ろしい写真ですが、この一枚が湾岸戦争の実体を物語っていると思います。

当時はまだ、サイトや動画などは一般的ではありませんでしたが、それでも多くのテレビ局が連日のように、報道したので、多くの人々が「死のハイウェイ」を視聴したと思います。私が一番印象に残ったのは、この「死のハイウェイ」に、お人形が放置されていた画像でした。その画像を探してみたのですか、みつかりませんでした。あまりに衝撃的だったので、削除されてしまったか、最初からサイトには掲載されていないのだと思います。

湾岸戦争中の1991年2月26日~27日(シリア2月27日午前0時)にかけての夜、一時停戦を受けて多くのイラク兵や民間人がバグダットへ向けて引き揚げていました。ところが、ジョージ・H・W・ブッシュ(父)大統領が撤退中のイラク軍を徹底的に一掃するよう米軍に命令したのです。

多国籍軍の戦闘機が非武装の車の列を襲撃し、先頭と最後尾を破壊して身動きがとれないようにしました。そこへ長時間にわたって次から次へと空から攻撃を繰り返し、この大虐殺が終わったときは、徹底的に破壊しつくされた2000台の車両と、数万のイラク兵の無残な黒焦げ遺体が何マイルにもわたって残されていました。

死のハイウェイ

のちにここは「死のハイウェイ」として知られるようになりました。バスラに続く別のハイウェイ8号にもさらに数百の残骸が累々としていて、このふたつの道路の惨状は、湾岸戦争のもっとも象徴的なイメージとなりました。

この前日、バグダッドはイラクの外相がロシアの停戦提案を受け入れ、国連の議決案に従って、すべてのイラク軍にクウェートから撤退するよう命令したとラジオで伝えました。

ところが、ブッシュはこれを信じず、イラク軍が撤退している証拠はないと返答し、彼らはまだ戦いを続けているので、戦争を続行するとしました。翌日、イラクのフセイン大統領は自ら、ラジオを通してふたつのハイウェイで撤退は始まっており、この日のうちに完了すると伝えました。それでもブッシュは、フセインのこの声明をまったくのでっちあげだと決めつけました。

イラクの降伏と戦場からの撤退を受け入れるどころか、米国にとって不利になりかねない危険な決定を下しました。ブッシュと米軍は、ただひたすらできるだけ多くのイラク人を殺すという暴挙に出たのです。

爆撃は真夜中近くに始まり、まず、米軍とカナダ軍の戦闘機がイラク軍の車の列の先頭と最後尾を攻撃し、隊列が進むことも引くこともできなくさせておいて、集中的に爆撃を繰り返しました。米中央軍の最高司令官は、ブッシュ陣営からひとりもクウェートから出すなという命令を受けていました。

ハイウェイから逃げ出した車両は、一台残らず執拗に追いかけられて破壊されました。降参して非武装のイラク兵たちですら、砲火を浴び、生き延びることができた者はひとりもいなかったと言われています。

「トラックの運転席は激しい爆撃で地面にめりこんでいた。運転手がいたのかどうかすらわからない。フロントガラスは溶けて、大きな戦車がただの破片と化していた」レバノン系アメリカ人ジャーナリスト、ジョイス・チェディアックは書いています。

「撤退しているイラク軍兵士たちを虐殺したことは、民間人および戦闘行為から離脱した戦闘員や捕虜の保護するために結ばれた1949年のジュネーブ条約に違反している。イラク軍は米軍にクウェートを追い出されたわけではなく、再び武装して戦うために退却していたわけでもない。ただ撤退して、家に帰ろうとしていただけだ。このような状況で、ただ国に帰ろうとしている兵士を攻撃するのは戦争犯罪だ」

「ベトナムでさえ、こんなことは起こらなかった。あまりにもひどい」と言うのは、軍諜報部のボブ・ニュージェント少佐。

「この事件でもっとも醜い面は、これが隠蔽されていたことだ」マルコム・ラガーチェは書いています。このことが『ニュースデイ』(ニューヨークの新聞)にすっぱ抜かれたとき、誰もが驚きました。米上下両院軍事委員会によると、ペンタゴンはこの攻撃の詳細を委員会に秘密にしていたといいます。

ノーマン・シュワルツコフ将軍

メディアにもまったく違う話が伝えられていました。米指揮官はイラク軍は自発的に撤退したのではなく、多国籍軍によって戦場から追い出されたと思わせようとしたのです。4年後、ノーマン・シュワルツコフ将軍は、死のハイウェイで起こったことを正当化しようとしました。

「クウェートから北へ延びるハイウェイを爆撃した第一の理由は、ハイウェイ上に大量の軍装備品があったからだ。わたしはすべての指揮官に、イラクの軍装備をできる限り破壊するよう命令を下した。第二の理由は、この集団は一般庶民が国境を越えてイラクに戻ろうとしていたわけではなく、クウェート市内で暴行や略奪を繰り返していた凶悪犯、殺人者たちだったからだ。彼らは捕まる前に国外へ逃げ出そうとしていたのだ」

しかし、どんな言い訳をしたところで写真に残されたこの惨劇は当時の何がおきたかを赤裸々に物語っています。この爆撃は複数の国連監視団員によって、逃亡中かつ非戦闘中のイラク兵が激しい渋滞に掴っていたハイウェイで広範囲に渡って行われた計画的な爆撃であり、戦争犯罪であるとして引き合いに出されました。

 

ブッシュ(父)大統領は、この「死のハイウエイ」の画像を見て、湾岸戦争を終了させることを決定したと言われています。ブッシュ政権の中には、イラクに侵攻して、フセイン政権を打倒すべきと主張する人々もいましたが、あまりに凄惨な画像に「今が潮時」であると考え、停戦を決めたようです。

もし、米軍が「死のハイウエイ」の後も、戦争を継続していれば、米国に対する他国の非難もかなり高まったことでしょう。ブッシュも、湾岸戦争を遂行した人々も、責任を問われることになっていたかもしれません。

無論、現在の香港の出来事は、湾岸戦争よりは規模が小さく、爆撃や砲撃などが行われているわけでもありません。おびただしい死者がでているわけでもありません。

ただし、一ついえることは、その衝撃性においては、香港の暴動は、湾岸戦争に匹敵するということです。なぜなら、湾岸戦争のときは、ネットも手軽に動画を撮影できるスマホなどが発達していなかったため、今日の香港のようにリアルタイムに近いくらいに、現場を見ることができなかっからです。

「死のハイウェイ」に関しては、たしかに米軍の記録などに残ってはいますが、攻撃を受ける側のものではなく、攻撃する側のものであり、ネットなどで公開されているものも、薄ぼんやりしていて、あまりはっきりしていません。

ところが、今日の香港では、スマホなどでリアルに見ることができます。実際、先の動画にもあるように、若者が撃たれ倒れました。それを立たせようとする警察官の姿がはっきりと写っています。

このような生々しい画像は、湾岸戦争でもあまり見られませんでした。当時のカメラは、フィルム式でしたので、撮影した直後にそれを配信することはできませんでした。しかも、カメラ自体が高価であり、多くの人がそれを所有することはできませんでした。

そのため、当時は「死のハイウェイ」は、爆撃が終了した後ではじめて見ることができるものであり、爆撃を受けている側の視点で、爆撃を受けているまさにその時などは、見ることなどおよびもつきませんでした。

しかし、現在の香港では、多くの人が鮮明な画像・動画を撮影できるスマホを持っています。これらが、どこの現場でも、現場の香港警察の動向を写し、すぐに世界中に配信できるのです。

習近平も、林鄭 月娥(りんてい げつが、キャリー・ラム)も、このことを軽く見ていたかも知れません。

林鄭 月娥(りんてい げつが、キャリー・ラム)(左)と習近平

今までも、香港デモは生々しく全世界に配信されてきましたし、これからも配信され続けるでしょう。そうして今日の、青年を銃で撃ち、それだけではなく、その瀕死の青年を無理やり立たせようした警察官の姿は、多くの人々の心に、焼き付くでしょう。

香港の騒動は本来はもう、ブッシュ(父)が湾岸戦争を終結させるのを決意したときと同じく、「潮時」なのです。しかし、林鄭と習は、そのことに気づいていないようです。

習近平は、中国では建国以来、毎年2万件以上の暴動が発生していましたし、2010年移行は10万件以上も発生しているといわれていて、これらを鎮圧してきた実績があるので、香港もどうにでもなると考えているのでしょう。香港での暴動にも鈍感なのだと思います。それが、習近平や中共の命取りになるかもしれません。

香港には、多数の英国籍の人や外国人が存在します。さらに、表面上は香港人にしかみえず、実は外国籍という人も大勢います。これらの人々が、逐一香港の現在の状況を把握しているのです。そうして、それは無論海外にも拡散されていきます。このあたりが中国本土とは異なるところです。それを習近平はあまり理解していないようです。

林鄭は、習近平と会談して、結果として習近平にプレッシャーをかけられたため、なんとかしなければいけないと考えているのでしょう。

このまま、中国がさらに鎮圧を強化していけば、世界中からますます批判されていき、孤立することになるでしょうし、米国の対中国冷戦を正当化させ、冷戦は中国にとってますます過酷なものになっていくことでょう。

日本の安倍総理も、来年は習近平を国賓として招くとしていますが、これも「潮時」とみて、中止もしくは延期することになるでしょう。安倍総理も、ブッシュ氏と同等以上に「潮時」を心得ているものと私は思います。

ポンペオ米国務長官は8日、ドイツのベルリンで演説を行い、米中の対立について「米国と中国共産党政権の対立であり、平和を望む世界各国と中国共産党政権による全体主義の戦いである」と強調しました。

米国は冷戦の方向を単なる「貿易戦争」ではなく、中国共産党政権に矛先を向け、早期に共産党政権を崩壊させるかもしれません。現在の香港の問題は、それを正当化させるものとなるかもしれません。

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2016年6月30日木曜日

英EU離脱は自民に追い風 共産「暴言」は野党に逆風 浅川博忠氏参院選分析―【私の論評】なぜ民進は経済・安保で滅びの道を選ぶのか(゚д゚)!

英EU離脱は自民に追い風 共産「暴言」は野党に逆風 浅川博忠氏参院選分析

英国のEU離脱は参院選では与党に有利に・・・・
与野党激突の参院選(7月10日投開票)が過熱するなか、英国の欧州連合(EU)離脱という衝撃的ニュースが飛び込んできた。日本経済へのダメージが懸念されているが、選挙戦にはどんな影響を与えるのか。政治評論家の浅川博忠氏が政党別の獲得議席を分析・予測したところ、野党によるアベノミクス批判は不発ぎみで、逆に有権者は安定した安倍晋三政権の継続を望み、自民党がさらに議席を伸ばすという結果が出た。共産党幹部の「暴言」も与党優位に拍車をかけているという。

英国のEU離脱問題が、与党の優位を決定付けそうだ。浅川氏が最新のデータをもとに分析したところ、自民党に追い風が吹いており、改選議席(121)の過半数を確保することが明らかになった。

注目の獲得議席予測は別表の通りだ。浅川氏は昨年12月、今年2月、5月、公示日の6月22日にも予測を行っている。

 自民党は、浅川氏が22日に予測した60議席から2議席増やし、62議席に達した。一方、民進党が27議席、共産党が11議席となり、それぞれ公示時点よりも1議席ずつ減らした。

なぜ、こういう結果になるのか。

浅川氏は「英国のEU離脱を受けて、野党はここぞとばかりに、『為替や株価に依存した経済(政策)ではダメだ』(民進党の枝野幸男幹事長)、『アベノミクスは破綻した』(共産党の小池晃書記局長)などと批判しているが、有権者には、ほとんど響いていない。それは、野党にアベノミクスに代わる経済政策がないことを知っているからだ。むしろ、こういう不安定な国際情勢だからこそ、安定した政権与党の継続を望んでいる。野党の政権批判は空回り気味で、与党が不利になっているという状況ではない」と指摘した。

選挙中とはいえ、安倍政権の反応の早さも功を奏したようだ。

24日昼ごろ、英国のEU離脱が明らかになり、株価は大きく下落した。政府は同日午後、関係閣僚会議を開き、「必要なのは国際協調だ」(安倍首相)との姿勢を示した。自民党も同日夜、稲田朋美政調会長を本部長として緊急特別本部を設置した。緊急時の初動対応としては“基本動作”といえそうだ。

経済対策にも気を配っている。

安倍首相は前出の関係閣僚会議で、「世界経済の成長と金融市場の安定に万全を期す」といい、大型の2016年度第2次補正予算案を成立させる方針を示した。さらに、首相に近い下村博文総裁特別補佐が27日夜のテレビ番組で、注目の規模について「10兆円超」と語ったのだ。

円高の加速で日本の製造業が2兆円の減益に陥るとの予想が流れるなか、不安を最小限に抑えようと努力していることが伝わってくる。

野党の「敵失・自爆」も大きい。

共産党の藤野保史政策委員長が26日のNHK番組で、「防衛費=人を殺すための予算」と発言したことも、与党の追い風となっている。藤野氏は28日夜、発言の誤りを認めて引責辞任した。



浅川氏は「東日本大震災以降、国民の自衛隊への信頼は確実に高まっている。熊本地震で、救命・救出活動に当たった記憶も新しい。こうしたなかで、藤野氏の発言は決定的だ。あの一言で『とてもじゃないが、共産党を勝たせるわけにいかない』という空気が広がった。共産党と連携している民進党にも大ダメージだろう」と分析した。

藤野発言で、共産党が綱領に「日米安保の廃棄」「自衛隊の解消」を堂々と掲げていることも、改めて注目された。

民進、共産両党の低迷は、複数区の情勢に現れ始めている。一部の選挙区で、自民党が2議席を確保し、民進党と共産党が共倒れになる可能性が出てきたのだ。

「自民党は複数区での2人擁立を積極的に進めてきたが、党内には当初、共倒れを懸念する声も多かった。だが、情勢は完全に変わった。一部の選挙区を除けば、複数区での2議席確保が見えつつある」(浅川氏)

民進党の岡田克也代表の発言も、野党の勢いにブレーキをかけたという。岡田氏は26日、地元・三重県で記者団に「三重で(民進党候補を)落とすようでは代表の資格はない。次の代表選に出ない」と発言したのだ。結果が出る前に「敗北」に言及したことになる。



浅川氏は「本人は陣営引き締めのために言ったのかもしれないが、選挙戦の最中に、敗北を前提とした自身の進退に触れるとは、政治センスが疑われる。加えて、党内では『地元さえ勝てばいいのか』『地元で勝てば次の代表選に出るのか』と受け止められた向きがある」と指摘した。

投開票まで2週間を切ったが、有権者はどう最終判断するのか。

【私の論評】なぜ民進は経済・安保で滅びの道を選ぶのか(゚д゚)!

終焉の画家「ズジスワフ・ベクシンスキー」による絵画

民進党の支持が高まらない大きな要因のひとつは、経済政策が定まらない事です。

民主党(現民進党)は、一昨年の総選挙以来、安倍晋三内閣が推進する「アベノミクス」を真正面から批判するスタンスを取り続けていますが、馬鹿の一つ覚えのように、もっぱらアベノミクスの成果を否定するばかりで、自ら建設的な対案を出すことができていません。そんな「経済無策」に国民の多くがそっぽを向いているのです。

各種の世論調査を見るまでもなく、国民の関心事は「経済」です。日々の暮らしやビジネスに直結する足下の景気への対策から、将来の生活を左右する年金・医療・介護などの社会保障政策まで、政治への期待は大きいです。

昨年安全保障関連法を成立させた安倍首相が、間髪いれずに「経済最優先」を繰り返し、軸足を経済に再び戻す姿勢を見せたのが、それを端的に表しています。経済こそが国民の最大の関心事であることを安倍首相は理解しています。

ところが、民主党はアベノミクスをただただ批判する姿勢を変えていません。

民進党(当時民主党)は昨年安倍首相が、「就任以来、雇用を100万人増やした」と言えば、「増えたのは非正規雇用ばかりで格差は広がっている」といった具合に、相手の足を引っ張ることに専念しています。この専念ぶりは、今年も変わらず、批判のための批判を繰り返しています。そうして、格差拡大を強調し、再分配を強化すべきだという社会主義型の経済政策に大きく傾斜しています。

こうした民進党の唱える分配中心の経済政策は、もともと社民党や共産党の主張と重なります。アベノミクスを当初から徹底的に批判してきたのも両党です。法人減税で経済活動を活発化させることで、経済を成長させ、国民の所得を増やし、最終的には税収も増やそうというアベノミクス的発想には、共産党などは強く反対してきました。

内部留保を溜め込む大企業にもっと課税をして、それを原資に弱者に再配分すべきだ、というのが左派政党の典型的な主張です。

ところが、一昨年末の総選挙以降、民進党(当時民主党)は明らかにそうした分配型の政策志向を強めていました。そうなると、経済政策で見る限り、民進党と共産党に「違い」が見えなくなってしまいます。

もともと民主党議員の中には、自民党以上に経済改革志向の強い金子洋一参議院議員のような人たちがいます。たとえば、言うならば、アベノミクスよりもさらに先を行く議員です。しかし、民進党の幹部はこの人たちの主張に耳を傾けることはありません。

金子洋一参議院議員
民主党が政権を奪取できたのは、自民党の既得権を温存する政策を打ち壊し、改革を進めることを標榜したからだったはずです。政権獲得前の民主党政調では、公共事業の削減や公務員制度改革、郵政民営化の促進といった自民党ではできないと思われていた政策を掲げました。

こうした改革的な政策が国民の民主党への支持を呼び起こし、政権奪取へとつながったのです。

しかしながら、結局経済対策が全くうまくいかず、自民党政権の頃と大差がないどころか、金融政策や財政政策をおろそかにしたため、さらに悪化していきました。特に、財政政策においては菅政権のときに、自民党と結託して、増税を自民・公明・民主の三党合意で増税することを決めてしまいました。

元々民主党は、政権交代する前には、民主党が政権にあるうちは、増税はしないことを公約としていました。

ところが政権を取ると、掲げた改革は大きく後退し、増税を決めたり、自民党政権に引き続き、金融政策は疎かにしたため、経済はデフレスパイラのどん底に落ち込みとんでもないことになりました。

そうして自民党に「バラマキ」と批判されることになった再配分強化の政策ばかりが目立つようになりました。労働組合を有力な支持母体に持つという党組織の限界とも言えましたが、結局急速に国民の支持を失うことになりました。

民主党の金子洋一参院議員は昨年の4月にツイッターで、「日経平均、続伸し15年ぶり2万円乗せ。わが国経済のためにまずは喜ばしいこと。やはり債券を主に買い入れ、株式を含む実物資産に民間資金をシフトさせる日銀による金融緩和の力は大きかった。われわれが提言したとおり、民主党政権でこれをやっていれば、経済の回復はより早かった。残念だ」とつぶやいた。これには、私も全く同感です。

そもそも、デフレなどの不況のときには、大規模な金融緩和をするという政策は、EUなどでは労働組合などの左派が、労働者の雇用を改善する手段として、推進することを望む政策です。実際、金融政策と雇用は、フィリップス曲線として強い相関関係にあることが経験則として知られています。

以下に有効求人倍率の推移のグラフを掲載します。


このグラフをみれば、有効求人倍率が1以上の都道府県の数が過去最高になっていることがわかります。これは、アベノミクスの金融緩和によるもの以外にはその原因を見出すことはできません。

さらに、日本でも当然のことながら、短期的フィリップス曲線は、理論的にも実証的にも成立しています。それは、以下のグラフをご覧いただければ、一目瞭然です。


本来ならば、このような政策野党の民進党などが推進すべき政策です。しかし、今の民進党は、アベノミクス批判ということで、結局金融緩和政策まで否定しています。本来は、金融緩和政策を強力に推進するように主張すべきです。つい先日、日銀が追加金融緩和を見送った際には、猛烈に批判すべきでした。

さらに、増税に関しては当然のことながら反対すべきですが、民主党が政権交代をする前の公約を前面に打ち出し、もともとの党の精神に戻ることを宣言して、8%増税を撤回することを主張すべきでした。そうして、減税して消費税を5%にすることを主張すべきでした。

これは、元維新の党の共同代表であった、江田憲司氏もその著書『財務省のマインドコントロール』で増税する必要性がないことを主張していたので、民進党になってからも、これを主張し、減税論を主張すべきでした。

8%増税など、安倍政権の完璧な大失敗であり、本来ならば、民進党にとって与党攻撃のための良い材料であるにもかかわらず、岡田代表は奇妙なレトリックでこれを不意にしてしまいました。結局岡田代表は、消費税は10%に増税すべきであって、安倍総理は上げられる経済状況をつくることができなかったとして、批判しています。これでは、まるで敵に塩を送るようなものです。


経済政策については、民進党だけではなく、共産も社民党も似たようなものであり、結局頓珍漢で奇妙奇天烈であり、そもそもマクロ経済的には雇用が良ければ、他が駄目でも良しとするとか、他が良くても雇用が駄目であれば、良くないと判断するべきであるという基本的な観念がないのです。これでは英国EU離脱や、中国経済の低迷、新興資源国の低迷、アメリカの利下げなどの問題による経済の悪化などにとても対処できないと国民に判断されてしまいます。

終焉の画家「ズジスワフ・ベクシンスキー」による絵画

次に、日米同盟を強化する安保法制をめぐっては、予想通り極左集団が徴兵制だの戦争だの、法律が目指す方向とは真逆どころか、全く関連のない妄想をふりまいて国民を不安に陥れました。そうして、民主党まで徴兵制になるなどという奇妙な論理を主張していました。

民主党は、元々は社会党や共産党のような極左集団ではない、反自民の受け皿として期待されていたはずです。特に、共産主義イデオロギーとは無縁で、利権に囚われない都市のリベラルな有権者を支持層としていたはずでしたが、政権奪取後に極左勢力が支配的となり、国民の信頼を失なってしまいました。

それでも、民主党には共産党など極左集団とは違う現実主義的な面があると期待していた国民も多数いたと思います。しかし、昨年の安保法制審議の時には、民主党を含めた野党は、まるで明日にでも戦争が始まるかのような扇動を始め、現政権がすぐにでも自衛隊をどこかに送り込もうとしているかのような宣伝を繰り返していました。さらに、今回の参院選では民進党は野党共闘として、共産党と手をを結びました。

民進党は1人区で日本共産党などと野党統一候補を擁立した
安保法案反対派の主張は、包丁を購入した主婦を人殺し扱いするようなものであり、ジムで鍛える男性を強姦魔として邪推するようなものであり、消防車の放水訓練をデモ弾圧の準備と非難するようなものでした。地域の平和と安定のための日米関係の強化が、ある特定の人達には脅威と映ってしまうのでしょうが、真の目的には何も言及せず、ひたすらあり得ない事態の展開の妄想に浸った野党の主張と、マスメディアの報道によって、多くの国民が幻惑されました。

法案を政争の具に利用するのは良くあることですが、昨年の民主党の扇動はあまりに酷すぎでした。左翼的でありながら現実主義的であるというイメージもあった民主党が戦争だ戦争だと囃し立てたので、もともと反日指向のあるメディアとあわせ、国民が極左の妄想に毒される結果になってしまいまいました。

安保法制での自民党のつまづきは、予想されていたとは言え、あれほど酷いものとは思いませんでした。反対派の主張は「戦争法案」なる存在しない法案への妄想に基づく反対であり、少なくとも民主党くらいはある程度理性を働かせて行動するものと思っていましたのですが、そうではありませんでした。

あのすさまじい、騒ぎで昨年は幻惑されていた多くの国民も、あれからしばらくたって冷静さを取り戻したと思います。

そもそも、日本には、元々北朝鮮による拉致問題がまだ解決されていないとか、核開発や最近のミサイルの連発による脅威、尖閣諸島などに対する中国の脅威がありました。それに南シナ海の中国の脅威もあります。

護憲派は、憲法九条があったから、日本は平和を維持してこれたなどと言いますが、拉致問題を考えると日本が平和であったなどとはとても言えるものではありません。


昨年民主党などの野党は、「戦争法案」として安保法案が成立すれば、すぐにも日本が侵略戦争を開始するかのように煽りました。

しかし、現実には、日本が戦争をするなどということはあり得ず、戦争への脅威があるとすれば、中国や北朝鮮の危機です。

そうして、最近の中国軍の尖閣諸島への接続水域への艦艇の侵入や、つい先日もあった、東シナ海での自衛隊機に対する中国機の挑発などがあり、これは当然のことながら、参院選での重大争点となると思います。

そんなときに、民進党は未だに、「戦争法案」「憲法違反」を繰り返すばかりで、具体的な安全保障政策を打ち出そうとしません。そうして、日米安全保障条約の廃棄と自衛隊解消を唱える政党である共産党と野党共闘として1人区で日本共産党などと野党統一候補を擁立しました。

以上、経済と安全保障という2つの大きな政策に関して、何ら対案を出すことなく、ただただ安倍政権を批判するだけの民進党は、今回の参院選で大敗する以外道はありません。

私としては、本当は民進党は野党として十分働いてもらったほうが、自民党も驕り高ぶることなく、良い方向に動いていくと思います。

しかし、今のままの民進党ではとてもそうした役割を期待することはできません。いっそのこと、今回の参院選では上の記事で浅川氏が予想するよりも、酷い大惨敗を喫して、自分たちのやり方は何もかも間違いだったと納得して、新たな方向性を模索したほうが、結果として良いのではないかとさえ思っています。

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