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2008年7月28日月曜日

学校工事めぐり贈収賄容疑 北海道教委元幹部を聴取-すべてのシステムを性悪説にのっとり作り変えるべきか?

【大分県】金とコネ次第 教員採用汚職 20080707


最近地方自治体がらみの不祥事が多過ぎる。何とかして、防ぐ手立ては無いものかと思うが。民間企業の例を見習うべきだと思う。
学校工事めぐり贈収賄容疑 北海道教委元幹部を聴取
(すでに内容をご存知の方は読み飛ばしてたください)
(asahi.com 2008年7月28日15時1分)

北海道教育委員会が発注した釧路市の道立養護学校のボイラー改修工事をめぐって贈収賄の容疑が強まったとして、道警は28日、道教委の元幹部職員の事情聴取を始めた。業者の選定をめぐって釧路市の業者に便宜を図り、見返りに数十万円の現金を受け取った疑いが持たれている。道警は容疑が固まり次第、この元幹部を収賄容疑、業者を贈賄容疑で逮捕する方針だ。

道警の調べでは、工事は06年に発注され、受注額は約2300万円だった。道教委元幹部は当時、学校施設の発注業務を取り扱っていたが、受注した釧路市の業者とはかねて交友関係にあったという。

道警はすでに業者から任意で事情を聞いている。業者側は、入札をめぐって不正なやりとりがあり、元幹部に現金を渡したことを大筋で認めているという。金銭の受け渡しを記載した資料も任意提出しているという。

道教委側は「事情がわからずコメントできない」としている。

全てのシステムを性悪説を元に構築しなおすべき?
最近、この手の不祥事が相変わらず多いです。滝川市の、介護タクシーによる2億円にものぼる詐欺事件、大分県の教育委員会の教員採用試験における口利き、徳島県阿南市の阿南東部土地改良区で、元嘱託職員の約6億円にものぼる着服。特に、最近は地方自治体の不祥事が目立ちます。

このようなニュースを聞くと、人間性悪説をもとに、すべてのシステムを変更し、不祥事が2度と生じないようにすべきだなどと思ってしまいます。私も、これに近い考えを持っています。ただし、近いのであって、全くこれに賛同するわけではありません。

経営学の中にも、マクレがーという人が開発したX理論とY理論という考え方があります。この理論の定義を掲載します。

『X理論Y理論とは、1950年代後半にアメリカの心理・経営学者ダグラス・マクレガーによって提唱された人間観・動機づけにかかわる2つの対立的な理論のこと。マズローの欲求段階説をもとにしながら、「人間は生来怠け者で、強制されたり命令されなければ仕事をしない」とするX理論と、「生まれながらに嫌いということはなく、条件次第で責任を受け入れ、自ら進んで責任を取ろうとする」Y理論とがあるとその理論を構築している。

X理論においては、マズローの欲求段階説における低次欲求(生理的欲求や安全の欲求)を比較的多く持つ人間の行動モデルで、命令や強制で管理し、目標が達成出来なければ処罰といった「アメとムチ」によるマネジメント手法となる。

Y理論においては、マズローの欲求段階説における高次欲求(社会的欲求や自我・自己実現欲求)を比較的多く持つ人間の行動モデルで、魅力ある目標と責任を与え続けることによって、従業員を動かしていく、「機会を与える」マネジメント手法となる。

Y理論では、企業目標と従業員個々人の欲求や目標とがはっきりとした方法で調整出来れば、企業はもっと能率的に目標を達成することが出来ると示している。つまり、企業目標と個人の欲求が統合されている場合、従業員は絶えず自発的に自分の能力・知識・技術・手段を高め、かつ実地に活かして企業の繁栄に尽くそうとするようになると、マクレガーは指摘している』。

このX理論に従って、性悪説にのっとり、システムを再構築してしまうというのが先ほどの考え方です。

しかし、この考え方に経営学の大家ドラッカー氏は反対しています。氏によれば、そもそも、マクレガーの理論は、精神分析などを企業経営に転用したものであり、精神分析とは精神に異常をきたした人や弱い人間を対象とするもので、もともと企業活動におけるマネジメントなどを想定したものではないというのです。

最初から異常をきたしているか、弱い人を相手にする心理カウンセリングの方法を企業経営における、従業員と、その上司にあたる人間との関係に適用することは、間違いであるばかりでなく、傲慢ですらあるとしています。なぜなら、この方式では、職位が下のものは最初から弱いか、異常であるということを前提にしているからです。そうして、X理論、Y理論などは全く意味がないということも述べていました。

この内容を初めて読んだのは今から20年前ほどでした。そのときは正直言ってよく意味が判りませんでした。

ところが、最近の会社、特に上場企業の組織などを良く見ていると、なんとなくわかるようになってきしまた。皆さんは、最近の大企業の組織図を見ていて気づくことはありませんか?一昔前なら、なかったのに今は必ずある組織があります。それは「内部監査室」です。10年くらい前には、このような組織どこの組織図を見ていてもありませんでした。でも、今だと必ずあります。多少名称が違うこともありますが、「内部監査室」に相当する組織が必ず、どこの企業にもあります。そうして、全部が社長直轄となっています。

あまり、組織図を見慣れない人には、そのほかにも監査役会などがあったりして、何でこのような組織が必要なのか、ピンとこない人もいるかもしれません。

しかし、現在では、上場企業の場合「内部監査室」は必須といってもいいくらいの組織になっています。この組織、最初は金融機関からつくられました。その後に大企業に広がっていき、今では大部分の上場企業に存在します。

ご存知のように、金融機関では、少し前に「不良債権問題」があり、多くの銀行で、頭取があずかりしらない「不良債権」が山のようにあり、それを処理するのに大変な労力と資金が必要でした。そうして、このようなことが起こらないように、「内部監査室」をもうけるようにしたのです。

この内部監査室、内部統制を行う組織です。内部統制(ないぶとうせい、英:internal control)の定義をあげておきます『会社自らが業務の適正を確保するための体制を 構築していくシステムを指す。広義には、会社の存在の目的を果たすために経営者が整備するものである。また狭義には法律行為や財務報告における不正や誤り を防止するために経営者が主体となって整備するものである。具体的には、組織形態や社内規定の整備、業務のマニュアル化や社員教育システムの運用、また規 律を守りつつ目標を達成させるための環境整備、そして財務報告や経理の不正防止策があげられる。
コーポレートガバナンスは株主と経営者との間における仕組みだが、内部統制は経営者労働者との間における仕組みであり、業態や時代の変化とともに適確に変化させていく必要がある』。
なかなか、難しい定義です。もし詳しく知りたい方は他の参考書などで、調べてください。ここでは、話を先に進めます。さて、この「内部監査室」は、社長直結だというお話をしました。ここで、私ははたと先のドラッカーの話の合点がいきました。
内部統制とは、その性質上どうしても上で述べた「X理論」あるいは性悪説にもとづいた、ものになりがちです。これが、社長直結でなく、各部署などに織り込ませていたとしたらどうなるでしょうか?無論、監査部署の上に各部署の長がいるなどの監査上の不都合もあります。しかし、こうなると、通常のマネジメントの中にX理論あるい性悪説を持ち込まなければ成りません。だからこそ、社長直結の組織としたのだと思います。まさに、ドラッカーの考え方が息づいていると思います。
Ⅹ理論、性悪説など、通常の組織の中に埋め込んでしまえば、非常に従業員にとって、最初から自分たちは弱いもの、異常なものと定義されてしまうことになります。そうなると、従業員にとって傲慢な組織になってしまいます。
しかし、社長直轄であり、他の組織から独立していれば、そのようなことはないでしょう。内部監査室の人は、性悪説やX理論に基づいて、内部監査をしても、それは仕事として実施するであることと、他の組織は直接の指揮命令系統ではないので、悪影響もないし、公正性も保たれます。要するに、会社の内部の人達にわざわざ、監査の方法など話す必要もないわけです。他部署の人達は、それとは関わり無く、日々の業務を実行していればよいわけです。でも、必要があれば、監査室の監査勧告を受け入れて、業務の仕方を改めることはありますが、その指示は内部監査室から発せられるのではなく、あくまで上司からということになります。
さらに、社長自身も自ら動くことはなく、何か考えがあれば内部監査室に指示をすればよいので、直接行動したり、会社各組織の長に指示などする必要はなく、従業員からみて傲慢な社長にならなくて済むわけです。内部監査室を除く社長を頂点とする会社組織は、従業員を弱いもの、異常なものという前提に立たなくとも、日々の業務を実施することができるわけです。それと、内部監査の場合形式的には、他の組織とは独立していますが、やはり内部の組織であることには変わらず、監査役などとは違い、普段から組織を把握し、迅速で柔軟な監査ができます。
すべての組織に内部監査室の機能を盛り込むべきか?
さて、上記の内容いささか抽象的すぎました。もっと現場に即したことに置き換えてみます。子供が通うある学校を想定してみましよう。クラスの先生や、校長先生が最初から子供達や教職員を「弱いもの、異常なもの」と想定して教育をしたり、運営していたらどういうことになるでしょうか?そこまでいかなくても、最初にお話した「人間性悪説やX理論」に基づいたシステムなどを用いていたらどのようなことになるでしょうか?不祥事は起こらないですが、本来の教育目的からそれてしまい、その悪影響は計り知れないと思います。まさに、本末転倒です。でも、残念ながら学校には生徒による「いじめ」とか、嫌ことですが教職員や児童による「窃盗」などの問題もでてくることもあります。これを放置しておくことは、さらによくないことで、これらが最初から起こらないようにすることは、教育的見地からみても、有益なことだと思います。
こうしたことを予防するためには、内部統制の仕組みをつくっておく必要があります。これに関して、校長先生等がチェックするのはいいですが、その仕組みが本当に内部牽制になっているかどうかなどの調査をするのはなかなか困難なことだと思います。そうしたときに、第三者がいれば、やりやすいと思います。その第三者が、全く外部の人であれば、一見中立で良いようにはみえますが、外部の組織の人間であり、そのときたまたまその学校に来て話をするくらいではなかなか本質は掴みにくいと思います。さらには、不祥事が起こらないようにとむやみに実施困難なことや、無駄や経費が大幅にかかる方法などを提案するかもしれません。
ところが、あくまで、学校あるいは地方の教育組織に属している人で、直接子供達や先生、父兄などと直接の利害関係のない人が学校のことも熟知していて、その上で監査にあたったるため効率の良いチェック体制など構築しやすいと思います。しかも、校長先生や、その他先生、父兄、子供達の意見の聴取などもしやすいです。内部統制のシステムや、内部監査室の意味することは煎じ詰めれば上のようなことです。
さて、こんなことをつらつら考えていて、最近の不祥事をみていると、やはり、監査など的確に行われていないことが明らかなようです。だからこそ、口利き、着服、などの問題が次々と起こるのだと思います。日本においては、内部監査の歴史は短いですが、どの組織でもこうしたことを未然防ぐために、必ず内部監査、内部統制の仕組みを盛り込むべきだと思います。民間企業でもこのような仕組みを構築していても、不祥事は起こっています。しかし、民間企業が不祥事をおこすときは経営陣も絡んでいる場合がほとんどです。これは、本来のこのシステムが有効にする、前提条件が崩れてしまっているので、例外とすべきです。このような、ことに関する監査はやはり民間企業においては監査役会などが実施すべきものです。
これは、何も特殊なことではなく、仕事や業務の一環として、どの組織にも採用されてしかるべきだと思います。名前ややり方は、それぞれ違ってもかまいませんが、やはり民間企業における内部統制の仕組みや、内部監査室の設置など検討して、早急に設置すべきだと思います。そうでないと、このような事柄が発覚した直後には多くの似たような組織で再検討されるかもしれませんが、また忘れたころに似たようなことが起こるという「のどもと過ぎれば熱さを忘れ」という現象がおこり続けることでしょう。早急に対応していただきたいです。

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この記事の中にドラッカーを掲載しましたので、他の記事で一言でも「ドラッカー」という言葉がでてきたものを検索してみました。以下の反転文字をクリック していただくと、その内容に飛ぶことができます。意外なものもたくさんありました。まだ、読んだことのない方は、是非ご覧になってください。
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