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2011年6月13日月曜日

特集【エッセンシャル版】ドラッカー転換期が訪れた今こそ知りたいマネジメントの真髄―【私の論評】あと、少なくとも、20~30年は色褪せないドラッカーの業績!!

週間ダイヤモンド【エッセンシャル版】ドラッカー転換期が訪れた今こそ知りたいマネジメントの真髄


ピーター・F・ドラッカーの本を、「おカネ儲けのノウハウ満載」かと期待して読むと、がっかりする。しかし、「社会や企業とは何か」「仕事とはどういうことか」「ビジネスマンとしてどう生きるべきか」などについて、ドラッカーは本質を語ってくれる。50年前、60年前に書かれたものであっても、まったく色褪せない。

ドラッカーのほとんどの著作の翻訳を手がけ、ドラッカーから最高の友人・翻訳家と信頼された上田惇生氏は、こう話していた。

 「ドラッカーは至極、地味で当たり前のことをやろうと言っているんです。企業は世の中が必要としている財・サービスを提供する、そこで働く人たちに生き生きと働いてもらう、と。でも、ものすごく大切なことを言っていると気づかない人が多いんです」

ドラッカリアンとして知られるユニクロの柳井正会長兼社長も、こう語っている。

 「ドラッカーの本というのは、決して奇をてらったことは書いてありません。『当たり前のことにもっと気をつけなさいよ』と言っています。あまりピンと来なくても、とりあえず1冊でもいいから最初から最後まで読んでみてほしい。ドラッカーの言葉を思い出すときがいつか必ず来ます」

ドラッカーは「いい世の中になるには、一体なにが必要なんだろう」という問いからスタートし、後にマネジメントの父と呼ばれるようになった。現代のような組織社会においては、組織の運営のされ方いかんによって世の中はよくなる、とマネジメントを分析・研究した。そもそもの問題意識がまったく違う。だから、ずっと価値を持ち続けているのである。

特集「ドラッカー」は、こうした深くて広いドラッカーワールドを歩くためのガイドである。

まず、「Part1 ドラッカーが語りかける」で、ドラッカーが授けた直弟子への進路アドバイス、柳井正会長兼社長がかみしめる言葉などを通して、ドラッカーの世界に足を踏み入れていただこう。

 「Part2 ドラッカーを活用する」では、被災地で奮闘するNPOや医師集団、それに企業の活用事例から、ドラッカーの教えがさまざまな現場で根づき、実践されている様をレポートする。

続いて「Part3 ドラッカーが全てを教える」では、ドラッカーマネジメントの背景にある経営哲学を探り、さらに会計や教育といった分野でも、ドラッカーが最良のテキストになることをご紹介する。

そして、「Part4 ドラッカーのマネジメント」では、『もしドラ』主人公の教科書ともなった『マネジメント【エッセンシャル版】』のそのまたエッセンスを、編訳者である上田惇生氏が教えてくれる。

日本が転換期に立つ今こそ、深く、人間くさいドラッカーの言葉が、わたしたちの支えとなるはずである。


【私の論評】あと、少なくとも、20~30年は色褪せないドラッカーの業績!!
このブログでは、しばしば、ドラッカーの著作の中の至言を取り上げています。昨日もたまたま、ドラッカーの言葉を引用しました。とにかく、いわゆる、組織で働いている者にとっては、本当に役にたつし、さらには、勇気づけられる内容だと思います。この内容が、週間ダイヤモンドでその内容を解説されるのは、非常に良いことだと思います。まだ、読んだことのない人は、こうした入門書から読まれると、理解しやすいのではないかと思います。

私が、はじめて読んだのは、学生のときで、当然例の「もしドラ」もありませんでしたし、週間ダイヤモンドの解説などもありませんでした。だから、今の人たちは本当に良い環境にあると思います。特に、最近だと、ドラッカーのことなど、いろいろなところで、話題に出しても、十分通じるのではないかと思います。私など、理工系の学生でしたから、まわりにドラッカーの話をしても、誰にも理解してもらえず、どちらかというと変人扱いされたと思います。

ドラッカーの書籍は、技能などを細かく教えるものではありませんが、根底にさかのぼって、基本的な考え方を掲載しています。そのため、ノウハウ本の類とは一線を画したものばかりです。だから、いつまでたっても、色褪せないどころが、後少なくとも20~30年は、実用書として、ますます、その価値をまして行くものと思います。そうして、その後は、歴史を語る書籍類の一角を占めることになるでしょう。その価値は、永遠です。

事例としては、民間営利企業のものが多いですが、民間非営利企業(NPO)のことも多いです。それに、ドラッカーの書籍で、NPOのことを読んでから、アメリカなどのNPOのことを調べてみると本当に理解しやすいです。これを理解すると、鳩山さんをはじめとする民主党などが提唱する、「新しい公共」などの概念が本当に浅薄であることが良く理解できます。

このブログでも、過去においては、いろいろとNPOのことを書いてきましたが、はっきり言って、多くの日本人には、ドラッカーのいうとろこのNPOの概念は判らないものと思います。だから、最近は、ブロクでもとりあげてはいないです。しかし、いつか、本当に分かっていただきたい概念であると思っています。

だから、皆さん、ドラッカーの書籍を読むときには、ドラッカーは、「20世紀は、組織の時代であったが、21世紀はNPOの時代である」と主張していることを念頭において、読んでいただけたら幸いです。

いずれにせよ、ドラッカーの書籍はありとあらゆる組織で働いておられる方にとって、読まれればかならず、役に立つと思います。他の、ノウハウ本的なマネジメント本を読むくらいなら、まずは、ドラッカーを読んでおくべきと思います。読んで、その意味を深く考えた人は、読まない人よりも、はるかに高い視点を深い観点から学び取ることができるでしょう。

私自身は、ドラッカーのマネジメントに関しては、特にエッセンシャル版に関しては、何回も読んでいます。最近では、英語版のrevised.edition(改訂版)をアマゾンから、電子書籍をiPhoneにダウンロードして読んでいます。これに関しては、書いてある内容は、ドラッカーそのまま、事例などは、一部、新しいものに変えてあるので、非常に読みやすいです。それに、iPhoneにいれてあるので、どこに持っていくのにも苦になりません。ドラッカーの書籍など、厚くて、重いものがおおいので、これは、大助かりです。外出したときにも、読んだり、一日の終りに、寝床で読んだりもしています。



それに、新たな発見もあります。たとえば、ドラッカーの書籍には、「真摯さ」という言葉がでてきますが、これは、英語の「ingitrity」を訳したものであることがわかりました。

その定義は、高潔、誠実、清廉、完全な状態、完全性、無傷(の状態)、(システムや信号の)整合性(コンピューター)です。

例文を以下にあげておきます。
I admired her for her integrity.
私は彼女の高潔さに感服した。

また、この言葉をつかった、熟語など以下にあげておきます。
with integrity 誠実に
integrity assessment 完全性評価
integrity monitoring 整合性監視
integrity standards 品質基準
integrity test 完全性試験
data integrity データの整合性
file integrity ファイルの整合性
referential integrity 参照整合性
signal integrity 信号整合性

英語で、読んでみると、こうした新しい発見もあって楽しいです。「真摯さ」だけでは、見えてこなかったドラッカーの見方を発見することができました。

ドラッカーの書籍は、日本語のものは、現在出版されているものは、ほんどと読んでしまったので、今後は、他の書籍も英語でどんどん読み進めようと思っています。


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2011年3月8日火曜日

『もしドラ』のiPhoneアプリ『もしドラ伝言板』が登場!『もしドラ』ショップ「程久保高校 表参道購買部」もお見逃しなく!!―【私の論評】もしドラで、多くの人にマネジメントの本当の意味を知っていただけるに違いない!!

『もしドラ』のiPhoneアプリ『もしドラ伝言板』が登場!『もしドラ』ショップ「程久保高校 表参道購買部」もお見逃しなく!!


2011年3月14日からいよいよ放送がスタートするTVアニメ『もしドラ』。原作のビジネス小説『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』はビジネス書として異例の大ヒットとなる累計180万部を記録し、オリコン2010年 年間“本”ランキング1位にもなっている。

その『もしドラ』の放送を先駆け、iPhoneアプリ『もしドラ伝言板』の配信がスタート!とっても可愛いデフォルメキャラが時間帯に応じて挨拶をしてくれたり、『もしドラ』の最新情報を教えてくれる。
アプリは無料でダウンロード可能とのことなので、お手持ちのiPhoneへのダウンロードをお忘れなく。

さらに、4月2日(土)〜6月30日(木)の期間、東京・原宿に『もしドラ』ショップ「程久保高校 表参道購買部」がオープンすることが決定!ここでしか買えない『もしドラ』の関連商品や書籍のほか、ドラッカーの関連書籍やDVDを販売されるとのことなので、こちらもチェックしよう。

<『もしドラ』ショップ「程久保高校 表参道購買部」>
場所:東京都渋谷区神宮前5-3-9 B1F
営業日程:4月2日(土)〜4月10日(日)
【休校】4月11日(月)〜25日(月)
【再公開】4月26日(火)〜6月30日(木)まで
※プレオープン2011.4.1(金)16:00〜
営業時間:12:00〜20:00(月曜定休)

マップは下を参照願います。

クリックすると拡大画像をご覧になれます
【私の論評】もしドラで、多くの人にマネジメントの本当の意味を知っていただけるに違いない!!
ドラッカーに関しては、このブログでも何回も掲載してきました。『もしドラ』で多くの人が、その存在を知り、さらに、今回はアニメで、この輪が広がり、さらに、今年はAKB48で映画化されることまで決まっています。長年、ドラッカーを愛読してきた私としては、本当に望外の喜びです。わずか、2~3年前までは、よもやこのようなことになるとは、予想だにできませんでした。

さて、「もしドラ」の話は以前も書いてるので、本日はドラッカー氏自身のことで、過去にはあまり書いていなかったことを掲載したいと思います。

ドラッカー氏に関しては、まずは、その守備範囲の広いことに驚かされます。日本では、マネジメントの大家であることばかりが強調されますが、そうではありません。日本文化にも造詣が深い方です。日本が経済大国になると最初にいったのも、高齢化社会がやってくるといったのも、ソ連が崩壊するといったのも、彼でした。知識社会、知識労働という言葉の生みの親でもあります。

一見すると、ドラッカーには二つの世界があります。マネジメントのオーソリティであるとともに、現代社会の哲人、「現代社会についての最高の哲学者」(ケネス・ボールディング)でもあります。サッチャーはドラッカーの言にしたがって世界の民営化ブーム(サッチャー自身は民有化という言葉を使った)に火をつけ、成功し、ニクソンは、政府にできることには限界があるとのドラッカーの言を否定して大失敗しました。「もしドラ」に関しては、残念ながら、マネジメントの世界のみが掲載されています。「もしドラ」以外にも、できましたら、ドラッカーの書籍を読んでいただき、ドラッカー氏の別の面を知っていただくことができましたら、幸いです。

ドラッカー氏自身は、自分のことを社会生態学者であると著書の中で定義づけています。生態学とは何かというと、見て、それを伝えることを指います。氏自身のお言葉を借りると、自然生態学者は、南米のジャングルへ行って、この木はこう生えるべきとはいいません。社会生態学者も社会についてこうあるべきとは言いません。あくまでも、見ることが基本です。それだけではありません。社会生態学者は変化を見つけます。その変化が、物事の意味を変える本当の変化かどうかを見極めます。そしてその変化を、機会に変える道を見つけます。

社会生態学という言葉も、知識社会、知識労働と同じように彼の造語です。日本では戦後の企業経営に与えた影響があまりに大きいため、経営学者としてのドラッカーが有名ですが、ドラッカー氏の本質はこの社会生態学者であるところにあると思います。社会生態学者だからこそ、生きた存在としての組織、社会的機能としてのマネジメントがよく見えるのだと思います。

それから、最後に、ドラッカー氏は、20世紀は、組織の時代であったが、21世紀は、それと同じようにNPOの時代であり、特に都市部に爆発的にNPOが興隆することが必要であると、言っています。これが、今の日本では、ドラッカー氏が語ったことのうち、ほんどその言語の意味が理解されていない、分野であり、これから日本でも本当に重要になってくることだと思います。

これについては、詳細を掲載すると長くなりますから、本日は掲載しませんが、皆さんがドラッカー氏の著作を読むときに、マネジメントばかり注目せず、この分野にも注目していただきたいと思います。

いずれにせよ、「もしドラ」などにより、より多くの方々にドラッカー氏の語っていることが身近になっていただくことは本当に良いことなので、本日は、この内容を掲載させていただきました。なお、「もしドラ」に関しては、マネジメントの基本中の基本が掲載されていますが、やはり、もとはドラッカーということでしょうか、マネジメント本来の意味が凝集されて掲載されていると思います。日本のマネジメント関連の書籍は、ほとんどが、ドラッカーの受け売りであるといっても良いくらいのネタもと中のネタ元です。もしドラでも、十分にマネジメントの本来の意味を知る事ができると思います。アニメについては、まだ見てないので、わかりませんが、そのような内容になると思います。

なお、このブログの一番最後のところに、ドラッカーの著書のウィジェットを設置しています。どのような書籍があるのか、知りたいかた、あるいは、購入したいかたなど是非ご覧になってください。

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2010年10月17日日曜日

NHK総合5年ぶり「もしドラ」アニメ化―【私の論評】もっと多くの分野の人々にドラッカーの考えを知ってもらうのに良い機会か?!

NHK総合5年ぶり「もしドラ」アニメ化



NHKが累計発行部数130万部超と大ヒット中のビジネス小説「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(岩崎夏海著、ダイヤモンド社)をアニメ化し、11年3月中旬から総合で放送することが16日、分かった。

30~40代の男女を対象に、放送開始を午後10時55分と遅い時間に設定して全10話放送する。総合でのアニメは、06年4~12月まで放送された「少女チャングムの夢」(韓国MBC制作)以来、約5年ぶりとなる。

【私の論評】もっと多くの分野の人々にドラッカーの考えを知ってもらうのに良い機会か?!
このブログでは、良くお読みになられている方々はおわかりのように、ドラッカーについての話題は良く掲載させていただいています。だから、私がドラッカーに傾倒している理由は多くの方がご存知だと思います。

まずは、学生時代にその当時は存続していた、いまはなき北海道拓殖銀行の部長クラスの人と知り合いになることができて、その方からすすめられて読見始めたというが最初のきっかけです。その方は、拓殖銀行の幹部研修に出席したときにはじめて、ドラッカーの書籍にであったと語っていました。

当時の拓殖銀行には、人里はなれた山の上に研修所がありました。私は、何かの用事で一度だけ、そこに行ったことがあります。そこで、その方がドラッカーにかかわる研修を受けたそうです。研修とはいっても、何も座学でドラッカーを学んだわけではなかったそうです。

その研修とは幹部候補生向けの研修であり、十数人の幹部候補生が集められ、その場でいきなり、ドラッカーのマネジメントを一人ひとりにわたされ、数人のグループに分け、三日間でドラッカーのマネジメントを読み、将来の拓殖銀行に役立つと思うことがらを提言しなさいというものだったそうです。

ドラッカーに関しては、はじめてだったのと、何とわたされた書籍は、エッセンシャル版でないほうの版だったそうです。それは、当時はどうだっかはわかりませんが、現在販売されているものは、上中下巻にわかれていて、1巻ゆうに、400ページを超えるものです。

グループ数人で手分けして、要約して発表し、議論を重ねながら、三日目には、発表を行ったそうです。そのかた、この研修で良い成績をおさめたどうかは、わかりませんが、本部のどの部署だったかは、失念しましたが、最終的な職位は部長であったことは記憶しています。現在は、拓殖銀行破綻にともない他の銀行に移り、そこでも結局は部長クラスにまで上りつめたあと、今では定年退職なされています。ですから、かなり優秀な方であったのだと思います。

そんなかたと偶然に知り合いになる機会にめぐまれ、その方から熱心におすすめがあったものですから、理系の学生だった私も、読んでみました。当時の印象としては、マネジメントの経験もほとんどなかったため、まあ、すぐれた著作の一冊というぐあいでした。しかし、その後もせっかくすすめられたものですから、時間に余裕のあるときは、マネジメントに限らず、暇があると他の書籍もいくつかは読んでいました。そうして、読んでいて学生時代に良かったと思えたことがありました。

それは、、このブログにも以前掲載したように、例のトムラウシ山で遭難しかけたときに、救ってくれたのがドラッカーの書籍に書いてあった内容だったということです。これについては、再度下の【関連記事】のところに、URLを掲載しておきますので、まだ読まれていない方こちらも是非御覧ください。

遭難しかけたとはいいつつも、それほど深刻なものではなかっので、特にドラッカーの書籍を読んでいなければ、確実に遭難したということもなかったと思います。しかしながら、実際にそのときに役にたったことを実感したものですから、それ以来、傾倒するようになり、学生のときに日本語で現在出版されているものはほとんど読んだといって良いと思います。その後も、折に触れて読んでいました。

だからといって、現在どのような成果があったのかといわれると、はっきりといえるようなことはないですが、普段仕事をしているときでも、何か問題や課題が生じた場合、松葉枝葉をみるのではなく、その上、またそのもっと上の根本原因にまで考えが及ぶとか、短い時間軸の範囲ではなく、長い時間軸でもものが考えるられるようにはなったと思います。

特に、私は理系で、優秀というわけでもありませんでしたから、もし、あの時にドラッカーを読む習慣を身につけてなかったら、、おそらく、どのような職についたとしても、いわゆる目先のことしか理解しない陳腐で、頭の固いつまらない技術屋で人生を終わることになっていたに違いなく、もっと若い頃に、それが確定していたと思います。だから、読む習慣をつけたことは、自分にとっては本当に良かったと思います。

それから、このブログでのドラッカー関係の記事でいうと、最近の事例ではあのチリの鉱山の救出劇の事例があります。これに関して、地下のリーダーについてのみ語ったことについては、少し理由があります。実は、事故のあったサンホセ鉱山は、従来から安全面での問題がしばしば指摘され、2007年に爆発事故で死者を出し、閉鎖されていました。ところが、銅価格の急騰で、08年夏に操業を再開しました。

だから、安全面で問題を抱えたまま操業を急いだ面は否めないのです。今回の事故では約70万トンもの岩石が崩れ落ちたそうです。大規模な鉱山では安全対策が進み、近年ではこうした大規模な落盤事故はまず考えられないと驚く関係者も多いそうです。

だから、地下現場の実際の職位はどうだったのかはわかりませんが、救出劇の最中での事実上のロワーマネジメントであったルイス・ウルスアさん(54)のことについては書きましたし。せっかくの、あの救出劇成功の興奮の祝賀ムードの最中にそうした話題を出すまでもないと思い、この方のリーダーぶりの良さのみを掲載しました。

この事故の全体像をみれば、この鉱山を運営してる会社のミドル・マネジメントや、トップ・マネジメントにはかなり問題があると思います。特に、最終意思決定を行う、トップ・マネジメントには問題があると思います。しかし、だからといって、今回のルイス・ウルスアさんの偉業は少しも薄れることはないと思います。まさに、今回は、トップ・マネジメントの意思決定のまずさをロワー・マネジメントがカバーしたという典型事例と思います。本来あってはいけないことなのですが、起こってしまったことに、現場のマネジャーが果敢に挑戦して、成功したとみるべきでしょう。

それから、このブログには、いろいろ民主党の批判をかなり書いてきました。確かに、民主党は、総体としてみれば、親中的であることと、日本国解体を推進していることに関しては、ドラッカー氏の考えにもとづいても、私は絶対反対です。特に、国民国家の解体や消滅に関しては、過去のブログで私は以下のように論評しています。
国民国家の消滅に関しては、産業革命の時代の初期から、国家間の経済的な相互依存性は国家主義的な情熱よりも強く作用するするはずであると説かれてきました。最初にこれを言ったのはカントでした。「国家の死滅」を現したカール・マルクスも、1950年代、60年代のバードランド・ラッセルなどの最高頭脳も、国民国家の死を予告してきましたが、その通りにはなりませんでした。
旧ソ連邦のミハエル・ゴルバチョフ氏も、国民国家よりも、経済的な結びつきの方が強いだろうと考えていたのが、旧ソビエトの解体でそうではなかったことがはっきりしました。それにひき続いた旧ユーゴスラビアなどの解体でますますはっきりしてきました。現在では国民国家が主流です。これらの国々は解体によって国民国家を実現しましたが、日本の場合は違います。日本国家解体は、国民国家の破壊です。旧ユーゴスラビアなどとは、まったく反対です。
少なくとも、現在までは、政治的な情熱と国民国家の政治が、経済的な合理性と衝突したときには、必ず国民国家のほうが勝利してきています。これからも、余程のことがない限り、これは続くことでしょう。
これは、ドラッカーがいくつかの著書で語っていたことをもとに私が考えて掲載したものです。まさに、私たちは、ソ連の崩壊から今日まで、国民国家の解体とは反対のことが起こっていることをみてきましたし、誰もそれを否定することはできません。だから、国民国家の解体は、現代でも、全く不合理であり、現実世界を反映した考え方ではなく、現段階ては、虚構とみなしてもさしつかえないものです。

しかし、この点を除けば、実は自民党とて民主党とそう変わりがないのだと思います。

ドラッカーの著書では、今や世界中の先進国や新興国で、国民は、自分の国の政府を信頼もしていないし、尊敬もしていないと語っていました。ドラッカーは昨年生誕100年を迎え、なくなってからも10年近くになりますが、その間政治システムなどどこの国でも根本的には変わっていませんから、今日ドラッカーが生きていれば、同じようなことを言っていたに違いありません。日本だけではなく、世界中の国の人々が自国の政府に満足などしていないのです。特に、日本だけが問題というわけではないのです。

過去のブログにも掲載したように、そうして、ドラッカー氏も主張していたように、実は、今はどこの国でも、政治システム改革が必要なのです。日本でも、それがない限り、今の政府が転覆して、他の政党や、連合政権になったとしても、根本問題は何も解決されないのです。

私は、最近日本語で入手できる書籍はほとんど読んでしまったので、英語のKindle本でマネジメントの改定版を読みはじめています。これからも、他の書籍もどんどん購入して読み進めていこうと思っています。そうして、3年くらいしたら、欧米の人とドラッカーの考え方について、現実世界に立脚しつつ、意見交換できるまでになりたいと思っています。それが、当面の私の私生活での目標です。

そう思って現在マネジメントを読みすすめているわけですが、今は政府の問題についての項のあたりを読んでいます。ドラッカー氏は、クリントン政権などの例をあげて、いろいろ解説しています。政治家の方にも本当に役立つ記述だと思います。今の政治家、どの党の人にしても、ほとんど的外れの議論をしているのだと思います。役人の問題も同じです。ネクストソサエティーにもこれについて非常に参考になることがかかれてあります。これなど、読むと、現政権の政治主導など完全に誤りだと確信できます。特に、すべからく政治家の方や、官僚の方は、いまこそ、ドラッカーを真剣に読むべきではないかと思います。

そのほかの分野の方々にも、いわゆる、組織ということになれば、ほとんどどんな組織も例外なく、ドラッカーのマネジメント理論は役立ちます。

最近、「もしドラ」が出版されて、多くの方々がドラッカーの書籍を読むようになり、良かったと思っていたやさき、今回まこのニュースです。素晴らしいことだと思います。これをきっかけにさらに多くの人々がドラッカーの考え方に触れて、触発されて、現在の多く分野での、閉塞感を打ち破るきっかけいになればと大いに期待しています。


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2010年10月14日木曜日

チリ北部コピアポ近郊のサンホセ鉱山落盤事故救出劇の背景にドラッカーが!!―【私の論評】私の危機も救ったマネジメント論の良い事例がまた増えた?

チリ北部コピアポ近郊のサンホセ鉱山落盤事故救出劇の背景にドラッカーが!!


チリ北部コピアポ郊外のサンホセ鉱山落盤事故で、地下約700メートルに閉じ込められた作業員33人の救出作業は急ピッチで進み、13日午後9時55分(日本時間14日午前9時55分)、最後の作業員となるリーダー役のルイス・ウルスアさん(54)が救出カプセルで地上に引き上げられた。これで33人全員が8月5日の事故発生から69日ぶりの無事生還を果たした。地下に下りていた救助隊員6人の引き上げ作業も完了し、奇跡的な救出劇は幕を閉じた。

救出カプセル「フェニックス(不死鳥)」を使い、12日深夜に始まった救助作業は約22時間半で33人全員を生還させた。当初は計約48時間かかると見込まれていたが、作業員のカプセル乗り込みなどがスムーズになり、ペースが早まった。

大半の作業員が元気な様子だが、マニャリク保健相は、コピアポ市内の病院へ搬送されたうちの7人が集中治療室で治療し、うち1人が肺炎であると明かした。また、全身麻酔手術が必要な歯の感染症を患っている作業員も2人いたという。

◇「希望」束ねた指導力
その瞬間、クラクションが鳴り響き、カプセルから33人目の作業員、現場監督のルイス・ウルスアさん(54)が姿を現した。救出作業を見守ったピニェラ大統領が目にうっすら涙をため、固く抱きしめた。息子が駆け寄る。チリ国歌が斉唱された。夜の肌寒い鉱山が、熱気で包まれた。「皆さんに感謝します」。胸を張り、ウルスアさんはにこやかに語った。

彼なしでは、奇跡が起きたか分からない。前例のない過酷な地底生活を続けた33人をまとめ上げ、生還へ導いた立役者だ。

「48時間おきにスプーン2杯のツナ、そしてミルク1杯。これを守ろう」。8月5日の事故発生のその日から、彼の挑戦は始まった。他の作業員と手分けして周囲のトンネルを調査し、自分たちが閉じ込められた事実を冷静に認識。生命線ともなる食料配給の規則を決め、発見と救出を待った。工事の現場監督経験が豊富なため、自然に周囲から頼られた。

「地下に33人が生存」。全員の無事が初めて確認されたのは事故発生から17日後。それまでウルスアさんは、泣き出しそうになる仲間に言い続けた。「助けが必ず来る。絶対に希望を失うな」。ウルスアさんが言うと、不思議と心が落ち着いた。

いつしか、ウルスアさんのもとに全員が団結。時にはパニック気味になり、けんかもした仲間たちがまとまっていった。そして「奇跡」は起きた。

ウルスアさんはピニェラ大統領に語った。「我々は、世界が待ち望んだことを成し遂げた。70日間の闘いは無駄ではなかった。強さと精神力を失わなかった。家族のために闘い抜きたかった」

私の危機も救ったマネジメント論の良い事例がまた増えた?

この救出劇は、現代の奇跡のように見えますが、このリーダーはピーター・ドラッカーの信奉者でした。この救出劇について、昨日も掲載したのでは、本日は全く掲載するつもりはなかったのですが、本日さきぼと、NHKのニュースを見ていたら、解説者の人がこのリーダールイス・ウルスアさん(54)について、ドラッカー信奉者であったことを語っていました。

私は、この落盤事故が報道を聴いていて、何とな、このリーダーが、ドラッカーの理論の従って行動しているのではないかという気がしていました。しかし、これで、少なくともリーダーがドラッカーの信奉者であることがわかりました。

このブログでは、ドラッカーに関しては再三にわたって掲載してきた経緯もありますので、本日はこの救出劇をドラッカー流の観点からみてみたいと思います。

2カ月余りの地下生活。その苦境を救ったのはドラッカーの目標管理論、危機管理論、リーダシップ論だったようです。このあたりは、まだ詳しく報道などされてはいませんが、このリーダーの頭の中には、間違いなくこの考えがあったと思います。

詳しいことは、ドラッカーの書籍「マネジメント」を読んでいただきいですが、彼は、この著書の中のコミュニケーションの項で、特にコミュニケーションに必要なものとして目標管理をあげていました。

ドラッカーは、耳を傾けることは、コミュニケーショの前提であるとしながらも、耳を傾けるだけでは、効果的なコミュニケーションは実現しないとしています。

■自己目標管理
そうして、ドラッカーは組織におけるコミュニケーションののあり方として自己目標管理を提唱しています。
部下の考えが、上司の期待通りであることは、稀である。事実自己目標管理の最大の副産物は、上司と部下のものの見方の違いを明らかにすることにある。同じ事実を違ったように見ていることを互いに知ることこそが、コミュニケーションの第一歩である。
コミュニケーションは、私からあなたへ伝達するものではない。それは、われわれの中の一人から、われわれの中のもう一人へ伝達するものである。組織においてコミュニケーションは手段ではない、それは組織のあり方そのものである。
あの過酷な環境の中にあって、みながパニックに至ることもなく、頑張れたのは、おそらく、リーダーが他のメンバー全員に自己目標管理をさせたと思います。自己目標管理によって、役割分担が決まり、皆が助かるまでの間自分の目標を遂行し続けていたのだと思います。

そうして、この自己目標管理がうまくいったのだと思います。そうして、こうした自己管理目標により、普段からもコミュニケーションが蜜だったメンバーのコミュニケーションがさらに高まり今日の大成功に結びついたに違いありません。

■危機管理論
やたらに危機感を煽ったり、人を無理矢理、牛馬のように駆り立てるマネジメント方式ではだめだ。
これは、働く人々の自主性を重んじるドラッカーが、上記の自己目標管理方式に関して詳しく説明した時の発言の一部です。

まず、万年、危機(クライシス)だ大変だと騒ぎ立てては、ハッパ(ドライブ)をかけて管理するマネジャーを、ドラッカーは「クライシス・マネジャー」と侮蔑的に呼んでいました。それがキッカケとなって、今日のアメリカでは「クライシス・マネジャー」と言うと、決して「危機に強いマネジャー」のことではなく、四六時中、「大変だ、大変だ」と騒ぐ見識のないダメ・マネジャーのことを指すようになっています。

そんなことを、いつもやられていては、部下はたまったもんではありません。そして、「やれ、またか」と話半分にしか受けとめず、オオカミ少年の場合と同じく、やがてはソッポを向かれてしまうのが落ちです。

また、自分の職務をまっとうしないで、いい加減に辻褄を合わせたり、ひそかに手抜きをしたり、さらにその下に部下がいる場合には、そちらに丸投げして脅しをかけるというマイナスの悪循環しか生まれてきません。

従って、こうした「クライシス・マネジメント」や「ドライブ・マネジメント」は、組織が混迷状態に陥る前兆であるとドラッカーは断じました。

そうした尻たたき方式ではなくて、真の自己目標管理を導入し徹底させるには、

まず第1に、「分担していることを全部合わせると、はめ絵のようにピックリと納まる全体像が生まれるようにしておくこと」が、大切であるとしています。
第2に、全体目標と各人の目標の間に隙間や食違いを生じないようにし、また摩擦や軋轢があってもならない。さらに二重の手間がかからないようにせよとドラッカーは説いています。
第3に、全体目標と個別目標の均衡と調和をとりながら各人が力を尽くすためには、時間軸を尺度にして、中長期、短期の両方を考慮しておくことが大事であるとしています。
第4に、目標に関して金銭的・量的評価をし得る定量化可能目標と、具体的・可視的には量的評価が難しい定性的な目標の2つの区別しておくことが肝心であると指摘しています。
第5には、目標の進捗度や到達度の測定尺度を予め設定するとともに、特に実現に当たっての障害、上司が提供し得る支援や加勢、逆に上司が妨害し、足を引っ張りやすいポイントについても、事前に十分チェックしておくべきだ、とも提言しています。
ルイス・ウルスアさんは、このことも実践したと思います。彼らは、本当に重大な危機にあったのですから、クライス・マネジメントなどやったとしたら、かえって逆効果となり、今日の大成功はなかったかもしれません。

■リーダーシップ論
さて、リーダーシップ論ともなると、相当誤解している人もいるようです。ドラッカーはリーダーシップについて以下のように語っています。
「リーダーシップとは人を引きつけることではない。そのようなものは煽動的資質にすぎない。仲間をつくり、人に影響を与えることでもない。そのようなものはセールスマンシップにすぎない」(『現代の経営』) 
リーダーシップとは仕事であるとドラッカーは断言します。リーダーシップの素地として、責任の原則、成果の基準、人と仕事への敬意に優るものはないとしています。
リーダーシップとは、資質でもカリスマ性でもない。意味あるリーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見えるかたちで確立することである。リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。
リーダーは、妥協を受け入れる前に、何が正しく望ましいかを考え抜く。リーダーの仕事は明快な音を出すトランペットになることだ。
リーダーと似非リーダーとの違いは目標にある。リーダーといえども、妥協が必要になることがある。しかし、政治、経済、財政、人事など、現実の制約によって妥協せざるをえなくなったとき、その妥協が使命と目標に沿っているか離れているかによって、リーダーであるか否かが決まる。
ドラッカーは多くの一流のリーダーたちを目にしてきています。その彼が、優秀なリーダーには「、外交的な人も内省的な人もいた。多弁な人も寡黙な人もいた」と語っています。そうです、リーダーシップに必要な資質などないのです。まして、カリスマ性でもないのです。
 「リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである」(『プロフェッショナルの条件』)

さて、今回の救出劇については、地上の人たちの頑張りもありましたが、やはり、ルイス・ウルスアさん(54)のリーダーシップに負うところがかなりあったと思います。そうして、ルイス・ウルスアさんの、リーダーシップは、上記の似非リーダーシップではなく、真の意味でのそれだったのだと思います。今回の救出ブロジェクトの中で、特に地下にいた人たち、このようなリーダーが存在したことは幸いでした。

そうして、おそらく、今回の事例は、後に、ドラッカー流のリーダーシップ論の、格好の事例として引用されるようになるかもしれません。私は、最近、ドラッカーのマネジメントをキンドル本の改訂版で゜読んでいます。この中の事例の中には、ドラッカー氏が最初に書いた事例のうち、古くなり過ぎたものに関しては新しいものにかえてあり、非常に読みやすくなっています。将来の改訂版にこの事例、引用されるかもしれませんね。

それにしても、ドラッカーのマネジメント論が、この救出劇にも関係していたなんて、ドラッカー好きの私としては、大きな喜びであり、ますます、傾倒してしまいました。

実は、私自身、これほどの規模ではなく、たいしたことではないのですが、ある危機を乗り越えたことがあります。その危機を乗り越かたときには、私の頭の中にもドラッカーの教えがありました。それに関しては、過去にこのブログにも掲載したことがあります。下の【関連記事】にURLを掲載しておきますので、こちらも、まだ読まれていない方は是非ご覧になってください。

最近、「もしドラ(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら)」ブームなどでまた、多くの人に見直され、あるいは始めて読む方も増えています。この「もしドラ」のように、マネジメントは、営利企業のマネジメントだけを意味するのではなく、多くの組織に適用できるものであることをドラッカー自身がマネジメントにも書いています。

私も、そう思います。様々な分野の人がドラッカーの考えを知り、それを自らの仕事に適用して大きな成果を上げてもらいたいと思います。この救出劇をみていて、その想いを今まで以上にますます強くしました。


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2013年5月5日日曜日

そこから何かを学ぼうと思えば失敗も歓迎できるようになる―【私の論評】ドラッカー氏は、80歳のヴェルディのように失敗しようとも完全を求めて挑戦していこうと決心した!!

そこから何かを学ぼうと思えば失敗も歓迎できるようになる:


何かに失敗したときや決断を誤ったとき、ただ落ち込むのはもったいないことです。教訓としてそこから何かを学ぼうと思えば、失敗も歓迎できるようになります。 米誌「Forbes」に、iOSのゲーム開発会社・Supercellが「失敗を歓迎した」という話が載っていました。

     チームがそのゲームを気に入ったら、他の従業員もプレイしてみます。そこでも気に入られれば、カナダのiTunes App Storeに申請します。カナダの市場でヒットしたら、世界的に販売します。結果、これまでに4つのゲームがこの方法で失敗しました。

    そんな時は、失敗を祝うために従業員みんなでシャンパンをあけます。Paananen氏は「失敗したプロジェクト自体を歓迎するというよりも、その失敗から教訓が得られることを歓迎しているのです」と言っています。

「失敗は成功の母」との言葉もあります。失敗した後に悲しみにくれて落ち込んでいるだけでは、そこから学ぶことはできません。シャンパンをあけて祝うまでしなくてもよいですが、状況をポジティブにとらえることは大事です。

このニュースの詳細はこちらから!!



【私の論評】ドラッカー氏は、80歳のヴェルディのように失敗しようとも完全を求めて挑戦していこうと決心した!!


失敗というとネガティブなイメージばかり浮かぶ人もいるようですが、決してそのようなことはありません。私たちの普段の仕事を考えてみれば、どんな仕事だって完璧ということはありません。予め決められたスケジュールと予算があり、その中でなんとか初期の目的、目標を達成できれば、それで良しというのがほとんどです。小さな仕事はほとんどその連続です。

大きな仕事だって、振り返ってみれば、成功した仕事でさえ、ああすれば良かったとか、こうすれば良かったとか、ああすればもっと良くなってなっていたはずだと必ず心のこりがあるものです。しかし、そうしたことは、当初の要求水準を全く達成しておらずはっきり失敗してどうしようもない場合は別として、次の仕事に生かしていくというのが普通です。それに、人間失敗しないと学べないことも多くあります。

そんなことを考えると、上の記事の精神は本当に重要だと思います。心から自分で思える完璧な成功などほとんどの人が経験することのないものです。そんなことが当たり前のことなのに、いちいち小さな取り返しのつく失敗にネガティブになっていては、何もできません。

そうして、小さな失敗などにいちいちめげていては、大事を為すことはできないのははっきりしていますし、このようなことは、上の記事だけが言っているようなことではありません。昔から、大きなとを成し遂げた人たちが言っていることでもあります。

それは、あの偉大な経営学者であるドラッカー氏も提唱していましたし、ドラッカー氏自身も、実践しことです。

ドラッカー氏は以下のように語っていました。
『完全を求めて、いつも失敗してきた。だから、もう一度挑戦する必要があった』。私はこの言葉を忘れたことがない。この言葉は私にとって、心にあって消すことのできない刻印となった。 (『プロフェッショナルの条件』より以下、同じ)

ドラッカーは、知識によって働く者にとって多少なりとも参考になるのではないかと言って、自らの著書でその経験をいくつか教えてくれています。

その一つが、イタリアの大作曲家ヴェルディの最晩年の作品「ファルスタッフ」との出会いでした。

小学校での飛び級のおかげで、17歳で高校を卒業したドラッカーは、右派、左派の社会主義者、カトリックの保守派が三つ巴の市街戦を繰り広げる荒廃した生まれ故郷ウィーンを出て、隣国ドイツの港湾都市ハンブルクで貿易商社の見習い事務員となりました。学校には飽き飽きしていたためだそうです。


ドラッカー家は代々、学者、官僚、弁護士、医師を輩出してきました。そこで親の手前、ハンブルク大学の法学部に籍だけは置いたといいます。

しかし、商社事務員の生活に満たされるわけでもありませんでした。そこで、夕刻から先は、図書館での乱読、オペラ座での音楽鑑賞という日々が続くことになったといいます。

ハンブルクのオペラ座は、当時の欧州では最高水準にありました。しかも学生は、上演の1時間前から並ぶと、売れ残りの安い席の切符をもらえたそうです。そしてある夜、ドラッカー氏は、大曲「ファルスタッフ」を初めて聴き、衝撃を受けました。ヴェルディの26作品の中で2作しかない喜劇のうちの一つでした。
オペラ ファルスタッフの一幕
このオペラは、シェイクスピアの喜劇「ウィンザーの陽気な女房たち」を原作とし、人生を謳歌するその作品は、ヴェルディ80歳のときの作品でした。平均寿命が50歳そこそこだったその頃では、80歳まで生きたというだけでも偉業でした。

作曲家として功なり名遂げたあと、なぜあのような難曲に取り組んだのかを聞かれたヴェルディの答えが、「完全を求めて、いつも失敗してきた。だから、もう一度挑戦する必要があった」でした。

ジョゼッペ・ベルディ
ドラッカーは、これについて以下のように述べています。
 私は、その時そこで、一生の仕事が何になろうとも、ヴェルディのその言葉を道しるべにしようと決心した。そのとき、いつまでも諦めずに、目標とビジョンをもって自分の道を歩き続けよう。失敗し続けるに違いなくとも完全を求めていこうと決心した。
以下の動画は、ヴェルデイの傑作ファルスタッフ全編です。



ドラッカー氏は、ファルスタッフ以外にもこのような事例を著書であげています。それは、あのミケランジェロです。ミケランジェロも、晩年「あなたの最高傑作は何ですか」と尋ねられて、「次作」だと答えていたそうです。あくなき、美の追求、それも完璧な追求には、終わりも果てもないのです。そうして、ミケランジェルは、本当になくなる直前まで、彫刻にとりくんでいたそうです。

ミケランジェロ作「聖母子像」

そうして、ドラッカー氏も「あなたの書籍の最高傑作は何ですか?」と尋ねられたとき決まって「次作だ」と答えていました。そうして、ドラッカー氏は「いつまでも諦めずに、目標とビジョンをもって自分の道を歩き続けよう。失敗し続けるに違いなくとも完全を求めていこうと決心した」という言葉どおりの人生を送りました。ドラッカー氏は長寿で、96歳で亡くなりましたが、なくなる直前まで仕事に取り組み、そうして、次の著作の構想を持っておられたそうです。


 いつまでも諦めずに、目標とビジョンをもって自分の道を歩き続けよう。失敗し続けるに違いなくとも完全を求めていこうと決心すれば、日々の小さな失敗などでネガティブになることなどなくなります。それに、沸々と勇気が湧いてくると思います。私は、失敗しないようにいつも恐れているよりも、このような人生を送りたいと思います。完全を求めるための失敗には、シャンペンでお祝いしたいです。皆さんは、どう思われますか?

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2013年12月16日月曜日

【ドラッカー】人間関係というものは全体への貢献と仕事への貢献を中心に置くことで一変する―【私の論評】現代の政治家・官僚も自分がしうる最大の貢献は、何かを問いつづけることが最重要!しかし、根本的には政治制度改革が必要不可欠(゚д゚)!


仕事の哲学 (ドラッカー名言集)

 「人間関係の能力をもつことによって、良い人間関係がもてるわけではない。自らの仕事や他との関係において、貢献を重視することによって、良い人間関係はもてる。そのようにして、人間関係は生産的となる。生産的であることが、良い人間関係の唯一の定義である」(ドラッカー名言集『仕事の哲学』) 
人間関係に悩む若者が増えたせいか、人間関係についてのハウツーが、多く書かれ、多く読まれています。しかし、人間関係の根本は人間関係のスキルによって左右されるのではありません。 
もちろん、潤滑油としての礼儀作法は重要です。しかし、真の人間関係は、スキルを超えたところにあります。とはいえ、高邁な思索の世界にあるわけでもありません。 
ありがたいことに、人間関係は、仕事の場において、全体への貢献と人の仕事への貢献を中心に置くだけのことで、がらりと一変します。あらゆる関係が、前向きの生産的なものに変わります。 
ドラッカーは、「仕事上の成果がなければ、温かな会話や感情も無意味である。貧しい関係の取り繕いにすぎない。逆に、関係者全員に成果をもたらす関係であれば、失礼な言葉があっても人間関係を壊すことはない」と言います。 
しかも、「成果をあげる秘訣とは、ともに働く人たち、自らの仕事に不可欠な人たちを理解し、その強み、仕事のやり方、価値観を活用することである。仕事は、仕事の論理だけではなく、ともに働く人たちの仕事ぶりに依存するからである」。 
さらには、逆に、自らの強み、仕事のやり方、価値観、果たすべき貢献を知ったうえで、それを誰に知らせるかを考えなければならないということです。 
組織内の摩擦のほとんどは、互いに、相手の仕事、仕事のやり方、重視していること、目指していることを知らないことに起因する。つまり、問題は、互いに聞きもせず、知らされもしないことにあるといいます。 
「果たすべき貢献を考えることによって、横へのコミュニケーションが可能となり、チームワークが可能となる。自らの生み出すものが成果に結び付くには、誰にそれを利用してもらうべきかとの問いが、命令系統の上でも下でもない人たちの大切さを浮き彫りにする」(『仕事の哲学』)
【私の論評】現代の政治家・官僚も自分がしうる最大の貢献は、何かを問いつづけることが最重要!しかし、根本的には政治制度改革が必要不可欠(゚д゚)!

本日は久々にドラッカーの話題です。過去においては、このブログではドラッカーの書籍に関する話題を頻繁に紹介してきましたが、最近はめっきり減ったので、本日はこの話題にしました。

在りし日のドラッカー氏とドリス夫人の、食卓の風景

上の記事で、ドラッカーは人間関係は、全体への貢献と仕事への貢献を中心に置くことで一変すると語っています。まさしく、これは本当です。これになし、いくら人間関係をつくろおうとしても、結局ほころびるだけです。

ドラッカーは、この「貢献」というキーワードで様々な経営上の課題や原理・原則を明らかにしています。

貢献を考えることによって個人も組織も成長するとして、ドラッカーは自らの著作の中で以下のように語っています。
  成果をあげるには、自らの果たすべき貢献を考えなければならない。手元の仕事から顔を上げ目標に目を向ける。組織の成果に影響を与える貢献は何かを問う。そして責任を中心に据える。(ドラッカー名著集『経営者の条件』) 
ドラッカー名著集1 経営者の条件

自らの果たすべき貢献を考える者は、部下が果たすべき貢献についても考えるようになります。あなたに期待できることは何かと聞きます。こうして本当のコミュニケーションが行なわれるようになります。

しかも、貢献に焦点を合わせることによって、横へのコミュニケーション、すなわちチームワークが可能になります。

加えて、最も重要な貢献は何かを自問することは、いかなる自己啓発が必要か、いかなる能力が必要かを考えることにつながります。

そして、貢献に焦点を合わせるならば、部下、同僚、上司を問わず、人の自己啓発を触発することになります。仕事のニーズに根ざした基準を設定することになります。すなわち卓越性を要求するようになります。

こうしてドラッカーは、貢献に焦点を合わせることによって、コミュニケーション、チームワーク、自己啓発、人材育成という、成果を上げるうえで必要な四つの基本条件を満たすことができるといいます。

私たちは、人についても組織についても多くを知りません。しかし、人にせよ組織にせよ、果たすべき貢献を考えることによって成長することは知っています。
自らに少ししか求めなければ成長しない。多くを求めるならば何も達成しない者と同じ努力で巨人に成長する。(『経営者の条件』)
ドラッカーは、さらに他の著書では、「貢献すべきは貢献したいことではない 貢献すべきことであると述べています。
 自らの果たすべき貢献を考えることが、知識から行動への起点となる。問題は、何に貢献したいかではない。何に貢献せよと言われたかでもない。何に貢献すべきかである。(『明日を支配するもの』)
ドラッカーは、このようなことが問題になるようになったこと自体が歴史上初めてのことだといいます。過去においては、長いあいだ、貢献すべきことは、自分以外のなにかによって決められていました。自ら考えることや悩むことではありませんでた。農民は土地と季節で決められていました。職人は仕事で決められていました。家事使用人はご主人の意向で決められていました。

ところが、知識労働者が仕事の主役となるや、彼らに何を貢献させるかが重大な問題になりました。そこで、人事部が組織され、それを考えることになりました。

しかし、人事部全盛の時代は、驚くほど短かいものとなりました。いかなる手法を開発しようとも、人事部なる世話役がやり切れることではないことが明らかになのました。そこで早くも1960年代には、知識労働者の場合、何を貢献するかは自分で考えよということになりました。好きなことをさせることが、最も進んだ方法とされました。

もちろん、好きなことをさせてもらうことによって、成果を上げ、併せて自己実現したという者はそれほど多くはありませんでした。

何を貢献するかを本人に考えさせることは正しかったのです。しかし、考えるべきは、何をしたいかではありませんでした。自らの貢献は何でなければならないか、でした。

世界最強の大国・米国の大統領さえ、したいことではなく、しなければならないことをしなければならないのです。

トルーマン大統領は、ルーズベルト大統領のあと、国内問題に取り組むつもりでした。しかし、ポツダム会議で旧ソ連のスターリンとやり合った後、戦後の問題は国際関係であることを痛感させられました。そして、大急ぎで外交に力を入れて戦後世界に平和をもたらしました。

これに対し、ジョンソン大統領は、ベトナム戦争を抱えつつ、国内問題から離れられませんでした。
 自らの果たすべき貢献は何かという問いに答えを出すためには、三つのことを考える必要がある。第一に、状況が求めるものである。第二に、価値ありとするものである。第三に、あげるべき成果である。(『明日を支配するもの』)
明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命

以上のことから、現代組織においてはいかに「貢献」について考えるかが、本当に重要になったかがわかります。

上記の例では、トルーマンやジョンソンの大統領の例がでていました。これは、いかに最高権力や、それに近い人間が、「貢献」について考えなければならないかを明確に示しています。自らの最大の貢献は何かについて考えない政治家や官僚など存在価値はないのだと思います。

特に、官僚などが、自らの貢献を省益などと考えて仕事をすれば、とんでもないことになるのだと思います。やはり、彼らは国民のためにできる最大の貢献を第一義として動かなければならず、それを忘れたとき全く成果を挙げられない存在になるということです。

政治家についても、無論、国家というものを第一義として、その上で自分のできる最大の貢献は何なのかを考えて行動しなければならないということです。その姿勢を失えば、堕落の道に陥ることになります。

自分の最大の貢献ができることは何なのかを日々考え続けて、実行することが政治家や官僚の本当の使命です。

しかし、現在のように政治家や官僚がなかなかその使命をまっとうできない現在、それも似たような失敗が一度ならず、何度も繰り返されるような現在、何かが間違っています。

これについても、ドラッカーは民営化だけでは間に合わないほど政府の病は重いということを著書に書いています。
先進国の政府のうち、今日まともに機能しているものは1つもない。米、英、仏、独、日のいずれにおいても、国民は政府を尊敬していない。信頼もしていない」(『ネクスト・ソサエティ』)
ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる

あらゆる国で問題が発生し、その解決に政治家のリーダーシップを求める声が聞かれています。しかし、それは間違った声なのです。問題が起こっているのは、人に問題があるからではありません。ドラッカーは「システムに問題が生じたのだ」としています。

今日の政府は400年前にかたちができました。16世紀末に登場した国民国家とその政府は、当時最高のイノベーションでした。事実、このかたちは200年で世界中に広まりました。

ところが19世紀の後半、社会の力によって社会を救うという何種類かのイズムが広がり、揚げ句の果てに、政府は万能だということにされてしまいました。その典型がソ連の国民の面倒は何から何まで政府が面倒をみるという社会主義でした。

しかし政府には、できることとできないことがあります。特に現場の仕事が恐ろしく苦手です。

1969年、「再民間化」のコンセプトの下に、政府現業部門の民営化を最初に唱えたのが、ドラッカでした。これを英国の保守党がドラッカー教授の提案と断ったうえで、政策綱領に織り込みました。

それから40数年。いまや現業の切り離しや民営化だけでは間に合わないほどに、政府の病は重いです。
今後25年間、イノベーションと起業家精神が最も必要とされるのが政府である」(『ネクスト・ソサエティ』)
日本の政府や政治システムも、明治維新のときに西欧のものを取り入れたものです。確かにこの方式は当時はすぐれていたのですが、今や機能していません。

人が変れば、政治は変るというという幻想は、他国ではもう数十年も前から間違いであることが認識されていましたが、日本で本格的に認識されたのは、民主党政権の誕生とその崩壊後でした。これにより、日本国民も他の先進国並みに、人さえ変れば、政治が変るなどという幻想は誰も信じなくなりました。

民主党の唯一の貢献は、人さえ変われば政治が変わるとい
うのは、幻想にすぎないことを多くの人々に認識させたこと?

まさしく、日本でも、今後イノベーションと起業家精神が最も必要とされるは、政府だということです。この分野こし、システム改革が最重要なのです。そうして、この分野は、1年~2年でなんともなるものではありません。それこそ、ドラッカーが語っているように、25年くらいは時間をかけて、じっくりと、根本的に変えていく必要があります。

ドラッカー氏は、一般に経営学の大家だと考えられていますが、企業だけにおよばず、あらゆる組織の経営に関して、非常に役に立つ論考をされています。企業経営者にだけ、読ませるというのは勿体無いです。政治家や官僚の皆さんにも読んで、理解していただきたいです。私は、そこから、本当の意味での政治改革の発想が生まれてくるのではないかと期待しています。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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