http://journal.mycom.co.jp/news/2010/05/12/081/index.html
ドラッカーも語る消費者ニーズの虚しさ?この需要は、やはりイノベーションの賜物!!
iPadを独占する女性
以前(5/8)このブログは、iPadの登場は、ネットブックとの競合を意味するのかという趣旨の内容を掲載したことがあります。その時の結論は、iPadはiPhoneと同じくパソコンなどとの同期を求められるで、さほどでもないが、他社から単体で完結しているタブレットPCが出て、通常のパソコンと機能的にはほとんどかわりのないものが出てくれば、とって変わられるだろうというものでした。
ところが、アメリカでは、すでにiPad登場でネットブックの売り上げが下落しています。ある調査では、iPadとネットブックのいずれを購入するかというアンケートで、44%の人がノートブックは購入せずにiPadにすると答えたそうです。おそらく、日本の市場も同じような動きになっていると思います。従来、ネットブックを購入しょうと考えていた人が、iPadの予約に大量に走ったのだと思います。まだ、結論を出すのは早いですが、この傾向はほぼ間違いないものと思います。
私が先の結論に達したのには、一つ見逃していたことがあります。それは、ネットブックの購入者は、ほとんどの場合、パソコンをすでに所有しているという事実です。良く、言われることは、セカンド・マシンとしてネットブックを購入するとものです。セカンド・マシンということもありますが、今やパソコンは広く普及しており、ほとんどのパソコン購入者が2台目、3台目、あるいはそれ以上であるのが当たり前です。私自身、昨年の暮あたりにネットブツクを購入していますが、数えてみれば、6台目です。
そうした最中にあっては、パソコンに同期を求められるかといっても、もう誰もがパソコンを持っているので、これはほとんど制約条件にはならないということです。だからこそ、予想をはるかに上回る予約状況になったのだと思います。
しかし、それにしても、完全にデフレ基調の日本で、なぜこのようなことが起こったのでしょうか?これを知るためには、ちょうどiPadが販売されたのとほぼ同時期に販売されたソニー Vaio Pシリーズというネットブックと比較すれば、良く理解できると思います。
iPadはかなりの話題になったのですが、このPシリーズ、すっかりiPadにおされてしまって、影がうすくなったような感じなので、あまりその存在自体を知らない人も多いのではないかと思いますので、下にその特徴と画像を掲載しておきます。
メーカー名 | ソニー(http://www.sony.jp/) |
シリーズ名 | VAIO Pシリーズ |
OS | Windows 7 Home Premium 32ビット |
CPU | Atom Z530(1.60GHz) |
チップセット | インテル システム・コントローラー・ハブ US15W |
グラフィックス | チップセット内蔵機能 |
メモリー | 2GB(最大2GB) |
SSD | 64GB |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 8型ウルトラワイド(1600×768ドット) |
TV機能 | なし |
無線機能 | IEEE802.11a/b/g/n、Bluetooth、WiMAX |
駆動時間 | 約6時間 |
サイズ | 245(W)×120(D)×19.8(H)mm |
重さ | 約619 |
インターフェース | SDメモリーカードスロット、メモリースティックスロット、USB2.0×2、ヘッドホン出力 |
Officeソフト | なし |
価格 | 10万円前後 |
発売日 | 2010年5月22日 |
詳細情報 | http://www.vaio.sony.co.jp/vaio/products/P11/ |
店頭販売モデルはオレンジ、ピンク、ホワイトの3
色。直販モデルではグリーンとブラックも選択できる
詳細に関しては、ここでは本筋ではないので、メーカーのサイトなどでご覧になってください。
さて、両者の違いは明らかだと思います。要するに、iPadも、VaioPの両方共、開発者は顧客の入念なマーケティングを実施しているのだと思います。ところが、VaioPは完全に従来の路線にのった、ネットブックという概念の中での改善であるのに対して、iPadは、従来のネットブックなどとは一線を画した別物であり、完全なイノベーションを実施しているということです。
私は、以前このブログで、リアルフアッションに関連して、マーケティングとイノベーションについて掲載しました。その中で経営学のドラッカー
経営学の大家ドラッカーは、その著書「マネジメント」の中で、以下のようなことを言っています。
「企業の目的は、顧客の創造である。したがって企業は、二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす」(マネジメント エッセンシャル版 16ページ)
さらに、こうも言っています。
「マーティングだけでは、企業としての成功はない。静的な経済には、企業は存在し得ない。そこに存在しうるものは、手数料をもらうだけのブローカーか、何の価値も生まない投機家である。企業が存在しうるのは、成長する経済のみである。あるいは少なくとも、変化を当然とする経済においてのみである。そうして企業こそ、この成長と変化のための機関である。
したがって企業の第二の機能は、イノベーションすなわち新しい満足を生み出すことである。経済的な財とサービスを供給するだけでなく、よりよく、より経済的な財とサービスを供給しなければならない。企業そのものは、より大きくなる必要はないが、常によりよくならなければならない」(マネジメント エッセンシャル版 17~18頁)
さて、現在デフレの最中ではありますが、これだけ売れるものがあるということです。しかも、この二つの製品から現在では完全にイノベーション優位であることがはっきりしたと思います。
現在、モノが売れないなどとなげく、経営者が多いです。確かに日本はデフレの最中にあります。しかし、イノベーションをすれば、このようにモノが売れることがハッキリしています。最近は、ユニクロが廉価なジーンズを発売し、さらに他社がもっと廉価なものを発売したりしています。一方で、多少は高いものの従来のジーンズの重量の半分にしたものが、売れています。これも、イノベーションの事例だと思います。
考えてみれば、今の日本では、この記事に出てくるソニーが従来はイノベーションを実施していたのに、上の事例のようにそれをしなくなったとに象徴されるように、多くの企業が従来の路線上で勝負をしていて、イノベーションがないがしろにされているのだと思います。日本は、未だにイノベーション大国ではありますが、それは、先端技術などにおける分野であって、顧客に身近な分野では、低調になっていると思います。顧客ニーズ、顧客ニーズなどと語っていて、結局は、従来のやり方でモノを作り、モノを売っていたのではいつまでたってお客様に気に入ってもらえる製品など作れないのではないでしょうか?
デフレが克服されても、こうしたイノベーションが頻繁に行われないならば、やはり、お客はモノをあまり購入しないという状況が続き、結局は飛ばす、吹かずの状況になると思います。
やはり、今こそ、イノベーションが重要であり、とにかく何をやっていても、常によくなるように努力していく必要があるのだと思います。もう、「顧客ニーズがどうの、こうのと」などとばかり語っている経営者は失格だと思います。とはいっても、しゃかりきになって、すっかり販売活動・事業活動などのど真ん中に入っていれば、過去の延長線上でしかものを考えられなくなり、イノベーションなどできません、もっと大局的な見方が必要になってくると思います。それに、遊びも必要でしょう。それに関しては、また機会を改めて掲載したいと思います。
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