米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N: 株価, 企業情報, レポート)は1日、連邦破産法11条の適用を申請した。
3月31日時点で連結資産は822億9000万ドル、負債は1728億1000万ドル。
GMの取締役会は前日5月31日、破産申請と米財務省による破産手続き計画を承認した。
最大の無担保債権者にはウィルミントン・トラスト(227億6000万ドル)や全米自動車労組(205億6000万ドル)などが含まれる。
また、ステートストリートは議決権付証券の17%を保有している。
破産法適用はニューヨーク州の破産裁判所に申請された。
ドラッカーの教えに背いたGMの運命はすでに数十年前から定まっていた?
昨日は、ドラッカーについて書きましたが、本日もドラッカーに関して書くことになってしまいました。というのも、本日破産手続きをしたGMは、ドラッカーが経営コンサルタントとして、トップを指導していたことがありました。これは、有名な話です。『企業とは何か』という著書は、ドラッカーが米ゼネラル・モーターズ(GM)の経営と組織を1年半かけて調べた経験を基に、企業と産業社会のあり方を探っています。
ドラッカーは米社会を分析するに当たって、人の生活と生き方を規定し、方向づけ、社会観を定め、問題を生み問題を解決していく社会組織をまず取り上げるべきだと 指摘しました。現代の米国では企業がその組織に相当するとしました。企業はいかに機能すべきか。「事業体としての企業」「社会の代表的組織としての企業」「産業社会の 存在としての企業」という3つの面から考察しています。
例えば、企業の経営政策は、状況の変化と問題の発生に対応する柔軟性が必要だと説きます。経営陣は仕事と製品に誇りを持ちたいという従業員の意欲を喚起する関 係を築くべきであり、労働力をコストではなく資源としてとらえるべきだと提言しています。また、企業は公益に関わりがあり、社会問題にも関係を持たざるを得ない との考えも示しています。
初版刊行後、GMは本書の内容に反発し、提言をことごとく無視したといいます。特にこの書籍に書かれてある、「戦後期には組織・事業・目標を見直す必要がある」という穏健な記述に対して起こっ たGM内部の憤激がありました。「GMは世界一なのだから、批判はもってのほか」という理屈です。ドラッカーはこの著書で最上層部(「十四階」)には自動車産業運営の知識と経験 と能力がないとも書いています。一方、日本企業は仕事改善プログラムや品質管理サークルを導入するなど、本書の考えを積極的に取り入れ、競争力向上に生かしました。普遍的な内容で、今でも参考にできる部分が多いです。
1970年代に、日本はアメリカに低燃費の小型車を輸出しはじめ、GMを脅かし始めまた。しかし、これに対してGMは、政府に働きかけ、日本車にの輸入規制などさせることにより、みずからは、小型車をつくることなく、消費者のニースに対応するようなことはせず、悪い体質の改善が遅れてしまいました。
また、1980年代には、アメリカの厳しい排ガス規制についても「排ガス規制をパスする車などどうせできるはずがない」として、研究開発を怠っていたところトヨタに先をこされ、自らも開発をせざるを得ないように追い込まれました。
私は、GMの破綻を多くの評論家が跡付けでいろいろ語っていますが、元をたどれは1946年にすでにその根はあったのだと思います。しかし、当時はまだよかったのだと思います。ドラッカーの意見に幹部が反発したとはいっても、結局トップは反発せずに、何年かの間、ドラッカーを1週間に一度はGMに招き、ドラッカー氏の話に真剣に耳を傾けていました。
スローン当時のGMは、投資収益率(return on investment, ROI)などの財政指標を用いて多様な部門を経営したことで知られました。これに関して、トヨタも参考にしています。小売業ではイトーヨーカドーがいち早くとりいれています。が杜へーこうした会計手法は利益率向上に大きく貢献し、アメリカ企業経営にも大きく影響したが、一方でリーン生産方式の導入の障害となったこと、労働者をコスト削減の協力者と見ずにコストを消費する存在としか見なかったことに対するドラッカーの批判は先の通りです。
スローンは、既存車種を毎年モデルチェンジするマーケティング手法を確立した人物でもあります。モデルチェンジによって消費者の手許にある車は直ぐ時代遅れになり、買い替え需要を催促し新車が売れ続ける仕組みを作りました(計画的陳腐化)。この計画的陳腐化は、トヨタも取り入れています。
GMでは、低価格帯から高価格帯に向かってシボレー・ポンティアック・オールズモビル・ビュイック・キャデラックと いったブランドの階層が設けられ、商品趣向も微妙に変えられており、消費者のあらゆる希望を満たすフルラインナップ体制が整えられました。またGM大衆車の オーナーがより豪華な車種に乗り換えようと思った時も、他の高級車メーカーへ顧客を逃すことなく再度GMのブランドから選んでもらうことができました。
一連の手法は『スローン主義』として経営学のケーススタディで最重要視される一方、バッジエンジニアリングによる類似車種の乱立、陳腐化したコンポーネントの永年にわたる使い回しなどの弊害も産み、スローンの名を取った"Sloaning" が「うんざりする」という意味の形容動詞として批判的に用いられる事さえありました。
しかしながら、どの会社でも、どんな経営者でも、成功ばかりということはなく、成功することもあれば、失敗ということもあります。そういった、意味では、スローンは優れた経営者だったと思います。
しかし、当時の幹部の「おごり高ぶり」は、そのまま継承されていったのだと思います。だからこそ、小型車も、低排気ガスの車づくりにも積極的に対応しょうとしなかったのだと思います。
特に、末期においては、金融子会社を設立し、そこで、全く信用力のない消費者に対いしても、どんどん車を売るローンの仕組みをつくりました。そうして、焦げ付きは、ローンの債権を証券化してそれを販売することにより、一見「打ち出の小槌」を作ったかのように見えましたが、結局これとても、サブ・プライム・ローンの車版にすぎず、結局破綻してしまいました。
ドラッカーが生きていて、GMの指導をしていたとしたら、こうした金融子会社はつくらせなかったことでしょう。それに、もっと根本的な提言をしていたに違いありません。
いずれにせよ、GMは、人であろうと、企業であろうと、「おごり高ぶり」や「知ったぶり」は、その成長を阻むという格好の事例になってしまっと思います。
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