2010年5月13日木曜日

大人も“かわいい!”―私たちの精神には清少納言から連綿と続く"言霊"の威力が刻み込まれている?

大人も“かわいい!”(この内容すでにご存知の方は、この項は読み飛ばしてください)


本日、NHKのクローズアップ現代という番組で、「大人かわいい」について、報道されていました。その内容は、以下のようなものです。

この春、おしゃれのキーワードは「大人かわいい」。「大人かわいい」とは、大人になっても女の子らしさを追い求めることです。とくに30代前後の「アラサー世代」を中心に圧倒的な支持を集め、街には10代が好みそうな花柄のワンピースやヒラヒラしたスカートを身にまとった30代女性の姿が目立ちます。

「大人かわいい」をテーマにした雑誌「SWEET」は、出版不況の中、100万部を記録しています。モデルの大半は30代です。ブームの背景には、年相応とされてきたファッションへの違和感があります。雇用不安の拡大や未婚率の上昇などの変化によって、これまで「OL向け」や「結婚適齢期向け」とされた理想のスタイルが、現実離れし始めているのです。

雑誌「SWEET」の表紙

人気モデルで、30代の自分に不安を抱いていたタレントの吉川ひなのさん(30)と、ブームを仕掛けたスタイリストであり、「かわいい」を誰もが楽しめるスタイルにしようと活動する風間ゆみえさん(38)に密着。「大人かわいい」ブームの深層に迫ります。




吉川ひなの「脱いじゃいました!」 資生堂新CM発表会で










というものでした。まあ、この番組のホストや、コメンテーターの話はさほど面白くもなかったので、あまり印象に残っていません。

清少納言から連綿と続く"言霊"の威力?!
この番組、私は、滅多に見ないのですが、本日はiPhoneのスキャンアプリを使って、本をスキャンして取り込みながら、見るともなく見てしまいました。これって、単純作業なので、これだけやると退屈なので、良くテレビを見ながらやったりします。だから、しっかり見たわけではないので、番組自体の解説はしません。しかし、「大人かわいい」に関しては、前から興味があったので、それについて迫って見たいと思います。

吉川ひなのは、ピーチジョンの下着が大好きで、ピーチジョン社長の野口美香とも交流
あり、PJのモデルも務めるようになった。(2007年、下着モデルに挑戦、PJの表紙を飾る)

大人かわいいファッションといってもピンとこないひともいるかもしれないので、その急先鋒でもある、Gal服通販サイト「渋谷市場」のサイトより、今月の商品を見本として下に貼りつけておきます。



要するに、従来だと考えられない年齢層まで、こうした「カワイイ系」のフアッションを身にまとうようなったという社会現象です。これは、是とするか、非とするかは、別にして、これも、このブログに以前紹介した、リアルフアッションであり、その中でも、対象の層が広がったという社会現象です。

さきほどのNHKのコメンテーターは、なにやら小難しいことを並び立ててこの社会現象を解説していましたが、私は、これは日本の伝統文化とかなり関係の深い現象だと思っています。最近の女の子は、ことあるごとに「かわいい」を連「します。だから、中にはボキャブラリー不足と揶揄する人います。

でも、この「かわいい」という表現、それもありとあらゆるシーンで、「かわわいい」と遣うということ、何かを思い出しませんか?

そうです。あの清少納言による古典「枕草子」にでてくる、「をかし」とか、「いとをかし」の表現です。

春は、あけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは 少し明りて紫だちたる雲の細くたなびきたる。
夏は、夜。月の頃はさらなり。闇もなほ。螢の多く飛び違ひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし
秋は、夕暮。夕日のさして、山の端(は)いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり。まいて雁などの列ねたるがいと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はたいふべきにあらず。
冬は、つとめて。雪の降りたるはいふべきにもあらず。霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎ熾して、炭もて渡るも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりて、わろし。

(現代語訳)
春は、あけぼのの頃がよい。だんだんに白くなっていく山際が、少し明るくなり、紫がかった雲が細くたなびいているのがよい。
夏は、夜がよい。満月の時期はなおさらだ。闇夜もなおよい。蛍が多く飛びかっているのがよい。一方、ただひとつふたつなどと、かすかに光ながら蛍が飛んでいくのも面白い。雨など降るのも趣がある。
秋は、夕暮れの時刻がよい。夕日が差して、山の端がとても近く見えているところに、からすが寝どころへ帰ろうとして、三羽四羽、二羽三羽などと、飛び急ぐ様子さえしみじみとものを感じさせる。ましてや雁などが連なって飛んでいるのが小さく見えている様は、とても趣深い。日が沈みきって、風の音、虫の音など、聞こえてくるさまは、またいいようがない。
冬は、朝早い頃がよい。雪の降ったのはいうまでもない。霜のとても白いのも、またそうでなくても、とても寒いのに、火を急いでつけて、炭をもって通っていくのも、とても似つかわしい。昼になって、寒いのがゆるくなってくる頃には、火桶の火も、白く灰が多くなってしまい、よい感じがしない。

枕草子には、この「をかし」「いとをかし」が、これでもか、これでもかという勢いで連発されます。
この「をかし」だって、特に限定された言葉ではなく、いろいろな場面で使われおり。とにかく「よいこと」の意味程度で用いられています。そうして、この「をかし」は、随筆「枕草子」のなかでは清少納言自身の多様な価値観を表した言葉だと思います。

最近の女の子たちや女性が用いる「かわいい」も同じことで、現代女性の価値観を現す言葉として
用いられているのだと思います。本質は、あの古典の「枕草子」とちっとも変わりません。まさに、「かわいい」は、現代版「をかし」「いとおかし」なのだと思います。それに、清少納言が「枕草子」を書いたのは、30歳台だあったと推定されています。だから、清少納言もアラサーだったということであり、本日の話題にピッタリだと思います。

渋谷系リアルファッションの「かわいい」は、このブログでも以前述べた、Tokyo Girls Collectionにも代表されるように、従来のフアッション界の限界を破ってイノベーションをおこし、デフレ下の現在においてでさえ、あいかわらず、多くの人達を惹きつけています。

さて、この「大人かわいい」は、さらに、このイノベーションの対象を広げたということです。実は「かわいい」とは、清少納言の「をかし」に通ずる、女性の価値観を現す、優れて日本の伝統文化的な言葉なのです。

日本では、言葉には、古から魂が宿っているといわれています。声に出した言葉が現実の事象に対して何らかの影響を与えると信じられ、良い言葉を発すると良い事が起こり、不吉な言葉を発すると凶事が起こるとされました。

そのため、祝詞を奏上する時には絶対に誤読がないように注意されました。今日にも残る結婚式などでの忌み言葉も言霊の思想に基づくものです。日本は言魂の力によって幸せがもたらされる国「言霊の幸ふ国」とされました。

『万葉集』(『萬葉集』)に「志貴島の日本(やまと)の国は事靈の佑(さき)はふ國ぞ福(さき)くありとぞ」(「志貴嶋 倭國者 事霊之 所佐國叙 真福在与具」 - 柿本人麻呂 3254)「…そらみつ大和の國は 皇神(すめかみ)の嚴くしき國 言靈の幸ふ國と 語り繼ぎ言ひ繼がひけり…」(「…虚見通 倭國者 皇神能 伊都久志吉國 言霊能 佐吉播布國等 加多利継 伊比都賀比計理…」 - 山上憶良 894)との歌があります。

これは、古代において「言」と「事」が同一の概念だったことによるものです。漢字が導入された当初も言と事は区別せずに用いられており、例えば事代主神が『古事記』では「言代主神」と書かれている箇所があります。

自分の意志をはっきりと声に出して言うことを「言挙げ」と言い、それが自分の慢心によるものであった場合には悪い結果がもたらされると信じられました。例えば『古事記』において倭建命が伊吹山に登ったとき山の神の化身に出会いましたが、倭建命はこれは神の使いだから帰りに退治しようと言挙げしました。それが命の慢心によるものであったため、命は神の祟りに遭い亡くなってしまいました。すなわち、言霊思想は、万物に神が宿るとする単なるアニミズム的な思想というだけではなく、心の存り様をも示すものであったということです。

なにやら話がずれてしまいましたが、私たちがリアルフッションと呼んでいる、「かわいい系」のフアッションや、上で述べた「大人かわいい」などは、「かわいい」が主題となっており、「かわいい」は、「をかし」に通づる女性の価値観を示す言葉であり、価値観とは年齢には関係ないものであるからこそ、「大人かわいい」が成り立つのだと思います。

さらに、言葉には言霊があり、「かわいい」の連発は、一種の「言挙げ」なのかもしれません。女性たちは、無意識に言魂の力によって幸せがもたらされると信じてるのかもしれません。というより、日本人の精神には、言霊のそうした側面が刻み込まれているのだと思います。そうして、こうしたことは、最新の脳化学でも裏付けられているところがあります。

多くの人々は、いわゆる「かわいい系」フアッションは、日本の伝統文化とは全く無関係とみなしていると思います。しかしながら、実はこれらの本質は極めて、日本的なものなのかもしれません。以前私は、あるフランスのデザイナーが日本の「かわいい系」のファッションを評して「優れて日本的」と評していました。私たち日本人は、日本のど真ん中にいて、「かわいい系」のファッションなど見慣れて、当たり前になっているので、別に意識もしていないのですが、フランスのデザイナーが見ると、日本的と感じるのだと思います。

だからこそ、外国の人たちにも新鮮に感じられ、現在のような不安定な時代フイットしているのかもしれません。なぜなら、これも以前このブログに買いたように、経済などが低迷したり、政権交代などで先行き不安なときには、人々はかつてイギリスでも見られたように、歴史や伝統文化を見直して、自信を取り戻そうとするからです。というより、いつも心の根底には、そうしたものがあるのですが、先行き不安な時にはそれが、表に出てくるということなのだと思います。

「大人かわいい」は、上に述べたように、本質は極めて、日本的であり、それも伝統文化に根ざしているとさえいえるかもしれません。これらの事象は、ドラッカーのいうところ、イノベーションであり、それも、極めて日本的な手法によるものなのだと思います。

私は、過去にこのブログで、いろいろな事例にみられる予兆などから、現在のような不安定な時代には、日本的なものが見直されるということを掲載しましたが、そのときには、「カワイイ系」フアッションが上で述べたように極めて日本的なものであるとは意識していませんでした。

しかしながら、今日は、「大人かわいい」について、考察してみて、それがはっきりと認識された気がします。こうした日本的な言霊を意識したやり方は、やっている本人たちもほとんど意識していないのでしょうが、実際に大成功しているところ見ると、やはり、現在は、日本的ものがトレンドとなっているのだということであり、これからもしばらくそうであり続けるのだと思います。

以前テレビを見ていたら、夫婦別姓に関して意見を聞かれて、いわゆる「カワイイ系」や「大人かわいい」系のフアッションの女性たちは、すべからく夫婦別姓に反対しており、そうでない女性は賛成と、きっちりと分かれていました。夫婦別姓は明らかに、家を中心とした日本の伝統文化でもある家を壊すことにつながるものです。これも、こうした日本文化を「かわいい系」の人たちが受け入れていることと関係あるかもしれません。

やはり私たち日本人は、清少納言から連綿と続く"言霊"の威力が精神に刻まれているのだと思います。だからこそ、別に宗教心がないと思わる人も、初詣をしたり、ゲンかつぎをしたり、お正月には晴れ着を着たりするのだと思います。

「大人かわいい」のファッションを身につけたアラサーの中からファッションだけではなく、「かわいい」をキーワードにした、現代版『枕草子』のような素晴らしいエッセイを書く人がでてきて、歴史に残るような作品を書いていただきたいです。

それから、少し手前味噌になってしまいますが、実は、わたしどものピザテンフォーでは、「華(はなやか)}という、四角い形のピザを新規開発して、この春から販売しています。これが、予想をはるかに上回る売上になっています。これは、ネーミングや、四角い形の「お重」も日本を相当意識したものです。ということで、やはり、日本的なものを強調しています。これも、やはり、日本的なものがトレンドとなることを示しているのだと思います。


華(はなやか)
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