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2020年3月31日火曜日

豊田真由子さん「コメンテーター転身」をネット民歓迎の理由―【私の論評】コミュニケーションの本質を知らなければ、豊田氏の失敗の本質や現在の姿を理解できない(゚д゚)!


『バイキング!』にコメンテーターとして復活した豊田真由子氏

新型コロナウイルスが日本中の関心事となって1か月以上が経つ。テレビの情報番組もコロナウルス情報を連日、取り上げている。そのときに欠かせないのが適切な解説やコメントをしてくれる「有識者」の存在だ。東京歯科大学教授で呼吸器内科部長の寺島毅さんや、元国立感染症研究所ウイルス第三部研究員で白鴎大学教授の岡田晴恵さんなど、様々な立場や経歴の専門家が登場しているが、最近、やさしく分かりやすい語り口で評判が高まっているのが元衆議院議員の豊田真由子さんだ。

【別写真】柔和な笑顔には“まゆゆ”のニックネームが

 豊田さんといえば、2017年に報じられた秘書への暴言「このハゲーーー!」で日本中の人に激しい怒りで叫んでいる印象がついていた。しかし『バイキング!』(フジテレビ系)に初めてゲストコメンテーターとして登場した姿はそれと大きく異なり、おろした前髪に肩までのふんわりヘア、淑やかなメイクで穏やかに語っていた。ネットでも「イメチェン!」「キレイだし、やさしそう」「雰囲気かわっていい感じ」と歓迎され、その後、出演するたびに「豊田真由子」や新たに呼ばれるようになった愛称「まゆゆ」がTwitterのトレンドワード入りするほどの注目ぶりだ。

 2017年の騒動当時、ネット、とくにSNSでは豊田さんの話題には罵詈雑言がつきまとっていた。だが、今回の大歓迎ぶりはどうしたことか。たった3年で、これほど評価が変わるものなのか。ネットニュース編集者で豊田さんを当時から追い続けていた中川淳一郎氏によれば「まゆちゃんはもともと、そんなに嫌われていなかったんですよ」と断言する。3年前からそのかわいらしさに注目していたネット民にとって彼女は「まゆちゃん」と呼ばれる存在だったという。

 「騒動時から『まゆちゃんをいじめるな』と主張しているネット民は少なくなかった。確かに暴言でしたが、そこまで追い詰めるような内容かということです。それに、あの騒動のあと、政党の応援もないなか必死に選挙活動する姿が報じられていましたよね。そして落選したから、地獄をみて苦労したんだろうなということを皆が知っている。女性の国会議員はこうあるべきという型にはめられていたのが、今回のテレビ出演で本来の頭の良さやおだやかで優しそうな感じが分かりやすく伝わったのだと思います。そして、司会の坂上忍さんがひな壇に座る髪が薄いことをネタにしているそのまんま東さんなどを差して『ハゲ用意しておきました』と言い、ハゲをネタにしてもらえたことで許された雰囲気になった影響も大きいです」

 さらに、意外なイメージチェンジととられている豊田さんの見た目や言葉づかいの変化は、変わったのではなく、あれこそ本来の姿だ、と元同級生が語る。

 「学生時代はいつも淡いピンクや白などの可愛らしい服装でした。逆に、国会議員になったときのシャープなスーツ姿や髪型、メイクのほうに違和感がありました。穏やかな口調も、同じ教室で勉強していた頃のまま。大声で怒鳴ったり、叫んだりするところなんて見たことがなかった。公衆衛生の専門家として落ち着いて語る様子も、勉強熱心だった豊田さんのままです」

 東京大学法学部を卒業後、厚生省(現・厚生労働省)へ入省した豊田さんはハーバード大学へ留学、公衆衛生学で修士号を得ている。さらに2009年の新型インフルエンザ流行時には、厚生労働省の調整実務担当者だったので、未知の感染症に社会はどのように向き合っていくのか、という難題への取り組みを紹介できるのも納得だ。

 とはいえ、専門領域に詳しくても人に説明するのが上手とは限らない。どのテレビ局も、人に伝える技術も持ち合わせた専門家探しに苦労している。そんななか豊田さんが"発見"されたのは、友人宛のアドバイスが偶然、番組関係者の目に触れたためだった。

 「新型コロナウイルスについて不安を抱える友人に送った、見解とアドバイスのメールが『バイキング!』(フジテレビ系)の番組プロデューサーの目に留まったことがきっかけでした。医療に詳しくない、つまり一般の人に向けて分かりやすく解説されていて、不安を与えないように配慮が行き届いたアドバイスだったんです。テレビで話してもらうのにぴったりだとお願いしました」(番組関係者)

 出演を依頼した番組は生放送だということもあり、それを理由に及び腰になる人も少なくない。だが豊田さんは「役に立てることがあるのならやらせていただきたい、と快諾いただきました」(前述の番組関係者)という。

 その後、豊田さんは複数回、番組に出演しているが、そのたびにネットでは評価が高まっている。内容をみると、冒頭で記した見た目や語り口だけでなく「持ち込み資料すごい」「ものすごい分量の資料」と、机の上に分厚いファイルを置く姿も強く印象づけられているようだ。この「分厚い資料」には、出演者として豊田さんを迎えた番組関係者も驚いている。

「毎回、間違いないように、分かりやすく伝わるように、徹夜で準備してくださっているそうです。スタジオにまで持ち込む大量の資料には赤ペンでびっしり書き込みがある。過去の資料もたくさん用意してくださって、生放送だと間際にお願いすることも多いのですが、どうやったら一番簡潔に説明できるかを直前まで練っていただいています。想定外の質問にも備えるべく、電話帳くらいの資料をいつもそのときの状況に合わせて新しく揃えて、読み込んでいる。本当にありがたいことです」

 2017年10月の衆議院議員選挙落選後、豊田さんは公の場から一切、姿を消していた。それから今回の番組出演で再び登場するまで、どのような生活を送っていたのか。「少し前には家族で笑顔で出かける様子も見られたので、元気になってよかったと思っていたんです」と地元の支援者が語る。

「あの事件のあとは、人前から隠れるように暮らしていました。体調を崩して入院していましたが、退院後は福祉法人に勤めていました。家族にも悲しい思いをさせてしまった、と必死で向き合ってきたそうです」

 家族も落ち着き、テレビ出演によって好感度も上がる一方だ。となれば政治の世界へ復帰することやタレント転身への誘いもありそうだが、本人にはそんなつもりはまったくないそうだ。

「役に立てることがあるのならやらせていただきたいとだけ言っているそうです。この3年間、本当に笑ったことがなかったけれど、こうやって人前に出たことで笑っている自分に気づけた。出演のきっかけをつくってくれた人たちに感謝しているとも話しているそうです」

 ネット、とくにTwitterで大評判の豊田さんだが、2017年の騒動以来、Twitterは怖くてまったく見ていないという。まゆゆへのエールを直接、届けられないのは寂しいかもしれないが、少しはにかんだ笑顔が似合う今の彼女にとって、Twitterを見ないぐらいが応援してくれる人とのちょうどよい距離感なのかもしれない。

【私の論評】コミュニケーションの本質を知らなければ、豊田氏の失敗の本質や現在の姿を理解できない(゚д゚)!

本日豊田真由子氏について掲載したのは、上の記事をはじめ世の中には実に安っぽい論評が多いからです。いずれの報道をみても、コミュニケーションの原則にまで踏み込んだ話をしているものはありません。

私自身は、豊田真由子氏が失敗してしまったのは、コミュニケーションの原則を知らなかったからだと思っています。

これについては、あの事件が起きてから少したってから、(2017年9月18日)このブログに掲載したことがあります。
豊田真由子議員が会見「生きているのが恥ずかしい、死んだ方がましではないかと思ったこともありました」―【私の論評】私達の中の1人から私達の中のもう1人に伝わるものとは?
詳細は、この記事をごらんいただくものとして、この記事ではコミュニケーションの原則をとりあげました。これは、ドラッカリアン (ドラッカー・ファン)なら誰でもご存知と思われるドラッカー氏のあげている原則です。

ドラッカー氏

1. コミュニケーションは知覚である
2. コミュニケーションは期待である
3. コミュニケーションは要求である
4. コミュニケーションは情報ではない

この原則の詳細は、この記事をご覧いただくものとして、なぜ豊田真由子氏が、あの時に失敗し、現在では成功しつつあるのか、各項目ごとに従って分析したものを以下に掲載します。

1. コミュニケーションは知覚である
大工には大工の言葉で話せと、ソクラテスは言っています。コミュニケーションとは、相手に知覚されなければ伝わらず、全く無意味になってしまいます。「2.のコミュニケーションは期待である」の項でも述べますが、彼女自身が相当な努力家で優秀な人であり、こうした優秀な人間にありがちな欠点は、他者が自分と同様に優秀であり、自分にとっては疑問の余地がな言葉なので、相手にも通じるのが当然という錯覚を抱いてしまう点にあります。
言葉も、相手に合わせた言葉でいうのでなく、自身の理解できる範囲で語ることが多く、相手の範囲を超えていることもしばしばあります。 あるいは、同じ事を言っても、コミュニケーションが互いに成り立っている相手なら、理解ができても、そうでない人に対しては、理解ができないということもよくあることです。豊田氏は、このあたりの配慮が欠けていたものと思います。
2. コミュニケーションは期待である
彼女自身は、非常に優秀な人物で、ミスを仕出かす人々の気持ちが本当に理解できないのできなかったのではないでしょうか。彼女の経歴をみると、東大法学部卒業、厚生労働省入省、ハーバード大大学院修了、そして衆議院議員に当選しています。 
およそ非の打ち所のないほど華麗な経歴で、彼女自身が相当な努力家で優秀な人だったのです。こうした優秀な人間にありがちな欠点は、他者が自分と同様に優秀であるという錯覚を抱いてしまう点にあります。
本来であればできるはずなのに、意図的に努力を怠っているから、仕事ができないという風に思い込んでしまうのです。自身が優秀であればあるほど陥りがちな欠点といってよいでしょう。この罵声を浴びせられた秘書のミスを許すことができなかったのでしょう。 
ところが、人間は皆、豊田代議士ほど努力家でも優秀でもありません。多くの人が豊田代議士ほど優秀ではないというのが、世の中の常です。確かに豊田氏は優秀な官僚ではあったかもしれないですが、個々の人々の心をおもんばかることができなかったという意味においては、政治家には絶対に不適格な人物であったといえるでしょう。 
これをドラッカー流にいえば、「コミュニケーションは期待」であるということです。豊田氏は、叱責した秘書に対して過度の期待をしすぎたのです、「このハゲー」という罵声は、豊田氏の秘書に対する期待を表していたのです。
それを秘書が受け止められなかったので、あのような事件になってしまったのです。 
3. コミュニケーションは要求である
相手に何かを要求するときに、それは相手の期待の範囲をこえる場合もあります。その場合には、これからおこることは相手の期待の範囲を超えていることを伝えなければなりません、そのためには覚醒のためのショックを与える必要があります。
覚醒のためのショックというと、仰々しいですが、平たくいうと、企業活動の日常でよくあるのは叱ることです。
この覚醒のショックを与えるには、相手の期待を良く知っていないければ無理です。豊田氏の「このハゲー」発言、はまさに秘書に対する要求で、何とかしろという叫びだったのでしょう。
しかし、秘書からすれば、自分は普通に仕事をこなしていると思い、豊田氏にとってそこそこ役に立っていると思っていて、豊田氏の期待には、ほぼほぼ応えていると思っていたのでしょう。
ところが、豊田氏の期待の水準は、それよりもはるかに高く、完璧に秘書の想定の範囲を超えていたのでしょう。 豊田氏は秘書の期待がどの程度のものだったかなど、全く考慮していなかったのでしょう。
4. コミュニケーションは情報ではない
コミュニケーションは情報ではありません。しかし、両者は相互依存関係にあります。情報は人間的要素を必要とせず、むしろ感情や感想、気持ちなどを排除したものの方が信頼される傾向にあります。そして、情報が存在するためにはコミュニケーションが不可欠です。 
しかし、コミュニケーションには必ずしも情報は必要ありません。必要なのは知覚です。相手と自分との間に共通するものがあれば、それでコミュニケーションは成り立つのです。このことも豊田氏は理解していなかっのでしょう。
5年ぶりくらいに、親友に会っても、話は十分に通じます。それはコミュニケーションが成り立っているからです。しかし、初めて会った人とは、相手にあわせるとか、平易で誰にでもわかる言葉を使いをするなどの配慮しないと、なかなかコミュニケーションは成り立ちません。
ドラッカーの「コミュニケーション」の原則には、最後にもう一つ重要なものがあります。それは、コミュニケーションとは「私達の中の一人から、私達の中のもう一人に伝わるもの」であるということです。

コミュニケーションを交わすには、そもそも「私達」といえる関係になっていなければ、伝わらないのてす。

豊田氏と「このハゲー」といわれた秘書の間には、「私達」といえるまでの関係はなかったのでしょう。

コミュニケーションの成り立っていない間柄の人間同士では、表面的な付き合いしかできないということです。そうして、コミュニケーションが成り立っていない場合は、最悪の結果を招くことになります。

この元秘書は、年齢ははっきりしませんが、豊田氏よりは一回り上だったようです。であれば、経歴や学歴などでは、豊田氏には及ばないかもしれないですが、コミュニケーションにかけては一日の長があるはずで、未熟気味の豊田氏に対して何らかの対処ができたはずとも思います。

恐らく、何度も信じられないほどの暴言を浴びせられ、嫌気が差したことは理解できます。しかし、本来、彼がなすべきだったのは、ミスをした点に関しては、豊田代議士に対する心からの謝罪であり、その後になすべきは、豊田氏の異常な言動に対する「諫言」ではなかっでしょうか。

失敗した点は謝罪すべきですが、本来、非難されるべき点ではない身体的特徴を揶揄(やゆ)され、人格を否定されるような発言がなされた点に対しては、いさめるべき立場にあったと考えられます。いさめて聞き入れないというのならば、断固として、その点は認めがたいと面を冒してでも堂々と主張すべきだった思います。

これは、豊田氏に対する覚醒へのショックとなり、豊田氏も変容して、それこそ秘書と「私達」といえる関係となり、コミュニケーションが成り立つきっかけになったかもしれません。どちらか一方の期待や、要求が他方の想定よりもはるかに大きい場合、このようなことになりがちです。

昔は、本当の親友とは喧嘩をしないとなかなかなれないといわれたものですが、これは本当にコミュニケーションを成り立たせるためには、覚醒のショックが必要だということを指していたのだと思います。しかし、最近では、単なる知人を友だちなどと読んでいる人も大勢いて、こういうことが理解されていないのではないか思うことがしばしばあります。

現在の豊田氏が、現在ネット民に歓迎されているのは、やはり、このコミュニケーション能力を体得しつつあることが、ネット民にも伝わったからではないでしょうか。

見た目や語り口だけでなく、毎回、間違いないように、分かりやすく伝わるように、徹夜で準備するなど、とにかく相手を中心にものを考えるようになっていることが、評価されているのでしょう。とにかく、スタジオの共演者や視聴者の人々と、「私達」といえる関係を構築すべく努力している姿が評価されたのだと思います。

それにしても、この豊田氏の過ちを単に批判するだけの人もいましたが、現在の日本には、残念ながら、豊田氏同じよう間違いをし続ける人も多いのではないでしょうか。実際、河村建夫元官房長官は豊田氏に対して「ちょっとかわいそうだ。あんな男の代議士はいっぱいいる」と述べていました。

さらに、最近特に中間管理層には、部下を怒ったり、褒めることはできても、叱ることができない人も大勢いるようです。これでは、コミュニケーションが成り立っていないと思います。

私自身も、以前ドラッカーの「マネジメント【エッセンシャル版】」を題材として、40歳前後の有志と集い、読書会を開いたことがあります。その時、「コミュニケーションの原則」に関わる読書会の時に感じたのは、多くの人が字面を追っているだけで、ドラッカーのいうところの「コミュニケーション原則」を良く理解していないと感じたことでした。

多くの人感想は「当たり前」というものでした。では、その当たり前の事実の例証をあげてみよと指摘すると、満足な事例があがってこないのです。普段からあまりコミュニケーションに関心がないことの現れだと思いました。

他にも、事例があります。私は以前人事の仕事をしていたこともあるので、当時は企業説明会にも何度も足を運んだことがあります。そこで、他の企業の採用担当と親しく話をしたことがあります。

当時は、不況の真っ只中で、どこの企業も積極採用はしておらず、そうして多くの企業が「コミュニケーション能力重視」を採用のポイントだとしていました。


そこで、「コミュニケーション」を重視しているという企業の採用担当者の何人かに、担当直入に「御社でいうところのコミュニケーションとは何か」と質問してみました。

そうすると、多くの担当者が答えに窮していました。「コミュニケーション」とは当然のことであり、それまでまともに考えたこともないようでした。すぐに反応する人もいましたが、それにしても、技法などに限られていて、深みのあるものはほとんどありませんでした。

無論、私としてはドラッカーのいうところの「コミュニケーションの原則」のような答えを期待していたわけではないのですが、それにしてもわざわざ「コミュニケーション重視」というのですから、当然何かあるだろうという私の思いは見事裏切られました。

結局当時は、かなりの不況であり、多くの企業は、人の採用は控えていたのですが、それにしても採用を全くしなければ、将来管理者や幹部を選ぶときに候補者がいなくなり、大変なことになるので、当たり障りのない調整型の人を採用するというのが、本音だったようです。

特定の方向に能力かありあまるような人を採用すれば、不況のさなかで何か新しいことにチャレンジしようとするでしょうし、そのようなことはできないわけですから、かえって企業が混乱してしまうことになります。であれは、調整型人間を採用しておけば、当たり障りないということです。要するに「調整型」では格好が悪いので「コミュニケーション型」という曖昧な言葉を用いただけのようです。

「コミュニケーション能力=調整型能力」というわけです。これは、コミュニケーションの一側面を表しているだけで、コミュニケーションの本質ではありません。私は、以前にもカタカナ用語の弊害を主張してきましたが、この日本ではおそらく「コミュニケーション」ほど曖昧につかわれている言葉はないと思います。それが、様々な混乱を生んでいると思います。

私は、随分前から日本人はいつの間にか、コミュニケーション能力が衰えてきているような気がしていました。何しろ、豊田氏の例の事件が起こってしまったのですから、代議士もひどければ、秘書も著しくコミュニケーション能力が欠如していたと言わざるを得ません。日本の政治は一体どうなってしまうのかと思わざるを得ない低俗な事件でした。

もともとの日本人はわざわざ「コミュニケーション」という言葉を持ち出すまでもなく、そのようなことは、ある程度の年齢になれば、自然と体得していたと思うのですが、現在そうではないようです。

「報告・連絡・相談」いわゆる「ホウレンソウ」がコミュニケーションと信じて疑わない人もいます。いくら「ホウレンソウ」をしていても、コミュニケーションが希薄な場合もあります。あるいは、コミュニケーション=ノミュニケーションであり、「一緒に飲めばわかると」、中東のテロリストにツイートして、「私達はあなたを殺します」と答えられた学生がいたりします。この学生は、中東は原則禁酒であることを知らないのでしょう。
 

コミュニケーションの本質を知らない人たちが、「コミュ障」などの言葉を使っています。これでは、日本には「コミュ障」がはびこるわけです。現在では、「惻隠の情」という言葉ですら、死語になってしまったようで、わからない人が多いです。

田中角栄は「人たらし」といわれていましたが、田中氏は本当にコミュニケーション能力が優れていたのだと思います。そのような逸話は、いまでもサイトを検索するとたくさんでできます。

豊田真由子氏は、相当のストレスを抱えていたようですが、コミュニケーションに問題があれば、そうなります。

現在はストレス社会ともいわれていますが、ストレスを抱えている人の中にもコミュニケーションに問題がある人が大勢いるのではないでしょうか。

現在では、コミュニケーションという言葉を使い、ドラッカーの「コミュニケーション原則」をあげて、厳密に話をしないとわからない人が増えてきました。残念なことです。
 
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2020年1月21日火曜日

米国やイランも歓迎なのに…海自中東派遣に反対の野党 韓国外交は板挟みで迷走中 ―【私の論評】中東海自派遣には、いずれの国も反対していない。反対するのは日本の野党のみ(゚д゚)!

米国やイランも歓迎なのに…海自中東派遣に反対の野党 韓国外交は板挟みで迷走中 
高橋洋一 日本の解き方

中東に派遣された海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」

 海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」とP3C哨戒機が中東に派遣された。その意義と、中東情勢において日本の果たす役割について考えてみたい。

 イラン沖のホルムズ海峡は、狭いところが33キロしかない世界海上交通の要衝だ。特に日本にとっては、この海峡が封鎖されると、石油の輸入の大半が絶たれてしまう。

 経済産業省の「石油統計」によれば、日本の原油輸入元として、2018年時点でサウジアラビア(38・0%)、アラブ首長国連邦(25・4%)、カタール(8・1%)、クウェート(7・6%)と上位4カ国で約計79%を占める。欧米の中東依存度が2割程度であるのと比べても比重が大きい。日本の1次エネルギー国内供給の4割は石油であり、その8割がホルムズ海峡に依存しているので、同海峡は日本のエネルギーの生命線といってもいいだろう。

 現在、米国とイランの間で一触即発の緊張関係が続いている。もし万が一ホルムズ海峡で有事になると、日本経済への打撃は他の欧米諸国の比でない。

 日本のタンカーはホルムズ海峡を日々通過しているが、その安全が確保されない場合、どのように対処すべきか。

 ロジカルには、(1)自衛隊の単独派遣(2)他国との協力(3)静観-である。このうち、(2)の他国との協力では、米主導の欧米の有志連合への参加以外の選択肢は今のところない。

 一部の野党は、(1)にも(2)にも反対なので、結果として(3)の静観ということになる。かつて一部の野党は、「石油が日本に入らなくてもたいしたことはない」と豪語していたが、論外だ。国内の石油備蓄は200日分以上もあるので、備蓄がある限りは日本経済はなんとか持ちこたえるが、それがなくなると苦境に陥るのは、過去の石油危機をみればわかることだ。

海自中東派遣に反対の立憲民主党枝野代表

 筆者は、あるべき対応として、(3)は論外として、本コラムで(1)を勧めてきた。日本の米国とイランに対する立ち位置を考えたときに、(2)の有志連合では対イランとの関係でまずいからだ。安倍晋三政権は常識的な判断として(1)を選択した。

 この方針は、米国にもイランにも支持されている。今回、安倍首相は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、オマーンを歴訪した。中東での平和外交であり、タイミングは絶妙だ。しかも、その成果として、(1)について、これらの諸国の賛同を取り付けた。

 一方、韓国外交はこの問題で迷走している。当初は有志連合への参加方針だったが、イランから恫喝(どうかつ)され、米国からは有志連合への早期参加を催促され板挟みになった。日本は早い段階で(1)を決めたのと好対照だ。

 今回の安倍首相の中東歴訪は、オマーン国王死去にも重なり、弔問外交にもなった。喪に服するという意味で中東には一時的に紛争が起きにくい状況なので、この好機に日本主導で中東和平ができるかもしれない。これは、米国とイランの両方にパイプを持っている安倍政権しかできないことだ。まさに正念場である。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】中東海自派遣には、いずれの国も反対していない。反対するのは日本の野党のみ(゚д゚)!

私は野党がなぜ、海自中東派遣に反対するのか全く理解できません。そもそも、民間のタンカーが危険な地区に行くのは問題がなくて、海自がその地区に行くことは反対というのは理解できません。

中東に派遣された海自のP3C哨戒機

たとえば、武装した敵に包囲されていて、それでも日々に必要な水を包囲した敵の近くの水場まで汲みに行くのに、主婦や子供などに水を汲みにいけというのでしょうか。まともな感覚であれば、もし身近に軍人や、警察などがいれば、それらに行かせるか、あるいは水汲みをする人たちの警護に当たらせるのではないでしょうか。

自衛隊を中東派遣すると「イスラムに嫌われる」などと報道されていますが、あれは全くの欺瞞です。中東の産油国にとっても海路の安全確保は極めて重要です。

タンカーがミサイル攻撃されるとか、海賊に襲われることはあってはならないということで、日本と産油国の利害は一致しています。そもそも、日本を敵視するイスラムとは誰のことなのでしょう。IS、アルカイダ、それとも海賊なのでしょうか。

日本はテロリストや海賊のご機嫌を取るために、自衛隊を派遣しない方が良いというのでしょうか。彼らは自衛隊を派遣しようとしまいと日本を敵視しています。自衛隊を派遣すると中東諸国に嫌われるという発言はいろんな意味でまともではありません。

それにしても、安倍総理がこのタイミングで中東歴訪したことは良いことでした。サウジアラビア、UAE、オマーンに行って皆さんと同じように海路の安全確保が大事だと考え、自衛隊を派遣しますと直接伝え、相手からも同意を得た上で海自を中東に派遣したのです。

サウジアラビア・ウラー近郊でムハンマド皇太子(左)の歓迎を受け握手する安倍首相=1月12日

一方、上の記事では韓国外交はこの問題で迷走しているとしていますが、韓国もとうとう中東に艦艇を派遣することを決めました。

韓国政府は21日、中東・ホルムズ海峡への独自の海軍部隊派遣を決めたと発表しました。海賊から韓国船を保護する目的でソマリア沖・アデン湾へ既に派遣されている部隊の活動範囲を一時的に拡大します。米国が求めていたホルムズ海峡の安全確保を目指す有志連合には参加せず、必要に応じて協力するとしています。

米韓間では最近、北朝鮮への韓国人の個人観光を進めたい韓国と難色を示す米国との溝が深まっています。文在寅政権としては、米側の派兵要請に応じることで懸案を減らしたい考えとみられますが、支持層が反発する可能性もあります。

いずれにせよ、韓国ですら派遣を決めたのです。日本の一部の野党は、これをどう捉えるのでしょうか。

海上自衛隊の護衛艦による警護を希望する船舶は約2600隻にのぼるといいます。これは、アデン湾を航行する日本関係船舶の年間隻数にほぼ匹敵するそうです。

海賊発生件数が多発した2010(平成22)年には、219件の襲撃があり49隻が乗っ取られ、1181人が人質にされました。ニュースとしてしばしば取り上げられ、翌2011年にピークに達し237件も発生しました。

しかし、2012年には80件弱となり、2013、2014年はひと桁、2015年には遂にゼロになったことからも劇的に状況が改善しました。

世界各国が手を携え、軍艦や自衛艦などを派遣し根気強く洋上の監視を行い、海賊という共通の脅威に対抗した結果がもたらしたものです。

今回の派遣は海賊対処に加えて日本関係船舶の安全航行のためで、ジブチ基地沖のアデン湾からアラビア海北部、そしてホルムズ海峡(含まない)に繋がるオマーン湾まで、正しく日本列島に匹敵する広範囲に及びます。

国家存立の基本であるエネルギーは、輸入先や資源の多様化が叫ばれて久しいですが、原油の中東依存は1970年代の石油危機時よりも増大し88%にも達しています。

北海道では、昨年ブラックアウトがあつたばかりですが、石油がなくなれば、あのようなことも起こりえます。北海道では2、3日のことですみましたが、長期にわたってあのような事態が起これば、大変なことになります。それこそ、死人がでかねません。

他方で、ドナルド・トランプ大統領は、米国はエネルギーを他国に依存する必要がなくなったと宣言しました。

このことからは、米国の中東関与も逐次縮小が予測され、日本は自らエネルギー安全確保の必要性に迫られることになりました。

このことからも、自衛隊の活動の礎をしっかり確立することが直近の課題であり、現行憲法範囲内でもできることはすべて行うという姿勢も重要ですが、将来的には憲法の見直しが不可欠です。

その意味で、野党の自衛隊の安全のため、中東への派遣は中止すべきという提言はあまりに近視眼的なものであり、とうてい日本の安全保証をまともに考えているとは思えません。

私には、彼らは倒閣のため、国民の安全を犠牲にしているとしか思えません。

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2019年1月5日土曜日

中国は「月の裏側」の着陸探査で世界をリードする―【私の論評】中国が、ジオン公国妄想を夢見て月面の裏の探査活動を続けるなら日米にとって歓迎すべきこと(゚д゚)!


地球の前を横切るの「裏の顔」を、NASAの宇宙
天気観測衛星「DSCOVR(ディスカヴァー)」が捉えた様子

世界で初めての裏側への着陸を目指していた中国の無人月探査機「嫦娥4号」が、着陸に成功したと発表された。これから探査ミッションが本格化することになるが、中国の最終的な目標は、将来の有人宇宙探査に利用する月面基地の建設にある。まだ知られざる月の裏側の探索において、中国が世界をリードし始めた。

月の裏側は、実は「ダークサイド」ではない。それがわかっているのは月面車だけでなく、月を周回するアポロのカプセルに搭乗した人間たちも多くの写真を撮ってきたからだ。しかし、間もなくわれわれは、これまで地球から詳しく観測することができなかった月の裏面を見られるようになるだろう。

それは、12月8日に打ち上げられた中国の月探査機「嫦娥4号」のおかげだ。嫦娥4号は、四川省にある西昌衛星発射センターから、「長征3号B」ロケットによって打ち上げられた[編註:記事初出は2018年12月だが、「嫦娥4号」は1月3日夜に月の裏側に到着したことが発表された]。

ランダー(着陸船)と月面車を搭載したこの月探査機は、地球に最も近く忠実に寄り添ってくれる仲間である月の、まだ誰も足を(あるいはタイヤを)踏み入れたことのない裏側に着陸する初めての探査機となる。月面車が周囲を巡回し、月の表面や、表面に近い層を調査することになるのだ。

嫦娥4号は、27日間にわたって探検に挑戦する予定だ。月面に着陸する宇宙船としては、13年の「嫦娥3号」に続いて中国で2機目となる。嫦娥3号の月面着陸は、1976年に月面に着陸してサンプルリターンのミッションを果たしたソ連の「ルナ24号」以来だった。

最終目標は月面基地の建設

今回のミッションの目的は各種の実験を行うことだが、中国の最終的な計画は、将来の有人宇宙探査に利用するための月面基地の建設だ。ただし中国国家航天局(CNSA)は、今回のミッションがその実現に向けた計画を先導するものであるかどうかについては明らかにしていない。

一方でこのミッションは、国際的な月探査科学界で複雑な感情をあおる可能性がある。12年にパリ地球物理研究所のマルク・ウィチョレックは欧州宇宙機関(ESA)に対して、月の裏側を探査する「Farside Explorer」計画を主張したが却下された。

セントルイス・ワシントン大学のブラッド・ジョリフも、17年に「MoonRise」と呼ばれるミッションを米航空宇宙局(NASA)向けに提案したが、残念ながら採用されなかった。

「NASAとESAが選択しなかったミッションを中国の研究者たちが実現することについては、嬉しさ半分悔しさ半分という思い、あるいはもっと強い感情があるかもしれません」と語るのは、テネシー大学地球惑星科学科のブラッド・トムソンだ。

月面の巨大クレーターに着陸

軌道上を回る人工衛星からの遠距離観測によると、月の裏側の表面は表側よりもはるかに古いもので、衝突クレーターの数も多く、地殻も厚い。表側と裏側で状況が異なる理由は謎だ。嫦娥4号の月面車によって、何らかの手がかりが見つかる可能性がある。

ブラウン大学の地質科学教授ジェームズ・ヘッドは、「ランダーによるミッションが行われるたびに、多くの新しい驚きが生まれます。月のどの部分を訪れても、何らかの新しい、根本的なことを学ぶことができます」と話す。

前回のミッション(嫦娥3号)で13年12月に月面に軟着陸した「玉兔号」は、予定されていた3カ月よりもはるかに長い31カ月間にわたってデータを送り続けた。16年7月31日に稼働を停止したが、月の表側に永遠に留まることになっている。

嫦娥4号は、直径180kmのクレーター「フォン・カルマン」の内側に着陸する予定とされていた。ESAの月探査用技術試験衛星「スマート1」のミッションを率いた科学者バーナード・フォーイングによると、このクレーターは、直径2,500km、深さ12kmという巨大クレーター「南極エイトケン盆地」にあるという。

この巨大クレーターは月面上で最も古い地形で、太陽系全体でこれまでに知られている最も大きな衝突クレーターのひとつだ。南極エイトケン盆地をつくった衝撃によって「月の地殻が剥ぎ取られ上部マントル物質がむき出しになった可能性があります。岩や土といった鉱物的特徴と共にです」とフォーイングは説明する。

月面車は、可視光と近赤外光の画像分光計を使って、月表面の鉱物組成の測定を試みる計画だ。

ジャガイモなどの栽培実験も実施

多分野にわたる航空宇宙科学のコンサルティング会社であるスペース・エクスプロレーション・エンジニアリングの最高経営責任者(CEO)マイク・ロウクスによると、南極エイトケン盆地には、クレーター内に永久に影になる部分があるとする説もあるという。「そうした地域には氷が堆積している可能性があり、そうだとすれば月面基地には非常に便利です。そのような氷の堆積する場所が特定されたら、その近くに月面基地が置かれる可能性は高くなります」

作業はそれだけではない。ミッションの目的の詳細を説明する論文によると、ほかにも月面の地図の作成や、地中探知レーダーを使った表面に近い層の厚さや形状の測定などで、小さな月面車は大忙しだ。月の形成から間もないころのプロセスを理解するために、月面から100mほど内部の画像化も試みることになっている。

嫦娥4号には、ジャガイモとシロイヌナズナの種も積み込まれた。地球の6分の1とされる月面の低重力下で、温度と湿度が調節された密閉環境で育つことができるかどうかを調べるためだ。有効であることがわかれば、人類による宇宙探査の出発点として、月に基地を建設することにつながるかもしれない。

低周波での電波天文学の実験も行われる予定だ。地球では、電離層や人工的な無線周波数、オーロラからの放射ノイズといった干渉があるが、月の裏面ではこうしたものは遮断されている。

地球との通信は中継衛星経由

嫦娥4号には、低周波受信機が搭載されている。18年5月に中国によって打ち上げられ、現在は月の周囲を回っている通信中継衛星「鵲橋」にも受信機が1台搭載されている。さらに、鵲橋から月の軌道上に発射された超小型衛星にも、3台目の受信機が搭載されている(4台目を搭載していたもうひとつの超小型衛星は、地球との連絡がとれなくなっている)。

太陽の電波バーストや、ほかの惑星のオーロラ、最初の星の形成につながる原始の水素ガスなどから発生する信号を検出することが目的だ。

月の裏側が地球のほうを向くことは決してないため、月面車と直接通信することは不可能だ。月面車は、鵲橋を中継局として使う必要があるが、これがミッションの重大な部分だとブラウン大学のヘッドは述べる。

「アポロ計画の最中に、わたしたちは裏側での着陸について話し合いました」とヘッドは述べる(有力候補に挙がったのは「ツィオルコフスキー」クレーターだった)。「しかし、当時は通信を中継できるものがなかったうえ、コミュニケーションのチェーンがどうしても複雑になり、それはあまりにも安全性が低いと考えられました」
「中国のリードは明らか」

中国が月の調査を行うのは最近のことではない。中国の月の女神にちなんで名付けられた「嫦娥計画」は、2000年代初期に始まった。CNSAが「嫦娥1号」と「嫦娥2号」を打ち上げたのは、それぞれ07年と10年だ。

「月の裏側の探査について中国がリードしているのは明らかです」とヘッドは話す。「わたしたちは中国が今後、裏側からのサンプルリターンのミッション、特に南極エイトケン盆地からのサンプルリターンによって、調査をさらに進めてくれることを期待しています」

【私の論評】中国が、ジオン公国妄想を夢見て月面の裏の探査活動を続けるなら日米にとって歓迎すべきこと(゚д゚)!

宇宙空間で制御不能となり、世界の少なからぬ人たちを心配させた中国の軌道上実験モジュール「天宮1号」は、昨年4月2日午前9時すぎ(日本時間)、南太平洋上で大気圏に再突入し、すべて燃えつきたと発表されました。大惨事は回避され、ほっとしている方もいらっしゃたと思います。

「天宮1号」は、昨年南太平洋上で大気圏に再突入し、すべて燃えつきた

しかし、本当に懸念すべきなのはこれからかもしれません。「天宮1号」は宇宙空間での宇宙船とのドッキングをテストするための、いわば"宇宙実験室"でした。いったいなぜそんな実験をする必要があるでしょうか。

そこを掘り下げていくと、中国の戦慄すべき宇宙開発への野望が見えてきます。そうして、今回は月の裏側の探査をはじめました。地球からは絶対に見えない前人未到の領域で、中国は何を狙っているのでしょうか。

まずは、なぜ月の裏側が地球から見えないのかを簡単に説明します。月が地球の周りをくるりと1回、公転する間に、月自身もちょうど1回、自転します。そのため、月はいつも同じ面(表側)を地球に向けることになります。これは偶然ではありません。

裏側より少し重い表側がつねに地球の重力に引っぱられているので、「起き上がり小法師」が自然に立ち上がるように、表側が自然と地球を向くのです。木星の4つのガリレオ衛星や、火星の2つの衛星(フォボスとダイモス)も、同じ面を惑星に向けています。

さて、この地球からは見えない、月の裏側ですが、過去にも観測された事例はあります。最初に月の裏側を観測したのは旧ソ連のルナ3号で1959年のことでした。そのため月の裏側は、ロシアの偉人にちなんだ地名がたくさんついています。

その後も、月の周回軌道に入った探査機の多くが月の裏側を観測しています。日本の大型月周回衛星「かぐや」も、月の裏側を含んだ全球(つまり月の地表すべて)を観測して、詳細な地形図や重力異常図をつくりました。

月の表側にはおなじみの、ウサギが餅をついているような黒い模様があります。これは月の火山活動で溶岩が流れた跡で、「海」と呼ばれています。しかし裏側には、この海がほとんどありません。つまり表のほうが裏よりも火山活動が激しかったのです。

また、表に比べて裏のほうが、地殻が厚いらしいこともわかっていますが、なぜ表と裏で地下構造が異なっているのかは、よくわかっていません。地球もできたての時期は場所によって地下構造が異なっていたかもしれませんが、地球は初期の地殻がプレートテクトニクスによって失われているので、月の研究が、地球の初期地殻を知る手がかりとなるかもしれません。

次に、月裏側への着陸の難易度などについ説明します。月の裏側には、地球の電波が直接届きません。しかし現代の無人探査機は基本的に自動操縦なので、着陸そのものは月の裏側でもさほど難しいことではありません。

ただし、少し難しいのは、観測したデータを地球に送るときです。普通は月周回衛星を同時に打ち上げて、中継させます。月の裏側で探査機から衛星にデータを転送して、さらに衛星が表側から地球に転送するのです。

しかし、中国はさらに高度な技術を使っています。月の裏側の上空に、中継局を飛ばしています。地球と月の周辺にはラグランジュポイントといって、重力がつりあうため一定の場所で止まっていられるポイントが5つ存在します。そのうち、月の裏側にある「L2」に中継局を飛ばして、途切らせることなくつねに電波を中継しようというわけです。

ラグランジュポイント。中心の黄色い円が地球、
右の青く小さい円が月、地球から見て月の裏側に「L2」がある


では、中国はなぜ、このように裏面着陸に力を入れているかを説明します。月の裏側以外にも、科学的に興味のある場所はたくさんあります。しかし中国は、単なる科学探査としてだけでなく、L2に電波中継システムをつくるという技術開発を重要視しているのです。

1回の探査だけなら、周回衛星に中継させたほうがローコストでできますが、中国は長い年月での月開発を視野に入れて、インフラ技術の整備を着々と進めているのです。

いずれは、L2に有人宇宙ステーションをつくるはずです。4月2日に落下した「天宮1号」によるドッキング実験も、宇宙ステーション建設のためだったのです。世界で最もまじめに月に取り組んでいる国、それがいまの中国です。

話は少し飛びますが、L2とは、アニメ作品「機動戦士ガンダム」で、ジオン公国がつくられたスペースコロニー群「サイド3」のある場所です。

アニメ作品「機動戦士ガンダム」で、ジオン公国がつくられたスペースコロニー群「サイド3」のある場所

そうして、中国はこれを実現するつもりかもしれません。近い将来、中国の宇宙ステーションに1億人以上が移り住んでコロニーとなり、中国がL2にジオン公国をつくるということもありえるかもしれません。

L2は月の裏側との通信のためにはどの国も使いたい場所ですから、中国一国が独占するということはないでしょう。でも巨大なコロニーができたら、それが国家のようなものになることはあるかもしれません。

中国が今回月裏側の着陸に成功したことにより、学術面、軍事面、資源の面などの観点から様々な収穫がありました。

中国はこれまで月について、科学的な成果では一歩遅れをとっていました。欧米や日本は月の石や隕石を使った宇宙物質研究の蓄積があるので、探査データを科学的成果に結びつけるアイデアが豊富なのに対し、中国は探査ができても、データをうまく科学成果に結びつけられませんでした。

しかし裏側の岩石の詳細なデータがとれれば、間違いなく新しい科学的発見につながるでしょう。

軍事面では、いますぐ直接に私たちの脅威になる要素はないです。ただ、L2に有人宇宙ステーションがつくられれば、国際宇宙ステーションに代わる新しい国際宇宙秩序の中核施設となる可能性はありますね。

資源の面では、現在のところ、裏にしかない物質というのはとくに見つかっていませんが、裏側に関して優位に立てば、資源採掘でも中国が有利になるでしょう。また「場所」も資源と考えれば、地球の反射光や電波にさらされない月の裏側は、深宇宙の天体観測に最適な場所となります。
今回の月の裏側着陸の成功によって、しばらくは、月の裏側と常時通信ができるのは中国だけ、という状態になるでしょう。他国が月の裏側を探査・開発するときは、中国の通信設備に依存するようになるかもしれません。

機動戦士ガンダムに登場するシャア・アズナブル

しかし、L2に宇宙ステーションを設置する構想はアメリカやロシアなどにもあり、いつまでも中国に独占させることにはならないでしょう。ただし、現在のロシアのGDPは東京都を若干下回る程度なので、一国だけではむりかもしません。

宇宙開発においては、中国が重力天体への着陸やローバー(天体探査用の探査車)の運用も成功させているのに対して、日本はいま計画中の「SLIM」が成功してやっと重力天体への着陸技術を得ることになります。現時点では、大きく遅れていると言わざるをえません。

また、中国は30年間使用可能な原子力電池を探査車に搭載しているので、2週間も続く極寒の夜の間も、機器が低温で壊れないよう温めることができます。昨年10月には嫦娥3号から発進した月探査車「玉兎号」が684日稼働し、月面の稼働日数最長記録を更新しました。

ところが日本は放射性物質に対して厳しい国なので、原子力電池を使うという選択肢が最初からないのです。これは宇宙探査において非常に不利な条件となっています。

さらに気になるのは、宇宙探査についての日本の考え方です。日本はどうしても、低予算で最大の成果をあげようとして、特色のある探査をしようとします。自動車産業にたとえると、フェラーリやランボルギーニのようなスーパーカーで勝負しようとするメーカーのようです。しかし自動車大国になったのは、地味でもきちんと役に立つ大衆車をつくるメーカーがある国です。

科学探査だけなら日本の戦略もアリなのですが、本当に宇宙で活躍できる国になるためには、宇宙開発の基盤技術を着実に育てていく戦略が重要です。そういう意味で、重力天体の着陸実証をするSLIM計画や、H-IIIロケットの開発は大変重要で、ぜひ成功させなくてはなりません。
世界の宇宙開発トップを走っていた中国が、さらに前進しています。アメリカは月上空の宇宙ステーション「深宇宙ゲートウェイ」の構築を検討していますが、実現するのは早くても2025年になりそうです。

日本は中国に大きく遅れをとっていましたが、アメリカの「深宇宙ゲートウェイ」への参加を表明し、SLIM計画やインドと共同の月極域探査計画が現実味を帯びてくるなど、ようやく国内に「月への風」が吹きはじめています。「かぐや」で得た優位を保てるか、ここが踏ん張りどころです。

ここまでは、宇宙開発に関してのみ掲載してきましたが、ご存知のように現在は、米国による対中冷戦が激化しています。

これにより、中国は経済的にも窮地に追い込まれつつあります。これについては、このブログでも過去に何度も掲載してきていますし、他のメディアでもかなり報道されています。

昨日のブログでは、以下のような内容を掲載しました。
中国の習近平国家主席は昨年12月14日に開かれた政治局会議で、反腐敗との戦いに「圧勝を収めた」と宣言しました。2012年の共産党大会後に同運動が始まって以来の「勝利宣言」となりました。 
同発言について、貿易問題に端を発した米中対立が先鋭化するなか、中国共産党政権は執政の危機にさらされ、「内部の団結」を優先させた、と専門家は分析しています。
要するに、米国の制裁に対抗するため、「内部の団結」を優先し、反腐敗の戦いは二の次にするということです。

私自身は、今すぐに利益を産まず、ここしばらくは長期にわたって資金を要する、宇宙開発は「腐敗撲滅」と同様に二の次にされる可能性があると思っています。

もし、そうしなかったとすれば、米国は喜ぶべきです。なぜなら、金食い虫の宇宙開発は、中国の経済をさらに疲弊させるだけであって、何の益も中国にもたらさないからです。

かつてのソ連の崩壊の大きな要因として、通常の軍拡、通常の宇宙開発、先の2つにまたがる戦略ミサイル防衛構想(スターウォーズ計画)への対抗がありました。

これらの実施にはいずれも途方もないほどの天文学的な資金を要しました。これらへの投資でソ連経済は疲弊し崩壊しました。

ジオン公国の国旗

中国が、ジオン公国を夢見て月面の裏の探査活動を続けるなら、さらに経済的に疲弊し、中共の崩壊が早まることになります。これは、日米にとって歓迎すべきことです。

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2017年9月10日日曜日

教育分野への経産省の「領空侵犯」は歓迎すべきだ―【私の論評】現在の日本の学校は、知識社会の現状に対応していない(゚д゚)!

教育分野への経産省の「領空侵犯」は歓迎すべきだ

この閉塞感は日本だけだから


 教育現場に生産性は必要ない?

経済産業省は、'18年から教育現場で新たな事業支援を始めることを発表した。

具体的には、教育現場の生産性を高める目的で、授業や部活の外部委託の援助をする。たとえば、外部講師がインターネットで、生徒一人ひとりのレベルに合わせた授業を行う場合や、「休日出勤」を強いられる部活動の顧問の代わりに、外部の人物に部活動の指導を依頼する際には資金援助を行う。教育現場の改善にむけ、ベンチャー企業を学校に紹介するともいう。

この事業支援は'18年度予算の概算要求に盛り込まれる予定だが、そもそも教育現場は文部科学省の管轄。経産省はうまく折り合いをつけてやっていけるのだろうか。

霞が関の各省庁は縦割りでしっかり区切られているが、実は経産省は伝統的に各省庁の事業に首を突っ込むことで有名だ。

たとえば外務省の管轄である外交の場では、かつては「通商交渉」として外務省と競いながら、ある意味「二元外交」をしてきた。また、電気通信の分野では、かつての郵政省の電波行政に対して、通信産業の振興を目的に主導権争いをしてきた。

今回も教育という文科省の分野に、経産省が口を挟んできたわけだが、こうした省庁間での政策の競争をよく思わない人間も霞が関の中にはいて、今回の経産省の政策にも否定的だろう。

そうした人からは「教育はビジネスではない」という批判が出てくる。「聖職者」である教師の仕事を外部に委託させるとか、ベンチャー企業に学校教育の一部を託すとか、結局企業を儲けさせたいだけなのでしょう、と言いたいのかもしれない。

あたかも教育現場に生産性は必要ないという理想主義を持っているかのようだ。

 教育現場はもっとよくなる

たしかに、今の教育基本法第9条では「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」と、教員の崇高な使命を規定している。

学校教育に株式会社が参入することについて、強硬に反対しているのは文科省だ。学校教育法では、学校は国公立か学校法人設置かに限られ、株式会社の参入は認められていない。小泉政権の時、すったもんだの議論の末、特例として特区内では「株式会社立学校」も認められた。

しかし「株式会社立学校」では私学助成金がもらえず、また法人への寄付についても税制上の優遇措置がなく、財政的に不利だ。そのようななか、現存するインターネットを活用した通信制の株式会社立学校は頑張っているほうだ。

この「株式会社立学校」だけでなく、塾や予備校は文科省からみれば日陰の存在だ。時には、それらの存在を気に食わず、潰しにかかることもある。

実際のところ、学校を文科省が認めた学校法人に限るという規制は、諸外国では見られない。学校において多様性を認めない日本の文科省はガラパゴス的な存在だ。

そうした日本の教育行政を変えられるなら、経産省の教育支援はいいことだ。経産省が他省の縄張りに「領空侵犯」しても、文科省の行政に活を入れるためなら許されてもいいと筆者は考える。政策間競争が行われれば、結果として国民にはメリットになるはずだ。

【私の論評】現在の日本の学校は、知識社会の現状に対応していない(゚д゚)!

誰もが教育を大事にし充実すべきだと言います。でも、その費用に見合うものを得ていると思う人は滅多いないと思います。

教育は放っておくにはあまりに大きな問題になりました。知識社会においては、教育がキャリア、機会、昇進を左右するからです。


ただし、知識社会といった場合、知識の意味が20世紀の時代と比較すると変わったことを認識しなければなりません。

20世紀に知識といわれたものは、百科事典に掲載された内容のようなものでした。ですから、20世紀に知識人と言われた人々は、今日の感覚からすると単なる物知りに過ぎませんでした。

21世紀になってから、しばらくして、先進国のほとんどが知識社会に入ってから、この知識の意味が変わりました。知識社会における知識とは、具体的に仕事に適用できる知識を意味するようになったのです。そうして、百科事典に掲載されている内容のようなものは、情報と呼ばれ、知識とは明確に区別されるようになりました。

知識と情報は、異なります。たとえば、救急医療に用いられる医学知識を思い浮かべて下さい。最近の救急医療に用いられる知識は現場で具体的な治療方法として使えるものであり、それもかなり高度な治療に適用できるものです。

そうして、知識社会とそうでなかった時代との大きな違いは、知識社会以前は富の源泉が、お金でしたが、知識社会においては、知識が源泉になったのです。

お金は制約条件に過ぎなくなりました。お金がなければ、いかに優れた知識があったにしたとしても、会社であれば、人材を確保したり、設備投資もできません。しかし、お金がいくらあっても他社を出し抜くような高度な知識がなければ、現代企業は富を生み出すことはできません。

このような知識社会になったにも関わらず、それに対応すべき学校は、現状では教員の生産性が低過ぎます。

教員の生産性を上げ、成果を上げさせ、彼らの知識、技能、努力、献身を無駄にすべきではありません。

生徒や学生の成績不振は学校の責任であり、そう考えない教員はすべからく恥ずべきです。あらゆる組織の構成員が、成果に責任があります。教育者も自分の成果には責任があります。成績の悪い学生を責めることは許されないです。なぜなら、成績の悪い学生を生み出したのは、教育者の責任だからです。

これは、企業内での教育を考えると、よく理解できます。現場に何もできない社員しか配置できない、人事部は無能と謗られても致し方ありません。まともな会社の人事部は、採用から社内教育までかなり計画的に実践的に行います。個々人の能力、傾向、個性を把握して、配置を決め、それに見合った教育を行います。これには、あまりに労力がかかるので、一部あるいはかなの部分を外注に頼る企業もあります。

しかし、現在の学校は、現在の知識社会に対応していません。ただし、これは現場の教師だけの責任ではありません。やはり、大きな責任は文科省にあります。すでに生徒や学生が反旗をひるがえしています。教室で教えていることが退屈で無意味であるとしています。教育の重要度は増しているにもかかわらずです。

学校はもはや新しい世界への窓ではありません。唯一の教育の場でもありません。残念ながら、古びた代用品にすぎません。なぜなら幼児でさえ、テレビなどを通じて生々しく外の世界を見ているからです。今日の電波、インターネットなどの通信、メディアはその方法と形態において、コミュニケーションの達人であるからです。

子供たちはなぜ学校が退屈きわまりないのか、息が詰まるだけのところになっているのかを知りません。しかしテレビの水準に慣れ親しんだ彼らは、今日の教え方では受けつけません。許された唯一の反応が勉強をしないことです。

知識社会においては知識はすぐに陳腐化する
知識社会では、方法論にかかわる知識が必要となります。これまで学校では教えようとさえしなかったものが必要になるのです。知識社会においては、学習の方法を学んでおかなければならないのです。

知識社会においては、すぐに陳腐化する教科内容そのものよりも、学習継続の能力や意欲のほうが、重要です。知識社会に入ってすでに数十年になった現在では、生涯学習が欠かせません。したがって学習への規律が不可欠です。

実際には、何を行うべきかは明らかです。事実、何千年前からとは言わないまでも何百年も昔から、継続学習への動機づけとそのための規律は知られています。

優れた美術の教師が知っています。優れたスポーツのコーチが知っています。最近の管理者研修用の資料によれば、組織内の優れた「助言者たち」が知っています。

彼らは、生徒を指導し、生徒自身が驚くような優れた成果をあげさせます。その結果、生徒は興奮し、意欲を持ちます。とくに、継続学習に欠かせない厳格な規律を伴う絶えざる作業と訓練に対して意欲をもつことになります。

音階の練習ほど退屈なものはないです。それでもピアニストは、大家になればなるほど、音階の練習を忠実に繰り返します。毎時間、毎日、毎週繰り返します。

ピアニストは日々音階の練習を繰り返す
同様に、外科医も、優秀であればあるほど、傷口の縫い目を正確に合わせるための練習を毎時間、毎日、毎週繰り返します。

ピアニストは、何ヶ月も、あくことなく音階を練習します。しかし演奏の技術は、ごくわずか向上するだけです。でも、このわずかな向上が、すでに内なる耳によって聴いている音楽的成果を実現さるのです。

外科医も、何ヶ月もあくことなく傷口を縫い合わせる練習をします。しかし、指の技術はごくわずか向上するだけです。しかし、このわずかな向上が手術のスピードをあげ、患者の命を救うのです。

外科医は日々傷口をぬ言わせる練習をする
あらゆる組織のマネジャーも同じです。そうして、彼らには同じことを日々繰り返し練習し、より効率よく、より上手にできるようになることも必要ですが、さらに日々生まれる新たで高度な知識を身につけることが重要です。

物事を「達成」するには、それもより良く達成するためには、以上のような積み重ねが必要不可欠です。このように継続的に学習する、意欲を持って進んでいくためには、やはり生徒を指導し、生徒自身が驚くような優れた成果をあげさせる。その結果、生徒は興奮し、意欲を持つ。ここがポイントになっていくのでしょう。

これをできるようにすることこそ、真の意味での教育革命になります。ブログ冒頭の記事にある、「教育現場の生産性を高める目的で、授業や部活の外部委託の援助をする」という経産省の試みはこれを目指すというものではないですが、それにしても現場の教師の生産をあげるために役立つことは間違いないと思います。

これには、すでに先行事例があります。米国では、数十年前に病院で調査が行われましたが、その当時の看護師の最も大きな不満は、ペーバーワークがあまりに多すぎて、患者のケアそのものができないというものでした。

そうして、その対処策として、ある病院でペーパーワーク要員(事務員)を増やして、看護師にペーパーワークそのものをやらせないようにしました。そうしたところ、病院の生産性は飛躍的に高まったのです。

その後このようなやり方が、世界標準となっています。特に先進国では病院の事務は事務員が実施するというのが当たり前になりました。日本でも、大きな病院に行くと、事務員が大勢いる様子を見ることができます。

このような事例もあることですから、経産省の新たな試みは必ず何かの成果生み出すものと思います。実際、現在の学校の教師のスケジュールはあまりにも過密であり、今の状況では確かに本来の子どもたちの教育にさける時間は少ないです。

まずは、日本の教育現場はあまりに遅れているので、このようなところからの改善から勧めていかざるを得ないのです。ここまで遅れてしまっのは、やはり文科省の責任が大きいです。

それから、株式会社学校に関しては、日本では2004年から2009年春までに全国で高等学校21校、中学校1校及び小学校1校が設置されました。既存の学校と違い、カリキュラムを自由に組んで特色を打ち出すことができたり、校舎や運動場等の施設についての条件が緩いのが利点ですが、逆に私学助成金が受けられず、また学校法人への寄付には認められている税制上の優遇措置がないという財政的に不利な点があります。

私自身は、株式会社学校には、学校はそもそも営利組織ではないという観点から反対ではあるのですが、それにしても、日本では非営利組織も欧米と比較すれば、生産的ではないし、その中でも学校の生産性は極めて低いので、選択肢の一つとして株式会社学校も認めては良いのではないかと思います。

とにかく、現在の日本の学校は、知識社会の現状に対応していないのは事実です。この問題もいずれなんとかしていかなければならないです。

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2017年6月12日月曜日

野党“歓迎”もヤブ蛇か…加計「文書」追加調査、「疑惑の8枚」ニセモノなら「偽メール問題」再来―【私の論評】文書調査で安倍政権に塩を送った民進党とマスコミ(゚д゚)!

野党“歓迎”もヤブ蛇か…加計「文書」追加調査、「疑惑の8枚」ニセモノなら「偽メール問題」再来

「加計文書」の再調査を明らかにした松野文科大臣
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり、政府が「総理のご意向」などと書かれた「文書」の追加調査を決めた背景には、国民の批判が高まっていたことに加え、東京都議選(7月2日投開票)への懸念もあった。政権攻撃にはずみをつけたい野党だが、再調査で、思わぬ結果が出てくるとの見方もある。

 「徹底的に調査をするよう指示した」

 安倍首相は9日夕、首相官邸で記者団にこう語った。

 文部科学省は先月19日に「文書の存在は確認できない」と発表し、野党や一部メディアによる再三の調査要請に対しても、菅義偉官房長官は「文科省において検討した結果、調査を行う必要はない」と繰り返した。

 しかし、「文書」を「怪文書のようなもの」とし、存否を明らかにしない政府に国民の批判は高まった。文科省の前川喜平前事務次官や現役職員が相次いで「文書」などの存在を認め、与党内からも政府の調査に疑問を投げかける声が出たことで、方針転換を余儀なくされた。

 都議選への悪影響を懸念する声も強かった。自民党は小池百合子東京都知事に対し、「決められない知事」というネガティブ・キャンペーンを展開し、ようやく奏功してだけに、文書問題が尾を引くのを避けたいところだった。ある自民党都連関係者は「『文書』問題は旧態依然とした自民党の象徴と受け止められ、投票先を決めていない無党派層に大きな影響を及ぼす」と危機感を示す。

 実際、小池氏は9日の記者会見で、情報公開と公文書管理に関する都条例を改正したことに触れ、「基本的に記録は残す。必要な資料があるかどうかは、(公文書管理を)きちんとしておけば資料として残るべきものだ。調査の必要があるときには、それに答えるのが普通だ」と述べ、『文書』をめぐる国会でのゴタゴタを皮肉っている。

 ただ、今後の調査が野党ペースで進むかどうかは不透明だ。菅氏は9日の記者会見で、調査結果の公表時期については明言しなかった。そして、「当初報道された文書等について、出所や入手経路が不明なものであって信憑(しんぴょう)性もよくわからない文書であった」と加えることも忘れなかった。

 官邸に近い永田町関係者は「そもそも『文書』が出てきても、行政がゆがめられた事実はなく、何も問題ない。次々と明らかになるメールや文書は省内で共有されたものであり、恐らく本物だろう。だが、最初に出てきた8枚の『文書』について、誰が作成したものか今もわかっていない。仮に文科省以外で作成されたニセモノであれば、野党や一部メディアにとっては『偽メール問題』の再来となる。国会閉会後に公表された場合、野党は追及の場を失う」と語っている。

 ヤブをつついて何が出てくるのか。

 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり、政府が「総理のご意向」などと書かれた「文書」の追加調査を決めた背景には、国民の批判が高まっていたことに加え、東京都議選(7月2日投開票)への懸念もあった。政権攻撃にはずみをつけたい野党だが、再調査で、思わぬ結果が出てくるとの見方もある。

 「徹底的に調査をするよう指示した」

 安倍首相は9日夕、首相官邸で記者団にこう語った。

 文部科学省は先月19日に「文書の存在は確認できない」と発表し、野党や一部メディアによる再三の調査要請に対しても、菅義偉官房長官は「文科省において検討した結果、調査を行う必要はない」と繰り返した。

 しかし、「文書」を「怪文書のようなもの」とし、存否を明らかにしない政府に国民の批判は高まった。文科省の前川喜平前事務次官や現役職員が相次いで「文書」などの存在を認め、与党内からも政府の調査に疑問を投げかける声が出たことで、方針転換を余儀なくされた。

 都議選への悪影響を懸念する声も強かった。自民党は小池百合子東京都知事に対し、「決められない知事」というネガティブ・キャンペーンを展開し、ようやく奏功してだけに、文書問題が尾を引くのを避けたいところだった。ある自民党都連関係者は「『文書』問題は旧態依然とした自民党の象徴と受け止められ、投票先を決めていない無党派層に大きな影響を及ぼす」と危機感を示す。

 実際、小池氏は9日の記者会見で、情報公開と公文書管理に関する都条例を改正したことに触れ、「基本的に記録は残す。必要な資料があるかどうかは、(公文書管理を)きちんとしておけば資料として残るべきものだ。調査の必要があるときには、それに答えるのが普通だ」と述べ、『文書』をめぐる国会でのゴタゴタを皮肉っている。

 ただ、今後の調査が野党ペースで進むかどうかは不透明だ。菅氏は9日の記者会見で、調査結果の公表時期については明言しなかった。そして、「当初報道された文書等について、出所や入手経路が不明なものであって信憑(しんぴょう)性もよくわからない文書であった」と加えることも忘れなかった。

 官邸に近い永田町関係者は「そもそも『文書』が出てきても、行政がゆがめられた事実はなく、何も問題ない。次々と明らかになるメールや文書は省内で共有されたものであり、恐らく本物だろう。だが、最初に出てきた8枚の『文書』について、誰が作成したものか今もわかっていない。仮に文科省以外で作成されたニセモノであれば、野党や一部メディアにとっては『偽メール問題』の再来となる。国会閉会後に公表された場合、野党は追及の場を失う」と語っている。

 ヤブをつついて何が出てくるのか。

【私の論評】文書調査で安倍政権に塩を送った民進党とマスコミ(゚д゚)!

さて、「加計文書」といえば、やはり最初に朝日新聞に掲載されたあの8枚の文書が最大のものです。

これは、サイトからも入手できるので、以下にその8枚の文書全部を掲載します。

【5月17日付け朝日新聞の記事、加計学園「総理ご意向」文書全八枚】

以下の文書はクリックすれば拡大し、よりご覧いただきやすくなります。
一枚目

二枚目

三枚目

四枚目

五枚目

六枚目

七枚目

八枚目

この文書はどうみても、正式な公文書ではないことはあまりにもはっきりしすぎています。なぜなら、文書番号、発信者、発信部署、宛先、あるいは進達先など、公文書として体裁を満たす要素がことごとく欠けているからです。

そうして、文科省が調べた文書とはあくまで公文書のことを言っているのだと思います。前川をはじめとする文科省側は、公文書ではないものの、文科省の官僚などの一部で共有していた文書であり、間違いなく存在するというということを言っていると考えられます。

そうして、結論から言ってしまうと、この文書をもとに総理を辞任に追い込めるということにでもなれば、以前このブログに掲載したように、民間企業では代表取締役は無論のこと、従業員全員を解雇することも可能ということになります。

なぜなら、会社内で社内の公文書ではない、不特定多数の人々に流通している資料などの文書をもって、代表取締役を辞任に追い込もうとしたしても、それは証拠にはならないからです。

これが、社内の公文書に、代表取締役が明らかに何らかの犯罪に関与していることをうかがわせる記載があることが明らかになった場合は、代表取締役は辞任に追い込まれることもあり得ます。

しかし、公文書でないものにそのような記載があった場合には、それは証拠とはなりません。これとともに、明らかに犯罪に関与していることを示す別の証拠が必要になります。それがあれば、代表取締役を辞任に追い込むこともできます。

しかし、公用文以外の文書のみをもって代表取締役を辞任させることはできません。それは、社会の常識です。

だから、元々いわゆる加計文書をもって、安倍総理を辞任に追い込むことなど、無理筋なのです。これで、安倍総理を辞任に追い込めるというのなら民間企業においては、代表取締役を辞任させるのは容易いことです。重議員も簡単に解雇できます。今回他の加計文書もその後でてきたメールなども似たり寄ったりの代物です。

サイトで、様々な捏造説が語られているメール
このあたりは、以前もこのブログに掲載したことです。しかし、松野文科大臣が「加計文書」の再調査を明らかにしたことをもって事態は急展開したと思います。

この意味するところは、公文書だけではなく、官僚が私的に保存している文書や電子メールを調査できるということです。

これで、どのようなことが考えられるかといえば、文部省内の官僚の公用ではない部分まで、チエックすることが可能になったということです。

これは、文部大臣や官邸からすれば、今までにはあり得なかったかなりの部分まで様々なことが明るみにだされる可能性があります。

現在までのところは、官僚らに公文書の提出などはもとめることができました。これは、官僚も拒むことはできません。何しろ、文部省内の公文書なのですから、これを提出することを拒めば、業務規律違反ということになります。

しかし、公文書以外の文書はあくまで、官僚の任意に任されたものと考えられます。しかし、今後はそうではないということです。公文書以外の文書もチエックされることになります。

現在の文書はそのほとんどが、コンピュータによって作成され、コンピュータに保存されます。そのため、コンピュータに保存されている文書が調査の対象になります。

そうなると、何がおこるかといえば、今回の加計問題に関与している官僚は、証拠を隠蔽するために都合の悪い文書や、電子メールを削除すると思います。

しかし、この削除というのが曲者で、たとえ削除したとしても、それは何らかの形でパソコンの記憶装置に残っています。そうして、文書だろうと電子メールであろうと、それはほとんど100%回復することができます。たとえば、マイクロソフト・ワードの文書は削除しても100%回復することができます。

たとえ、ファイルを削除してゴミ箱を空にしたとしても、ダンプファイル等はまだパソコンのHDDに残されています。これをもとにファイル復元を実行し、消えたファイルを復元することができます。

その方法は、ここで詳細は述べませんが、そのやり方が掲載されているサイトのリンクを以下に掲載しておきます。


これは、マイクロソフト・ワードの回復手順ですが、これは無論のこと他のドキュメントや電子メールなども、これに類似した方法ですべて回復することができます。

そうなると、官僚もしくはその配下のコンピュータの文書を丸裸にできるわけです。それを調べていけば、役所内の非公式のコミュニティーに迫ることができます。

そうなると、加計問題に関して、前川全次官と関わりのあつた者、関わり方の内容などすべて明らかになります。

これに関しては、従来はプライバシーの問題などもあって、なかなかできなかったと思いますが、野党や一部メディアによる再三の調査要請があったし、しかもその様子がテレビで放映しています。

そうなると、文科省としては、大手を振ってこのような調査に踏み切ることができます。さて、文書や役所内の非公式のコミュニティーなどが丸裸になった場合何がおこることでしょう。

例年、通常国会が閉じると、中央省庁の人事異動が行われます。官邸は内閣人事局の創設で幹部の人事を掌握し、霞が関に睨みを利かせてきました。かつての役人天国とは違い、普通の民間会社と同じように、官邸の方針に逆らえば左遷などの懲罰、官邸の方針に従って努力すれば、昇進などの報奨というアメとムチを効かせているのです。

当たり前の人事で官僚機構を支配下に置き、政治主導を貫こうというのが、安倍総理の考えです。かつては政権を潰すほどの力も持っていた財務省も一部軍門に下ったようです。ただ、財務省も何とかこれに抵抗しようと、様々な手を打っています。

実際、自民党の野田毅氏と村上誠一郎氏が16日に立ち上げた「アベノミクス批判」の勉強会は、財務官僚が裏から手をまわしてつくらせたものだとみられています。

この勉強会の真の目的は、公約通り安倍首相に消費税増税を実施させることでしょう。驚いたのは、自民党議員が約60人も参加したことです。野田さんも村上さんも、一匹狼のような存在で、自分で人を集めるようなタイプではないし、あの2人が声をかけても簡単には人が集まらないはずです。60人も集まったのは、財務省が裏で動いたからだと考えられます。



このように、官僚は頭の悪い政治家を、利用して、少しでも自分たに有利に事を運ぼうとします。しかし、これは本来あってはならないことです。官僚はどんな場合でも、本来は政府の方針に従うべきなのです。なぜなら、官僚は選挙によって選ばたわけではないからです。政治家は、有権者の信託を受けている存在だからです。

政治家は、政策に失敗すれば、それこそ選挙で敗北して、政治家でさえいられなくなる可能性もあります。これに対して、官僚はよほどのことがない限り、辞任させられるなどということはありません。財務省をはじめとする、各省庁は政府の下請けに過ぎないのです。

下請けが、親会社をさしおいて、会社の方針や規範を勝手に決めるわけには行かないのです。官僚がどうしても、政治に関与したいというのなら、官僚をやめて国政選挙に立候補すべきなのです。官僚でありながら、国政の方針を決めることはできないのです。

今回の加計問題も、背景は同じことです。前川をはじめとする文科官僚は、民進党やマスコミを利用して、少しでも自分たちの失った失地を回復しようとしているだけです。これが加計問題の本質です。民進党や、マスコミは安倍政権を追い込めれば、かつて批判していた官僚とだって平気で手を組むのです。

しかし、ここにきて、官邸は強力な武器を手に入れたわけです。そうです。文科省内の、非公式な文書を閲覧し、非公式なコミュニティーの真相に迫ることができるようになったのです。

これに関しては、私は、は官邸により意図して、意識して実行されたのではないかと思っています。

6月8日の記者会見で菅官房長官が改めて加計学園問題の文書を調査する予定はないと強調しました。

この以前に文科省の職員から「文書があった」というような証言がありましたが、これについて菅官房長官は「私はうそだとは言っていません。文科省において検討した結果、出所や入手経緯が明らかにされていない文書については、その存否や内容などの確認の調査を行う必要がない」と述べ、調査する必要性がないと発言しました。

その後も記者から相次いで質問を受けますが、「いや、(文書の)存否や内容など確認を・・・必要ないと判断した」などとコメントし、判断した理由を追求されると言葉に詰まる場面もありました。


これは、普段の菅官房長官の発言や、立ち居振る舞いなどと比較すると、あり得ないことです。私は、これは菅官房長官が意図して意識して行ったのではないかと睨んでいます。

こうすることによって、文科省の官僚どもの私的な文書を調査し、非公式なコミュニティーの内容を把握できるようにし、文科省をまともな省庁につくりかえるきっかけにしようとする腹なのだと思います。問題のある文科官僚を左遷したり、降格したりするにしても、明確な証拠とともに行えば、ぐうの根も出ません。

さて、これで日本の強力な官僚機構にも、小さな穴があけられそうです。最初は小さくても、だんだん大きくしていけば良いのです。

この穴は、最初は小さくても、だんだん大きくなり、いずれ財務省を含む他の官庁にも及び、真の政治主導が日本でも当たり前になるかもしれません。

今回の調査では、文科省内の非公式コミュニティーと、民進党との関係とも明らかになるかもしれません。そうなると、場合によっては、第二の『偽メール』問題に発展するかもしれません。

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2015年3月18日水曜日

英紙報道「米国の打撃」 中国は早速「歓迎」 中国主導の国際インフラ銀に仏独伊も参加へ―【私の論評】日本のGDPの80%iにあたる400兆円が海外に消え金融が空洞化した中国!振り込め詐欺は騙すほうが悪いが、今の中国には騙されるほうが悪い(゚д゚)!

英紙報道「米国の打撃」 中国は早速「歓迎」 中国主導の国際インフラ銀に仏独伊も参加へ




【ロンドン=内藤泰朗】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は17日、中国が主導して設立する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に、先に参加を表明した英国に続き、フランスやドイツ、イタリアも参加すると報じた。欧州当局者の話として伝えた。

米国は、中国の影響力拡大を懸念してAIIBに加わらないよう呼びかけていた。同紙は、英国が先進7カ国(G7)の中で初めて参加を表明したのに次いで他の欧州主要国が追随すれば「米国の打撃となる」と指摘した。

同紙によれば、当初は不参加とされたオーストラリアも方針を見直す考えだ。

日本は、公正な統治の確立や融資の方法に不安があるとして、参加を見送る方針を固めている。中国は、AIIBの創設メンバーとしての参加期限を3月末に設定している。

【北京=川越一】中国外務省の洪磊報道官は17日の定例記者会見で、AIIBにイタリアなどが参加するとの報道について、「創始メンバーとしてAIIBに加入したいという国を歓迎する」と述べた。

洪報道官は、AIIBを「開放的かつ寛容な多国間の投資機構」と位置づけ、「域内外の国の積極的な参加は、AIIBの幅広い正当性を具体的に示す」と主張。中国の影響力拡大を懸念してAIIBと距離を置く日本や米国を牽制(けんせい)した。

【私の論評】日本のGDPの80%にあたる400兆円が海外に消え金融が空洞化した中国!振り込め詐欺は騙すほうが悪いが、今の中国には騙されるほうが悪い(゚д゚)!

この動きに関して、石平氏は以下のようにツイートしています。
このツイートもっともだと思います。

英独は、もともと中国に擦り寄り姿勢がありました。それに関することはこのブログでも以前掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
【脱中国元年】英、独の中国擦り寄りと反日暴動の深い意味 複雑怪奇な世界情勢―【私の論評】 対中国政策が示す日が沈むEU、日が昇る日本。すでに不退転の決意を示している日本国民!!
平成13年からは、中国では反日デモが途絶えたが・・・

この記事は、平成13年2月19日のものです。この時期ですと、まだ日銀の異次元の金融緩和はなされておらず、中国経済の凋落は、まだ目立ってはいませんでした。中国関連専門のジャーナリストが、英独が中国に擦り寄る様をこの記事では引用しました。その部分を以下に掲載します。
 世界情勢は「複雑怪奇」に激変の最中である。日本人はとかく「西側同盟」と「日米同盟」が堅い絆で結ばれていると勘違いしている。国際政治の舞台裏では「昨日の敵は今日の友」「今日の友は明日の敵」である。 
 NATO(北大西洋条約機構)で団結していたはずの欧米同盟とて、中国と対立する米国に意外な方向から敵対者が出現した。何と、英国とドイツが米国に敵対 的態度を示すようになったのである。英、独は中国に異常接近し、特に、英国は金融市場で、ドイツは製造分野でこれまで以上の中国重視政策にかじ取りを変え た。
英独として、とにかく相手が誰であれ、儲かる間は相手にして、商売になるうちは、誰とでも取引するという考えなのでしょう。しかし、中国を相手にして本当に儲かるのでしょうか。

日本が、平成13年4月から、日銀が金融緩和に転じて以来、中国の経済はかなり悪化しています。中国は、まだまだ発展途上で、従来から経済成長が少なくとも8%なければ、雇用を吸収できないとされていました。

日米や、欧米先進国などとは異なり、中国では経済成長率が8%以上なければ雇用が悪化するということで、過去の中国では経済成長率8%は死守すべきものされ、これを表す保八というスローガンがありました。

しかし、最近の中国ではこの保八さえ死守できない状況にあります。それについては、過去のこのブログ記事にも掲載したことがあります。

その記事URLを以下に掲載します。
中国、成長目標下げへ 15年7%前後 安定軌道狙う ―【私の論評】保八を捨てるのではなく、捨てざるをえなくなった中国に将来はないものと心得よ!体制の崩壊と、それに伴う天下の大乱は必定(゚д゚)!

実際、中国の2014年経済成長は、8%には達しませんでした。この8%を維持できないということは、相当打撃です。今後人民の不満はますます高まり、とんでもないことになりそうです。

さらに、中国では特に金融に関しては、他国では考えられないようなとんでもないことがあります。これに関しても、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
中国経済、崩壊か…中国版アベノミクス不発 社会主義国家を待ち受ける“2つの罠”とは―【私の論評】『保八』も確保できない中国は、本当は雇用状況もかなり悪化しているのに、金融緩和政策も実行できない、その理由は「金が消えた」という驚愕の真実(゚д゚)!

 保八も維持できなくなった中国経済ですが、金融面でもとんでもないことが発覚したことについて掲載しました。そのとんでもないこととは、中国から「大量のマネー」が姿を消しているという驚愕の事実です。その内容を以下に抜粋します。

まずは、この記事で引用した宮崎正弘氏のメルマガの内容を以下にコピペさせていただきます。
 中国から不正に海外へ流れたカネは3兆7900億ドル  外貨準備高より多いカネが不正に海外へでた勘定になるのだが。。。。。
****************************************
グローバル・ファイナンシャル・インテグリティ(GFI,ワシントンの国際金融監視シンクタンク)の調査に拠れば、中国から不正に海外へ持ち出された金額が精密に報告され、驚くべき巨額の事実が浮かび上がって。 
 つい最近まで筆者は1兆800億ドルと、このGFIの数字を援用してきた(これは2002年か2011年の統計とされた)。 
 ところが新しい報告では2000年から2011年までの統計で、実に3兆7900億ドルが不正に海外へ流れた(Illicit flow)。2005年から2011年の統計で2兆8300億ドルとなる新しい数字に上方修正された。 
どの期間の統計かによって、数字が異なるのは当然といえ、もし2000年から2011年統計で、中国からの海外逃避資金のトータルが3兆7900億ドルとなると、史上空前の新記録。邦貨換算で417兆円弱。日本のGDPの80%にあたる。 
これは中国の金融が空洞化していることを示して余りある。 
以下に掲げる「ワースト・ランキング」はGFIが集計した2002年から2011年の合算統計である。 
1)中国      3兆7900億ドル
2)ロシア      8809億ドル
3)メキシコ     4618
4)マレーシア    3704
5)インド       3431 
桁違いの汚職天国、ロシアのそれも凄いが中国に比べたら何ほどのこともない。
以下にこの記事で引用したブロゴスの記事も以下にコピペさせていただきます。
中国「太子党」ら、海外蓄財400兆円は氷山の一角だ!
 2014年01月22日 ブロゴス
自らも不正に海外に天文学な数字の金を流している習近平
中国の習近平国家主席が反腐敗対策を宣言する一方で、当の習主席、温家宝前首相、李鵬元首相ら中国共産党や中国人民解放軍幹部のファミリーが海外のタックスヘイブン(租税回避地)に蓄財している一端が、国際調査報道協会(ICIJ)のジェームズ・ボール記者と英紙ガーディアンの報道で明らかになった。
第一報で名前が挙げられているのは習、温、李3氏のほか胡錦濤前国家主席、トウ小平、中国人民解放軍創設者の1人、葉剣英、同大将の粟裕、戴相竜・元中国人民銀行総裁、「八大元老」の1人に数えられた王震、彭真・元全国人民代表大会常務委員会委員長のファミリー計13人。
国際会計事務所プライスウォーターハウスクーパース、スイス銀行大手クレディ・スイス、UBSなど欧米の銀行や会計事務所がバージン諸島での会社設立を仲介していたという。
中国と香港の2万1千人以上が海外会社のオーナーや株主になっており、2000年以降、1兆~4兆ドル(約104兆~約417兆円)の隠し資産が中国から流出したとボール記者は指摘している。
この2つの異なる情報源が、ほぼ同時期に中国より約400兆円の隠し資産が、中国から粒子ゆつしたとしているのです。これは、ほぼ間違いない事実とみて良いと思います。

他の日本などの先進国ではあり得ないことです。とんでないです。

このような国が主催する、国際インフラ銀行などそもそもはなから信用できません。このインフラ銀行に参加するということは、この銀行に金を預けることも意味するわけですから、全く考えられないことだと思います。

この国際インフラ銀行は、石平氏が、「どこの国に融資するのかは全部中国の国益で決める。他人の褌で相撲を取るとはまさにこういうこと。参加するEU諸国は阿呆だ」ということになる確率が大だと思います。

これでは、まるで、オレオレ詐欺のようなものです。



ただし、この国際インフラ銀行に参加するというEU諸国なのですが、実際に金を拠出する段になれば、様々な要求をつきつけるようになると思います。あるいは、実際に稼働しはじめたら、金の流れなど不透明で、拠出金をひきあげる国がでてくると思います。

しかし、そうなってからでは遅いです。中国からすんなりと拠出金を返すとも思えません。

それにしても、民間企業や、民間金融機関が続々と、中国から引きあげている現在、EU諸国の首脳陣は一体何を考えているのでしょう。まだ中国幻想に酔っているのでしょうか。

中国国際インフラ銀に対する、日米の対応は全く正しいです。日米は、この愚かなEU諸国の様を高みの見物をすれば良いのです。オレオレ詐欺は、だますほうが悪いと思いますが、中国主催の国際インフラ銀行に騙されるのは、騙されるほうが悪いと思います。EU諸国の、首脳は、大やけどをしてみないと、中国幻想から覚醒できないのかもしれません。

私は、そう思います。みなさんは、どう思われますか?

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