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2018年8月26日日曜日

中国通信機器2社を入札から除外 日本政府方針 安全保障で米豪などと足並み―【私の論評】中国は体制を変えるか、内に篭もるしか生き残る術はなくなった(゚д゚)!

中国通信機器2社を入札から除外 日本政府方針 安全保障で米豪などと足並み


 政府が、安全保障上の観点から米国やオーストラリアが問題視する中国通信機器大手2社について、情報システム導入時の入札から除外する方針を固めたことが25日、分かった。機密情報漏洩(ろうえい)やサイバー攻撃への対策に関し、各国と足並みをそろえる狙いがある。

 対象となるのは、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)。両社に対しては、米政府が全政府機関での製品使用を禁じているほか、オーストラリア政府が第5世代(5G)移動通信整備事業への参入を禁止するなど、除外する動きが広がっている。

華為技術(ファーウェイ=上)と中興通訊(ZTE)のロゴ
写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 背景にあるのは安全保障上の根深い危機感だ。米下院情報特別委員会は2012年の報告書で、両社が中国共産党や人民解放軍と密接につながり、スパイ工作にもかかわると指摘した。

 実際、米国防総省は今年5月、両社の携帯電話などを米軍基地内で販売することを禁止すると発表している。中国当局が携帯電話を盗聴器として使ったり機器を通じて情報を盗み出したりすることを防ぐためだ。

 こうした状況を踏まえ、日本政府は、各国と共同歩調をとって対処すべきだと判断し、具体的な方策の検討に入った。情報セキュリティーを担当する政府関係者は「規制は絶対にやるべきだ。公的調達からの除外の方針は、民間部門の指針にもなる」と強調する。

 政府内では、入札参加資格に情報セキュリティーの厳格な基準を設け、条件を満たさない企業の参加を認めないようにする案などが検討されている。政府の統一基準にあるセキュリティー機能確保規定を適用するなどし、入札時に両社を除外する案も浮上している。

 一方で、10月に予定される安倍晋三首相の訪中に向け、日中関係の改善ムードに悪影響が及ぶことを危ぶむ声もある。除外の方針が、世界貿易機関(WTO)の内外無差別原則に抵触すると解釈される余地も否定できない。

 日本政府関係者は「統一基準の中に『中国』の国名や企業名を盛り込むところまでは踏み込めないだろう」と話した。

【私の論評】中国は体制を変えるか、内に篭もるしか生き残る術はなくなった(゚д゚)!



米ホワイトハウスは23日、米国で22日から行っていた事務レベルの米中貿易協議が終了したと明らかにしました。

米側は2日間の協議で「公正で均衡が取れた互恵的な経済関係の実現方法について意見を交換した」と説明しました。中国による米先端企業の技術移転強要といった「構造的な問題」も含まれたといい、米中間の隔たりは依然大きいです。

米国による制裁関税の対象額は第2弾発動で計500億ドル(約5兆5000億円)となり、第3弾も合わせれば中国からのモノの輸入額のほぼ半分となる2500億ドル(約27兆5000億円)となります。

米国が第3弾制裁を発動しても、中国の対抗措置は600億ドル分の米製品への報復関税にとどまるなど弾切れ状態です。さらにトランプ大統領は全輸入品への制裁も辞さない構えをみせています。

攻勢の手を緩めないトランプ大統領に、習近平主席((写真)、AP)はなすすべもないのか
トランプ大統領としては、米国製品の購入を拡大させるなど、雇用増につながる譲歩を中国側から引き出すことができれば、11月の中間選挙に向けた支持層へのアピールになるのは事実です。

一方で、米国が中国を敵視する背景には、ハイテク技術や知的財産、安全保障も絡む覇権争いが存在しています。

米中貿易戦争は、このブログでも掲載してきたように、ビジネスだけの問題ではありません。米国は腰をすえて中国を追い詰め、経済の骨抜きを図ろうとしています。

中国封じ込めの動きも具体化してきました。ブログ冒頭の記事にもあるように、米豪英が問題視する中国通信機器大手2社について、日本も情報システム導入時の入札から除外する方針を固めました。

世界最大の市場を抱える中国ではありますが、見切りを付けようとする企業も出てきました。自動車大手のスズキは、中国での自動車生産について、撤退も視野に現地の合弁相手と協議を進めていることが分かりました。中国企業との合弁解消で合意し、中国事業から撤退するとの報道もあります。


スズキの子会社、マルチ・スズキはインドの乗用車市場で約50%と圧倒的なシェアを握っています。中国を追う巨大市場に成長しつつあるインド市場を軸に海外展開を拡大することになりそうです。

ロイター通信は、米国の医療機器や農業用具などのメーカーが、中国から米国への生産移転比率を高めたり、中国以外の国からの調達に切り替えたり、雇用を米国に再移転するなどの動きを検討していると報じました。

このような動きは企業レベルにとどまるものではありません。マレーシアのマハティール首相は21日、訪問中の北京で記者団に、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に関連する鉄道建設などの大型事業を中止すると述べました。

マハティール氏は20日に中国の習近平(シージンピン)国家主席、李克強(リークォーチャン)首相とそれぞれ会談した際にも中止の意思を伝え、中国側も「理解し受け入れた」といいます。

マハティール氏は将来的な事業再開の可能性は否定しなかったものの、「マレーシアの現在の焦点は債務削減にある」と述べました。中止により補償金が発生すれば支払う意思も示しました。

中国外務省の陸慷(ルーカン)報道局長は21日の定例記者会見で、「どんな2国間でも協力を進める上であれこれ問題が出るのは避けられない。友好的な話し合いで適切に解決すべきだ」と交渉を続ける考えを示しました。

中国の習近平国家主席(右側手前)と会談する
マハティール・マレーシア首相(左側手前から2人目)=20日

中国では人件費が上昇し、電気代や土地代が米国を上回っているうえ、外資系企業に共産党組織の設置を義務付けられるという問題もあります。外資系企業が中国を捨てる時期は、今回の米中貿易戦争によって早まることになるでしょう。

追い詰められつつある中国。米中貿易協議での展望が開けないどころか、中国が人民元を割安に保っている為替操作問題が指摘される恐れもあり、かえってヤブ蛇になりかねないです。

米国向け輸出品の関税が引き上げられるうえ、人民元高が進めば、輸出品の競争力はダブルで打撃を受けることなってしまうでしょう。

この貿易戦争は、米中間の覇権争いの次元になっています。この覇権争いは、19世紀末からのドイツの台頭を大英帝国が退けた覇権争いや17世紀に英国がオランダの経済的繁栄に嫉妬して英蘭戦争でオランダを蹴落とした際に見られた典型的な覇権国と挑戦国との間の争いの場合と本質は同じです。

ドイツと大英帝国の覇権争いは、別の複雑な要因も絡みあい第一次世界大戦になってしまいました。

第一次世界大戦の発端は、ドイツと大英帝国の覇権争いだった

ただし、米中間の覇権争いは基本的に地域経済的なもので、軍事的なものに至る可能性は当面は極めて低いです。

英国は、ロシアと仏と手を結ぶことによりドイツの挑戦を退けました。なぜもともと英国の一番のライバルだったフランスと思想的に相いれないロシアが対ドイツ戦で英国に協力したかといえば、仏ロ含め周囲の国はドイツの急激な台頭に警戒心を募らせていたからです。

その意図に関わらず、ある国が急激に経済的、軍事的に台頭してくれば、その「事実」が周辺国の警戒心を招くものです。ジャパン・アズ・ナンバーワンなどと言われていた時の日本(同盟国なのに!)がいかに米国の警戒感を呼んだか思い出してみればわかることです。

中国の経済的、軍事的台頭は、これらの過去の歴史の例の比にならないぐらい急激で大きく、単に、GDPで2030年までに米国を凌駕するかもしれないといわれただけでなく、米国からの知財盗用も踏み台にしてAI、ビッグデータ時代のテクノロジーにおいて米国を凌駕しかねないところまで来ました。

しかも、胡錦涛政権以前までは、上手く強大化しながらも国際社会の警戒心を呼び起こさないように韜光養晦(とうこうようかい)で上手くやってきたのに何と、習近平国家主席は昨年の共産党大会において、中国型統治モデルは(欧米型民主主義より)優れているとした上で、科学技術テクノロジーに精力を傾注しつつ、2049年までに米国を凌駕する世界覇権国になるという意図を宣言してしまいました。

だから、中国とのテクノロジー競争において米国が負けない状況を作り出すまで中国をやり込めなければならないという1点については、トランプ大統領は、米国の支配層に相当のコンセンサスがあります。

だからそう簡単に収束しないのです。そして、過去の歴史でもそうだったように、自分も損をするが相手の方がより大きなダメージを被るならそれで構わないのです。目的は相手を倒すことであり、自分が利益を得ることではないのです。

習近平が共産党大会で強国化宣言をしたのは、もはや、米国が中国の意図に気づいたとしても中国の優勢を変えることはできないぐらい中国は強大になったと過信したからなのでしょうか。

あるいは、国内ばかり見ていてChina2049宣言が国際社会にどういう反応を引き起こすか無関心だったのでしようか、両方でしょうが、おそらく国内ばかりみていたというほうが大きいでしょう。

そもそも、中国は巨大国家であるがゆえの「内向き」な思考を持っており、しかも古代からの漢民族の「戦略の知恵」を優れたものであると勘違いしており、それを漢民族の「同一文化内」ではなく、「他文化」に過剰に使用することによってかなり信頼を失っています。

そうして、その後の展開を見れば、この宣言は中国にとっては得策ではなかったことは明らかです。

現状では、まだ米国の方がはるかに強いです。習近平は明らかに、やりすぎました。米国との間で平穏な状況を続けることができれば、時間は中国に味方したかもしれないのに、自ら、最大のライバルからの攻撃を招き、中国の天下への道を険しく困難にしてしまいました。習近平は、軌道修正を図ってはいるようですが、今更、どの程度修正できるのか、疑問です。

そうして、トランプ大統領はブログ冒頭の記事にもあるように、米英豪で協調して、中国に対抗しようとしています。

そうして、この動きはさらに大きなものになりそうです。以前このブログでは、最近トランプ大統領はロシアのプーチン大統領と首脳会談を開催したりして、ロシアと接近し、いずれは、日米英露と他の国々が協調して中国に対抗しようという動きを見せています。

これに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
トランプ氏、ハイテク分野から中国を締め出し…国防権限法で中国製品の政府機関での使用禁止 島田教授「日本でも対応が必要」―【私の論評】世界は日米英露が協調して中国を叩く体制に入りつつあり(゚д゚)!
国防権限法に署名したトランプ大統領
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
今年の7月を皮切りに、国際関係において明らかに構造的変化が起こりました。7月6日米国は支那(中国のこと、以下同じ)に対して貿易戦争を発動しました。これにより、本格的な米中対立の時代が幕開けしました。 
ブログ冒頭の記事の国防権限法関連による支那への対応もその一環です。 
日本の政財界人のほとんどはこのことをほとんど理解していないようですが、米トランプ政権は、世界の経済ルールを公然と破ってきた支那を徹底的に叩く腹です。
今後は、支那に対して味方をするような経済活動は、米国から反米行動とみなされることになります。 
そうして、7月に起きたもう一つの大きな出来事は、米露協調時代が始まったことです。7月16日にはフィランドの首都ヘルシンキで米露首脳会談が開催され、その路線が確定しました。
フィランドの首都ヘルシンキで米露首脳会談で握手するトランプとプーチン

トランプ氏もプーチン氏も、公式にそのような発言はしていませんが、ロシアは米国に協調して世界秩序を再構築する方向に大きく舵をきったものとみられます。

7月には、この大きな2つの出来事が起こったのです。この2つの出来事が、今後の世界情勢を大きく方向づけることになるのです。
・・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・
いずれにせよ、今後日米英露が協調して中国を叩く体制に入りつつあるとみるべきです。日米の経済力、米露の軍事力、それに加えて英国など有力な他国の協力があれば、支那を叩きのめすことは十分可能です。

こうした動きは、安倍総理が全方位外交で、その動きをトランプ大統領に先んじてみせていました。安倍総理は、その意図をトランプ大統領に伝えたでしょうし、政治家としての外交権の乏しいトランプ大統領も、これをかなり参考にしたと思います。

ブログ冒頭の、米英豪の動き、さらには米露の動きなどもあわせて、いずれ世界は多くの国々が中国の覇権に協調して対抗する時代に入るでしょう。

世界の先進国のほとんどは、中国の「内向き」思考、漢民族の「戦略の知恵」を「同一文化内」ではなく、「他文化」に過剰に使用することにも耐えられなくなっています。

現在の中国は、体制を変えるか、内に篭もるしか生き残る術はなくなりました。

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