2017年2月20日月曜日

正男氏毒殺…支那「政変」引き金 カード失った習氏激怒 河添恵子氏緊急リポート―【私の論評】正男氏殺害は、支那の火薬庫旧満州に油を注ぐか?

正男氏毒殺…支那「政変」引き金 カード失った習氏激怒 河添恵子氏緊急リポート 

習近平
 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏がマレーシアで殺害された事件は、女性2人と男性1人が逮捕された。犯行に致死性の高いVXガスが使用された可能性が浮上し、事件の背景に注目が集まっている。こうしたなか、正男氏を擁護してきた習近平国家主席率いる支那は不気味な沈黙を続けている。貴重なカードを奪われ、大打撃を受けた習氏が激怒しているとの情報と、背後にある共産党最高指導部内の激烈な権力闘争とは。ノンフィクション作家、河添恵子氏による緊急リポート。

 正男氏がとうとう暗殺された。反共産党系メディアなどによると、古くは2004年、正男氏がオーストリア訪問中に暗殺の危機にひんしたが、現地の情報機関が事前に察知して未遂に終わったという。10年には、支那で交通事故を偽装してひき殺す計画があり、12年には北京で北朝鮮工作員とみられる者に襲われたが、支那当局が防いだとされる。

 このように、金王朝の第2代最高指導者、金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男、正男氏の暗殺計画は十数年前から蠢(うごめ)いてきた。背景には、支那政府が抱き続ける野望と、熾烈化する権力闘争が見え隠れする。

 支那にとって、北朝鮮は建国以来「兄弟国」の位置付けにある。

 江沢民元国家主席が党総書記に就任した翌年の1990年3月、初めての外遊先は北朝鮮だった。その時、現在は全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員長の張徳江氏が通訳として同行している。


 胡錦濤前国家主席も就任翌年の2004年に正日氏と会談し、「中朝友好協力関係を高める」ことで一致。習氏も08年3月、国家副主席に就任して初めて訪問した外国が北朝鮮だった。

 そして、習政権が発足(12年に党総書記、13年に国家主席選出)して以来、“朝鮮半島の植民地化”への工作を強めてきた。

 それは現在の「チャイナセブン」(=支那共産党の最高指導部、中央政治局常務委員7人)の布陣からも明らかだ。

 習氏、李克強首相に続く序列3位は、前出の張氏だが、北朝鮮の金日成総合大学経済学部で2年間の留学経験があり、支那東北3省に多い朝鮮族を含む、“朝鮮半島のエキスパート”である。序列5位の劉雲山政治局常務委員と、序列7位の張高麗筆頭副首相を合わせた3人が、「北朝鮮との関係が密接」な江沢民派なのだ。


 歴代の支那政府が「兄弟国」の金王朝に配慮してきた目的は、属国化することにある。

 そのため、支那の改革開放政策を支持する正男氏を、正日氏の後継者候補と見据えて、義理の叔父、張成沢(チャン・ソンテク)国防副委員長を後見人とする体制の実現を目指してきた。

 ところが、金王朝の3代目に指名されたのは3男の正恩氏だった。「支那に近づきすぎた」張氏は13年12月、無残な最期を遂げる。支那政府は以来、正男氏の身辺警護をより強化してきた。

 チャイナセブン内で近年、金王朝をめぐる対立が激しくなっている。

 正恩氏のカウンターパートは劉氏だが、習一派は劉氏を含む江沢民派を完全に敵視していた。そのうえで、習氏は、オバマ米政権時代からの密約とされる「北朝鮮の核開発無力化」へ舵を切った。この1年、北朝鮮の核開発を支援する支那企業の摘発と責任者の逮捕、東北3省の幹部の首のすげ替えなどに邁進(まいしん)してきた。

 習氏は、正男氏の“出番”をひそかに伺っていたのだ。

 1月に就任したドナルド・トランプ米大統領は13日、北朝鮮が日米首脳会談に合わせて弾道ミサイルを発射したことを受け、「北朝鮮に非常に強力に対応する」と極めて強い口調で断言した。

 こうしたなか、習一派らに江沢民派が一掃されれば、正恩体制そのものが危うくなる。

 だとすれば、正恩氏にとって最大の不安要因である正男氏を、是が非でも抹殺するしかない。正恩体制を支持する江沢民派も生き残りと利権確保のため、正男氏の暗殺を許容した可能性もゼロではない。

 支那共産党最高指導部内のすさまじい権力闘争と、支那の影響力が強いマレーシアでの暗殺劇。カードを失った習氏は激怒しているとみられる。支那政府と公式メディアの不気味な沈黙は、次の一手に向けた情報収集と、策を練っている可能性がある。

 いずれにしても、正男氏が支那の野望の中で擁護され、その揚げ句、犠牲となったことは確かである。

河添恵子氏
【私の論評】正男氏殺害は、支那の火薬庫旧満州に油を注ぐか?

北朝鮮と、支那との関係でまず注目しなければならないのは、現在の支那の東北部、かつての満州国と呼ばれた地域と、北朝鮮の関係です。

特に、支那東北部では、現在急速な少子高齢化で疲弊しているということに注目すべきです。これについては、以前もこのブログにとりあげたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国東北部 急速な少子高齢化で「火薬庫」になる可能性―【私の論評】満州再独立の条件が揃った!後は、瀋陽軍区の出方次第(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただものとして、以下に朝鮮半島と、旧満州 (遼寧省、黒竜江省、吉林省)の位置関係を示す地図と、この記事からの引用を掲載します。

現在の支那経済が直面する問題の一つが、無軌道に拡大された設備投資に反し、国内外の需要が急速に弱まったことを背景にした生産過剰であることは言うまでもない。その中心が炭坑と鉄鋼であり、ともに中心は東北三省にある。
すでに賃金の遅配などの問題が起きていることは、国内メディアの報道でも明らかになっているが、現地ではもはやそれどころでない問題が持ち上がってきているようなのだ。 
その実態を明らかにしたのが2016年10月25日に放送された瀋陽テレビの報道番組である。 
タイトルは、〈東北部で人口危機が逼迫 出生率は低下 人口流出が深刻化〉だ。 
記事によれば東北部は元々出生率が低く、1982年の統計では遼寧省、吉林省、黒竜江省はそれぞれ1.773、1.842、2.062でいずれも全国平均の2.584に及ばなかった。それがいま、2010年の調査で3省の平均値が0.75まで落ちてしまったというから深刻である。 
10月19日、中国国家衛生委員会が公表した「中国流動人口発展報告2016」によれば2006から2015年に至る東北部の年平均人口増加率は、わずかに0.21%で全国平均の0.5%にはるかに及ばなかった。 
同時に進行した高齢化は深刻で、2015年の東北部の人口の年齢の中間値は43歳で、これは全国平均の38歳よりも5歳高く、全国の高齢化予測では2027年に相当する水準であるという。 
こうした人口の減少と高齢化は、当然のことながら中国がいま進めている養老保険(年金)の整備に大きなマイナスの効果を与えている。国家開発銀行の元副行長の劉国によれば東北部の年金の負担率(年金を支払う労働者と年金受給者の比率)は、1.55であり、これも全国平均の2.88にはるかに及んでいない。 
これは「火薬庫」としての東北部の火種が将来的にもなかなか消えない可能性を示唆している。
中朝の分岐点――中朝国境友誼橋
このようなことから、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、私は、旧満州地域と北朝鮮が結びつき、旧満州が支那から離脱する可能性もあり得ることをこの記事で主張しました。

そもそも、支那東北部(旧満州にあたる部分)の経済成長が滞っているのは、海に抜ける東側を北朝鮮に遮られているからだという不満が以前から支那特に旧満州には渦巻いていました。民間貿易は国境付近だけで、それも制限されれば庶民は南下し東北部はさらにさびれることになるだけです。

◆東北部の経済の全国比と衰退する理由
2015年上半期における中国東北三省のGDP成長率は「吉林省6.1%」、「黒竜江省5.1%」、「遼寧省2.6%」と全国ランキングからいくとそれぞれ最後から1番目、2番目、3番目という、非常に不名誉なものでした。全国平均7%をひとり引き下げているのは東北三省であると中国人は嘆いています。

2015年上半期における東北三省の財政収入変動に関しても、前年度同期の変動が全国平均6.6%増に対して、
遼寧省  : -22.7% 
黒竜江省 : -19% 
吉林省  : +0.9%
と、軒並みに異常なほど低いです。

個人の平均年収も、全国平均が49,969元であるのに対し
東部地域:64,239元 
西部地域:51,204元 
中部地域:46,828元 
東北地域:46,512元
と低いです。失業率も全国平均より2%高く、結果、東北の労働人口は北京、天津、河北省や山東省へと流れていき、東北部の過疎化とともに少子高齢化が極端に進んでいます。

その原因としては、もともと石炭などの資源地域であったことと、それに伴う重工業が盛んで、改革開放前の「国営企業」の占有率が高かったため、資源の枯渇とともに改革開放を伸びやかに発展させていけないことなどがあります。

それ以上に決定的なのが、北朝鮮の存在なのです。

◆改革開放を阻む北朝鮮の「鎖国」

東北部の経済発展が改革開放に見合って伸びていかないのは、ひとえに岩盤のように立ちはだかっている北朝鮮が鎖国しているからだと、支那庶民の北朝鮮への恨みは大きいです。

もし北朝鮮が改革開放を推進して、南の「深セン」のような役割を果たしてくれれば、東北経済は日中韓貿易の拠点になり、東北地方は一気に大きな経済成長を遂げるだろうと、中国の多くのメディアが北朝鮮への不満をぶちまけています。

金正恩の父親・金正日は、晩年、中国の呼びかけに応じて改革開放に乗り出そうとしたのですが、金正恩になってからは閉ざす方向にしか動いていません。

かつてこの地が満州国だったときには、現在の北朝鮮はもとより、現在の韓国も日本領であり、満州国が発展する可能性は多いにありました。やはり、支那の満州が発展するためには、朝鮮半島を支那の属国にすることが一番なのです。

中国政府寄りの香港メディア「鳳凰網」には、「中国はアメリカより先に絶対に(北)朝鮮をやっつければならない」とするブログを載せています(作者:余以為)。

そこには以下のような激しい言葉が連ねてあります。
 北朝鮮は東北アジアの中心にあり、日韓が海路を通して支那や世界と交易をできる場所にありながら、支那の東北部は北朝鮮のために、まるで「内陸」のような位置づけになっている。これこそが、東北部に経済不振をもたらしている最大の原因であり、労働人口が(南に)流出する最大の原因だ。北朝鮮問題を解決しない限り、支那がどんなに「東北振興」戦略に金を注いだところで無駄になるだけだ。 
 改革開放以来、支那経済が「南強北弱」となっているのは、北朝鮮が鎖国を続けているからに他ならない。そこでブロックされてしまっている。 
 ソ連崩壊後、ベトナムは中国を「兄貴分」と思っているが、北朝鮮は中国を兄貴分とは思っていない。核武器を発展させて、「アメリカの弟分になろうとしている」のだ! 
 アメリカが北朝鮮をやっつけて「弟分」にさせてしまう前に、中国が一刻も早く北朝鮮をやっつけて、中朝市場の一体化を推進しなければならない。そうすれば韓国だって喜ぶし、東北一帯は朝鮮半島を一体化して一気に経済発展を遂げるだろう。 
 日本が東北部に「満州国」を樹立していたとき、実は東北部の経済は発展し、日本本国の経済成長をも上回っていた。その理由は決して日本人が優秀だったからではなく、「日韓満」という三つの地域の市場が統一されて相乗効果を上げていたからだ。北朝鮮の鎖国が、がいかに東北経済発展を阻害する岸壁となっているかが分かるだろう。 
 だから、アメリカに持っていかれる前に、どんなことがあっても中国は先に北朝鮮の金王朝をやっつけなければならない。(1979年に中越戦争を起こした)トウ小平の勇気に学べ! アメリカが北朝鮮と戦うか否かに関係なく、今こそ北朝鮮(金王朝)をやっつけるチャンスだ。この機を逃すな!
これほどまでに激しい声が支那人民特にその中でも満州族の中にはあるのです。人民だけではありません。中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」も黙っていません。

◆朝鮮半島で戦争が起きても「抗美援朝」の再演はもうない

「抗美援朝」とは、朝鮮戦争時代に中国が中国人民志願軍を結成して北朝鮮に派兵したときの、「アメリカに抵抗し北朝鮮を支援しよう」という意味のスローガンです。

環球時報は「朝鮮半島で戦争が起きても“抗美援朝”は再演されない」という労木氏の評論を載せている(2016年2月17日)。それが数多くのウェブサイトに転載されています。

労木氏は、おおむね以下のようなことを書いています。
1.北朝鮮の行動は、アメリカが2020年までに兵力の60%をアジア太平洋に配備するという計画を助長し、その時期を早めている。北朝鮮の挙動は支那を威嚇することはあっても、アメリカには利益をもたらしているだけだ。 
2.北朝鮮が支那国境付近に核施設を設置しているのは、実は下心がある。北朝鮮の核施設の性能は低いので核漏洩(放射能汚染)の危険性が大きい。支那東北部には大きな脅威となる。それもあって支那は北朝鮮の非核化を必死になって叫んでいるのだが、北はどうしても言うことを聞かない。もし核開発を続けるというのなら、各施設を平壌付近に移動させてくれ。支那はもうこれ以上、すぐ隣に核の谷を作るような北の核政策を容認することはできない。 
3.中韓関係の離間工作に関して米朝は「同床異夢」ならぬ「異床同夢」を見ているのだ。目的は同じで、手段が違うだけ。アメリカは遥か遠くにいて自分は放射能汚染の危害に合わないので、平気で北朝鮮をけし掛けている。犠牲になるのは支那なのだ。 
4.民意調査を見てみろ。どれだけ多くの人民が北朝鮮を嫌っているか。北朝鮮よ、支那の安全を脅かすのはいい加減にしてくれ。もし朝鮮半島で戦争が起きても、二度と再び「抗美援朝」が再演されるとは思うな。
おおむね、以上のような論評だ。環球時報が載せたということは、支那共産党がそう考えているという何よりの証拠です。これが支那政府の本音でしょう。

事実、ネットでは96%のユーザーが北朝鮮を嫌っているというデータもあります。

支那は安保理による北朝鮮制裁決議に賛同の意を表しているのですが、北朝鮮との間の支朝国境貿易が制限あるいは完全に遮断されたときに何が起き得るのかを、これらの評論は示唆しているように思われます。

中国商務省は18日、北朝鮮からの石炭輸入を全面的に停止するとの通達をウェブサイト上で発表しました。北朝鮮に対する国連安全保障理事会の制裁を強化する狙いがあります。

輸入禁止措置は19日から今年いっぱいとなります。北朝鮮は12日に弾道ミサイルの発射実験を行こないました。

支那は昨年4月、国連の制裁を受けて北朝鮮からの石炭輸入を停止する方針を示したのですが、核やミサイル開発に関係せず人道上不可欠な場合は除くとしていました。

米国務省の報道官は「全ての国が北朝鮮に関する決議を完全で透明な形で実行する必要がある」と強調。「北朝鮮が核開発に関する真剣な協議に復帰するように、同国の最大の貿易相手国である支那に引き続き影響力を行使するよう求めていく」としました。

今回の金正男氏の殺害によって、「火薬庫」としての支那東北部の火種が将来的にもなかなか消えない可能性が高まったと思います。なぜなら、支那としては、北朝鮮属国化としての切り札を一つ失ったことになるからです。

雪中訓練をする人民解放軍瀋陽軍区の将兵
現在支那経済はかなり減速しています。そうなると、旧満州はますます苦しい状況に追い込まれるわけで、この火薬庫を除去するために、習近平は何らかの対応を迫られることになることでしょう。

さて今回は、支那東北地方を管轄する、人民解放軍「瀋陽軍区」と北朝鮮との関係については、掲載しませんでした。

「瀋陽軍区」は、反習近平派の拠点ともなっており、これが北と通じてクーデターを計画しているという噂もあります。これについては、いずれまた、レポートするつもりです。

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2017年2月19日日曜日

金正男氏殺害、強まる「ドッキリ偽装」 「日本のテレビ番組」利用されるワケ―【私の論評】手口の稚拙さが物語る北朝鮮の現状(゚д゚)!


日本のドッキリ番組だと言われて――。金正男氏殺害の「実行犯」とされるインドネシア人女性が、そんな供述をしていると国内外のメディアが報じている。
インドネシアでは日本のテレビ番組なども放送されており、「オリジナリティがある」など人気がある。こうした背景が、今回の事件にも影響している可能性がある。

シティ・アイシャ容疑者と見られるフェイスブックに、2016年12月投稿された写真
 「番組プロデューサー」名乗って実行犯雇うとの報道

海外メディアなどによれば、逮捕されたインドネシア人女性、シティ・アイシャ容疑者(25)はマレーシア警察の取り調べに対し、テレビの「ドッキリ番組」だと言われて犯行に参加したとし、過去にも何度か、同じような「いたずら」を行ったことがある、などと供述している。

さらに日本テレビなどは19日、親族の話として、アイシャ容疑者を雇っていたのが、「日本のテレビ番組のプロデューサー」を名乗る人物だったと相次いで報じた。

今回の犯行については当初、北朝鮮の熟練の暗殺者によるもの、という見方が強く、日本では「容疑者2人はすでに死亡した」などといった情報も流れた。しかし実際には、アイシャ容疑者は16日に逮捕されるまで、そのまま現場近くのホテルに滞在するなど、「らしくない」行動が目立つ。

アイシャ容疑者のものとされるフェイスブックも、大半は他愛ない自撮り写真ばかりだ。大韓航空爆破事件で知られる金賢姫氏も、犯人が「工作員」とは思えない、との見方を18日付の毎日新聞朝刊に示している。

 日本のドッキリ番組が370万回再生

YouTubeで「prank(ドッキリ)」などのキーワードで検索すると、多くの動画がヒットする。大半は罪のないものばかりだが、中には、個人の作品で、イスラム教徒風の格好をした人物が「爆弾だ!」と言いながらカバンを投げつけるなど、「シャレにならない」ものも少なくなく、それがまた人気だ。

こうした動画のなかで、日本のテレビで放映されたドッキリ動画はかなりの人気を誇る。たとえば「うわっ!ダマされた大賞」(日本テレビ系)の「エレベーターの足元が急に開き、そのまま滑り台に落下する」という映像などは、370万回も再生、コメント欄には、
「日本のドッキリはいつも最高だ」
「日本は本当にイカれてるな(笑)」
「超笑える、日本のドッキリ大好きだ」
といった声が並ぶ。ほかにも、数百万回クラスの再生数を誇る「日本産ドッキリ」は数多い。

 テリー伊藤「僕は当たってる気がする」

インドネシアでは近年、日本文化の人気が高まっている。1990年代から放映されている「ドラえもん」などに加え、最近ではスカパーJSATグループが、「WAKUWAKU JAPAN」として日本番組専門チャンネルを2014年から展開、日本の番組は「コンセプトが本当に独創的で、オリジナリティがある」などと好評だという。

馴染みのある「日本のテレビ」という言葉が、アイシャ容疑者の警戒心を緩めた可能性がある。

「天才!たけしの元気が出るテレビ」の「早朝バズーカ」など、自らもドッキリ番組を多数手がけ、かつ北朝鮮にも詳しいテリー伊藤さん(67)も、金氏殺害の実行犯が「ドッキリだと思っていた」説に賛同している。2月19日放送の「サンデージャポン」(TBS系)で、
「イタズラ動画で、っていうのは僕は当たってる気がする。こんなこと、世界中のだれも想像つかなかった。(中略)こんなバカバカしいやり方で、人を殺しちゃってるんだっていう......」
と、私見を披露している。

【私の論評】手口の稚拙さが物語る北朝鮮の現状(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、シティ・アイシャとされる女性の動画が下のものです。


今回の事件、たとえアイシャ容疑者が語っているように、ドッキリ番組であると信じこまされて犯行に及んだことが事実だったにせよ、なんというか、犯行の実行の仕方が、粗雑であり、稚拙ですらあると思えます。

ドッキリに見せかけるにしても、元来ならばもっと計画的に実行し、アイシャ容疑者などの実行犯が捕まるのは予定帳場だとしても、実行犯らが犯行をしているところを見ていて、犯行後に逃げるなどというのは、はっきりいえばスパイとして失格ではないかと思います。

実際、これらの北朝鮮籍の男らが指名手配されています。

マレーシア警察当局は19日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏が暗殺された事件で、北朝鮮国籍の男4人を容疑者として公表、行方を追っていることを明らかにしています。これにより、北朝鮮の組織が関与している可能性が強まっています。4人は事件当日の13日、マレーシアを出国したといいます。警察は各国に協力を求め、事件解明に全力を挙げる考えです。

17日に逮捕されているリ・ジョンチョル容疑者(46)と合わせ北朝鮮籍の容疑者は5人になりました。韓国統一省報道官は19日、捜査結果を受け、「容疑者5人が北朝鮮籍であることを考えると、金正男氏殺害の背後に北朝鮮政権がいるとみている」と表明しました。

事件後、警察の記者会見は初めてです。死因は不明で、毒物検査の結果を待っているといいます。新たに公表された容疑者はリ・ジヒョン(33)、ホン・ソンハク(34)、オ・ジョンギル(55)、リ・ジェナム(57)の4人。

発表によると、4容疑者は1月31日〜2月7日の間にマレーシアに入国し、事件当日の13日に全員出国しました。

このほか、警察当局は、監視カメラに映るなどしていた北朝鮮国籍のリ・ジユ氏(30)と身元不明の男2人の行方を追っています。

一方、現地の中国語メディアは19日、既に逮捕されているリ容疑者は化学分野の専門家で、毒物などについても深い知識があるとみられると報じました。

リ容疑者は、北朝鮮の大学を2000年に卒業、インドで医薬研修に従事した後、平壌に戻り、家族と共にマレーシアに移り住みました。現在は抗がん剤などを扱う薬品会社に勤めているといいます。 

以下に、今回の殺害の構図を掲載しておきます。



事件の直後にこれだけの人数と、偽名かもしれませんが、名前もこれだけわかつていて、いくら最近は従来よりは、空港などに監視カメラが増えているとはいえ、これだけ面が割れていて、手配を受けているというのですから、杜撰な犯行といっても良いのではないでしょうか。

もし暗殺というのなら、実行犯などはすぐに判明したにしても、これだけの規模で犯人が特定されるということはあり得ないです。これはでは、確かに暗殺とは呼べないかもしれません。暗殺(あんさつ)は、主に政治的、宗教的または実利的な理由により、要人殺害を密かに計画・立案し、不意打ちを狙って実行する殺人行為(謀殺)のことです。

これだけの人数の人間が事件直後から判明している、実行犯の身元もはっきりわかり、どのような手口で支持・訓練されたかもはっきりしている場合、これは単なる殺害であり、暗殺ではありません。暗殺は、隠密裏におこなわれるべきものであるはずです。

金日成や、金正日の時なら、ここまで杜撰なやり方はしなかったと思います。無論まともな国であれば、殺害などという手段はとらないでしょうが、それにしても、支那やロシアなどのような国であっても、このような杜撰なやり方はしないでしょう。

これがもし、金正恩の息のかかっている連中により実行されたというなら、現在の北朝鮮はとんでもない状況になっている可能性があります。それこそ、金日成や、金正日の時代にもなかったような異常事態です。

北朝鮮の異常ぶりをうかがわせることがこの事件の他にもあります。

まず第一は、対北ラジオ放送「しやかぜ」にたいす北の妨害電波が激減しているという事実があります。それについては、以下のリンクを御覧ください。
対北ラジオ放送「しおかぜ」 北の妨害電波激減 電力不足か 金正男氏暗殺を週明け以降放送

 拉致問題を調べている「特定失踪者問題調査会」(荒木和博代表)の北朝鮮向けラジオ放送「しおかぜ」に対する北朝鮮の妨害電波の頻度が落ちていることが18日、分かった。原因は特定できていないが、電力の6割を賄う水力発電の供給力低下があるとの見方が出ている。北朝鮮では、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、正男(ジョンナム)氏の暗殺は公式報道されていないが、しおかぜは週明け以降、ニュースとして伝えるという。 
 同会の村尾建兒(たつる)専務理事によると、妨害は放送開始半年後の平成18年4月からほぼ毎日確認。妨害され次第、周波数を変更するが、北朝鮮は3日ほど遅れて妨害を再開していた。 
 しかし、最近は特に冬季に妨害電波の休止や時間短縮が増え、昨年9月から12月まで放送された中波に対する妨害電波の発信は週1、2回にとどまった。昨年3月1日には、1日当たり2時間半の放送時間のうち、開始2分後に妨害が始まって5分後に停止。同2日には妨害はなく、同3日には放送10分前に送信が始まり途中で止まった。
 妨害電波のモニタリングは中国・瀋陽とソウルで実施。今年に入ってからの正確なデータはまだないが、村尾氏は「今年も妨害の頻度は以前ほどに高くない。これまで国内の一般放送を休んでも妨害を休むことはなかった。放送を休まなければならないほど逼迫(ひっぱく)した事情は電力不足ではないか」と指摘する。 
 しおかぜを放送する茨城県内の送信所は概算で毎時最大500キロワットの電力を消費する。対する北朝鮮は放送機材やインフラなどの劣化から電力ロスが相当に出るとの見方を加味。同程度の電力が必要だが、その確保が難しいのではないかと、同会はみている。 
 中国・延辺大グループの調査では、北朝鮮の水力発電設備の利用率は発電設備の容量増加に反比例して2014年に35%に下落。1980~90年よりも7ポイント低下した。森林破壊によるダムの貯水力の低下や発電設備の老朽化を挙げている。 
 正恩政権に入ってからの住宅や娯楽施設などの“開発”の余波でダム水が凍結する冬場は発電用水資源の確保が一層、困難になったとの見方もある。

 北朝鮮ではかなり電力供給が逼迫しているということです。経済的にかなり困窮を極めているということです。金正恩氏による、住宅や娯楽施設などの“開発”の余波があったにしても、経済的にある程度余裕があれば、電力などなんとかできるはずです。ということは、金正日氏の頃と比較して、北朝鮮は経済が上向いているとはとても言えない状況にあるということです。

さらにもう一つ気になることがあります。それは、北朝鮮の兵士になるための条件が昨年には緩和されていたということです。

38度線付近で並んだ左より、米兵、北朝鮮兵、韓国兵
北朝鮮では200万人以上が餓死したという1990年代の大飢饉(ききん)を、成長期に経験した世代が前線の小隊長といった軍の中核を占めるようになりました。彼らは「政権への忠誠度が最も低い世代」といわれます。

その後も、深刻な栄養不足で子供並みに小柄な兵士も多く、身長138センチ以上、体重43キロ以上まで入隊基準が緩和されたほどです。

食料の配給量の減少が重なって、中国側に越境した北兵士による強盗事件も頻発。慢性的な燃料不足もあり、戦車などを動員した大規模な演習もままならない状態が続いているといいます。最近の北朝鮮が核・ミサイル開発に傾注する背景として、通常兵力の弱体化も指摘されています。


正恩政権は頻繁に幹部の首をすげ替えることで不満の芽を摘んできたのですが、党による圧迫が強まれば、さらに前線の士気低下を招く結果になりかねません。

軍の統制が負の連鎖に陥っているとみられ、強硬姿勢を強める裏で実際には『戦えない軍隊』化が進んでいるようです。

日本でも、150センチ台なら、別に栄養不足でもなく、病気でもない至って健康な男子もいますが、さすがに130センチ台であれば、育ち盛りに極端な栄養不足に陥ったか、あるいは病気であるという可能性が高いです。

下の動画は、アジアプレスの記者が世界ではじめて、痩せこけた朝鮮人民軍兵士集団を秘密撮影したものです。特に、背の小さい痩せこけた兵士は、現在の食糧事情が悪いだけではなく、育ち盛りのときに満足に栄養を摂取できなかったことを物語っています。


このような人を軍隊に入れなければならないほど、北朝鮮は困窮しているということです。これは、日本の大東亜戦争末期の困窮ぶりを上回っています。それにしても、安全保障の基となる兵士に対して満足に食事も提供できない国とは、いかなる国なのでしょうか。

この二つをみても、北朝鮮の状況はかなり異常です。このような異常な状況で、金正恩は、弾道ロケットなどどんどん発射するなどのことをしています。

北朝鮮は我々の想像をはるかに超えて困窮している可能性が大です。これでは、意外にかなりもろく国自体が崩壊するかもしれません。そのような現実を物語っているのが、今回の金正男氏殺害の手口の稚拙さなのだと思います。

今後も、北朝鮮の動静を追跡し、何か変わったことがあれば、またレポートさせていただきます。

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2017年2月18日土曜日

日本メディアのトランプ報道はもはや「誤報」レベル―【私の論評】日本の大赤恥かきメディアは未だ全く反省していない(゚д゚)!

日本メディアのトランプ報道はもはや「誤報」レベル

完全に読み違えていた日米首脳会談の展望


米ホワイトハウスで、共同記者会見を終え握手を交わす安倍晋三首相と
ドナルド・トランプ大統領(2017年2月10日撮影)
 日米首脳会談が終了し、日本側のトランプ大統領についての報道がいかに錯誤しているかを改めて思い知らされた。主要な新聞やテレビは会談の直前まで、トランプ大統領は日本に自動車問題や為替問題で厳しい要求を突きつけてくるから覚悟して対策を立てよと大キャンペーンを張っていた。だが、この予測は見事に空振りとなった。

 トランプ大統領はそんな対日要求はまったくせず、逆に安倍首相に異例なほどの親密さを示し、日米同盟の堅持を力強く誓ったのだ。

 それでも日本側の主要メディアは、「いやいや、トランプ大統領はまだ本音を出していない。これからの動きに気をつけろ」などと根拠のない警告を発する。あるいは「日米首脳の仲が良くなっても日本の国益にかなうわけではない」と屁理屈を述べる。

 その背景には、日本側の「専門家」や「識者」とされる人たちの間に「とにかくトランプを非難しなければならない」という風潮が存在するようだ。

 日本のメディアが「移民に扉を開け」と説教?

 トランプ氏は、米国の正当な選挙制度のもと、米国民の多数派の民意によって大統領に選ばれた。日本が他国の選挙の結果にケチをつける筋合いはない。

 オバマ前大統領の好きな言葉に「選挙には結果があるのだ」というフレーズがある。民主主義の政治において、選挙で選ばれた指導者は国民の信託を受けたのだから、たとえ一部に反対の声があっても、自分の判断に沿って自分が正しいと信じる政策を進めるのだ──、という意味が込められている。

 だが、いまの日本側の評者たちを見ていると、まるで逆方向へ進んでいるようである。選挙で表明された米国民の民意を認めようとせず、トランプ氏を大統領に選んだ判断は間違っていると言わんばかりに扱ってみせる。

 米国の新大統領の何から何までとにかく叩こうという日本のメディアの姿勢は滑稽でさえある。たとえば、移民や難民を頑なに受け入れてこなかった日本のメディアが、トランプ政権に向かって「たとえテロ対策だとしても、外国からの移住者への扉を閉ざしてはならない」と説教するのは、質の悪いジョークとしか思えない。

 誤報と呼ぶしかない会談の展望記事

 今回の日米首脳会談は、日本の当面の国益という観点からすれば明らかに成功だった。

 米国は日本同盟に基づく防衛責務を改めて明確にし、尖閣諸島の防衛責務も確認した。しかも懸念された経済問題に関してトランプ大統領は何の文句もつけず、要求もしなかった。

 だが、こうした展開は、日本の大手メディアが会談の直前まで大きく報道し続けていた展望とは大きく異なっていた。たとえば朝日新聞は、会談ではトランプ大統領が自動車や為替の問題を持ち出して日本を批判し、譲歩を迫ってくるという報道をさんざん行っていた。

 2月11日の朝刊第1面には、「車貿易や為替 焦点」という見出しの次のような記事が載っている。

<(日米首脳会談で)トランプ氏は自動車貿易を重要課題とする構えで、二国間の貿易協定や為替政策に言及する可能性もある。通商・金融分野をめぐり、どのようなやりとりが交わされるかが焦点となりそうだ。>

 前日の2月10日夕刊はもっと明確である。見出しはこうだ。

<自動車、重要議題に>

 この記事は冒頭で以下のように述べていた。

<トランプ米大統領が10日の安倍晋三首相との日米首脳会談で、自動車貿易をめぐる協議を重要議題に位置づけていることがわかった。>

 しかし現実の日米首脳会談では、朝日新聞が予言した自動車問題も為替問題も出なかった。この事実は、朝日新聞も2月12日朝刊の記事ではっきりと認めている。

<トランプ氏が問題視していた日本の自動車貿易や為替政策も取り上げられなかった。> 

 これはもはや誤報と呼ぶしかないだろう。

 日本の主要メディアのトランプ報道はかくも無責任であり、ずさんである。メディアも識者もトランプ大統領の片言隻句をとらえ、悪い方へ悪い方へと解釈して攻撃するのではなく、もう少し冷静になって客観的にトランプ大統領の政策を論じてはどうか。

【私の論評】日本の大赤恥かきメディアは未だ全く反省していない(゚д゚)!

日本のメディアは相変わらず、米国に関する頓珍漢で奇妙奇天烈な報道を続けています。その最たるものは、米国のドナルド・トランプ大統領が中東・アフリカ7カ国からの入国を一時禁止した措置に関するものです。とにかく、日本国内ではこれが、批判の的となっているだけではなく、あたかもこれが多くの米国民に支持されていながごとくの報道ばかりです。これでは、全く米国内の実情と相反しています。これは、誤報以外の何ものでもありません。

肝心の米国では、一連の世論調査によってこの措置は、一般国民の多くが支持していることが明らかになっています。この事実が日本の主要メディアではなぜか全く報じられないどころか、あたかも全米国民が反対しているかのような報道ばかりです。

トランプ大統領は1月27日、イスラム教徒の多いシリア、イラク、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンの7カ国からの米国への入国を一時禁止する大統領令を出しました。この7カ国はオバマ政権から「テロ懸念国家」と指定されていました。トランプ政権は入国審査を厳格化するまでの期間として、それらの国からの入国を90日間禁止したのです。

この措置は、米国内で民主党はじめ各方面から反発を受けました。ワシントン州の司法当局はこの大統領令を憲法違反だとして差し止めを求める法的措置をとったのです。

トランプ政権はこれに反発して、サンフランシスコの上級裁判所へ控訴しました。しかし同上級裁も2月9日、ワシントン州当局の主張を認める判断を発表しました。トランプ政権は最高裁判所へ上訴する構えを明らかにしています。

米カリフォルニア州ロサンゼルスで、ドナルド・トランプ大統領の移民政策に抗議する運動「移民の
いない日」に呼応して休業したアイスクリーム店の前で反トランプデモを行う人々(2017年2月16日撮影)

とこめで、肝心の米国民はトランプ政権のこの措置にどんな反応を示したのでしょうか。

最初に世論調査の結果を報じたのはロイター通信でした。調査では、米国民の49%がトランプ大統領の措置に賛成、41%が反対という結果が出ました。米国の一般国民の約半数は大統領の措置に賛意を表明しており、反対する人より多いという事実が明らかとなったのです。

私も、この結果についてはいち早くネット上の情報から知ることができました。しかし、私の記憶ではこの情報に関しては、日本のメデイアはことごとく無視していました。

ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト、CNNテレビなど、反トランプ色が強く、民主党を支持するリベラル・左派系メディアは、その結果をごく簡単に報じただけでした。

しかし、その直後の2月初め、今度は米国の大手世論調査機関ラスムセン社が世論調査の結果を公表しました。それによると、7カ国からの入国を一時禁止する措置への賛成が57%、反対が33%であり、賛成派が大差で多かったのです。

ラスムセン社の世論調査の結果を報道するテレビの画面
ラスムセン社は、大統領選キャンペーン中もトランプ氏の支持率を他の世論調査機関よりも正確に伝えてきた実績があります。ところが、ラスムセン社が発表した「57対33」という数字は、日本の主要メディアの間ではまったく報道しませんでした。

さらに世論調査機関「モーニング・コンサルト」が政治雑誌の「ポリティコ」と合同で実施した世論調査でも、同じような結果が出ています。2月6日に報道された調査結果によると、トランプ政権の入国一時禁止措置を支持する米国民は全体の55%、不支持は38%でした。

さらにこの合同世論調査で注目すべきなのは、トランプ大統領が矢継ぎ早に打ち出した11の大統領令のうち、入国一時禁止措置は一般米国民から最も高い支持を得ていることです。

例えば、TPP(環太平洋パートナーシップ)からの離脱は支持が47%(不支持が33%)、メキシコとの国境での壁建設は支持が47%(不支持が42%)でした。これらよりも入国一時禁止措置は支持されています。トランプ大統領が出した11の大統領令はすべて賛成が反対を上回っている点も注視に値します。

一見、過激に映り、日本のメディアなどが、根拠のないただの暴走のように報道し続けるトランプ大統領の措置は、多くの米国民から支持されていたのです。民主党系の反対派は「人道主義に反している」「憲法に違反している」と非難しているのですが、実は民意に沿っていないということなのです。

何のことはない、トランプ大統領は民意に沿った行動をしているというだけなのです。米国の大統領が米国の国民の多数の民意を汲んだ行動をすることは当たり前といえば、当たり前です。

それに対して、米国のリベラル・左派メディアが反対するのはわからなくもありませんが、何も日本のメディアのほとんどがそれに追随する必要性は全くないわけです。米国の民意に反するような報道するという、彼らの行動には、全く理解に苦しみます。これは、内政干渉といわれても致し方ないかもしれません。

今月16日には、ドナルド・トランプ大統領の移民政策に抗議する運動「移民のいない日」に呼応して米国の全国の飲食店が閉店したそうですが、確かに全国あちこちで、閉店した店はあるのでしょう。しかし、それは全飲食店ではありません。営業している店も多くありました。では、閉店した店は全体の何%だったのでしょう。おそらく、少数派であったことと思います。

これに関しては、正確な統計は発表されておらず、確かなことはわかりませんが、この日も米国全土で、多くの飲食店が開業したいたことは事実です。私は残念ながら、この日には米国にはいませんでしたが、日本国内でSNSをみていても、それはわかります。

なぜなら、ツイッターやフェイスブックなどでも、飲食店のほとんどが閉店して困ったなどというツイートなどはほとんどありませんでした。フェイスブックでも、そのようなことを掲載したものはほとんどありませんでした。

これらの現実は、日本のメディアでは、ほとんど伝えられていません。日本の多くのメディアが反トランプ陣営の米国では圧倒的多数のリベラル・左派主要メディアの報道に依存している状況ではやむを得ないかもしれませんが、トランプ政権の読み方、マスコミ報道は絶対に鵜呑みにすべきではありません。

昨年の大統領選で日米の主要メディアは的外れな分析や展望を重ねとんだ大赤恥をかいたばかりです。私たちは、これを忘れるべきではありません。

「移民 トランプ 世論調査」の画像検索結果
CNNはテレビ討論の結果をクリントン氏が
圧倒的に有利であると報道していたが・・・
それにしても、日本のメディアがなぜこのようなことになるかといえば、このブログで何度か掲載してきたように、やはり米国のメデイアの90%はリベラル・左派に占められているということから、日本のメディアは、未だに米国のメディアの報道することが、米国の主流の考え方であるという構図から抜け出せないということなのです。

米国では確かに、メディアの90%がリベラル・左派に占められているというのは事実です。これは、誰も否定しようもない事実です。疑問に感じるかたがいらっしゃったら、自分で調べてみてください。

そうして、トランプ氏が大統領選挙に出る前までは、アメリカのリベラル・左派の大手メディアの発信する報道内容が民意に沿ったものであるかのごとく思われてきました。

しかし、米国内にも当然のことながら、保守派の人はおそらく人口の半分くらいは存在したはずですし、今でも存在しています。

この極端なポリティカル・コレクトネスを嫌い、米国の伝統的価値を重んじ、米国の人口の半分くらいは占めているであろう保守派の人々の考えは、リベラ・左派の大手メディアによってほとんどかき消されて、まるでなきが如くに疎んじられてきました。

しかし、トランプ氏が大統領選に出馬した頃から趨勢が変わり、さらにトランプ新大統領登場によってかなり変わってきたということです。

アメリカの保守の人々は、トランプ大統領が登場してから明らかに、以前はそうではなかったのに、世論調査などでもトランプ支持であることを表明しやすくなり、トランプ大統領の大統領令などにも賛成の意見を表明しやすくなりました。

これが従来だと、米国の圧倒的多数の、圧倒的多数のリベラル・左派メディアの報道により、リベラル・左派の考え方が米国の多数派であり、支流派であると思い込まされたわけですから、保守派の人々が自分たちの意見を公言したり、世論調査においても、保守派的な意見の表明はためらわれたことでしょう。

しかし、トランプ大統領登場以来、その状況は変わってきたのです。そのことに日本のメディアは未だ気づかず、米国のリベラル・左派のメディアの報道を垂れ流し続けています。

このようになることであろうことは、前からわかっていました。特に、トランプ大統領就任式会場の報道の仕方にその姿勢ははっきりと現れていました。


日本のメデイアは、トランプ大統領就任式の人出と、反トランプデモの人出を比較した米国のメデイアの報道をそのまま垂れ流していました。

おそらく、これからも、日本のメディアは全く反省もなくこのようなことを繰り返し、何度も大統領選のときの報道と同じ過ちを繰りかえし、大恥をかき続けることでしょう。

そんな報道は全く信用に値しません。信用すれば、馬鹿を見るだけです。

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2017年2月17日金曜日

米軍、金正恩氏「7日で排除」3月にも世界最強の軍事力行使か、韓国紙は日本配備のステルス戦闘機に言及―【私の論評】まさに、朝鮮半島は戦争前夜(゚д゚)!

米軍、金正恩氏「7日で排除」3月にも世界最強の軍事力行使か、韓国紙は日本配備のステルス戦闘機に言及

ドナルド・トランプ米大統領 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏がマレーシアで殺害された事件は、国際社会が注目している。「毒劇物による暗殺」の可能性が高まるなか、ドイツ・ボンで16日に開催の日米韓外相会談でも、事件や北朝鮮の核・ミサイル問題は議題となった。ドナルド・トランプ米大統領は、北朝鮮への対抗姿勢を強めており、3月にも世界最強の軍事力を行使する可能性がある。北朝鮮は16日、故金正日(キム・ジョンイル)総書記の生誕記念日「光明星節」を迎えたが、専門家は正恩氏排除までの期間を「早ければ7日」と断言した。

 日米韓外相会談は、ボンでのG20(20カ国・地域)外相会合に合わせて行われた。岸田文雄外相と、レックス・ティラーソン米国務長官、韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が出席した。

 会談では、日米韓が連携して、アジアの平和と安定を壊しかねない北朝鮮への制裁措置の実効性確保を図るとともに、中国に対して北朝鮮への圧力を強めるよう働きかける方針を確認した。当然、正男氏の暗殺事件についても意見交換したとみられる。

 注目の事件だが、マレーシアの国営ベルナマ通信は16日、同国の警察が2人目の女を逮捕したと報じた。地元メディアは、女2人のほかに、男4人が犯行を手助けした疑いがあり、警察が行方を追っていると報じた。

 韓国・朝鮮日報は16日、「(正男氏の遺体の)口元に泡がついており、典型的な毒殺時の現象だ」という政府当局者の証言を伝えた。

 事件への関与が注目される正恩氏は75周年の「光明星節」という16日、父の正日氏と、祖父の故金日成(キム・イルソン)主席の遺体が安置されている平壌の錦繍山太陽宮殿を訪問した。

金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 今後、犯行が「北朝鮮の仕業」「正恩氏の指示」と断定されれば、日米首脳会談に合わせた11日の弾道ミサイル発射を受けて「非常に強い態度で対応する」と怒りをあらわにしたトランプ氏を、激高させそうだ。

 トランプ氏の本音について、13日に帰国した安倍晋三首相はNHKのニュースに出演し、「オバマ政権は軍事力の行使には非常に慎重だった。今のトランプ政権では、もう一度見直し、あらゆる選択肢をテーブルの上にのせながら、外交的に解決していきたいと考えていると思う」と語った。

 「あらゆる選択肢」とは、当然、世界最強の軍事力を指す。

 福井県立大の島田洋一教授は「トランプ氏は『ここで北朝鮮になめられたら、他の国になめられる』という感覚から、目に見える格好で強い姿勢を示すだろう。過去にも、相手がなめてかかってきたら『10倍返し』でやるという趣旨の発言をしている」といい、今後の行動をこう予測する。

 「まず考えられるのは、北朝鮮と取引する中国企業が使用する金融機関に対する金融制裁のグレードアップだ。さらに米韓軍事演習の強化や、米国防情報局(DIA)を通じた工作も強化してくるのではないか」

 米韓軍事演習については、拡充する見通しを韓国紙が伝えている。

 朝鮮日報(日本語版)は11日、米原子力空母「カール・ビンソン」が前日にグアムに到着したことや、ステルス戦闘機「F22ラプター」の日本配備に触れ、米軍の戦略部隊が朝鮮半島周辺に集結していることを報じた。記事では、軍関係者の話として「3月の米韓軍事演習『キー・リゾルブ』と『フォールイーグル』に参加する可能性が高い」と伝えている。

 カール・ビンソンは「動く軍事拠点」とも呼ばれるニミッツ級の原子力空母で、同紙は「西太平洋を担当する第7艦隊には、すでに原子力空母『ロナルド・レーガン』が配備されている。米国が西太平洋で2つの空母機動部隊を運用するのは異例」と指摘した。

 かつてない規模で行われる3月の米韓軍事演習だが、過去には正恩氏を急襲し、確保・排除する「斬首作戦」に沿った演習が行われてきた。

 軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「本物の『斬首作戦』に変更してもいいような軍事演習となるだろう」といい、北朝鮮攻撃のシナリオを次のように語る。

 「陸からは、韓国軍と米軍の特殊部隊で平壌まで行く。空からは、B2爆撃機が平壌(ピョンヤン)上空まで行き、地下の約50メートルまでコンクリートをぶち抜ける爆弾『バンカーバスター』を使って、地下壕にいる正恩氏の居場所を徹底的に攻撃するだろう。海からは、恐らくトマホークを打ち込む。海上にはイージス艦もいるので、北朝鮮が弾道ミサイルで反撃してきた場合は、海上配備型迎撃ミサイルSM3で全部打ち落とすだろう」

 トランプ氏が、暴走する正恩氏を排除する決断を下すきっかけは何か、作戦終了までにかかる時間はどの程度か。

 世良氏は「北朝鮮が米国に到達する能力を持つICBM(大陸弾道間ミサイル)を発射したとき、またはトランプ氏が何らかの情報に基づきゴーサインを出したときが考えられる。早ければ1週間程度で、正恩氏を排除できるのではないか」と語っている。

【私の論評】まさに、朝鮮半島は戦争前夜(゚д゚)!

すでに米軍は、昨年金正恩斬首部隊を韓国に配備し、そのための訓練を行っています。それについてはこのブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
在韓米軍、「金正恩斬首」の特殊部隊を配備―【私の論評】戦争に傾く混迷の2016年以降の世界を日本はどう生き抜くのか(゚д゚)!
第75レンジャー大隊の隊員たち ジャーマン・シェパードを含む 
この記事は、昨年の2月5日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部引用します。
在韓米軍がこのほど、第1空輸特戦団と第75レンジャー連隊所属の特殊部隊を韓国にローテーション配備した。 
同部隊は、イラク戦争やアフガニスタンでの戦闘に投入され、敵の要人を暗殺する「斬首作戦」などを担ってきた。核・生物化学兵器などの大量破壊兵器(WMD)の除去作戦も行う。 
在韓米軍の発表によれば、「特殊部隊は韓国特殊戦司令部と共に特殊戦司令部準備態勢や能力増大のための訓練を行う」という。訓練には、特殊部隊を極秘潜入させる米空軍のMC-130J支援機も投入される予定。

在韓米軍がこうした発表を行うのは異例。
さらに、 米国は昨年から2つの空母打撃群を西太平洋に配置する構えをみせ、ステルス戦闘機「F22ラプター」の日本配備も昨年すでになされています。今年になってはじめて、ブログ冒頭のような構えをみせたわけではありません。それに関す記事のリンクを以下に掲載します。
【スクープ最前線】米、東アジアで異例の軍備増強 北朝鮮急襲「Xデーは2月末」の衝撃情報―【私の論評】混迷する世界!「政治的メッセージ」を聴くのも、発信するのも飽きた米国?
この記事は、昨年1月28日のものです。以下に一部分を引用します。
米西部ワシントン州の母港を15日、原子力空母「ジョン・C・ステニス」(排水量10万5500トン)が出港し、西太平洋に向かった。同空母は、戦闘機や攻撃ヘリコプターなど約90機を搭載し、士官・兵員約3200人、航空要員約2500人が乗船している。当然、ミサイル巡洋艦や駆逐艦、原子力潜水艦などを引き連れて、空母機動部隊を編成している。 
ご存じのように、横須賀基地(神奈川県)には、原子力空母「ロナルド・レーガン」(同10万8000トン)を中心とする、機動部隊が配備されている。東アジアに2つの空母機動部隊が展開するなど、異例中の異例といえる。 
横須賀に入港中のロナルド・レーガン
さらに、横田基地には、米空軍の最新鋭ステルス戦闘機F22「ラプター」と、F16戦闘機「ファイティング・ファルコン」の計26機が集合した。米グアムの米軍基地には、「死の鳥」と恐れられるB52戦略爆撃機「ストレイトウフォートレス」(成層圏の要塞)と、B2ステルス戦略爆撃機「スピリット」がスタンバイした-。
以下、複数の米軍関係者から得た仰天情報だ。 
「北朝鮮殲滅(せんめつ)作戦は数パターンある。基本は、ステルス戦闘機などで約700カ所の軍事拠点をピンポイント爆撃し、原子力潜水艦で海域を封鎖する。同時に特殊部隊が突入。北朝鮮内部に構築したスパイとともに正恩氏を一気に確保し、排除する」 
「作戦の第1段階は、原子力空母や原子力潜水艦などの朝鮮半島沖への展開だ。2月末から、米韓合同軍事演習『キー・リゾルブ』と、野外機動訓練『フォールイーグル』が予定されている。空母などは、その名目で展開する。第1段階は2月下旬までに完了する」 
「Xデー」とはこのことだ。情報はこう続く。 
「最終的なゴーサインはオバマ米大統領次第だ。こちらは北朝鮮の地下軍事基地の詳細や、正恩氏の居場所、中国やロシアへの脱出トンネルも把握している。正恩氏はもはや、核放棄に応じるしかない。それは『2005年の事件』で分かっているはずだ」 
米軍は05年、北朝鮮で極秘軍事作戦を決行した。F117ステルス戦闘機「ナイトホーク」を、平壌上空に派遣し、正恩氏の父、金正日(キム・ジョンイル)総書記の豪邸にめがけ、上空から急降下を繰り返し、正日氏に死を覚悟させて震えあがらせた。見えない戦闘機に北朝鮮は手も足も出なかった。
F117ステルス戦闘機「ナイトホーク」
今回の米軍展開は、その時以上といえる。
飛行中のB2ステルス戦略爆撃機「スピリット」
米国が西太平洋で2つの空母機動部隊を運用するのは異例のことですが、それを米軍は昨年の今頃も実施し、今年も行っているということです。

この動き無論のこと、金正恩にだけ焦点をあてたものではなく、支那に対する牽制という意味もあると思います。

さて、米国といえば、オバマ政権時代にオサマ・ビン・ラディン氏を暗殺しています。これを考えれば、ブログ冒頭の記事にあるような、金正恩氏暗殺ということも十分にあり得ます。

オサマ・ビン・ラディン氏に関しては何年間もCIAが居場所をつきとめようとしていてなかなかつきとめられなかっのが、とうとう突き止めることができたため、斬首作戦に踏み切ったものです。

金正恩氏に関しても、わざわざ斬首部隊を韓国に配置したり、今年も空母打撃群を2つも派遣したり、さらにはステルス戦闘機を今年も日本に配備したということで、米軍としては、条件が揃えば実行する用意があるのは当然のことと思います。

それにしても、米国の昨年に続くこのような動き、北朝鮮側、金正恩からみても不気味でしょう。

さて、ブログ冒頭の記事にもあるとおり、北朝鮮は16日、故金正日(キム・ジョンイル)総書記の生誕記念日「光明星節」を迎えました。正恩氏は今年の75周年の「光明星節」に父の正日氏と、祖父の故金日成(キム・イルソン)主席の遺体が安置されている平壌の錦繍山太陽宮殿を訪問しました。

故金正日総書記の生誕記念日「光明星節」を記念して
開かれたシンクロナイズドスイミングの公演=15日、平壌
金正恩党委員長は16日0時、金正日総書記の生誕記念日(2月16日)である光明星節に際して、平壌の錦繍山太陽宮殿を参拝しました。同日、朝鮮中央通信が報じました。私自身は、金正恩氏はこの日にあわせるように、金正男氏を暗殺したのではないかとみています。
これをもって、完璧に後継者問題を終焉させるという意味があったものと考えます。
錦繍山太陽宮殿を訪れた金正恩氏と党・内閣・
軍の幹部ら(2017年2月16日付労働新聞より)
その並々ならぬ決意は、錦繍山太陽宮殿を参拝という事実に現されているものと思います。なぜなら、金正恩氏は、昨年の光明星節にはこの宮殿を訪問していないからです。なぜほうもんしなかったかといえば、それについてはこのブログにも過去に掲載しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
【北朝鮮情勢】金正恩氏、米軍の急襲恐れる?正日氏の遺体集団参拝に加わらず―【私の論評】中国に対する牽制のためにも、米による金正恩斬首は大いに有り得る(゚д゚)!
平壌の錦繍山太陽宮殿
この記事は、昨年の2月18日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、金正恩氏がなぜ宮殿を訪問しなかったのか、その理由に関する部分のみ以下に掲載します。
北朝鮮の金正恩第1書記が16日の金正日総書記の生誕記念日に取った異例の行動が、韓国で話題となっている。金正恩氏は例年、午前0時に金正日氏の遺体が安置されている平壌の錦繍山太陽宮殿を幹部らと集団参拝するが、今年は零時の集団参拝には加わらなかった。国営メディアは「16日に夫人と参拝した」と報じるのみだ。

韓国メディアは18日、金正恩氏が例年と異なる行動を取ったのは、F22戦闘機など戦略兵器を韓国周辺に展開する米軍の急襲を恐れたためとの見方を伝えた。
結局のところ、昨年は、斬首部隊が韓国に派遣されたり、米軍の2つの空母打撃群の配置があったり、日本にはステルス機などが配置され、自分の居場所を公にして、その場所に赴けば、それこそ斬首されかねないことを恐れたのだと思います。

しかし、今年は参加したというのは、やはり、後継者問題に片を付けるという意味あいがあったのものと考えます。宮殿を参拝することによって、これを北朝鮮内外に向かって強い意志を強く印象づけるという意味があったものと思われます。

そうして、これが他国も了解して、北朝鮮の後継者は、金正恩ただ一人と認めれば、今後金正恩の暴走は沈静化する可能性もあるかもしれません。

しかし、その意図がトランプ大統領などに伝わるかどうかは疑問です。北朝鮮は日米首脳会談めがけて、弾道ミサイルを発射したり、今度は金正男氏を暗殺したりということで、トランプ氏の逆鱗に触れる可能性は多いにあります。

それに支那の動きも気になるところです

中国政府が金正男を庇護下に置いたのは、金正恩体制がクーデターなどで転覆した際、取って代わって親中国政権を樹立するためでした。いわば正男は中国にとって手駒であり、隠しカードだったのです。

その正男を暗殺したとしたら、中国にケンカを売ったも同然。今後、北朝鮮の暗殺への関与がはっきりすれば、習近平政権は『中国政府に対する重大な挑戦』と捉えることになるでしょう。いずれにせよ、金正恩政権の北朝鮮と中国の間で緊張が高まることになるのは確実です。
 
中国は金正恩の過剰な独裁体制に不信感を抱いています。それを察知した正恩には、自分の身が中国に狙われることになるかもしれないという恐怖が常にあります。ならば、自分の代わりに後継指名されることになりそうな正男を先回りして暗殺しようと思い至ったとしても、不思議ではありません。

まさに、朝鮮半島は、戦争前夜といっても良い状況にあります。

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2017年2月16日木曜日

日米共同声明に仕込まれた対日要求―【私の論評】米は、南シナ海を支那原潜の聖域にさせない(゚д゚)!

日米共同声明に仕込まれた対日要求

日本は口先だけの日米同盟強化から脱却できるのか

南シナ海のスカボロー礁付近で中国軍機が米海軍のP-3C哨戒機と
「安全でない」距離まで接近していた。写真は
米軍のP3C。
   2月10日(米国時間)、安倍首相とトランプ大統領によって発せられた「日米共同声明」を、多くのアメリカ海軍関係戦略家たちが高く評価している。アメリカ大統領が公の文書で「公海での航行自由原則を守り抜く」ことを明言したからである。

 アメリカ側の軍事専門家にとって、共同声明での尖閣諸島や沖縄の基地問題に関する言及は、オバマ政権はじめこれまでの米首脳の方針を再確認しただけであったため、さしたる関心事ではなかった。しかし、南シナ海(そして東シナ海)での「航行自由原則」を共同声明で明言したことに関しては極めて高く評価している。

 なぜなら本コラムでも繰り返し指摘してきたように、米海軍対中強硬派が長年にわたって主張し続けてきた南シナ海における「航行自由原則維持のための作戦(FONOP)」の実施を後押しすることになるからだ。

 FONOPを強力に実施しなければならない段階に

 2月初頭に日本を訪問したマティス国防長官は、南シナ海での「航行自由原則維持のための作戦(FONOP)」の実施を強化すると明言した。

 すると、その言葉に対抗するように、マティス長官が日本を離れると中国はすぐに海警局巡視船を尖閣諸島周辺の日本領海内を航行させた。

それに引き続いて、南シナ海の公海上空(アメリカ側によると)において、中国空軍KJ-2000早期警戒機がアメリカ海軍P-3C哨戒機に対して危険なほど異常接近(300メートル)をする事案も発生している。さらに、中国がスカボロー礁の軍事基地化を開始するという情報も浮かび上がっている。

 オバマ政権下では、質・量共に制限をかけられたような形でしかFONOPは実施が許可されなかった。しかし、以上のような状況において、米国はマティス長官が明言したように、FONOPをより強力に実施しなければならない段階に至っている。

 ただしマティス長官と時を同じくして、ティラーソン国務長官は、公海航行自由原則を堅持する(させる)ための軍事的作戦を実施するといっても、中国艦艇船舶や航空機が人工島へ接近するのを阻止するような作戦(ブロケード)を展開することはない、とも語っている。

 これは、至極当然のステートメントである、というのは、このような軍事作戦を実施することは、実質的に対中戦争に突入することを意味するからだ。そのような事態はアメリカ政府も財界も望んでいないし、そもそもアメリカ軍自身も現時点における南シナ海での中国との軍事衝突だけは絶対に避けたい状況にある。

 自衛隊艦艇の参加は可能と考える米国側

 いずれにせよ、日米共同声明という公式文書で、アメリカが国是としてきている「公海航行自由原則の維持」が明示された。これは、日米両国が日米同盟強化を推し進めるにあたって、とりあえずはこの分野での役割分担を推し進めるべきであるという強いメッセージが発せられたことを意味している。

 そして、ここで重要なのは、アメリカが南シナ海で実施しようとしているFONOPへの協力として日本に期待されているのは、日本にとって憲法上も予算上(厳しいが)も不可能ではない“軍事作戦”であるということだ。このことは、アメリカ側も当然認識している。

 たとえば、独自の核武装によって日米同盟を強化することは、いくらトランプ大統領が大統領選中に日本核武装を口にしたとは言っても現実的には極めて困難であることは、アメリカ側は十二分に理解している。また、アメリカが実施しようとしている対IS掃討戦に、日本政府が大規模な戦闘部隊を派遣してアメリカ軍の戦闘力を補充することも、自衛隊の現状から判断すればまずあり得ない。

 しかしながら、海上自衛隊と密接な関係を維持しているアメリカ海軍は、海上自衛隊の予算・人員が決して潤沢ではないことは承知しつつも、海上自衛隊が艦艇や哨戒機を南シナ海のFONOPへ派遣する能力を十二分に保有していると考えている。

 FONOPの表向きの目的は、公海航行自由原則を一方的に拒否する国家に対して、「国際海洋法秩序に従い公海航行自由原則を踏みにじるな」という強固な意思を示すことである。

 あくまでFONOPは「公海航行自由原則」をアピールすることが目的の、戦闘を想定しない軍事作戦である。結果として「中国が一方的に表明している“中国の海”なる曖昧な概念は認めない」「中国によるそれらの島嶼環礁に関する一方的な領有権の主張も認めない」ということにはなるが、島嶼の領有や領海の主権を巡る紛争に直接的に介入することはない。そのため、アメリカが実施するFONOPへの自衛隊艦艇の参加は戦闘恐怖症の日本社会にも十二分に受け入れられるものとアメリカ海軍戦略家たちは考えているのだ。

【私の論評】米は、南シナ海を支那原潜の聖域にさせない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事では、アメリカ海軍は"海上自衛隊の予算・人員が決して潤沢ではないことは承知しつつも、海上自衛隊が艦艇や哨戒機を南シナ海のFONOPへ派遣する能力を十二分に保有していると考えている"とあります。

これは事実です。実際、海上自衛隊は艦艇を南シナ海に派遣しています。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日米比越4カ国で中国を威嚇 海自護衛艦の“歴史的”寄港で南シナ海「対中包囲網」―【私の論評】マスコミが絶対に国民に知られたくない安全保障のダイヤモンドの完成(゚д゚)!
フィリピンのスービック港に寄港した海上自衛隊の潜水艦「おやしお」(左)、護衛艦「ありあけ」と「せとぎり」
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に一部引用します。この記事は昨年の4月のものです。
日米両国が、フィリピンやベトナムとともに、南シナ海で軍事的覇権を強める中国を封じ込める動きを見せている。米原子力空母「ジョン・C・ステニス」が同海に展開するなか、海上自衛隊の護衛艦や潜水艦がフィリピンに寄港したのだ。護衛艦はベトナムにも向かう。護衛艦はベトナムにも向かう。海自最大級のヘリコプター搭載型護衛艦「いせ」も近く、フィリピンに寄港予定で、南シナ海の「航海の自由」を断固守る覚悟といえそうだ。
海自の護衛艦「ありあけ」「せとぎり」と、練習用潜水艦「おやしお」は3日(ブログ管理人注:昨年4月)、南シナ海に面したフィリピン・ルソン島のスービック港に入港した。日本の潜水艦のフィリピン寄港は15年ぶりという。
上の記事にもある、海上自衛隊のヘリコプター搭載の大型護衛艦「いせ」は昨年4月26日、フィリピン北部ルソン島のスービック港に入港しました。航行訓練を含む4日間の親善訪問でした。

南シナ海のほぼ全域で領有権の主張を強める中国に対抗し、軍の装備が乏しいフィリピンは、同じ米国の同盟国である日本との連携強化を求めています。海自の艦船がスービック港を訪れたのは、この3週間あまりで2度目、この1年間では3度目となりました。

日本政府は昨年2月、防衛装備品および技術の移転に関するフィリピン政府との協定に署名した。対象とされる中には、対潜哨戒機やレーダー技術が含まれる可能性があると高官らは述べていました。

フィリピン北部ルソン島のスービック港に入港した海上自衛隊の
ヘリコプター搭載型護衛艦「いせ」(2016年4月26日撮影)
さらに、以下のような事実もあります。この記事は昨年1月のものです。
海自哨戒機、南シナ海飛行拡大へ…中国をけん制―【私の論評】これは中国にとってはかなりの脅威、南シナ海の中国の艦船と潜水艦の動きが丸裸に(゚д゚)!

この記事は昨年1月のものです。以下に一部引用します。
防衛省・自衛隊は、アフリカ・ソマリア沖で海賊対処活動に参加したP3C哨戒機が日本に帰還する際の飛行ルートを見直し、フィリピンやベトナムなど南シナ海に面する国の基地を優先的に経由させる方針を固めた。 
高度な監視能力を持つP3Cの飛行範囲が、中国が「領海」と主張する南シナ海で拡大する見通しだ。「上空飛行の自由」の保護にもつながり、米軍が中国の人工島周辺で実施している巡視活動を日本が独自に支援する活動といえる。
海上自衛隊はP3C哨戒機2機を昨年2月18日までの3日間、ベトナム中部ダナンに派遣し、ベトナム海軍と合同で図上の洋上捜索訓練などを実施しました。日本とベトナムの防衛協力をアピールし、南シナ海における中国の実効支配強化をけん制するとともに、自衛隊の存在感を高める狙いがありました。

海自のP3C哨戒機
さらに、以下のような事実もあります。
【世界ミニナビ】中国ご自慢の空母「遼寧」は日米潜水艦隊がすでに“撃沈”?―【私の論評】中国の全艦艇は既に海上自衛隊により海の藻屑に(゚д゚)!
実戦ではほとんど役立たずといわれる空母「遼寧」
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から一部引用します。
米国にとって代わろうと覇権獲得に躍起となっている中国。その中国が海洋強国の象徴として心血を注いで建造したのが空母「遼寧」だ。歴史をひもとくと巨艦を持った軍事国家は「砲艦外交」に乗り出すことが多く、中国も周辺諸国威圧のため、遼寧を何度か出航させている。しかし、対する日米の潜水艦艦隊はピッタリとその動向をマークしており、すでに遼寧を何度か“撃沈”しているとみられる。もちろん、秘密裏に行われている演習の上でのことだが…。
日本の海上自衛隊と米国海軍の潜水艦艦隊が演習で遼寧を“撃沈”しているようだと明らかにしたのは、米誌「ナショナル・インタレスト」だ。同誌は6月18日のウェブサイトで、「撃沈している」との断定的な表現は微妙に避けながらも、日米の潜水艦艦隊は遼寧が出航するたびに追尾し、“撃沈”の演習を繰り返しているとしている。
潜水艦は、海底に深く沈めば動向を知られることなく、敵を偵察したり攻撃することができます。そのため、昔から潜水艦の動向はどの国ても明らかにすることはありません。そのため、日米ともにそれは明らかにされてはいません。

そのためか、この記事でもいずれの海域で遼寧の撃沈訓練が行われたのかは明記していません。しかし、当然のことながら、南シナ海での訓練も含まれるものと思います。

さらに、日米の潜水艦艦隊という表現から、日米共同演習もあったものと推察されます。実際に様々な条件でシミレーションし、遼寧側に気づかれることなく、撃沈可能であることを何度も確かめて、日米双方とも自信を深めているのでしょう。

このように、昨年の時点ですでに海自は、艦艇や哨戒機を南シナ海に派遣しているわけですから、アメリカが実施するFONOPへの自衛隊艦艇の参加は戦闘恐怖症の日本社会にも十二分に受け入れられるものとアメリカ海軍戦略家たちは考えるのは当然といえば当然です。

海自としては、これらの頻度を増やすということで十二分に米国の期待に応えることができることでしょう。

また、FONOPには英国、フランス、オーストラリアなどの艦艇も参加することになると思います。

南シナ海をめぐる中国の主張や行動は国連海洋法条約違反などとしてフィリピンが申し立てた仲裁手続きで、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は昨年7月12日、中国が「歴史的権利」として主張する「九段線」について国際法上の根拠は認められないとの裁定を公表した。南シナ海のほぼ全域の主権を主張して強引に進出する中国に対し、初めて国際法に基づく判断が下されました。

南シナ海は、日米の艦艇をはじめ、他国の艦艇も含めて多数の艦艇が自由に航行することとなり、支那による南シナ海を原潜の聖域にする目論見は完璧に失敗することでしょう。

米国にとっては、南シナ海が支那原潜の聖域にさせないことが、究極の目的でしょう。支那がどこまでも、これにこだわり、各国艦艇などに武力攻撃を仕掛けるなどことがなければ、米国もそれ以上深追いすることもないでしょう。しかし、支那による南シナ海の聖域化に関しては、全力でこれを阻止するでしょう。無論、場合によっては武力衝突も辞さないでしょう。

そうして、もし支那が戦略原潜を南シナ海に派遣するような動きをみせれば、それこそ、キューバ危機の再来という事態を招くことになるでしょう。

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2017年2月15日水曜日

金正男氏殺害の女工作員か…マレーシア紙が顔写真を公開―【私の論評】暗殺の真の目的は統治の正当性を主張するため(゚д゚)!


マレーシアの英字紙ザ・スターが公開した、金正男氏を
暗殺した工作員と思われる女の画像(画像:The star)

クアラルンプール国際空港で、金正男氏を暗殺したと見られる女工作員の比較的鮮明な映像が公開された。

マレーシアの英字紙、ザ・スターは、クアラルンプール国際空港の監視カメラにとらえられた女工作員の映像を公開した。

画像には、「LOL」(日本のネット用語の「www」と同じ意味)とプリントされた白いシャツに、青色のスカート姿の中年のアジア系の女が、右手で手提げバッグを押さえている様子が写っている。

これは、午前中に公開された画像に写った女と同一人物と思われるが、距離やアングルは異なるとザ・スターは伝えている。

一方、金正男氏の遺体が搬送されたクアラルンプール病院には、北朝鮮大使館のものと思われる3台の車がやって来た。いずれも外交官ナンバーが付けられている。

北朝鮮大使館はマレーシア警察当局に、金正男氏の遺体の引き渡しを要求している。しかし、ロイター通信によると、韓国の国家情報院の担当者は「遺体は家族に引き渡されるだろう」と語っている。

【私の論評】暗殺の真の目的は統治の正当性を主張するため(゚д゚)!

まずは、金正男氏が亡くなったことは、確実なので、ご冥福をお祈りさせていただきます。

上のニュースは、韓国のサイトDailyNKからのものです。この件に関しては情報が少ないので、以下にこのサイトからいくかのニュースをそのまま引用します。
マレーシア警察、金正男氏殺害の女工作員を乗せたタクシー運転手を拘束 
マレーシアの警察当局は、金正男氏を暗殺したと見られる容疑者の女2人を乗せたタクシードライバー1人を一時拘束。取り調べの上、釈放した。マレーシアの華語紙、東方日報が報じた。また、工作員はベトナム国籍であると伝えている。 
ブキッ・アマンの警察本部の幹部は東方日報の取材に、金正男氏が殺害された月曜日の午後に、2人の女工作員を乗せたタクシー運転手を逮捕したと述べた。
記事は、犯行の様子を次のように伝えている。 
「出発ロビーにいた金正男氏に女工作員2人が接近した。うち1人がまず金正男氏にむけて毒の入ったスプレーを発射し、もう一人が金正男氏の口をハンカチで押さえて、気道深くに物質を入れた後、出発ロビーの外で待っていたタクシーに乗って逃走した」 
警察は、2人は運転手に「自分たちはベトナム人」と語っていたとし、また、某国(北朝鮮)が今回の暗殺を行わせるために雇ったと見ているという。使われた毒物を特定された模様だが、薬物名は言及されていない。 
当局は市内全域に特別警戒態勢を敷き、容疑者ら行方を追っている。
「家族は中国当局が保護」金正男氏暗殺で韓国高官

マレーシア警察当局が15日午前9時ごろ、金正男氏と思われる遺体を、プトラジャヤ病院からクアラルンプール病院に移送したとマレーシアの英字紙、ザ・スターが報じた。クアラルンプール病院はマレーシア最大の病院で、移送は解剖を行うためと思われる。

これに先立つ午前8時ごろ、地元警察の幹部が捜査官と共にプトラジャヤ病院の霊安室に入っていった。

プトラジャヤ病院の霊安室の周辺には国内外のメディアが殺到しているが、警察当局は入口を封鎖して、メディアが中に入れないようにしている。

一方、韓国の国家情報院の李炳浩(イ・ビョンホ)院長は15日の国会情報委員会の懇談会で、金正恩氏が金正男氏を暗殺せよとの指示を下したことに対し、正男氏が助命を嘆願する書簡を送っていたと明らかにした。 
金正男氏は2012年4月、金正恩氏に「私と家族に対する膺懲(暗殺)命令を取り消してほしい。我々には逃げるところも、身を隠すところもない。逃げる道は自殺だけだということはよくわかっている」とする書簡を送っていたという。

李院長は今回の暗殺について「長年の努力の末に実行されたもので、このタイミングで行われたことに特別な意味はない」「(政権を脅かす存在だから暗殺したという)計算ずくの行動ではなく、金正恩氏のパラノイア的な性格が反映されたもの」とも述べた。

また、金正男氏の家族の安否について李院長は、本妻と息子1人が北京に、後妻と息子1人(キム・ハンソル氏)と娘1人はマカオにおり、いずれも中国当局の身辺警護を受けているとの認識を示した。
マレーシア警察、金正男氏殺害の女工作員を乗せたタクシー運転手を拘束
マレーシアの警察当局は、金正男氏を暗殺したと見られる容疑者の女2人を乗せたタクシードライバー1人を一時拘束。取り調べの上、釈放した。マレーシアの華語紙、東方日報が報じた。また、工作員はベトナム国籍であると伝えている。 
ブキッ・アマンの警察本部の幹部は東方日報の取材に、金正男氏が殺害された月曜日の午後に、2人の女工作員を乗せたタクシー運転手を逮捕したと述べた。
記事は、犯行の様子を次のように伝えている。 
「出発ロビーにいた金正男氏に女工作員2人が接近した。うち1人がまず金正男氏にむけて毒の入ったスプレーを発射し、もう一人が金正男氏の口をハンカチで押さえて、気道深くに物質を入れた後、出発ロビーの外で待っていたタクシーに乗って逃走した」 
警察は、2人は運転手に「自分たちはベトナム人」と語っていたとし、また、某国(北朝鮮)が今回の暗殺を行わせるために雇ったと見ているという。使われた毒物を特定された模様だが、薬物名は言及されていない。 
当局は市内全域に特別警戒態勢を敷き、容疑者ら行方を追っている。
金正男氏、韓国政府の「亡命作戦」露呈で殺害か…韓国メディア

北朝鮮の故金正日総書記の長男・金正男(キム・ジョンナム)氏が13日、マレーシアのクアラルンプール国際空港で殺害された事件を巡り、北朝鮮が韓国への亡命を阻止するために行ったのではないかと、韓国メディアが報じている。 
韓国メディアによると、国家情報院は李明博政権時代、金正男氏を韓国へ連れてこようとしたが、本人が韓国より米国やヨーロッパに行くことを望んだため、米国政府と交渉を行ったという。しかし交渉は決裂し、作戦は失敗に終わった。 
このことが報じられ、金正男氏が身の危険を感じて再び韓国や第三国に亡命する可能性が浮上したため、これを未然に防ぐために殺害した、というのだ。 
中央日報は情報筋の話として「金正男氏が韓国に亡命するという情報を入手した北朝鮮が、暗殺に乗り出したものだろう」としている。この情報筋はまた、李明博政権が金正男氏を亡命させる準備を進めていたが、政府は負担が重いと感じて計画を断念した、と述べた。そして最近、韓国政府が金正男氏に再び亡命を持ちかけたことが北朝鮮当局の知るところとなり、暗殺された可能性があるとも述べている。 
金正男氏は2010年6月、中央日報の記者に質問に「(ヨーロッパに行くとは)どういう意味ですか。そんな計画はありません。どうしてヨーロッパに行くんですか。旅行にいくことはあるかもしれないけど…」と亡命説を否定していた。 
彼の足取りを把握していた韓国政府の関係者によると、浪費癖があり、経済的に困窮していた金正男氏に対し、外国の情報機関がアプローチしていたという。これを北朝鮮が苦々しく思っていたことも影響した可能性がある。 
一方、文化日報は北朝鮮事情に精通した情報筋の話を引用し「金正男氏は北朝鮮当局から召喚命令を受けたが、これに応じなかったため、殺害された可能性が高い」と報じた。 
この情報筋はまた、金正恩体制が安定しつつある状況で「金正男氏は金正恩氏を脅かす存在ではない」としつつも、不安要素除去のため殺害された可能性が高いと述べた。
下の写真は、ジーパンに青いストライプのシャツ、スエードのモカシンにハンティング帽をかぶった金正男(キム・ジョンナム、2010年当時)氏です。服装は、典型的な“アメカジ”スタイルです。


全般的には無難そうですが帽子から靴までツートンで色相を合わせるなど、特別なファッション感覚を見せています。また彼は新商品を早く取り入れています。靴は銀のガンチーニの飾りのついたイタリアのブランド「サルヴァトーレ・フェラガモ」(Salvatore Feragamo)です。

当時の春・夏(S/S)新商品です。赤れんが色に近い茶色と青色が発売されていました。韓国国内販売価格は当時で63万8000ウォン(約4万8600円)。シャツは米国カジュアルブランドのラルフローレンです。今年初めに発売された近い製品の国内販売価格は14万8000ウォン。帽子とジーパンのブランドは確認されませんでした。

ソ・スンヒ成均館大学衣装学科教授は「スエードのモカシンやハンティングキャップのように普通、男性たちがあまり試みないアイテムを消化しており、思考が開放的と見られる。色相の選択では心理的に安定し、豪宕ながらも、穏やかな感じを表現している」と評していました。
さて、この事件、元々暗殺計画があって、長年その機会を狙ってきたのが、今回たまたま様々な条件が重なり、暗殺に成功したというのが真相だと思います。

金正男氏は、金正恩朝鮮労働党委員長の地位を脅かす目障りな存在として、北朝鮮当局から付け狙われる運命にさらされてきました。

「張成沢氏が正男氏にひそかにドルを送金している」。中朝関係者によると、2013年に側近らが金委員長にこう告発したのが張氏処刑につながったとされます。前年の訪中時に張氏が中国首脳に「正男氏一家の保護」を求めたとも報告されました。

張氏処刑の罪状に「後継者問題への妨害」「クーデター謀議」が挙げられましたが、これは中国を後ろ盾に張氏が正男氏を担ぎ出し、クーデターを起こすのではないかとの金正恩の猜疑心の表れだったとみられています。

12年には、朝鮮人民軍総参謀長だった李英浩(リ・ヨンホ)氏が更迭されましたが、「正男氏との内通」が疑われたことがきっかけだったといわれています。

「3代世襲には反対だ」「改革開放を進める中国式のやり方しかない」。正男氏は日韓の記者らに対してこう公言してはばかりませんでした。中国の幹部子弟らの間でも「太っちょ兄さん」と愛称で呼ばれ、支持する者が少なくありませんでした。

10年に中国で再会した父、金正日総書記に「弟に後継者の資格があるのか」と迫ったとも伝えられます。

韓国で12年に起訴された北朝鮮の秘密警察の要員は「正男襲撃を指示された」と供述。中国当局も正男氏に対する警護レベルを引き上げていたといわれます。暗殺が事実なら、警戒が薄い東南アジアの移動時が選ばれたということでしょう。

親族粛清は金委員長の父、金正日総書記の生前からありました。1997年2月に金正日氏の先妻の成ヘ琳氏の実姉、成ヘ琅(ソン・ヘラン)氏の息子で、金正男氏のいとこの李韓永(イ・ハニョン)氏(82年、韓国に亡命)がソウル市内で、金正日氏の指示を受けた北朝鮮工作員により射殺されました。

粛清の歴史は金正恩委員長にも引き継がれました。金委員長は2013年12月に叔父の張成沢国防副委員長(当時)を突然、全職務から解任し、処刑しました。

金正恩
当時、党政治局拡大会議では、「張成沢が行った反党・反革命的宗派行為、反動性が暴露された」としていました。張氏が金委員長の「命令に従わない」ことが処刑の理由でした。

張氏は金正日氏の妹、金敬姫氏の夫で、党を中心に活動。中国や韓国を訪問したこともあり、北朝鮮では数少ない「外部を知る人物」でした。11年12月の金正日氏の死後は敬姫氏とともに、金委員長への権力移行に努めてきました。

親族で後見人であった張氏を処刑した金委員長の手法を、韓国では朴槿恵(パク・クネ)大統領自らが「恐怖政治」と非難しました。

手錠をかけられ軍事法廷に引きずり出された張成沢。(2013年12月「労働新聞」より引用)
しかし、金委員長にとり、自分に意見する者、逆らう者は親族だろうが消し去るべき存在なのです。その後も側近幹部の粛清や更迭の情報は続きました。

金正男氏は、張氏とは特に親密な関係だったとされます。。本など海外メディアのインタビューで金委員長の世襲に言及していた。

さらに、北朝鮮との関係が悪化する中国が長らく金正男氏の背後におり、中国国内で半ば“自由”に行動していたことが、金委員長の逆鱗(げきりん)に触れた可能性が大です。

北朝鮮当局の関与、金委員長の“暗殺指令”があったのであれば、金委員長は金正男氏を囲い続けてきた中国の反発を見越した上で、兄の処断を実行したことになります。“金正恩恐怖統治”の歴史は進行途中であり、今後も続くことでしょう。


それにしても、なぜ金正恩委員長はこのような処刑や暗殺をしなければならないのでしょうか。それは、明らかです。

日本などの先進国の選挙という民主的手続きを経て選ばれるリーダーと異なり、金正恩委員長の統治の正当性はかなり低いからです。

私達が思うほどには、金正恩氏の体制は盤石ではないのです。いつ崩れてもおかしくはないのです。だからこそ、統治の正当性を主張するため、暗殺・粛清を行うのです

無論、個々の暗殺や、粛清などにはそれぞれ様々な理由があると思います。しかし、その根底はすべて統治の正当性が低いから、行わざるを得なくなるのであり、やはり統治の正当性を主張することが目的であるといえます。

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