2020年5月5日火曜日

トランプ大統領、中国を罰する選択肢を検討中-ムニューシン財務長官―【私の論評】追加関税は当然どころか、さらに厳しい措置も予想される(゚д゚)!

トランプ大統領、中国を罰する選択肢を検討中-ムニューシン財務長官

トランプ大統領

トランプ米大統領は情報機関とともに中国と新型コロナウイルスに関するデータを精査していると、ムニューシン財務長官が語った。トランプ氏は中国を罰するための選択肢を検討しているとも、同長官は述べた。

ムニューシン氏は、中国が第1段階の貿易合意に基づく義務を果たすだろうとの見解を示し、「十分な根拠に基づき、この合意を中国が守ると想定している。守らない場合は中国企業との経済活動について、米中関係や世界経済に極めて重大な影響が及ぶことになる」と警告した。
原題:
Mnuchin: Trump Is Reviewing Options To Penalize China(抜粋)

【私の論評】追加関税は当然どころか、さらに厳しい措置も予想される(゚д゚)!

日本では、ほとんど報道されおらず、そのためか日本国内では、ほとんど知られていませんか、トランプ大統領は、昨年12月に米中貿易「第1段階合意」を中国の完敗に終わられせたことを、今でも明確に意識しているようです。

昨年12月13日に発表された米中貿易協議「第1段階」合意は、中国側による全面的な敗北の結果でした。そのことは、合意に関する中国側の声明文からは簡単に読み取ることができるものでした。

13日深夜に発表された中国側の公式声明によると、米中間の合意項目は(1)知的財産権(2)技術移転(3)食品と農産物(4)金融サービス(5)為替とその透明度(6)貿易拡大(7)双方による査定・評価と紛争処理の7項目に及びました。

7項目合意の具体的内容について中国側の声明は直接に触れていませんでした。しかし、今までの米中貿易協議の経過と内容からすれば、この7項目合意の内容は概ね推察することができます。要するに、7項目合意の内容は全て、中国側がアメリカ側からの要求を飲んでアメリカ側に譲歩した結果なのです。

これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
米中貿易「第1段階合意」が中国の完敗である理由―【私の論評】米国の一方的な完勝、中共は米国の要求に応ずることができず、やがて破滅する(゚д゚)!
       13日に北京で会見する財政相副大臣の廖岷。重要な会見の
       はずなのに出席者はいずれも副大臣級ばかりだった
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
(1)から(6)までの米中間合意の概要であるが、そこには1つの共通点があることにすぐ気がつく。この共通点とは要するに、(1)から(6)までの合意項目の全ては、中国側がアメリカ側の要求に応じて何かを約束したのであってその逆ではない、ということである。 
そうすると、合意項目(7)の「双方による査定・評価と紛争処理」の意味は自ずと分かってくる。要するに今後において、中国側が自らの約束したことをきちんと実行しているかどうかを「査定・評価」し、それに関して双方で「紛争」が起きた場合はいかにそれを「処理」するかのことであろう。中国側の発表では一応「双方による査定・評価」となっているが、実際はむしろ、アメリカ側が一方的に中国側の約束履行を「査定・評価」することとなろう。
この(7)は、要するに(1)〜(6)までについて、米国が監査をするという意味です。そうして、合意が守られていなければ、米国はさらに制裁を課すと、米国側が表明したということです。

中国側が、従来のようなつもりで、これを上辺だけ実行したようにみせかけても、米国は納得しないでしょう。そんなことは、中国のWTO加盟後の中国の不誠実な対応で懲りています。

であれば、もうすでに3ヶ月後(今年3月以降)には、米国から報復されることはほぼ確定だったのです。これは、バブル崩壊中の中国を追い詰めることになったはずです。これによって、中共崩壊へまっしぐらということにもなりかねませんでした。

ところが、そこに降って湧いたのが、中国ウイルス問題です。当初はあまり酷くなかった感染が3月には米国でもかなり悪化しました。

そのため、この米中貿易「第1段階合意」に関しては、一時棚上げ状態のようになってしまいました。そのため、中国は命拾いをしていたようなところがありました。

ムニューシン財務長官

しかし、米国側からすれば、この合意は生きているものとみています。本日上の記事にもあるとおり、トランプ米大統領は情報機関とともに中国と新型コロナウイルスに関するデータを精査していると、ムニューシン財務長官が語りました。トランプ氏は中国を罰するための選択肢を検討しているとも、同長官は述べたのです。

米中貿易「第1段階合意」は簡単に言うと中国が米国から農産品やエネルギー商品、工業品の輸入を増やす見返りに、米国が対中関税の一部を引き下げるという内容でした。

関係筋2人によると、中国への制裁発動や、新たな関税またはその他の貿易制限のほか、国家は外国の裁判権に服さないとされる国際法上の「主権免除」を中国に対し認めない措置などが検討されているといいます。

ポッティンジャー大統領副補佐官(国家安全保障担当)らNSC関係者から報復措置を求める声が強い一方、財務省当局者は慎重な対応を促しているもようです。

ポッティンジャー大統領副補佐官(国家安全保障担当)

関係筋らは、議論はきわめて予備的な段階にあり、近く大きな措置が講じられるとはみられていないと話しました。

米紙ワシントン・ポストは30日、関係筋の情報として、米政府高官が中国保有の米国債の一部を帳消しにすることを協議していると報じました。米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は「全くの誤り」として報道内容を否定しました。

トランプ氏は、中国に制裁を加える措置として債務支払い停止を検討するかどうか問われ「異なるやり方がある。関税発動によって同じ制裁でも金額が増やせる。そうすれば(債務支払い停止の)必要はなくなる」と応じたとされています。

いずれにせよ、新たな関税発動は十分にありそうです。それに、今回が追加関税に終わったにしても、中国が合意を守らなかったことが明らかになったり、これからも守らないようであれば、より厳しい措置が課せられる可能性は十分にあります。

米国にある中国関連や、中国の幹部の資産の凍結や、中国保有の米国債の一部を帳消しにするなどのこともあり得ます。これを実行されると、中国はたまったものではありません。それこそ、以前このブログに掲載したように、中国が石器時代に戻るということも考えられます。

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2020年5月4日月曜日

情報機関分析:中国は物資買いだめのためにコロナウイルスの重大度を隠した―【私の論評】情報統制や役人の保身などに起因する初動の遅れこそが、中国ウイルスのパミデミックを招いたことを忘れるな(゚д゚)!


ドラナルド・トランプ米大統領

<引用元:ブライトバート・ニュース 2020.5.3

ワシントン(AP)―中国がコロナウイルス発生の範囲―そしてその感染性の強さ―を隠蔽したのは、対応に必要な医療用品をため込んでおくためだったと米国当局者が考えていることが、情報機関の文書から明らかになっている。

AP通信社が入手した5月1日付の4ページからなる国土安全保障省の報告書によると、中国指導部は1月初めに、世界からパンデミックの「重大度を意図的に隠蔽」したとされる。トランプ政権が中国に対する批判を強める中での発覚であり、マイク・ポンペオ国務長官は3日、中国に疾病拡大の責任がありその責任を果たさなければならないと述べていた。

中国に対する論調の厳しさが強まるのと同時に、政府のウイルス対応は不適切で遅いという政権批判が出ている。ドナルド・トランプ大統領の政治的敵対者は、大統領と政権が国内での批判をかわそうとして、地政学な敵でありながら米国の重要な貿易相手でもある中国を厳しく批判しているのだと訴えている。

分析では、中国はコロナウイルスの重大度を軽視しながら、医療用品の輸入を拡大して輸出を縮小させたとされている。「輸出規制があることを否定し、貿易データの提供を分かりにくくして遅らせることで」そうした行動を隠蔽しようと試みた、と分析にはある。

また報告書は、中国はコロナウイルスが「(人から人への)伝染病である」ことをWHOに知らせることを遅らせたので、海外の医療用品を注文できた―そしてマスクと手術着の輸入が急激に増加していた、としている。

報告書によると、そうした結論は、95パーセントの確率で中国の輸出入のパターンの変化が通常の範囲に収まらないとされる点に基づいている。

トランプは、中国が何らかの恐ろしい「過ち」のせいでコロナウイルスを流出させてしまった可能性があるのではないかと考えている。情報機関は、パンデミックが中国の研究所での事故の結果かもしれないという、大統領と側近の見解をまだ検証中だとしている。

ポンペオ長官は3日、ABCの「This Week」に出演し、ウイルスが意図的に拡散されたと信じるだけの根拠はないと述べた。が、こう付け加えた。「忘れないで欲しいが、中国は世界に感染を広げた歴史を持っており、基準を満たしていない研究所を運営していた歴史を持っている」

【私の論評】情報統制や役人の保身などに起因する初動の遅れこそが、中国ウイルスのパミデミックを招いたことを忘れるな(゚д゚)!

中国共産党が、医療用品をため込んでおくため、コロナウイルス発生の範囲―そしてその感染性の強さ―を隠蔽したというなら、本当に中共はクズです。

たとえそうでなかったにしても、隠蔽の事実は、消えません。中国ウイルスによる感染症が確認された初期の段階で、何が理由だったかは、別にしても中国の当局は情報を隠し、告発者を「デマの発信源」と名指しで批判しました。そして武漢から情報発信したジャーナリストは姿を消しました。

こうした情報統制や役人の保身などに起因する初動の遅れこそが、中国ウイルスの感染拡大を招いたことを忘れてはならないです。以下に1月から2月の中国におけるウイルスに関する出来事をふりかえっておきます。

春節休みの時期だった中国において、超過勤務を続けていたのは病院職員だけではありませんでした。警察も体制を強化する必要性が生じていたのです。

1月24日、ひとりの警察官が湖南省の省都である長沙市へと飛んだ。彼はそこから封鎖を通り抜け、隔離されていた湖北省へと移動し、中国ウイルス大流行の中心地となった武漢へと入りました。この警察官は、武漢にある刑務所の警備強化のために派遣されたのです。

新型ウイルスが爆発的に広がって以降、刑務所ではテレビの電源が切られ、親類の訪問も禁止されていました。中国政府は現在、主なテレビチャンネルでマスクの着用方法を説明するアニメを流していますが、服役囚の暴動は望んでいません。情報の流れは刑務所の入り口で止まっています。


武漢市の当局は、すべてが統制下にあると考えていました。市の公安当局は1カ月前、SARS(重症急性呼吸器症候群)に似た疾患についてチャットアプリのWeChat(微信)で友人に警告を発していた眼科医の李文亮(リー・ウェンリアン)が、デマを流していたと誇らしげに発表しました。

武漢が封鎖される2日前、省の指導部は武漢市のホールで民族舞踊を鑑賞していました。中国は権威主義の国としてよく知られていますが、地方政府は自らの管轄域において、ほぼ独立した統治権を有しています。

省の指導部が武漢市のホールで鑑賞していたとされる民族舞踊

当局の職員はウイルスについて上層部に報告したでしょうが、その重大性を甘く考えていたようにも見えます。叱責を受けたり、対応能力がないとみなされたりすることを恐れていたのでしょう。口をつぐんで静かにしているというのが、その基本的な姿勢でした。

このため旧正月を前に、国営メディアは年に一度の伝統行事をいつも通りに祝い、40,000人が武漢の街中に料理を持ち寄って宴を繰り広げていました。中国全土で企業が祝賀行事を催していたが、中止を考えるほど新型コロナウイルスが深刻であるとは思っていませんでした。

このころSNSで最もシェアされていた医療用品の写真は、飲みすぎた社員が回復するための点滴やベッドの様子でした。これはスマートフォンメーカーのOPPO(広東欧珀移動通信)から“流出”したものです。

飲みすぎた社員が回復するためとそれた点滴やベッドの様子

それから数日、医療体制の不足を嘆く投稿がソーシャルメディアに広がりました。医師たちは、防護服をいったん脱いでしまうと着替えがないかもしれないことから、怖くて食事すらできないと報告しました。手を休めれば職務に忠実ではないと思われる可能性があるため、休みなく働いたあとに倒れる看護師の映像もあります。

フリージャーナリストで弁護士の陳秋実(チェン・チウシー)は、武漢の病院の廊下に遺体が放置されていると報告した。彼はそれ以来、姿を消している


陳秋実(チェン・チウシー)

「いま国は、人民を怖がらせるという仕事をとてもうまくやっています」と、北京在住の学生チャン・チン(仮名)は言います。「最初の数週間の対応が大きな怒りを買っているのです」

その最初の時期、中国の高齢者のほとんどは警戒を怠っていました。古い世代の多くは社会主義的な生産組織で育ち、生活のすべての面で政府に面倒を見てもらっていました。高齢者たちは、自分の子供の言葉よりも政府の言うことのほうを、はるかに信じているのです。

春節に故郷の浙江省に帰省したサム・ガオ(24歳,仮名)は、家に帰ると両親がマスクもしないで歩き回っている様子に気づいた。彼はすぐに通販サイト「京東商城(JD.com)」でマスクを注文したが、その後すぐに売り切れてしまいました。

地元の政府で働いている親にマスクをするよう促したのですが、彼の心配は軽くあしらわれました。「両親が新型ウイルスの存在を信じ始めたのは、武漢が封鎖された あとのことでした」とガオは言います。

そして彼の両親が住む集合住宅で症例が報告され、国営の中国中央電視台(CCTV)が公衆衛生の啓蒙活動を強化し始めてから、ようやく新型コロナウイルスを本当に真剣に捉え始めました。WeChatや中国版Twitterの「微博(ウェイボ)」といったSNSでは、親に警戒するよう説得することがいかに難しかったか、若者たちが経験を共有しています。


政府による情報統制のために、デマが広がる余地が生まれました。検閲機関は政府の情報統制に対する批判を集中的に取り締まり、李文亮の死に捧げられた投稿を削除しています。

「ほかの街も封鎖される」「野菜の値段が急騰している」といった噂が氾濫してパニックや買いだめにつながり、政府の情報源にも圧力がかかっています。国営メディアは「双黄連口服液」という薬を推奨しており、ウイルスの症状に効果があると報道しました。薬は売り切れましたが、虚偽のニュースだとする医師もいます。人々はほかの情報源に頼るのみならず、発表があるたびに過剰反応しています。

双黄連口服液

武漢は新型コロナウイルスに対してまったく体制が整っていませんでした。「医療資源は全国的に厳しい状況です」と、武漢の大学に通っていたシン・ヤーチァン(仮名)は語っています。

まだ彼女が大学に行っていたころ、のどに腫瘍があることに気づきました。病院のベッドで3日間を過ごしたあと、腫瘍が取り除かれて体調が回復すると、医師は彼女を追い払い、ほかの患者のためのスペースを確保しました。

彼女は手術まで3週間も待たされました。ウイルスのせいではなく、基本的な治療が不足していることから多くの人が亡くなっています。「李文亮の言葉に耳を傾けていれば感染者は少なくて済んだはずです」と、シンは言います。

公衆衛生の専門家は状況の全貌を把握していませんでした。「医師と公衆衛生の専門家が連携していなかったことで、市民は大きく混乱しました」と、匿名を希望する北京在住の公衆衛生専門家は指摘します。

中国では医師に対する信頼が一般的に低いです。このため今回の公衆衛生の危機がさらに深まっていました。多くの中国人は、本当の必要性を感じない限り病院へ行くことはないです。人々は医者が自分たちをだましていると感じているからです。

長い間、中国の医療制度では過剰な処方や検査が奨励されていました。正当性を高めるため中央政府は、SARSと戦った鍾南山(チョン・ナンシャン)氏に、コロナウイルスの大流行について調査している衛生健康委員会を率いるよう要請せざるをえませんでした。

鍾南山(チョン・ナンシャン)氏
当時中国では、中国ウイルスに対する勝利を宣言しようと躍起になっていました。地方政府は症例をできる限りゼロに近づけ、退院した患者数を増やすよう大きな圧力をかけられていました。

調査報道メディア「南方週末」の2月6日の報道によると、患者が新型コロナウイルスに感染したかどうかを判断するうえで広く使用されているPCR検査で、偽陽性になる例がありました。杭州の病院で、7回の試験後にようやく陽性と判明した患者がいたというのです。

病院において「感染源ではない」と判断された患者が外を歩き回り、他人をリスクにさらしている可能性もあります。今回のウイルスで最も胸が痛む特徴のひとつは、家族間での感染が見られるという点でした。

北京の中央政府が事態解決に乗り出してから、途方もない仕事をやってのけました。それぞれが1,000床以上もある2つの病院が、わずか1週間で建設されたのです。さらに人口が5,850万人の湖北省を封鎖し、経済の中心地のひとつを切り離しました。低賃金労働者の多くはいまだに家族と過ごしており、ほかの街での仕事に戻れないでいます。

その後中国が全力を尽くしたことに疑いの余地はないでしょう。しかし、もし春節の行事の前の段階で、人々が新型コロナウイルスを家族や恋人のもとに持ち帰る前に周知されていれば、どうだったでしょうか。

いま中国の徹底的な対応を称賛している人々は、初期の決定的な遅れが死者や感染をもたらしたことを忘れるべきではないです。こんなはずではなかったのです。そうして、これは中国国内のみならず、他国でもそうなのです。

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2020年5月3日日曜日

においで新型ウイルス感染者を特定? 消防隊が検知犬を訓練―【私の論評】犬の嗅覚に頼らなくても良い日本の底力(゚д゚)!

においで新型ウイルス感染者を特定? 消防隊が検知犬を訓練



新型コロナウイルスのにおいを、犬が嗅ぎ分けられるかもしれない。犬には、乳がんや前立腺がんといった別の病気を嗅ぎ分けられる能力があるからだ。

フランス・コルシカ島では、消防士たちが新型ウイルスの嗅ぎ分け方を犬に教え込もうとしている。

ロックダウンが解除された後に、空港などで新型ウイルス感染者を特定するのに役立つかもしれないと期待されている。

この取り組みは、イギリスやアメリカなど複数の国で行われている大規模実験の一部だ。

提供元:https://www.bbc.com/japanese/video-52518774

【私の論評】犬の嗅覚に頼らなくても良い日本の底力(゚д゚)!

この試み、無謀なものとはいえません。なぜなら、このような事例はもうすでに存在するからです。

英国の研究チームは、2018年10月29日、犬を訓練してマラリアに感染した患者を見つけ出す実験に成功したと発表しました。犬に靴下の臭いをかがせるだけで、その人がマラリアに感染しているかどうかを診断できるといいます。

マラリア探知犬

一部のがんや糖尿病の臭いをかぎ分ける探知犬の訓練は既に行われています。英ダラム大学などの研究チームは、マラリア原虫に感染している患者が特徴的な臭いを発することに着目。医療用探知犬の推進団体と協力して、2頭の犬にマラリアの原虫をかぎ分けさせる訓練を実施しました。

研究チームは、アフリカのガンビアで5~13歳の子ども600人に提供した靴下を回収し、その靴下を使って英国で4カ月かけて犬を訓練しました。使用したのは回収した靴下のうち175足で、30足はマラリアに感染した子どもの靴下、145足は感染していない子どもの靴下でした。

訓練の結果、レトリバー犬の「レクシー」と「サリー」は靴下の臭いを嗅ぐだけで、マラリアに感染した子どもの70%、感染していない子どもの90%を正確に検知できるようになりました。

今回の研究により、犬を使ってマラリアを発見できる可能性があることが分かったと研究チームは解説しました。

ただしこの研究はまだ初期の実験段階にあり、実用化する前にほかの国のサンプルも試す必要があるとしました。

世界保健機関(WHO)によると、2016年のマラリア患者は世界で2億1600万人と推定され、うち44万5000人が死亡している。治療は可能だが、予防のためのワクチンは存在しません。

もしも発症前の患者を発見できれば、特にマラリアを根絶した国では、他国から持ち込まれるマラリア感染の拡大を防止でき、早期の治療を受ける助けにもなると研究チームは説明しました。

ここで、もう一つ心配なのは、犬は中国ウイルスに感染するかどうかという問題です。犬が中国ウイルスに感染し、さら感染した犬から人に感染するというのであれば、これは問題です。

結論からいうと、新型コロナウイルスが人から一部の動物にうつる可能性があることがわかったのですが、現時点では、動物から人間に感染する証拠は見つかっていません。さらなる研究が求められるところです。当面は、ペットについても人間と同様の予防措置を講ずるにこしたことはないです。

メイン州の獣医診断研究所が最近行った研究で、数千匹のイヌとネコから採取した試料を検査した結果、感染は一例も見つかりませんでした。また、中国ウイルスがネコ同士でうつるかを調べた小規模な実験では、実際に感染しうることがわかったと初期のレポートで述べられているものの、ネコがこの病気を人間に広める媒介となることは示されていません。

犬に関しても、犬同士で感染するとか、中国ウイルスを人間に広める媒介となることは示されてないようです。

であれば、犬の嗅覚を中国ウイルス発見に利用できる見込みはあるわけで、実際そうなれば、かなり有用です。

以前にもこのブログに掲載したように、日本ではCTの普及率が世界一であり、これが中国ウイルス感染発見の救世主となっている可能性かあります。他国では、CTといえば、それぞれの地区の拠点病院等にしか設置していないのが普通ですが、日本だと診療所レベルの医療施設にも設置されるのが珍しくありません。


無論、中国ウイルスに感染していることを断定することはできませんが、その可能性を素早く確認できるというのが、素晴らしいです。ご存知のように、これは癌などの病気の早期発見にも相当役立っています。

日本では、PCR検査を万能とみるむきも多いですが、以前このブログにも示したように、誤判断の確率はだいたい3~5割です。簡易検査だとこれをさらに上回ります。であれば、現時点でも、PCR検査は現状のように限定的でも良いのではないかと思います。

日本ではCTが他国に比較してかなり普及している

そのかわり、CT検査等を実施し肺炎などの症状がない場合は、自宅待機やホテル滞在などとして、肺炎が深刻なレベルに達していれば、入院治療とPCR検査を実行するというので良いと思います。実際現場ではそのように対処しているものと思います。

イギリスなどの他国では、CTが普及しておらず、犬の嗅覚にも頼らざるを得ないところがありますが、日本では、CTがかなり普及しているわけですから、この資産を最大限に活用すべきです。

私自身は、犬が大好きで、犬が中国ウイルス感染者の発見に活躍すること自体は、大歓迎なのですが、残念ながら日本では、CTがかなり普及していることから、犬たちの出番はないのでないかと思っています。ただし、空港や港などの水際などでは、CTを使うということはできないので、有効だと思います。

特に他国からの入国制限が、なくなったときに、水際での発見に威力を発揮することが考えられます。その意味では、犬の臭覚利用も、日本でも検討すべきと思います。

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2020年5月2日土曜日

ロシア、政権求心力に懸念 コロナ感染11万人超え 陣頭指揮の首相「陽性」―【私の論評】中国ウイルスで衰退するロシアと、北方領土交渉が今までで最も実施しやすくなる(゚д゚)!

ロシア、政権求心力に懸念 コロナ感染11万人超え 陣頭指揮の首相「陽性」

4月30日、モスクワ郊外の公邸に滞在中のプーチン・ロシア大統領(左)に新型コロナウイルス
感染をオンラインで報告するミシュスチン首相(画面)=ロシア大統領府提供

ロシアの新型コロナウイルス感染者数が急速に拡大している。一日には十一万四千人余に達し、対策で陣頭指揮を執っていたミシュスチン首相(54)の陽性も確認された。早期に中国との国境を封鎖するなど厳しい予防措置にもかかわらず、ここ数日、五千~八千人の感染者が出る日が続き、世界ワースト八位に。地方でもデモが相次ぐなど、市民は不満を募らせている。

ミシュスチン氏から陽性の報告を受けたプーチン大統領は三十日夜、「あなた抜きで重要な政策決定は行われない」と述べ、今後もテレワークで会議に参加するよう指示した。だが一部報道ではミシュスチン氏は医療施設で自主隔離後、高熱に見舞われているという。首相代行にはベロウソフ第一副首相が就いた。

ミシュスチン氏は一月に内閣総辞職したメドベージェフ前首相の後任で、コロナ対策本部を指揮。感染がまん延していた中国からの入国を西欧諸国より早く、二月二十日から禁止し、三月からは外国人の入国を止めた。外出禁止や商店の強制休業などでも徹底した隔離措置を断行してきた。

ロシアは検査を積極的に行い、累計で三百七十万件と米国に次ぐ規模。死者も約1%の千百人超と他国と比べると少ない。感染者の洗い出しと隔離による「封じ込め作戦」が進んでいるとの見方もあるが、拡大に歯止めがかかっていない。プーチン氏も四月二十八日、「ピークはこれからで危険な状態だ」と指摘した。

これに対し、モスクワなど都市部ではネット上で政権批判をしたり、シベリアでは鉱山労働者らによるデモが発生。独立系世論調査機関「レバダ・センター」が三十日に公表した調査では、市民の48%が政権に対してコロナ対策で不満を表明した。

このため、二〇二四年に任期が満了するプーチン氏の続投を可能にする憲法改正の全国投票についても、政権批判票を封じるため、コロナ禍が落ち着くと予想される冬まで先延ばしにするとの報道も出ている。政権は経済活動の維持と感染食い止めを巡り、難しいかじ取りを求められている状態だ。


【私の論評】中国ウイルスで衰退するロシアと、北方領土交渉が今までで最も実施しやすくなる(゚д゚)!

ロシアでは、各地の軍施設や医療機関にも広がっています。1日から連休が始まり、外出の増加が予想されることから、当局は警戒を強めています。

ロシアは、中国ウイルス禍の最中他国に対して、フェイクニュースを流すなどの工作活動を行ってきました。

ガーディアン(3月18日)はEEASが3月に出したレポートをもとに、ロシア政府系メディアが西側諸国の中国ウイルス危機を悪化させる目的でデマを拡散していたと指摘しています。

同紙によると、1月半ばから3月半ばまでの2カ月間に、ロシアが発信源のデマが80件確認されたといいます。内容は「新型ウイルスは中国、アメリカ、イギリスの生物兵器」「感染の発生源は移民」「製薬会社の陰謀」「中国ウイルス自体がデマ」などでした。

ガーディアンが指摘するフェイク情報の拡散は、ロシア政府系メディアのスプートニク、RIA-FAN通信、レン・テレビ(REN TV)などでみられたましたが、その多くは米国の陰謀論サイトや中国、イランのネット上にある陰謀論的書き込みをシェアする形で行われました。

「リトアニアで米軍兵士が感染した」とのデマもSNS経由で拡散されましたが、その引用元として多かったのは、ロシア政府系メディアのRT(ロシア・トゥデイ)スペイン語版でした。

このように政府系メディアとSNSの相互引用で情報発信源を隠しつつ、信ぴょう性を持たせてデマを拡散する手法はロシア情報機関の得意技で「メディア・ミラージュ」と呼ばれます。イランでも同様の手法で「アメリカの生物兵器」「イスラエルの生物兵器」といったデマが拡散されました。

ニューヨーク・タイムズ(3月28日)は、ロシアと中国とイランのデマ拡散工作が互いに連動して、アメリカ社会の分断と弱体化が促されていると指摘しています。

同記事によれば、今回はとりわけ中国が積極的だといいます。これまで中国は、台湾や香港、チベット問題などに関する政治的プロパガンダには積極的に資金を投入してきましたが、陰謀論の拡散にはあまり関与してきませんでした。

にもかかわらず、今回は「ウイルスの発生源は米国」「ウイルス封じ込めに成功した中国共産党のシステムは優れている」といった言説を、発信源を隠して拡散しています。中国ウイルス問題で責任の矢面に立つきわめて不利な立場に追い込まれたことで、ロシアの情報戦略の有効性を認識し、模倣を始めたということでしょう。

そのためか、中国がデマ情報拡散に活用しているサイトは、カナダの親ロシア系陰謀論サイト「グローバル・リサーチ」や、親イラン・ロシア反米系の陰謀論サイト「ベテランズ・トゥデイ」など、もともとロシアが陰謀論を拡散するのに利用してきたところが多いようです。

最後に、ロシアや中国が意図的に拡散したフェイク情報を、EEASレポートから紹介しておきます。

▽「牛乳がCOVID-19に効く」説(presentnews.biz.ua、ウクライナ語)

▽「そもそも中国ウイルス感染は起きていない」説(Der Fehlende Part、ドイツ語、動画)



▽「大手製薬会社の金儲けが目的のアメリカ製人工ウイルス」説(NewsFront、スペイン語)

▽「ビル・ゲイツとロックフェラーによる人口削減の陰謀」説(Journal of New Eastern Outlook、英語)

▽「手洗いは効かない」説(RT、ドイツ語)

▽「亜鉛が中国ウイルスに効く」説(RT、アラビア語)

▽「大手製薬会社と手を組んだ欧米メディアは、中国でビタミンCによる治療に成功したことを無視している」(South Front、英語)

▽「パンデミックは誇張された陰謀。ファシスト国家を作るのが目的」(スプートニク、ドイツ語版)

また、中国の一連のデマ拡散工作について、各所からの分析報告を紹介しておきます。

▽「中国の国営メディアが新型中国ウイルスのパンデミックに関して、国際的な認識に影響を与えようとしている」(Recorded Future)

▽「中国はどのようにツイッターによるプロパガンダの仕組みを構築し、中国ウイルスを解き放ったか」(プロパブリカ)

▽「中国がトランプ非難のプロパガンダ広告~国営メディアは中国のパンデミックへの対応を称賛し、アメリカの過ちを攻撃する広告を多数購入」(テレグラフ)

中露は、世界の中国ウイルス危機に乗じて、これだけの工作を実施しているのです。日本国内でも当然様々な工作を行っているでしょう。日本のマスコミにもいろいろ、直接的間接的に働きかけているでしょうし、政治家などにも働きかけているでしょう。当然SNSでも工作をしているとみるべきです。

彼らの目的は、日本国内を分断させること、アジア内の分断、日豪分断、日欧分断、日米同盟の分断など様々です。私達は、これらに騙されないように中国ウイルス報道や、SNSなどの内容には十分気をつける必要があります。

日本では、脳内がお花畑的な人が多く、こうした中露の工作があるなどとはつゆほども疑わない人も多いようで、特にマスコミで中露の「メディアミラージュ」を取り上げているところはありません。

ロシアがこのような「メディア・ミラージュ」をチャンス到来として、各国に対して工作しているうちに、ロシア自体の感染者が増え、抜き差しならぬ状態になったのは皮肉です。

感染したとされる、ミシュスチン首相といえば、今年の1月に、就任したばかりです。これについては、このブログでも掲載しています。この記事では、プーチンがミシュスチンを首相に据えたのには、それなりの背景があることを掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
プーチン院政への布石か 経済低迷のロシア、政治経験ゼロのミシュースチンが首相に―【私の論評】プーチン院政は、将来の中国との本格的な対峙に備えるため(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
プーチンはロシアがこのまま中国の属国になってしまうことを、潔しとはしていないはずです。 ただし、中国はつい最近人口が14億人を超えましたが、ロシアの人口は1億4千万人に過ぎません。経済に関しては、現在のロシアは東京都なみのGDPしかありません。 
だからこそ、ロシアは中国に対する不満はあるものの、属国的地位に甘んずるしかないのです。そうして、プーチン自身も自分の目の黒いうちは、この状況は変わらないと考えていたでしょう。 
しかし、昨年あたりからこの状況は大きく変わってきました。そうです。米国による対中国冷戦が過激さを増してきたのです。もはや米国内では、トランプ政権等とは別にして、米国議会が超党派で中国に対峙する体制を固めています。だから、トランプ氏が大統領をいずれ辞任したとしても、米国の中国に対する姿勢は変わりません。
プーチン(左)と習近平(右)
そうして、どうやら米国は中国が現在の中国共産党独裁体制を変えるか、それができなければ他国に影響力を行使できないように、徹底的に中国の経済を破壊しようとしているようです。そうして、これは最早貿易戦争の域を超えて、価値観の対立にまでなっています。 
中国は独裁体制をおそらく変えられないでしょう。なぜなら、それを実行すれば、中共は統治の正当性を失い、崩壊するからです。となると、米国は中共が経済的に衰え他国に影響力が行使できない程に中国の経済を破壊するまで、制裁を続けるでしょう。 
こうした状況をみたプーチン氏は、自分の目が黒いうち(短くてここ数年、長くて10年くらい)に、ロシアが中国の属国的地位から脱する見込みがでてきたと判断したに違いありません。そうして、ロシアがうまく立ち回ることによって、中共の崩壊を加速することも視野に入れているに違いありません。 
だかこそ、自らは中国との対峙に専念し、国内政治は信頼できる人物にまかせ、自らは他国に伍して中国の崩壊に際して、ロシアの権益を最大限に拡張すべきとの結論に至ったのでしょう。 
さて、中国がある程度経済的にも疲弊した頃には、かつての中ソ対立のように、中露の対立が激しくなってくると予想されます。 
その時がまさに、日本にとっては北方領土交渉がやりやすくなるのです。戦後70年以上が過ぎた今、世界でもっとも危険な国は中国です。この唯物論・無神論を国是とした軍事独裁国家を封じ込めるためには、ロシアは日米と平和条約を結び、協力しなければならなくなります。そうでないと、ロシアは中国の属国とみなされ中国の道連れにされるかもしれません。
今回の中国ウイルス禍では、ロシアは中国ウイルス感染そのもので相当疲弊するはずです。特に、ロシアの最大の主要産業は、 鉱業(石油,天然ガス,石炭,金,ダイヤモンド等)であり、これらは、中国ウイルス禍によってかなり価格が下がっています。

中国ウイルス禍で、経済が疲弊するのは確実ですが、それによる失業や生活困窮などに、対処するのは今日のロシアにとっては困難です。

そもそも、ロシアの人口は1億4千万人で、日本より、2千万人多いのですが、GDPは国でいえば、韓国と同等、日本国内の都市でいえば、東京都なみです。ロシアと日本は人口は大差はないですが、中国ウイルス感染者数5月1日現在では、ロシアは12.4万人です。死者は、1,222人です。日本は同時で、感染者数1.4万人、死者数は493人です。ロシアの被害が酷いことがわかります。

日本全体の経済が東京都なみだとしたら、どうなるか想像してみてください。現在政府は、国民一人あたり10万円の給付を決めました、休業補償については財務省が渋ってはいますが、日本の経済力(そもそも財務省の言う、国民一人当たりの借金が1000万円であるとは、財務省の大嘘)であれば、やろうと思えば実行可能です。

しかし、ロシアは違います。日本の東京都と同等の経済のロシアの軍事力は米国に次いで、世界第二位です。宇宙開発も手広く行っています。そうなると、国民の雇用や、困窮者に対する補助するための資金を捻出するのはかなり難しいです。

そうなると、プーチン政権の求心力はかなり落ちることになります。そうなると、プーチンの夢でもある、ロシアが中国の属国的地位から脱するという目論見は水疱に帰し、ロシアはますます中国の属国的な立場から逃れなくなります。

それは、プーチンとしては潔しとしないでしょう。これを解決するには、日本に北方領土を返還し、手厚い経済協力を得るしか方法はないかもしれません。

かつて、丸山穂高衆院議員は、北方領土問題について「戦争をしないとどうしようもなくないか」「(戦争をしないと)取り返せない」などと発言してトラブルになりました。

しかし、戦争で取られたものは、戦争で取り返すしかないというのは、厳然たる事実です。これが、国際社会の現実です。

ところが、現在ロシアで起こっている中国ウイルス禍はまさに、戦争と匹敵するほどの非常事態です。

今のロシアは、どこまでも疲弊し、これも沈みつつある中国の属国的地位から、真の属国に成り下がるか、あるいは、日本の支援を受けてロシアが中国の属国的地位から脱するかのいずれか一つです。

このような大きな取引は、残念なが米国とはできないでしょう。米露には、北方領土のような大きな懸案事項はないからです。日本としては、素早く中国ウイルス禍から脱却して、世界情勢も国内情勢も疎く、省益のためだけに突っ走る財務省の干渉を押さえつけて、経済を急速に回復して、ロシアに見せつけるときです。

その時こそ、北方領土交渉は今まで一番やりやすくなります。このようなことを言うと、嫌がる人もいるかもしれませんが、かつてのソ連は日ソ不可侵条約を一方的に破り、日本領に侵攻して、北方領土を掠め取ったのです。それどころか、何の法的根拠もないのに、シベリアに多数の日本人を抑留し、多数の死亡者がでました。占守島の戦いで、日本軍が奮戦しなければ、北海道もソ連領になっていたかもしれません。

検索結果

ウェブ検索結果占守島の戦い

我々日本人は、それを忘れるべきではありません。日本としては、中国ウイルスが終息すれば、すぐにでも北方領土交渉を再開すべきです。そうして、北方領土を返還させるだけでなく、ロシアを中国に対峙する日米側に取り込むべきです。

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2020年5月1日金曜日

コロナ・ショックは「リーマン級危機」以上では? 消費税減税の大義名分、国民の命と経済を優先すべきだ ―【私の論評】危機の時こそ、人々の本質・地金が出てくる、すでに財務省は中共と同じく表舞台から退場しつつある(゚д゚)!

コロナ・ショックは「リーマン級危機」以上では? 消費税減税の大義名分、国民の命と経済を優先すべきだ 
高橋洋一 日本の解き方

安倍首相

安倍晋三首相はこれまで、消費増税を見送る条件として、「リーマン・ショック級の危機」を挙げてきた。今回のコロナ・ショックは、まさにリーマン級危機ではないのか。

消費税については、長い経緯がある。1989年4月、当時の竹下登内閣が税率3%として初めて導入した。その後、村山富市政権時の94年11月に税制改革法案が成立し、橋本龍太郎政権の97年4月に税率は5%に引き上げられた。

その後、消費税率は5%のままであったが、2012年8月の民主党の野田佳彦政権時、14年4月に8%、15年10月に10%にそれぞれ引き上げる消費増税関連法が成立した。

安倍政権になって14年4月に予定通りに8%に引き上げられた。ただし、その後経済が低迷したために、安倍政権は14年11月、10%への引き上げ開始時期を17年4月まで1年半延長。さらに16年6月には、19年10月まで2年半延長した。1回目の延長の際には、その直後総選挙を行った。2回目の延長は北海道・洞爺湖サミットにおいて表明された。

19年10月の10%への引き上げは実施されたが、その際、安倍首相は「リーマン・ショック級の危機があれば見送るが、そうでなければ予定通り」としてきた。

10%への増税後、19年10~12月期国内総生産(GDP)は年率7・1%減だった。これだけでもかなりの経済ショックであるが、その上、2月下旬からはコロナウイルスによる内外での経済ショックがあり、さらに急速に景気が落ち込んでいる。

政府の景気判断は、月例経済報告を読めばわかる。2月まで「緩やかに回復」としていたが、3月にはさすがに「大幅に下押しされている」に引き下げた。4月は、「急速に悪化しており、極めて厳しい状況」とさらに引き下げた。

リーマン・ショック後の09年2~4月においてすら「急速な悪化が続いており、厳しい状況」という表現であり、今回の景気判断は、その当時よりも厳しい認識となっている。西村康稔経済再生相も「家計や企業の経済活動が急速に縮小する過去に例を見ない、極めて厳しい状況だ」と述べた。

これで、政府としても、今回のコロナ・ショックは、「リーマン・ショック級以上」と言わざるを得ない状況だ。

内需の過半を占める個人消費は、判断を2カ月続けて引き下げ、「急速に減少している」とした。20年1~3月期GDPは年率5%程度減、4~6月期も年率10%程度減となると国内エコノミストは見込んでいる。

世界経済も大変だ。米議会予算局が24日公表した経済見通しでは、1~3月期GDPは年率3・5%減、4~6月期は年率39・6%減だ。

まさに、日本も世界もリーマン・ショック級の事態になっている。この未曾有の危機は、当然、消費税減税を行う立派な大義名分になる。消費税よりも国民の命と経済を優先すべきである。

(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】危機の時こそ、人々の本質・地金が出てくる、すでに財務省は中共と同じく表舞台から退場しつつある(゚д゚)!

16人の民間エコノミストの予測平均から、日本の2020年4-6月期における実質国内総生産(GDP)が、年率換算で前期比21.7%減となる見込みであることが分かりました。日経新聞が報じました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、外出の自粛や店舗の休業が続き、GDPの60%以上を占める個人消費が前期比6.9%減となると予想。戦後最悪のマイナス成長となる見込みです。

内閣府は今月18日に1-3月期のGDPの一次速報を発表する予定。この期間は5.2%減と見込まれており、昨年10月の消費税増税後から3期連続のマイナス成長率となる見通しです。増税後の落ち込みから回復しつつあった流れが、コロナウイルスによって完全に途切れました。

予測通りになれば、4-6月期はリーマンショック後の2009年1-3月期に記録した17.8%の減少を超えることになります。また3期連続のマイナスは、東日本大震災前後の10年10-12月期から11年4-6月期以来となります。

民間の経済予測、7〜9月期はコロナ禍が終息したものとして予想している

米議会予算局は、米国の実質GDPは4-6月期に年率40%のマイナス成長になると予測。日本の4-6月期の輸出は17%減となっており、これはリーマン危機以来の大幅な減少で、内需も外需も厳しさを増している状況です。

12年前のリーマン・ショックの際、国際標準は、積極財政政策と金融緩和政策の同時発動でした。実際にほとんどの先進国で行われたのですが、日本では財政支出の規模が足りず、金融緩和も行われませんでした。

その結果、リーマン・ショックの震源地からほど遠いにもかかわらず、日本経済への打撃が大きく、震源地の米国やその悪影響をモロにかぶった英国が、いちはやく回復したにもかかわらず、世界で日本だけが、回復が遅れ、ひとりまけの状態になりました。

特に白川方明(まさあき)総裁当時の日銀で金融緩和が行われなかったため、円は他通貨に対し希少性が出て猛烈な円高となり、日本経済を痛め付けたことは多くの人の記憶に残ったことでしょう。

日本の貧乏神と揶揄された日銀元支店長白川方明士

東日本大震災の際の処方箋も、同様に財政政策と金融政策の同時発動だった。しかし、これも十分に行われなかったどころか、復興増税という古今東西にない愚策が行われた。

日本政府は全国に発令された緊急事態宣言の延長を表明しています。延長期間などの詳細はこれから発表される予定ですが、今回の予測は延長による下振れは織り込み済みです。

国際通貨基金(IMF)は今年の後半から世界経済が回復に向かうとみており、エコノミストも7-9月期は平均で年率9.9%の成長を見込んでいます。しかし経済活動再開後に第二波が到来することを危惧するなど、今後もコロナウイルスの影響が長引けば、回復にはさらに時間がかかるとみられます。

新型コロナウイルスの感染拡大に対応する、注目の「国民1人当たり一律10万円給付」を盛り込んだ2020年度補正予算が30日、成立しました。「世界恐慌以来の景気悪化」(国際通貨基金)から日本経済を再生させ、国民生活を守るため、今後のさらなる経済対策が期待されます。自民党内から「消費税減税」を求める声が上がってきました。

「一律10万円給付では、政治主導で財務省のくびきを外し、『政治の力』を証明できた。次は消費税減税だ」

自民党若手有志の議員連盟「日本の未来を考える勉強会」を主宰する安藤裕(ひろし)衆院議員=京都6区=は語りました。

「日本の未来を考える勉強会」を主宰する安藤裕(ひろし)衆院議員=京都6区

補正予算(25兆6914億円)の成立を受け、総額117兆円という緊急経済対策が本格的にスタートしました。

未曾有の危機から国民生活を守るため、財務省主導で国民に「不評」だった「減収世帯に30万円給付」に代わり、「国民1人当たり10万円給付」が実現しました。大型連休明けには、全国の自治体で給付も始まります。ほかに、減収となった中小企業に最大で200万円を支給する「持続化給付金」なども盛り込まれました。

ただ、今回の予算措置だけでは、経済再生は困難です。政府が4月23日発表した4月の月例経済報告では、国内景気の判断について「急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある」と下方修正した。「悪化」の表現は、リーマン・ショック後の09年5月以来。新型コロナウイルスの影響はあまりに甚大です。

冒頭の議連「日本の未来を考える勉強会」は3月、「景気の致命的下降や恐慌を食い止めるには『消費税の減税』が欠かせない」という緊急声明を出しています。財務省が「一律10万円給付」で折れたことを受け、政府に対して、さらに積極的な財政出動を求めます。

安藤氏は「補正予算は今後、第2次、第3次が必要になるのは間違いない。政府・与党は、国民の生活を守り、企業の倒産を出さない決意を示し続けるべきだ。政治の力で、財務省の厚い壁を打ち破って、国民が熱望する『消費税減税』も実現しなければならない」と語りました。

現在の安倍政権は政権末期によくみられる現象で、官邸内の指揮命令系統がうまく機能していないようです。しかし、コロナ・ショックを受けたマクロ経済政策としては、大規模な財政支出と無制限金融緩和という先進国の定番政策に近いところまできています。細かい点にはまだ不満がありますが、自民党の一部には、上記のように財政問題がほぼないことを正確に理解し、正しい政策を模索する向きもあります。

こうした危機の時こそ、人々の本質・地金が出てくるものです。もう、緊縮大好きで、財務省の省益しか考えない、財務官僚の本質が顕になりつつあります。

コロナ禍はこれからもしばらく続くはずであり、これに対する政府の対応に対して、財務省は結局国民経済や命など無視して、とにかく緊縮財政の立場から反対し続けるでしょう。この財務省の抵抗は、これからも多くの国民に知られるところとなるでしょう。

そうして、多くの国民は、財務省の省益とは一体何なのかと、財務官僚に疑問を抱くようになるでしょう。しかし、その質問に当の財務官僚すら答えられないという事態になると思います。

ましてや、その答えが、単に退官後に天下りして、超リッチなハッピー・ライフを贈りたいからなどと答えれば、単なる馬鹿と多くの国民に認識されるだけです。

漿液優先の財務省などのキャンペーンとは一線を画した多くの政治家によるまともなマクロ経済政策への理解も10年前の民主党政権当時よりはるかに高まっているはずです。それこそが、これまでの10年の成果であり、日本経済復活への一縷の希望でもあります。

私自身としては、もうすでに制度疲労を起こした財務省の絶頂の時代は終わりつつあり、すでに財務省は表舞台から退場しつつあると思っています。

財務省「ピンチはチャンスだ、コロナのあとで増税・緊縮」を画策しているようです。実際、テレビで財務官僚がそのような発言をしています。今回こそは、復興増税の過ちを繰り返してはならないです



今回のコロナ禍で、コロナ復興税などで、復興を賄うなどのことを財務省が画策して動き出せば、さすがに今回ばかりは、政治家も国民も黙ってはいないでしょう。何しろ、今回は東日本大震災のときとは、規模が全く異なります。財務省は、全国民と全政治家を敵に回すことになります。

現在、コロナ禍を自分にとって有利になるように、中国共産党が画策しています。しかし、東アジアは、日本、香港、台湾ともに被害が少なく、被害のひどかったEUの国々に対して、マスク外交をしたり、医療団を送ったりしています。

その他コロナウイルスの発生源を米国だとしてみたり、東シナ海や南シナ海での挑発をゆるめるどころか、強化しています。

しかし、この中国の試みが成功するとはとても思えません。実際、香港経済日報の29日付報道では、現在、米国、英国、イタリア、ドイツ、エジプト、インド、ナイジェリア、オーストラリアの8カ国の政府や民間機関が、新型コロナウイルスの感染拡大を招き、自国に大きな被害をもたらしたとして、中国政府に賠償を求める訴訟を起こしていると紹介しています。

「外国による中国への賠償請求を『100国連合』と形容する人もいるが、あながち言い過ぎではないだろう」と伝えました。

そして、8カ国が中国政府に対して求めている賠償額の合計は約49兆5000億米ドル(約5300兆円)となり、これに米ミズーリ州の推定賠償請求額を加えると100兆ドル(約1京1000兆円)を上回り、中国のGDP(国内総生産)7年分に相当する額に達すると伝えました。

中国ウイルスで酷い目にあった国々は、この恨みを決して忘れることはないでしょう。今後の中国は、米国や多くの国々から体制の転換を求められるでしょう。

中共がそれを拒否すれば、米国などの国々が、中共幹部や家族の個人資産を凍結したり、ドルと人民元の交換を停止したり、中国のドル使用を禁止するなどの措置を課するかもしれません。そうなれば、このブログにも以前掲載したように、中国は石器時代に舞い戻ることになります。

財務省も、今後国民生活や、国の経済を考えず、省益だけを追求すれば、中共と同じような運命をたどることになるでしょう。

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2020年4月30日木曜日

自衛隊中央病院 院内感染対策など公開 東京 新型コロナ―【私の論評】自衛隊は、世界で最も感染に強い組織(゚д゚)!


NHKニュース

動画はこちらより https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200430/k10012412711000.html

200人を超える新型コロナウイルスの患者を受け入れた自衛隊の病院が、院内感染の対策などを報道関係者に公開しました。

公開されたのは、東京 世田谷区にある自衛隊中央病院で、取材は病院の指導のもと、患者が出入りする動線などと重ならないように配慮して行われました。

30日は、院内感染の対策や患者の受け入れ態勢が公開され、病院に来た人はすべて建物の外にあるテントで体温を測っていることや、感染の疑いの強い人が搬送されてきた場合には、出入り口から検査場所まで専用の動線を設けて誘導していることなどが紹介されました。

また、重症の患者を受け入れている病棟では、廊下を二重の扉で仕切ったうえ室内の空気が外に流れ出ないよう陰圧に保つ対策をしているということです。

病院では、新型コロナウイルスの集団感染があったクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客など、200人を超える患者の治療に当たっていて、これまでに院内感染は起きていないということです。

また、自衛隊中央病院は先月、クルーズ船の患者について、軽症や無症状の人でも胸部のCT検査を行うとおよそ半数に肺の異常が認められ、このうち3分の1は、その後、症状が悪化したとする分析結果を公開しています。

病院は、この特徴を「サイレント肺炎」と呼び、症状の悪化に気付きにくいおそれがあると指摘しています。

自衛隊中央病院の上部泰秀院長は「いろいろな医療機関と協力して画像所見を共有してソフトを開発したり、共通の基準を見つけたりすることに取り組んでいる」と話し、今後もほかの医療従事者と知見を共有したいとしています。

【私の論評】自衛隊は、世界で最も感染に強い組織(゚д゚)!

自衛隊というと、「何であの人たちは感染しないの?」と、現在ネット上などで話題になっています。新型コロナ感染拡大を受けて、数々の現場に赴く彼らは、濃厚接触と戦い続けながらいずれの任務でも感染者を出していません。彼らには独自の「予防マニュアル」があるのだといいます。

この「予防マニュアル」は自衛隊独自もので一般公開はされていませんが、一般家庭向けに『新型コロナウイルスから皆さんを守るために』というマニュアがあります。これは、各自衛隊員の家庭にも配布され、その内容が励行されているのでないかと思います。そうでないと、自衛隊員の感染が海外で感染して帰国した一人の例外を除いて、皆無ということはあり得ないと思います。

3つの密を避けることと、このマニュアルを励行すれば、一版家庭でもかなり感染を防ぐことができるのではないかと思います。

さて、以下に自衛隊員のコロナの防御の内容を記します。

◆脱ぐ時は2人一組

全国の駐屯地から医療・介護施設へのマスク配布作業を始め、集団感染が発生したクルーズ船『ダイヤモンド・プリンセス号』の船内対応、チャーター便帰国者の一時宿泊施設への物資搬送など、新型コロナの感染拡大を受けて様々な任務に従事する自衛隊。

ときには保菌者との濃厚接触が避けられない現場もありますが、隊員の感染事例は海外からの帰国者1人のみです。いまだ任務中の接触を原因とする感染者は出ていないのです。

とりわけ医師や政府職員、検疫官の感染が相次いだクルーズ船の任務では、2700人の隊員が対応にあたったにもかかわらず、感染者ゼロで任務を完了したことは特筆すべきです。

制服組トップの山崎幸二・統合幕僚長は、後日の会見で「しっかりした防護基準を定め、現場で指揮官が徹底し、隊員が実行した。訓練の成果だと思う」と振りかえっています。

例えば、クルーズ船では、厚生労働省が設けた基準とは別に自衛隊独自の防護策を講じていたといます。

「船内の消毒業務などは防護服を着たうえで手袋を二重にし、防護服との隙間が生じないようにつなぎ目を粘着テープでふさぎました。さらに靴カバー、目にはゴーグルを着用しました」(防衛省・統合幕僚監部報道官室)

元陸自一佐で、イラク先遣隊長、福知山駐屯地司令などを歴任した佐藤正久・自民党参院議員が解説しています。

「今回の新型コロナのようにヒトに感染するウイルスに対応する場合、自衛隊は必ず防護服を着用します。手袋をして顔も覆い、靴カバーを付けるフル装備です。任務が長時間にわたる場合は、さらにオムツを着用することもある。

防護服を脱ぐときは“外側”に触れないよう、2人一組で行ないます。一般的には、頭の部分から順番にお互いの防護服を外していき、最後にお互いの手袋を取るといった手順です。そこまで徹底しないと、感染を防ぐことはできません」

◆爪の根元を洗う

自衛隊の新型コロナ対応は防護服のような特殊な対策がメインではありません。むしろ多くの場面で、一般の人もやっている基本対策の徹底を心がけているそうです。ただし、その「やり方」が違うのだといいます。

「船内でのウイルス感染を避けるため、『手指で何かに触れたらすぐに消毒する』、飛沫によるウイルスの侵入を防ぐため『マスク着用時は鼻にあたる部分を押さえて隙間をなくす』などを徹底しました」(統合幕僚監部報道官室)

マスクは鼻まで付ける、ここまではいまや常識だが、そこで鼻回りの隙間をなくす一手間が「自衛隊式」です。そうした配慮は洗濯にも見られます。

「洗濯は各自が行ないましたが、感染リスクが高い医官・看護官らは個室の風呂場や部屋に持ち込んだバケツ型の洗濯機を利用し、それ以外の隊員はフェリー内の洗濯機を共有して使いました」(同前)

その他の対策としては、「食事の際は対面を避ける」「対面の時は2メートル以上空ける」などがあるといいます。

新型コロナに限らず、自衛隊の感染症対策は基本を突き詰めることを重視しています。その代表が「手洗い・うがいの励行」です。自衛隊OBが語ります。

「集団行動が基本の自衛隊では1人が感染症に罹患すれば、部隊の任務自体が行なえなくなってしまう。そのため、入隊後に教育隊から教えられる基本動作の中に手洗い・うがいの励行があります。その結果、手洗い・うがいをきっちりやる習慣が身につくのです」

手洗いの励行は、部隊生活の日常にも及びます。

「トイレや洗面所に『手洗いの仕方』を解説する貼り紙を出しているところもあります。それも、小便器の前だけでなく、個室に座ったときの正面にも張られていたりする。用を足すときに必ず目に入るよう指示の徹底化を図ります」(前出・自衛隊OB)

手洗いにも自衛隊ならではのポイントがあります。

「石鹸をつけ両手の平をゴシゴシ前後にこする人が多いですが、そうすると親指と爪の洗浄が疎かになりがちです。そのため、『親指だけを洗う』『爪の先は別に洗う』『その後、爪の根元を洗う』など、手順を具体的に指示しています」(佐藤氏)

そうした指示は足元にも及びます。感染症対応の現場で、隊員自身がウイルスを運ぶような事態を避けるため、例えば、鳥インフルエンザや豚コレラなど家畜に感染症が発生した場合は、現地での活動後、ブーツに付いた土を必ず現場で落とし、靴底の消毒を徹底しています。

佐藤氏が続けます。

「海外任務では事前に予防注射を何本も打ちますが、それでも感染症の恐れは消えない。そのことを隊員にきっちり伝え、手洗いの励行を指示しました。イラクでは駐屯地の食堂入り口に手洗い場を設け、食事前に手洗いをする動線を作りました」

手洗いに水が使えない屋外での食事の場合は「ウェットティッシュを用いて手指の消毒を行なう」といいます。

◆『衛生ニュース』の発行

これらの「自衛隊式」予防法は誰もが日常生活で実践できる対策ばかりですが、それを集団単位で確実に実施できることが自衛隊の強みです。佐藤氏はこう言います。

「自衛隊は以前から感染症に緊張感を持って対処しています。『自衛隊における感染症対策に関する訓令』や『感染症対策に関する達』により、自衛隊内の各組織での対応や感染症の種類ごとに発生時の報告を義務付けています。隊員には部隊ごとに発行する『衛生ニュース』で、流行中の感染症とその予防法を伝えています」

そうした取り組みが効果を発揮できるのは、自衛隊という組織ならではの特性によります。

「『上意下達』が徹底しているため、組織全体に情報が浸透しやすい。他の役所や民間と大きく違うところです」(同前)

具体的には、部隊での朝礼・終礼での予防励行の伝達、営舎での10人弱の班単位での指示など、多くの段階で感染症予防の徹底が伝えられます。

近年、自衛隊ならではの危機管理テクニックを取り上げた『自衛隊防災BOOK』がヒットしました。そこでは日頃の防災や減災に役立つ知識や技術が数多く披露されています。ある現役隊員が語ります。

「我々の強みは『健康管理も仕事の一部』と全員が認識していることです」

意識の徹底こそがコロナ予防につながっているのです。これは、当然のことながら、自衛隊中央病院でも実践されているはずです。

このような自衛隊の実践的なノウハウは、他の組織にも役に立つはずです。だからこそ自衛隊中央病院は、院内感染対策など公開したのでしょう。これに関しては、設備上参考にしたくてもできない場合もあるでしょうが、他の組織も学ぶべきところは学ぶべきです。

私達自身も学ぶべきです。その意味で以下に自衛隊関連のいくつかの動画を掲載します。

まずは、自衛隊員の感染者がゼロである理由を明快に説明した、「チャンネルくらら」の動画です。


この内容、細かなところでは、多少の間違いもあるのですが、自衛隊員の感染がなぜ"ゼロ"なのか、明快に説明しています。かなり参考になるし、実務的です。間違いについて、気になる方は、この動画の配信先のYouTubeのサイトをご覧になって下さい。コメント欄に、その内容がコメントされています。ご覧になれば、おわかりになると思いますが、これらの間違いはごく些細なものであり、動画の内容や伝えたい内容を毀損するものではありません。

以下は、自衛隊式の手洗いの仕方です。



次は、自衛隊式のマスクの着脱方式です。


以上の2点だけでも、家庭などでは実行すれば、かなり役に立つと思います。

以下は、感染防止の車両の養生法です。


これも大いに参考になりそうです。

以下は、ガウンの自衛隊式のガウン着脱方式です。


これは、病院などの最前線で、コロナウイルス患者の治療に携わっている人々に役立ちそうです。

さて、台湾はコロナウイルス感染の防止で、最も成功した国ですが、その台湾ですら、軍隊で感染クラスターが発生しています。

中央感染症指揮センターは19日、新たに22人の感染が確認されたことを明らかにしました。そのうち21人は軍艦「磐石」の乗組員で、内訳は20代から40代までの男性19人、女性2人。いずれも4月14日から18日にかけて発症した。残る1人は20代男性。昨年4月21日に留学のため渡米し、今年4月10日に米国で発症。17日の帰国時、空港で検体を採取し、感染が確認されました。

なお、軍艦「磐石」で発生したクラスター(集団感染)による感染者は、これで累計24人となりました。中央感染症指揮センターはすでに、「敦睦遠航訓練」に参加していた軍艦「磐石」を含む、合計3つの軍艦の乗組員744人全員の検体検査を行っています。現在、感染が確認された24人はすべて「磐石」の乗組員で、ほか2つの軍艦の乗組員から陽性反応が出ていません。

軍隊における感染の発生は、米国にもみられ、空母が戦列から離れているくらいです。中露の軍隊にも感染者がいるようですが、隠蔽されているものとみられます。その中にあって、感染の最前線に赴いた自衛隊員が多数いる中、一人の例外を除いて感染者がゼロというのはすごいことです。

中露のような独裁国家にとって、コロナウイルスの大流行は寧ろチャンスです。中露では一般人はいくら死んでも、独裁者本人と指導部さえ無事なら、問題ありません。軍隊に感染者がでても、動けるうちは動かし、使い物にならなくなれば、捨てて、交代要員をあてれば、それで良いのです。

ところが、他の国では疫病の為、大混乱が起きています。その混乱に乗じて、中露は覇権拡大を狙うので、常に備えが必要です。このようなときに、自衛隊の感染がゼロというのは本当に心強いです。

自衛隊感染者ゼロという事実は、彼らも知っているでしょう。だから、尖閣などに来る中国の艦艇の乗組員も戦々恐々としているでしょう。なぜなら、彼らには発見することができない日本の潜水艦に、いつ撃沈されるても不思議はないからです。

しかも、今世界はコロナウイルス禍にあり、いわば世界中が緊急事態の最中にあるわけです。このような緊急事態下には、平時にはあり得なかったようなことが起こることがしばしばあるからです。コロナ禍に乗じて何か、有利に立ち回ろうとする彼らからすれば、なおさら敏感になっているはずです。

コロナ感染の影響を受けていない海自の潜水艦は、今でも中国艦艇を沈める模擬訓練を東シナ海や南シナ海行っていることでしょう。

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2020年4月29日水曜日

【真・人民日報】世界で沸騰する新型コロナ「中国責任論」 日本の報道からは見えづらい欧米各国の“思惑”―【私の論評】米中「中国ウイルス」情報戦は米国の圧勝、中国はチェルノブイリの二の舞を舞うことになる(゚д゚)!

【真・人民日報】世界で沸騰する新型コロナ「中国責任論」 日本の報道からは見えづらい欧米各国の“思惑”

米国に続き、メルケル氏ら欧州首脳からも対中不信の声が上がる

今週は新型コロナ問題で中国「責任論」が世界で沸騰している問題を取り上げたい。

中国の初期対応に過失はあったのか。感染源は武漢のウイルス研究所なのか。謎の解明は科学のアプローチに委ね、本稿では国際的な批判の高まりの裏側に目を向けて行きたい。

3月末まで、習近平のコロナ対策を評価していたドナルド・トランプ大統領が、にわかに攻撃に転じたのは4月上旬のことである。

動機は自国の感染対策で出遅れ、大統領選挙にも不利になったからだ。

中国の隠蔽(いんぺい)体質で米国に必要な情報が得られなかったと怒りを爆発させ、中国に忖度(そんたく)して国際機関の役割を果たせなかったと世界保健機関(WHO)も批判した。新型コロナが武漢の研究所から流出したのでは、との疑惑にも言及した。

地元メディアには「米情報機関」のリークがあふれ、米中間にはきな臭い空気も流れた。本来、疑うに足る情報ならばさっさと公開すべきだが、それもせず、ただ「情報機関」という響きに真実性が与えられて独り歩きする流れは、イラク戦争へと向かっていった過去を彷彿とさせる。

ただ、もちろん中国が被害者であるはずはない。国際的にも中国に厳しい風が吹き始めている。

エマニュエル・マクロン仏大統領は「中国が新型コロナの流行にうまく対処していると『ばか正直』に信じてはいけない」と警告し、ドミニク・ラーブ英外相(首相代講)は、新型コロナがどう発生し、なぜ早期封じ込めに失敗したのか、中国に「厳しい質問をせざるを得ない」と語っている。

アンゲラ・メルケル独首相も中国が「発生源に関する情報をもっと開示していたなら、(中略)より良い結果になったと思う」と隠蔽を疑う発言をし、マリス・ペイン豪外相も、独立調査の必要性を求め、米国に歩調を合わせた。

まさに中国包囲網が形成されているようだ。だが、これには2つの流れがあり、1つは国民感情としての「嫌中」、もう1つが国として中国に厳しい顔を見せる対応だ。

前者は一時的な「中国製」嫌悪を招き中国経済に打撃となるが、前例から見て長続きはしない。

後者も、トランプ氏の中国攻撃でにわかに活気づいた日本人が期待するような話ではない。

第一、日本の報道からは各国の思惑が少しも見えていない。不思議だ。

国のトップが発信する以上、何かを獲得するか、何かを防衛する意図がないはずはない。だが日本人は「やっと世界が中国の問題に気が付いた」という好き嫌い-実は官僚もこのレベル-に落着させて納得するため、各国がどんなカードを手に列に加わったのかを見逃すのだ。まるでパーティーの招待状に「軽装」とあるのを真に受けて出かけるような軽率さだ。この国の人々は、願望をむき出しに国際情勢を分析する恐ろしさを、いつになったら学ぶのだろう。

■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

【私の論評】米中「ウイルス情報戦」は米国圧勝、中国はチェルノブイリの二の舞を舞うことになる(゚д゚)!

今年に入って、人類史に必ず残るだろう災厄が出現しました。新型コロナウイルスです。一方、2018年からは米中覇権戦争が勃発しました。中国ウイルス(コロナウイルスのこと)は、この米中戦争の情報戦に使える「最高のネタ」になっています。

かつて、チェルノブイリ事故を隠蔽して国際的に非難されたソ連は、5年後に崩壊しました。コロナは中国共産党にとっての「チェルノブイリ」になる可能性が濃厚です。

チェルノブイリの作業員達


2018年、米中覇権戦争が始まりました。米国と中国は、相手国を破壊し尽くせるだけの核兵器を持つため、両国の「戦闘」は起こりにくく、戦争は「別の形態」を取るようになっています。情報戦、外交戦、経済戦、代理戦争などです。

情報戦の目的は、「敵国を悪魔化する」ことです。中国発で、世界を恐怖に陥れ、たくさんの感染者と死者を出している「新型中国ウイルス」は、米国にとって、情報戦に使える最高の材料です。
4月3日時点で、全世界の感染者数は100万人を超えました。死者数は5万3000人。感染者数も死者数も、どこまで増え続けるのか、誰にも予測できません。

ポンペオ国務長官は、新型中国ウイルスを、世界保健機関(WHO)が定めた「COVID-19」とは言わず、「武漢ウイルス」と呼んでいます。初期の段階で、彼が「武漢ウイルスと呼ぶことで、中国を悪魔化しよう」と考えていたかは不明です。しかし、ポンペオ長官を本気にさせる事件が起こりました。

このブログでも以前掲載させていただたように、中国政府が、「新型コロナウイルスを武漢に持ち込んだのは米軍だ」と主張し始めたのです。

これは市井のトンデモ陰謀論者の発言ではありません。中国外務省の趙立堅報道官の言葉であることが重要です。日本人でこのツイートを重要視する人は少ないとでしょう。「また中国政府が、トンデモ主張し始めた」とあきれ、苦笑するぐらいかもしれません。

しかし、事はそう単純ではありません。確かに、日本が属する「米英情報ピラミッド」や「欧州情報ピラミッド」で「米軍起源説」が力を持つことはないです。ところが、世界には「中共情報ピラミッド」や「クレムリン情報ピラミッド」もあります。特に「中共情報ピラミッド」では、「米軍起源説」が「定説」になる可能性すらあります。

なぜでしょうか?中国やロシアなどの独裁国家です、国民を好きに洗脳できるからです。たとえば、ロシアの情報空間内では、2014年3月のクリミア併合が「絶対善」となっています。

2014年7月に起きた「マレーシア機撃墜事件」についても同様です。全世界では、「ウクライナ東部の親ロシア派による誤爆」が定説になっています。しかし、クレムリン情報ピラミッド内では、「ロシアを孤立させたいウクライナ軍が意図的に撃墜した」が「定説」になっています。

つまり、政府がメディアを支配している国では、政府の意図通りの情報を国民に信じさせることができるのです。中国では、ロシア以上に、政府がメディアを完全支配しています。だから、中国政府が国民に「新型コロナウイルスを持ち込んだのは米軍だ」と信じさせることは、十分可能だろう。

これは、すでに南京虐殺でも実証されているところです。20万人、30万人の市民を殺害するということは、想像を絶するほどの労力を必要とします。2千人とか、3千人などであれば、あり得ると思いますが、しかし、中国政府は30万に登る虐殺があったことを国民に信じさせることに見事に成功しています。

中国の南京市にある南京大虐殺記念館の展示を見る訪問者(2015年10月10日)

そして「米軍起源説」は、習近平政権を守る役割も果たします。「習近平政権が隠蔽(いんぺい)したから、新型コロナウイルスが、全中国、全世界に広がった」というネガティブ情報を、中国国民にわざわざ伝える必要はないです。そうではなく、「悪の米軍が中国にウイルスを持ち込んだが、習主席は、この攻撃を食い止めた英雄なのだ」と信じさせれば良いのです。

こういう「中共情報ピラミッド」の事情を知っていれば、米国政府も本気にならざるを得ないです。まず、トランプ大統領自身が、「参戦」してきました。

トランプ米大統領は3月17日、新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼んだことに中国が反発しているのに対し「ウイルスは中国から来たのだから全く正しい呼称だと思う」と正当化しました。ホワイトハウスでの記者会見で語りました。

「中国が『ウイルスは米軍が持ち込んだ』と偽情報を流すから来た場所の名前で呼ぶべきだと言った」と反論しました。

中国にレッテルを貼ることにならないかと問われると「そうは思わない。『ウイルスを米軍が持ち込んだ』という方が問題だ」と述べました。

トランプのこの発言、日本人の大部分は、「大人げない」と思ったかもしれません?しかし、情報戦の観点からすると、トランプは正しく行動しているのです。このまま中国の「米軍起源説」を見過ごせば、「気づいたら、米軍起源説が世界の定説になっていた」となりかねないのです(南京30万人大虐殺説や、韓国人慰安婦20万人強制連行説が世界で定説になったように)。

ついで、ポンペオ長官は、「情報戦の味方を増やそう」と画策しました。つまり、「武漢ウイルス」と呼ぶ国を増やすのです。

米紙ワシントン・ポストは25日、主要7カ国(G7)外相がテレビ会議方式で開いた会合で、ポンペオ米国務長官が新型コロナウイルスを「武漢ウイルス」と呼ぶよう訴えたと報じました。

その理由についてポンペオ長官は、以下のように述べている。議長を務めたポンペオ氏は記者会見で中国が偽の情報を流布していると指摘し「G7各国はそれを把握している」と表明しました。

やはり、米国政府は、中国の「トンデモ米軍起源説」を「深刻な脅威」と認識しているのです。

しかし、米国以外の国は、この恐怖を共有していません。それに、中国差別を助長しかねない「武漢ウイルス」という用語は、「ポリティカルコレクトネス」違反と受け取られたようです。結果、他の国々は、ポンペオ提案に同意しませんでした。

現状、世界中の国々が、自国の「コロナ対策」で忙しいです。それで、米中が繰り広げる情報戦に、あまり興味はないでしょう。

しかし、米国と「特別な関係にある」英国は、味方になりそうです。この国では、チャールズ皇太子も、ボリス・ジョンソン首相も、新型コロナウイルスに感染しています。全く「他人事」ではないのです。ジョンソン首相は、中国に激怒しているとい。

イギリスのジョンソン政権は、中国の新型コロナウイルスへの対応に激怒しているようです。3月29日(現地時間)の報道によると、政府関係者は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の危機が落ち着いたら、中国は「報い」を受けるだろうと警告しています。

イギリスの政府関係者は、中国が新型コロナウイルスの感染拡大の深刻度について誤った情報を拡散したと考えています。(BUSINESS INSIDER JAPAN 3/31)

「中国ウイルス」「武漢ウイルス」vs「米軍ウイルス」の情報戦は、どうなるのだろうか?
「中国は、米軍起源説を、自国民に信じさせることができる」ということを踏まえても、米国の勝ちでしょう。なんといっても、「新型コロナウイルスは、中国武漢で発生した」のですから。

米国は、いつの間にか、感染者数世界一になってしまいました。4月3日時点で、感染者数は24万人、死者は5000人を超えています。恐ろしいことに、感染者も死者も、どこまで増えていくかわからないです。経済的打撃も、リーマンショック後の08~09年を上回ることは確実です。破産、倒産が日常化し、町は失業者であふれることになります。

米国民の怒りは普通なら、為政者であるトランプに向かうでしょう。しかし、トランプはこう言っています「これは、私の責任ではない。中国政府が、初期の段階で情報を隠蔽したことが今の惨状の原因だ。我々は、中国政府の責任を厳しく追及していく」と。

こうして彼は、見事に責任を中国に転嫁することに成功する(「転嫁する」というか、事実であるが)。ポリティカルコレクトネスが浸透している日本や欧州は、おそらくトランプに追随しないでしょう。しかし、「自分の責任にされたくない」多くの国の指導者たちは、トランプに続くのではないでしょうか。

米中両国はこれまでも、覇権をかけて、さまざまな形の戦いを繰り広げてきました。

<経済戦>

わかりやすいのは、2018年7月からの「関税引き上げ合戦」です。また、米国が、世界中の国々に「中国のファーウェイを5Gから追い出せ」と圧力をかけているのも、「経済戦争」に分類できるでしょう。

<代理戦争>

米国は、中国と対峙する台湾への武器売却を大幅に増やしています。あるいは、香港の民主化勢力を支持しています。昨年世界を揺るがした「香港デモ」は「米国の作品」というのが、中国政府の見解です。

情報戦は、どうだろうか?昨年まで、米国は「ウイグル問題」を情報戦に使っていました。

中国政府が新疆ウイグル自治区でウイグル人を約100万人、テロ取り締まりを「口実」に拘束していると、国連は懸念を強めています。

中国はウイグル人100万人を強制収容しています。この衝撃的な事実は、「敵国悪魔化」という目的にピッタリのテーマです。ペンス副大統領やポンペオ国務長官は、この問題をしばしば取り上げ、中国を厳しく非難してきました。

たとえば、ポンペオ長官は2019年7月18日、「信教の自由に関する閣僚級会合」で演説し、「中国では、現代における最悪の人権危機の1つが起きている。これはまさしく今世紀の汚点である」と述べています。これは、事実であるが故に、強力です。

最近では、「中国共産党は現代のナチス」「習近平は現代のヒトラー」という言葉をしばしばネットで見かけるようになりましたが、その最大の理由は、中国政府がウイグル人100万人を強制収容していることです。

かつて、ソ連という独裁国家が存在しました。この国で1986年4月、「チェルノブイリ原発事故」が起こりました。ソ連は当初、この事実を隠蔽したのですが、スウェーデンが「放射能レベルが上がっている」ことに気づき、ソ連政府に「原発事故があったのではないか?」と問い合わせました。

ソ連は「事故は起こっていない」とシラを切ったのですが、スウェーデン政府が「では、国際原子力機関に報告させてもらう」と脅したところ、一転して事故の事実を認めたのです。


       チェルノブイリ事故を当初隠蔽当時のソ連は、武漢ウイルスの発生を隠蔽した
                 今日の中国にかぶる。ドラマ「チェルノブイリ」の予告編。

中国の武漢で新型コロナウイルスが発生したこと自体は、仕方のないことです。同じようなウイルスが、日本、米国、欧州で発生することも、あり得るかもしれないです。しかし、世界が問題にしているのは、「発生した事実」ではありません。

中国政府が「隠蔽」したことで、全世界にウイルスが拡散されてしまったことです。しかも中国は、反省するどころか「武漢にウイルスを持ち込んだのは米軍だ」と、トンデモ主張をすることで、責任を米国に転嫁しようとしています。

1986年に原発事故を起こしたソ連は、わずか5年後の1991年に崩壊しました。新型コロナウイルス問題は、チェルノブイリ問題をはるかに凌駕する大問題です。この問題が、中国共産党政権にとっての「チェルノブイリ」になる可能性は、かなり高いとみるべきです。

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2020年4月28日火曜日

金正恩氏、新型コロナ感染!? 中国医療団が北朝鮮へ「ECMO」「アビガン」持ち込み情報 感染者は「国内にいない」としているが―【私の論評】米空軍と空自の日本海や沖縄周辺空域で共同訓練は、北朝鮮より中国と韓国を牽制するものと見るべき(゚д゚)!


“暴走”北朝鮮

金正恩氏

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の、健康不安情報が飛び交っている。「心臓手術説」や「重篤・脳死説」「療養説」などがあり、北朝鮮メディアは「根拠のないデマだ」と否定しているが、何らかの異変があった可能性は高い。中国の医療チームが、新型コロナウイルス対応の医療機器や薬を北朝鮮に持ち込んだとの情報もある。こうしたなか、米空軍と航行自衛隊が、朝鮮半島周辺で共同訓練を行ったことが注目されている。北朝鮮が国内の動揺を抑え、他国を牽制(けんせい)するために、弾道ミサイル発射を強行することなどを警戒しているようだ。


 「大体分かっている」「遠くない将来に、あなたたちも知ることになるだろう」

 ドナルド・トランプ米大統領は27日の記者会見で、健康不安説が浮上している正恩氏の状態について、こう語った。

 菅義偉官房長官も同日の記者会見で、「(正恩氏の動向と、北朝鮮によるミサイル発射の兆候などについては)重大な関心を持って常日ごろから情報収集、分析に努めており、米国を含む関係国とさまざまなやりとりを行っている」と語った。

 正恩氏については、米CNNが20日、正恩氏が手術を受けた後、重体に陥ったとの情報を報道。韓国の北朝鮮専門ニュースサイト「デイリーNK」も同日、正恩氏が心血管系の手術を受けたと報じ、ロイター通信は25日、「中国、北朝鮮に医療専門家などのチームを派遣」と伝えた。

 確かに、正恩氏は11日の党政治局会議に出席したと国営メディアが翌12日、写真とともに報じたのを最後に、視察活動などは明らかになっていない。北朝鮮最大の祝日であり、毎年必ず出席していた15日の「金日成(キム・イルソン)主席生誕記念日」にも姿を見せなかった。

 一連の健康不安報道に対し、北朝鮮の対外宣伝雑誌「今日の朝鮮」は28日までに、中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」の公式アカウントで、「全く根拠のないデマだ」と非難した。北朝鮮の公的メディアが正恩氏の重体説を否定したのは初めてとみられる。

 北朝鮮の朝鮮中央通信も27日、正恩氏が同日、南アフリカの祝日である「自由の日」に際してシリル・ラマポーザ大統領に祝電を送ったと伝えた。ただ、正恩氏が健在ぶりを示さない限り、動揺は続きそうだ。

 CNNが衝撃報道をした直後、日米同盟が存在感を見せた。

 米空軍と空自は22日、日本海や沖縄周辺空域で共同訓練を実施し、米軍のB1戦略爆撃機1機とF16戦闘機4機、空自のF15戦闘機8機とF2戦闘機7機が参加したのだ。

 B1爆撃機は、全長約44メートル、全幅約41メートル。航続距離1万2000キロ。「死の白鳥」の異名を持ち、超音速で敵地に侵入し、精密誘導兵器で重要拠点を攻撃できる。

日本海や沖縄周辺空域で行われた日米共同訓練(航空自衛隊HPから)

 正恩氏は現在、東部元山(ウォンサン)に滞在しているとみられる。最新の衛星写真によると、21日以降、特別列車とみられる列車が金一族の専用駅に停車しているという。B1爆撃機は元山から約900キロ離れた上空を通過したとされる。

 米空軍は共同訓練の意義について、「われわれはこの地域の平和と安定への関与を続け、新型コロナが世界的に猛威を振るう状況下でも、世界のどの地域にでも同盟国と即応できる能力があると示した」と説明した。

 北朝鮮が今後、中・長距離弾道ミサイルを発射する可能性があり、米空軍と空自は警戒監視を続けている。

 中国の医療チームについても、興味深い情報が飛び込んできた。

 日米情報当局関係者は「中国の医療団が、新型コロナウイルスの重症患者に使用する人工心肺装置『ECMO』(エクモ)や、新型コロナウイルスへの効果が期待されるインフルエンザ治療薬『アビガン』を、北朝鮮に持ち込んだという情報がある」と明かす。

 北朝鮮は、世界保健機関(WHO)に対し、新型コロナウイルスの感染者が「国内にいない」と報告しているが、実は感染が広がっているとの見方は強い。

 エクモやアビガンが北朝鮮に持ち込まれたのが事実なら、正恩氏や党指導部の要人が罹患(りかん)したか、罹患した場合に備えたものと考えられそうだ。

 日米共同訓練を、識者はどう分析するのか。

 軍事ジャーナリストで評論家の潮匡人氏は「米空軍のB1爆撃機は、北朝鮮がこれまでミサイルを発射した場所や、元山も射程に入れて飛行したとの情報がある。これに対し、北朝鮮も戦闘機を飛ばして、つばぜり合いを演じたようだ。新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、米軍は、戦略爆撃機の配備をグアムから米本土に移した。抑止力低下が懸念されるが、米軍としては、不穏な動きをみせる北朝鮮と、東・南シナ海から西太平洋に進出しようとする中国に対して、『いつでも来るぞ』と強い意志を示したといえる」と語っている。

【私の論評】米空軍と空自の日本海や沖縄周辺空域で共同訓練は、北朝鮮より中国と韓国を牽制するものと見るべき(゚д゚)!

このブログでは、以前北朝鮮と北朝鮮の核が、結果として中国の朝鮮半島への浸透を防いでいるということを何度か掲載したことがあります。北朝鮮のミサイルは、北京や上海なども目標にしうるので、これは当然といえば当然です。

それに、金正恩もその父親の金正日も、中国の干渉を極度に嫌うという点は一致していたようです。祖父の金日成のときは、ソ連の力が圧倒的に中国よりも強く、そのような心配はありませんでした。

金日成の時代には、ソ連の力が圧倒的に強く、朝鮮戦争が休戦になり、米中ソは、韓国などの意向とは全く関係なく、38度線を動かしたり、越境したりすることはせずに、現状維持をするということで、米・ソ・中・朝で休戦協定(韓国は関係なし)を結んでいます。

さらに、金日成、金正日、金正恩の三代の金一族の根底に流れているのは、金王朝の未来永劫の存続です。これだけは、現体制の北朝鮮は譲りたくないところです。

金日成時代の中国は経済的にはとるに足りない国であって、当時のソ連は世界第2の経済大国でした。そのソ連は経済で日本に追い越され、その後は、その日本を中国が国全体の経済では追い越しました。現在のロシアの経済は日本でいえば、東京都、国でいえば韓国と同程度の経済規模にまで落ちました。インドにも追い越されて、10位以下です。

ただし、経済の専門家は、中国の経済統計は全くの出鱈目で現実には、中国のGDPは未だに、ドイツ以下とするものもいます。それが事実だとしても、少なくとも国全体のGDPでは、ロシアや韓国よりははるかに大きいことは事実でしょう。


中国の経済が相対的に大きくなったこともあり、これに備えるためにも、金正日のときから核とミサイルを開発し始め、金正恩にもそれが引き継がれて、今日に至っています。

そうして、米国のトランプ大統領もそのような見方を最初はしていなかったのでしょうが、ここ数年は、そのような見方をしているようです。そのせいか、最近は北朝鮮が米国本土に到達することのない、中短距離ミサイルなどを発射しても強く非難することはなくなりました。

その背景には、韓国の反日、反米、従北、親中の姿勢もあったからでしょう。もし北に核がなかった場合には、もう相当前に朝鮮半島は、中国の覇権の及ぶ範囲になっていたかもしれません。

その傾向は近年ますます強まっています、韓国の4月15日の韓国総選挙(定数300)で、文在寅大統領率いる与党「共に民主党」が、系列の比例代表政党「共に市民党」と合わせて改選前の128議席から50議席以上伸ばし、180議席を獲得して圧勝しました。

与党が国会で法案処理が極めて有利になる5分の3の議席を占めるのは、1987年の大統領直接選挙導入以降初めてで、革新系政党が単独で過半数を得たのも2004年以来です。

言うまでもなく、文在寅大統領および与党「共に民主党」は、反日、反米、従北、親中を鮮明にする左翼革新政権です。

今般の選挙結果を受けて、さらにその路線への傾斜を強めるのではないかと懸念され、日韓関係の改善は期待できないばかりか、「米韓相互防衛条約」を締結している同盟国・米国との関係にも亀裂拡大の恐れが指摘されています。

韓国総選挙で当選した与党「共に民主党」の李洛淵前首相(左)=ソウルで15日

このようなことを前提に考えると、米空軍と空自が22日、日本海や沖縄周辺空域で共同訓練を実施したことの意味がまた別の方向からみえてきます。

まずは、この種の訓練には、従来なら韓国空軍も参加していましたが、今回は参加していません。これは、最早米国は、韓国を信用しておらず、朝鮮半島に危機があった場合は、日米が共同で事に臨むことはあっても、親中・従北の韓国は外すという明確な意思表示であることがうかがえます。

そうして、この演習は、北朝鮮に向けての演習でもあるのでしょうが、それはサブの扱いくらいにすぎず、どこに向けての演習かといえば、それは中国でしょう。

もし、中国が軍事的な意図を持って、北を脅かそうとした場合、米国としては何らかの軍事行動をし、中国の意図を挫く意思があることをみせつけ、牽制したとみるのが妥当です。それも、韓国抜きでそれを実行するという意思をみせつけたのでしょう。

さらに、この演習では、日本の最新鋭の戦闘機F35が参加していないのは、日本ではまだ導入したばかりなので、使いこなしがまた時を要するということで理解できるのですが、米国のB35も参加していません。

これは、韓国や中国に対して、手の内を見せないという意味があるものと考えられます。そのため、これは単なる意思表示という側面があるのかもしれません。

金正恩に何があったのかは、未だわかりませんが、今月の11日から消息が不明ということです。習近平も一時的に消息が不明になったことがありますが、1週間から、長くても10日でした。金正恩は、2週間以上も不明であり、何か金正恩の身にあったかもしれないということは、十分に想定されることです。

そのため、これは金正恩に何かあった場合に、中国がなんらかの動きを示した場合、それに対して米国側も動く可能性があることを、中国に対して示して、牽制したものと考えられます。

それにしても、日本人の中には、北朝鮮は中国の傀儡政権のような考えている人もいるようですが、それは完全な間違いです。金正恩は実の兄金正男を暗殺したとされていますが、金正男は中国に近いとされていました。処刑された、実の叔父である張成沢氏も、中国に近いとされていました。

もし、金正恩が死亡して、何らかの構造変化があり、北と中国の関係が強化されることでもあれば、半島の軍事バランスは一気に崩れる可能性もあります。そのことだけは、多くの人が記憶にとどめておくべきものと思います。

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