ラベル 米中 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 米中 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020年7月23日木曜日

米、対中制裁リストに11社追加。ヒューストン中国領事館閉鎖命令— 【私の論評】米中はトゥギディディスの罠に嵌って総力戦をすることはないが、局地戦あり得る!(◎_◎;)

米、対中制裁リストに11社追加。ヒューストン中国領事館閉鎖命令 宮崎正弘氏のメルマガ(7月23日1:43配信)

     中国総領事館の敷地内で、文書などが焼却される様子も見られ、
     現地の消防隊も出動するなど総領事館の周囲は騒然とした
米国商務省のブラックリスト(ELリスト)に中国の11社を追加
かつらの「和田浩林」から中国科学院傘下の「北京基因組研究所」まで
****************************************

 7月20日、米国商務省は「ウイグル少数民族の弾圧に使用された」監視カメラ製造あるいは、弾圧されて強制収容所内で作られた製品を製造販売した容疑で、11の中国企業をブラックリストに加えた。筆頭は「和田浩林髪飾品」。ウィグル強制収容所でウィグル族に作業させた製品としてボストン税関で13トンのカツラが押収された。

 またエスケル集団の「エスケル繊維」はYシャツやマスクの製造で知られ、グループ全体で5・7万人の従業員がいる。エスケルはラルフ・ローレン、ヒューゴ・ボスなどのアパレル、ポロシャツなどのOEM生産で急成長してきた。

 さきにあげられていたのはファーウェイ、ハイクビジョン、センスタイム、ダーファー、メグビーなどだが、ウィグル弾圧の監視カメラなどが中心だった。

新しいリストに新たに加わったのは、このほかに「KTK集団(今創集団)」、同社は鉄道、線路設備一連の製品、また「湯園技術」(音訳。アルミ製品)、そして「南昌Oフィルム」は、アップル、アマゾン、マイクロソフトへも部品を供給している企業だ。
 
 驚きは中国科学院傘下の「北京基因組研究所」(国家生物信息中心)までがリスト入りしていることで、理由をマルコルビオ上院議員は「この研究所は中国共産党直属である」とした。

 同日、トランプ政権はテキサス州ヒューストンのある中国領事館の閉鎖を命じた。外交的に前代未聞の措置、まるで戦争前夜の様相を呈してきた。

【私の論評】米中はトゥギディディスの罠に嵌って総力戦をすることはないが、局地戦あり得る!(◎_◎;)

中国は眠らせておけ。目を覚ましたら、世界を震撼させるから・・・・・。

ナポレオンがそう警告したのは、200年前のことです。そして今、中国は目覚め、世界を揺るがし始めているようです。

新興国が覇権国に取って代わろうとするとき、新旧二国間に危険な緊張が生じます。現代の米中の間にも、同じような緊張が存在するようです。それぞれが困難かつ痛みを伴う行動を起こさなければ、両国の衝突、すなわち戦争は避けられないかもしれません
猛烈な勢いで成長を遂げてきた中国は、米国の圧倒的優位に挑戦状を突きつけています。このままでは米中両国は、古代ギリシャの歴史家トゥキディデスが指摘した致命的な罠に陥る恐れがある。2500年前のペロポネソス戦争を記録したトゥキディデスは、「アテネの台頭と、それによってスパルタが抱いた不安が、戦争を不可避にした」と書いています。
過去500年の歴史では、新興国が覇権国の地位を脅かした事例が多数あります。よく知られるのは、100年前に工業化して力をつけたドイツが、当時の国際秩序の頂点にいたイギリスの地位を脅かした事例でしょう。
その対立は、第一次世界大戦という最悪の結果を招きました。このように戦争に行き着いた事例は多く、戦争を回避したのはわずかです。このように、戦争が不可避な状態まで従来の覇権国家と、新興の国家がぶつかり合う現象を米国の政治学者グレアム・アリソンは、「トゥキディデスの罠」と命名しました。

クリックすると拡大します
第二次世界大戦後、米国主導でルールに基づく国際秩序が構築された結果、70年にわたり大国間で戦争のない時代が続きました。現代人のほとんどは、戦争がない状態が普通だと思っています。
ところが、歴史家に言わせれば、これは史上まれにみる「長い平和」の時代です。そして今、中国はその国際秩序を覆し、現代人が当たり前のものとして享受してきた平和を、当たり前でないものにしようとしています。
2015年の米中首脳会談で、バラク・オバマ米大統領と中国の習近平国家主席はトゥキディデスの罠についてじっくり話し会いました。オバマは、中国の台頭が構造的ストレスを生み出してきたが、「両国は意見の不一致を管理できる」と強調しました。また両者の間で「大国が戦略的判断ミスを繰り返せば、みずからこの罠にはまることになる、と確認した」と習は明らかにしています。

習近平とオバマ
そのとおりだと私も、思いたいです。米中戦争は今ならまだぎりぎり回避できるかもしれません。
トゥキディデスも、アテネとスパルタの戦争も不可避ではなかった、と言うでしょう。「トゥキディデスの罠」は、運命論でも悲観論でもありません。メディアや政治家のレトリックにまどわされず、米中間に巨大な構造的ストレスが存在することを認め、平和的な

関係構築に努めなければならない、という警鐘だと思います。

迫りくる米中両国の衝突は、戦争に発展するのか。トランプと習、あるいはその後継者たちは、アテネとスパルタ、あるいはイギリスとドイツの指導者と同じ悲劇的な道をたどるのでしょうか。それとも100年前の英国と米国、あるいは冷戦時代の米国とソ連のように、戦争を回避する方法を見つけるのでしょうか。もちろん、その答えは誰にも分からないです。しかし、トゥキディデスが明らかにした構造的ストレスが、現状でもかなり大きくなっているのは間違いないです。
ブログ冒頭の、宮崎正弘氏のメルマガを読むと、現在はまさに戦争前夜のような状況です。ただし、私自身は、現在の米中の関係が、「トゥキディディスの罠」にはまり込むような関係にはなっていないと思います。
というのは、米国は明らかに世界唯一の超大国になっていますが、中国はそうでないという現実があります。
中国が経済的に台頭したとは言っても、GDPでさえ米国には追いついていませんし、一人あたりのGDPでは米国には遥かに及びません。軍事力も軍事費は伸ばしてきたとは言いつつも、軍事費でも、軍事技術、ノウハウでもこれも米国には遥かに及もつきません。
技術などのイノベーション力も、中国は米国に遥かに及びません。中国の技術のかなりの部分が、米国などをはじめとする国々のそれを剽窃したものです。だから、一見効率が良いように見えても、大規模なイノペーションはできません。
中国の5G技術も元々は他国から剽窃したものをベースにして開発したものであり、この方面のイノベーションも現時点の少し先を行くことはできますが、6G、7G、それ以降など遥かに先端に行くことはできません。できるとすれば、リバースエンジニアリングによって他国の技術を分析するか、剽窃によるしかないのです。
さらに金融の面でも、世界金融市場をカジノに例えると、米国は胴元であり、中国は一介のプレイヤーに過ぎません。中国は、大金を回せるかもしれませんが、そもそも人民元の信用はドルに裏付けされたものです。
それに今でも人民元は、国際取引ではほとんど用いられておらず、そのほとんどはドルで決済されています。米国はいくらでもドルを刷ることができますが、中国にはそれはできません。一方、中国は米国からドルの供給を断たれることにでもなれば、その日からほとんど貿易ができなくなります。
この状況では、いくら中国が国単位としては、経済的、軍事的に力をつけてきたとはいえ、超大国とは言えず、現在でも米国には足元にも及ばないというのが現実です。現在の世界では、米国のみが唯一の超大国です。旧ソ連も、崩壊するずっと前に、超大国の地位を失っていました。
2015年の調査では、中国が超大国になると
考えている人の割合は、日本が最低だった
米国を頂点とする自由主義陣営の国々は、中国が経済大国になれば、自由主義陣営のように体制に変わるだろうと思っていたのですが、その期待はことごとく裏切られました。
そうして。最近では米国は、中国は米国に成り代わって、世界に新たな秩序を作ろうという疑念を抱くに至りました。
中国はその米国の態度に対して、正面から答えることがなかったのですが、2018年中国の習近平国家主席が、グローバルな統治体制を主導して、中国中心の新たな国際秩を構築していくことを宣言しました。
習近平氏のこの宣言は、中国共産党機関紙の人民日報(6月24日付)で報道されました。同報道によると、習近平氏は6月22日、23日の両日、北京で開かれた外交政策に関する重要会議「中央外事工作会議」で演説して、この構想を発表したといいます。

この会議の目的は、中国の新たな対外戦略や外交政策の目標を打ち出すことにあり、これまで2006年と2014年の2回しか開かれていません。
この会議での対外戦略の総括は、その初めての回答となりました。つまり、米国による「中国は年来の国際秩序に挑戦し、米国側とは異なる価値観に基づく、新たな国際秩序を築こうとしている」という米国の疑念に対し、まさにその通りだと応じたのです。
旧ソ連のように、超大国にもなれていない中国が、超大国米国に対してあからさまに、新たな世界の秩序づくりを宣言されたわけですから、これを捨て置くわけにはいきません。
だからこそ、この直後より米国の対中国対策はかなり厳しいものになり、今日に至っているのです。
私に言わせば、世界の新秩序を作り出すなどの考えは、単なる中国というか、習近平の妄想にすぎないと思います。私自身は、2015年の米中首脳会談で、バラク・オバマ米大統領と中国の習近平国家主席はトゥキディデスの罠についてじっくり話し会ったことが、習近平に勘違いをさせたのではないかと思います。

オバマ大統領、本来ならば、中国は超大国米国には、到底及ばないことを習近平にはっきりと言うべきだったと思います。軍事力でも、技術力でも、金融の面でも、遠く及ばないことを自覚させるべきでした。米国にたてつけば、石器時代に戻してやるくらいの脅しをかけるくらいでも良かったと思います。
妄想ではあっても、中国がその妄想を実現すべく邁進しているわけですから、当然米国は、これに対峙せざるを得ないのです。

習近平やその取り巻きは、中国国内では、とにかく金は無尽蔵にあり、金で人民のほっぺたを叩き付けたり、それでもだめなら、城管や、警察、人民解放軍で鎮圧すれば、いかなる人民も自分たちの言うことを聞くので、外国でもそれができると、勘違いしているのかもしれません。

彼らは、中国内では、人民元など好きなだけ刷れるし、ドルも潤沢なので、自分たちは何でもできるという極度の自己肯定感に浸っているのではないかと思います。しかし、実際に米国と対峙してみると、経済でも軍事でも、技術面でも彼我の差があまりに大きいことに気づくことになるでしょう。
トゥギディディスの罠に話を戻すと、先にも述べた通り100年前に工業化して力をつけたドイツが、当時の国際秩序の頂点にいたイギリスの地位を脅かした事例がありますが、当時のイギリスとドイツの関係は、軍事力、技術力、経済力とも現在の米国と中国との関係よりも、かなり伯仲したものでした。
だから、米中がトゥギディディスの罠に嵌る可能性は低いと思います。米中が総力戦に入る遥か手前で、米国の対中冷戦で中国の方がお手上げなるでしょう。
ただし、場合にはよっては局地的な戦争になることは大いにあると思います。たとえば、南シナ海の中国軍基地をなきものにするということは大いに考えれます。

中国が発生源と思われる新型コロナウイルスの蔓延などによって、米国人の対中感情は、1979年の米中国交正常化以降、最悪と言えるほど悪化しています。そうした国内世論を受けて、共和党のトランプ陣営と民主党のジョン・バイデン陣営は、どちらが対中強硬派かという争いをしているからです。
米国の戦略家ルトワック氏からいわせると、南シナ海の中国の軍事基地など象徴的な意味しかなく、米国が本気になれば、5分で吹き飛ばせると言います。
南シナ海は、中国本土から1000kmも離れているため、中国との全面戦争にもなりにくいでしょう。それでも米国内では、「悪の中国の基地をぶち壊した」とアピールすれば、トランプ氏は、支持率を上げるでしょう。東南アジアの国もこれを、歓迎するかもしれません。

そもそも中国の南シナ海の実効支配は、国際司法裁判で根拠がないと裁定されています。米軍がこれを爆撃したとしても、それなりの手続きを踏んで実行すれば、国際法上は問題はありません。

1999年5月7日に、米軍のB-2がベオグラード市内に出撃、誤って駐中華人民共和国大使館JDAM爆弾で攻撃し、29人の死傷者を出しました。後に緊急会議が開催され、NATOや米合衆国連邦政府は、中華人民共和国に対し誤爆を謝罪しましたが、当時中華人民共和国は、セルビア側を支援していたため、故意に攻撃したのではないかという観測も報道されました

この際には、無論中国は、米国を非難しましたが、目立った報復ありませんでした。中国人はこの出来事に激怒し、北京市にあるマクドナルドを襲撃、10店舗を破壊するデモ活動をしました。なお、この爆撃の目標を指示した米中央情報局中佐のウィリアム・J・ベネット氏が2009年に殺害されたという事件が起こりました。

ただ米軍がそこまでやると、トランプ大統領にはとっては、かえって選挙に悪影響となるかもしれず、そこまではせず、例えば潜水艦と艦艇を用いて。南シナ海の中国軍基地の周辺を封鎖して、兵糧攻めにするなどのことは、十分に考えられます。場合によっては、機雷による封鎖ということも考えられます。

ただし、米国と中国の国力の差異などからみて。両国がトゥキディディスの罠に嵌って、総力戦に入るということはないでしょう。そのはるか以前に中国はお手上げになります。
【関連記事】

日米豪、合同軍事演習で中国威圧! 尖閣侵入「100日連続」…識者「日本は実効支配の強化へ公務員常駐を」— 【私の論評】日本は尖閣を守備できるし、奪取されても十分取り返せる能力がある!(◎_◎;)

米中両国の戦略から考える「潰し合い」の結末―【私の論評】成熟期を迎えたチャイナではいずれ共産党が崩壊し、米国は経済冷戦に勝利する(゚д゚)!


2020年4月29日水曜日

【真・人民日報】世界で沸騰する新型コロナ「中国責任論」 日本の報道からは見えづらい欧米各国の“思惑”―【私の論評】米中「中国ウイルス」情報戦は米国の圧勝、中国はチェルノブイリの二の舞を舞うことになる(゚д゚)!

【真・人民日報】世界で沸騰する新型コロナ「中国責任論」 日本の報道からは見えづらい欧米各国の“思惑”

米国に続き、メルケル氏ら欧州首脳からも対中不信の声が上がる

今週は新型コロナ問題で中国「責任論」が世界で沸騰している問題を取り上げたい。

中国の初期対応に過失はあったのか。感染源は武漢のウイルス研究所なのか。謎の解明は科学のアプローチに委ね、本稿では国際的な批判の高まりの裏側に目を向けて行きたい。

3月末まで、習近平のコロナ対策を評価していたドナルド・トランプ大統領が、にわかに攻撃に転じたのは4月上旬のことである。

動機は自国の感染対策で出遅れ、大統領選挙にも不利になったからだ。

中国の隠蔽(いんぺい)体質で米国に必要な情報が得られなかったと怒りを爆発させ、中国に忖度(そんたく)して国際機関の役割を果たせなかったと世界保健機関(WHO)も批判した。新型コロナが武漢の研究所から流出したのでは、との疑惑にも言及した。

地元メディアには「米情報機関」のリークがあふれ、米中間にはきな臭い空気も流れた。本来、疑うに足る情報ならばさっさと公開すべきだが、それもせず、ただ「情報機関」という響きに真実性が与えられて独り歩きする流れは、イラク戦争へと向かっていった過去を彷彿とさせる。

ただ、もちろん中国が被害者であるはずはない。国際的にも中国に厳しい風が吹き始めている。

エマニュエル・マクロン仏大統領は「中国が新型コロナの流行にうまく対処していると『ばか正直』に信じてはいけない」と警告し、ドミニク・ラーブ英外相(首相代講)は、新型コロナがどう発生し、なぜ早期封じ込めに失敗したのか、中国に「厳しい質問をせざるを得ない」と語っている。

アンゲラ・メルケル独首相も中国が「発生源に関する情報をもっと開示していたなら、(中略)より良い結果になったと思う」と隠蔽を疑う発言をし、マリス・ペイン豪外相も、独立調査の必要性を求め、米国に歩調を合わせた。

まさに中国包囲網が形成されているようだ。だが、これには2つの流れがあり、1つは国民感情としての「嫌中」、もう1つが国として中国に厳しい顔を見せる対応だ。

前者は一時的な「中国製」嫌悪を招き中国経済に打撃となるが、前例から見て長続きはしない。

後者も、トランプ氏の中国攻撃でにわかに活気づいた日本人が期待するような話ではない。

第一、日本の報道からは各国の思惑が少しも見えていない。不思議だ。

国のトップが発信する以上、何かを獲得するか、何かを防衛する意図がないはずはない。だが日本人は「やっと世界が中国の問題に気が付いた」という好き嫌い-実は官僚もこのレベル-に落着させて納得するため、各国がどんなカードを手に列に加わったのかを見逃すのだ。まるでパーティーの招待状に「軽装」とあるのを真に受けて出かけるような軽率さだ。この国の人々は、願望をむき出しに国際情勢を分析する恐ろしさを、いつになったら学ぶのだろう。

■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

【私の論評】米中「ウイルス情報戦」は米国圧勝、中国はチェルノブイリの二の舞を舞うことになる(゚д゚)!

今年に入って、人類史に必ず残るだろう災厄が出現しました。新型コロナウイルスです。一方、2018年からは米中覇権戦争が勃発しました。中国ウイルス(コロナウイルスのこと)は、この米中戦争の情報戦に使える「最高のネタ」になっています。

かつて、チェルノブイリ事故を隠蔽して国際的に非難されたソ連は、5年後に崩壊しました。コロナは中国共産党にとっての「チェルノブイリ」になる可能性が濃厚です。

チェルノブイリの作業員達


2018年、米中覇権戦争が始まりました。米国と中国は、相手国を破壊し尽くせるだけの核兵器を持つため、両国の「戦闘」は起こりにくく、戦争は「別の形態」を取るようになっています。情報戦、外交戦、経済戦、代理戦争などです。

情報戦の目的は、「敵国を悪魔化する」ことです。中国発で、世界を恐怖に陥れ、たくさんの感染者と死者を出している「新型中国ウイルス」は、米国にとって、情報戦に使える最高の材料です。
4月3日時点で、全世界の感染者数は100万人を超えました。死者数は5万3000人。感染者数も死者数も、どこまで増え続けるのか、誰にも予測できません。

ポンペオ国務長官は、新型中国ウイルスを、世界保健機関(WHO)が定めた「COVID-19」とは言わず、「武漢ウイルス」と呼んでいます。初期の段階で、彼が「武漢ウイルスと呼ぶことで、中国を悪魔化しよう」と考えていたかは不明です。しかし、ポンペオ長官を本気にさせる事件が起こりました。

このブログでも以前掲載させていただたように、中国政府が、「新型コロナウイルスを武漢に持ち込んだのは米軍だ」と主張し始めたのです。

これは市井のトンデモ陰謀論者の発言ではありません。中国外務省の趙立堅報道官の言葉であることが重要です。日本人でこのツイートを重要視する人は少ないとでしょう。「また中国政府が、トンデモ主張し始めた」とあきれ、苦笑するぐらいかもしれません。

しかし、事はそう単純ではありません。確かに、日本が属する「米英情報ピラミッド」や「欧州情報ピラミッド」で「米軍起源説」が力を持つことはないです。ところが、世界には「中共情報ピラミッド」や「クレムリン情報ピラミッド」もあります。特に「中共情報ピラミッド」では、「米軍起源説」が「定説」になる可能性すらあります。

なぜでしょうか?中国やロシアなどの独裁国家です、国民を好きに洗脳できるからです。たとえば、ロシアの情報空間内では、2014年3月のクリミア併合が「絶対善」となっています。

2014年7月に起きた「マレーシア機撃墜事件」についても同様です。全世界では、「ウクライナ東部の親ロシア派による誤爆」が定説になっています。しかし、クレムリン情報ピラミッド内では、「ロシアを孤立させたいウクライナ軍が意図的に撃墜した」が「定説」になっています。

つまり、政府がメディアを支配している国では、政府の意図通りの情報を国民に信じさせることができるのです。中国では、ロシア以上に、政府がメディアを完全支配しています。だから、中国政府が国民に「新型コロナウイルスを持ち込んだのは米軍だ」と信じさせることは、十分可能だろう。

これは、すでに南京虐殺でも実証されているところです。20万人、30万人の市民を殺害するということは、想像を絶するほどの労力を必要とします。2千人とか、3千人などであれば、あり得ると思いますが、しかし、中国政府は30万に登る虐殺があったことを国民に信じさせることに見事に成功しています。

中国の南京市にある南京大虐殺記念館の展示を見る訪問者(2015年10月10日)

そして「米軍起源説」は、習近平政権を守る役割も果たします。「習近平政権が隠蔽(いんぺい)したから、新型コロナウイルスが、全中国、全世界に広がった」というネガティブ情報を、中国国民にわざわざ伝える必要はないです。そうではなく、「悪の米軍が中国にウイルスを持ち込んだが、習主席は、この攻撃を食い止めた英雄なのだ」と信じさせれば良いのです。

こういう「中共情報ピラミッド」の事情を知っていれば、米国政府も本気にならざるを得ないです。まず、トランプ大統領自身が、「参戦」してきました。

トランプ米大統領は3月17日、新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼んだことに中国が反発しているのに対し「ウイルスは中国から来たのだから全く正しい呼称だと思う」と正当化しました。ホワイトハウスでの記者会見で語りました。

「中国が『ウイルスは米軍が持ち込んだ』と偽情報を流すから来た場所の名前で呼ぶべきだと言った」と反論しました。

中国にレッテルを貼ることにならないかと問われると「そうは思わない。『ウイルスを米軍が持ち込んだ』という方が問題だ」と述べました。

トランプのこの発言、日本人の大部分は、「大人げない」と思ったかもしれません?しかし、情報戦の観点からすると、トランプは正しく行動しているのです。このまま中国の「米軍起源説」を見過ごせば、「気づいたら、米軍起源説が世界の定説になっていた」となりかねないのです(南京30万人大虐殺説や、韓国人慰安婦20万人強制連行説が世界で定説になったように)。

ついで、ポンペオ長官は、「情報戦の味方を増やそう」と画策しました。つまり、「武漢ウイルス」と呼ぶ国を増やすのです。

米紙ワシントン・ポストは25日、主要7カ国(G7)外相がテレビ会議方式で開いた会合で、ポンペオ米国務長官が新型コロナウイルスを「武漢ウイルス」と呼ぶよう訴えたと報じました。

その理由についてポンペオ長官は、以下のように述べている。議長を務めたポンペオ氏は記者会見で中国が偽の情報を流布していると指摘し「G7各国はそれを把握している」と表明しました。

やはり、米国政府は、中国の「トンデモ米軍起源説」を「深刻な脅威」と認識しているのです。

しかし、米国以外の国は、この恐怖を共有していません。それに、中国差別を助長しかねない「武漢ウイルス」という用語は、「ポリティカルコレクトネス」違反と受け取られたようです。結果、他の国々は、ポンペオ提案に同意しませんでした。

現状、世界中の国々が、自国の「コロナ対策」で忙しいです。それで、米中が繰り広げる情報戦に、あまり興味はないでしょう。

しかし、米国と「特別な関係にある」英国は、味方になりそうです。この国では、チャールズ皇太子も、ボリス・ジョンソン首相も、新型コロナウイルスに感染しています。全く「他人事」ではないのです。ジョンソン首相は、中国に激怒しているとい。

イギリスのジョンソン政権は、中国の新型コロナウイルスへの対応に激怒しているようです。3月29日(現地時間)の報道によると、政府関係者は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の危機が落ち着いたら、中国は「報い」を受けるだろうと警告しています。

イギリスの政府関係者は、中国が新型コロナウイルスの感染拡大の深刻度について誤った情報を拡散したと考えています。(BUSINESS INSIDER JAPAN 3/31)

「中国ウイルス」「武漢ウイルス」vs「米軍ウイルス」の情報戦は、どうなるのだろうか?
「中国は、米軍起源説を、自国民に信じさせることができる」ということを踏まえても、米国の勝ちでしょう。なんといっても、「新型コロナウイルスは、中国武漢で発生した」のですから。

米国は、いつの間にか、感染者数世界一になってしまいました。4月3日時点で、感染者数は24万人、死者は5000人を超えています。恐ろしいことに、感染者も死者も、どこまで増えていくかわからないです。経済的打撃も、リーマンショック後の08~09年を上回ることは確実です。破産、倒産が日常化し、町は失業者であふれることになります。

米国民の怒りは普通なら、為政者であるトランプに向かうでしょう。しかし、トランプはこう言っています「これは、私の責任ではない。中国政府が、初期の段階で情報を隠蔽したことが今の惨状の原因だ。我々は、中国政府の責任を厳しく追及していく」と。

こうして彼は、見事に責任を中国に転嫁することに成功する(「転嫁する」というか、事実であるが)。ポリティカルコレクトネスが浸透している日本や欧州は、おそらくトランプに追随しないでしょう。しかし、「自分の責任にされたくない」多くの国の指導者たちは、トランプに続くのではないでしょうか。

米中両国はこれまでも、覇権をかけて、さまざまな形の戦いを繰り広げてきました。

<経済戦>

わかりやすいのは、2018年7月からの「関税引き上げ合戦」です。また、米国が、世界中の国々に「中国のファーウェイを5Gから追い出せ」と圧力をかけているのも、「経済戦争」に分類できるでしょう。

<代理戦争>

米国は、中国と対峙する台湾への武器売却を大幅に増やしています。あるいは、香港の民主化勢力を支持しています。昨年世界を揺るがした「香港デモ」は「米国の作品」というのが、中国政府の見解です。

情報戦は、どうだろうか?昨年まで、米国は「ウイグル問題」を情報戦に使っていました。

中国政府が新疆ウイグル自治区でウイグル人を約100万人、テロ取り締まりを「口実」に拘束していると、国連は懸念を強めています。

中国はウイグル人100万人を強制収容しています。この衝撃的な事実は、「敵国悪魔化」という目的にピッタリのテーマです。ペンス副大統領やポンペオ国務長官は、この問題をしばしば取り上げ、中国を厳しく非難してきました。

たとえば、ポンペオ長官は2019年7月18日、「信教の自由に関する閣僚級会合」で演説し、「中国では、現代における最悪の人権危機の1つが起きている。これはまさしく今世紀の汚点である」と述べています。これは、事実であるが故に、強力です。

最近では、「中国共産党は現代のナチス」「習近平は現代のヒトラー」という言葉をしばしばネットで見かけるようになりましたが、その最大の理由は、中国政府がウイグル人100万人を強制収容していることです。

かつて、ソ連という独裁国家が存在しました。この国で1986年4月、「チェルノブイリ原発事故」が起こりました。ソ連は当初、この事実を隠蔽したのですが、スウェーデンが「放射能レベルが上がっている」ことに気づき、ソ連政府に「原発事故があったのではないか?」と問い合わせました。

ソ連は「事故は起こっていない」とシラを切ったのですが、スウェーデン政府が「では、国際原子力機関に報告させてもらう」と脅したところ、一転して事故の事実を認めたのです。


       チェルノブイリ事故を当初隠蔽当時のソ連は、武漢ウイルスの発生を隠蔽した
                 今日の中国にかぶる。ドラマ「チェルノブイリ」の予告編。

中国の武漢で新型コロナウイルスが発生したこと自体は、仕方のないことです。同じようなウイルスが、日本、米国、欧州で発生することも、あり得るかもしれないです。しかし、世界が問題にしているのは、「発生した事実」ではありません。

中国政府が「隠蔽」したことで、全世界にウイルスが拡散されてしまったことです。しかも中国は、反省するどころか「武漢にウイルスを持ち込んだのは米軍だ」と、トンデモ主張をすることで、責任を米国に転嫁しようとしています。

1986年に原発事故を起こしたソ連は、わずか5年後の1991年に崩壊しました。新型コロナウイルス問題は、チェルノブイリ問題をはるかに凌駕する大問題です。この問題が、中国共産党政権にとっての「チェルノブイリ」になる可能性は、かなり高いとみるべきです。

【関連記事】

新型肺炎は、中国共産党支配の「終わりの始まり」かもしれない―【私の論評】全体主義国家が強大になっても、様々な異変でそのほころびを露呈し結局滅ぶ(゚д゚)!

2020年3月21日土曜日

米中、新型肺炎の初動遅れで非難の応酬 双方の報道官もツイート―【私の論評】中国共産党の大きな勘違い!彼らは、ウイルスの遺伝情報まで操作できない(゚д゚)!

米中、新型肺炎の初動遅れで非難の応酬 双方の報道官もツイート

   米ホワイトハウスで定例会見を行うマイク・ポンペオ国務長官(手前右)と
   ドナルド・トランプ大統領(手前左、2020年3月20日撮影)

マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は20日、中国政府に対し、新型コロナウイルスに関してもっと情報を他国と共有するよう求めた。一方の中国政府は、ポンペオ氏は米国の初動の遅れに関してうそをついており、米政府は責任転嫁しようとしていると非難している。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領と同じく新型ウイルスを「中国ウイルス」と呼び、中国政府の怒りを買っているポンペオ氏は、ホワイトハウス(White House)で記者団に対し、新型肺炎に関して早くから把握していた中国政府には研究者への「特別な責務」があると述べ、「これは報復とは関係ない」と続けた。

 これに先立ちポンペオ氏は、FOXニュース(Fox News)のインタビューで、中国は新型コロナウイルスを特定するまで「何日も貴重な時間を無駄」にし、その間、武漢(Wuhan)から「数十万人」がイタリアなど世界各地に移動するのを容認したと主張。「中国共産党は適切な対応を怠り、その結果、無数の人命を危険にさらした」と述べていた。イタリアは死者数が中国を上回り、世界で最多となっている。

 中国外務省の耿爽(Geng Shuang)副報道局長は、北京で行った記者会見で、中国は「大きな犠牲を払って」世界の保健に貢献したと主張し、「米国には、病気の流行に対する中国の闘いに汚名を着せ、中国に責任転嫁しようとする人がいる」と述べた。

 中国の国営メディアは、トランプ氏お気に入りのSNSだが中国国内ではおおむね禁止されているツイッター(Twitter)に「#TrumpSlump(トランプ不振)」や「#Trumpandemic(トランプパンデミック)」などのハッシュタグ付きのメッセージを投稿して嘲笑。

 中国外務省の華春瑩(Hua Chunying)報道官は、中国は米国に対して1月3日にウイルスの発生を報告したにもかかわらず、米国務省が武漢在留米国人に警告したのは1月15日になってからだと指摘し、「今になって中国の対応が遅いと言うわけ?本当に?」とツイッターに投稿した。

 米国務省のモーガン・オータガス(Morgan Ortagus)報道官は引用リツイートで反論。「中国当局は1月3日までに#COVID-19ウイルスの検体の破棄を命じ、武漢の医師らの口を封じ、ネット上の世論を検閲した」と、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)についてハッシュタグ付きでツイートし、「この時系列の流れを世界は綿密に調べなければならない」と主張した。

【私の論評】中国共産党の大きな勘違い!彼らは、ウイルスの遺伝情報まで操作できない(゚д゚)!

新型コロナウイルスをめぐる、初動遅れに関する米中の非難合戦に関しては、明らかに中国側に非があるものと考えられます。しかし、中国がいくら強弁したとしても、中国の隠蔽は完璧に暴かれることになるでしょう。

なぜなら、ウイルスの遺伝物質から、感染経路だけでなく、世界での広がり方や封じ込めに失敗した状況が、最終的に分かる可能性が高いからです。

現在科学界では、ウイルスの感染拡大に伴う遺伝子変異を追跡することで、ほぼリアルタイムでウイルスの系統樹が作成されています。この系統樹は、感染が国から国へ飛び火する様子を特定するのに役立つといいます。

ブラジルの科学者たちは、2月下旬に国内初の新型コロナウイルスの感染例を確認した際、すぐにウイルスの遺伝子配列を解読しました。そして、すでにオンライン上で公表されていた150以上の配列(多くは中国からの情報)と照らし合わせました。

感染者はサンパウロ在住の61歳で、2月にイタリア北部のロンバルディア地方を旅行していたため、イタリアで感染した可能性が高いと思われていました。しかし、感染者のウイルスの遺伝子配列は、さらに複雑な履歴を物語っていました。それは、感染した状態で中国から来た渡航者が、ドイツでのアウトブレイクならびにその後のイタリアでの感染拡大に関連するというものでした。

ウイルスは流行と共に変異し、ゲノムの塩基がランダムに変わります。科学者たちは、そうした遺伝情報の変化を追跡することで、ウイルスの進化の様子や、最も密接に関連する事例を辿ることができるのです。最新の系統樹では、すでに多数の分岐が示されています。

新型コロナウイルスの遺伝子データは「ネクストストレイン(Nextstrain)」というWebサイトで追跡されています。ネクストストレインは、「病原体のゲノム(DNAのすべての遺伝情報)データの科学的・公衆衛生的な可能性を活用」するためのオープンソースの活動です。科学者たちがすみやかにデータを投稿しているおかげで、アウトブレイクとしては初めて、ウイルスの進化と拡散がかなり詳細に、ほぼリアルタイムで追跡されています。

ネクストストレインで示されている新型コロナウイルスの系統樹

ゲノムの探索は、封じ込め対策が失敗している場所を知るのに有効です。各国が、1つだけでなく複数の経路でウイルスに直面していることも明らかになっています。そして最終的には、遺伝子データから、大流行の最初の発生源を突き止められる可能性があります。


ブラジルでは、研究者が遺伝子データを用いて、最初の症例とその後に見つかった2番目の症例の間に密接な関連がないことがわかりました。2人の患者のウイルスから採取した遺伝子サンプルには、それぞれ別の場所で感染した可能性が高いことを示すだけの十分な違いが見られたからです。

患者の渡航歴と組み合わせた結果、ブラジルで判明した2つの症例は、それぞれ別の経路で国内にウイルスを持ち込んだことがわかったのです。
ブラジル政府は20日新型コロナウイルスの感染拡大を受け、非常事態を宣言。写真は、ボルソナロ大統領

新型コロナウイルスに対するワクチンがまだない現状では、感染者の発見や隔離といった積極的な公衆衛生対策が、ウイルスを食い止める最適な方法です。

その際、ウイルスの系統樹が役に立つのです。ウイルスの広がりを追跡し、封じ込めに成功している場所と失敗している場所を特定するのです。

この系統樹を活用すれば、どこで最初にウイルスが蔓延して、どのように感染していったかをトレースできるのです。

このトレースを恐れて中国は、情報を隠蔽あるいは捏造する可能性もあります。そうなると、中国の初動の遅れが、パンデミックの原因になったかもしれないことが、不明確になるのでしょうか。私は決してそうはならないと思います。

なぜなら、これは中国のGDP統計の統計が出鱈目であり、それを多くの経済学者らが、実証している事例があるからです。

たとえば、対中国の輸出と輸入からGDPを類推するという方式があります。中国のGDPの統計が出鱈目であったとしても、輸出、輸入の数値に関しては、中国だけではなく輸出国や輸入国のデータがあるので、それらの内容まで中国は操作できません。

そうなと、輸出、輸入の動きから、大体の中国のGDPの真の値を類推できるのです。そうして、そこから出てくる結論は、中国の公表するGDPの統計値は、出鱈目だということです。経済学者の中には、中国のGDPの値は日本以下どころかドイツ未満とする人も多いです。


このことからもわかるように、ウイルスの伝播についても、中国政府は中国国内については、隠蔽や操作もできますが、伝播した他国の数値まで隠蔽したり、操作することはできません。
そうなると、各々系統樹の頂点はどこになるのかを調査すれば、中国のどの都市かまで特定できないにしても、少なくとも中国であることか、あるいは中国のどの地域あたりかまでは、特定できることになります。実際、もうすでにかなり特定されているでしょう。
先にも述べたように、すでにオンライン上で公表されていた150以上の配列(多くは中国からの情報)があります。これについては、その後も提供され、今も提供され続けていると思います。
これらから、中国発のウイルスがどのように他国に伝播して、どのような感染をして、どのような結果になったのかをかなり詳細に分析できるはずです。
中国共産党は大きな勘違いをしています。彼らは、新型コロナウイルスの遺伝情報までも書き換えることはできないのです。この情報がある限り、中国は言い逃れはできません。
言い逃れしても、誰にも信用されません。中国人民の多くは、中国で武漢肺炎が終息しつつあるという中国政府の発表を信じていないようですが、正しい判断だと思います。
【関連記事】

米国家安全保障会議、中国が「武漢コロナウイルス」を食い止めていないと声明で非難―【私の論評】反グローバリズムで中国は衰退し、新たな秩序が形成される(゚д゚)!


ノーベル賞作家、中国が「独裁国家」でなければ事態は違った 新型コロナ―【私の論評】中国に対する怨嗟の声が世界中から沸き上がり世界は大きく変わる(゚д゚)!

2019年8月7日水曜日

「信教の自由」でも衝突する米中―【私の論評】米国政治で見逃せない宗教という視点(゚д゚)!

「信教の自由」でも衝突する米中

岡崎研究所

7月16-18日、第2回「信教の自由に関する閣僚級会合」が米国務省の主催により開催された。これは、信教の自由を促進する世界最大規模の国際会議で、2018年に引き続く開催となる。18日には、ペンス副大統領とポンペオ国務長官が演説、ベネズエラ、イラン、ミャンマー、北朝鮮などにおける信仰、人権への攻撃を非難した。そして、日本の報道でも大きく取り上げられた通り、中国によるウイグル人弾圧を含む宗教弾圧は、特に強く非難された。

       ドナルド・トランプ大統領と共に祈るためにホワイトハウスの大統領執務室を
       訪れた米国の福音派指導者ら=2017年12月11日

 ペンス副大統領は、新疆ウイグル自治区での状況について「共産党は100万人以上のウイグル人を含むイスラム教徒を強制収容所に収容し、彼らは24時間絶え間ない洗脳に耐えている。生存者によれば、中国政府による意図的なウイグル文化とイスラムの信仰の根絶だ」と述べた。共産党政府がキリスト教を迫害しているにも関わらず、中国でキリスト教徒の数が急速に増加していることも指摘した。

 ポンペオ国務長官は、「中国共産党は中国国民の生活と魂を支配しようとしている。中国政府はこの会合への他国の参加を妨害しようとして。それは中国の憲法に明記された信仰の自由の保障と整合するのか」、「中国では、現代における最悪の人権危機の一つが起きている。これはまさしく今世紀の汚点である」と述べた。

 そして、ペンスは「米国は現在、中国と貿易交渉を行っており、それは今後とも続くだろうが、交渉の結果がどうであれ、米国民は信仰を持って生きる中国の人々とともにあると約束する」と述べた。つまり、信教の自由と貿易交渉を引き換えにすることはないという強いメッセージを発したのである。

 「信教の自由に関する閣僚級会合」というのは、世界中の信教の自由を促進することが目的であるが、この中で中国が大きく取り上げられたことの意味を過小評価すべきではないだろう。ペンスが言った通り、米国としては、信教の自由、ひいては人権と経済的利益は、究極的には取引することのできないものである。というのは、宗教の自由は、米国建国以来脈々と受け継がれてきた理念であり、DNAと言ってもよいような価値だからである。このことは、ペンスの以下のような発言からもよく分かる。

 ペンスの今回の演説の冒頭には、次のような文言がある。「米国は最も初期より宗教の自由を支持してきた。米国憲法の起草者たちは、宗教の自由を米国の自由の第一に位置付けた」「我々の独立宣言は、我々の貴重な事由が、政府から与えられたものではなく、神から賦与された不可侵の権利であると宣言した。米国人は、政府の命令ではなく良心の命令に従って生きるべきだと信じている」「我々は、世界中の他の国々の宗教的自由を支持し、人権を尊重し、それにより世界中の人々の生き方をより良いものにしてきたことを誇りに思う」「自由な精神が自由な市場を作るのだ」。



 トランプ政権は、人権への取り組みが弱いと非難されてきた。その批判には当たっている面が少なくない。トランプ政権は、独裁者に対して甘い傾向がある。しかし、信教の自由を前面に打ち出すとなると、トランプの重要な支持基盤の一つである宗教保守へのアピールになる。米バード大学のWalter Russell Mead教授は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に7月22日付けで掲載された論説‘Trump’s Hesitant Embrace of Human Rights’において、「チーム・トランプはアジアやその他で中国の勢力に対抗する連合を形成するうえで、米国のポピュリストと保守の支持者を団結させる必要がある。宗教の自由に焦点を当てた人権のビジョンを取り入れることは、その両面で役立つ」と指摘している。鋭い指摘である。

 トランプ政権においても、宗教の自由擁護という人権問題が重視されてきていることははっきりしてきた。そうした中で、米中関係の今後がどうなっていくかは世界各国にとり、特にアジア諸国にとり、大きな関心事項である。経済問題は互恵のプラスサムの関係を築くことで、政治問題は利益をバランスさせる政治的妥協によって解決可能であるが、宗教の自由問題は深く価値観にかかわる問題であって、妥協によって解決するのが困難な問題である。

 中国はウイグル問題を内政問題と整理し、内政不干渉を盾に国際的批判に対抗しようとしているが、そんな対応でやり過ごせる問題ではないのではないかと思われる。宗教の自由を重視する米国と、宗教をアヘンとみなし宗教を国家の監督下に置きたいとする共産主義の中国との対立は今後ますます深刻になる可能性が高い。今や、米中対立は、単なる覇権争いを超えて「価値観の衝突」となっている。

【私の論評】米国政治で見逃せない宗教という視点(゚д゚)!

日本人は宗教と政治は、無関係であることを当然のこととしているため、米国の宗教的価値観をなかなか理解できないでょう。

米国の政治にはいわゆる福音派が、大きな影響を与えていることは間違いありません。福音派とは、キリスト教の潮流の一つで、聖書の記述を忠実に守り、伝道を重視し、積極的に行動することを旨とします。プロテスタントの系譜を引くのですが、米国では宗教別人口の約4分の1を占め、主流派のプロテスタントを上回る最大勢力です。また、トランプ大統領の強力な支持基盤で、2016年の大統領選では白人福音派の8割がトランプに投票したとされます。

福音派がその名に冠する福音主義は、16世紀の宗教改革当時にルターらが唱えた、教会の権威によらず聖書に立ち返ろうとする考えを指します。福音派も含めてプロテスタントは、神学的にはこの流れをくむものですが、様々な歴史的経緯からいくつかの会派に分かれていきました。

19世紀の前後にかけて自然科学などの発展に伴い、プロテスタントの中には自然科学の知見を認める自由主義神学の流れが現れました。その一方で、米英の保守的なプロテスタントの中からは、自由主義神学に異を唱え、進化論などを否定して聖書の霊感と無謬(むびゅう)性を固持するファンダメンタリズム(原理主義)が現れました。

米国の福音派の代表的な伝道師であるビリー・グラハムらは、このファンダメンタリズムから出発しています。しかしグラハムらは、ファンダメンタリズムが内包する分離主義や反知性主義、伝道についての無関心などを批判する姿勢を示しました。

ビリー・グラハム氏

それと共に、自由神学に対して一定の評価を与え、ファンダメンタリズムとも自由主義神学とも一線を画する新しい福音主義として福音派の潮流を興したのです。このため、福音派は穏健なプロテスタント保守派と位置付けられています。

一般的に、このような立場をとるプロテスタントが、自他共に福音派とされます。したがって、福音派とは特定の会派ではなく、会派をまたいだ信仰における姿勢や立場を示す呼称となっています。

このため、国によって福音派の定義にも違いがみられます。また、社会問題についての見解などにも会派により多少の差異があります。しかし、一般的には妊娠中絶や同性婚には否定的であることが多いです。

基本的には聖書の教えどおりに生きることに価値を置くため、旧約聖書の一節を「神がイスラエルをユダヤ人に与えた」と解釈し「世界が終末を迎えるとき、エルサレムの地にキリストが再来する」などとしています。

トランプ大統領自身は、米国のリベラル系メディアの否定的な報道から、信仰心を有しているとは思われていようですが、実はそうではありません。選挙公約に米大使館のエルサレム移転などを掲げ、当選後まもなくエルサレムをイスラエルの首都と認めるとしたのは、有力な支持層である福音派への配慮だとされています。

そうして、日本の多くの人々は、米国の福音派に違和感を抱くのは、「どうしてあそこまで政治と宗教(キリスト教)が関連付けられるのか」ということでしょう。これは、日本のキリスト教が1パーセント未満であることとも連関しますが、まず米国は日本で一般に認識されているところの「政教分離」の原則が当てはまらない国家であることを知る必要がある。

ご存じの方も多いと思いますが、米国では大統領が就任式で宣誓するとき、聖書に手を置いてこれを行います。日本では絶対にありえない光景です。日本では首相が般若心経やコーラン、あるいは仏典の上に手を置いて就任式をする光景はないです。

トランプ大統領は就任式で、左手を聖書に置き、右手を挙げて恒例の宣誓をした

ところが、米国ではこれは当たり前のことになっています。それは、米国において「宗教(主にキリスト教)」は政治に関与することが大いに奨励されているからです。そもそもWASP(白人でプロテスタント信仰を持つアングロサクソン系民族)と呼ばれる人々は、キリスト教信仰に基づいた国家を建設しようとして、米大陸に乗り込んできたやからです。だからキリスト教精神に則って政治が行われることは、至極まっとうなこととなのです。そのため、彼らの意識としては、政治と宗教は親和性の高いものとなっているのです。

これを端的に表しているのが、「Separation of Church and State」という考え方です。これは詳訳するなら「特定教派と政治の分離」となります。一方、日本をはじめ他の先進諸国が使用している形態は、「Separation of Politics and Religion」です。同じく詳訳するなら「政治と宗教の分離」です。この土台が異なっているため、日本では、当福音派クリスチャンですら二重の意味で混乱を来すことになるのです。そうして、非キリスト教以外の人々にも誤解や混乱をもたらしてるのです。

一つは、日本国民として「政治の中に宗教性を持ち込んではダメ」と思っていることです。もう一つは、「キリスト教はあくまでも心や精神的癒やし(解放)を目指すものであって、政治とは相いれない」と思い込んでいることです。

しかし米国においては、このいずれも決して自明なことではありません。もちろん政治的発言を控えるという風潮や、そういう考え方を訴える福音派の牧師もいます。しかし同じ「福音」の捉え方にしても、やはり国が違えばその強調点、濃淡に差異が生じやすくなるのです。

多くの日本の福音派教会は、米国の宣教師からのDNAを受け継いでいます。宣教師になるくらいですから、米国にいながらどちらかというと政治よりも個々人の精神性に重きを置く傾向がある人々であることは否定できないでしょう。

日本的な「政教分離(政治と宗教の分離)」の原則と、日本にクリスチャンが1パーセント未満であるということ、そして海外からもたらされた形而上学的側面を強調する「キリスト教」が相まって、米国の「政教分離(特定教派と政治の分離)」を理解しにくくしているという一面があることは、覚えておく必要があります。

日本のメディアの論調は、米国人の4分の1が「福音派」であり、その大多数が共和党支持であり、福音派の主張(中絶禁止、公立学校での祈祷推進、同性愛禁止、イスラエル支援など)を積極的に受け止めて実現させているトランプ大統領を熱烈に支持している、というものです。

しかしこのような情報の流布には、大きな功罪が伴っています。「功」の部分は、「政治と宗教が一体となる国家こそ素晴らしい」と考える集団が米国には今でも確かに存在することをリアルに示しているというところです。

一方、「罪」の部分は「功」を上回って深刻な偏見を私たちに与えることになります。それは、全国民の4分の1が福音派として一枚岩で、福音派の主張を政治的に成就させようとしている、という印象を与えてしまうことです。そもそも「福音派」とは一体何なのでしょうか。

「福音派」はなかなか明確化しづらい概念であり、専門家たちも確たる定義を行えないまま現在に至っています。

政治への関与という点で、「福音派」は「政治的に解決することもいとわない」という「宗教右派」から、政治関与には消極的な集団まで幅広く存在しており、その境界線はかなり曖昧です。

「福音派」の多数は後者ですが、メディアなどに取り挙げられるのは圧倒的少数派である前者です。これは、米国のメディアのほとんどが、リベラル系に握られており、大手新聞の全部はリベラル系、大手テレビ局ではfoxTVのみが保守系であり、あとはリベラル系であることを認識しておくべきでしょう。だから、米国保守派の正しい姿をなかなか報道できないのです。

つまり、テレビに登場する「福音派指導者」という輩は、その素性、経歴、現在の立場などがまったく分からないまま「福音派の代表」に祭り上げられているといえるかもしれません。もちろん、本人がそう願って取材に応じている場合もあるでしょう。しかし往々にして、日本のメディアが大々的に取り上げることで、彼らを頂点とする「政治的思想集団=福音派」が米国に出来上がりつつあるような印象を与えてしまっています。

しかし、ネットで彼らの素性を調べると、そのほとんどが「宗教右派」に分類される人々です。一部のコアファンが集まっているというところでしょう。

このような現状を鑑みるとき、もし誰かに「福音派ってあんな人たちなのですか」と尋ねられたり、「どうして米国の福音派はトランプ大統領を支援しているのですか」と聞かれたりしたとき、特に日本の福音派との比較で聞かれた場合には、現状では以下のように認識すべきでしょう。

1)日本の福音派と米国の福音派は、信じている事柄(福音主義的教理)においては一致していても、そのアウトプットの仕方は異なっています。その理由は「政教分離」の中身がまったく違うからです。

2)米国の福音派はトランプ大統領に絶対的な支持を与えているわけではないです。政治的関与に対して、幅広い意見を持つ福音派は、その定義すらつかみどころがないです。自分たちの願うアクションを政策として掲げてくれるトランプ大統領を「熱烈に」支持する一部の福音派(宗教右派)もいれば、彼らのプレゼンにほだされて、トランプ支持に回る「浮遊層」も存在します。さらに、政治的な解決は自分たちの信じている聖書のやり方に反する、と主張する反トランプ派の福音派も存在するのです。

さて、米国の福音派について長々と述べてきましたが、米国では政治に大きな影響力を持つ福音派は、現状のウイグル族の状況をどう捉えるでしょうか。

当然のことながら、ウイグル人はイスラム教という信仰に基づいた国家を建設するのが自然であると考えるでしょう。これは、宗教を否定した共産主義者からはとても受け入れられない考え方です。

米国の福音派等からすれば、信仰に基づかない国家を建設した中国は、偽善でありまやかしであると写るに違いありません。

両者は水と油なのです。だからこそ、米中対立は、単なる覇権争いを超えて「価値観の衝突」となっているのです。

【関連記事】

2019年2月9日土曜日

【日本の解き方】ベネズエラめぐり米中が分断…冷戦構造を想起させる構図に 「2人の大統領」で混迷深まる―【私の論評】社会主義の実験はまた大失敗した(゚д゚)!

【日本の解き方】ベネズエラめぐり米中が分断…冷戦構造を想起させる構図に 「2人の大統領」で混迷深まる

ワシントンの在米中国大使館でスピーチする崔天凱駐米中国大使=6日

 南米のベネズエラで政情不安が続いている。マドゥロ現政権を中国とロシアが支持する一方、暫定大統領就任を宣言したグアイド国会議長を米国が支援する構図だ。

 かつては世界一の石油埋蔵量を誇り、豊かな大自然と莫大な富を抱え、「地上の楽園」といわれたベネズエラだが、昨年のインフレ率は100万%を超え、今年中には1000万%に達すると国際通貨基金(IMF)は警告している。食料や医薬品などが不足し、300万人ほどの難民が発生、コロンビアやブラジルなどの周辺国に逃げているようだ。

 経済学では、月率50%、年率1万3000%を超えるインフレをハイパーインフレと定義しているので、ベネズエラは正真正銘のハイパーインフレになっている。過去のハイパーインフレは五十数例とされるが、その多くはインフレ目標がないまま金融政策を行い、共産・社会主義体制の崩壊に伴って生じたもので、ベネズエラもその一例といえる。

グアイド暫定大統領(左)とマドゥロ現政権大統領(右)

 1999年に誕生したチャベス政権は、格差是正を目標にして「新しい社会主義国」を目指した。豊富な石油収入を財源とした医療、教育の無償化のほか、各種交付金など猛烈なバラマキ政策を実施した。

 2013年にがんでチャベス氏が死亡し、マドゥロ副大統領が引き継いだ。社会問題が解決できないまま、チャベス政権時代からの財政赤字が膨らみ、そのあげく中央銀行がカネを刷りすぎるという典型的なハイパーインフレになった。

 昨年5月に行われた大統領選挙でマドゥロ氏は再選されたが、その際、野党有力指導者を逮捕するなど対抗馬に妨害工作を行ったといわれている。これに対して反政府派や米国をはじめ諸外国が選挙の無効を主張、大統領不在だとしてグアイド国会議長を暫定大統領とした。

 この結果、ベネズエラには、チャベス前政権派のマドゥロ氏と反チャベス派のグアイド氏という「2人の大統領」がいるという異常事態になっている。

 「2人の大統領」に世界も割れている。マドゥロ大統領を支持しているのは、中国、ロシア、シリア、イラン、キューバ、トルコなど。グアイド暫定大統領を支持しているのは、米国、英国、欧州連合(EU)、カナダ、オーストラリア、ブラジルなど欧米諸国と南米諸国が中心だ。この分断は、かつての冷戦構造を想起させる。

 中国がマドゥロ氏を支持しているのは、07年から12年間で500億ドル(約5兆5000億円)以上の融資をつぎ込んでいるからだ。ここでマドゥロ政権が倒れれば、融資の返済に支障が出る恐れがある。

 一方、欧州諸国はグアイド暫定大統領を承認するだろう。中国などが内政干渉だと批判しても、ベネズエラの「2人の大統領」による政治経済の混迷がさらに深まることは避けられない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】社会主義の実験はまた大失敗した(゚д゚)!

活気ある新興市場経済を崩壊の危機に追い込むのに必要なものは、汚職と革命、そしてインフレーションの3つです。ベネズエラの国民は、これら全ての影響が時間をかけて国内に広がっていくさまを目の当たりにしてきました。

さらに国民は、カルロス・アンドレス・ペレスからウゴ・チャベス、そしてニコラス・マドゥロまで、何人もの「革命家」たちの数々の政策の失敗を目にしてきました。彼らはいずれも、天然資源も人的資源も豊富なこの国が崩壊寸前の状態に陥ったことに対する責任を負っています。

ドイツの社会学者で歴史学者でもあるライナー・ツィテルマンによれば、失敗した政策ばかりが並ぶベネズエラの「プレイブック」が採用されたのは、1970年代後半です。問題は国有化と労働市場に関する規制の波から始まったといいます。それは、「チャベスが政権の座に就き、事態を一層悪化させるよりずっと以前のことだ」。

労働市場の規制に大きな問題があったとするツィテルマンは、「賃金を除いた労働者1人当たりの人件費は、1972年には賃金5.35カ月分だった。それが1992年には同8.98カ月分にまで大幅に上昇した」と指摘します。ちなみに、人件費の中には、賃金の他、福利厚生費、厚生年金などが含まれます。

このプレイブックは、2度にわたって大統領となり(1969~74年、1994~99年)、価格統制や手厚い補助金の提供などを行ったラファエル・カルデラ・ロドリゲスと、その「奇妙な仲間たち」によって使われ続けました。彼らは原油価格を水より安くし、財政赤字をますます拡大させました。それだけではありません。外国の製造業者に有利になる為替管理制度も導入しました。

キューバのカストロ主義と、チェ・ゲバラやサルバドール・アジェンデの反米主義の一部を借りた現代版ボリバル主義(社会主義)は、ベネズエラ経済にさらなる問題を引き起こしました。

2013年に死去したウゴ・チャベス

2013年にチャベスが死去した後には、その後継者とされていたニコラス・マドゥロが新大統領に就任。酪農やコーヒー、肥料、靴などの生産、スーパーマーケットの事業などを相次ぎ国営化しました。だが、多くはその後、「縮小または完全に停止」しています。

原油価格が下落すると、事態は一層悪化しました。価格は2013年後半の1バレル当たり111ドルから、1年後には同57.60ドルまで急落。さらにその1年後には同37.60ドルとなり、2016年には同27.10ドル~57.30ドル(約2900~6200円)の水準で推移しました。

ツィテルマンによれば、「これにより、チャベスの社会主義政策の致命的な影響が決定的なものとなった。(ベネズエラの)システム全体が崩壊した。その他の国々でも明らかにされてきたとおり、価格統制はインフレと闘うための効率的な手段にはなり得ないだけでなく、事態を悪化させるだけだ」。

ベネズエラの急激なインフレはこうして始まり、「インフレ率は2016年、225%に達した。南スーダンを除いて、世界中のどこよりも高い水準となった」。

「中央銀行の内部報告書によると、2016年は国内総生産(GDP)が前年比マイナス19%となっていた。実質的なインフレ率は、恐らく800%近くになっていたと考えられる」

このような状況になれば何が起きるか、経済学者たちは嫌というほどよく知っている。ツィテルマンはさらに、次のように指摘します。

「人々は非常に安価で売られているものを買い、それらをため込み始める。また、繰り返し何時間も行列に並んでモノを買い、ずっと高い値段でそれらを闇市で売る」

「要するに、社会主義の実験が再び行われ、再び失敗したということだ。過去100年のほど間に行われたその他の全ての実験がそうだったように──」

国が崩壊の危機にひんする中で、ベネズエラの国民は多大な犠牲を払っています。

ベネズエラの現体制は堅固であり、指導者たちの顔ぶれを変える方が、体制を変革するよりも現実味があります。キューバはベネズエラにおけるキューバの覇権をより持続可能なものにするために、マドゥロよりは少しはましなリーダーに置き換えるかもしれないです。

しかしそれが民主主義への回帰を意味することはなく、外国が支配する、より安定した石油資源に巣くう泥棒政治をもたらすに過ぎないです。

たとえ野党勢力、あるいはアメリカ主導の軍事介入によって、全く新しい体制の政権が誕生しても、彼らが直面する課題は途方もなく大きいはずです。公共部門のあらゆる領域で、軍が果たしている大きな役割を縮小し、医療や教育、法執行の基本サービスをゼロから再構築しなければならないです。

石油産業を再建するとともに、他の経済部門の成長を刺激する一方で、麻薬ディーラー、刑務所で運営される恐喝ビジネス、略奪的な鉱山業者、金持ちの闇金融業者、そして国のあらゆる部分を食い物にしてきた略奪者を排除しなければならないです。しかもこうした改革のすべてを、無政府状態に近い政治環境と、深刻な経済危機のなかで遂行する必要があるのです。

こうした問題の大きさを考えると、ベネズエラは今後も長期にわたって不安定であり続けるでしょう。市民と指導者、そして国際社会にとっての目先の課題は、この国の衰退の余波を封じ込めることです。

悲惨な事態に直面しつつも、ベネズエラ民衆が失政に対する闘いをやめたことはありません。2018年夏の時点でも、人々は、依然として月に数百件の抗議行動に繰り出していました。

マドゥロ政権に反対するカラカスでのデモ参加者

その大部分は地域密着型の草の根運動で、政治的リーダーシップはほとんどないですが、それでも、これはベネズエラの民衆が、自分のために立ち上がる意志を強くもっていることを示しています。

だが、これだけで、ベネズエラが現在の厳しい状況から抜け出すのに十分でしょうか。おそらくそうではありません。絶望ゆえに、トランプが求める軍事介入を心待ちにする人は増える一方です。たしかにそれは、長い間苦しんできた人々が熱望するデウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)かもしれないですが、まともな戦略ではなく、報復という妄想に過ぎないです。

ベネズエラにとって最善の希望は、軍事介入ではなく、抗議行動や社会の反対意見の炎が完全に消えないようにし、独裁体制に対する抵抗が維持されることです。その見通しは絶望的に思えるかもしれないです。

しかしベネズエラの抗議の伝統が、いつか市民制度と民主的慣行を回復する基盤を提供するでしょう。簡単ではないし、短期間では実現しないでしょうが、これまでも、国家を破綻の瀬戸際から救い出すことが、簡単だったことは一度もありません。


2018年11月11日日曜日

【熱戦と日本の針路】エスカレートする米中の軍事的緊張… 安倍政権は中国封じに「財政出動」を― 【私の論評】日本が増税等の緊縮で「ぶったるみドイツ」のようになれば米は日本にも制裁を課す(゚д゚)!



 ドナルド・トランプ米政権は、経済分野でチャイナ(中国)を締め上げているだけではない。軍事的にも、その影響力を封じ込めるために積極的に行動している。

 米海軍のイージス駆逐艦「ディケーター」が9月30日、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島周辺で「航行の自由作戦」を実行中、中国海軍の蘭州級駆逐艦が41メートルの距離まで異常接近する事件が発生した。米側の発表によると、警告にも関わらず、中国駆逐艦は攻撃的な動きを繰り返したという。

 米空軍は9月下旬、核兵器搭載可能なB52戦略爆撃機を南シナ海に派遣し、中国への圧力を強めた。ジェームズ・マティス米国防長官は、10月中旬に予定していた中国訪問を取りやめている。

 米海軍のイージス駆逐艦「カーティス・ウィルバー」と、イージス巡洋艦「アンティータム」は10月22日、台湾海峡を航行し、米国が台湾の独立を擁護する姿勢を明示した。米国防総省のロブ・マニング報道部長は「2隻の航行は、米国が掲げる『自由で開かれたインド太平洋』構想に基づく。今後も艦船や航空機の航行や飛行を続ける」と明言した。

 米国は8月9日、宇宙軍の創設を発表した。これはロシアではなく、中国の宇宙戦力拡張に対抗するためである。米国がロシアを警戒しながらも、敵対していないことは、米露両国が10月9日、合同で金星探査ロケットの打ち上げを2026年に計画していると発表したことでも分かる。

 トランプ氏が10月20日に発表した中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄方針も、ターゲットは中国である。中国はINF条約に署名していないので、まったく制限を受けることなく中距離核ミサイルを拡充してきた。

 中国共産党は国内で、ウイグル人、チベット人への残酷な抑圧体制をますます強化している。在日ウイグル人のトゥール・ムハメット氏によれば、強制収容所に収監されているウイグル人は300万人を超えているという。在日チベット人学者のペマ・ギャルポ拓殖大学教授の推測では、過去10年間に、共産党政権に対して焼身抗議したチベット人の数は1000人を超えている。

 マイク・ペンス米副大統領による10月4日の演説は、こうした中国の人権抑圧体制との全面戦争を宣言したものだ。

 「米中熱戦」の最中に、日本企業が中国経済への協力を進めるのは、いかにも日本の国益に反した行為である。こうした人権抑圧体制に協力して、利益を上げること自体が非倫理的である。

 それを防ぐためにも、安倍晋三政権は消費増税を延期して、積極的な財政出動で国内市場の拡大を図るべきだ。そうすれば、日本企業が「一帯一路」などという、怪しげなビジネスに取り込まれなくても済む。

 国際通貨基金(IMF)は10月10日、日本政府の資産と債務はバランスがとれており、債務過剰ではないと発表した。今や自信をもって、安倍政権は財政出動を行うべきである。 =おわり

 ■藤井厳喜(ふじい・げんき) 国際政治学者。1952年、東京都生まれ。早大政経学部卒業後、米ハーバード大学大学院で政治学博士課程を修了。ハーバード大学国際問題研究所・日米関係プログラム研究員などを経て帰国。テレビやラジオなどで活躍する。著書に『国境ある経済の復活』(徳間書店)、『太平洋戦争の大嘘』(ダイレクト出版)など多数。

【私の論評】日本が増税等の緊縮で「ぶったるみドイツ」のようになれば米は日本にも制裁を課す(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にもあるように、日本は一帯一路に参加するべきではありません。それは今後の対米関係を考えれば当然そういうことになります。それ以外にも理由があります
それは、一帯一路の前途が暗く、失敗の可能性が高いことです。日本は中国の覇権主義的拡張政策から距離を取ったほうが良いです。その理由を以下に述べます
第1に、一帯一路に対し他の地域大国が必ずしも支持を表明していないことです。6月10日に中国の青島で開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議で、習近平国家主席は加盟国のリーダーたちから支持表明を獲得して結束を演じようと腐心しました。ところがかねて反対姿勢を崩さなかったインドは支持を表明しませんでした。
ロシアはどうでしょうか。中国が外国元首に初めて与えた「友誼勲章」を胸にSCO会議を後にしたプーチン大統領。その翌日に開催したのが、ユーラシア経済同盟に加わる旧ソ連5カ国の代表による集団安全保障会議だったのが象徴的です。
同盟には旧ソ連圏の権益を守り、中国の進出を防ごうとの共通した狙いがあます。特にプーチンがロシアの裏庭と見なす中央アジアにおいて、一帯一路の伸長と各国への食い込みに神経をとがらせています。
時を同じくして、ロシアは中国のミネラルウオーター企業が極東の水がめ、バイカル湖から飲料水を採取するのを禁じる措置を取りました。ロシア人の流出が進むシベリアに大挙して進出してくる中国系企業は、環境を破壊するだけでなく政治的な脅威と化しつつもあります。
歴史的に中国は「シベリアから樺太までの広大な領土を帝政ロシアに奪われた」と思い込んできました。いつかは「失地回復」しようという野心にロシアは気付いています。
第2に、日本は東シナ海の自国領を守り、中東産石油の安定供給を確保するため、インドやアメリカ、オーストラリアなどを加えた「自由で開かれたインド太平洋戦略」を唱えています。日本が一帯一路に反対するインドと戦略的に組もうとしながら、裏では中国に笑顔を見せれば、国際社会から批判されることになるでしょう。そうした日本の無節操は、民主主義や人権尊重の思想を共有する国との関係を強化しようという、従来の「価値観外交」から逸脱することになります。
第3に、日本は自らの積極的な関与によって、一帯一路の不透明な部分を改善できる、と過信しているところがあります。中国は既に海でも陸でも、一帯一路に巻き込まれた小国を借金漬けにし、中国政府の呪縛から離脱できないようにしてきました。
港湾整備に巨額の融資が投入され、返済のめどが立たなくなったスリランカは仕方なく港湾権益を中国に99年間の契約で譲渡しました。ラオスやタジキスタン、モンゴルなど陸の沿線国も多額の借金を抱え、中国の息が掛かった商人が政治に介入し始めました。
パキスタンでは中国の支援によって、アラビア海と中国西部を陸路で結ぶグワダル港開発が進行。その結果、国際社会が進めるテロ封じ込めにまで支障を来しています。実際、パキスタンはイスラム原理主義勢力タリバンよりも、中国が「分離独立主義者」と敵視する亡命ウイグル人に対する弾圧を強めているほどです。

日本はこうした中国の反人道的行為に加担するのか、良識が問われています。日本は70年代から戦時賠償金の代わりに円借款を超低金利で提供し、中国の近代化に大きく貢献しました。だが日本がいくら真摯に過去の反省を示しても、中国政府が扇動する反日の炎は消えませんでした。機会さえあれば、「打倒小日本(ちんぴら日本をつぶせ)」という官製の反日ナショナリズムが再燃しました。

一帯一路に協力し、日本が供与したハイテク技術が中国軍の空母や武器と化すことになります。将来、日本の政治家や財界が後悔してももう間に合わないのです。

 次に、上の記事では、安倍政権は、日本企業が「一帯一路」などという、怪しげなビジネスに取り込まれないように財政出動をすべきとしていますが、それ以外にも理由はありませす。

それは、このブログにも過去に何度か経済してきたように、日本が「ぶったるみドイツ」のようにならないためにも、財政出動が必要です。

緊縮に緊縮を重ねてきたドイツがどのようになっているか、特の安全保障面でどのようにひどいことになったのかは、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを掲載します。


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、ドイツの緊縮財政により安全保障に悪影響をおよぼしている状況を記載している部分を以下に引用します。
ドイツ空軍(ルフトヴァッフェ)の主力戦闘機「ユーロ・ファイター」のほぼ全機に“深刻な問題”が発生し、戦闘任務に投入できない事態となっています。現地メディアによれば全128機のうち戦闘行動が可能なのはわずか4機とも。原因は絶望的な予算不足にあり、独メルケル政権は防衛費の増額を約束したが、その有効性は疑問視されるばかりです。 
ドイツは“緊縮予算”を続けており、その煽りを受けてドイツの防衛費不足は切迫しています。空軍だけではなくドイツ陸軍においても244輌あるレオパルト2戦車のうち、戦闘行動可能なのは95輌などといった実態も報告されています。 
こうした状況に追い込まれた原因の一つとして、ドイツを含む欧州連合(EU)には、財政赤字が対GDP比で3%、債務残高が対GDPで60%を超えないこととする「マーストリヒト基準」があり、財政健全化を重視しすぎるとの声が経済専門家の間にはあります。
ドイツの主力戦車「レオパルド2」
昨年10月15日、ドイツ潜水艦U-35がノルウェー沖で潜航しようとしたところ、x字形の潜航舵が岩礁とぶつかり、損傷が甚大で単独帰港できなくなったのです。 
ドイツ国防軍広報官ヨハネス・ドゥムレセ大佐 Capt. Johannes Dumrese はドイツ国内誌でU-35事故で異例の結果が生まれたと語っています。
ドイツ海軍の通常動力型潜水艦212型。ドイツが設計 建造しドイツの優れた造艦技術と
最先端科学の集大成であり、世界で初めて燃料電池を採用したAIP搭載潜水艦である。
紙の上ではドイツ海軍に高性能大気非依存型推進式212A型潜水艦6隻が在籍し、各艦は二週間以上超静粛潜航を継続できることになっています。ところがドイツ海軍には、この事故で作戦投入可能な潜水艦が一隻もなくなってしまったというのです。 
Uボートの大量投入による潜水艦作戦を初めて実用化したのがドイツ海軍で、連合国を二回の大戦で苦しめました。今日のUボート部隊はバルト海の防衛任務が主で規模的にもに小さいです。 
212A型は水素燃料電池で二週間潜航でき、ディーゼル艦の数日間から飛躍的に伸びました。理論上はドイツ潜水艦はステルス短距離制海任務や情報収集に最適な装備で、コストは米原子力潜水艦の四分の一程度です。 
ただし、同型初号艦U-31は2014年から稼働不能のままで修理は2017年12月に完了予定ですかが再配備に公試数か月が必要だとされています。
ドイツ軍が、緊縮財政でこのような様になっているのです。日本の自衛隊はこれほど酷くはないですが、それにしても以前から緊縮で自衛隊員の工夫でなんとかしてきましたが、 来年10 月から緊縮財政の一手法でもある、消費税の10% への増税をしてしまえば、一時税収が増えたにしても、その後は再度デフレに舞い戻り、税収が大幅に減ることが十分予想されます。

ドイツの場合は、中国からは距離的になかり離れています。直接の脅威はロシアですが、そのロシアは現状ではGDPが韓国より若干少ない程度です。韓国のGDPは東京都と同程度です。ロシアというと大国扱いされることがありますが、それはソ連時代の核を継承しているのと、軍事技術が進んでいるからであり、実際には大国ではありません。また、人口も1億4千万人であり、日本より2千万多い程度です。

そのロシアは現状では、NATOと直接対峙する力はないです。だからドイツの軍事力が現状のように緊縮でとんでもないことになったにしても、EUはドイツ以外にも大国があるのでなんとかなります。

しかし、アジアにおける中国はロシアとは違います。中国の国民一人当たりのGDP は日米には及ばないですが、それにしても中国は人口が多く13 億人以上であり、国全体のGDPは世界第2位であり、やはり日本がしっかりと中国に対峙しないと、とんでもないことになります。

日本は、少なくとも日本の領土は日本が守る体制を整え、米国が中国と対峙しているときには、少なくとも米国を支援できる体制を整えなければなりません。

そのような時に、緊縮財政をして、安全保障にかける資金が逼迫すれば、日本も「ぶったるみドイツ」のような状況になりかねません。そうなれば、アジアの安全保障の状況はかなりかわり、中国にとって都合の良い状況になるのはいうまでもありません。

そんな状況をトランプ政権が許容するはずもありません。一帯一路が原因で、日本がこのような状況に陥れば、米国は日本に対しても制裁を課すことになるでしょう。

日中友好などに浮かれて、一帯一路に浮かれて、協力をした企業など、真っ先に米国の制裁対象となるでしょう。一対一路は儲けにならず、米国から制裁を受け、日本企業は半殺しの目にあうかもしれません。

また、消費税増税などの緊縮財政を実行して、それが故に安全保証が疎かになり結果として日本が「ぶったるみドイツ」のようになれば、これも制裁の対象になるでしょう。

【関連記事】

メルケル独首相、与党党首再選を断念 首相は継続…後継選び議論加速―【私の論評】「ぶったるみドイツ」の原因をつくったメルケルの敗退は当然(゚д゚)!

なぜ日本は米国から国防費増額を強要されないのか F-35を買わないドイツと、気前よく買う日本の違い―【私の論評】国防を蔑ろにする「ぶったるみドイツ」に活を入れているトランプ大統領(゚д゚)!

中国は入れない日欧EPA 中国に“取り込まれる”ドイツを牽制した安倍外交 ―【私の論評】「ぶったるみドイツ」に二連発パンチを喰らわした日米(゚д゚)!

中国との対決に備え、米国が空軍も大増強へ―【私の論評】「ぶったるみドイツ」ほど酷くはないが日本の防衛予算にも問題あり(゚д゚)!

財政緊縮派とデフレ派の存在が、デフレ脱却の大きな障害に 国債発行と金融緩和が近道だ―【私の論評】10%増税等の緊縮財政は、将来世代のための子育て、教育、生活などの基盤を毀損することに(゚д゚)!

日銀の「円高症候群」過度に恐れる米国の顔色 アベノミクス切り捨て財務省と協調、利上げと負担増が日本を壊す―【私の論評】現時点の円高誘導は、円高シンドロームの再燃、日本経済への破滅的な悪影響もたらす

ニュース裏表 ■ 日銀の「円高症候群」過度に恐れる米国の顔色 アベノミクス切り捨て財務省と協調、利上げと負担増が日本を壊す まとめ 「円高シンドローム」とは、長期にわたる過剰な円高ドル安状況を指す言葉である。 その発端は1985年のプラザ合意で、米国レーガン政権が日本などに対して...