2022年5月18日水曜日

女性役員の選任を義務付けた州法は「違憲」 米カリフォルニア州裁判所―【私の論評】機械的に女性取締役や政治家を増やしても、社会は良くならない(゚д゚)!

 女性役員の選任を義務付けた州法は「違憲」 米カリフォルニア州裁判所


米カリフォルニア州ロサンゼルスの上級裁判所は17日、州内に本社を置く上場企業に女性役員の選任を義務付けた州法について、違憲と判断した。

カリフォルニア州では2018年、同州に本社のある全ての企業に対し、2019年末までに役員の少なくとも1人は、女性を自認する人物を選ぶよう定めた州法が成立した。違反した企業には最高30万ドルの罰金が科された。

2022年1月までには、義務化された女性役員の人数は、役員が5人以下の企業は2人に、役員6人以上の企業は3人に、それぞれ増えることになっていた。

上級裁判所のモーリーン・ダフィ=ルイス判事は、同州法について、州法と連邦法で定められた平等に扱われる権利に違反していると述べた。

シャーリー・ウェバー州務長官は、上訴すると表明した。

州議会でこの州法の成立に尽力したトニ・アトキンス上院議員(民主党)は、今回の判断は残念だとし、「我々が適法だと思うことと現実が一致しないことがある」ことを思い知らされたと述べた。

アトキンス氏は声明で、「企業の役員により多くの女性がいるということは、より良い意思決定と、競合他社を凌駕(りょうが)するビジネスを意味する」、「今回の残念な判断にかかわらず、我々はこの州法が変わらず重要であると考える」と述べた。

反対派の反応

この州法に異議を唱えていたのは、保守派の法律関係団体「Judicial Watch」。

性別に基づく割り当てを強制し、カリフォルニア州法と連邦法で定められた平等保護の権利を侵害する州法を、納税者の資金で執行することは違法だと主張していた。

「Judicial Watch」は今回の裁判所の判断を歓迎している。トム・フィットン代表は、問題の州法について、「急進左派による、差別禁止法に対する前代未聞の攻撃」だと批判した。

これまでにこの州法に基づいて訴追された企業は1社もなく、州側も提訴するつもりはないと証言している。それでも、この州法は女性役員の向上につながったと評価されている。

しかし、同州法で申告義務が発生した企業の半数が実際には申告を行っていなかったと指摘する声が上がっている。

また、この州法が施行される数週間前、アレックス・パディヤ州務長官(当時)が、同州法を執行するのは実質的に不可能だと、ジェリー・ブラウン州知事(同)に書簡で警告していたことが裁判で浮上。同州法が不安定な土台の上に成り立っていたとの指摘も出ている。

(英語記事 Californian court strikes down women on boards law

【私の論評】性差の前に、日本は社会を変えるために実施すべきことがある(゚д゚)!

    カリフォルニア州のアレックス・パディヤ前州務長官は2018年、女性役員を義務付けた州法について、実質的に執行不可能だと警告していた

    米カリフォルニア州といえば、オレンジ郡ラグーナウッズの教会で15日に起きた銃撃事件は日本国内で大きく報道されていますが、 女性役員の選任を義務付けた州法は「違憲」との報道はほとんどなされていません。知らない人も多いのではと思い、本日はこの内容を取り上げました。

    上の記事にもあるように、2018年8月にカリフォルニア州議会は、米国市場で上場する州内の企業に女性取締役(female directors)の選任を義務付ける法律を可決しました。州知事の署名を得た後、施行されました。

    米国企業はデラウェア州会社法を設立準拠法としていることが多いのですが、本社所在地がカリフォルニア州であれば適用され、当面2019年末までに1名以上の女性取締役を置くこととされました。

    その後2021年末までに、取締役総数が5名の企業では、女性取締役2名以上、取締役総数が6名以上の企業では、女性取締役3名以上を置かなければならなりました。なお、ここで女性とは、生物学的な性別ではなく、当人が自分自身のジェンダーをどう認識しているかで決まるとされました。

    この規定の順守状況を企業から州政府に届け出ることと、州政府が企業の対応状況を集計し、報告書を作成・公表することも定められました。女性取締役数が未達の場合や届出をしていない場合など、最初の違反には10万ドル、2度目以降は30万ドルの罰金が科されることになりました。

    女性取締役を置くことで、企業の経営に多様な価値観が反映され、事業を成功に導くとともに、州経済が活性化されると期待されるとされました。米国では、カリフォルニア州が女性取締役の選任を義務化する最初の州となりましたが、欧州では既に多くの国々で上場企業に女性取締役を一定比率選任すべきとする法規定や企業行動規範が策定されており、その動向は日本にも及んでいるとされました。


    わが国のコーポレートガバナンス・コードでは、当初から取締役会の多様性を求めていましたが、2018年6月の改訂で、「取締役会は、…(中略)…ジェンダーや国際性の面を含む多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべきである。」とジェンダーという用語が付加されました。

    企業社会における男女の平等や、女性の社会進出推進についての法制度的対応は、当然のこととされ、一層の充実が期待されましたが、こうした動向に疑問が呈されました。カリフォルニア州の新法に関する論評記事の中には、法制化に厳しい意見も少なくありませんでした。

    まず、法的な規制の必要性や規制手段の妥当性への疑問があります。カリフォルニア州でも女性取締役が不在の上場企業がおよそ4分の1ありましたが、女性取締役数は増加を続けており、現状で法的対応をとる必要性は薄いという指摘もありました。また、不平等の是正は、教育による方法もあれば、反差別法で行うということも考えられます。企業法の分野で対応をとる必要はないという指摘です。

    取締役会の多様性は、性別に限った問題ではなく、スキル(特に最近はIT系の知見)や専門分野、人種や文化の多様性も企業の活力になり得るとの意見もあります。ことさら性別を取り上げることへの疑問です。

    さらに、男女が共に働く職場は上場企業だけではないことから、カリフォルニア州の新法は上場企業の問題としているところも疑問視されていました。未上場企業やNGO、労働組合に多様性が欠如しているという問題も指摘されていました。上場企業は株式会社であり、その取締役選任は株主の自治的な決定に委ねられるべきですが、女性定員制は、その自治権を侵害する可能性があるとも指摘されていました。

    企業における女性の処遇を適正化に対しては、法的規制の必要性や相当性については、様々な見解があり得ます。わが国でもいずれ欧州やカリフォルニア州のように女性取締役選任の義務付けが行われるべきとの意見も多かったのですが、今回の米カリフォルニア州の女性役員の選任を義務付けた州法は「違憲」という判決は、こうした風潮に一石を投じるものになったのは間違いありません。

    私は、とにかく女性の役員を増やせば良い、女性の政治家を増やせば良いし、それが新たしい考え方であり正義だ、それ以外は古い考えであり、間違いだ、という風潮には以前から疑問を感じてきました。日本には、長い歴史で育まれてきた独特の文化や思想があります。それを、なんでも『ガラパゴス』と呼び、『国際基準』に乗り遅れているとさげすむ風潮に乗っかる必要などありません。


    そもそも女性か男性かではなく、取締役は「能力」で選任すべきと思います。不平等な評価システムの結果として取締役に女性がいないのなら問題ですが、そうでないなら女性を取締役にするのが目的になってしまうのは、逆差別です。

    この話題はいつも不思議でしかたありません。女性が先で能力には触れていないです。能力がある女性はどんどん上に立つべきですが、女性管理職比率目標ありきで、とにかく上に立たせるのは、本人にとっても周囲にとっても不幸な話です。男女関係なく、平等に評価される社会であってほしいものです。

    そうして、私は思うのですが、日本ではやるべきことが他にあります。たとえば、財務官僚や日銀官僚が政治集団のように振る舞い、デフレなのに緊縮財政をしたり、金融引締をしたりと馬鹿真似を繰り返したため、30年間も日本人の賃金は上がりませんでした。

    これを変えて、日本経済が良くなれば、賃金があがり、人手不足となり、女性の就業機会も増えます。女性の就業機会が増えれば、企業における性差を巡る不合理も徐々に解消されていくでしょう。女性の就業機会が増えないことには、企業内における性差の問題も根本的には解消されません。

    そもそも安全保障がまともでなければ、男性も女性も不幸になります。それに日本特有な鉄のトライアングルも解消しなければなりません。強力な鉄のトライアングルが存在する限り、日本社会は良くなりません。これを根絶することはできないでしょうが、欧米なみに弱めていくことはできるでしょうし、そうすべきです。

    そうして、以上は根底に日本社会を良くするために実施するということがなければ、意味はありません。

    これらを変えずに、女性役員や女性政治家を機械的に増やしてみたとしても、社会は良くなりません。そもそも、性差の問題も社会を良くするための一つの課題に過ぎません。根本によりよい社会をつくっていくという考えがなければ、社会は良くなりません。

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    2022年5月17日火曜日

    韓国で早くも「反日」暴挙 林外相の訪韓中に竹島EEZで無断調査 地下構造や資源探査か 「尹大統領は決して“親日”ではない」―【私の論評】日本は、ロシアと韓国の過去の「力による現状変更」も許さず厳しい制裁措置を実行すべき(゚д゚)!

    韓国で早くも「反日」暴挙 林外相の訪韓中に竹島EEZで無断調査 地下構造や資源探査か 「尹大統領は決して“親日”ではない」

    尹大統領(左)に岸田首相の親書を手渡した林外相=10日、ソウル

     新たな「反日」暴挙なのか。韓国が不法占拠する島根県・竹島南方の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、韓国側の調査船が無許可で海洋調査を実施したようなのだ。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)新政権は、日韓関係の改善を呼びかけるが、今回のタイミングを見る限り、岸田文雄政権を軽んじ、挑発した可能性すらある。

     産経新聞の17日朝刊によると、問題の調査は、韓国国営企業から委託されたノルウェー船籍の調査船「ジオ・コーラル」が実施した。竹島の南方約100キロの海域で、船尾からケーブルのようなものを引き、日韓の地理的中間線の日本側への侵入を繰り返したという。海域の地下構造や資源を探査した疑いがあるという。

     現場では、海上保安庁の巡視船が無線で委託元などについて聞き取り、「わが国の同意を得ない調査は認められない」と注意した。

     日本政府による外交ルートでの韓国への対応は明らかになっていないが、問題は調査船が活動したタイミングだ。

     産経新聞は、調査は尹氏が就任したタイミングで実施され、林芳正外相は訪韓中だったと報じた。林氏は9日、岸田首相の親書を抱えて、尹大統領の就任式(10日)に出席するために訪韓している。

     韓国側の調査船が活動した海域に近い日本のEEZ内では、石油・天然ガス開発の国内最大手「INPEX」(インペックス)が今月5日、天然ガスなどの商業生産化を調査する試掘を始めている。

     一連の韓国側の動きは偶然とは考えられない。どう見るか。

     朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「韓国側の動きはタイミングを含め、尹氏の『竹島問題で日本に譲らない』という姿勢を示す意図があったのではないか。尹政権は決して『親日』ではない。文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は強硬な『反日』で日韓関係を最悪な状態にしたが、尹氏は関係改善をチラつかせる巧妙な『反日』と見るべきだ。日本の国内世論が分断される恐れもある。岸田政権は手ごわい相手だと認識し、毅然(きぜん)とした対応をすべきだ」と語った。

    ■韓国による主な「反日」暴挙

    □韓国国会議長(当時)による「天皇陛下(現上皇さま)への謝罪要求」

    □韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射事件

    □日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄決定

    □いわゆる「元徴用工」訴訟をめぐる異常判決

    □自衛隊旗(旭日旗)への侮辱

    □不法占拠する島根県・竹島への韓国警察庁長官上陸

    □世界文化遺産への「佐渡島の金山」推薦に反発

    □林芳正外相の訪韓中に、島根県・竹島周辺のEEZ内で無断海洋調査の動き

    【私の論評】日本は、ロシアと韓国の過去の「力による現状変更」も許さず厳しい制裁措置を実行すべき(゚д゚)!

    昨日当ブログでは、英国トラスト外相の「ロシアをウクライナ全土から押し出すために、これまで以上に、より早く行動し続ける」という発言は、ロシア軍について、2月24日の侵攻開始以降に占領した地域だけでなく、南部クリミアや東部ドンバス地域の一部など8年前に併合した地域からも撤退すべきとの考えを示唆したものとみられることから、日本もロシアは北方領土から撤退すべきと主張すべきであるとしました。

    その部分を以下に引用します。
    日本としては、ロシア軍について、2月24日の侵攻開始以降に占領した地域だけでなく、南部クリミアや東部ドンバス地域の一部など8年前に併合した地域からも撤退はもとより、北方領土からも撤退すべきと主張すべきでしょう。

    そうして、これは全くあり得ない話ではありません。このブログでも以前も指摘したように、ロシアのウクライナ侵攻は日本が北方領土をとりもどす機会にもなり得るのです。

    今回のロシアのウクライナ侵攻に対する西側諸国などによる制裁などで、プーチン政権が窮地に陥り、状況が一変する可能性があります。今後、プーチン政権が崩壊すればロシア各地で分離独立運動が激しくなり、ロシア連邦は多数の国家に分割されるでしょう。

    そうなった時、北方領土に住む約2万人のロシア人、ウクライナ人(ソ連邦時代に移り住んだ人が多い)島民は食料品などの生活必需品の調達もままならず、孤立状態に陥ることが予想されます。その後は日本に支援を求めてくる可能性が極めて高いです。

    日本が人道支援名目で北方領土に介入すれば、ロシア人、ウクライナ人島民は日本の支援なしで生活できなくなります。“ロシア離れ”が進んだ島民たちによる住民投票で独立宣言がなされれば、あとは独立した北方領土を日本が受け入れるかたちで返還が実現する可能性があります。

    経済制裁の影響ですでに北方領土に住むロシア人の生活が破綻寸前であり、この返還シナリオは決して机上の空論ではありません。ただ、日本にとってはただ黙って棚ぼたのように戻ってくるのと、日本がロシアは撤退すべきと主張した上で戻ってくるのでは意味合いが全く違います。無論後者のほうが日本の世界における存在感は高まります。

    日本がこう主張すれば、ロシアは大反発するでしょうが、英国は大歓迎でしょう。英国の賛同を得れば、他の西側諸国も賛同する可能性は高いです。今回のウクライナ侵略による制裁として、ロシアはウクライナだけではなく、北方領土も失うということになれば、「力による現状変更」は絶対に許されないことが、理念ではなく事実として世界が認識することになります。

    日本としては、北方領土のみならず、不当に韓国に占拠されている「竹島」から、韓国が撤退すべきと主張すべきです。無論、北朝鮮に対しても拉致被害者の変換を主張すべきです。両方ても「力による現状変更」です。国家による犯罪です。

    その他にも、南シナ海の中国が環礁を埋め立ててつくった軍事基地などに関しても、周辺諸国で領有権を主張する国は、中国の南シナ海における実行支配をやめるように主張すべきでしょう。

    第二次世界大戦中からそれ以降にかけて、不当に他国占拠されたような地域を持つ国々はこのような主張をすべきです。そうして、「力による現状変更」は絶対に許されないことが、理念ではなく事実として世界が認識させるようにするのです。

    無論、ただ主張するだけでは、理念を主張するのと何の変わりもありません。ただ、目の前にロシアという現実があります。ロシアは経済制裁と、西側諸国などによる軍事支援で、北方領土に住むロシア人の生活が破綻寸前になっいます。

    これと同じようなことを、第二次世界大戦中以降に「力による現状変更」を行った国々に対してできる仕組みを構築するのです。

    国際システムにおける「現状」(Status-quo)とは、国境の画定、2国間・多国間で形成された合意や規範、現存する国際法や国際制度・規範などを広く包摂する概念です。これを大きく分類すると、領土と主権に関する現状、国際法・条約・協定や地域枠組みなどの制度に関する現状、及び安全保障や自由貿易の秩序をめぐる望ましい力の分配、規範や行動に関する現状などがあります。


    そうして「現状維持」が重要であるとされる理由は、国際システムが概ね良好な状態にあると見なし、平和の維持とルールに基づく競争を担保し、国家の行動に予測可能性をもたらすからです。

    そうして、特に、ある国が武力で現状変更しようとした場合は、その被害を受けている国に対する支援をすぐにできる枠組みを構築し、すでに現状変更されている場合は、それに対する経済的な報復の枠組みも最初から構築し、すみやかに実施できるようにするのです。

    統治の役割は、国債社会のために意味ある決定と方向付けを行うことです。国際社会のエネルギーを結集することです。問題を浮かびあがらせることです。選択を提示することです。

    過去の経験則から、統治と実行を両立させようとすれば、統治の能力が麻痺します。しかも、決定のための機関に実行させても、貧弱な実行しかできません。それらの機関は、実行に焦点を合わせていないし、体制がそうなっておらず、そもそも関心が薄いです。

    国連が機能しないのは、統治と実行が曖昧なところがあるのが大きな原因の一つです。これを分離させた新しい組織を構築した上で、「力による現状変更」に対する制裁を速やかに実行できるようにするのです。

    日本としては、こうした国際組織の構築を提言すべきとは思いますが、それと平行し、ロシアや韓国、北朝鮮に対して現状変更を許さないという姿勢をはっきりさせ、元に戻さなければ、制裁を続けるべきです。

    日本は比較的経済は大きいですし、技術水準なども高く、ロシアも韓国、北朝鮮も日本の技術や素材に頼っているところが大きいです。日本が単独で、ロシアや韓国、北朝鮮に対して制裁をしてもかなり効き目があります。ロシアや北朝鮮に制裁をして韓国にしないということでは、筋が通りません。

    「現状変更は許さない」と岸田首相は、他国との首脳会談で発言しています。許さないというのなら、ロシアと韓国の過去の「現状変更」も許すべきではありません。このようなことを許そておけば、これからも世界で「現状変更」を企む、中国のような国がはびこることになります。

    ウクライナに対しては武器の供与もすべきです。韓国に対しては、貿易管理などの曖昧な言い方ではなく、経済安全保証の一環として、はっきりと「経済制裁」をすべきです。そうして「竹島」を返還するまで継続すべきです。

    また、尖閣を中国が奪取しようとした場合、ASW(対潜水艦戦闘)が中国よりも格段に優れた日本は、潜水艦で中国の艦艇や航空機などの侵入を防ぐことができます。これにより、たとえ人民解放軍や民兵が尖閣諸島に上陸しても、補給を絶って無力化できます。国際法的には何の問題もありません。ただ、法的な不備などは解消しておくべきでしょう。

    こうしたことでノウハウと実績を蓄積し、「力による現状変更」を許さない仕組みや組織を提言すべきです。G7としては唯一、ロシアと韓国との間に領土問題を抱え、北朝鮮との間で「拉致問題」を抱える日本こそ、こうしたことを実行すべきです。

    ロシアのウクライナへの侵攻、北方領土問題、竹島問題、拉致問題などを別ものと考えるべきではありません。その根底は同じく「力による現状変更」なのです。現在進行しているか、過去の問題かの違いだけではあり、これはいずれも明白な国際法違反です。

    尖閣問題はこれから「力による現状変更」がこれから起きるかもしれず、それが起こりそうになれば、日本はそれを防ぐべきですし、起きてしまえば、原状復帰すべきです。

    さらに、憲法9条を国際法の観点からみれば、世界の他の多くの国々が似たような日本の憲法9条とおなじような国連憲章やパリ不戦条約を源とする、平和条項を持ちながら、軍隊を持ち、自衛権も有しているのと同じく、日本も軍隊を持ち自衛権を有しているのは疑いようもないの事実であり、国内法をその観点からつくりなおしていくべきです。

    ただし、誤解を招かないため、そうして現行の日本憲法は実質的に日本ではなく米国によって制定されたものであるため、それを改善したり、作り変えたりすることには大賛成です。

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    英は「自由で開かれたインド太平洋」の良きパートナー【私の論評】日本は、ロシアはウクライナだけではなく北方領土からも撤退すべきと主張すべき(゚д゚)!



    2022年5月16日月曜日

    英は「自由で開かれたインド太平洋」の良きパートナー―【私の論評】日本は、ロシアはウクライナだけではなく北方領土からも撤退すべきと主張すべき(゚д゚)!

    英は「自由で開かれたインド太平洋」の良きパートナー

    岡崎研究所

     英国のトラス外相は4月27日、ロンドン市長官邸で『地政学の復帰(The return of geopolitics)』と題する講演を行い、ロシアによるウクライナ侵略を受け、これまでの自由主義陣営のアプローチが失敗したことを率直に認め、侵略者に対抗する自由主義陣営の取り組みを再活性化することを説いている。


     演説は、北大西洋条約機構(NATO)の集団防衛の強化など、広範な内容を含むが、ここでは、インド太平洋に関連する部分を中心に、主要点を下記の通りご紹介する。

    ・われわれは、新しいアプローチを必要としている。それは、強固な安全保障と経済的安全保障を融合させ、より強固なグローバルな同盟関係を構築し、自由主義国家がより積極的で自信に満ち、地政学を認識するものだ。

    ・われわれは、欧州大西洋の安全保障かインド太平洋の安全保障かという誤った選択を拒絶する。現代の世界では双方とも必要だ。

    ・われわれは、日豪のような同盟国と協力して、インド太平洋における脅威に先手を打ち、太平洋地域を確実に守る必要がある。台湾のような民主主義国が自衛できるようにしなければならない。

    ・自由貿易はルールに則って行われなければならない。グローバル経済にアクセスできるか否かは、ルールを守っているか否かによるべきだ。(ウクライナを侵略したロシアへの経済制裁により)われわれは、経済的アクセスが自明のものではないことを示している。

    ・各国はルールに従って行動しなければならない。これには中国も含まれる。

    ・中国の台頭は不可避ではない。ルールに従って行動しなければ、中国の台頭は続かない。

    ・中国は主要7カ国(G7)との貿易を必要としている。G7は世界経済の半分を占めている。我々には選択肢がある。われわれは、国際的なルールが破られた時に、どのような選択をする用意があるかを、ロシアの事例で示した。短期的な経済的利益よりも安全保障と主権の尊重を優先する用意があることも示した。

    ・わずかな「のけ者」を除き、世界のほとんどが主権を尊重しており、われわれは新旧の同盟国や友邦との協力を緊密化している。同様の積極的なアプローチは、ライバルを抑制し、繁栄と安全保障の強力な推進力となり得る。それゆえ、われわれはインドやインドネシアなどとの自由貿易協定や環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、TPP11)への参加など、新たな貿易リンクを築いている。

    ・悪意のあるアクターが多国間機関を弱体化させようとしている世界では、二国間および複数国間グループがより大きな役割を果たす。NATO、G7、英連邦などのパートナーシップは不可欠だ。

    ・われわれは、英国主導の「合同遠征軍」、ファイブ・アイズ、米豪とのAUKUSパートナーシップといった世界中の他の関係とともに、NATO同盟を強化し続けるべきである。そして、日本、インド、インドネシアなどの国々との関係を深化させ続けることを望んでいる。

    (出典:‘The return of geopolitics: Foreign Secretary's Mansion House speech at the Lord Mayor's 2022 Easter Banquet’, Liz Truss, GOV.UK, April 27)

    *   *   *   *   *   *   *

     トラス外相のロジックは明快で、自由主義国家がより積極的に行動し、経済および安全保障のパートナーシップによるネットワークを通じて、自由と民主主義が強化され、侵略者が封じ込められるような、ルールに基づく世界を目指している。そのために、軍事力、経済安全保障、グローバルな連携の深化を3つの柱に据えている。演説の内容は、もとより日本としても賛同できるものである。
     
     トラス外相は、その文脈において、インド太平洋地域では中国がルールを破っているとして、厳しい警告を発している。特に、守るべき民主国家として台湾の名を挙げていることは、強いメッセージと言える。

    日本が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」にも合致

     英国は既に、米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」に参加し、日本とも安全保障協力を進め、インド太平洋に空母打撃軍を含む艦隊を派遣し、インド太平洋地域で合同軍事演習に数多く参加し、TPP11への参加も申請するなど、インド太平洋におけるプレゼンスを強めてきた。ただ、ロシアによるウクライナ侵略を受け、英国はインド太平洋に手が回らない、あるいは手を伸ばし過ぎるべきではない、という意見も見られる。

     トラス外相の演説は、こうした意見への反論としても意味が大きいと思われる。ルールに基づいた国際秩序維持の観点からも、地政学的観点からも、英国がインド太平洋におけるプレゼンスを弱めるとは想定しがたい。

     英国の方針は、日本が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」とも合致しており、英国は心強いパートナーである。トラス外相の演説の後、5月5日に英国で行われた日英首脳会談においても、岸田文雄首相とジョンソン首相は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け日英が緊密に連携していくことを改めて確認した。

     首脳会談では、自衛隊と英国軍の共同運用・演習の際の両者の法的地位や手続き等を定めた「日英円滑化協定」の署名を急ぐことでも合意した。日英間で結ばれれば、日本にとっては同盟国である米国は別として、豪州に次ぎ2国目の円滑化協定となり、日英防衛協力の深化の象徴となろう。

    【私の論評】日本は、ロシアはウクライナだけではなく北方領土からも撤退すべきと主張すべき(゚д゚)!

    4月27日、ロンドン市長官邸で講演を行ったリズ・トラスト英国外相

    英国のリズ・トラス外相は27日の『地政学の復帰(The return of geopolitics)』の講演で、ロシアに対しては、ロシア軍を「ウクライナ全土から」押し出さなければならないと発言しました。ウクライナの勝利は西側諸国にとって「戦略的急務」となっていると語りました。

    英国はこれまで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のウクライナ侵攻を「失敗させ、そう見せる必要がある」と述べるにとどまっていました。この日のトラスト氏の発言は、ウクライナでの戦争をめぐる英国の目標を、これまでで最も明確に示したものといえます。

    トラス外相は、西側の同盟諸国はウクライナへの支援を「倍増」しなくてはならないと強調。「ロシアをウクライナ全土から押し出すために、これまで以上に、より早く行動し続ける」と述べました。

    これは、ロシア軍について、2月24日の侵攻開始以降に占領した地域だけでなく、南部クリミアや東部ドンバス地域の一部など8年前に併合した地域からも撤退すべきとの考えを示唆したものとみられます

    侵攻開始から1カ月の節目に、ロシアはその目的を「ドンバスの解放」と位置付けました。ここでいうドンバスとは主に、ウクライナのルハンスクとドネツクの両州を指しています。

    これらの地域の3分の1以上はすでに、2014年に始まった紛争で親ロシア派の武装組織が制圧しています。


    トラス氏の野心的な目標は、全ての西側諸国と共有されているわけではありません。武力によってであれ交渉によってであれ、達成は難しいとの懸念があるためです。

    フランスやドイツの政府関係者からは、戦争の目的を明確にすればロシアを挑発するリスクがあるという慎重な声も出ています。それらの関係者は、ウクライナ防衛という表現に絡めて話をすることを好んでいます。

    トラス外相の発言は、目標を高く設定することで、ウクライナが今後、交渉の場に立った際に、政治的和解についてより有利に立てるようにしたいという西側諸国の思いを反映しています。

    トラス外相はまた、西側諸国は「経済的影響力」を使って、ロシアを西側の市場から排除すべきだと述べました。

    上の記事にもあるとおり「グローバル経済へのアクセスは、ルールにのっとっているかで決められるべきだ」とトラス氏は指摘しました。

    最大野党・労働党のデイヴィッド・ラミー影の外相は27日、トラス氏の演説は、保守党政府の10年超にわたる防衛・安全保障政策の「失敗を認めたように思える」と指摘しました。

    トラス氏は演説の中で、西側諸国はロシアのさらなる侵攻を防ぐための対策を講じるべきだと訴えました。

    これには防衛費の増額も含まれるとし、北大西洋条約機構(NATO)が各国の拠出目標として設定している国内総生産(GDP)2%という数値は「上限ではなく下限と見るべきだ」と述べました。

    さらに、ロシアから脅威を受けている国々に対する武器供与にも積極的な姿勢を示しました。

    「ウクライナだけでなく、西バルカン諸国やモルドヴァ、ジョージアといった国々が、主権と自由を維持する耐久力と能力を持てるようにするべきだ」

    また、スウェーデンやフィンランドがNATO加盟を選んだ場合には「迅速に統合させることが必要だ」と述べました。

    「ウクライナの戦争は我々の戦争、全員の戦争だ。ウクライナの勝利は、我々全員の戦略的急務になっているからだ」

    「重火器、戦車、戦闘機……倉庫の奥まで探し回って、生産能力を高める必要がある。そのすべてをする必要がある」

    「私たちは慢心できない。ウクライナの運命はまだ拮抗(きっこう)している。はっきりさせておきたいのは、もしプーチン大統領が成功すれば欧州全体に甚大な悲劇が起こり、世界中に恐ろしい影響が出るということだ」

    トラスト外相の講演が行われたロンドン市長公宅マンションハウス

    プーチン大統領は27日、ウクライナに介入する国は「電光石火」の対応に直面することになると警告しました。

    議会での演説でプーチン氏は、「我々にはあらゆる手段がある。(中略)我々はそれを鼻にかけるのではなく、必要に応じて使用する」と述べました。

    プーチン氏の言う「手段」は、弾道ミサイルや核兵器を指しているとみられます。

    ただ、英国は核保有国でもあります。ロシアにとっては英国を刺激することは得策ではないのは明らかですが、プーチンがわざわざこのような発言をするということは、かなり追い詰められているとみて間違いないでしょう。

    ロシア軍について、2月24日の侵攻開始以降に占領した地域だけでなく、南部クリミアや東部ドンバス地域の一部など8年前に併合した地域からも撤退すべきとのトラスト外相の発言は、プーチンにとってはかなりショッキングなものだったようです。

    日本もロシアに対しては、英国なみの対応をすべきでしょう。特に日本はG7では唯一ロシアとの間に領土問題を抱えている国です。しかも、ロシアにより不当に占拠されているのです。

    日本としては、ロシア軍について、2月24日の侵攻開始以降に占領した地域だけでなく、南部クリミアや東部ドンバス地域の一部など8年前に併合した地域からも撤退はもとより、北方領土からも撤退すべきと主張すべきでしょう。

    そうして、これは全くあり得ない話ではありません。このブログでも以前も指摘したように、ロシアのウクライナ侵攻は日本が北方領土をとりもどす機会にもなり得るのです。

    今回のロシアのウクライナ侵攻に対する西側諸国などによる制裁などで、プーチン政権が窮地に陥り、状況が一変する可能性があります。今後、プーチン政権が崩壊すればロシア各地で分離独立運動が激しくなり、ロシア連邦は多数の国家に分割されるでしょう。

    そうなった時、北方領土に住む約2万人のロシア人、ウクライナ人(ソ連邦時代に移り住んだ人が多い)島民は食料品などの生活必需品の調達もままならず、孤立状態に陥ることが予想されます。その後は日本に支援を求めてくる可能性が極めて高いです。 

    日本が人道支援名目で北方領土に介入すれば、ロシア人、ウクライナ人島民は日本の支援なしで生活できなくなります。“ロシア離れ”が進んだ島民たちによる住民投票で独立宣言がなされれば、あとは独立した北方領土を日本が受け入れるかたちで返還が実現する可能性があります。

    経済制裁の影響ですでに北方領土に住むロシア人の生活が破綻寸前であり、この返還シナリオは決して机上の空論ではありません。ただ、日本にとってはただ黙って棚ぼたのように戻ってくるのと、日本がロシアは撤退すべきと主張した上で戻ってくるのでは意味合いが全く違います。無論後者のほうが日本の世界における存在感は高まります。

    日本がこう主張すれば、ロシアは大反発するでしょうが、英国は大歓迎でしょう。英国の賛同を得れば、他の西側諸国も賛同する可能性は高いです。今回のウクライナ侵略による制裁として、ロシアはウクライナだけではなく、北方領土も失うということになれば、「力による現状変更」は絶対に許されないことが、理念ではなく事実として世界が認識することになります。

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    2022年5月15日日曜日

    ロシアで「クーデター計画進行中」 ウクライナ諜報部門トップ見解―【私の論評】クーデターの可能性を指摘するのはウクライナだけではない(゚д゚)!

    ロシアで「クーデター計画進行中」 ウクライナ諜報部門トップ見解

    ロシアのプーチン大統領(右から2人目)=モスクワで2022年5月9日

     ウクライナ国防省の諜報(ちょうほう)部門トップのブダノフ准将は14日放映の英スカイニュースのインタビューで、ロシアのプーチン大統領に対する「クーデター計画」が進行しているとの見方を示した。ウクライナに侵攻したロシア軍の劣勢が引き金になっていると分析し、「計画は止められない」状況にあると述べた。

     ブダノフ氏は、ロシア軍が各地で敗北を重ねていると指摘。「それが最終的にロシアの指導者交代につながる。このプロセスはすでに開始されている」と述べ、プーチン氏の求心力低下を示唆した。

     また、プーチン氏が「がんやその他の病気」を患い、精神的・肉体的に「非常に悪い状態」にあるとも指摘した。ウクライナ側が情報戦の一環としてプーチン氏の重病説を広めていることを否定し、「確かな情報」と主張した。

     プーチン氏の健康状態を巡っては、英紙タイムズも14日に米誌を引用する形で「血液のがん」を患っていると報じた。

     一方、ブダノフ氏は戦況について「8月に重大局面を迎える」との見通しを示した上で、「戦闘行為は年内に終結するだろう」と述べた。「重大局面」の詳細な内容については語らなかった。

    【私の論評】クーデターの可能性を指摘するのはウクライナだけではない(゚д゚)!

    こういう話は真偽の確認ができないだけになんとも言えないですが、このままプーチンがトップにいることが不都合と思う人たちは増えていることは想像に難くないです。しかし、クーデターはよほど周到に準備し、軍を動かせなければ成功しないです。

    これはウクライナ政府発の情報です。プーチンが側近に疑心暗鬼になるために出されている可能性もあります。ただ、それが有効になるほど露政府の中枢部が不安定になっているということかもしれないです。

    もし、ロシアでクーデターが起こり、プーチンが失脚するとして、クーデターは誰が実行することになるのでしょうか。それは私自身はシロビキ以外にないと思います。


    シロビキとは、プーチン政権内で高い地位に就いている治安機関出身者の呼称です。シロビキの中でもパトルシェフ安全保障書記、ボルトニコフ連邦保安局長官、ナルイシキン対外情報局長官は、1970年代後半プーチン大統領とKGBの支局で同僚として活動したプーチン大統領が最も信頼する側近です。

    オリガルヒが寝返ったとしてもプーチン大統領は脅威を感じないでしょう。オリガルヒは治安部隊を利用できません。だから真の脅威はシロビキです。特にパトルシェフ氏やボルトニコフ氏は強い権力を持つだけでなく利用し、暗殺計画も可能です。体制が腐敗していると感じれば自分たちの利益を守るために、必要なことは何でもするでしょう。

    現在シロビキは、ロシアという国が崩壊するか、自分たちの立場が悪くなるか、そういう選択を迫られる可能性があります。

    プーチン大統領は今回の戦争を実質的に失敗したわけですが、その責任が誤った情報にあるというふうに考えているといわれていますから、FSB・連邦保安局の幹部たちが調査を受けたり、SVR・対外情報局のナルイシキンが公の場で叱責をされるようなことがありました。

    こうした情報機関すべてに対して今、プーチン大統領が不満をぶつけているとするなら、今度は情報機関側の方で、なんらかの自分たちを防衛する措置というのを取る可能性は多いにあり得ます。

    元英国陸軍上級将校で北大西洋条約機構(NATO)の欧州連合国遠征軍副司令官も務めたジェームズ・エヴァラード卿は、英紙「ザ・サン」にこう語っています。

    ジェームズ・エヴァラード卿

    「プーチンは困惑している。自身に対するクーデターが起きるタイムリミットが迫っているからだ。ロシアの強硬派は、ウクライナがNATOとEUに奪われたら、プーチンを排除するだろう。プーチンが動いたことで、全てが悪い方にいった。プーチンの立場は弱まるばかりだ」

    また、プーチン氏は自分の保身に必死で、「批判の矛先をそらすために、紛争を他の国まで拡大する可能性がある」ともエヴァラード卿は語っています。

    こうした状況に敏感に反応したのが周辺の国です。12日、フィンランドがNATOに加盟を申請する方針を発表しました。さらにフィンランドの隣国スウェーデンも加盟に向けての議論が続いています。この事態は、プーチン氏をより追い込むことになります。

    「プーチンはNATOの拡大を止めようとしたが、裏目に出て失敗した。プーチンの唯一の逃げ道は、ウクライナでの戦いをエスカレートすることだ」とエヴァラード卿は指摘しています。

    エヴァラード卿は「これはウクライナにとって長い戦争の始まりであり、NATOにとっては、新たな冷戦の始まりだ」と警告しました。

    英紙ザ・タイムズは3月23日、FSBが「クーデターを起こすリスクが日増しに強まっている」とする内部告発情報を報じていました。FSB幹部が、米欧による厳しい経済制裁の直撃を受けたことに不満を募らせているのが理由だとしていました。

    アンドレイ・ズボフ氏

    ロシアの政府系調査機関によると、3月時点でのウクライナ侵攻を支持する人の割合は約7割だそうです。しかし侵攻はプーチン氏の政権基盤を揺さぶり始め、政権の今後について「崩壊するかどうかではなく、いつ崩壊するかの問題だ」(ロシアの歴史学者アンドレイ・ズボフ氏)との指摘さえ聞かれるようになっていました。

    ウクライナによる情報だけであれは、信ぴょう性は低いとは思いますが、複数の人などのクーデター説があります。これでは、絶対に否定すべきということにはならないと思います。

    無論ロシアの情報組織や、治安部隊の組織のあり方から、ロシアでクーデターが起こる可能性はかなり少ないと指摘する人もいます。

    ただ、プーチン氏の弱体化が予想に反して急速に失われる可能性もあります。ロシアのウクライナ侵攻直前に、ロシアや軍事に詳しい人たちの中には、ロシアのウクライナ侵攻する可能性を、様々な根拠をあげつつかなり低いとしていた人たちも多くいました。

    私自身も、侵攻の可能性は否定はしませんでしたが、低いだろうと思っていましたが、実際に侵攻が行われました。その反省もこめて、ロシア国内のクーデターの可能性も否定はせず、今後のその可能性について検証していこうと思います。

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    2022年5月14日土曜日

    「キシダに投資」呼びかけも…くすぶる金融所得課税強化 経済成長導く政策も力不足―【私の論評】日本では批判されない岸田首相が海外リベラルメディアには、なぜ厳しく批判されるのか(゚д゚)!

    日本の解き方

     岸田文雄首相は英ロンドンの金融街シティーで「インベスト・イン・キシダ(岸田に投資を)」と述べ、日本への投資を呼びかけた。


     この講演で、岸田首相は「資産所得倍増プラン」と言っている。昨年9月の自民党総裁選において、岸田氏は「令和版所得倍増」を掲げていたが、その後、政府答弁において「平均所得や所得総額の単なる倍増を企図したものではない」と説明し、事実上取り下げた。

     今後は、全体の所得ではなく、「資産所得」という資産に由来した所得を倍増させると述べている。講演の和文では「資産所得」と書かれており、これが「資産と所得」なのか、「資産に由来した所得」なのか判別できなかったが、英文をみると後者であった。

     岸田氏は、講演ではもちろん金融所得課税の話をしなかった。昨年の首相就任時に発言したところ株価が急落し、「岸田ショック」と批判されたからだろう。

     しかし、松野博一官房長官は、9日の記者会見で、金融所得課税の強化については一般投資家が投資しやすい環境を損なわないよう十分に配慮して検討していくとの方針を示している。

     率直に言って、検討することは投資しやすい環境を損なうと思うが、官房長官の発言は事務方の原稿通りとみられ、課税強化の本音も透けてみえる。

     岸田氏の講演では、①人②科学技術・イノベーション③スタートアップ④グリーン、デジタルへの投資を掲げている。ただし、その投資を支える政策手段が、岸田政権では弱い。

     世界が投資を自国に呼び込むための常套(じょうとう)手段は、優遇策と規制緩和だ。しかし、岸田政権発足直後の所信表明演説では「規制改革」への言及がなかった。これまでの政権では何らかの表現で「規制改革」が盛り込まれてきたが、なかったのはほぼ40年ぶりのことだ。

     経済成長をどのように確保するのかもポイントだが、適切なマクロ経済政策とともに、規制改革がその原動力になる。

     「名目経済成長率」は、「実質経済成長率」と「インフレ率」に分けられるが、後者のインフレ率はマクロ経済政策の分野で、前者の実質経済成長率に大きく寄与するのは規制改革だ。

     要するに、積極財政と金融緩和、規制改革がキモになるが、現在の岸田政権ではいずれも力不足だ。

     とりわけ規制改革を打ち出さないで、どのように成長を達成し、日本への投資を呼び込むのだろうか。

     一部で話題になったのが、岸田首相は、昨年の政権発足時の資産公開で、家族分を含め東京都渋谷区や広島市の住宅、預貯金など2億868万円の資産を保有する一方、株式を所有していないということだ。

     これでは「岸田政権に投資してくれ」と呼びかけても、説得力がないと言われかねない。約2億円の資産で株式投資ゼロという人はかなり珍しいのではないか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

    【私の論評】日本では批判されない岸田首相が海外リベラルメディアには、なぜ厳しく批判されるのか(゚д゚)!

    岸田首相が、投資を呼びかけても、無駄なことは従来からわかっていました。岸田政権の政策は面白くもなんともなさすぎるからです。

    上の記事にもあるように、確かに岸田首相の所信表明演説に「規制改革」という言葉がありませんでした。「規制改革」という言葉は、1979年の大平政権で出た言葉で、それ以降の首相の所信表明演説には必ずといって良いほど入っていた言葉です。もちろん菅政権までずっとありましたが、岸田首相の演説には入っていませんでした。

    過去40年間入っていたものを、なぜ抜いてしまったのかと訝しく思いましたが、それが岸田首相のいう「新しい資本主義」なのかもしれないと思いました。

    規制改革は、はっきり言って「官僚に対する圧力」でもあるともいえます。官僚はいろいろな規制を見直せという話があっても、放っておくと何もしません、首相が「規制緩和」というと、それが官僚に対しての圧力となるのは確かです。

    岸田首相が「規制改革」といわなかったことで、霞が関の官僚は皆ぬか喜びしたでしょう。内心ほっとしたと思います。財務省は沸き立ったと思います。

    規制があると、規制に引っ掛かるかどうかの線引きのようなところに、当然ながらいろいろな既得権も生まれて来ます。だからいつも見直せというのが普通なのですが、岸田首相の所信表明演説にはなかったということで、官僚たちが安堵し、それが例の財務省の矢野論文にもなり、官僚の方が悪ノリをし始めたということになったのでしょう。

    所信表明演説する岸田首相

    かつて「官僚支配」などという言葉もありましたが、規制改革がないということは、「官僚支配」に戻るということを意味します。

    そもそも、規制改革をなぜやるかと言うと、実質経済成長率を高めるためです。規制改革がなければ、なかなか新しい産業の芽が出て来ないので、実質経済成長率が高まらないのです。

    岸田内閣の主要政策のサイトをご覧いたたければ、岸田内閣は分配に力を入れることを表明しています。ただ、単に分配をするということでは成長率が下がってしまいます。実際韓国の文在寅政策では、分配に力を入れ、最低賃金を上げる政策をとりましたが、それによって得られたのは、雇用の激減と成長の鈍化でした。

    自民党の公約集では、さすがに規制改革という言葉は入ってはいましたが、「規制改革会議」をやめ、「デジタル臨時行政調査会」に名前を変え、「成長力会議」もやめて「新しい資本主義実現会議」になりました。この辺りに政権の性格が出ているように思います。

    実は規制改革がないと株価が上がりにくいです。規制改革をなぜやるかと言うと、将来の成長を見込む面白い種をいくつか出し、経済の先行指標でもある株価を上げるというところもあって、それとともに「官僚の圧力」にもなります。

    規制改革があれば、「このような産業が伸びそうだ」ということになり、それによって新たなチャンスが生まれると踏んで市場はそれを歓迎して株価が上がりますが、規制改革がないとそのようなチャンスは生まれようもなく、面白みもなく株価は上がりません。

    ただ、規制改革をすぐ行っても、すぐに変わるというわけではありません。何かが変わるまでには、すくなくても数年はかかります。

    ただ規制改革をしないと、あとが大変になるのです。需要サイドだけで物事を考える人は、規制改革をして供給が増えすぎたらどうなるなどと言いますが、供給サイドで何かが変われば、それにともない需要がついてくるということもあります。

    たとえば、日本では規制されていてできない分野の一つ「電波オークション」があります。これがないから日本では通信産業が伸びなかったのです。電波オークションをやると新規参入が増えて面白くなるのですが、これをやっていないので、既存のテレビなどは面白くはならないのです。

    もっとも「電波オークション」自体は技術革新が進んで実施してもほとんど意味がなくなってましまいました。なぜなら、今ではネットがありますから、誰もが自由に放送ができます。今から十数年前に「電波オークション」を解禁すれば、テレビ局なども大儲けできたと思いますし、新規参入が多く出てきて、競争によってテレビはもっと面白いメディアになっていたと思います。

    「新しい資本主義」がどういうものになるのか、まだ見えない部分が多いですが、12日はこれについての報道がありました。以下にそれを引用します。
    自民 「新しい資本主義」実現に向け 政府へ提言の骨子案
    岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の実現に向け、自民党の実行本部は、デジタルとグリーン、それに人への投資の3つの分野に、官民を挙げて重点的に投資するよう求めることなどを盛り込んだ、提言の骨子案をまとめました。

    「新しい資本主義」の実現に向けて、自民党は、実行本部で具体策を議論していて、政府に対する提言の骨子案が明らかになりました。

    それによりますと、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻などを受けて、自由・民主主義と、権威主義の対立軸が鮮明になっており、市場や競争に任せればすべてうまくいくという、これまでの資本主義の考え方を見直す必要があると指摘しています。

    そのうえで、
    ▼量子技術やAI=人工知能などのデジタルの分野、
    ▼カーボンニュートラルなどのグリーンの分野、
    ▼新たな奨学金制度の導入をはじめとする人への投資の、
    3つの分野に、官民を挙げて重点的に投資するよう求めています。

    このほか、スタートアップ企業を支援するため、5か年計画を策定して、大学の周辺に企業の集積地をつくるなどの取り組みを進めるべきだとしています。

    実行本部は、近く開かれる会合で骨子案を示し、提言の取りまとめに向けて詰めの議論を進めることにしています。
    この何が「新しい資本主義」なのか全くわかりません。 ただ、この報道にも「規制改革」という言葉は一つもなく、いまのところ「規制改革をやらないのが新しい」としか見えません。


    新しい技術に関してはそれ自体が「新しい資本主義」とはいえないですし、「人への投資」ということが言われていますが、これは経済が成長すれば、自ずと賃上げということになります。

    経済が成長すれば、人手不足となり、賃金を上げないと人が集まらないということになります。

    人への投資は、税制で支援しても多少はできなくはないのですが、根本方で経済成長の種がないと実現しにくいです。経済成長なしで、分配だけ考える人は多いのですが、それは無理です。逆に、経済成長すれば分配が簡単なので、まずは経済成長を考えるべきです。そのような考え方をしないから、岸田首相は出身派閥が掲げたせっかくの「所得倍増計画」の看板を降ろさざるを得なくなったのでしょう。

    所得倍増計画には、実質経済成長率を高めるような政策は、規制改革がないと実施しにくいです。それとともに、需要を増やすためには、マクロ経済政策でインフレ目標を高めるべきです。無理です。

    「インフレ目標2%」にこだわり、2%を超えたらすぐに金融引締に転ずるようなことをすれば、仮に年間で1%くらいしか伸びないと、倍増するのに75年程度かかることになります。

    これは、「72の法則」として良く知られています。ちなみに、お金が2倍になる期間が簡単にわかる便利な算式。 「72÷金利≒お金が2倍になる期間」となる。 たとえば、金利18%でお金を借りた場合、「72÷18=4」となるので、約4年で借りたお金が2倍になることがわかります。

    インフレ目標を4%くらいに引き上げて、需要を少し強くすれば、簡単に名目5%くらいにできるのできます。目標を5%にすると倍増が13年~14年になるので、良い目標になります。ちなみに、この手法を高圧経済と呼びます。

    まさに米国はその高圧経済によって、超インフレになったため、利上げをしたのです。

    日本であれば「インフレ目標2%が達成できないから引き下げろ」と言う人が多いですが、それは、逆です。4%に上げてしまえば良いのです。そうすれば、2%くらい簡単にクリアできます。4%を目標にすれば、達成率が半分でも2%になるでしょう。

    ただ、「規制改革」という岸田首相にはそのような考えは到底できないでしょう。


    日本のメディアでは厳しく批判されることのない岸田首相ですが、海外のメディアは手厳しいです。

    たとえば、昨年の衆院選について書かれている米有力紙ニューヨーク・タイムズの記事を読み、思わず笑ってしまいました。

    記事には、岸田氏について「何人かの外務省の公務員は、陰で、彼を“お行儀の良いタイプの犬”と呼んで、チワワというニックネームをつけた」という、岸田氏を30年前から知っている元防衛大臣中谷元氏の発言が紹介されています。

    リベラル系のニューヨーク・タイムズが、保守系の安倍氏な菅氏を批判するというならわかります。実際結構批判していました。典型的なリベラル系ともいえる岸田首相をここまて酷評とするとは、思いも寄りませんでした。

    海外のリベラルメディアも、さすがに中身のない岸田氏の話には反発したのでしょう。全く中身のない日本メディアは、同類の岸田首相に対して批判できないのでしょう。両方とも今の日本にはいてもいなくても良い存在かもしれません。

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    2022年5月13日金曜日

    安倍元首相「日銀は政府の子会社」発言は完全に正しい…批判するマスコミと野党は無知―【私の論評】「政府の借金」という言葉は間違いだが「政府の小会社」は、政府と日銀の関係を適切に表している(゚д゚)!

    安倍元首相「日銀は政府の子会社」発言は完全に正しい…批判するマスコミと野党は無知

    日本銀行

     安倍晋三元首相が「日銀は政府の子会社」と発言したことについて、マスコミや野党から批判の声が上がっている。筆者からみると、数年に一度起こる現象だ。はっきりいえば、無知なマスコミが取り上げて、無知な野党が騒ぐだけだ。

     安倍氏が言ったのは、以下の2点だ。

    (1)日銀が購入した国債について、政府は利払いをするが、これは政府に戻ってくる

    (2)日銀が購入した国債について政府が償還する必要がない

     利払い・償還の負担がないことを「日銀は政府の子会社」と表現した。

    (1)については、日銀は無コストの日銀券発行により国債を購入するので、政府から受けた利払いは収益になる。その収益は納付金制度があるので、政府に支払という意味で、正しい。また、(2)については、財政法に基づく予算総則の規定により、これも正しい。

     安倍氏の発言は正しいので、その表現にも意図するところにも何も問題はない。このようなことが可能になるのは、民間でいえば、親会社と子会社の関係くらいしかないだろう。

    「手段の独立性」

     では、なぜマスコミは「日銀が政府の子会社」という表現に反応するのか。そもそも、(1)と(2)を正確に理解しているマスコミはほとんどいない。これは学者にもいえる。さらに「日銀の独立性」について、マスコミは正しく理解していない。マスコミのなかには、日銀が政府から独立しているかにように思い込んでいる人も少なくない。

     日銀は政府機関であるし、政府は日銀の役員任命権(国会同意が条件)、予算認可権も保持しているので、民間でいえば、まさに「子会社」そのものだ。こうした状況は先進国の中央銀行でも同様だ。

     そこで、中央銀行の独立性とは「手段の独立性」であるとされている。この「手段の独立性」とは、中央銀行は大きな目標について政府と共有しながら、日々の金利の上げ下げについて独立して行使する権限が付与されているということだ。これは、民間の親会社が経営目標を子会社に与えるが、日々の細かい経営にまでは口出しせずに子会社に運営を任せるとほぼ同じだ。このため、中央銀行は政府の子会社という比喩が使われることもしばしばだ。

     この話は世界では常識だ。筆者は20年以上前に米国留学した際、のちにFRB(連邦準備制度理事会)議長になるバーナンキ教授から教わり、その後何度もいろいろなところで書いている。小泉政権のとき、副長官、幹事長、官房長官であった安倍氏にも何回も説明した。バーナンキ氏がFRBの要職になり来日したときに講演の機会があり、この話をしたが、不思議なことにこの箇所はマスコミで報道されなかった。もちろん、FRBのホームページにはしっかりと英文で書かれている。

    政府の対応もお粗末

     以上の経緯からみても、安倍氏の発言には何も問題ない。筆者からみると、今回のマスコミ報道は「またか」という印象だ。マスコミの記者は短期間のローテーションで移動するので、まったくの素人であり、「手段の独立性」という言葉も知らないだろう。そこで、トンチンカンなことが繰り返されるのだ。

     政府の対応もお粗末だ。松野博一官房長官は「コメントしない」と言いつつ、日銀の自主性を尊重すると言っているが、まともに答えていない。ただし、今回マスコミでこれを追及しているのは、時事通信、毎日新聞、東京新聞くらいしかない。さすがに他紙は深追いしていないので、多少は学習効果があったのか。

     それにしても、安倍氏は一部マスコミにとって「アイコン」なのだろう。首相の職から離れてもこれだけ話題になるのは驚かざるを得ない。

    (文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授)

    ●高橋洋一

    1955年、東京生まれ。80年、大蔵省(現財務省)入省、理財局資金企画室長、内閣参事官など歴任。小泉内閣、安倍内閣では「改革の司令塔」として活躍。07年には財務省が隠す「埋蔵金」を公表、08年に山本七平賞受賞。政策シンクタンク「政策工房」会長、嘉悦大学教授。

    【私の論評】「政府の借金」という言葉は間違いだが「政府の小会社」は、政府と日銀の関係を適切に表している(゚д゚)!

    安倍元総理の発言を巡って、日経新聞は以下のような報道をしています。
    財務相「日銀、政府子会社でない」 安倍氏発言を否定
    鈴木俊一財務相は13日の閣議後の記者会見で、日銀の独立性に関して「日銀は政府が経営を支配している法人とは言えず、会社法で言うところの子会社にはあたらない」と述べた。「日銀は政府の子会社だ」とした自民党の安倍晋三元首相の発言を否定したものだ。日銀法により「金融政策や業務運営の自主性が認められている」と強調した。

    鈴木氏は日銀が保有する国債について「日銀が金融政策の一環として買い入れているもので、時々の金融政策によって大きく変動しうる」と指摘した。「永続的に日銀が国債を買い入れる前提に立った財政運営は適切とは考えていない」と訴えた。

    安倍氏は9日、大分市で開いた会合で「(政府の)1000兆円の借金の半分は日銀に(国債を)買ってもらっている。心配する必要はない」とも語っていた。
    日銀は法的には、公的な「認可法人」なので、そもそも会社法とは関係ありません。鈴木財務大臣は、そのことを語ったのであって、安倍発言の特に「「(政府の)1000兆円の借金の半分は日銀に(国債を)買ってもらっている。心配する必要はない」というところまでは否定していません。

    民間の親会社が経営目標を子会社に与えますが、日々の細かい経営にまでは口出しせずに子会社に運営を任せるとほぼ同じだ。このため、中央銀行は政府の子会社という比喩が使われることもしばしばだ手段の独立性の表現として子会社という比喩はよくなされることです。

    この比喩は、政府と日銀の関係をよく表しているものと思います。そうして、この「政府の小会社」という比喩は「政府の借金」という言い方に比較すれば、現実を良く表しいるともいえます。

    このブログでも以前指摘したように、「政府の借金」という表現は完璧に間違いです。その記事のリンクを以下に掲載します。
    日銀保有の国債は借金ではない 財務省の見解が変わらないなら国会の議論に大いに期待―【私の論評】高校の教科書にも出てこない「政府の借金」という言葉を国会で使わなければならない、日本の現状(゚д゚)!

    この記事は、4月11日の参院決算委員会で、西田昌司議員が、政府の借金は日銀が保有する国債を除いて考えるべきだとの持論に、鈴木俊一財務相が、「その通りだなという気がする」と答えたと報じられたものに関するものです。

    詳細は、この記事をご覧いただくものとして、金融上の常識として、日銀保有の国債は借金ではないですし、そもそも「政府の借金」という言い方自体が全く間違いであり、これは政府や日銀の金融行動と個人の行動を同事件に扱うことからでてくる間違いです。それに関する部分をこの記事より抜粋します。
    日銀は政府の子会社だから親会社の子会社に対する借金は、借金ではない、という話でしたが、親会社と子会社の間であろうが、借金は借金じゃないか、と素朴に感じる方もおられるかもしれません。仮に日銀は政府とは別の組織だと考えたとしても、日銀による政府に対する貸し出しは、私たち一般の国民が銀行や消費者金融からおカネを借りる、いわゆる「借金」とは全く異なります。 

    第一に、日銀は政府に対して「貸したカネを耳をそろえて返せ!」という圧力はかけません。日銀はいくらでもおカネをつくり出せる存在ですから、貸したカネを返してほしい、という動機がそもそもありません。

    日銀以外の存在にとっては、おカネは大変に貴重な代物ですが、日銀にとっておカネは別に貴重でも何でもありません。なんといっても、おカネは「日本銀行券」であって、日銀が自らいくらでもつくり出すことができるのです。

    もちろん、借金の返済期日が来れば、政府は借りたおカネを返さなければなりません。でも、そのおカネを、政府はまた日銀から借りることができるのです。一般にこれは「借り換え」といわれます。つまり10万円を1年間借りていたとしても、1年後にまた10万円を同じ人から借りる、というのを延々と繰り返すことができるわけです。そうなれば実際、その借りたおカネを返す必要が延々となくなります。それと同じことが、政府は日銀に対してできるわけです。 第二に、普通、借金すると利子を払わないといけませんが、さきほども指摘したように、政府が日銀からおカネを借りた場合、利子を払う必要がありません。これが、法律で定められています。 だから、あっさりいうと、日銀から政府がおカネを借りた場合、政府はその利子を払わなくてもいいし、元本そのものも延々と返さなくてもいいのです。

    返さなくてもいいし利子もない借金など、もう一般社会における借金ではありません。はっきりいって、「もらった」のと全く同じ。 なぜ、そんなふうに「日銀から政府への貸し出し」は、私たちの借金と違ってものすごく優遇されているのかというと、それはひとえに日銀が政府の子会社だからです。

    したがって、日銀が政府の一部だと考えても、そう考えずに独立の存在だと考えても、結局は、日銀から政府が借りたおカネは、いわゆる普通の「借金」としては考えなくても良いのです。ということになるんです。 たとえば、政府と日銀はものすごく仲の良い親子がいて、子どもが親からおカネを借りて、一応親は「貸した」とはいってるけど、利子も取らないし、返せともいわない、というのと同じような関係といえます。

    それも親密な親子関係は、いつまで続くとも限りませんが、日銀と政府の関係は法律で規定されています。

    以上は、おカネについてある程度知っている銀行員や税理士、財務官僚なら、「当たり前の常識」として知っている事実です。高校の「政治経済」にも当たり前に解説されていることです。ただ、もともと「借金」などではないので、高校の教科書では「借金」という言葉は使わないので、多くの人が別の話として理解していないのかもしれません。

    この記事でも、日銀を「政府の子会社」と表現しています。これは、日銀と政府の関係を比喩的ではありますが、正しく表しているからです。 

    ただ、厳密にいえば、日銀は会社法等で定めらた小会社ではありませんから、厳密にはそうではありませんが、比喩的に使うならば正しいです。そうして、「政府の借金」という言葉は、個人の行動と政府・日銀などの金融行動を同次元に扱っているという点で全くの間違いですし、誤解を招きやすいてす。

    この記事でも述べたのですが、西田昌司議員が、「政府の借金」という言葉を用いたのは、あまりにこの言葉が使われてしまっているので、その言葉を使わなければ説明できないから使ったのでしょうが、彼自身は「政府の借金」なる言葉は、不適切と思っていることでしょう。

    国会で質問する西田昌司議員

    鈴木俊一財務相が、「その通りだなという気がする」と答えたのは、そもそも「政府の借金」なる言葉は適切ではないで、「その通り」とは言い切れないからでしょう。無論、鈴木氏がそう考えて発言したかどうかは、定かではありませんが、国会の答弁の雛形は財務省が作成するので、さすが財務省も「政府の借金」という言葉を国会で認めるわけにもいかず、「その通りだという気がする」という雛形を作成したのかもしれません。

    言葉というものは、厳密に使わないと、誤解を招くことになりますが「政府の小会社」という言葉は比喩としてはかなり理解しやすいです。比喩として用いるなら全く問題はないです。問題がないどころか、政府と日銀の関係を適切に表しています。

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    2022年5月12日木曜日

    円安の方が「日本経済全体のGDP押し上げ効果がある」理由―【私の論評】「悪い円安」を理由に金融引締をすれば、いつか来た道、この先数十年日本人の賃金は上がらない(゚д゚)!

    高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
    円安の方が「日本経済全体のGDP押し上げ効果がある」理由


    歴史的な円安が続いている(写真はイメージ)

     円安の経済効果を考えてみよう。

     日銀の黒田総裁は、円安ドル高について「現状ではプラス面の方が大きい」と発言したのに対し、日本商工会議所の三村明夫会頭は「デメリットの方が大きい」と述べている。三村会頭は中小企業を代弁、黒田総裁の意見は経済全体

     為替動向は輸出入や海外投資を行う業者にとって死活問題だ。円安は輸出企業にとってはメリットだが輸入企業にとってはデメリットだ。また、これから海外進出を考えている企業にとってはデメリットであるが、すでに海外進出して投資回収している企業にとってはメリットだ。

     まず中小企業への為替の影響を考えてみよう。中小企業は大企業に比して輸出が少なく、輸入が多く、円安によるデメリットを受けやすいのだ。三村会頭の意見は、中小企業を代弁している。

     一方、黒田総裁の意見は経済全体のものだ。輸出企業は大企業であるとともに、世界市場で期していけるエクセレント企業だ。一方、輸入企業は平均的な企業だ。この場合、エクセレント企業に恩恵のある円安の方が日本経済全体のGDPを押し上げる効果がある。

     これは、日本に限らず世界のどこの国でも見られる普遍的な現象だ。輸出の多寡により効果は異なるが、いずれも自国通貨安はGDPへプラス効果がある。例えば、国際機関が現在行っているマクロ経済モデルでも確認されている。

    クリックすると拡大します 表はブログ管理人挿入

     こうした指摘はこれまでも言われてきた。自国通貨安はしばしば近隣窮乏化策とも言われるが、それは逆にいえば自国経済はよくなることを意味している。この意味で、「円高は国益」は誤りだ。

     主として大企業で構成されている経団連の十倉雅和会長は、最近の円安について大騒ぎすることではないという見解を示している。

    大企業の中でも金融業界の意見は特殊

     ただし、大企業の中でも金融業界の意見は特殊だ。金融業界は、今の低金利環境では利鞘が稼げない。このため、金融業界の利益のために金利高を目論み、今の円安に否定的なことをいい、円高誘導への金利高に持っていこうとする。

     それでも、このところの円安傾向を受けて、「円高は国益」「製造業が海外に拠点を移しており円安メリットは小さい」といった議論が出ている。民主党政権時代の円高で日本経済はどうなったのか。

     「製造業が海外に拠点を移しており円安メリットは小さい」との意見は、輸出のメリット減少をいっているだけだ。海外に拠点を移しているので、その投資収益があるはずで、この円価換算収益は円安メリットを受けている。

     海外から、政治的な理由で自国通貨安を是正しろとの要求があるのは、筆者としても想定内であるが、国内からそうした声があるとは、「国益」に反するので驚きだ。

     ちなみに、ウクライナ侵攻を受けた最近のIMF(国際通貨基金)の世界経済見通しで、なぜ2022年の日本だけが経済成長するのかと言えば、日本だけが金融緩和していて、その効果が世界経済のマイナスを補っているからだ。

    【私の論評】「悪い円安」を理由に金融引締をすれば、いつか来た道、この先数十年日本人の賃金は上がらない(゚д゚)!

    上の高橋洋一氏の記事で語られている「円安で有利なところも、不利なところもあるが、円安で日本全体でGDPはプラスになる。自国通貨安は、海外から非難されることはあっても、どこの国でもGDPプラスを裏付ける」ことを裏付けるような報道があります。

    東芝を除く電機大手7社の令和4年3月期連結決算が11日、出そろいました。日立製作所が円安の進行を追い風に売り上げを伸ばし、最終利益が2年連続で過去最高を更新するなど4社が増益だった。部材調達の遅れの影響などが響いた3社は減益でした。

    日立は最終利益が前期比16・3%増の5834億円。円安が売上高を3350億円押し上げたほか、米IT企業やスイスの送配電事業の買収効果もあり、2桁の増収を確保した。

    三菱電機は、企業のデジタル、脱炭素分野の設備投資の増加を背景に関連事業が好調で、最終利益は5・4%増でした。円安は売上高を1350億円押し上げました。

    米電気自動車(EV)大手テスラ向けの電池、電子部品が伸びたパナソニックホールディングスや、テレビ事業が好調だったシャープは、いずれも大幅な増益でした。

    日銀の金融政策を変更して金融引締に転じて円高に向かえば、製造業の海外進出や雇用の減少で、国内産業の空洞化につながることになります。日本経済は需要不足を示すデフレギャップが大幅マイナスであることからしても、需要を拡大するために金融緩和緩和的な金融環境を維持することが必要です。

    輸入物価を円ベースと契約通貨ベースで比較すれば、輸入物価上昇の為替要因は下のグラフをご覧いただければわかるように、わずかです。「悪い円安」は問題ではないのです。エネルギー価格(原油、石炭、天然ガスなど)に影響を与えてるのは、円安などたかだか全体の10分の1程度すぎず、輸入価格がもともと高いことが原因なのです。

    ①石油・石炭・天然ガス価格と②為替相場で寄与度分析すると、直近の輸入物価の上昇は①石油などエネルギー価格上昇による面が大きいという結果に。 ーー印象と分析のギャップ。


    輸入物価上昇の寄与度分析

    こうしたことからすれば、日本経済にとって打撃なのは、円安そのものよりも輸入品そのものの値上がり、中でもエネルギー価格の高騰が大きいです。こうしたことからも、一時的な事象で金融政策の出口を検討すべきではないといえます。

    なぜ、現在円安なのかといえば、米国が利上げを行い、金融引締を行っていますが、日本は金融緩和を継続しているからです。日米双方とも、正しい金融政策を行っています。それは以下のグラフをみても明らかです。米国はインフレであり、日本はデフレ気味だからです。

    クリックすると拡大します

    そうして、ここで大切なのは金融緩和による雇用の増加です。例えば、民主党政権下の超円高の時期にはドルベースのGDPが増えましたが、雇用は失われていました。円高で国内産業が空洞化するのであれば、ドルベースの実質GDPが増えても本末転倒です。

    さらに、2013年のアベノミクス以降、円安のメリットは輸出増よりも企業の設備投資の増加のほうが大きいです。新型コロナウイルス前までは円安が株高をもたらし、企業の期待収益率が向上しました。

    株価と設備投資額の連動性は高く、株高を通じて設備投資が増え、雇用の増加にもつながっています。なお、内閣府のマクロ計量モデルは株価を通じた影響が含まれていないですが、それでも円安はGDPのプラス要因になっている。

    円安と株高の連動性は縮小したと言われるが、連動性自体は依然として存在しています。株高で設備投資が増えるという大きな構造も変わっていません。例えば、2013年から2019年まで企業の設備投資は実質GDPで見ると約15兆円も増えていました。新型コロナ禍で一度落ち込んだが、その後は円安の進展とともに設備投資も再び増加傾向にあります。

    クリックすると拡大します

    特に、アベノミクス以降の雇用増加は円安の要因が大きかったといえます。医療・介護分野のように円安・株高と関係なく増える業種もありますが、円安の恩恵を受けやすい製造業の雇用が増えたことからすれば、円安が大きく貢献したのは明らかです。

    現状、日本はデフレを完全に脱却できたとは言い難く、ここで金融緩和を縮小すれば円高と更なる株安をもたらす可能性があります。そうなれば、どうなるのか、皆さんの多くは、経験しているはずです。今の輸入物価上昇も円安ではなく、原油をはじめとしたエネルギー価格や穀物価格の上昇が主な原因です。

    こうしたことからすれば、輸入物価の上昇については金融政策ではなく、減税や石油元売り会社への補助金の適用条件を拡大するなど、一時的な供給ショックに対しては財政政策で対応すべきです。

    対ドルの円相場では1ドル=120円台前半までは進捗する余地があるでしょう。円安に伴う設備投資増等を通じて国内需要が喚起されれば、労働市場で弱い立場にあるとされる女性や若者にも仕事が行き渡ることで、それが格差の縮小にもつながっていく可能性があります。しかし、足元の水準はまだそれには遠く、現状の円安が『悪い円安』とは言えません。

    結局、日本経済を正常化に近づけるために必要なことは、完全雇用の状態にすることです。しかし、このブログでも度々指摘している通り、30兆円以上にも及ぶ巨額なデフレギャップが存在していることからもわかる通り、日本は現時点でも働く意思と能力がある労働力を十分供給できる状態になっていません。

    そして、このような不完全雇用の状態では収入も増えないため、支出も増えにくいのです。従って、完全雇用を実現するためにも、円が割安な状況を維持して国内で生み出される財やサービスの国際競争力を高め、国内所得を増やす必要があるのです。

    そうしないで、悪い円安だからといって、金融引締をすれば、いつか来た道「失われた30年」を繰り返すだけになります。それを繰り返せば、30年間日本人の賃金は上がらなかったのに、またそれを繰り返すことになります。いずれ、韓国や台湾より名目ベースでも賃金が低くなるでしょう。(購買力平価では韓国が日本の賃金を追い抜いていますが、購買力平価はあまり意味がありません)

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    2022年5月11日水曜日

    ロシアが苦しむ「ゾンビ森林火災」 ウクライナ進軍で国内消防に暗雲―【私の論評】ロシアで相次ぐ異変!プーチン政権が弱体化しているという可能性は否定できない(゚д゚)!

    ロシアが苦しむ「ゾンビ森林火災」 ウクライナ進軍で国内消防に暗雲


    ──シベリアの雪の下でくすぶる万年火災。従来火災を監視していたロシア軍は、ウクライナ派兵で人員不足に陥っている

    シベリアでは毎年、「ゾンビ火災」と呼ばれる野火が繰り返している。雪の下、泥炭質(泥状の石炭の一種)を多く含んだ土壌で火の気がくすぶり続け、春になると再燃するものだ。


    今年もシベリア西部では、気温上昇に伴う火災シーズンに突入した。大規模な野火が発生しており、グリーンピース・ロシアによると、4月時点ですでに火災規模は昨年の2倍に達している。

    通常は軍隊などが消火に当たる。だが、多くがウクライナに動員されている今年、火災の監視体制は手薄だ。延焼が続けば汚染された大気が近隣国へ流入するほか、メタンガス放出による温暖化要因になるとしてロシア国外でも憂慮されている。

    ロシアのニュースサイト『シベリアン・タイムズ』が4月20日に公開した動画には、実際の火災の状況が収められている。炎が立木を呑み尽くし、見渡す限りの空一面を黒煙が覆い尽くしている。

    ■ 派兵で消防能力に不足

    火災は永久凍土を溶かし、地中に封じ込められていたメタンガスを放出する。ガスは周囲に滞留し、さらに森林火災が広がりやすくなるという悪循環を生んでいる。

    広大な森林の消防を担うのは、軍隊のほか地元有志の消防団員などとなっており、平時でさえ人的リソースは不足気味だ。米ニュースサイトの『アクシオス』は、ウクライナへの派兵で野火の発見と対処が遅れ、森林火災が「制御不能なまでに燃え広がる可能性」があると指摘している。

    NASAラングレー研究所のアンバー・ソジャ研究員によると、大きな火災は衛星写真または通報による発見後、平常時であれば軍用機を投入して消火活動が展開される。「仮に戦争が続いたとするなら、夏のあいだこの(消防)能力が存在するかさえ疑問です」と彼女は憂慮する。

    煙は国境を越えて流れ出すため、ロシア西部に位置するヨーロッパ諸国でも空気質の悪化は懸念事項だ。英インディペンデント紙は、「シベリアにおける憂慮すべき悪循環のひとつだ」と述べ、最大で数百万人が煙を吸うおそれがあると指摘した。

    ■ 火のみえない「ゾンビ火災」

    シベリアでは毎年、表面からはみえない火が雪の下でくすぶり続け、春になると大規模な火災のきっかけとなる「ゾンビ火災」を繰り返してきた。

    シベリアン・タイムズは昨年1月、ゾンビ火災の様子を収めた動画を公開している。雪に覆われた美しい森林だが、どこからともなく立ち上る煙が充満している点で異様だ。

    さらに注意すると、所々の雪が溶けて穴が空いているのがわかる。また、パチパチと何かがはぜる音も時々聞こえる。凍土に含まれる泥炭が燃焼を続け、穴を通じて煙が上がってきているとみられる。動画撮影者の男性は、「まだ燃えている……。」「(燃えている)泥炭があるのだろう」と呟いている。

    シベリアは、現在地球上でもっとも速く温暖化が進行している地域のひとつだ。凍土中からメタンガスが放出されることで状況の悪化につながるほか、火災による煤が北極に到達すると、海氷の融解を促進する。

    さらには夏場に北極海の氷が失われると、ジェットストリームが乾燥した高温の気流をアメリカ西部に運びやすくなり、米西部でも森林火災が悪化するとの研究(がある。シベリアの火災は極めて広い範囲に影響を与えるようだ。

    ■ 侵攻の今年、もはや支援の手はなく

    ゾンビ火災は毎年雪解けの季節になると、大規模な森林火災を引き起こす。例年、火災の発見と対処は軍の任務の一部となっているが、今年はウクライナ侵攻に人員を割かれ、森林火災への対応が手薄となりそうだ。

    インディペンデント紙は、「通常対処を行なっているロシア軍の複数の部隊が戦闘のためウクライナに派兵されていることから、シベリアでは森林火災の確認が行われず、燃えたまま放置されている」と報じた。

    過去にはベラルーシを挟んだポーランドからも消防隊が応援に駆けつけているが、制裁の行われている今年はその支援も停止される模様だ。

    中央ヨーロッパのニュースを発信する『ヴィシェグラード』は、ロシアの行動を嘆く。「数年前には大規模な森林火災の鎮火を助けるべく、ポーランドから数百人の消防隊員がモスクワ地方へ駆けつけた。これはその際の動画だ。今ではシベリアの半分が燃えているが、誰も助けには来ない。ロシアよ、なぜ友でなく敵を作ろうとするのか?」

    ウクライナへの侵攻は、ロシア自身の防火体制にも影を落としているようだ。

    【私の論評】ロシアで相次ぐ異変!プーチン政権が弱体化しているという可能性は否定できない(゚д゚)!

    プーチン大統領

    ロシアのプーチン大統領は10日、シベリアで猛威を振るっている火災に対処するため、地方当局にさらなる対応を命じました。シベリアの火災では週末に少なくとも8人が死亡し、数百棟が焼失しました。

     国営テレビで放映されたオンライン会議で、プーチン大統領は火災が重大な物質的損害を引き起こし、生命、環境、経済への脅威となっていると指摘。記録的な大火災となった昨年のような事態を繰り返してはならないと釘を刺しました。

    北極圏で増え続ける「ゾンビ火災」

    この森林火災日本も対岸の火事ではないです。実際、日本でもロシアの森林火災の影響を受けたことがあります。これは函館の事例です。

    2005年10月30日、私はその頃函館に住んでいたのですが、なにやら朝から焦げ臭い匂いがするので、近所で火災でもあったのかと思ったのですが、ニュースをみてもそのような報道はされていませんでした。

    会社にいって、3階から外をみるとなにや空気が濁ったような感じがして、焦げ臭い匂いもしており、これはただごとではないと感じました。

    日中には、その原因がわからず、家に返ってテレビの報道でこの原因をはじめて知りました。

    当時北海道の函館市内などでは、同年同月30日午前中から煙のようなもので空気が濁る煙霧と呼ばれる現象が続いており、専門家はロシア極東で続いている森林火災による煙が流れてきた可能性が高いと指摘していました。

    この火災が「ゾンビ森林火災」なのかどうかは、わかりませんが、ロシアで大規模な森林火災がおこれば、日本も影響を受ける可能性もあることは認識しておくべきと思います。

    「煙霧」は煙やちりなどによって空気が濁る現象です。函館海洋気象台によりますと、函館市内などでは30日午前10時半ごろから空気が白っぽく濁って見える「煙霧」が確認され、うっすらと物が燃えたようなにおいも漂っていました。

    函館市消防本部には、昼すぎから「辺りが煙っていて、きな臭いが火事ではないか」といった問い合わせがおよそ20件寄せられましたが、火災や野焼きなどはありませんでした。

    当時ロシア極東のハバロフスク地方では大規模な森林火災が発生し、煙が広範囲に広がって問題になっていましたが、当時シベリアなどの森林火災の影響について研究している東北大学の工藤純一教授は、「雲があるため人工衛星の画像で確認することはできないが、火災の発生しているロシアの森林から数百キロにわたって南東の方向に煙が流れており、北海道に到達している可能性が高い」と話していました。

    工藤教授によりますと、ここ数年ロシア極東での森林火災の煙が北海道に達するケースが相次いでおり、2004年10月にも火災の煙が北海道に達しているのが確認されているということでした。

    ロシアでは、森林火災の他にも火災が頻発しています。ウクライナ国境付近を含むロシア西部で先月以降、燃料貯蔵所や国防関連施設などで爆発や不審な火災が相次いでいます。英情報筋によると爆発などは少なくとも19件に上り、ロシアの侵攻を受けるウクライナによる破壊工作の可能性が指摘されています。

    ロシアのタス通信によると、ウクライナに隣接するベルゴロド州の国防省関連施設で1日、火事があり、1人が負傷。2日には州都ベルゴロドで2度、大きな爆発が起きました。

    ベルゴロドやクルスク、ブリャンスク、ボロネジの各州では4月、石油貯蔵所や弾薬庫の爆発、火災が発生。ロシア側は一部についてウクライナのヘリコプターの攻撃によるものだと主張しています。これらの施設はウクライナ東部ドンバス地方で攻勢をかけるロシア軍への補給拠点とみられています。

    4月21日にはウクライナ国境から500キロ余り離れたモスクワ北西のトベリで、ロシア国防省の施設が大規模な火災に見舞われ、少なくとも17人が死亡した。施設はミサイルの研究開発拠点として知られていました。

    トベリの、ロシア国防省の施設が大規模な火災に見舞れた

    ここ数週間、ロシア最大の化学工場、貯蔵所、防衛研究所といった重要な施設で、原因不明の火災や爆発が起きている。こうした不可解な火災の原因について、現在のところロシアは詳細を明らかにしていません。

    ロシア国防省は先月、「領内への攻撃や破壊活動」への対抗措置としてウクライナの軍需施設への攻撃を強化しました。一方、ウクライナ政府は越境破壊活動の可能性に関しコメントを避けつつ、「(ロシアが)他国を攻撃し、多数の人々を殺す決定をしたからには、早晩そのつけを払うことになる」(ポドリャク大統領府顧問)と突き放しました。

    ロシア政府系のニュースサイト「Lenta.ru」は、対ナチス・ドイツ戦勝記念日の9日、所属するジャーナリスト名で、プーチン氏への批判を展開しました。

    CNN(10日)によると、少なくとも30本もの記事が掲載されたのですが、直後に削除されたといいます。 批判記事では、「プーチン氏と取り巻きは戦後、法廷で裁かれる運命だ」との主張や、先月中旬、ウクライナ軍の攻撃で撃沈されたロシア黒海艦隊旗艦のミサイル巡洋艦「モスクワ」について、実際の生還者数を偽っていたなどと記されていたとされます。

    以上のようなことは、プーチン政権の弱体化を示すものなのでしょうか。ロシアから出される情報は精査することが難しいです。プーチン政権が弱体化しているという可能性も否定できず、崩壊が近いかもしれないです。一方で、ニュースサイトの情報は、西側諸国への偽情報の可能性もあります。今後もロシアからの情報については、さまざまな可能性を考えて精査する必要がありそうです。

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    2022年5月10日火曜日

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    ウクライナへの「武器貸与法」に署名 第2次大戦以来―米大統領

    武器貸与法に署名するバイデン大統領

     バイデン米大統領は9日、ウクライナや東欧諸国への兵器貸与を容易にする「ウクライナ民主主義防衛・レンドリース(武器貸与)法案」に署名した。武器貸与法は、第2次世界大戦中に英国などへの支援を促進したことで知られ、連合国が勝利した背景の一つとみられている。

    ロ軍の疲弊鮮明 制裁で兵器調達困難に―西側情報筋

     バイデン氏は署名に際し「ウクライナ人は日々、命を懸けて戦っている。そしてロシア人がもたらす残虐行為は常軌を逸しており、だからこそわれわれはこの問題に取り組んでいる」と語った。

     バイデン政権はこれまでに、ウクライナに対して約45億ドル(約5900億円)相当の軍事支援を供与してきた。同法の成立で大統領はさまざまな手続きを免除する権限を付与され、幅広い支援が迅速化される。

    【私の論評】武器貸与法の復活で米国による支援の本気度がこれまで以上に高まる(゚д゚)!

    武器貸与法とは、第二次世界大戦において、米国が「民主主義の兵器廠(しょう)」になることを希望したF・D・ルーズベルト大統領によって提案され、1941年3月11日米国連邦議会で可決された法律です。

    武器貸与法に署名するルーズベルト大統領

    同法によって大統領は、国防上必要とみなされる場合、外国政府に対して武器・軍需物資を提供できる権限をもつことになりました。同法の実現によって、米国は事実上中立を放棄し、連合国の一員として戦争に関与していきました。

    大戦終結までに総額約500億ドルが開国と英国連邦構成国(これら諸国が総額の6割を占めた)、ソ連、中国など38か国に貸与され、連合国が戦争を遂行するうえで大きな役割を果たしました。
    これまでにも米国はウクライナに対して大規模な軍事的支援を実施してきました。しかし、今回のウクライナに対するレンドリース法案では、そうした支援の際に障壁となっていたさまざまな手続きなどが不要となり、従来と比較してより迅速かつ柔軟な支援が可能となります。

    また、既存の法律に基づく武器貸与の枠組みでは、貸与した武器が破壊されるなどした場合に受け取り国(ウクライナ)がアメリカに対して金銭による返済を行う義務が課されていたり、あるいは武器の貸与期間が5年間に限定されていたりしていましたが、この法案は、これらの規定の適用を免除するというものです。

    レンドリース法はあくまでも「武器を含むさまざまな物資を貸与する」ものであり、当然、戦争が終了すればその返済義務が持ち上がってくることになります。ウクライナの場合、これがどのような形で実現するのかは、今後のアメリカと結ばれることになるであろう返済協定の内容次第になると考えられます。

    第2次世界大戦におけるレンドリース法をめぐっては、すでに消費した物資の費用については支払いが免除されたものの、未消費物資などに関しては米国からそれぞれの国へと売却されることになりました。たとえば英国は、1951(昭和26)年から50年間の分割払いによって債務を返済することで米国と合意し、幾度かの返済延長を経て2006(平成18)年に全額返済を完了しました。

    また、英国は戦時中に、兵器や補給品などを米国へと逆に供与する「逆レンドリース」を行っており、これにより返済額の一部を相殺することで、その減額に成功しています。このように、ウクライナも何らかの形で返済額の一部を相殺することも可能でしょう。

    米国の第2次世界大戦参戦前に成立した前回の武器貸与法は、当時その矛先が向けられていたドイツにとっても当初から無視できない存在となっていました。1941年(昭和16年)12月11日に行われた対米宣戦布告において、ヒトラーは武器貸与法について触れつつ、米国が「武器貸与法によって援助する諸国の支配権を持とうとした」とまで明言しています。

    ヒトラー

    日本も武器貸与法によって苦しめられました。特に日中戦争においては、米国の物資は援蔣ルート(えんしょうルート)によって中国国内に運ばれていました。

    名前の由来は「(中華民国総統の)蔣介石を援助するためのルート」。中華民国の国民政府は、英米ソなどの援助を受けることで劣勢ながらも徹底抗戦を続けたため、日本は日中戦争勃発から第二次世界大戦の終戦までの長期間にわたり、100万以上の兵力を満州国を含む中国大陸に貼り付けて置かねばならず、国力は疲弊しました。

    太平洋戦争の開戦は、中華民国の原動力である援助物資の輸送路である援蔣ルートの遮断もその目的の一つであったと見られています。援蒋ルートにはいくつかありますが、現在の日本では、単に「援蔣ルート」と言った場合、そのうちの一つの「ビルマルート」を想定していることが多いです。

    ビルマルート

    武器貸与法の復活は単にウクライナへの迅速な支援が可能になるというだけではなく、米国による支援の本気度がこれ以上なく高まるということを意味しています。いずれ通常兵器においては、ウクライナ軍はロシア軍を上回ることになるでしょう。

    そして、過去の事例が示しているように、これはロシアのプーチン大統領にとっても決して心穏やかなものとはいえないでしょう。かといって、ロシアが核兵器、化学兵器を用いれば、ロシアは破滅することになりかねないです。


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