ウクライナ国防省は、首都のあるキーウ(キエフ)州全域を奪還したと発表した。ただ、ウラジーミル・プーチン大統領率いるロシア軍による攻撃は、一般市民までも巻き込んだ大虐殺と化しており、血の気が引くような殺害が繰り返されている。「ジェノサイド(民族大量虐殺)」は確実といえ、西側諸国によるロシアへの制裁が長期化するものとみられる。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は3日放送の米CBSテレビで、キーウ周辺の被害を「ジェノサイドだ」と非難した。拷問にあった子供もいるとみられ、ロシア軍が地雷を設置していることから住民にはすぐに帰宅しないよう呼び掛けている。
犠牲になった一般市民の遺体は至る所で放置されている状況だ。
英紙サンデー・タイムズによると、領土防衛隊としてキーウ近郊の警備に当たる庭師のトロビクさん(53)が、別荘地の地下室で18人の遺体を目にしたと証言した。「(ロシア軍は)拷問していたんだ。一部は耳が切り取られ、ほかは歯が抜かれていた。14歳くらいの子供の遺体もあった」という。
これらの蛮行に対し、英国のボリス・ジョンソン首相は3日の声明で、「ロシアのプーチン大統領や軍が戦争犯罪を重ねていることのさらなる証拠だ」と非難した。英国は国際刑事裁判所(ICC)が進める捜査を全面的に支持するとの立場を示した。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長も、自身のツイッターで調査の必要性を訴え、「ウクライナのブチャで殺害された民間人の画像に深いショックを受けた」と投稿した。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領や、米国のアントニー・ブリンケン国務長官らも、ロシアの責任を追及する構えを見せた。
米情報当局は、ロシア側が5月初めまでにウクライナ東部での勝利宣言をする可能性があるとも伝えるが、「戦争犯罪」から免れるはずもない。
福井県立大学の島田洋一教授は「ロシアの行為はICCで裁かれることになる。プーチン政権である以上、ロシアにはさらなる制裁強化も予想される。露骨な蜜月ぶりを披露してきた中国が賢明であるならば、積極的には動きづらい状況である。今後、勝利宣言に向けて戦火が広がれば、戦争犯罪も増えることが予想される」と指摘した。
【私の論評】プーチンとロシアの戦争犯罪は、裁かれてしかるべき(゚д゚)!
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は3日放送の米CBSテレビで、キーウ周辺の被害を「ジェノサイドだ」と非難した。拷問にあった子供もいるとみられ、ロシア軍が地雷を設置していることから住民にはすぐに帰宅しないよう呼び掛けている。
犠牲になった一般市民の遺体は至る所で放置されている状況だ。
英紙サンデー・タイムズによると、領土防衛隊としてキーウ近郊の警備に当たる庭師のトロビクさん(53)が、別荘地の地下室で18人の遺体を目にしたと証言した。「(ロシア軍は)拷問していたんだ。一部は耳が切り取られ、ほかは歯が抜かれていた。14歳くらいの子供の遺体もあった」という。
これらの蛮行に対し、英国のボリス・ジョンソン首相は3日の声明で、「ロシアのプーチン大統領や軍が戦争犯罪を重ねていることのさらなる証拠だ」と非難した。英国は国際刑事裁判所(ICC)が進める捜査を全面的に支持するとの立場を示した。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長も、自身のツイッターで調査の必要性を訴え、「ウクライナのブチャで殺害された民間人の画像に深いショックを受けた」と投稿した。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領や、米国のアントニー・ブリンケン国務長官らも、ロシアの責任を追及する構えを見せた。
米情報当局は、ロシア側が5月初めまでにウクライナ東部での勝利宣言をする可能性があるとも伝えるが、「戦争犯罪」から免れるはずもない。
福井県立大学の島田洋一教授は「ロシアの行為はICCで裁かれることになる。プーチン政権である以上、ロシアにはさらなる制裁強化も予想される。露骨な蜜月ぶりを披露してきた中国が賢明であるならば、積極的には動きづらい状況である。今後、勝利宣言に向けて戦火が広がれば、戦争犯罪も増えることが予想される」と指摘した。
【私の論評】プーチンとロシアの戦争犯罪は、裁かれてしかるべき(゚д゚)!
国際法には、大きく二種類あります。一つがユスアドベルム(戦争のための法)、戦いの正当性に関する掟です。もう一つがユスインベロ(戦争における法)、戦い方の正当性に関する掟です。
ユスアドベルムには、以下の5つの条件があります。
- 正しい理由(攻撃に対する防衛・攻撃者に対する処罰・攻撃者によって不正に奪われた財産の回復)の存在
- 正統な政治的権威による戦争の発動
- 正統な意図や目的の存在
- 最後の手段としての軍事力の行使
- 達成すべき目的や除去すべき悪との釣り合い
ユスインベロには、以下に条件があります
- 戦闘員と非戦闘員の区別(差別原則)
- 戦争手段と目標との釣り合い(釣り合い原則=不必要な暴力の禁止)
テレビ、特にワイドショーなどでは、このあたりを曖昧にして論議をしていて、結果として米国批判、ロシア擁護のようになっている論調が見受けられることには驚くことがあります。
国際法ついては、詳細は以下の記事をご覧下さい。非常にわかりやす行く解説されています。
敵基地攻撃の装備を検討 脅威高まり「専守防衛」拡大プーチンはユスアドベルムとユスインベロの双方に違反しています。プーチンとその支持者は「NATOが東方拡大の約束を破ったから」とウクライナの領土を戦車で踏みにじりました。
この「他国の領土を許可なく戦車で通る」は、ユスインベロです。ユスアドベルムにおける正当性が証明される限り、まったくの正当な戦い方です。ただし、仮にユスアドベルムの正当性が証明されなかったとしても、違法ではありますが犯罪ではありません。ましてやプーチンの命令に従って戦ったロシアの軍人個人に責任はありません。
またプーチンは、「ウクライナがロシア人を虐殺している」と自らを正当化していますが、開戦事由にはならないです。それが一国の判断で許されるなら、侵略戦争はやりたい放題になります。仮にユスインベロに関してウクライナに非があったとて、ロシアをユスアドベルムで正当化できないです。
そもそも。人の世に殺し合いはなくならないです。事実、現在のウクライナとロシアは敵同士です。しかし、お互いが敵になったのですが、人間でなくなったわけではないです。だから、戦いの正当性如何にかかわらず、戦い方には掟があると考えるのが国際法です。
ウクライナ国防省は3月2日(現地時間)、フェイスブックに「捕虜になった息子があなたを待っている」というタイトルで投稿し、母親たちがウクライナに息子を連れに来れば捕虜を返すことにしたと明らかにした。[ウクライナ国防省のフェイスブック] |
違法と犯罪は違います。浮気と殺人の違いくらい違います。
ユスアドベルム=ロシアのウクライナ侵攻に正当性があるか?
ユスインベロ =ロシアがウクライナでやっていることに正当性があるか?
プーチンとそのプロパガンダを垂れ流す論者の主張を、これに当てはめてみます。
■ユスアドベルム(jus ad bellum)に関するプーチン及び擁護者の主張
①NATOが約束を破って東方拡大した。①~④の後に「だから自衛行動をとる」と続きます。
②ウクライナはロシア人を虐殺している。
③ウクライナはネオナチだ。
④ウクライナはディープステートだ。
①は1945年にロシア自身が禁止した「予防戦争」です。1914年までなら問題ないですが、現在は違法です。
②であれば、国連に訴え、その調査を待てばよいです。満洲事変でこれを実施した日本を批判していたのは、どこの国だったでしょう。
なお、「ウクライナ人がモスクワで無差別テロをやった」という主張があり、国連決議を採れれば、9.11テロでアフガンのタリバン政権を破壊した米国と同じです。
仮にウクライナ政府がロシア人を虐殺しているとしても、手続き上の正当性はありません。満洲事変の時の日本政府でさえ、中華民国に何度も抗議をしています。
③これは、ロシアの外交官が主張しています。これが開戦事由なら、日本の右翼が北方領土に上陸したら、東京にミサイルを撃ち込んで占領して良いという理屈になります。尖閣諸島に、中国が民兵を上陸させたら、日本は香港にミサイルを打ち込んで占領して良いという理屈になります。この程度のレベルですから、ロシアは今や同盟国にすら笑い者にされているのです。
④は、さすのプーチンすら言っていません。これを語る日本人は、アタマは大丈夫なのでしょうか?もちろん、開戦事由にならないのは③と同じことです。
国際紛争において、正当性が無い相手だからと何をやっても良い訳ではありませんし、正当性があるからと何をやっても良い訳ではありません。
たとえば、「相手がネオナチだから」とか、「ディープステートだから」それだけの理由で虐殺してよい訳ではありません。無論これは立場を変えて、相手がプーチンの侵略戦争に加担しているロシア人だからと、何をやってもよいというわけではありません。
国際法は「お互いに敵になっても人間でなくなったわけではない」を大原則とします。これを認めないと、戦いは無限大に悲惨となります。だから、「殺し合いにおいても守らねばならない掟がある」と説いたのが、フーゴ―・グロティウスです。
以上を踏まえた上でユスインベロ、プーチンの行動は正当化されるるかどうか検討してみます。
■ユスインベロ(jus in bello)
①正規軍隊による国境突破。→ユスアドベルムが証明される限り正当。
②民間人への殺人→原則違法。あるいは犯罪。
ただし、正当な理由がある限り、正当。誤認の場合は、謝罪・賠償・責任者処罰・再発防止を自分で行う。復仇として認められる場合もありますが、著しい過剰防衛は許されないです。正当性の証明は一義的に加害者が行う。③核兵器の先制使用による恫喝
これは、意味不明です。少なくとも、非核国のウクライナ相手に行う理由はありえないです。④原発への先制砲撃。
人類史上初の行為なので確立した国際法はなく、今回が先例となるでしょうが、確実に人道に対する罪。つまり、ヒトラーと同ですじ。ロシア政府公式見解「ウクライナが挑発してきた」ならばですが、この時点で100%の犯罪です。ロシア側は「やってない!」と国連で主張しています。⑤正規軍隊による占領、領土の一部ないし全部の割譲。
講和条約の条件となるので、ユスアドベルムに戻ります。ユスインベロに著しく反している場合、国際社会が認めない場合が多いです。ちなみに、プーチン擁護論者は、ここまで「違法(行為)」と「犯罪」を区別して使ったの、理解しているのでしょうか。わからなければ、身近な外交官にでも質問すべきです。ユスアドベルム(戦争のための法)において、その戦いの正当性が証明されなかった場合は、単なる違法です。負ければ、国が領土や賠償金を払って償わなければならないです。逆にユスインベロ(戦争における法)を犯した者は、戦争犯罪人として牢屋行きです。
スロボダン・ミロシェビッチやサダム・フセインは容疑の証明が曖昧だったにもかかわらず、牢屋に送られて死にました。 日本人はプーチンを甘やかしてきましたが、奴は日本とって味方でも何でもないことを認識すべきでしょう。
上の記事では、ロシアの行為はICCで裁かれることになるとされていますが、それは可能なのでしょうか。
ICCにおいては、戦争犯罪行為を実行した兵士の法的責任を追及する「侵略戦争を引き起こした」罪でも起訴することができます。
これは、正当化できない侵略や紛争、正当化できる自衛の範囲を超えた軍事行動などに適用さます。
こうした行為が犯罪と見なされるのも、ニュルンベルク国際軍事裁判が発端です。当時のソヴィエト連邦政府が派遣した判事が連合国に対し、ナチスの指導者を「平和に対する罪」で裁判にかけるべきだと説得したのがきっかけです。
しかし、これには問題があります。英ユニヴァーシティ・コレッジ・ロンドンのフィリップ・サンズ教授(国際法)によると、ロシアはICCの締約国ではないため、その指導者を平和に対する罪では裁けないといいます。
理論的には、国連安保理が平和に対する罪についてICCにで捜査を依頼することもできます。しかし常任理事国のひとつとして、ロシアはこれにもやはり拒否権を発動するでしょう。
ICCや国際法が現実でどのような効力を発揮するのかは、条約そのものだけでなく、政治や外交にも左右されます。
サンズ教授をはじめとする専門家らは、今回のロシアのウクライナ侵攻の処理はニュルンベルク裁判のように、外交と国際的な合意に委ねられるとみています。
サンズ教授は各国首脳に対し、ウクライナ侵攻における犯罪を裁く特別法廷を設けるよう働きかけています。いずれにせよ、どのような形式であれ、これは裁かれるべきでしょう。
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