「人殺し」に助けてもらうのか
ウクライナ危機のニュースに毎日接しているうちに戦争がだんだん他人事ではなくなってくる。共産党の志位委員長が、有事の際に自衛隊が「国民の命を守るのは当然」と発言し、自衛隊を違憲だとする共産党の立場と矛盾すると批判された。
危機に気づかないニッポン大丈夫か?
では日本はどうなのか。安倍元首相が今年度5.4兆円の防衛費を来年度は6兆円越えにしたらどうかと提案したら、野党からは「不誠実だ」などの批判の声が上がった。ドイツみたいにGDP2%(日本なら10兆円)にしろと言っているわけでもないのに「不誠実」と叱られる、これが日本だ。
そうした観点からすると最近一番気になるのが、ロシアの元上院議長が「ロシアは北海道を領有する権利を持つ」と発言でしょう。ロシアから平和条約締結交渉を一方的に蹴っ飛ばされるなど、日ロ関係が急速に悪化する中、波紋が広がっています。
米韓が北にらみ事前演習 米空母、近海に4年半ぶり―【私の論評】ロシアのウクライナ侵攻と韓国新大統領の就任を契機に、日米韓の軍事演習が活発化する(゚д゚)!
自衛隊のことを「人殺し」と呼ぶくせに、身の危険を感じたら助けてくれと言うのは虫が良いのではないかと思うが、ある意味正直でもある。むしろ「憲法9条を守ってさえいれば平和は守られる」といまだに言っている人達の方がヤバいかもしれない。
「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を維持しようと決意した」という日本国憲法の有名な前文があるのだが、残念ながらロシアはもちろん、北朝鮮も「平和を愛する諸国民」ではない。中国も、たぶん、違うだろう。
ウクライナ危機が打ち砕いた幻想
だからウクライナのように核を放棄し、どこの軍事同盟にも属さないと、「平和を愛さない諸国民」に侵略される恐れがあることが今回わかった。つまりウクライナ危機は日本における「9条神話」という幻想を打ち砕いてしまったのだ。
ウクライナ危機が打ち砕いた幻想
だからウクライナのように核を放棄し、どこの軍事同盟にも属さないと、「平和を愛さない諸国民」に侵略される恐れがあることが今回わかった。つまりウクライナ危機は日本における「9条神話」という幻想を打ち砕いてしまったのだ。
先日あるロシアの政治家が「ロシアは北海道の権利を持っている」という発言をしたというニュースを見てぞっとした。「あの土地は元々俺たちのものだ」といセリフは専制国家が侵略する時に必ず使うキーワードだからだ。 ウクライナ危機はもう一つの幻想も打ち砕いた。
それは「再生エネルギーさえあれば原発も、そして石炭火力もいらない」という欧州発の間違った考え方だ。 先月日本では地震で一部の火力発電所が停まり、そこに悪天候が重なって初の「電力需給ひっ迫警報」が出た。今後ロシアからの石油や天然ガスが止まれば日本の電力危機はさらに深刻になる。
「ロシアは戦費調達にあなた方を利用している」とゼレンスキー・ウクライナ大統領に議会で演説され、国際的に大恥をかいたドイツは、安保もエネルギーも大幅な政策転換を迫られている。 軍事費についてはGDP比2%に大幅引き上げすることを決めたが、脱原発の流れはまだ止まっておらず、現時点では石炭火力発電の廃止を先送りするくらいしかできないようだ。
危機に気づかないニッポン大丈夫か?
では日本はどうなのか。安倍元首相が今年度5.4兆円の防衛費を来年度は6兆円越えにしたらどうかと提案したら、野党からは「不誠実だ」などの批判の声が上がった。ドイツみたいにGDP2%(日本なら10兆円)にしろと言っているわけでもないのに「不誠実」と叱られる、これが日本だ。
エネルギーに関しても岸田首相は「原発はベースロード電源であり重要だ」という従来の答弁を繰り返すだけで、積極的な原発再稼働にカジを切るわけでも、小型モジュール炉の導入による「新設」に言及するわけでもない。
わが日本は大丈夫なのだろうか。やはり北朝鮮のミサイルが九州の端っこに落ちるとか、ロシア兵が間違って北海道に上陸するとか、あるいはある日突然、大停電で東京がブラックアウトになるとか、そういうとんでもないことが起こらない限り、平和で、安全で、豊かな国ニッポンに住んでいる我々は本当の「危機」に気づかないのではないだろうか。
【執筆:フジテレビ 上席解説委員 平井文夫】
【私の論評】ロシアの北海道への領土的野心と、略奪などに備えよ(゚д゚)!
上の記事では、ニッポン人という表記がありますが、これはどういう、意味なのでしょう。このブログでも過去に「ニッポン人」とか「日本人」という表記をしたことがあります。
その時には「日本人」とは日本の過去の伝統を受け継いだ人のことであり、「ニッポン人」とはそうではない人のことをいうというような定義をして用いました。
上の記事の平井氏も、そのような意味で用いているのだと思います。そうして、平井氏がわざわざ「ニッポン人」として、批判したのは、日本にはこの「ニッポン人」とは異なる、危機を危機として認識する「日本人」も存在していることから、その「日本人」をも否定することを避けるためにわざわざ「ニッポン人」という言葉を用いたのだと思います。
平井氏が「豊かな国ニッポン」と表記したのも、日本の伝統をすっかり忘れてしまい、サファリパークのライオンのようになってしまっている日本を憂いたからこそ、この言葉を使っているのでしょう。
私自身は、自分のことを「日本人」だと思っています。だかこそ、このブログで従来から中露の危険については、随分前から指摘してきました。このブログを最初に書き始めたのは、2007年のことです。
最初はブログのタイトル「犬とレストランとイタリア料理」通りの内容からはじめましたが、あの民主党が政権をとったころから、かなりの危機感を感じたため、時事的な内容が増え、その後それがほとんどとなり、現在に至っています。
これからも、「日本人」的価値観で、時事問題を扱い、日常に潜む様々な危機を明るみに出していこうと思います。
ロシアのネットメディア「レグナム」が配信したインタビュー記事(4日付)で、「どの国でも隣国に対して領有権を主張でき、国益の観点からそうする正当な理由がある。これまでクリル諸島(北方領土と千島列島)を欲しがっていたのは日本だけだった」と持論を展開。
先立つ1日には「日本はクリル諸島に関して常にロシアにクレームをつけているが、一部の専門家によれば、ロシアは北海道の完全な権利を有しているという」とツイートしていました。
ウクライナで想定外の苦戦にあえぐロシアに二正面で構える余裕はないとはいえ、気味の悪さは拭えない。
これに対して防衛省関係者は「万が一、ロシア軍が北海道侵攻を企てたとすれば、専守防衛が国是である以上、海岸線では防御できない。自衛隊は旭川-帯広ラインで押し戻すのが精いっぱいです」と語っています。
ただ、これについては従来からこのブログでは反論をしてきました。まずは、現在のロシア軍は、海上輸送能力が脆弱であり、北海道に大部隊を一度に送り込むことはできません。そのため、日本の自衛隊が上陸位置をあらかじめ察知すれば、その都度撃破されるということになります。
現在もそうなのですが、ソ連の時代も海上輸送力が脆弱であったため、結局ソ連が北海道に上陸する可能性は実はかな低かったといわれています。
さらに、日本はロシアに比較すると、対潜水艦戦闘力がかなり強く、特に潜水艦のステルス性においては、ロシアを大きく引き離しており、海戦においては日本が圧倒的に有利です。そうなると、ロシア軍が北海道侵攻を目指して大艦隊を送り込んできたとしても、そのほとんどは撃沈されてしまいます。
それでも、多大な犠牲を出しながらも、ロシア軍が北海道に部隊を上陸させたとしても、日本が北海道を潜水艦で包囲すると、補給部隊は北海道に近づくこともできず、近づけば撃沈されてしまいます。北海道に上陸したロシア軍部隊は、弾薬、食糧などを補充できなくなり、お手上げになります。
しかし、だからといって安心というわけではありません。上記のように、仮にロシア軍が北海道に侵攻して、負けたとしても、北海道の住民や自衛隊は大きな被害を被ることは避けられないからです。
それこそ、現在のウクライナのような状況になるでしょう。多くの人が犠牲になることが予想されます。やはり、最初から侵攻などされないほうが良いに決まっています。
近海では米ロが一触即発状況です。そうでなくても、ウクライナ戦争の影響で、北海道周辺は緊張が高まっています。このブログでも紹介したように、ロシアはカムチャツカ半島に拠点を置く太平洋艦隊の潜水艦基地ルィバチに、核兵器を積んだ弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN)を配備。オホーツク海を潜航し、日本列島の近くを行き来しています。
これについてはも、対潜水艦戦闘力に優れた日本の自衛隊は、哨戒能力も高く、その動向を詳細に把握しているでしょう。これについては、日本は冷戦時に多数の最新鋭の哨戒機を米国から購入し、哨戒任務にあたり、その情報を米国と共有し、実質的にソ連の原潜をオホーツク海に封じ込めたという歴史があります。
これにより、日本の対潜哨戒能力は飛躍的に向上氏、今やその能力は米国とならび世界トップクラスです。そうして、いまでも日本の自衛隊はロシア軍の潜水艦や艦艇に目を光らせています。
そのため、ロシア原潜も迂闊な動きはできません。ただ、将来的にプーチンがウクライナに侵攻したように、ロシア軍が北海道には絶対に侵攻してこないなどという保証はありません。
ウクライナ戦争をめぐり、米国が主導するNATO(北大西洋条約機構)の直接介入を阻止したいプーチン政権は核使用をチラつかせていますが、米国への対抗措置のひとつがオホーツク海からワシントンへの核ミサイル攻撃です。そうしたことから、北方領土や千島列島で軍事演習を繰り返しています。
在日米軍は当然、そうした動きを監視しています。ウクライナ戦争が米ロ戦争に拡大した場合、SSBNを沈めることが在日米軍の最大の役割になるからです。これに対しても、日本の自衛隊はその卓越した対潜哨戒能力を生かして、米国に大きな貢献をしているのは間違いないでしょう。
そのたいめ、滅多なことでは、ロシアが米国や日本に対して核攻撃をするということはないでしょうが、まかり間違ってロシア軍が北海道に侵攻するということでもあれば、戦況はロシア軍にとって圧倒的に不利な状況になりますから、それを打開するために戦術核を使うということは十分にありえることです。
そうなれば、日本が多大な被害を被るのは間違いないです。これは、避けるべきです。これについては、高橋洋一氏が興味深い主張をしています。その動画を以下に掲載します。
詳細はこの動画をご覧いただくものとして、高橋洋一氏は、まずは最近のロシアの動向に対抗して、日本はオホーツク海で大規模な軍事演習を行うべきことを主張しています。ロシアは最近北方領土でミサイル発射の軍事演習を行っています。これに対して、日本側が何もしないということではなく、これに対応して日本側も大規模な軍事演習を行うべというのです。
これは、外交上の常識として当然実施すべきものです。それと、古い日露間の条約では、樺太、千島列島の交換することを決めているわけですから、そこにまで戻って千島列島の全変換の交渉をすべきだとも語っています。これも外交上の常識といえます。
ただ、高橋氏は「岸田政権」には無理だろうと語っています。自民党内の保守系議員の方、なんとか頑張ってこれを実現していただきたいものです。
そうして、上の平井氏の記事で気になるのが、「ロシア兵が間違って北海道に上陸」という部分です。
これについては、前例があります。昨年民間のロシア人が国後島から、北海道まで泳いで渡っています。それに、2017年に松前小島に上陸した北朝鮮木造船の漁船員が泥棒をして逮捕されたという事件もありました。
目を海外に広げると、そのようなことは多くあります。北朝鮮の暴風軍団が最近そのようなことで逮捕されています。これは、朝鮮人民軍第11軍団としても知られる山岳戦、夜戦、後方撹乱などに長けた北朝鮮の特殊部隊です。
先月、咸鏡北道(ハムギョンブクト)や両江道(リャンガンド)の国境地帯に派遣されたのですが、新型コロナウイルス対策としての国境警備の強化、国境警備隊の勤務状態の監視などが目的と見られています。そんな暴風軍団のある兵士が、犯罪目的で一時的に脱北する事件が起きました。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じました。
北朝鮮暴風軍団 |
逮捕後の身体検査で、現金500元(約7700円)と中国の長白山ブランドのタバコ2カートンを隠し持っているのを発見されました。取り調べでこの兵士は、強盗目的で密かに国境を越えて中国に渡ったと自白しました。
中朝国境地帯の中国側では脱北兵士による凶悪犯罪が相次いでいました。
2014年12月には、吉林省和龍市の村の民家に北朝鮮軍の兵士が押し入り、4人を殺害し、カネを奪って逃げる事件が起きました。2015年4月にも同じ和龍市で北朝鮮軍の兵士が強盗殺人事件を起こしています。
強盗までに至らなくとも、川沿いにある食堂にやってきて食べ物、ビール、タバコをねだりに来るといいます。断ると嫌がらせをされるため、食堂のオーナーは応じざるを得ないそうです。
その後、国境警備の強化で脱北兵士による犯罪が減少した模様ですが、現地では、暴風軍団のせいで同様の事件がまた増えるのではないかとの懸念が高まっています。
これについては、前例があります。昨年民間のロシア人が国後島から、北海道まで泳いで渡っています。それに、2017年に松前小島に上陸した北朝鮮木造船の漁船員が泥棒をして逮捕されたという事件もありました。
目を海外に広げると、そのようなことは数多くあります。北朝鮮の暴風軍団が最近そのようなことで逮捕されています。これは、朝鮮人民軍第11軍団としても知られる山岳戦、夜戦、後方撹乱などに長けた北朝鮮の特殊部隊です。
先月、咸鏡北道(ハムギョンブクト)や両江道(リャンガンド)の国境地帯に派遣されたのですが、新型コロナウイルス対策としての国境警備の強化、国境警備隊の勤務状態の監視などが目的と見られています。そんな暴風軍団のある兵士が、犯罪目的で一時的に脱北する事件が起きました。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じました。
逮捕後の身体検査で、現金500元(約7700円)と中国の長白山ブランドのタバコ2カートンを隠し持っているのを発見されました。取り調べでこの兵士は、強盗目的で密かに国境を越えて中国に渡ったと自白しました。
中朝国境地帯の中国側では脱北兵士による凶悪犯罪が相次いでいました。
2014年12月には、吉林省和龍市の村の民家に北朝鮮軍の兵士が押し入り、4人を殺害し、カネを奪って逃げる事件が起きました。2015年4月にも同じ和龍市で北朝鮮軍の兵士が強盗殺人事件を起こしています。
強盗までに至らなくとも、川沿いにある食堂にやってきて食べ物、ビール、タバコをねだりに来るといいます。断ると嫌がらせをされるため、食堂のオーナーは応じざるを得ないそうです。
その後、国境警備の強化で脱北兵士による犯罪が減少した模様だが、現地では、暴風軍団のせいで同様の事件がまた増えるのではないかとの懸念が高まっています。
北朝鮮は、中国に比較すると、かなり貧乏であり、それがこの事件の誘引にもなっていると思われます。
中露は北朝鮮ほどには貧乏ではありませんが、それでも個人あたりの所得は100万円前後であり、日本と比較すればかなり低いです。中露人にとって、日本は天国のように豊かな国です。日本の家電品や身の回りののは、彼らにとっては宝の山です。
ロシア兵は、ウクライナで略奪をし、それをウクライナの郵便局から、ロシアに送っているとか、ウクライナ軍が傍受したロシア兵の会話では略奪を自慢しているものもあるといわれています。
ロシア軍がせめてこなくても、北方領土と北海道は泳いで渡れるほど近いですから、ロシア軍の不心得者が、やってきて略奪などをする可能性は否定できません。私はロシア軍の北海道侵攻より、こちらのほうがはるかに可能性が高いと思いますし心配です。
ロシアは財政難でロシア人の生活はますます苦しくなります。そうなると、ロシア軍の規律も緩んでくるおそれがあります。こうした略奪行為が大規模化する可能性はあります。それがエスカレートして、強姦、殺人にも発展しかねません。
そうして、中露北は日本に近く、いつ狼藉者が侵入してくるかわかったものではありません。さらには、ロシア経済が疲弊すれば、ロシア人難民が日本に大挙して押しよせてくることもあり得ます。ゼロコロナ対策で大混乱する中国や、北朝鮮からも来ることもあり得ます。こういうことにも、日本は対処すべきでしょう。
そのためには、防衛費の増加は無論のこと、こうしたことにも的確に対応できるよう、法改正も必要です。犠牲が出てからでは遅すぎるのです。
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