2021年6月12日土曜日

【日本の解き方】東京五輪後に政治はどう動く? ワクチンは9月末に8割接種、10月10日に衆院選の投開票も ―【私の論評】五輪か命の二者択一ではなく、万全な感染対策で命と五輪を両立させ開催すべき(゚д゚)!

【日本の解き方】東京五輪後に政治はどう動く? ワクチンは9月末に8割接種、10月10日に衆院選の投開票も 
東京五輪、21年7月開催へ

東京五輪のモニュメント

 東京五輪の開幕まで約1カ月半となった。五輪とパラリンピック閉幕後の政治シナリオはどうなるだろうか。

 菅義偉首相のこれまでの言動からみると、新型コロナウイルス対策が最優先で、その中で五輪・パラリンピック開催や衆院解散を考えているのだろう。

 当面の政治スケジュールを確認しておこう。通常国会は延長なしで6月16日までだ。東京都議会選挙は25日告示、7月4日に投開票される。東京五輪は7月23日から8月8日、パラリンピックは8月24日から9月5日まで開かれる。そしてデジタル庁が9月1日に発足する。

 菅首相の自民党総裁の任期は9月30日に、衆院議員の任期は10月21日にそれぞれ満了となる。ここまでくると衆院選の日程はかなり絞られてくる。最短でパラリンピック後の9月6日に臨時国会を召集し、補正予算を通して28日公示、10月10日投開票が考えられる。

 9月28日は大安で10月10日は先勝だ。縁起的にも申し分ないスケジュールだが、新型コロナの状況を考慮しても合理的選択肢だといえる。

 ワクチンについては、控えめな予測でも東京五輪までに国民の4割以上が接種できるだろう。かなりの人に新型コロナウイルスの耐性ができ、新規感染者が落ち着く可能性が高い。今とは全く違う光景になるだろう。

 無観客などの対策を実施すれば、五輪が感染拡大の契機にもなりにくい。それはこれまでの各種国際大会や国内スポーツイベントでも明らかだ。となると、ワクチン接種を前提とすれば、五輪は間違いなく開催できる。

 日本のワクチン接種率の国別順位は、4月19日時点で71位、5月20日時点で79位、6月3日時点で71位だ。ただし、新型コロナの感染状況を加味した順位でみると、4月19日時点で45位、5月20日時点で42位、6月3日時点で32位と、ここにきて急速に順位を上げている。

 ワクチン接種については、従来の集団接種やかかりつけ医での接種に加えて、自衛隊による大規模接種センターや、企業や大学での接種など、地元医師会の主導とは別ルートでの接種方法も出てきている。今後の接種状況は、筆者が想定した控えめなものより急速に進展するだろう。

 9月末ごろになると、総ワクチン接種率は8割程度になっていると考えられる。これは、今の欧州より高く、英米並みの数字で、ほぼ集団免疫を獲得しているといっていい。そこまでくると、新型コロナへの心配は無用となっているだろう。

 菅政権としては、五輪とパラリンピックの興奮が冷めないうちに、解散総選挙をしたくなってもおかしくない。パラリンピック後に速やかに補正予算を通して、前述したように、9月28日公示、10月10日投開票という公算が大きいのではないか。

 補正予算は、5月の緊急事態宣言などからGDPギャップ(完全雇用を達成する潜在GDP水準と現実のGDP水準の差)が30兆円程度あることを考慮すれば、かなりの規模にする必要がある。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】五輪か命の二者択一ではなく、万全な感染対策で命と五輪を両立させ開催すべき(゚д゚)!

東京五輪の開催が1カ月半後に迫り、「命と五輪とどちらが大事か」という二者択一の議論が国会やマスコミをにぎわしています。これは、あまりにも極端な論議だと思います。

二者択一というのではなく、感染対策を万全にすることで、命と五輪を両立させるという三つ目の選択肢もあります。

もうすでに効果があるとわかっていることでも、大々的に実施されていないこともあります。たとえば、次亜塩素酸水や紫外線、光触媒などウイルスを効果的に殺菌できる理学と工学の手法を総動員すべきです。

これについては、すでに、平成26年にある論文が発表されています。その論文の表紙とリンクを以下に掲載します。




「理学・工学との連携による 革新的ウイルス対策技術の開発」

医学的なアプローチ以外にもこのような有効な手法もあるのに、なぜ国会で「あらゆる感染対策をして五輪を成功させよう」という前向きの議論がされないのでしょうか。五輪開催は世界の希望となるとともに、私たち日本人にとっても、困難を跳ね返すことにやり自分たちの真の力を取り戻すきっかけとなりますし、さらには経済効果もあります。

函館五稜郭病院に設置された室内を殺菌するUV―C紫外線照射システム

それに、五輪が開催されなかった場合の、日本の損失ははかりしれません。無論賠償金の問題もありますが、それだけではなく、日本人の自信喪失につながるのは間違いないです。

5月12日、衆議院第一議員会館大会議室において「感染対策を資材と方法から考える超党派議員連盟」の設立総会が約50人の国会議員の参加で開かれました。会長に就任した片山さつき元地方創生担当相は「いま感染対策に何らかの思いを持たなければ国会議員ではない。感染対策に有効性があるものを活用、改善するプロセスなくして、この難局と戦うことはできない」と挨拶しました。

先にあげた、理学・光学的手法は、五輪後においても、デパート、レストラン、映画館、病院、介護施設、保育園、幼稚園、小中高の学校、大学、企業のオフィス、家庭など、あらゆる場所で利用できます。それによって医療機関の過度の負担が大幅に軽減され、あらゆる分野で我が国の経済力の復活につながることになります。

ワクチン接種が進んだ欧米諸国は、新規感染者の発生が激減し、日常を取り戻しつつあります。しかし、国立研究開発法人「国立循環器病研究センター」の健康サポートセンターは「定期的(多分6か月ごと)に流行中の変異新型コロナウイルスに有効なワクチンを接種する必要」を示唆しており、ワクチンはゲームチェンジャーだが万能ではないことを示しています。

実際、英国では1日の感染者数が6万人を超える感染爆発に見舞われた今年1月、英国は人口の8割弱を占めるイングランドで原則自宅待機の強いロックダウンに踏み切りました。並行して、ワクチン接種を加速させ、4月には新規感染者を一気に2000人程度にまで減少させました。 そうして、3月以降、徐々にロックダウンを緩和し、今月21日には全面解除する予定でした。 ところが、ジョンソン首相は2日、全面解除について「慎重に対応する必要がある」とロックダウンの延長をにおわせました。足元の感染者数は5000人を超えるまでになってるからです


日本の感染者数は6月11日現在では、2044人です。イギリスの人口は6665万ですから、5000人以上の感染者というと、日本におきかえると、9000人くらい発生しているのと同程度です。

日本でワクチン接種が遅れたのは、日本が他国と比較すると、感染が桁違いに低く抑えられていたからであり、感染が酷いところからワクチン接種を開始すべきという防疫上の理論からいえば、当然のことなのです。日本が英米と同じ時期に、ワクチンを確保していたら、米英などの感染の酷い国々のワクチン接種を阻害することになり、他国から非難されたおそれもあります。

そのワクチン接種も急ピッチで進んでいます。そうして、英国南西部コーンウォールで始まった先進7カ国首脳会議(G7サミット)は11日午後(日本時間12日未明)、初日の討議を終えました。菅義偉首相は東京五輪・パラリンピックを開催する方針を表明し、「世界のトップ選手が最高の競技を繰り広げることを期待している。強力な選手団を派遣してほしい」と要請しました。日本政府によると、G7首脳は支持する意向を示しました。

G7サミットで記念撮影をする菅義偉首相(後列左から2人目)ら各国首脳

東京五輪は、あらゆる方法を駆使してウイルス感染を防ぎ、二者択一というのではなく、感染対策を万全にすることで、命と五輪を両立させて開催すべきです。それこそ、日本の能力、日本人の能力を世界に見せるチャンス、日本が世界の希望となる大きなチャンスです。

大きな長い苦しみの果にとうとう最初に五輪が開催される場が日本になるということは、何と素晴らしい名誉なことではありませんか。これを成功させれば、人々の間に長く記憶に残る祭典になります。まさに、私達日本人が、人類がパンデミックに打ち勝てることを示す新たな世界史の1ページを綴ることになるのです。

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