2022年10月14日金曜日

焦点:ロシア核部隊が近く大規模演習、西側に必要な「正確な意図」見抜く目―【私の論評】現実的な脅威は、露軍がウクライナの原発を暴走させ核汚染でウクライナを軍事的緩衝地帯にすること(゚д゚)!

焦点:ロシア核部隊が近く大規模演習、西側に必要な「正確な意図」見抜く目

10月13日、ロシアのプーチン大統領が核兵器使用の可能性をちらつかせる中で、同国の核戦力運用部隊が近く大規模演習「グロム」を行う見通しだ。

 ロシアのプーチン大統領が核兵器使用の可能性をちらつかせる中で、同国の核戦力運用部隊が近く大規模演習「グロム」を行う見通しだ。このため米国やその同盟国は、ロシアが本気で動くつもりか、それとも単なる演習の範囲内の行動にとどまるのかを確実に見分けるという重要な課題を背負わされることになる。

 ロシアは毎年この時期に核戦力の大規模演習を実施するのが恒例で、西側の専門家によると今年も数日中に始まるとみられる。複数の米政府高官は、演習にはさまざまな弾道ミサイルの発射実験も含まれる公算が大きいと述べた。

 ただ今年はプーチン氏が、長引くウクライナでの戦闘を背景にロシア領土を守るためには核の使用も辞さないと公言している中で、一部の西側当局者はロシアが演習を通じてわざと自分たちの意図をくらませようとする可能性があると警戒している。

 西側当局者の1人はロイターに「だからこそロシアは核戦力の演習を行おうという時期に、あえてことさら過激な言い回しはしたがらない。なぜなら、そうする(過激な言葉を避ける)ことでわれわれ側は、目にする彼らの行動や実際に起きる出来事について、通常の演習かそれとも別の何かなのかを確かめるという余計な負荷がかかるからだ」と説明した。

 それでもこの当局者は、西側のそうした判断力には「高い自信」があると言い切った。

 北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長はブリュッセルにおける会見で、今回のロシアによる年次演習もこれまで数十年と同じように、NATOがしっかり監視していくと請け合った。

 米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報担当調整官は、グロムではミサイルの実射を含めてロシアの戦略核運用部隊が大々的に展開することになるとした上で、それらはあくまで「ルーティーン」だと指摘。「ロシアは恐らく、この演習が特に最近の事象に照らして自らの戦力投射能力を向上させると信じているだろう。だがわれわれは、ロシアの核運用部隊が毎年この時期に大規模な訓練をすると承知している」と語り、米国は状況を「注視する」と付け加えた。

 ある米国防総省高官は、ロシアの演習はNATOが計画し、来週開始する核抑止のための演習「ステッドファースト・ヌーン」と同じタイミングで実施されると予想するとともに「ロシアがウクライナで戦争しながら核に言及し、この演習を決めたのは無責任極まりない。核兵器をふりかざして米国や同盟国を威嚇するというのも無責任だ」と憤りをあらわにした。

 プーチン氏が具体的な核攻撃の準備に入った形跡は今のところ見当たらない。しかし過去1カ月でウクライナの反撃が功を奏してきたのに伴い、ロシアから発せられる核兵器に関する言い回しはだんだんと強い調子になってきた。

 最近ではプーチン氏がウクライナの4州併合を一方的に宣言し、「ロシア領」防衛には核を使うと脅している。一方NATO高官の1人は12日、ロシアが核攻撃すればNATOは「物理的に対応」すると述べた。

 オースティン米国防長官は13日のNATO国防相会合後に、米国の核戦力態勢に変化を促す「兆候や警報」は目にしていないと発言した。

【私の論評】現実的な脅威は、露軍がウクライナの原発を暴走させ核汚染でウクライナを軍事的緩衝地帯にすること(゚д゚)!

昨年の12月21日のロシア国防省拡大理事会の会議において、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、ボストークとグロムの軍事演習を2022年に開催すると述べていました。

ロシア国防省に近い情報筋は、2022年のはじめに実施するとしていました。ただ、これは、ウクライナ侵攻のための準備などで延期されたものとみられます。

ロシアの戦略核戦力の戦略的指揮と要因の演習「グロム」は、毎年定期的に開催され、3つの枠組みからなっています。

まず第一は、北方艦隊の地下ミサイル発射基地からは、カムチャツカ半島のクラ試験場の標的に対して大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射します。

第二に、太平洋艦隊の原子力潜水艦は、ロシア北部のチザ試験場で標的に対してICBMを打ち上げます。

第三に、ロシア戦略ミサイル軍は、以上に加えて、空軍の長距離爆撃機によるICBMと巡航ミサイル発射に関する戦闘訓練も行っています。

 過去のグロムで用いられた長距離爆撃機

今年もこのような演習を行うものとみられています。この演習が例年と同じであれば、問題はないと思うのですが、ロシア側がこれをことさら恫喝に使うことになれば、問題です。

欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表(外相)は13日、ロシアのプーチン大統領がウクライナに対し核兵器を使用すれば、米欧の軍事的対応によって、ロシア軍は「壊滅」に至ると警告しました。

欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表(外相)

ボレル氏は、ブリュッセルの外交アカデミーで「プーチン氏は(核使用が)脅しではないと言っているし、彼にはったりを言う余裕はないだろう」と発言。「ウクライナを支援する人々とEU、米国と北大西洋条約機構(NATO)もはったりを言っていないと、はっきりさせなければならない」と強調しました。

その上で「ウクライナに対するいかなる核攻撃も返答を伴う」と指摘。「核ではないが、ロシア軍が壊滅するような強力な対応」が取られると語りました。

米国家安全保障担当大統領補佐官のジェイク・サリバンは9月25日にアメリカの三大ネットワークに次々と出演し、ロシアによる核の威嚇に対する政権の対応を明らかにしました。

まずABCニュースでは、「ウクライナで核兵器を使えば壊滅的な結果を招くぞと、極めて高いレベルでロシア側に直接、内々に伝えてある」と語りました。

またNBCの報道番組『ミート・ザ・プレス』では、「ロシアがこの一線を越えたらアメリカは断固として対応する」と述べました。そしてバイデン政権はロシア側とのやりとりの中で「これが何を意味するのか、より詳細に説明している」としました。

その「断固として」が何を意味するのかは明かされていません。しかし2人の軍人は米ニューズウィーク誌に、原子力潜水艦や航空機の移動、B52爆撃機の訓練など、核の脅威に対応する微妙な動きがあると明かしました。ただし、あくまでも本筋は核以外の軍事オプションだと言います。

つまり通常兵器での対応や特殊部隊の投入、サイバー攻撃や宇宙戦などであり、プーチン暗殺のシナリオも含まれるようです。 バイデン大統領は核以外のオプションでプーチンを抑止できると考えているのでしょうか、またこの点で政権と軍のコンセンサスはあるのでしょうか。

同誌はこの点をホワイトハウスに問いただしたそうですが、具体的な回答はなく、「わが国のロシアに対するメッセージについては、ジェイク・サリバン補佐官が9月25日に語ったとおりだ」との返事のみだったそうです。

バイデン米大統領は11日のCNNの単独インタビューで、ロシアによる威嚇は壊滅的な「誤り」や「誤算」につながりかねないと語った。ただ、ロシアのプーチン大統領がウクライナの戦場に核兵器を配備した場合、米国がどのように対応するかは明言を避けた。バイデン氏は先週、「核のアルマゲドン(世界最終戦争)」の危険性が過去60年間で最も高まっていると警告していた。

私は、おそらくロシアが核兵器を用いることは無いと思います。ただ、それで安心はできません。それよりも、ロシアはウクライナのいくつかの原発をコントロールできない状態にする可能性はあるでしょう。

原発はコントロールしているから、安全なのですが、一切コントロールをやめてしまうと、安定を失い、自爆します。そうして、相当量の核物質を撒き散らすことになります。

ロシアが原発にミサイルを打ち込んで破壊ということになれば、国際社会からかなり反発されることになりますが、コントロールさせないという方式であれば、やってもあまり反発されないのではと、ロシア側が勘違いする可能性は多いにあります。

核廃棄物が撒き散らされれば、チェルノブイリ原発事故のようになり、付近一体に人が住めなくなります。それでも完全コントロールしなければ、核物質はチェルノブイリのときよりも広範にまきちらされることになります。


これをいくつかの原発で実施すれば、ウクライナのかなりの広い部分に人が住めなくなります。住民は避難を余儀なくされることになります。

そうなると、ウクライナの広大な地域が非武装地帯となり、ロシアにとってNATOとの緩衝地帯になります。

ロシアがウクライナに侵攻した目的は、ゼレンスキー政権を崩壊させ、ウクライナに傀儡政権を樹立して、ウクライナをNATOに対峙する緩衝地帯とするつもりだったようです。

この目的は、達成できないことは、もう明白です。ただ、原発のコントロールをやめさせれば、その一帯は、核物質で汚染され、人が住めなくなりますし、軍隊も駐留できなくなります。これで、方法は異なるものの、ロシアの当初の目的は達成されることになります。

私は、こちらのほうがより現実的な脅威だと思います。EUや米国は、このようなことに対しても対応すべきです。もし、ロシア軍がそのようなことを始めれば、米軍を含むNATOがすぐにも直接介入するとロシア側に認識させるべきです。

このようなことを述べると、原発反対派の方は、「それみたことか、原発は危険だ稼働を止めてすぐ廃炉にしてしまえ」などと考えるかもしれませんが、その考えは甘いです。

実は原発の稼働をとめたら、すぐそれで安全ということはないのです。やはりコントロールしなければなりません。一切コントロールしなければ、自爆の危険があります。コントロールすらから安全なのです。廃炉にするにも数十年という時間がかかり、その間もコントロールし続けなければ安全ではありません。

稼働を止めていても、テロリストが攻撃すれば、ノーコントロールになり危険です。だから、テロリストなどを防止する方法も真剣に考えなければならないです。

このような現実を踏まえたのか、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんは12日夕に放映された独公共放送ARDのインタビューで、気候保護のために原発は現時点でよい選択かと問われ、「それは場合による。すでに(原発が)稼働しているのであれば、それを停止して石炭に変えるのは間違いだと思う」と答えています。

すでに稼働している原発を停止したからといって、安全になるということはないのです。廃炉することにして、稼働を停止させても、廃炉になるまでの長い間、コントロールし続けなければ安全とはいえないのです。

であれば、コントロールしながら安全を保ちつつ、稼働させるというのが最も合理的な方法です。日本では動かせる原発を全部動かせば、電気料金の高騰を防ぐことができますし、それで浮いた天然ガスをEUにまわすということもできます。まさに、一石二鳥です。

岸田政権には、是非とりくんでいただきたいです。

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