2022年10月17日月曜日

「テレビ朝日社長が辞任すべき事態だ」 玉川徹氏「虚偽・政治的意図」発言問題 「日本のジャーナリズムの危機」 自民・和田参院議員に聞く―【私の論評】コロナ禍を根拠もなしに煽った玉川と、それを許容したテレビ朝日社長はずっと以前に辞任すべきだった(゚д゚)!

「テレビ朝日社長が辞任すべき事態だ」 玉川徹氏「虚偽・政治的意図」発言問題 「日本のジャーナリズムの危機」 自民・和田参院議員に聞く

〝玉川発言〟の責任を問われるテレビ朝日

 テレビ朝日系の情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」のコメンテーターを務める同社社員の玉川徹氏の「虚偽・政治的意図」発言問題が収まらない。出勤停止中の玉川氏は19日にも復帰予定だが、放送法第4条違反の疑いで、総務省やBPO(放送倫理・番組向上機構)に徹底調査を求める動きが出ている。テレビ放送やジャーナリズムに詳しい、元NHKアナウンサーで自民党の和田政宗参院議員に聞いた。

 「放送やジャーナリズムの信頼性や根幹を揺るがす事態だ。テレビ朝日は責任の重大性を認識していないのではないか」


 和田氏は冒頭、玉川氏の問題をこう語った。

 玉川氏は、安倍晋三元首相の「国葬(国葬儀)」翌日(9月28日)の放送で、菅義偉前首相の弔辞について、「僕は演出側の人間ですから、テレビのディレクターをやってきましたから、それはそういう風につくりますよ。当然ながら」「政治的意図がにおわないように制作者としては考えますよ。当然これ(広告大手の)電通入ってますからね」と語った。

 テレビ朝日は今月4日、「虚偽発言」の部分について「出勤停止10日間」の懲戒処分とした。

 和田氏は「丁寧に事実を取材して、裏付けを重ねて報じるのは報道のイロハのイだ。少し取材すれば電通が関わっていないことは確認できる。社員コメンテーターが番組で堂々とウソを拡散した。『事実をまげない』という放送法第4条違反に該当する。断片的な思い込みで発言したなら『ジャーナリスト失格』であり、自ら職を辞する責任がある」と断じる。

 「政治的意図」を持って番組制作をしてきた疑惑については、自民党内にも「令和の椿事件」と問題視する声がある。放送行政を所管する総務省にも多数の意見が寄せられている。

 和田氏は「その点(=『政治的意図』発言)の事実関係を知りたいが、テレビ朝日社長の4日の記者会見では、組織として明確な説明がなかった。社長は再発防止に取り組むとしているが、トップの社長が辞任すべき事態だ」と語る。

 日本のテレビ報道にも一因がありそうだ。

 和田氏は「米国の大手テレビ局で報道番組を仕切るキャスターは、特ダネや深層リポートなどで実績を認められた人物だ。専門家のコメンテーターと、厳格に役割分担して正確な報道に徹する。一方、日本では専門外のコメンテーターが取材もしないでコメントする。玉川問題は、日本のジャーナリズムの危機だ」と語っている。



【放送法第4条】

①公安及び善良な風俗を害しないこと

②政治的に公平であること

③報道は事実をまげないですること

④意見が対立する問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること

【私の論評】コロナ禍を根拠もなしに煽った玉川と、それを許容したテレビ朝日社長はずっと以前に辞任すべきだった(゚д゚)!

玉川徹

玉川徹が、事実に反する発言を行って訂正・謝罪したのはこれが初めてではありません。小さなことだと無数と言ってよいくらいありますし、謝罪もしなかったこともあります。

大きなところでは、やはりコロナ関連のコメントでしょう。2020年4月の放送では、新型コロナをめぐって「東京都は土日に検査を行っていない」と発言しましたが、後日の放送で「土日に関しても行政の検査機関は休んでいなかったというふうなことも、わかりました」と訂正しまし。

22年6月の放送では「帯状疱疹のワクチンが保険適用される」と発言し、「保険適用はされません。ただ自治体によって費用を助成するところもある」と訂正し、「補助」を「保険適用」と勘違いしていたことを謝罪したこともありました。

玉川はワイドショーのディレクター職などが長く、記者として報道の現場に携わった経験がないためか、以前から単なる憶測に基づく発言が目立っていたのは事実です。

疑問なのは、玉川徹氏の動機です。多少の理性があれば、自分の言説が多分に一面的なものであり、ミスリーディングなものであることには気が付くに違いないです。

要は八百長であり、確信犯です。

視聴率はイコール広告費・利益であり、その差は莫大です。確かに身内の論理で言えば、玉川氏はヒーローなのかもしれません。番組が終われば「今日もブチかまししましたね」とゴマをするスタッフとか、「おいおい飛ばし過ぎるなよ」とまんざらでもない顔でたしなめる風情の幹部社員から声がかかるのかもしれないです。

そんな中、こと玉川氏で言えばモチベーションは確かに利益、出世ではないかもしれず、単なる高揚感や持論をブチかます満足感ではあるのでしょう。

玉川徹ファンは、同調圧力や権力に屈せず論陣を張る体の氏を頼もしく感じたり、スカッとしたりして支持するのでしょう。

ただ玉川のあまりに一面的、短絡的な言説は、公共性の高い放送事業としては一線を超えていました。まして未曾有の国難で無用の混乱や損害を巻き起こしていました。

コロナウイルス流行以来、玉川徹は危機感を煽りに煽ってきました。ある種のテレビ的分かりやすさやカタルシスを演出してきたともいえます。

コロナ報道には、冷静さや科学的視点が重要なわけで、自分が比較的に安泰な立場だからといって、玉川に日本を混乱の巷に落とし込む権利などあるはずもありません。もっと衝撃を和らげる手段があったかもしれないのに、間違いなくこの番組や主要なワイドショーの煽りによって、多くの人は本来は諸外国に比較すれば、被害はかなり少なかったにも関わらず、かなり被害が大きと思い込まされた面は否めません。

菅政権におけるコロナワクチン接種の速度はすさまじく、日本はあっと言う間に他の先進国の接種率を上回ってしまいました。にもかかわらず、玉川などの煽りで、菅政権はコロナ対策に失敗したかのような印象操作で多くの人々を惑わしたといえます。

当時は、テレビ局を支えるスポンサー企業の事業にも深刻なダメージが及んでいる事態にも無頓着という、根本的な職業倫理に欠ける姿勢も理解に苦しむところがありました。

最後に、完璧に一線を超えていたと思われたのが、医薬品に対する軽薄なコメントをして憚らなかったことです。「こんな新薬が有望だ」とか「こんな良い薬があるんです」など、新聞やネットの記事に出ていたレベルの情報をあたかもすぐにも臨床使用できるかの勢いで語っていました。

さすがに医薬品に対して生かじりのスタンスが許されるわけはありません。万一誤った受け取られ方をすれば深刻な健康被害や後遺症につながりかねないです。

さすがに2020年8月9日の放送では、アビガンの解説に医療の専門家が登場し、田崎氏もサリドマイドの例を出して特効薬の開発が待たれながら、一方で慎重であるべき理由を述べていました(写真下)が、すでに何度もフライング発言が行われた事実を消し去るものではありませんでした。


人類的な災厄に際し、生かじりの浅はかさと自らはすべて棚にあげる特権意識で全知全能の神のごとく公共の電波で吠えまくり、あげく日本を混乱の極みに落とし込もうとなんだろうが知ったこっちゃないというのが玉川のスタンスでした。

私には、動機がなんであろうと許されざる所業とは、思えませんでした。そのような玉川が、今回のような発言をしたのは当然の帰結ともいえます。

コロナ禍を根拠もなしに煽った玉川と、それを許容したテレビ朝日社長は辞任すべきでした。そうすれば、今回のような事態も生じなかったでしょう。

ここまで、酷い煽りを許容し続けてきたテレビ朝日には問題がありすぎです。まさに、和田氏が語るように、「テレビ朝日社長が辞任すべき事態だ」ということができると思います。

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