2022年10月6日木曜日

日本をうまく利用した中国、台湾と尖閣も必ず狙ってくる 関係を見直す時期ではないか―【私の論評】ODA と超円高と中国の日本浸透を許すことで、中国を怪物に育てあげてきた日本(゚д゚)!

日本の解き方


 日中国交正常化から50年が経過したが、この間に日中関係はどのように変化したのか。これから日本は中国とどう向き合うべきなのか。

 筆者と中国の関係は、約30年前の1990年代初めに天安門事件直後の日本政府職員としての訪中、約20年前の2000年代初めに米政府の研究者としての訪中、約10年前の10年代初めの日本の研究者としての訪中に分けられる。

 最初の訪中の時には、あまりの歓待ぶりに驚いた。政府開発援助(ODA)関連の政府高官の秘書的な役割で訪中したが、北京空港に着陸するや、通関なしで空港からパトカーに先導され、北京に向かった。人民大会堂で当時の副主席とも会談に立ち会った。

 その10年後に訪中したときには、かなり変化があった。北京空港は大規模改修後だった。それでも当時の中国の国内総生産(GDP)は日本の3分の1程度だったので、まだ日本に対して下手に出ていた。

 さらに10年後に訪中したときには、中国は北京五輪を終え、GDPが日本を追い越した後だったので、もはや日本は眼中にない感じだった。その当時は民主党政権だったことも関係しているだろう。

 30年前の訪中時に、政治体制の違う国がどのように経済発展するかに興味を持ったので、その後コツコツと自分なりの研究をし、たどり着いたのが、ある一定以上の民主主義がないと1人当たりGDPは長期的には1万ドルを超えにくい、という結論だ。今の中国をみると、そろそろその限界になりつつある。

 習近平体制の下で、民主化は期待できないばかりか、香港の一国二制度を拒否したので、専制主義を宣言したようなものだ。筆者の仮説が正しいとすると、今後、長期的には中国の経済成長を期待できない。

 それと、30年前の訪中後、中国に「核心的利益」という国家目標があることを知った。それは、ウイグル、南シナ海、香港、台湾と日本の尖閣諸島であるが、台湾、尖閣以外はこれまで着実に実行してきた。

 核心的利益は、言い換えると中国の海洋進出である。手始めに、内陸のチベットを固めて、やりやすい順に南シナ海、香港ときた。ここで台湾、尖閣をやらずに中国が海洋国家になることは不可能なので、必ず目標をやり遂げようとするはずだ。

 こうした観点から、日中関係をみると、日本は中国の国家目標にうまく利用されてきた歴史ともみえる。改革開放という言葉で、日本の経済界は夢を見たが、専制主義体制の下では改革開放は資本取引の自由までは進まず、自由主義国とは似ても似つかぬものであった。

 中国は相変わらず専制主義である。それが改まる気配はない。過去の歴史をみると、専制主義が多くなると、世界の安全保障は危うくなる。今のロシアによるウクライナ侵攻が好例だ。中国も台湾統一という言葉で、似たような野心がある。「台湾有事は日本有事」という安倍晋三元首相の至言を考えて、日中関係を見直す時期にきている。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】ODA 、超円高、中国の日本浸透を許すことで、中国を怪物に育てあげてきた日本(゚д゚)!

中国は、日本をうまく利用したと上の記事で高橋洋一氏は述べていますが、私はそれ以上だったのではないかと思います。日本は、中国の良いカモであり続けていると思います。それに一度反旗を翻したのが、安倍総理ですが、その後の岸田政権は、元に戻そうとしているようです。

中国の日本カモ化の第一は、日本は中国に対して莫大な援助をしてきたことでしょう。その最たるものは、途上国援助(ODA)です。

これは、何と40年以上にわたって継続されてきましたが、今年の3月末に終了しました。ODAは中国の発展を支えて日中の結びつきを強めた半面、援助を続ける必要性や、中国側の情報公開などをめぐって批判も受けてきました。

日本の対中ODAは1979年に始まりました。中国が戦後賠償を放棄した見返り、との性質もあったとされます。

国際協力機構(JICA)によると、ODAのうち、無償でお金を提供する「無償資金協力」は約1600億円、お金を貸す「円借款」は約3兆3千億円、「技術支援」の約1900億円で、計3兆6千億円余りを支援してきました。

援助の内容は、初期は港湾や発電施設などインフラ支援が主で、その後は地下鉄建設や内陸部貧困解消、環境対策など、時代が進むにつれて変わっていきました。

しかし、中国が急速な経済発展を遂げ、国防費も多額になっていきました。さらに日本から援助を受けている中国が、他の途上国に戦略的な支援を行うようになりました。

このODAは日本側が当初、目標に掲げた日中友好の促進にはつながりませんでした。中国政府が日本からの援助を国民に知らせなかったのです。中国側の民主主義の促進にも寄与しませんでした。共産党の一党独裁政権の鉄のような支配はこの半世紀、変わらず、むしろ強化されました。

こうした状況から、日本政府はODAが「役割を終えた」と判断。無償資金協力は06年、円借款は07年の時点でそれぞれ新規供与を終えています。そして、技術支援で継続していた事業も、3月末で完全に終了しました。

日本のODA資金が中国政府に軍事費増加への余裕を与えてしまいました。中国政府が非軍事の経済開発に不可欠とみなす資金が多ければ、軍事費には制約が出てきます。しかし、その経済開発に日本からの援助をあてることにより、中国は軍事に回せる資金は増やすことができました。

さらに、日本のODAで築かれたインフラ施設は、中国軍の軍事能力の強化に間接に寄与しました。日本の対中援助で建設された鉄道、高速道路、空港、港湾、通信網などのインフラ施設平和目的だけではなく、軍事的な効用を発揮することになりました。

そうして、日本のODAで築かれたインフラ施設が中国軍の軍事能力の強化に寄与しました。

たとえば、日本のODA30億円で蘭州からチベットのラサまで建設された3000キロの光ファイバーケーブルの敷設は、すべて人民解放軍部隊によって実施され、その後の利用も軍優先でした。

中国西南部の軍事産業の重要地域として有名な貴州省には、ODA資金約700億円が供与されました。鉄道、道路、電話網など、ほとんどがインフラ建設でした。貴州省には戦闘機製造工場はじめ軍用電子機器工場群や兵器資材を生産するアルミニウム工場や製鉄所がありました。その軍事産業インフラへの日本の資金投入は、中国側からすれば全部が軍事目的といって良いものでした。

日本政府は1993年に福建省の鉄道建設に67億円の援助を出していました。この鉄道は、福建省の鉄道網強化やミサイルへ兵隊の運搬を円滑にして、台湾への攻撃能力を高めることになりました。

当時も現在も中国軍は台湾に近い福建省内に部隊とミサイル群を集中的に配備しています。明らかにいざという際の台湾攻撃のための大規模な配備です。そうした軍事態勢では兵器や軍隊を敏速に動かす鉄道は不可欠であり、軍事態勢の一部だといえます。

1992年6月、日本政府は「ODA大綱」を制定しました。これは、ODAに関する基本方針です。日本のODAは米国とともに世界有数の規模となり、援助大国といわていましたが、一方であまりにも経済偏重で理念なき援助ともいわれてきました。

こうした批判にこたえたのがこのODA大綱でした。ここではODAの基本理念として、人道的考慮、国際社会の相互依存性の認識,環境保全、自助努力の支援をまず挙げています。大綱の4原則としては、(1)環境と開発の両立,(2)軍事的用途への不使用、(3)被援助国の軍事支出と武器輸出入の動向に注意、(4)途上国の民主化,基本的人権の促進,市場指向型経済の導入への注意、などを掲げました。

日本政府はこの「ODA大綱」に従えば、中国に対する軍事支援につながるODAは出すべきではありませんでした。対中ODAは大綱の規定にすべて違反していました。

その中国がいまや国際規範に背を向けて覇権を広げ、日本の領土をも脅かす異形の怪物になってしまいました。そうして、この怪物を育て上げたのは他ならぬ日本なのです。

中国により日本カモ化の第二は、日銀の金融政策の間違いによる強烈な円高です。
日銀審議委員人事に悪い予感…インフレ目標軽視は「雇用軽視」 金融政策は旧体制に逆戻りか―【私の論評】今後日銀が金融政策を間違えば、制裁中のロシアのように景気が落ち込みかねない日本(゚д゚)!
岡三証券グローバル・リサーチ・センター理事長の高田創氏

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、日本が中国の鴨にされた部分を以下に引用します。

過去のデフレの真っ最中には、実は円が異様に高くなり日本で原材料を組み立てて、輸出するよりも、中国や韓国で組み立てて、そこから輸出したほうがコストがかからないという異常事態が発生しました。当然のことながら、日本から原材料を輸入しそれを組み立てて、輸出する中国や韓国のほうがさらに安いという状況でした。これでは、日本の国際競争力が落ちるのも必然でした。

このような状況では、国内で様々な製品を製造するよりも、国外で製造した方が安いということになり、日本国内の産業の空洞化がすすみ、中国や韓国の多数の富裕層を生み出すことになりました。

中国富裕層
特に韓国では、原材料を製造する技術も高くないし、そういうことをしようとする地道な技術者や経営者を馬鹿にし卑しみ、組み立てる人間が一番偉いという文化があり、日本のデフレはまさにこうした韓国にとっては、うってつけであり、日本がデフレの底に沈んでいるときには、優れた部品や素材を開発する日本を卑しみ、我が世の春を謳歌していたといっても過言ではありません。

挙げ句のはてに、日本では中国の富裕層をインバウンドともてはやし、これに頼るしかなくなる事業者も生まれでる始末でした。何これ?日本人あまりに惨めじゃないですか?なんで金持ちにしてやって、さらに奉仕までしなくてはないのですか?中韓が得ていた莫大な利益は、本来は日本企業や日本国民が得るものだったのではないですか?日銀がまともな金融政策さえしていれば、このようなことは起こらなかったはずです。
日本は、日金の金融政策の間違いで、強烈な円高を招き、この円高でも日本は、中国にカモにされていたのです。

現在、円安なので、金利を上げろなどと主張する人もいますが、そういう人たちは、日本を円高にして、また中国に有利にせよと主張していることに気づいてるのでしょうか。こういうと、通貨戦争を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、通貨戦争は幻想に過ぎません。

通貨戦争のつもりで、自国の通貨を安くし続ければ、何がおこるかといえば、いずれインフレに悩まされることになります。だから、自ずと限界があるのです。そんなことよりも、日本は日本国内の都合で独自の金融政策をやれば良いと言っているだけです。中国に配慮して、わざわざ円高にする必要はないと言っているだけです。

中国による日本カモ化は、まだあります。カモ化の第三は中国の日本浸透による日本の技術等の剽窃です。

中国の覇権国家戦略の要である「統一戦線工作」により、中国は日本の政界から経済界、産業界、芸能界などあらゆる分野に浸透しています。これによる、日本の損失は、技術等だけに及ばするあらゆる方面に及んでいます。

外国資本が、自衛隊や海上保安庁の基地周辺の不動産や、北海道などの広大な土地を買いあさり、日本の団地に中国人が大勢住むようになり、その団地が彼らに占領されかねない状況になっていることなど、工作の例は枚挙にいとまがないです。

日本には、日本人学生16人に対して167人の中国人留学生が学ぶ高校がある(2018年当時)。NHKの『おはよう日本』が2018年に紹介した、宮崎県の日章学園九州国際高等学校です。

北海道東川町は、人口減少対策として町が自ら留学生集めに乗り出し、人口を増やすことに成功しています。街が授業料を半分負担し、寮の家賃を補助し、毎月8,000円分の買い物カードを付与し、全国で初めて町自らが日本語学校を開設したといいます。

町がここまで力を入れるのは、財政上のメリットがあるからだ。人口に応じて国から配分される地方交付税が魅力的で、東川町では約200人の留学生が住んでいるため、4,000万円を確保できるといいます。一方で、留学生のほとんどが、卒業後、町を離れてしまうそうです。

短期間しかいない留学生を呼びこむことで人口を増やし、地方交付税を増やすという取り組みは問題である。トロイの木馬のように、統一戦線工作の一環として日本に送りこんだ(日本の学校や町が招き入れた)中国人が、日本を着実に内部から侵略する事態になる可能性は十分ありえます。

中国は、統一戦線工作の国家であり「超限思考」の国家でもあります。『超限戦』(喬良、王湘穂著/劉琦訳/角川新書)は、原書が1999年に出版され、全世界に衝撃を与えた書です。

『超限戦』の本質は「目的のためには手段を選ばない。制限を加えず、あらゆる可能な手段を採用して目的を達成する」ことを徹底的に主張していることです。

民主主義諸国の基本的な価値観(生命の重視などの倫理、法律、自由、基本的人権など)の制限を超え、あらゆる境界(作戦空間、軍事と非軍事、正規と非正規、国際法)を超越する戦いを公然と主張しています。

超限戦の主張は、突き詰めれば、国家もマフィアやテロリストたちと同じ論理で行動せよということです。超限思考を信じる中国にとって、日本はまさに「カモ」以外の何物でもありません。

愚かなことに我が国は、非常に多くの安全保障上の制約やタブーを自ら設けています。日本人は、もっと危機感を持たなければいけないです。新たな危機と冷徹な国際社会の現実を踏まえ、未来を見据えた安全保障のあり方を議論すべきときが来ています。

日本は、ODAで中国を助け、中国の軍事を含むインフラを発展させ経済の基礎を築き、日銀の金融引締による円高で、今度は中国の経済を伸ばし、その後は「統一戦線工作」を封じなかったため技術移転などを促進させてきました。そのため、産業技術において、中国に自立するきっかけを与えることになりました。これによって、日本は結果的に中国を怪物に育て上げてしまったのです。

現在、 中国へのODAはなくなり、日本は円安です。この状態は中国にとってはかなり苦しいでしょう。特に、日本が円安ということは、中国にとっては大きな打撃です。

この2つは維持して、最後の「統一戦線工作」を日本が封じれば、中国にとっては大打撃です。

にもかかわず、愚かなことに我が国は、非常に多くの安全保障上の制約やタブーを自ら設けています。安倍元総理はこれを変えようとしたのですが、志半ばで暗殺されてしまいました。


日本人は、もっと危機感を持たなければいけないです。新たな危機と冷徹な国際社会の現実を踏まえ、未来を見据えた安全保障のあり方を議論すべきであり、根本的に日中関係を見直す時期にきているといえます。

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