2023年3月24日金曜日

対話型AIの影響受ける職業 国会質疑もかなり対応可能か 知識切り売りは大変な時代に―【私の論評】AIの普及で、統合的思考こそ、人間に残された最後のフロンティアに(゚д゚)!

日本の解き方


 IT各社が「対話型AI(人工知能)」に力を入れている。将来どのようなことに使われる可能性があるか。政策の決定にも活用されることはあるだろうか。

 対話型AIは大ざっぱに言えば、質問に対する答えをインターネット上から探してくれるものだ。これまでは検索で用語を書き込むと、それに関連したネット上の情報の一覧が出てくる。それをどのように取捨選択し、どの部分をコピー・アンド・ペーストするかは検索者の判断に委ねられ、回答文の作成も検索者がやっていた。しかし、対話型AIではその部分を人ではなくAIが行い、しかも回答文にするまでをやってくれる。

 筆者は、ネット上で番組を持っていて、その中で視聴者からの質問を受け付けている。従来は、スタッフが視聴者の質問をコピペして筆者に渡してくれた。正直いって、質問になっていない文の場合も多く、視聴者の意図を読み取りかねることがしばしばだった。そこで、今では視聴者の質問をコピペしたものを対話型AIにかけるようにしている。そうすると、対話型AIは質問になっていないものを的確に指摘してくれる。さらに、質問になっている場合、ネット上での情報を網羅的に検索してくれるので、その範囲であれば、無難な回答をすることもできる。

 もちろん、筆者はネット上に転がっている無難な回答では面白くないので、それに付加価値をつけるようにしている。ネット上の情報としてウィキペディアがあるが、「本当の専門家かどうかはウィキペディアの間違いを指摘できるかどうかだ」とすら言われているので、ここでは差別化できるチャンスとも考えている。

 筆者のネット上の番組を書籍化している人もいるのだが、単に筆者の話をコピペしているだけだ。その後のデータのアップデートはできないので、今後は対話型AIを活用して、文字起こしや書籍化を考えてみようと思う。

 筆者の身近な例でも予想されるが、対話型AIが発展すると影響を受けやすい職業は定型的な対応をするもの、とりわけ教師だろう。

 米プリンストン大学の研究チームは、影響を受ける職業ベスト20を発表している。それによれば、電話勧誘業者、英語と英文学の教師、外国語と外国文学の教師、歴史の教師、法律の教師、哲学と宗教の教師、社会学の教師、政治学の教師、刑事司法と法執行機関の教師、社会学者、ソーシャルワークの教師、心理学の教師、コミュニケーションの教師、政治学者、文化研究の教師、仲裁人・調停者、裁判官、地理の教師、図書館学の教師、臨床心理医・カウンセリング・学校心理学者だ。

 日本の国会質疑なども過去の質問と回答で、かなりの程度、対話型AIで対応できるのではないか。便利な時代になったが、知識のみの切り売りの人には大変な時代だろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】AIの普及で、統合的思考こそ、人間に残された最後のフロンティアに(゚д゚)!

ChatGPTに以下のような質問をしてみました。
ChatGPTの登場により、影響を受ける職業は何だと思いますか。将来なくなってしまう職業もありますか。
この質問の答えは、以下です。

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ChatGPTの登場により、以下の職業に影響を受ける可能性があります。

  1. カスタマーサポート: ChatGPTの登場により、多くのカスタマーサポートの業務は自動化される可能性があります。顧客が自分で問題を解決できるように、ChatGPTが提供する情報や支援によって、カスタマーサポートの需要が減少する可能性があります。
  2. 翻訳者: ChatGPTは多言語翻訳にも利用されるため、翻訳者にも影響を与える可能性があります。簡単な翻訳業務はChatGPTによって代替される可能性がありますが、専門的な翻訳や文化的なニュアンスを伝える翻訳業務は、人間による翻訳に引き続き需要があると思われます。
  3. ニュース記事の作成: ChatGPTは自動的に記事を書くことができるため、ニュース記事の作成に影響を与える可能性があります。しかし、ChatGPTによって生成された記事は、人間によって作成された記事とは異なるクオリティになる可能性があるため、ニュース記事の作成にはまだ人間の関与が必要となるでしょう。
将来的になくなってしまう職業は存在するかもしれませんが、全ての職業がChatGPTによって代替されるわけではありません。技術の進化に伴い、新しい職業も生まれることがあります。ただし、将来的にChatGPTのような自動化技術が発展し続けることで、特定の職業が不要になる可能性があることは否定できません。

"

確かにいずれ、こうなるでしょう。高橋洋一氏も知識のみの切り売りの人には大変な時代になるだろうと指摘していましたが、本当にそうです。

国会での質問なども、ChatGPTが使われるようになる可能性もあります。そうなると、下らない質問ばかりしている国会議員は無用の長物になります。

このような時代には、なんでもAIにまかせてしまえば、良いのでしょうか。そんなことはないと思います。

以前このブログにも掲載したように、人間の思考方法には三種類あります。その記事のリンクを以下に掲載します。

成田悠輔「高齢者は集団自決した方がいい」NYタイムズが発言報じて世界的大炎上「この上ないほど過激」―【私の論評】成田悠輔氏のような学者に、徹底的に欠ける統合的な思考方法とは(゚д゚)!

成田悠輔氏


この記事より、一部を引用します。

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ロジカル・シンキング(理論的思考)
物事を広く深く考え、分析し、相手にわかりやすく伝えるために、問題を構造化する思考法のこと。これは、ビジネスの基本です。最低限、この思考法ができない人は、ビジネス・マンとはいえません。特に、新人では、こうした思考法ができない人が多いです。 しかし、こうした思考方法ばかりして、そこから、一歩もはみ出さない人は、発展性がないですし、人間的魅力も感じられませんね。

しかし、まずは、こうした思考法を身につけるべきです。また、ロジカル・シンキングは、より上位の思考法である、水平思考や、統合思考の基礎なるものです。これができない人に、より上の思考をすることはできません。
ラテラル・シンキング(水平的思考)
ある問題に対し、今まで行われてきた理論や枠にとらわれずに、全く異なった角度から新しいアイデアを生もうとする思考法のこと。英国のデボノが1967年ころ唱えたものです。ロジカル・シンキングだけでは、出てくるアイディアは、確実にできるものではあるものの、どうしても月並みなものになってしまいがちです。
 
そんなときに、全く見方を変えて、新たなアィデアを出すのがこの考え方です。会社であれば、部長までのクラスの人は、この考え方ができなければ、今の時代は務まりません。
インテグレーティブ・シンキング(統合的思考)
相克するアイデアや問題事項の対立点を解消することにより、より高次の第三の解答を見つけ出す思考法のこと。理論的思考や、水平思考によって、いろいろなアイディアが浮かんできます。ただし、アイディアがたくさんあるだけでは、実行に移すことはできません。

それどころか、混乱するだけです。ここで、数多くのアイデアを取捨選択、統合するとともに、実施すべき順番を考える必要があります。また、数多くのアイデアを束ねるだけではなく、一言で言い表したりして、誰にも理解できるようにして、さらに高次元にする必要があります。それが、統合的思考です。経営者クラスはここまでできなければなりません。
理論的思考については、役人や学者に優れた人が多いです。そうして、彼らの職責からいって、彼らは理論的思考一本槍で十分につとまります。

民間企業となると、理論的思考一本槍では、月並みなイノベーションしかできませんから、水平的思考も必要になります。

ただ、理論的思考と水平的思考だけでは、いかなる組織でも、混乱を招くことになります。そこで、統合的な思考が必要になってくるのです。 安倍元首相を例にすると、第一次安倍政権までの安倍氏の思考方法は、論理的思考と、水平的思考にとどまっていたものと思います。しかし、総理を辞任し、自民党が下野していた期間を安倍氏は無駄にしませんでした。

様々な情報を吸収し勉強しただけではなく、思考法を変化させ、統合的思考を身につけたようです。そうして、これこそが政治家にとって、一番重要な思考方法です。政治家の中には、現場が重要などと語って現場を重視する政治家もいます。確かに現場を見なければなりませんが、統合的な思考ができることが、その前提です。それができずに、ただ現場ばかりみている政治家は、無意味どころか害をなします。政治家などやめて、社会事業活動などして、直接困った人たちを助けるべきです。
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以上は、政治家の事例を出したのですが、本来の政治家は、統合的な思考方法をすべきでしょう。一方、現在の官僚は、理論的な思考だけでも良いでしょう。民間企業においても、中間管理職までは、理論的思考と、水平思考だけでよいでしょうが、上級管理職、役員ともなれば、統合的な思考方法も必要になってきます。

先日、産経新聞社の阿比留瑠比氏の公演を聴いたのですが、その中で阿比留氏は、安倍総理のことを常に戦略的に物事を考える人だったと評していました。一般的には、戦略的に物事を考えることが、統合的に思考と呼ばれるものと考えても差し支えはないと思います。

ChatGPTのようなAIに得意なのは、論理的な思考や、水平的思考の一部までだと思います。

ただ、ChatGPTのようなAIが普及してくれば、多くの人が、統合的な思考方法をするように促されるような社会になるでしょう。なぜなら、かつて機械が肉体労働にとって変わったように、論理的思考や水平的思考の大きな部分がやがて、AIにとって変わられるからです。

ただ、意思決定そのものはAIの助けを受けながらも、人間が行うことになるでしょう。

意思決定とは何かといえば、経営学大家ドラッカーは以下のように言っています。
意思決定が意思決定たるためには、次の4つのことを決める必要があります。

(1)実行の責任者

(2)日程

(3)影響を受けるがゆえに決定の内容を知らされ、理解し、納得すべき人

(4)影響を受けなくとも決定の内容を知らされるべき人

組織で行われている意思決定のうちあまりに多くが、これらのことを決めていなかったために失敗している。

意思決定とは、上記4つを決めなければ、意思決定とはなりません。これをAIの力を借りながら、実行することもできるでしょうが、最終的に意思決定するのは人間です。

ドラッカー氏

ただ、ルーチンで行われること、あるいはルーチンに近い事柄に関しては、日々の業務で、AIが決定したものを、人間が追認する形で行われるようになるでしょう。

ただ、戦略的な意思決定に関しては、AIや社員から情報を得つつ、経営者が統合的思考を行い決定することになるでしょう。

ただし、論理的思考ができない、水平的な思考もできない人が、いきなり統合的な思考ができるようにはなりません。やはり、論理的思考や水平的な思考の教育や訓練は、教育現場においても、企業などの組織においてもこれからも必要になるでしょう。

AIの力を借りつつもこのようなことは、これからも行われていくでしょう。それにしても、統合的思考こそ、人間に残された最後のフロンティアとなるかもしれません。今ままでの社会では、統合的思考が要求されたのは、企業であれば、取締役以上、学校法人などでは、理事・理事長であり、他の人はそれをさほど要求されませんでした。

これから、もっと現場に近い人たちにも、それが要求されるようになるでしょう。学校や企業でも、そのような訓練や教育がなされるようになるでしょう。

そうして、これからさらに少子高齢化が予想される日本においては、AIの活用やロボット化の進展などによって、少子高齢化による弊害を乗り越えていくことが可能になるでしょう。


これら、経済学でいうところの「装置化」をすすめることは、日本が新しい次元の社会に突入ることを意味しており、その意味では「少子化」は決して悪いことばかりではないと思いますし、少子化の原因がはっきりわかっていない以上、少子化対策を実施したからといって、人口が増大する確証はありません。

であれば、AIの活用やロボット化を推進し、少子高齢化が進んでも、豊な社会を築くことが、我が国が進むべき道だと思います。

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