20日、記者団の取材に応じる岸田首相=ニューデリー |
岸田文雄首相は昨年以降、ロシアの侵攻が続くウクライナの首都キーウへの訪問を模索し続けてきた。ウクライナ情勢が主要な議題となる5月の広島での先進7カ国首脳会議(G7サミット)の議長国を務めるにあたり、現地を訪れてゼレンスキー大統領と直接言葉を交わすことが不可欠だと考えていたからだ。だが、首相の安全確保や国会の事前承認などのハードルが立ちふさがり、実現までの道のりは難航を極めた。
「私自身、ウクライナに招待されてから訪問の時期は検討し続けてきた。今は何も具体的に決まったものはない」
19日夜、インドを訪問する前、首相は公邸で記者団にこう語った。だが、水面下ではインドを訪れてモディ首相との会談などを行った後、ウクライナに電撃訪問する手はずを整えていた。
首相が現地入りする計画を立てたのは今回が初めてではない。昨年6月にはドイツでのG7エルマウサミットに合わせたウクライナ訪問を検討した。隣国のポーランドを経由し、陸路で首都キーウを目指す案だったが、他の外交日程との関係で両立できなかった。
同様の計画は昨年末にも持ち上がった。だが、ロシア軍によるキーウに対するミサイルや自爆型ドローンの攻撃が激しさを増し、実現には至らなかった。
「簡単なことではない」。首相周辺は頭を悩ませた。
訪問が難航したのはNATO(北大西洋条約機構)などに加盟しておらず、安全上の制約があったことが大きい。戦後、日本の首相が戦闘が行われている国や地域を訪れたことはない。
加えて、今年1月の国会召集後は海外出張の慣例となる国会の事前承認がネックとなった。渡航の日程が明らかになれば首相の安全確保が難しくなるからだ。
ただ、2月にバイデン米大統領がキーウへの電撃訪問を果たし、現地を訪れていない首脳が首相だけとなると、与野党から「(事前承認が)当てはまらない場合もある」(自民党の高木毅国対委員長)などとの声が相次いだ。首相は事前承認がなくても国会の理解は得られると見極めた。
それでも首相自身の安全上のリスクが消えたわけではなかったが、電撃訪問の決断を下した。
ロシアで安全保障会議副議長の立場にあるメドベージェフ前大統領は2月20日、ウクライナの首都キーウをバイデン米大統領が電撃訪問したことについて「事前に身の安全の保証を受けた」ものだったと通信アプリ「テレグラム」でコメントしました。
米高官は、ロシア側には訪問を知らせていたと説明しています。メドベージェフ氏の投稿は、事前通告を踏まえてロシアが安全を保証し、短時間の滞在中に空爆を行わなかったことを意味していると言えそうです。
日本以外の国々では、一般的には、政治的な訪問や会議の計画は慎重に進められ、関係者間での情報共有が必要不可欠です。もし情報が漏れてしまう場合、それは計画が狂う可能性があります。また、外交や国際関係においては、相手国との信頼関係を築くことが非常に重要であり、情報漏洩が発生した場合は信頼を損なうことにつながるため、非常に厳しい対応が必要となります。
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「私自身、ウクライナに招待されてから訪問の時期は検討し続けてきた。今は何も具体的に決まったものはない」
19日夜、インドを訪問する前、首相は公邸で記者団にこう語った。だが、水面下ではインドを訪れてモディ首相との会談などを行った後、ウクライナに電撃訪問する手はずを整えていた。
首相が現地入りする計画を立てたのは今回が初めてではない。昨年6月にはドイツでのG7エルマウサミットに合わせたウクライナ訪問を検討した。隣国のポーランドを経由し、陸路で首都キーウを目指す案だったが、他の外交日程との関係で両立できなかった。
同様の計画は昨年末にも持ち上がった。だが、ロシア軍によるキーウに対するミサイルや自爆型ドローンの攻撃が激しさを増し、実現には至らなかった。
「簡単なことではない」。首相周辺は頭を悩ませた。
訪問が難航したのはNATO(北大西洋条約機構)などに加盟しておらず、安全上の制約があったことが大きい。戦後、日本の首相が戦闘が行われている国や地域を訪れたことはない。
加えて、今年1月の国会召集後は海外出張の慣例となる国会の事前承認がネックとなった。渡航の日程が明らかになれば首相の安全確保が難しくなるからだ。
ただ、2月にバイデン米大統領がキーウへの電撃訪問を果たし、現地を訪れていない首脳が首相だけとなると、与野党から「(事前承認が)当てはまらない場合もある」(自民党の高木毅国対委員長)などとの声が相次いだ。首相は事前承認がなくても国会の理解は得られると見極めた。
それでも首相自身の安全上のリスクが消えたわけではなかったが、電撃訪問の決断を下した。
【私の論評】問題はあったものの、我が国が普通の国になりつつある手応えを感じた岸田首相のキーウ訪問(゚д゚)!
G7首脳テレビ会議に出席した岸田首相。画面はウクライナのゼレンスキー大統領=2月、首相公邸 |
岸田総理 のキーウ電撃訪問、ゼレンスキー大統領 との直接会談は大変有意義です。しかも中国の周主席が訪露しプーチン大統領との会談直後のタイミングで行われたことは、重要です。
日本では、閣僚が国会開会中に海外訪問するには国会の事前承認を得る慣例があります。政府は渡航日程が明らかになることで安全確保が難しくなるとの懸念があります。このため、インド訪問に合わせて、ウクライナに電撃訪問する形を取ったとみられます。
しかし、総理が列車移動中でのマスコミ報道合戦、危機管理が憂慮されます。米大統領訪問は事後の報道でした。
岸田首相がウクライナ電撃訪問と言いながら「インドから極秘でウクライナに向かった。ポーランドでの姿を日テレのカメラが捉えた」等このような、過剰報道 がキーウへのミサイル攻撃を誘発し、ゼレンスキー大統領や岸田首相に危険が及びかねないということをマスコミは懸念しなかったのでしょうか。
岸田首相が、ウクライナに到着する前に報道されてしまって良いのでしょうか。これまでの「電撃訪問」は、各首脳がキーウでゼレンスキーと手を握っている写真とともに第一報が伝えられたはずです。これこそ、電撃訪問です。
ロシアで安全保障会議副議長の立場にあるメドベージェフ前大統領は2月20日、ウクライナの首都キーウをバイデン米大統領が電撃訪問したことについて「事前に身の安全の保証を受けた」ものだったと通信アプリ「テレグラム」でコメントしました。
米高官は、ロシア側には訪問を知らせていたと説明しています。メドベージェフ氏の投稿は、事前通告を踏まえてロシアが安全を保証し、短時間の滞在中に空爆を行わなかったことを意味していると言えそうです。
ロシア当局も、バイデン大統領がキーウを訪問することを知りながら、これを表にだすことなく、報道などで明るみに出た直後、これに対して批判を表明したのです。
このような事前通知は、岸田首相のキーウ訪問直前になされたのでしょうか。
他国における、電撃訪問では、同行記者が皆が訪問の事実を知っていて同行しています。報道機関も知っていても報じないのです。また、事前通告された国でさえ、それを公にするのは、電撃訪問が公にされた後に行うてのです。だからこそ、電撃訪問が成り立つのです。普通の国では当たり前の、このようなことを日本は未だにできないのです。
岸田首相は、周りの人に相談をしすぎるきらいがあるので、情報が漏れやすいようですが、それにしても、首相個人や相手国の人たちの安全を考えれば、迂闊に事前に報道などできないはずです。
それに、事前の報道は控えたほうが、電撃訪問が成り立ち、よりインパクトがある報道になると思います。
このあたりの認識が、政府も報道機関も認識の甘さもあり、戦後、日本の首相が戦闘が行われている国や地域を訪れたのがはじめてということもあり、たとえば誘拐報道に関する協定などあるはずもなく、法律や規定なども整備されていないことが露呈されたともいえます。
この状況で情報が漏れたこと、スクープとでも言いたげに報道する事、情報をコントロールできなかった政府日本の情報統制等など仕組みに問題ありと思います。今後このような閣僚の戦地への訪問など、あり得ると思います。今後こうした場合に備えて、法律、制度なども含めた仕組みづくりをしていくべきです。
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ただし、このようなことが問題視される事自体が、我が国も普通の国になりつつ事の証でもあり、岸田政権における成果ともいえるでしょう。戦後日本の首相は、誰も戦地を訪問していません。数年前までは、日本の首相が戦地を訪れるなど考えられませんでした。それが、ウクライナ戦争という未曾有の事態が生じている最中でありながらも、実現したことは驚くべきことです。
首脳会談が無事終わり、岸田首相が安全に日本に帰国できるよう願います。
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