2023年3月9日木曜日

〝高市潰し〟か 小西洋之議員が公表「取扱厳重注意」放送法文書〝流出〟の背景 総務省の内部対立を指摘する声も―【私の論評】文書からは総務省内の旧自治省系と、小西氏が出身の旧郵政省系の派閥争いが読み取れる(゚д゚)!

〝高市潰し〟か 小西洋之議員が公表「取扱厳重注意」放送法文書〝流出〟の背景 総務省の内部対立を指摘する声も


 総務省は7日、立憲民主党の小西洋之参院議員が公表した同省の内部文書とされる資料を公式な「行政文書」と認めた。野党は、安倍晋三政権がテレビ番組に圧力をかけようとした証拠だと批判している。ただ、文書の記述は推定や伝聞に基づくものも含まれるうえ、「公共の電波」を使って放送されるテレビ番組の「政治的公平」は以前から問題視されてきた。行政文書を提供したとされる総務官僚の行為に、法的問題(国家公務員法違反など)はないのか。総務省内に残る「旧自治省」と「旧郵政省」の対立と、高市早苗経済安全保障担当相が追及される背景とは。いくつかの論点を取材・考察した。


 「文書の内容が正確なものだったかなどを、総務省で引き続き精査している」「経緯は総務省が国民に分かりやすく適切に説明することが重要」

 岸田文雄首相は7日の衆院本会議で文書について問われ、こう答えた。

 問題の文書は78ページ。小西議員が総務省職員から受け取ったとして2日に公表した。安倍政権当時の2014~15年、官邸側と総務省が放送法をめぐって協議した経緯という。総務省は7日、行政機関の職員が職務上つくり、組織的に用いるものとして保有する「行政文書」と認めた。

 野党側は「放送法の解釈を事実上変更し、番組に圧力をかける目的があった」などと批判している。

 新聞や雑誌などと違い、国民共有の財産である「公共の電波」を使用するテレビ局の番組に対しては、放送法が定められている。同法第4条では、「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」などと記されている。

 昨年、「政治的公平」が疑問視される出来事があった。

 テレビ朝日系の情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」で昨年9月28日、同社社員のコメンテーター、玉川徹氏が生放送で、「僕は演出側の人間ですから、テレビのディレクターをやってきましたから、それはそういう風につくりますよ。政治的意図がにおわないように制作者としては考えますよ」と発言したのだ。

 テレビでは以前から、特定番組の「政治的公平」が疑われてきた。

 米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏は、日本のテレビ番組の現状について「特定の政権や、政策などへの批判や意見ありきで、番組が作成されているようにみえる。賛成・反対意見の放送時間の比重が偏っていたり、反対運動も主催者発表をそのまま流したりしている」テレビは絶大な影響力がある。電波を独占する局だけが情報を統括できてしまう現状は問題だ」などと語った。

 「行政文書の提供・流出」も注目点だ。文書の多くには、「厳重取扱注意」「取扱厳重注意」の記載があった。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は7日の記者会見で、「行政文書が安易に外に流出すること自体、国家のセキュリティー管理としては問題だ」「外に出すことがルールとして駄目だとされているものが、国会議員の手に渡り、国会で議論になり、後付けでそれを認めていくというようなことになった」と批判した。

 これに対し、前出の小西氏は「違法行為を告発した総務省職員は、国家公務員の鏡であり、真の英雄です」「『国家公務員法の守秘義務に反せず、むしろ、積極的に法令違反の是正に協力すべき』が政府見解です」などとツイートし、公益通報だと主張している。

■総務省「内部対立」か

 法的な問題はないのか。

 元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「国家公務員法違反罪などで刑事告発があれば、特捜部が担当する政治案件になる。特捜も推移を見守っているだろう。まず真偽を検証するため、総務省への聞き取りや資料を精査する。内容が事実なら、国家公務員法違反などに該当する機密漏洩(ろうえい)かの判断が焦点だ。また、資料に捏造(ねつぞう)があれば虚偽公文書作成罪に該当する可能性もある。時間が経過しており検証は困難だが、並行して総務省の調査や、内規に基づく処分もあるだろう」と語る。

 それにしても、このタイミングで騒動が勃発した背景は何か。

 玉木氏は「民主主義のプロセスに関して、リークを通じて何かをやろうとすることが、政治的意図をもとに行われたとしたら問題だ。特に、選挙(=今春の統一地方選)にこういったものがどう影響するかどうかも含め、適切な行為とは思えない」と指摘する。

 総務省の内部対立を指摘する声もある。総務省は2001年、「自治省」「郵政省」「総務庁」などが統合されて発足した。〝出身母体〟による主導権争いがあるというのだ。

 政府関係者は「文書に何度も登場する礒崎陽輔首相補佐官(当時)は旧自治省出身。電波行政を担当する総務省の旧郵政省側と緊張感のあるやり取りをした。『敵』が多かった」と証言する。

 もう一つ、指摘される背景が〝高市潰し〟だ。

 高市氏のお膝元の奈良で4月、県知事選が行われる。高市氏の元秘書官も務めた元総務官僚の新人が出馬するが、現職候補と「保守分裂選挙」の様相を呈している。

 さらに、高市氏は経済安保相として、安全保障に関わる機密情報を扱える人を認定する「セキュリティー・クリアランス(S・C=適格性評価)」創設の正念場を迎えている。反対派の妨害工作との見方もある。

前出の政府関係者は「政権を『攻撃』する意図で不確かな資料を野党側に漏洩したとすれば、組織の情報管理上、最悪の事態だ」と語った。

■「放送法文書」問題 主な論点

①テレビなど放送の特殊性

②政治的公平性と安倍政権の圧力

③総務省の行政文書の不備

④行政文書の提供・流出(国家公務員法違反では)

⑤騒動の背景(旧自治省vs旧郵政省、高市潰し?)

【私の論評】文書からは総務省内の旧自治省系と、小西氏が出身の旧郵政省系の派閥争いが読み取れる(゚д゚)!

上の記事では、いろいな要素をあげているので、かえって解りにくくなっている部分がありますが、その本質は現総務省の中における旧自治省系と、旧郵政省系の派閥争いです。それは、下の高橋洋一氏の動画をご覧いだたければ、ご理解いただけるものと思います。

小西議員が公開した、いわゆる「行政文書」は、安倍政権下で当時の総理補佐官が「放送法の事実上の解釈変更を求めた経緯が記された」と指摘されています。文書は行政文書であることが確認されたと、松本剛明総務大臣が3月7日、会見で述べています。

文書自体は、公表されていますので、以下のリンクからご覧になることができます。

立憲民主党の小西洋之参院議員が公表した同省の内部文書とされる資料

この文書自体は、行政文書であることは、見ればだいたいわかります。しかし、当該の行政文書が正しいかどうかはまったくの別問題です。 ただ、一見した限りでは、ひどい行政文書だという印象を受けました。例えば当該文書には「厳重取扱注意」と記されていますが、普通の行政文書には「取扱厳重注意」です。

官庁で作成される文書は、配布先を見ると、それが行政文書かどうかはわかります。行政文書とは官僚が仕事で作成文書であり、個人メモではありません。個人メモは、作成者自身だけしか見ないものです。

官庁で、仕事で作成したものは、官庁内の多くの人が見ます。当該の行政文書でも配布先を見ると、何人かいるでしょう。 このようなものは、行政文書といえます。

とこが当該文書の当時の高市早苗総務大臣への大臣レクチャーのところを見ると、大臣室には回覧されていないことがわかります。大臣レクチャーにかかわる文書は大臣室に回すのが普通です。

なぜかと言うと、内容に誤りがあってはいけないからです。でも当該文書は回覧されていません。ですから、これでは当時の高市総務大臣はがチェックできません。レクチャーの内容が適切にに書かれていない可能性が高いです。

要するに高市氏に文書が回覧されていないことから、高市氏が実際には、語っていないことが書いてある可能性があります。あるいは逆に、語ったことが書れていない可能性もあります。たとえば大臣がレクチャーの中で質問したことも正確には書かれていない可能性があります。

そういうことは大臣室に回せばチェックできます。でも、旧郵政のトップである桜井俊さんにしか回していない。事務次官と大臣室には回していないので、適当に書かれていてもわからないのです。ただし、行政文書にはなります。

定義上は行政文書になりますが、それ自体が正しいか正しくないかで言うと「あまり信憑性がない」というのが、外形的にすぐわかるような行政文書です。

この文書よく読めば、総務省のなかの、旧郵政省と旧自治省の争いが官邸まで波及したことが読み取れます。磯崎補佐官は旧自治省の方です。 山田秘書官は旧郵政省の方ですから、両方で派閥争いをしていることが読み取れる文章になっています。

省庁再編で統合された官庁

しかも、当時の総務省内の話が官邸まで及んだことが読み取れます。特に高市さんは総務大臣でしたから、それがすぐに認識できます。ただ、当時の高市大臣は、派閥争いには関わらないというスタンスでした。というより、そもそも官庁内の派閥争いには、ほとんど関心がない感という感覚だったと思います。

いずれかに片寄せすると、一方の肩を持ってしまうことになり、厄介なことになります。 ですからいずれにも近付かず、適当にあしらっていたのが実態だつたと思います。

この文書全78ページのうち、磯崎氏の名前が出てくる部分は多いですが、高市大臣が出てくるのは4ページのみです。

なぜこのような8年前の文書が今になって表に出たのでしょうか。それはおそらく上の記事では、元総務官僚の新人が出馬するとしか書かれておらず、何のことかわかりませんが、高市氏のお膝元の奈良で4月、県知事選においては、高市氏の元秘書官も務めた元総務官僚(旧自治省系)の新人が出馬、大分県補選においても、それぞれ旧自治出身者が立候補します。

高市氏を攻撃することで、元自治省出身者を貶め、ネガティブキャンペーンを実施して選挙戦を不利にさせる作戦であると考えられます。高市氏を貶めたい人たちと、旧自治省出身者を貶めたい旧郵政省派閥が協力した可能性もあります。

このようなことに、小西議員や野党、マスコミは利用されているに過ぎないとみるべきでしょう。お粗末です。結局いくら追求しようと、「モリ・カケ・桜」の二の舞いを舞うだけでしょう。これでは、自民党も対応には時間を費やすことになるかもしれませんが、安泰でしょう。

しかし、このようなことで国会で無駄時間を費やしていただきたくないものです。現状では、安全保障、外交、経済などの問題が山積しています。

まともな国会審議をしていただきたいものです。

最近、長年にわたり頻繁に利用させていただいているタクシー会社が今月の19日に廃業することを決めたということを運転手の方から聞いたばかりです。

正直かなり驚きました。原因は、人手不足だそうです。とにかくドライバーのなり手がおらず、運営していても、いずれ赤字になることは明らかで、運営を断念したようです。

巷で、人手不足であることが言われていますが、実際に身近でこのようなことが起こったのには驚きました。

現在日本は海外から輸入している、エネルギー・資源価格などが高騰しているところにもってきて、日銀が金融緩和を継続しているため、人手不足になるのは当然のことです。

ただし、日本はデフレから完全に脱却しておらず、日着は金融緩和を継続すべきです。利上げなどの引き締め策に転ずることになれば、またデフレに舞い戻ることになります。

このようなときに真っ先に実行すべきは、現在未だ日本経済に存在する受給ギャップ30兆円を埋めることです。

現状のままだと、価格高騰と、日銀の金融緩和策により、人手不足にはなるものの、多くの企業は需要が少ないなか価格転嫁をするのは難しくなります。特に、中小企業はそうです。先にあげたタクシー会社もその典型的な事例であり、多くの老舗や、町工場などか廃業を余儀なくされています。

昨年10月28日夕刻に閣議決定された総合経済対策は、電気・都市ガス料金の負担軽減など物価高騰への対応が柱で、国費の一般会計歳出が29兆1000億円程度とさました。ただ、ほんんど全部が補助金で実行されるため、実行するのが遅かったり、執行できないものも出やすいです。

そのため、需給ギャップが急速に埋めるのは難しいです。そのため、エネルギー・資源価格が高騰しても、多くの企業が価格転嫁できず、先のようなタクシー会社のような事例もでてくるようになるのです。

普通の国だと、減税主体で実行するので、執行速度はかなりはやいですし、執行漏れも少ないです。補助金となると、実行するのは市町村などが窓口となって実施するので、人員も限られているこれらの自治体が実行するには時間がかかります。しかも、colabo問題でも明らかになったように、審査や監査なども甘くなり、不正の温床になりやすくなります。だから、経済政策は他国と同じように減税を主体とすべきなのです。

このような大問題があるのに、それは無視して、小西議員は正確性が疑われるような行政文書で、総務省内の郵政派閥の文書をわざわざ国会で取り上げ、高市氏を貶めるとともに郵政派閥に肩入れするような馬鹿真似をしています。小西氏は元々旧郵政省出身なので、こういうことするのかもしれませんが、現在の立場は国会議員です。立場をわきまえるべきです。これを、立憲民主党やマスコミも取り上げて、問題にしようとしています。

小西議員

あまりにポンコツすぎて、空いた口が閉まりません。こういう人たちには、「インド太平洋戦略」という概念を生み出し、世界に新たな秩序を作り出した、安倍元総理のものの考え方など全く理解できないのでしょう。私は、安倍元総理のものの考え方は、統合的思考の極致であり、本来政治家とはこういう考え方をすべきと思っています。

無論、政局も重要です。いくら素晴らしい政策論を語っても、足場が脆弱では、影響力を行使できません。しかし、政治家が政局だけで動けば、有権者にとっては無意味な存在になってしまいます。政治家は、政局も統合的思考の枠組みの中で捉えて物事を考え、行動すべきです。

政治家がそのような考え方ができず、本当にチマチマした考え方や行動しかしないのでは世も末です。政治家は本来世界と日本との関係や日本全体のスケールでマクロ的に物事を考えるべきです。そういう視点がなくて、ただ現場をミクロ的にしかみないのであれば、政治家には不向きです。社会事業家等になり、現場で困った人たちを直接助けるべきです。

時間的尺度もせいぜい数ヶ月後のことしか考えないようでは、終わっています。国家百年の計という言葉があるように、100年後のことを考えることも場合によっては必要かもしれませんが、いくら100年後ことを考えても現世代の人はそれを確認することもできず、実用的ではないかもしれません。ただ最低でも10年後や30年後のことを考えて、仕事をすべきでしょう。目の前の、倒閣運動に集中し、それで一喜一憂するようでは、到底まともな政治家とはいえません。

【関連記事】

ウクライナ戦争で大きく変わる世界秩序 米国が中国を抑え付ける好機、日本も自由民主主義国としての連携を―【私の論評】ここ10年が最も危険な中国に対峙して日本も米国のように「準戦時体制」をとるべき(゚д゚)!


「安倍晋三 回顧録」出版は間違いあれば正すため インタビュアー「違うなら言って」―【私の論評】「安倍晋三 回顧録」をまず最初に精読すべきは、岸田総理その人か(゚д゚)!

0 件のコメント:

特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣―【私の論評】岩屋外務大臣の賄賂疑惑が日本に与える影響と重要性が増した企業の自立したリスク管理

特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣 渡邉哲也(作家・経済評論家) まとめ 米国司法省は500ドットコムと元CEOを起訴し、両者が有罪答弁を行い司法取引を結んだ。 日本側では5名が資金を受け取ったが、立件されたのは秋本司被告のみで、他...