8日に発売され、大きな話題となっている「安倍晋三 回顧録」で安倍晋三元首相の話の聞き手を務めた、読売新聞特別編集委員の橋本五郎氏が9日、日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」に出演し、出版の裏話を披露した。同書は安倍氏が首相を退任した2020年10月から計18回、36時間にわたって行われたインタビューを書籍化したものだ。
橋本氏は出版について「ご本人が『きちんと歴史に残さなければいけない』と思っていたんでしょう」と安倍氏の心境を代弁した。森友学園問題について、同書で安倍氏は「私の足を掬うための財務省の策略の可能性がゼロではない」「私の元には、土地取引の交渉記録など資料は届けられませんでした」などと語っている。これに橋本氏は「(森友問題で)初めて『策略』って言葉は聞きましたけどね。その前から『自分は一切知らされていない』と。『それなのに、なぜ“関与している”って言われるんだ』というのはずっとありました」と安倍氏が疑問を持ち続けていたことを明かした。
司会の宮根誠司は「(インタビュー当時)総理はお辞めになったとはいえ、現役の国会議員、安倍派の会長ですよ。その方がここまでしゃべっていいのかとちょっと思った」とあまりに赤裸々な内容に驚いたとコメント。橋本氏は「だから、去年の1月にまとまってたんですけど『ちょっと待ってくれ』と言われたんです。あまりに差し障りがあるから」とストップがかかっていたと説明した。
一方で「理解してほしいのは、いかに戦略的に外交をやり、周到な準備に基づいて、いろんなことをやったか」と外交面での苦労を公にする意向もあったとした。さらに「それから、自分の理想、こうやりたいっていう目標はあるんだけどその時々に非常に妥協したり」と柔軟な対応力もあったことを強調した。
宮根は「どうぼくらは読んでいいのか。どこまでが真実で」と安倍氏が自身をいいように取り繕って語っている可能性にも言及。橋本氏は「なんで出したかっていうと、ここに書いてあることが『違う』ということなら『違う』と言ってくださいと。そのためにも早く出さないといけない。必ず正当化するんですから、政治家は」と真偽を追求するための出版であることも語った。
【私の論評】「安倍晋三 回顧録」をまず最初に精読すべきは、岸田総理その人か(゚д゚)!
この回顧録、私もさっそくアマゾンからkindle本を購入して、読んでいます。ただし、これから読む人もおおいでしょうから、内容について触れるのはネタバレになりますので、ここでは控えようと思います。ただし、どうしても一部はありますので、それはご承知おき下さい。
ウインストン・チャーチルの『第二次大戦回顧録』の背表紙 |
自叙伝は作者が生まれてからある一定の年齢にいたるまでの人生を連続的に語りますが、回想録は特定の時期に経験したできごとだけ、あるいは一定の地位に就いていたときの見聞だけを記述するというケースがあり得ます。「安倍晋三 回顧録」は後者の部類です。
私が安倍元首相の訃報を聴いたときは無論大ショックで、すぐに信じられなかったというのが、実態でした。今でも、テレビなどに笑顔で出ていらっしゃるのではと思ってしまうくらです。そうして、しばらくして、心配なことがありました。それは、安倍元首相が、突然亡くなったことで、安倍首相は「回顧録」などを記す、暇もなかったのではないかということです。
実際ご自身で書かれる暇はなかったのですが、インタビューという形で、残されたものがあったということで、それが今回出版されたということで、その面では安心しました。
岸田首相は、読書をされるそうですから、是非ともこの回顧録をご覧になって、安倍元首相の政治への取組姿勢を学んでいただきたいです。
書店から出る岸田首相2022年12月31日 |
安倍元総理大臣が、財務省がいわゆる「安倍おろし」を行った可能性を示唆していたことについて、岸田総理大臣はそうした「動きを感じたことはない」と否定しました。
立憲民主党・大西健介衆院議員:「本日発売の安倍晋三回顧録というのを持って参りました。財務省と党の財政再建派議員がタッグを組んで安倍おろしを仕掛けることを常に警戒してということが書かれています。財務省の安倍おろしっていうのを感じることがあったか」
岸田総理大臣:「財務省による『安倍おろし』の動きを感じたことがあるかという質問については、感じたことはありません」
立憲民主党の大西衆議院議員はまた、財務省が森友学園問題で「安倍元総理に土地取引の交渉記録などを故意に届けなかったのか」と質問しました。
鈴木財務大臣は「故意か故意ではないか別として、その資料は届けていなかった」と応じました。
そのうえで、財務省に安倍おろしの意図があったかについては「コメントのしようがない」としました。
私は、回顧録を読むまでもなく、「安倍おろし」はあったものと確信しています。安倍氏は総理在任中に、2度も消費税延期を行い、その度に解散総選挙をして、国民の信を問い、財務省の圧力を跳ね除けました。また、安倍・菅両政権のときに合計で増税なしで100兆円の補正予算を組み、コロナ対策を実施しました。
これは、両方とも財務省が嫌がることです。
安倍・菅両政権では、補正予算を活用するとともに、雇用調整助成金制度を活用して、雇用対策を行ったため、他国では失業率がかなり上がったのに対して、日本では2%台で推移しました。これは、大偉業と言って良いです。残念ながら、これはマスコミがほとんど報道しないので、多くの国民は普通のことと思っているようですが、特に若年層にはかなり訴求効果があったものと考えられます。岸田首相は、これを大いに参考にすべきです。
安倍首相がこのような姿勢を在任中にも貫いたからこそ、残念ながら、GDPは2度の消費税増税によって伸びませんでしたが、日銀が金融緩和を継続したので、雇用は劇的に良くなりました。これを否定する人もいますが、そういう人たには、数字やグラフが読めないのかと言いたいです。特に、若年層、高校生・大学生・院政の就職率は格段に上がりました。これが、政権の維持に寄与したのは間違いないです。
この時の安倍元総理の行動など仔細に分析して、財務省への対処法を原理原則としてまとめておくと良いと思います。そうして、財務省対策としては、安倍総理を超えるくらいの、力量を身に着けていただきたいです。財務省に左右されない政治を実施すべきです。
外交でも、安保でもそうしていただきたいですが、特に国内政治で、何もかも財務省の言うとおりでは、結局財務省のいいようにされ、利用されるだけ利用され尽くして、挙げ句の果てに必要がなくなれば、ポイ捨てされるだけだと思います。過去の日本では、財務省の思い通りになった期間は、政権がかなり不安定になっています。
財務省は、財務省の増税・緊縮教義が第一であり、その時々の政権や国民経済のことなどどうでも良く、とににかく増税・緊縮ができれば、自らの差配力が増し、天下り先も増えるので、それだけで良いのです。彼らには、すでに理念・矜持も何もなく、増税・緊縮の教義に従って、盲目的に突っ走るだけです。
日本国民の賃金が下がっても、日本より人口の少ないドイツにGDPで追い抜かれたとしても、増税・緊縮さえできればそれだけで良いのです。だからこそ、安倍元総理はこれに対峙したのです。
岸田総理には、はやくそのことに気づいていただきたいです。財務省は、決して岸田総理の味方でも、自民党の味方ではないのです。
【関連記事】
0 件のコメント:
コメントを投稿