日本周辺で活動を活発化させる中国軍。きょう未明、鹿児島・屋久島沖の領海に中国測量艦が侵入しました。防衛省によると、12日午前2時半ごろ、中国海軍のシュパン級測量艦1隻が、屋久島南西の日本の領海に侵入。中国測量艦はその後、北西方向に進み、午前4時10分ごろ十島村・口之島の北東から領海を出て、西に航行しました。
2022年、全国で中国海軍の艦艇が領海侵入したケースは、いずれも屋久島沖で、4月、7月、9月、11月、12月と、あわせて5回でした。
なぜ屋久島沖ばかり相次いでいるのか?謎を解くカギは「潜水艦」と「水温」、そしてもうひとつのキーワードでした。
■1年で5回も領海侵入「庭先を荒らされている気持ち」
国際法では、外国船が領海に入っても、沿岸国の平和や秩序に害を与えなければ航行できる「無害通航」が認められていますが、防衛省は「中国海軍が日本周辺で活動を活発化させている」として、相次ぐ侵入に警戒を強めています。
鹿児島県の屋久島から南西に10キロ、口永良部島から南に20キロ余り離れた日本の領海内付近が、中国測量艦が頻繁に領海侵入を繰り返す海域です。
現場の海域は世界自然遺産の島・屋久島の近くで、黒潮の恵みを受け、トビウオなどが獲れる豊かな海です。祖父の代から続く地元漁師は中国測量艦の侵入に不安を覚えると話します。
(屋久島の漁師・瀬山哲矢さん)
「測量艦が入って来るとやっぱり不安。自分たちの庭先を荒らされるような気持ち」
■潜水艦の太平洋ルートを開拓? 対潜拠点の鹿屋に近いのに?
屋久島沖は対潜能力を持つP-1やヘリコプターの拠点に近い。より離れたルートを選びそうだが…
元海上自衛官で、中国の軍事動向に詳しい笹川平和財団 小原凡司・上席研究員は、海洋進出を強める中国が日本沖の海の状況を調べ、「潜水艦を太平洋へ行き来させるルートを開拓しようとしている」と分析します。
(笹川平和財団 小原凡司・上席研究員)
「測量艦はおもに海図などを作成するために使われる船。屋久島周辺が、中国海軍の潜水艦が探知されずに太平洋に出入りするのに適していると判断し、調査している可能性がある」
■対潜水艦能力を持った鹿屋に近いのにわざわざ?
屋久島沖の近くには鹿屋基地があり、潜水艦の探知や対応にあたるP-1哨戒機が配備されています。仮に中国が太平洋に出入りしようと考えるなら、鹿屋から離れたルートを選びそうですが、なぜ屋久島沖なのでしょうか?
■海上自衛隊 元潜水艦隊司令に聞くと
潜水艦の探知や対応にあたる鹿屋基地のP-1哨戒機や護衛艦は、敵の潜水艦が出す音を探知するなどしてその位置を特定します。
音波で位置を割り出す上で、重要なのが水温です。水温が変わると、水中の音の速度が変わります。水中に伝わる音の速さが変わると、実際と異なった記録になるといいます。
海自の潜水艦隊司令を務めた専門家に聞くと、中国軍が屋久島沖にこだわる「キーワード」が浮かび上がってきました。
■中国軍の意図を分析 潜水艦と水温と「もうひとつのキーワード」
かつて海上自衛隊で潜水艦隊司令官を務めた矢野一樹さんです。敵の潜水艦の探知が特に難しいのが、屋久島沖などで見られる、海水温が急激に下がる「変温層」と呼ばれる深い水域です。
元海上自衛官で、中国の軍事動向に詳しい笹川平和財団 小原凡司・上席研究員は、海洋進出を強める中国が日本沖の海の状況を調べ、「潜水艦を太平洋へ行き来させるルートを開拓しようとしている」と分析します。
(笹川平和財団 小原凡司・上席研究員)
「測量艦はおもに海図などを作成するために使われる船。屋久島周辺が、中国海軍の潜水艦が探知されずに太平洋に出入りするのに適していると判断し、調査している可能性がある」
■対潜水艦能力を持った鹿屋に近いのにわざわざ?
屋久島沖の近くには鹿屋基地があり、潜水艦の探知や対応にあたるP-1哨戒機が配備されています。仮に中国が太平洋に出入りしようと考えるなら、鹿屋から離れたルートを選びそうですが、なぜ屋久島沖なのでしょうか?
■海上自衛隊 元潜水艦隊司令に聞くと
潜水艦の探知や対応にあたる鹿屋基地のP-1哨戒機や護衛艦は、敵の潜水艦が出す音を探知するなどしてその位置を特定します。
音波で位置を割り出す上で、重要なのが水温です。水温が変わると、水中の音の速度が変わります。水中に伝わる音の速さが変わると、実際と異なった記録になるといいます。
海自の潜水艦隊司令を務めた専門家に聞くと、中国軍が屋久島沖にこだわる「キーワード」が浮かび上がってきました。
■中国軍の意図を分析 潜水艦と水温と「もうひとつのキーワード」
かつて海上自衛隊で潜水艦隊司令官を務めた矢野一樹さんです。敵の潜水艦の探知が特に難しいのが、屋久島沖などで見られる、海水温が急激に下がる「変温層」と呼ばれる深い水域です。
(元海自・潜水艦隊司令官 矢野一樹さん)
「潜水艦の音波は変温層に当たって屈折する。変温層に入った潜水艦は探知できない」
そして浮かび上がったもう一つのキーワード「黒潮」
変温層に加え、屋久島沖ではさらに中国の潜水艦が侵入しやすい条件があります。それが黒潮です。黒潮は水温の変化が激しいため、音波を使った水中の状況把握が、通常より難しくなるのです。
元潜水艦隊司令官の矢野一樹さんは、屋久島沖は変温層に加えて黒潮が流れるため、「中国海軍にとっては潜水艦が探知されにくい海域」だといいます。
(元海自・潜水艦隊司令官 矢野一樹さん)
「黒潮は非常に流れが速いので、非常に複雑な音の伝播=伝わり方になる。その音の反射が、潜水艦と間違われることもある」
屋久島の南側を流れる黒潮の場所と、中国測量艦が侵入を繰り返す海域はピタリと一致します。測量艦は一般的に、海水の温度や流れ、海底の深さや地形などを調べる能力があります。
かつて海上自衛隊の自衛艦隊司令官だった香田洋二さんは、中国海軍の測量艦が屋久島沖に相次いで侵入する理由について、「季節ごとの水温変化や黒潮の流れを何度も調べることで、将来的に海の状況を予測できる体制をつくろうとしている」と分析します。
(元海自・自衛艦隊司令官 香田洋二さん)「中国軍は、いつ潜水艦が通れば何パーセント音が伝わるのか、つかむ必要がある。領海侵入は減ることはないと考えていい」
■地元漁師「今まで尖閣とかの問題と思っていたが…」
(屋久島の漁師・瀬山哲矢さん)「今まで尖閣諸島とかの問題と思っていたが、それがいざ自分の身近で起きると不安。平和が一番」
続く中国測量艦の領海侵入。屋久島の海では、不安ととなりあわせの日々が続いています。
【私の論評】中国測量船の目的は、潜水艦の航路を探すこと!これに日本は十分対抗できる能力がある(゚д゚)!
日本政府は、中国海軍のこれまでの動向を踏まえ、「外交ルートを通じて中国側に強い懸念を伝えた」ということです。これは、日本としては当然のことでしょう。
上の記事、事実は伝えているのですが、いわゆる専門家の方の話しは、すべて中途半端であり、これは専門家の方が中途半端な話しかしなかったというよりは、この番組の製作者の意図によるもののようであり、作為を感じます。
軍事に疎い人がこれをみれば、日本は中国の潜水艦に対して何もできないような印象を与えるだけであり、結果として中国の脅威を煽っているだけです。
たとえば、海水温が急激に下がる「変温層」と呼ばれる深い水域に潜水艦が入ると発見できないとしていますが、これ自体は事実ですが、これに対応する術はあります。
まずは、変温層に関しては、日本の海自も知っているどころか、中国海軍よりも知り抜いており、当然中国の潜水艦が、ここに入ることは予め予想しており、対処法としては最も簡単なのは、この変温層に日本の潜水艦を潜ませておくことです。その他にも航空機からセンサーを投下したり、予めこの海域にセンサーを設置しておくこともできます。対処方法はいくらでもあるのです。
屋久島沖は変温層に加えて黒潮が流れるため、「中国海軍にとっては潜水艦が探知されにくい海域」としていますが、これへの対処も述べていません。これに対する対処は、無論潜水艦が探知しにくい海域に日本の潜水艦を配置しておくことです。
そうして、そのような海域は、日本も中国の観測船よりもはるかに能力が上の観測船で観測しており、そこにも日本の潜水艦を予め設置しておくことも可能ですし、実際にそうしているでしょう。
日本は、現在潜水艦22隻体制で運用しており、日本列島周辺の変温層や、黒潮対策は十分にできる体制です。というより、それを十分にできるようにするため、多大な時間と労力をかけて、わざわざ22隻体制にしているのです。
そうして、その潜水艦のすべてが、中国のどの潜水艦と比較してもステルス性(静寂性)に優れており、中国海軍がこれを予め、発見するのは難しいです。
このようなことも含めて、日米のASW(対潜水艦戦:Anti Submarine warefare)の能力は、中国をはるかに凌駕しており、この能力が中国海軍を上回っているため、中国海軍は日米には、海戦において勝利することはできません。なぜなら、現在の海戦においては、水上艦艇は大きなミサイルの標的にしか過ぎないですが、潜水艦はそうではないからです。
潜水艦こそが、現代海戦の主役であり、ASWの巧拙が、海戦での勝利を決めるからです。
上記事では、このへんのところを専門家に意図的に聞かないようにしているか、話をしていても意図的にカットしているようです。印象操作しているとしか思えません。
先日は、このブログで中国海軍の弱点を掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
米韓、黄海上空で再び戦闘機訓練 中国けん制も狙いか―【私の論評】米軍が黄海で演習するのは、中国の潜水艦の建造・メンテは渤海で行うという大きな弱点があるから(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国海軍の弱点は、潜水艦を含めた艦艇の建造や、大規模なメンテを受けるのは、渤海であり、渤海に至るには黄海を通らないければならないことです。そのあたりを解説した部分を以下に掲載します。この黄海は、中国海軍にとって、ネックでもあります。その主たる原因は、黄海・渤海は、平均水深は46m、最深部でも200m以下と浅いということです。
ところが、中国原子力潜水艦の建造は、黄海に続く渤海湾内の遼寧省葫芦島市葫蘆島造船所に集中しています。 ここに造船所があるのは、維持整備上のやりやすさというのが大きな理由の一つであると考えられます。
葫蘆島造船所に停泊する潜水艦(赤丸) クリックすると拡大します |
現実に 中国は、渤海湾にある中国唯一の原子力潜水艦建造所の拡張を図っています、ただ、必 要であれば渤海湾以外での原子力潜水艦の建造もできるようにするでしょう。ただ、その動きは全くありません。中国近海は、渤海・黄海はもとより東シナ海を含めて水深が浅く、潜水艦の行動には適していません。今や水深の深い南シナ海こそ、中国にとっては原潜の聖域と言っても良い状況で、私としてはなぜ中国が環礁を埋め立てて作った基地に、潜水艦の建造や本格的メンテができる造船所をつくらないのか不思議です。中国の潜水艦を含む艦艇のメンテは潜水艦も含めて、大掛かりなものは、すべて渤海湾内の造船所で行わなければなりません。そうなると、水上艦艇はまだしも、すべての潜水艦は黄海を通り、渤海にでなければメンテはできないことになります。渤海に行くためには、必ず水深浅い黄海をとおらなければなりません。中共は、なぜこのような不合理なことを未だに続けているのでしょうか。それには、いろいろな観測がありますが、その中で最も合理的と思われるのが、様々な艦艇、特に潜水艦は、中国共産党にとって脅威になるからというものです。
結局のところ、中国海軍の潜水艦や水上艦艇も北京の勢力下である、渤海で建造されたり、メンテをする体制は今でも変わっていません。海南島に空母をメンテできる乾ドックという報道もありましたが、どうもこれも事実ではないようです。
日米が、黄海を封鎖すれば、中国海軍はたちまち機能不全になります。その一方で、中国は、測量艦を日本の領海侵入させ、中国の潜水艦の通路を探し出そうとしているわけです。
なにやら、全体主義国家の歪さを感じます。宇宙でも似たようなことがあります。宇宙関連企業の中国国内での分布は、研究、人材、政策などが総合的に優れた地域とされる北京に最も多く、全体の40.8%を占めているともいわれています。それに江蘇省(11.2%)と広東省(7.9%)が続くとされています。北京に集中させるのは、やはり宇宙軍の造反が脅威なのでしょう。そのため、中核となる部分はやはり北京共産党の勢力圏である、北京周辺で実行させ、その他の部分を江蘇省や広東省で実施させているのでしょう。
昔は、いずれの国でも、軍や軍の一部の造反が、権力者の最も大きな脅威でした。中露北やミャンマーでは、いまでもそうなのです。
憲法も、法律も共産党の下に位置づけられる中国においては、共産党の中で造反が起これば、これはとんでもないことになるわけです。なぜなら、共産党造反派は被造反派に対して、理屈上は、憲法や法律に縛られずなんでもできるからです。
このこともあるため、中共は海外より、自分の国の内部の都合で動かざるをえないのです。他国の脅威と同じか、時と場合によっては、中共内部の造反のほうが、より脅威になりえるのです。
こんな、おかしな中国ですが、破壊力だけは超一流です。海戦になれば、日米に負けるでしょうが、ミサイルを発射して、日本の国土や、米軍基地を破壊することもできます。
このようなこともあるので、先にも述べたように「外交ルートを通じて中国側に強い懸念を伝えた」ということです。これは、日本としては当然のことでしょう。
ただ、これだけでは十分ではないです。日本としては、屋久島付近や、尖閣付近でも良いので、日本の対潜水艦戦能力を中国側に見せつける訓練をすべきです。
潜水艦や、空母などにみたてた艦艇を潜水艦や、航空機や護衛艦などで撃沈する訓練等、中国の艦艇や潜水艦が監視する中で実施するなどのことをすべきです。
また敵基地攻撃能力の力も見せつけるべきでしょう。日本は南北に長いですから、南の端から、北の端にある中国の監視衛星地上施設に見たてた標的や、レーダー基地などをピンポイントで破壊してみせるなどのことをすべきです。
中国が、日本の領土や、米軍基地を破壊すれば、強力な報復があることを知らしめるべきです。現状では、日本の潜水艦から長距離ミサイルが発射できるようにすることが、中国に対して最強の抑止力になります。
【関連記事】
0 件のコメント:
コメントを投稿