首相は安倍政権について「経済状況は大きく改善し、雇用も企業収益も拡大し、もはやデフレではないところまで戻ってくることができた」と指摘。外交・安全保障分野でも「『自由で開かれたインド太平洋』の推進、日米同盟の深化や平和安全法制の整備を実現した」と述べるなど、安倍政権の実績を次々に挙げた。
そのうえで10年間を振り返り、「(旧)民主党政権によって失われた日本の誇り、自信、活力を取り戻すために、皆で力を合わせ、大きくこの国を前進させた」とアピールした。
首相は「今こそ安倍元首相、菅(義偉)前首相が築いてきた『前進の10年』の成果の礎の上に『次の10年』を作るため、新たな一歩を踏み出す時だ」と強調。「さらなる挑戦を続けていこう」と呼びかけた。
首相は「防衛力を抜本的に強化し、積極的な外交を展開することで、戦後最も複雑で厳しい状況の中、いかなる事態が生じても国家・国民を断固として守り抜く」と述べた。5月に広島で開かれる主要7カ国(G7)首脳会議を成功させ、「世界の平和と繁栄の新しい秩序」を目指す意欲を示した。
「円滑化協定」の署名を終えて握手をする岸田首相とスナク英首相 |
2020年、当時の菅義偉首相と、オーストラリアのスコット・モリソン首相(同)が、同じ「円滑化協定」に合意した際には、オーストラリア最大の全国紙「「The Australian(オーストラリアン)」はこれを、「防衛協定(=安保条約と言い換えてもいい)」という単語を使って報じています。
これに倣うなら、今回の日英首脳の署名はさしずめ「日英同盟の復活」ともいえます。
「安倍晋三 回顧録」出版は間違いあれば正すため インタビュアー「違うなら言って」―【私の論評】「安倍晋三 回顧録」をまず最初に精読すべきは、岸田総理その人か(゚д゚)!
私は、回顧録を読むまでもなく、「安倍おろし」はあったものと確信しています。安倍氏は総理在任中に、2度も消費税延期を行い、その度に解散総選挙をして、国民の信を問い、財務省の圧力を跳ね除けました。また、安倍・菅両政権のときに合計で増税なしで100兆円の補正予算を組み、コロナ対策を実施しました。これは、両方とも財務省が嫌がることです。安倍・菅両政権では、補正予算を活用するとともに、雇用調整助成金制度を活用して、雇用対策を行ったため、他国では失業率がかなり上がったのに対して、日本では2%台で推移しました。これは、大偉業と言って良いです。残念ながら、これはマスコミがほとんど報道しないので、多くの国民は普通のことと思っているようですが、特に若年層にはかなり訴求効果があったものと考えられます。岸田首相は、これを大いに参考にすべきです。安倍首相がこのような姿勢を在任中にも貫いたからこそ、残念ながら、GDPは2度の消費税増税によって伸びませんでしたが、日銀が金融緩和を継続したので、雇用は劇的に良くなりました。これを否定する人もいますが、そういう人たには、数字やグラフが読めないのかと言いたいです。特に、若年層、高校生・大学生・院政の就職率は格段に上がりました。これが、政権の維持に寄与したのは間違いないです。
第2次安倍内閣
第2次安倍改造内閣
第3次安倍内閣
第3次安倍第1次改造内閣
第3次安倍第2次改造内閣
長きわたり、安倍内閣の閣僚であり続け、しかも外務大臣という重要ポストであり続けたのですから、財務省の圧力を感じなかったはずはありません。それに、財務省は財務大臣を除いてすべて官僚であり、その官僚があたかも大きな政治グループのような行動し、議員やマスコミなどを利用して時の政権に圧力をかているのは周知の事実です。
岸田氏と財務省はあまりに関係が良くて、それに気づいていなかったということもあるのかもしれません。もし、そうであれば、政治家としてはかなり鈍感な部類に入ります。
ただ、いずれにしても、安倍内閣や菅内閣が、財務省と対峙しなければならなかったのか、岸田総理は安倍元総理の「回顧録」を熟読して学ぶべきと思います。
以前もこのブログで指摘したとおり、外交・安保においては安倍路線を継承するものの、国内の経済政策などでは継承しないのは、やはり、外交・安保では国外に米国やEUなどの相手がおり、安倍・菅政権において打ち出した政策や、約束事はすべて継承せざるをえないのでしょう。
いかに、林外相が親中派であり、心許ないといえども、相手のあることですから、約束事などを翻して、親中的な態度をとれば、米国などから二次制裁を受けることになりかねないですから、岸田政権としては露骨に親中的な態度はとれないのでしょう。
日本や西欧諸国ではそれが当たり前です。韓国や中国などはそうではない場合もおうおうにしてあります。それは先日このブログで指摘したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国に「幻想抱くな」 ウクライナ戦争仲介を警戒 ドイツ首相―【私の論評】中国の外交部と軍部の齟齬がさらに拡大!習近平はこれを埋められるか(゚д゚)!
ショルツ独首相 |
詳細は、粉の記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
中国では、習近平指導部の発言を代弁する外交部の発言と、軍部の行動、他派閥の行動が矛盾することはよくあることです。
中国において、共産党は絶対に無視することのできない存在であり、多くの企業には共産党組織があります。これも一枚岩ではなく、習近平の派閥に連なる組織もあれば、他派閥に連なる組織もあれば、また軍部に連なるものもあります。これらが、複雑に絡み合い、互いに陣取り合戦を日々行っていると言うのが実体です。
そのため、習近平や外交部が米国に近づこうとしても、軍部としては、それに反対で、それに連なる企業が、ロシアに武器を提供し続けるということも起こり得るのです。
ただ、それは中国内の都合であって、中国の外の国々には関係のないことです。国の内部で主張が割れていたにしても、通常の国では外務省(中国で外交部)の発言のみが対外的な発言になるのですが、中国では必ずしもそうではないのです。
さすがに、岸田政権としても、外交や安全保障に関しては、中国のような曖昧な態度は取れないのでしょう。
ただ、経済対策など国内のことについては、日本政府が行うものであって、海外に対して約束したりするものではないし、これに対して外国政府が意見や見解を発したりするのは、内政干渉となるので、一般にはしません。
ただ、中国や韓国のような国は、他国に対してはそういうことはしませんが、日本に対してはそうすることもあります。 そうされても、日本は反撃しないだろうと考えているでしょう。ただ、安倍政権などでは、これに対して反撃することもあったので、最近は、外交音痴の中韓であってもほとんどこのようなことはしなくなりました。
そういうこともあって、日本国内の経済対策などに関しては、岸田氏は外国のことなど意識せず、フリーハンドでできるのだと思います。そうして、この部分に関しては、岸田総理は財務省の圧力に屈した形で、増税に迎合するような姿勢を見せているのでしょう。
ただ、岸田総理が一つ忘れていることがあります。政治家は選挙で選ばれます。有権者は国民なのです。多くの国民は、現状では増税などして欲しくないと考えているはずですし、物価高の折できれば賃金も上がって欲しいと考えていることでしょう。
こういった、大多数の国民の声を聞き、政策を実施したのが安倍総理であり、三党合意により結局増税はせざるを得ない状況には追い込まれましたが、2回も増税を延期し、政府の意向に沿って、日銀は金融緩和を継続したことと、安倍・菅両政権で合わせて100兆円の補正予算を組み、様々なコロナ対策を実施したため、失業率もあがらず結局医療崩壊を起こすこともなかったのです。
安倍・菅路線を「前進の10年」と位置づけた、岸田総理の発言は正しいです。岸田総理には、経済などの国内対策でも、安倍路線を継承し、「前進の10年から、発展の10年」を目指して欲しいです。その過程で、岸田カラーを出すべきです。
ただし、「新しい資本主義」などという意味不明のスローガンは捨て去り、宏池会の生みの親でもある池田隼人氏のように、「所得倍増計画」を実施するなどのことをすれば、安倍元総理とともに、歴史に名を刻む名宰相になることでしょう。
そうして、今の岸田政権は民主党政権が崩壊した直後に「外交・経済・安保」等の負の遺産とともに、政権を引き継いだ、安倍政権とは異なり、安倍・菅政権の「10年の前進」によるプラスの成果を引き継いでいるのですから、「発展の10年」を実現しやすい環境にあるといえます。先人の努力を無駄にすべきではありません。
政治家は結果がすべてです。どんなに素晴らしい理念を語っても、それに一歩でも近づかなければ意味がありません。環境が整っていようが、いまいが、過去どうだったかなどは別にして、日本国が発展すれば、それは岸田総理の功績になります。
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