2023年2月3日金曜日

米韓、黄海上空で再び戦闘機訓練 中国けん制も狙いか―【私の論評】米軍が黄海で演習するのは、中国の潜水艦の建造・メンテは渤海で行うという大きな弱点があるから(゚д゚)!

米韓、黄海上空で再び戦闘機訓練 中国けん制も狙いか

米韓空軍は黄海で1日に黄海で共同訓練を行った

 韓国国防省は3日、米韓両軍の戦闘機が黄海上空で合同訓練したと発表した。米韓は1日にも米国のB1B戦略爆撃機が参加する訓練を実施。北朝鮮が米韓による圧力強化に対抗し、ミサイル発射などの軍事的な威嚇に出る可能性がある。黄海上空での頻繁な戦闘機展開には、中国をけん制する狙いもありそうだ。

  韓国空軍は、訓練は韓国防衛に対する「米国の意思と能力を示すものだ」とし、強固な米韓同盟を誇示。核・ミサイル開発を加速化させる北朝鮮の脅威に対応するため、引き続き合同訓練を強化していくと表明した。3日の訓練には、韓国側からステルス戦闘機F35A、米側からはF35Bなどが投入された。

【私の論評】米軍が黄海で演習するのは、中国の潜水艦の建造・メンテは渤海で行うという大きな弱点があるから(゚д゚)!


地図でご覧いただければ、おわかりになるように、黄海の朝鮮半島の対岸は、中国です。このような場所での訓練ですから、当然のことながら、中国に対する牽制も、狙っていることでしょう。

この黄海は、中国海軍にとって、ネックでもあります。その主たる原因は、黄海・渤海は、均水深は46m、最深部でも200m以下と浅いということです。

ところが、中国原子力潜水艦の建造は、黄海に続く渤海湾内の遼寧省葫芦島市葫蘆島造船所に集中しています。 ここに造船所があるのは、維持整備上のやりやすさというのが大きな理由の一つであると考えられます。

葫蘆島造船所に停泊する潜水艦(赤丸) クリックすると拡大します

現実に 中国は、渤海湾にある中国唯一の原子力潜水艦建造所の拡張を図っています、ただ、必 要であれば渤海湾以外での原子力潜水艦の建造もできるようにするでしょう。

ただ、その動きは全くありません。中国近海は、渤海・黄海はもとより東シナ海を含めて水深が浅く、潜水艦の行動には適していません。今や水深の深い南シナ海こそ、中国にとっては原潜の聖域と言っても良い状況で、私としてはなぜ中国が環礁を埋め立てて作った基地に、潜水艦の建造や本格的メンテができる造船所をつくらないのか不思議です。

中国の潜水艦を含む艦艇のメンテは潜水艦も含めて、大掛かりなものは、すべて渤海湾内の造船所で行わなければなりません。

そうなると、水上艦艇はまだしも、すべての潜水艦は黄海を通り、渤海にでなければメンテはできないことになります。渤海に行くためには、必ず水深浅い黄海をとおらなければなりません。

中共は、なぜこのような不合理なことを未だに続けているのでしょうか。それには、いろいろな観測がありますが、その中で最も合理的と思われるのが、様々な艦艇、特に潜水艦は、中国共産党にとって脅威になるからというものです。

中国の人民解放軍は、普通の国の軍隊とは違い、中国共産党の下に位置し、いってみれば共産党の私兵であり、いくつかの軍(戦区)にわかれており、その軍が、戦車や航空機、艦艇を持ち、核兵器も持っている軍もあるという異様な形態をしています。しかも、この軍はそれぞれ自ら事業も展開しており、これが不正の温床ともなっています。


それぞれの軍自体が、共産党の私兵であり、事業も展開しているのです。日本でたとえると、商社が武装しているようなものです。

そうして、共産党は決して一枚岩ではなく、派閥争いが絶えません。最近は、習近平が掌握しつつあるとはいっても未だ完璧ではありません。いつ派閥争いが激化し、軍隊もそれに呼応して、いつ中国共産党中央政府にたてをつくかわかったものではありません。

だからこそ、中国共産党は今でも北京の直接の勢力下にある渤海でだけ、潜水艦のメンテを行わせているのでしょう。

もし、自らの勢力下にないところの造船所で、潜水艦のメンテを行えば、造反しやすくなり、造反されれば、北京にミサイルを打ち込まれ、中国共産党中央政府は崩壊するかもしれません。それも核を打ち込まれれば、とんでないことになります。そんなことを避けるためにも、今でも渤海でしかメンテをさせないのでしょう。

中国の潜水艦はすべてメンテを行うためには、水深の浅い黄海を通らなければならないのです。これは、せっかくの潜水艦の隠密性を自ら放棄しているようなものです。

黄海を航行する潜水艦は、水深が浅いことから、米軍側としては、かなり発見しやすく、確実に仕留めることができます。これは、航空勢力で十分にできるでしょう。

米軍が黄海でたびたび演習するのは、こうしたことを見透かして、中国を牽制する目論見もあると考えられます。

海上自衛隊の艦船や航空機は2017年末以降、黄海や東シナ海の公海上で中国船などによる北朝鮮船への石油精製品の密輸を監視しています。これは大東亜戦争後初めてのことでした。北朝鮮への石油輸出制限の抜け穴をふさぎ、国連安全保障理事会による対北朝鮮制裁決議の実効性を高める狙いとされており。海自の集めた情報は米軍とも共有し、密輸防止に生かしているといわれています。

ただ、これも密輸にかこつけて、中国に対する牽制も行っているものと考えられます。黄海の浅い海を航行する、中国の潜水艦は対潜哨戒能力が高い日本も、簡単に発見できますし、すぐにこれを撃沈することもできます。

日米は、中国のすべての艦艇の音紋を採取し、メンテナンスの頻度なども把握しているでしょう。


海上自衛隊が黄海で監視をしていることは、テレビでも報道されていましたが、あまり話題にはなりませんでした。ただ、青山繁晴氏がテレビで「戦後初めて」という言葉を使って、その意味合いを説明していました。

中国にとっては、黄海で、米韓が演習をしたり、日本が監視活動を行うことは、本当は嫌で嫌でたまらないのでしょうが、これに強く抗議すると自ら弱点を世界に晒すことになるので、それもあまりできないのでしょう。

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