2023年1月28日土曜日

岸田首相「再調査踏まえ必要な対応」 Colabo不正会計問題―【私の論評】colabo問題を追っていくと、財務省の「財政民主主義」にまでたどり着く(゚д゚)!

岸田首相「再調査踏まえ必要な対応」 Colabo不正会計問題

岸田首相

   岸田文雄首相は27日の参院本会議の代表質問で、東京都監査事務局が都の若年被害女性等支援事業を受託している一般社団法人「Colabo(コラボ)」の経費精算に一部不当な点があるとして都に再調査を指示していることについて、「再調査結果などを踏まえて必要な対応を行いたい」と述べた。同事業は国が経費の一部を負担している。

【私の論評】colabo問題を追っていくと、財務省の「財政民主主義」にまでたどり着く(゚д゚)!

岸田首相のColabo不正会計問題に対する発言は、悪くはないですが、それにしても具体的にどうすべきかは見えてきません。colaboというミクロの現象をどうやって政府がマクロ的に捕らえ、政府として具体的にどのように行動していくのが見えてきません。まさに「検討師」的な発言です。発言するなら、マクロ的な観点からある程度発言してほしかったです。

Colabo問題が未だはっきりしていないのに、厚生労働省は、困難に直面する女性への対応を手厚くするため「女性支援室」を4月に新設します。ドメスティックバイオレンス(DV)や性被害、貧困など女性を取り巻く問題は複雑化している実態を踏まえ、問題の解決や自立の促進につながる体制を目指すそうです。 

厚労省は従来から女性支援に前のめりだが・・・・・

現在は、厚労省の子ども家庭局に所属する職員3人が中心となり、生活困窮に苦しむ母子家庭の女性の問題などに対応しています。一方、アダルトビデオ出演の強要といった性的搾取に遭う若い人も増えてきました。 

このため、社会福祉を担う社会・援護局に女性支援室を4月に設け、問題に総合的に対処。専任の担当を10人確保するそうです。

こうした組織、結局またおかしげなことに活用されかねないと思います。女性支援という趣旨は結構だとは、思いますが都道府県などで実際に政策へ下ろしていくときは、このブログでも以前述べたようにいろいろな補助金を出します。その補助金が正しく使われているかどうかを、確認するのは至難の技です。その記事のリンクを以下に掲載します。
ネットで大騒ぎ「Colabo問題」めぐる税金の不適切な使われ方 国は〝弱者ビジネス〟助長させる「困難女性支援法」を見直せ―【私の論評】Colabo問題の本質は、日本の経済・支援政策のほとんどが減税ではなく、補助金で実行されること(゚д゚)!
結局、日本の経済政策や支援政策などの多くが、減税ではなく、補助金等で実行されることが、Colabo問題のような数々の問題を助長しているのです。

補助金等にばかり頼っていれば、補助金等のための審査は際限なく増え必然的に甘くなるというか、事実上できなくなり、Colabo問題のような問題を生み出し、さらに執行漏れが多数出るのは最初から判りきったことで、余った大量の補助金等は財務省が特別会計等として溜め込み、「死に金」となるのです。

このような不合理なことは、一刻もはやくやめて、日本でも減税を多用すべきです。減税であれば、補助金等と異なり、税金をとらないだけですから、簡単に実施できますし、それに不正の温床となることもあまりありません。それでいて、確実にしかも素早く効果があります。

このような、政策転換をしない限り、Colaboのような問題は防ぐことは難しいでしょう。

colaboのようなNPOでも、女性を助けるためには、様々な物品を購入するはずです、そのときに消費税が減免されれば、かなりの補助になるはずです。

しかし、支援のほとんどが税金ではなく、補助金や助成金ということなれば、それを実行するのは最寄りの地方自治体ですし、補助金は女性支援だけではなく、コロナから、失業対策から、から子供支援などもあり、地方自治体の事務量は莫大なものになります。 

そうなると、補助金・助成金の審査は十分にはできず、形式的なものになってしまいます。様々な書類などが型どおりに揃っていれば、それでOKという事にならざるを得なくなります。また、あまりにも数が多いので、監査もおざなりにならざるを得ないです。

このことが白日のもとに晒されたのは、まさに一般社団法人「Colabo(コラボ)」の件であるともいえます。

補助金などの使い道に関する、住民監査請求権がありますが、とにかく補助金には様々なものがあり、地方自治体もそれに関わる余裕がなく、住民監査請求は95%が門前払いで、「こんなものは請求に値しない」ということで終わってしまうのが、通例です。

ところが、Colaboに対する住民監査請求は2月末までの再調査になっています。とても珍しい例です。

今回のColaboの件については、以下の監査結果で、請求内容も見られます。
東京都若年被害女性等支援事業について 当 該 事 業 の 受 託 者 の 会 計 報 告 に 不 正 が あ る として、当該報告について監査を求める 住 民 監 査 請 求 監 査 結 果
この結果では、監査請求の内容もみることができますが、不正会計とみられる内容があまりに酷いのです。これは、本来補助金を出す時に、東京都の福祉保健局が十分対応すべきだったと思われますが、先にも述べたように、おそらくコロナの影響などでコロナ関係補助金や補助金が山積しており、十分に審査できなかったのでしょう。

岸田政権の経済対策や、事業支援対策など、ほぼすべてが、補助金によるものなので、地方自治体や政府なども実質上モニタリングできないような状態になるでしょう。

そのため、Colabo問題を住民監査請求に委ねるとしても、第三者が見るのにも限界があるでしょう。だから補助金などを配るにしても、方法を変えるべきです。

行政が手間をかけて審査や、監査を徹底するという考え方は事実上パンクしているのですから、全体の仕組みを変えるべきです。

まずは、政府の経済対策や事業支援対策などは、補助金・助成金主体から、減税主体とするのです。これで随分地方自治体の手間が減り、補助金の審査や監査がかなりやりやすくなります。

それともう一つの方法としては、補助金を配るのではなく、寄付したい人が、直接NPO法人などに寄付してもらう形式にするのです。補助金は税金を吸い上げて役所が配る仕組みです。それであれば、直接NPOなどに寄付してもらうようにするのです。

直接寄付してもらい寄付金額に応じて、税金を控除する方式にするのです。税収はその分減るのですが、効果は一緒です。それに税金を控除すれば、それが寄付へのインセンティブにもなります。

これが、欧米などで行われている方式であり、欧米では寄付金文化が根付いています。日本で、こうした寄付金文化が根付いていなかったのは、こうした仕組みがなかったことが大きな原因です。

このブログでもかつては、良く掲載していたことなのですが、日本ではNPOというと、奇特な人たちが手弁当で集まり、実施する奇特な事業ということで、あまり期待される存在ではありませんでした。

一方米国では、たとえば、低所得者住宅提供を、就業支援プログラムなどを含む、包括的パッケージとして提供する事業などがあります。それを実行するNPOに建設会社、銀行なども加わり大々的な事業を展開したりしています。こんなことを言うと、日本ではなんのことやら、わからないという人もいるかもしれません。

そのため、NPOは米国では立派な事業と考えられており、大学院を卒業した将来を嘱望されるような優秀若者が、就職先に選ぶということも普通のことです。また、民間営利企業でやり手だった企業経営者が、営利企業に嫌気をさして、非営利企業のNPOの経営者に転身して、大事業をやり遂げるということも珍しくはありません。

かつてドラッカーも評していたのですが、米国の優秀な非営利事業のNPOにおける、マネジメントは利益という指標がないからこそかなり厳しく、徹底的に使命(ミッション)やそれに関わる目的や目標を追求しているとされ、民間営利企業はこれを見習うべきと述べています。

米国のように、寄付したい人が、NPO法人などに寄付すれば、寄付した人が自分が寄付したお金がきちんと使われているかどうか監査することになります。この方法なら、寄付した人はより関心がありますから、よりきちんと監査することになるでしょう。

そういうこともあってか、米国では毎年、星の数程のNPOが生まれる一方、星の数程のNPOが消えていきます。

米国では、税金では自分の寄付したお金がどう使われているかをよく見ることができなので、なるべく税金を支払わないようにして、NPOになるべく多く寄付するという人もいます。

日本では、colaboの資金源は補助金の他どこからお金が拠出されているかを調べると、いろいろな名前が上がった中に、「赤い羽根共同募金」もありました。

colaboに寄付できますの間違いか・・・・・・

日本では、NPOへの寄付が根付いておらず、寄付金は少額なのが通例です。しかし、米国式に大きな金額の寄付も受け付けられるようにして、寄付した人達自身が監視するという方式にすべきです。無論、NPO側も、インターネット上で財務内容を公表するのが前提です。そうした方が、政府や自治体が監視するよりも監視は効くと考えられます。

ただ、こうしたことを推進する上でネックになるのが財務省です。財務省は、個人の意向でNPOに寄付をしそのお資金でNPOが社会事業を推進することは、「財政民主主義」に反するとみているようです。

日本では社会事業に関しては、全部税金という形で一旦国庫に入れて、それを国が分配するという形をとります。財務省は、これを「財政民主主義」と主張しています。しかし、もし先にあげたように、税金を控除されるしくみがあれば、国民は今より多く民間のNPOに寄付をすることになるでしょう。

そうすれば、国の財政として国民に選ばれた国会議員が何にいくら使うということを決めないで、民間のNPOが社会事業を実施することになります。財務省は、これだと財政について民主主義が崩れると考えているようです。

しかし、この「財政民主主義」という考え方によれば、社会事業に関する財政は、全部公務員が進めていくことになります。この考え方だと、減税や寄付よりは補助金・助成金のほうがより民主的ということになります。これらは、単なる手段であり、どのような手段を取ろうと、場合によって効率的、非効率等の違いはありますが、民主・非民主的の指標とはなりえません。


この論理はおかしいです。現状のNPOは業務に関して官庁や地方自治体の認可を受けかつ官庁等に詳細な報告義務を持つはずですが、先にも述べたように、すべての社会事業を官庁や地方自治体が事前審査し、事後監査することなど不可能です。

こうした財務省による「財政民主主義」の間隙をぬって、これを活用して、社会事業を餌に、公金をチューチュー吸い上げよういう人達も多数でてくるのでしょう。

無論、ミクロ的に見れば、様々な個人や組織が結びついたり、ついたりで、さながらアメーバのようにして、その時々で、最も公金を吸い上げやすいように変幻自在に形を変えているものとみられます。

そうして、官僚は補助金によって自ら差配をしたがります。このような仕組みをつくろうとする人はたくさんいます。官僚でも助成に限らず、NPO関係の補助金の仕組みをつくろうとする人は多いです。

今後も女性支援を強化していくなら、きめ細やかな対応が必要なことから、NPOの数が増えると思います。

これを全部行政が対応するとなると、先の述べたようにマンパワーも何もかも足りないです。そこで専門性のあるNPO法人に委託するにしても、監査を全部行政がやるのは非効率です。

東京都であれば、女性支援を担当している部署は福祉保健局になりますので、まさにコロナと正面で向き合っているところです。マンパワーも予算もそちらに割かれることになります。

先にも述べたように、厚労省で別の組織をつくるということですが、「女性支援室」の10人では、いくら何でも全国の話をそこでチェックするのは無理です。政策は良いにしても、公金を使うときには何らかの仕組みを考えなければなりません。

日本でも、NPOの基盤を強くし、今回のcolabo問題のような問題をなくすためには、官庁や自治体、NPOの自助努力だけでは限界があります。まずは寄付文化が根付くように、今後の税制改正も実現すべきです。

そうして、寄付金を元に、まともなNPOが活動しやすくするとともに、大口寄付者等がNPOの審査や、監査ができる体制も整えるべきです。財務省や他省庁の官僚たちも、すべての社会事業を自分たちが差配できるなどという幻想は捨てるべきです。

そうでないと、colaboのような問題はモグラ叩きのようになって、いつまでたってもなくならないでしょう。

このような問題については、随分前には、このブログに掲載していたのですが、最近はほとんど掲載していませんでした。それは、ブログに掲載しても、多くの人に関心を持ってもらえなかったからです。

しかし、今回Colabo問題が起こったことにより、日本の寄付金文化の問題やNPOの問題は従来よりは、はるからに多くの人に理解してもらえるきっかけになると思います。まさに、暇空茜さんの功績は大きなものです。

さらに、もし安倍元総理がご存命であれば、この問題の全容を岸田総理のようにミクロ的な見方しかしないのではなく、マクロ的な観点から理解し、暇空茜さんの功績を、行政に活かす試みがスムーズにできたと思います。それを思うと、残念でなりません。

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