2023年3月20日月曜日

放送法文書問題、高市氏追及の構図崩壊か「謀略なら予算審議と切り離し特別審議を」―【私の論評】忘れてはならないのは、高市大臣は被害者であること(゚д゚)!

放送法文書問題、高市氏追及の構図崩壊か「謀略なら予算審議と切り離し特別審議を」

放送法文書問題で、高市氏への追及が続くが…

安倍晋三政権下で、放送法の「政治的公平」を協議した経緯とされる総務省の「行政文書」が流出した問題が迷走気味だ。総務省の調査で、当時の高市早苗総務相(現経済安保担当相)と安倍首相が放送法の解釈をめぐって電話で協議したとする文書は「作成者不明」「確認されず」と説明されるなど、文書の真偽に疑問が深まっている。高市氏は「(内容が)捏造だ」と明言しているが、一部野党は、20日の参院予算委員会でも追及するという。

【写真】総務省が公表した「行政文書」に関する調査結果の資料

「政治的立場を離れて客観的に分析しても、高市氏の説明が正確だったとの見方が強まっている。野党がさらに追及するなら、新たな手段で真相究明する局面ではないか」

官僚組織に詳しいジャーナリストの石井孝明氏はこう指摘した。

総務省は17日、「『政治的公平』に関する行政文書の正確性に係る精査について(追加報告)」を公表した。

これには、《作成者および同席者のいずれも、この時期に、放送部局から高市大臣に対して、放送法の解釈を変更するという説明を行ったと認識を示す者はいなかった》《高市大臣から安倍総理又は今井秘書官への電話のいずれについても、その有無について確認されなかった》とあった。

つまり、高市氏らによる放送側への圧力や、放送法の解釈変更を図ったとする〝構図〟が崩れつつあるのだ。

そもそも、問題の行政文書は作成者不明のものも多いうえ、公文書管理法に基づく「行政文書ファイル管理簿」に記載されないなど、不適切管理が判明している。

石井氏は「高市氏や安倍氏を巻き込み行政文書が偽造された疑いがある。また、情報漏洩に関わった人物には国家公務員法違反の疑いもある。万が一、そのような〝謀略〟だったとすれば、大問題だ。もはや、予算審議と切り離し、国会の委員会などで別途、特別審議を開いて証人喚問などを行い、その結果、事件性があれば刑事告発をすればいい」と指摘する。

ただ、一連の騒動で、高市氏の消耗は激しいようだ。

高市氏は18日、自身のツイッターで《総務省文書騒動で役所の公務は殆どできなくなりました》《多くの企業が参加される経済安全保障の講演会もドタキャン。「国会軽視」はしていません》などと書き込み、担当する機密情報の取り扱い資格「セキュリティー・クリアランス」の法整備が影響を受けている現状に苦悩を明かした。

【私の論評】忘れてはならないのは、高市大臣は被害者であること(゚д゚)!

総務省が公表した「行政文書」に関する調査結果の資料に関しては、以下の総務省のサイトからご覧いただけます。
「政治的公平」に関する行政文書の正確性に係る精査について

 3月7日、当省が公表した総務省の「行政文書」の正確性に係る精査(本体PDF参考資料PDF)について、お知らせします。

本体は4ページですし、参考資料は78ベージです。まずは、今回の出来事について、論評する人は、まずはこのくらいは読んでからにすべきと思います。特に本体は絶対に読むべきでしょう。

本体を読めば、参考資料はとてもまともな「行政文書」とはいえないことが誰にでも理解できます。

いわゆる、「もりかけさくら」問題に関しても、このような文書がいくつも公表されていましたが、ほとんど読まないで批判している人もみかけました。そのような愚かな真似はすべきではありません。

この参考資料が、今回のいわゆる「行政文書」というものです。総務省の調査内容が書かれたある本体を読むと、この文章の信憑性を疑わせる内容で満載です。総務省が調べた結果を捏造することもないと思いますが、高市氏を批判する人たちは、この文書の内容を真摯に受け止めているのでしょうか。

そうして、この文書は総務省から違法に持ち出されたものです。こうした内部告発は公益通報として保護される公益通報者保護法がありますが、偽造文書であるならば、この制度でも守られることはありません。まずは、この違法行為の責任が追及されるべきです。

公文書漏洩は国家公務員法違反(110条)として、罪に問われます。そしてそのそそのかしも罪に問われます(同111条)。外務省機密漏洩事件(西山事件、1971年)で、毎日新聞記者の西山太吉氏は、機密漏洩を依頼しそれを公表したことで罪に問われ逮捕、起訴され、最高裁で有罪が確定しました。


この総務省文書騒動では、これを漏らした総務官僚は罪に問われます。また詳細の解明が必要ですが、それをそそのかした場合に、小西氏は罪に問われます。小西議員には不逮捕特権が国会議員としてあるが、それは国会会期中のみです。また捜査は可能です。

総務省は、情報漏洩について、違法行為がある以上、当然、刑事告発の義務を負います。総務省は情報漏洩の懸念で左派からマイナンバー制度への批判を繰り返されています。職員が堂々と情報漏洩をしているのです。その懸念が正しいことになってしまうでしょう。行政の信頼を失わせることになります。

偽メール事件で議員辞職した永田議員

また虚偽情報によって、高市早苗大臣の政治責任を追及した、小西議員、そして立憲民主党は当然批判されるべきです。2006年の偽メール事件を覚えているでしょうか。民主党の永田寿康衆議院議員が堀江貴文氏のメールを根拠に武部幹事長への堀江氏からの不正献金をを国会で追及した事件です。メールは偽物で、民主党首脳部は総辞職、永田氏は議員辞職の後に自殺しました。

今回も似たような構図です。しかし、これは公文書偽造と、首相と大臣を電波官僚が騙した疑惑とセットになっています。偽メール事件より悪質な事件です。小西議員は、3月19日に高市氏に辞職を迫る焦ったようなおかしなツイートをしています。しかし客観的に、違法性が問われるのは彼です。動揺しているようですが、精神的にも法的にも社会的にも彼は大丈夫なのでしょうか。

小西洋之議員の3月19日ツイッター

最初から最後まで、この騒動での小西洋之氏の意図が不明なのですが、結果として彼は何事も成し遂げでおらず、道化師の役割を果たしただけです。

つまり物事を混乱させて、それを進めてしまう人の役割を果たしたのです。余計なことをしたばかりに、彼がかつて関係を持った上司や同僚を犯罪者にしてしまったのかもしれないです。

ただ、不思議なのは、情報漏洩者は、小西氏のような「小物」に文書を渡して何をしたかったのかと言うことです。これが政府を攻撃する重要文書とでも勘違いしたのでしょうか。これも解明が待たれるところです。

さらに、不思議ことですが、現在野党は高市早苗大臣を個人攻撃しています。日本の野党は政策の提言ではなく、政府を大混乱させることを狙って、常に国会活動をしています。

政府を混乱させるという視点に立てば、総務官僚が首相と大臣を騙したという大スキャンダルを追及した方が、騒ぎは大きくできると思います。それに最近でいえば、防衛増税など、与党を追求するなら、現状なら事欠かないと思われるのですが、そちらのほうはしないで、今回のような真偽も明らかでない「行政文書」に集中するのですから、本当に頭がどうかしているとしか言いようがありません。

誠に不思議な人たちです。頭が悪いのでしょうか、あるいは電波利権を守ろうとしているのでしょうか。また自民党も、岸田首相も、高市さんをかばわないのが本当に不思議です。首相候補とされる彼女の政治生命を潰したい考えがあるのでしょうか。この件に関しては、高市さんは明らかに被害者です。

自民党がこの問題で、関係者の証人喚問した上、総務省、もしくは同党が刑事告発をすべきです。もしくは、これだけ人権侵害された高市早苗内閣府大臣ご自身が自らしても良いでしょう。捜査機関によって、この疑惑を明らかにする必要があります。

今回の問題のメディアや野党の大騒ぎはずれています。私は以前から小西洋之氏の幼稚で愚かな発言と行動にずっと不快感を持ってきました。彼が政治的、社会的自爆をするのは喜ばしいことです。しかし、個人的な好悪を離れても、この騒動は不思議さに溢れています。早く決着すべきです。

国会は開催に経費が1日約3億円かかります。こんな無駄な馬鹿騒ぎをするより、司法の手に委ねるほうがはるかに合理的です。そもそも、「もり、かけ、桜」などの問題も司法の手に委ねていれば、裁判にもならなかったでしょう。国会で無駄な審議が繰り替えされることもなかったでしょう。

今回の件は、予算審議や、高市大臣の進めるセキュリティクライアンス(情報の保護)の問題から切り離し、総務委員会の下に特別委員会を作り、関係する電波官僚を証人喚問し、その結果を受けて刑事告発をする等行動が、速やかな解決をもたらすでしょう。この無駄な空騒ぎは、国益にも、国民のためにもならないです。

国会においては、このような馬鹿騒ぎをするのではなく、ウクライナ戦争ですっかり変わってしまった世界情勢に対して日本はどうするかなどの、真摯な議論をすべきです。

本日も習近平がロシアを訪問しています。中露が結託を強めれば、ウクライナ戦争は長引く懸念もあります。蔡英文台湾総統が、今年の8月訪米します。日本はどうするのでしょうか。そもそもG7の首脳は、岸田総理を除いてすべてウクライナを訪問しています。岸田総理はどうするのでしょうか。国会で馬鹿げたから騒ぎで高市いじめを続ける時間などないはです。

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