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アマゾンはビッグブラザーか! Kindleで売った『1984年』と『動物農場』を遠隔削除(この内容すでにご存知の方は、この項は読み飛ばしてください)
これだからクラウドは怖い...。
アマゾンが電子ブックリーダーKindleで売った『1984(1984年)』と『Animal Farm(動物農場)』を米時間16日夜、一冊残らず利用者のアカウントから削除し、上を下への大騒ぎになりました。
18日付けNYタイムズによると、版権を持ってない会社が、このジョージ・オーウェルの名作をKindleで販売していることが、正式な版権者からの連絡で分かり、アマゾンが販売済みの違法コピーを削除、ユーザーに全額返金する措置をとったようです。
これが紙だったら「いったん売ってしまったものは戻らない」で終わりですけど、アマゾンのKindleで売った電子書籍はアマゾンと繋がってますからねー。軽い気持ちで過去に遡って消去してしまったんでしょうか・・・。
でも、いったん売ったものを相手の了解もなく取り消すって普通は考えられないですよね? Kindle利用規約でもアマゾンは利用者に「当該デジタルコンテンツの永久コピー」の所有権を保証してますし、これだけKindleに不利で紙書籍に有利なネタもないです。
せっかくお金払って買っても「自分の所有物だという保証」が得られなければ、そんな取引きになんの意味が? 半分読みかけのところで本が消えた人なんてたまんないですよね。何人いるかわかりませんけど...。
アマゾンは「滅多にない事例」だと言ってましたが、こんな馬鹿な話は1回でたくさん。その辺のバーンズ&ノーブル書店で本買えば、僕ん家に誰かが押し入ってナイトスタンドにドル札ぱらぱらっと置いて本もってく心配もないですからね。
よりによって『1984年』(ビッグブラザーに不利な記事は政府がセンサで検閲し、「記憶の穴」に抹殺する)というところが、またなんともシュールな...。
(という具合に反発がすさまじかったのを受け、アマゾン広報は「システムに変更を加え、かかる状況が起きても今後二度とお客様の端末から削除しないようにします」と約束しました。やれやれ、ふぅ・・・)
Kindleも社会を変革する一つのツールになるか?さて、削除された「1984」は、ジョージ・オーエルの有名な小説であり、その中にビッグブラザーという巨大な監視コンピュータがでてきて、この監視コンピュータが市民生活の隅々まで監視してるといストーリーだったのです。だから、こういう落ちになったものと思います。
なお、アメリカでは、「ビッグブラザー」というテレビ番組が報道されていて、幾人かのグループが離れ島などで共同生活する様子をカメラが全部とらえて、放送します。グループが共同生活を長い間続けますから、そのうち、脱落してくるものもでてきます。それをテレビで報道します。日本でも似たような番組がありましね。あれは、アメリカのビッグブラザーが元祖です。こうした番組もあるので、アメリカでは、「ビッグブラザー」が何を意味しているのかもほとんどの人が知っています。
下は、1984の動画、全編がご覧になれます。
このKindleに関しては、大きく言うと二つくらいこれからの私たちに大きな係わり合いが出てくると思います。
まず、最初に、このKindleのようなガジェットが、出版の世界を根底から変えてしまうかもしれないということです。もうアメリカの大学では、kindleによって教科書を学生に与えてるところがあります。kindleにかぎらず、もし、こういう電子ブックが本当に普及したら、出版の世界が以前とは全く異なることになると思います。
インターネットがあるから十分ではないかという方もいらっしゃるかもしれませんが、インターネットでブラウザで見るということになせれば、どんな作り方、見せ方もできるので、情報が断片的になって体系的ではありません。しかし、kindleのような電子ブックでは、制限がありますので、やはり、編集をする必要があり、それに、いわゆる出版社というものを関わらせ、電子ブックの定義をはっりきさせれば、編集もされていない、ものは電子書籍とは認められなくなります。
通常の本なら、これで十分です。書籍というものが、今までは考えられないほど安く作成できるようになります。購入する側も、かなり安く作れます。というより、ちよっとした、本なら誰でも作れるようになるでしょう。これは、教育界などはじめ様々な分野に大きな影響を与え、社会変革の一旦を担うと思います。インターネットは確かに情報を得るには都合がいいのですが、やはり、体系的な情報には向いていません。しかし、kindle用であれば、体系的な教科書のようなもが作りやすいです。更新も非常に簡単です。
たとえば、子供用の絵本など考えてみてください。いずれ、かなりのものが電子書籍化されます。というより、これから、星の数ほどできると思います。そうなると、子供の興味に応じて、ありとあらゆる絵本が、これでもか、これでもかと見させることができます。そうなったら、いかばかり、子供知育に役立つことでしょうか?
新聞、雑誌などの分野もいいと思います。第一、新聞や雑誌が溜まって一度に捨てるときの手間がなくなりますし、これは、容量次第ですが、入れっぱなししておいても、雑誌そのものを保存するようには、場所もとりません。また、電子媒体ですから、色あせるということもありません。
おそらく、このようなものが発展して、始めて、昔言われたような、印刷物がなくなる時代がやってくることになると思います。そのうち、紙のようなディスプレイも発明され、普段は折りたたんでおき、見るときは、広げるなどということができるようになると思います。そうなると、さらに普及するでしょうね。
それから、やはり、クラウドコンピューティングを活性化させることになるかもしれません。世界中のどこかのクラウドにありとあらゆる書籍が蓄えられていて、それが、kindleのような、電子ブックで読むことができるようになるに違いありません。
そうなると、今度は、体系化された知識の宝庫になる可能性が大です。何かを学ぶ際に、インターネットであれこれ、雑多な知識を断片的に集めるよりも、はるかに個々人が欲しがる体系的で誰にも判りやすく、編集された知識に、オンデマンドでアクセス時代がやってきます。これは、素晴らしいことだと思います。片手で、kindleを開くと、欲しいと思った体系的知識にすぐアクセスできるようになるのです。ある知識を得ようとして、何かわからない分野がでてきても、いつでもその場ですぐにその情報にアクセスできれば、困ることはなくなるでしょう。
私は、大学に入ったばかりのころ、受験の時に化学を受験科目としなかったため、かなり内容を忘れていて困っていました。そのときに、大学の先生に薦められたのが、「メイアンの化学」という本でした。確かに定番の本で悪くはなかったのですが、最初は難しくてとっつきにくかったのですが、それにしても、放置しておけば授業についていけなくなるので、我慢して読み通しました。こんなときにも、書籍のクラウドが発達していれば、ほんとうに易しい本から段階的に始められたのではないかと思います。
kindleのような、電子ブックが普及し、さらに、電子ブックで読める体系的な書籍群が満点の夜空の綺羅星のように、世界中のクラウドの中に散らばっている世界、しかも、従来とは違ってこれらが、信じられない格安で利用できる世界。何か素晴らしいことがおこりそうです。無論、こうした世界は、先の「ビッグブラザー」の世界とは全く正反対の世界になると思います。そうして、今世紀に最も数が多くなった知識労働者にとっては必要不可欠になると思います。
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