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2015年12月31日木曜日

【酒井充の野党ウオッチ】安保法制があぶり出す無節操な面々―【私の論評】来年は、道化死する日本の似非リベラリズム?


「市民団体」に加え民主党や共産党の幹部も参加した安全保障関連法の
廃止を求める集会=12月6日午後、日比谷野外音楽堂

安全保障関連法をめぐって揺れた永田町は冬の気配が色濃くなり、「戦争法反対」を叫んだデモの一群もすっかり見なくなった。臨時国会も開かれないとあって国会周辺は静けさに包まれているが、「戦争法」に反対する学生グループ「SEALDs(シールズ)」や「学者の会」「ママの会」などの「市民団体」は来年夏の参院選に向け着々と布石を打っている。

これまでは街頭での反対デモが中心だったが、12月20日、「市民連合」なる組織を立ち上げた。民主党、維新の党、共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたちの野党5党などと共闘し、参院選で反安保法制を旗印とした「野党統一候補」を擁立する算段だ。国会外と国会内の行動が一体化する方向に進みつつあるというわけだ。

12月6日に日比谷野外音楽堂(東京都千代田区)で開かれた反安保法制の集会でも彼らは気勢を上げた。主催者発表で約4500人が参加したという集会の冒頭、俳優の石田純一氏が「重要“環境”事態法」なる独自の概念を表明し、安保法制を「反知性主義」と訴えたのは前座の漫談のたぐいだろう。その後、登場した民主党の福山哲郎幹事長代理と共産党の志位和夫委員長は真剣な表情で「市民団体」との共闘をアピールした。


国会周辺のデモを何回か取材した印象は、安保法制反対を叫ぶ「市民団体」の人たちには品性も知性も感じられないことだった。6日の集会もそうだった。

一連のデモを主導する「戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会」の高田健氏は、「敗北感や挫折感を語っている暇がない」とし、参院選の1人区で安倍晋三政権打倒のため「野党は共闘、結束して院外(国会外)の市民と一緒に戦おう」と呼び掛けた。

さらに自らも参加したという韓国・ソウルで行われた「数万人のデモ行進と集会」に言及。「ソウルの市民運動の仲間たちは日本の戦争法に反対する戦いに大きな関心を持ち、運動が盛り上がったことを本当に喜んでくれている」と紹介した。外国の勢力と連帯して安倍政権を打倒するということらしい。

ミサオ・レッドウルフ
 次に登壇した「首都圏反原発連合」のミサオ・レッドウルフ氏も参院選での「市民団体」と野党の共闘を求め、「亡国の首相・安倍晋三から日本を守る」と訴えた。続いて、本名かどうかよく分からないシールズメンバーの「くるみ」なる大学1年生の女性が登場。「今こそ私たち一人一人が過去の歴史に向き合い、日本帝国100年の総括を帝国主義の側からするのでなく、大衆意識の側からすべきだ」と主張した。「日本帝国100年の総括」の意味が分からない上、安保法制とどう結びつくのかも不明だ。

今年20歳になったという同氏は「この手で1票を投じることができる。うれしすぎる」と喜びを爆発させた上で、「安倍さん、個々の命の尊さを語れないあなたに私の尊い1票をあげられません」と宣言した。

たぶん首相もその1票はいらないと思う。

スマートフォンを見ながら発言していたので、事前に原稿を用意したのだろう。詩的な表現が随所にあり、「私は私であり続ける努力を続けます」と締めくくった。その自由を誰も阻んでいないと思うが、どうも被害者意識が強いらしい。

続いて立った「学者の会」の三島憲一大阪大名誉教授の発言は、およそ学者とはいえないほど聞くに堪えなかった。首相を「あの人」と呼び、「自分が何も分からないくせにノーベル賞受賞者に人前で電話をかけ…」と続けた。安保法制反対を呼び掛け、放送法違反との指摘もあるTBS「NEWS23」のアンカー・岸井成格氏を念頭に「ニュース番組のキャスターを裏で脅したりせずに…」と根拠も明らかにしないまま明言し、首相を「穴に籠もっているか海外に逃走するか。軍隊が好きな割には卑怯だ」と決めつけた。

三島憲一大阪大名誉教授
 さらに、「彼らには中国がとてつもない脅威のようだ」「誰も住んでいない小さな島を『尖閣、尖閣』と騒ぐのも非現実だ」とも述べた。まだ続く。「彼らはアジアのヘゲモニーという大昔のあり得ない非現実的な夢をアメリカとくっついて追いかけている」と一方的に指摘し、「昭和の妖怪といわれた岸信介の孫とそのお友達、平成のゾンビたちも夢を語り始めた。国民総生産600兆円や1億総活躍もゾンビの白昼夢だ」と揶揄した。

その後も「ゾンビの特徴は字が読めないこと」「戦後日本の基本的価値は自民党に対抗する勢力が守ってきた」と次々と“白昼夢”のような持論を展開した。学問や言論の自由は憲法で保障されているとはいえ、こういう教授に教わらなくて本当に良かった。

次は再びシールズメンバーの筑波大大学院1年生・諏訪原健氏が「皆さんに問いたい。あなたにとって理想の社会は、どんな社会ですか」と切り出し、延々と「自由」や「人生」を語り出した。「青年の主張」の会場かと思いきや、突然、安保法制に話題が移り、「無理やり成立させた」と訴えた。彼らには安保法制に賛成する国民は国民ではないらしい。

筑波大大学院1年生・諏訪原健氏
 話はどんどん飛躍し、「こうしている間にも、誰かが自分らしく自由に生きることを諦めているかもしれない。誰かが生きること自体すらも諦めてしまっているかもしれない。僕はそんなのは許せない」とも主張した。許せないのは勝手だが、それは果たして全部が全部、安倍政権の責任なのだろうか。

学生の論理破綻をたしなめるどころか、率先して品性を欠く発言をしたのは評論家の佐高信氏だった。佐高氏は首相を呼び捨てにし、大学時代のゼミが同期だという岸井氏も呼び捨てにした。だが、岸井氏については「50年のつきあいだから呼び捨てにすることを許していただきたい」と、わざわざ断りを入れた。

佐高氏は毎日新聞政治部記者だった岸井氏との内輪話として、岸井氏が首相の父・安倍晋太郎氏の外相時代に担当していたことを紹介し、「外相秘書で全く使いものにならなかったのが安倍晋三だ」と暴露。さらに「この愚かなる安倍晋三をゲッベルス(ヒトラー側近)のように支えているのが菅義偉(官房長官)だ。この男のいやらしさ、しつこさを岸井から直接聞いた」と披露した。もはや何の集会か分からなくなってきたが、反対派の下品さだけはよく伝わった。

評論家の佐高信氏
 それにしても安保法制に反対する学者や有識者とされる人たちは、他人を呼び捨てにして快哉を叫ぶ人が実に多い。民主党のブレーンらしい山口二郎法政大教授は、主催者が約12万人参加と発表した8月30日の国会周辺のデモで、首相を一貫して呼び捨てにし、「生来の詐欺師」「お前は人間じゃない! たたき斬ってやる!」と罵詈雑言を浴びせた。

その山口氏や諏訪原氏も加わった11月19日の「市民団体」と民主党など野党5党との会合で方向性を確認したのが、参院選での共闘だった。野党側は知性を感じられない学者らを是認しているのだろう。協力を求めたぐらいだから。

山口二郎法政大教授

12月6日の集会でも、「市民団体」の発言後に登壇した福山氏は「多くの皆さんが今も熱い思いを持っている。この思いを参院選まで高めていかなければならない」と呼応し、1人区での協力を要請。志位氏も「戦争法をそのままにしておくわけにはいかない」と共闘を求めた。

ところが、共産党が9月19日に発表した安保法制廃止のための野党連立政権「国民連合政府」構想は一向に進展がみられない。民主党内に懸念があるからだ。これだけ反安保法制で一体化しているのだから遠慮は不要のはずなのに、「政権をともにするのは難しい」(民主党の岡田克也代表)という。

【私の論評】来年は、道化死する日本の似非リベラリズム?

昨日は、 民主党ブレーン山口二郎氏の政府に言論弾圧要請でもしたとも受け取られる、「(慰安婦日韓合意)公式見解に反したら処断を」という爆弾発言についてとりあげ、日本の似非リベラルの退廃ぶりについて掲載させていただきました。

ブログ冒頭の記事では、酒井充氏は、日本の似非リベラリストたちを下品などと表現していましたが、私は自身は、もうそんな次元を通り越して、あまり腹もたたないレベルにまで達してしまいました。もう、彼らのパフォーマンスには哀れみすら感じます。なんというか、もう滑稽ですらあります。

左翼陣営が一丸となって、道化パフォーマンスに明け暮れた先には何が・・・?

安倍政権は今頃高笑いしているかもしれません。なぜなら、左翼陣営が一丸となって「反安保」「反原発」に関してまともな政策論議などとは、程遠い上記のように道化のようなパフォーマンスに明け暮れる始末ですから・・・・。本来ならば「反安保」や「反原発」でも厳しい視線を向ける材料は豊富にあります。

「反安保」であれば、北朝鮮による拉致問題は現在の安保法制で解決できるのか、あるいは新たな拉致問題が起こったときに、現在の安保法制で政府は本当にうまく対処できるのか、中国の南シナ海や東シナ海への海洋進出にどう対処するのか、ISをはじめとするテロリストにどう対処していくのか、などなど問題は山積みです。

「反原発」であれば、凍土の除染はうまく行っていないということもあります。さらに、生活圏から離れた森林を除染しない方針が固まっていることや、「もんじゅ」もうまく行っていないし、核燃料の最終処理場をどうするのかも決まっていません。廃炉は30年近くかかります。代替エネルギーの本命もまだみつかってはいません。本当に問題は山積みなはずです。

しかしそれを報道するメディアも反安保(左翼)と推進(官邸)、反原発(左翼)と推進(官邸)と両方とも二極分解しているため、ニュース記事の見出しを読んだり、テレビ報道を見ることすらあまり意味が感じられず、億劫に感じられ、大事なことが風化しつつあるようです。
「ああ安保ね、戦争になるのかな。あれ、いつまでたっても、戦争が起こらないね、大騒ぎしなくたって、ならそれでいいんじゃないの?」   
「ああハイハイ、原発ね。除染うまくいかないのね。なに、海にもう流れた?それでいいんじゃないの、薄まるから。代替エネルギー?原油が安くなっているから、当面いいんじゃないの」 
多くの人々にとって、もはやこの大きな2つの大問題は、もうすでに他人事になりつつあり、問題の本質は議論されないまま、風化しつつあります。今やこれが日本の「二つの日常」になってしまいました。

このままでは、本当に重要なことが政治課題にならないまま、来年は安倍政権が参院選で大勝利することになります。いやそれどころではないかもしれません。

これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。
「ダブル選」大予測 自公の圧勝、野党は壊滅…おおさか維新協力なら憲法改正も ―【私の論評】与党圧勝の真の背景はこれだ(゚д゚)!
安倍首相(左)は、憲政史上3度目の衆参ダブル選挙に踏み切るのか。
民主党の岡田克也代表(右)は、「一強自民」にどう立ち向かうのか
詳細は、この記事をごらんいただくものとして、この記事では、来年夏の参院選が、衆院選との「ダブル選」になる可能性が出てきたこと、実現すれば1986年以来、30年ぶりとなりますが、その結果をむ選挙予測に定評のある政治評論家の浅川博忠氏によるシミュレーションを掲載しました。

その結果は、自民、公明与党が衆院で3分の2以上を確保し、参院でも3分の2に迫るという結果でした。安倍晋三政権と気脈を通じる「おおさか維新の会」が自公両党に協力すれば、参院でも3分の2を超え、いよいよ憲法改正も視野に入ってきそうな勢いです。

以下に、浅川氏によるシミレーションを掲載します。


安倍政権も、本当はまともな議論をしたいところでしょうが、何しろ左翼や似非リベラルが、ブログ冒頭に掲載されているような体たらくでは、議論のしようもありません。

本当に安倍政権が、衆参同時選挙で大勝してしまったとして、次に、外国勢力に日本人が拉致された場合どうなるのでしょうか。あるいは、とてつもなく大きな事件や東日本大震災級の災害があったら、どうなるのでしょうか。

風化してしまった、本当の問題点が議論されないままの現状では、もう一度大衆(懐かしい言葉です)が左翼方面へと振りきれることは考えにくいです。左翼や似非リベラルに扇動されて、その気にさせられて、野党を支持した、自分たちを哀れなピエロのように感じることでしょう。

そうなれば、今度はむしろ欧米で噴出中の移民排斥、マイノリティー憎悪、反グローバリズムがごっちゃになった排他的なナショナリズムに類似した動きが急拡大する可能性のほうが高いかもしれません。

鍵となる要因はあまりにも長い間続いたデフレによる「中産階級の没落」、つまり余裕の無さです。そんな余裕のない多くの人々は、強い国家への渇望、かつて中産階級がうまくいっていた時代へのノスタルジー、途上国の労働者と競争させられることへの嫌悪感等にまみれ、極端な政治への期待へと流れこむことになるかもしれません。

「反安倍」運動に夢を見た人々が何かのきっかけで「民主党や、社民党、共産党に裏切られた」と思ったなら、今度は極右へと振りきれる可能性も強いです。米共和党に起きている現象は遠からず日本にも押し寄せるでしょう。日本にも、トランプのような人が出てこないとも限りません。 

今後、日本社会における大衆煽動の暴走を抑止するには、保守もリベラルも「知性」を回復していくための地道な作業が必要になることでしょう。昨日掲載したように、知恵を結集する必要があります。それも、上下左右に関係なく、誰が正しい、誰が間違いなどの不毛な論議は避け、何が正しいのか、何が間違いなのかを論議し、最初から妥協することを考えずに真摯な議論を重ねていくことが重要です。



今年は、特に安保法制をめぐって、左翼・リベラルの道化的なパフォーマンスが目立ちました。その前から、原発反対の道化パフォーマンスが継続されていました。

来年は、これらの道化パフォーマンスに翻弄された人々が、左翼・リベラルの政治家や言論人らに騙されたと思い、排他的なナショナリズムが勃興するかもしれません。

そのようなことがないように、政治家もマスコミも、言論人も本当に重要な、安全保障や、原発・エネルギー問題を議論できる機運を盛り上げていきたいものです。

いずれにせよ、道化パフォーマンスは、何の意味もないことを、野党も気づくべきです。それに気がつかず、いつまでも同じようなパフォーマンスを繰り返しているようでは、PKO法案が通った後の選挙で、社会党が消滅したように、野党の道化死がおこるのは、必至だと思います。

ちなみに、道化死とは、ホラー映画「道化死てるぜ!」から引用しました。この映画は、「ミートオブザデッド」のコナー・マクマホンが送るゴア・スプラッシャーホラー。2012年シッチェス映画祭でミッドナイトエクストリーム賞を受賞したこの作品は子供たちの悪ふざけが原因で不慮の死を遂げたピエロが蘇り、ひとり、またひとりと復讐を繰り返す衝撃作。

ピエロということでホラーコメディと思いきや、グロ描写多数なのでこの映画をご覧になる方々はご注意ください。以下に予告の動画を掲載しておきます。゜



反安保や、反原発で、道化パフォーマンスに踊らされた人々は、それこそ、それを煽った野党に対して、憎悪の念をぶつけ、極右化してしまうかもしれません。

そんなことにならないため、野党の方々は、煽りパフォーマンスはやめて、安保、原発・エネルギー、そうして経済の問題(特にマクロ経済)等を選挙公約などの形でまともに語ることができるように今から準備を怠ることなく努力していただきたいものです。このままでは、本当に私の予言があたってしまうかもしれません。

そうした意味で、来年は日本の政治にとって、本当に重要な年になるかもしれません。来年以降も野党が、何も変わらず、結局極右勢力が台頭するようになるのか、それとも野党が本来の役割に目覚めて、道化パフォーマンスをやめてまともな活動をするようになるのか・・・・。今のところは、五分五分だと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

本年も、後残り少なくなりました。皆様、本年中は大変お世話になりました。良いお年をお迎えくださいませ。

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2015年2月28日土曜日

再反論!大塚家具、久美子社長が孤高の大演説「パフォーマンスは残念、社員巻き込むな」―【私の論評】時代に連れてお客は変わり、商売が変わるのが常、カリスマがいつまでもリーダーというわけにはいかない、企業もある程度大きくなれば社会の公器であることを自覚せよ(゚д゚)!

再反論!大塚家具、久美子社長が孤高の大演説「パフォーマンスは残念、社員巻き込むな」


それは、前日に行われた父の”熱い”記者会見と異なり、娘の大塚久美子社長(47)はきわめて冷静に努めようとしていた。

2月26日午後2時。東京駅すぐ近くの三菱ビルで開催された、大塚家具の記者会見。一連の「お家騒動」後では、初めて公の場に久美子社長が登場した。実父の大塚勝久会長(71)は25日、役員や幹部社員をズラリ10人以上もそろえて登壇したが、この日は司会役を除けば、壇上には久美子氏一人である。会場には150人以上ものメディアが押しかけ満杯状態だった。

久美子氏は冒頭、本来なら今日は中期経営計画を発表する場であるが、「昨日突然、勝久会長が提出した株主提案のことで発表し、世間をお騒がせしたため」、中計の前に、勝久氏の発表した内容を全面否定してみせた。

まず経営手法と実績について。久美子氏が社長に就いていた2009年から2014年半ばまでは、従来の会員制中心のビジネスモデルとは違う来店促進・接客が一定の成果を挙げてきた、と主張。自分が解任され、勝久氏が社長と会長を兼務した2014年7月から、旧来の路線に回帰したために業績が悪化、4年振りの営業赤字に転落したと述べた。



また久美子氏が、大塚家の資産管理会社「ききょう企画」で不当に財産を隠匿したため、勝久氏が久美子氏を提訴した件についても、「事実認識に誤りがある。私的な問題を上場会社のコンプライアンスの問題とするのは無理があり、驚きを禁じえない」とした。

最後に、勝久氏が会見で幹部社員を自分の周りにズラリと並ばせ、「これが会社の総意」とした点についても、「そうした演出で、社員を巻き込んでしまい、申し訳ない。社員は本来、社業の発展と企業価値の向上のために働くもの」と、批判してみせたのである。

その後は中計を淡々と説明。2月26日が久美子氏の47歳の誕生日であるため、「今日はたまたま私の誕生日。(こんなにも大勢に集まって聞いてもらい)思わぬ誕生日プレゼントです」と、冗談を言う余裕も見せた。

中計では、久美子氏が社長時代に進めてきた「会員制ビジネスモデルの見直し」を、最優先で取り組むべきことと断定。販売員が顧客に店内でつきっきりで説明をするスタイルではなく、もっと気軽に入れる・見られるオープンな店であることを伝えたいと述べた。もちろん、前社長である、勝久路線の否定である。

業績目標としては、前2014年12月期に売上高555億円・営業赤字4億円だったのを、2017年12月期には売上高594億円・営業利益19億円まで回復する、とした。現在の豊富な自己資本比率74%を背景に、今2015年12月期には年間配当予想を80円へと前期比倍増、積極的な株主還元も強調したのである。

この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】時代に連れてお客は変わり、商売が変わるのが常、カリスマがいつまでもリーダーというわけにはいかない、企業もある程度大きくなれば社会の公器であることを自覚せよ(゚д゚)!

私は、この親子の争いを見ていて思い出しことが2つあります。一つ目は、ドラッカーの言葉です。ドラッカーはカリスマ性ではなく、真摯さによるリーダーシッフの重要性を提唱していました。

それは、様々な書籍に表されていましたが、以下には3つの書籍から引用させていただきます。

ドラッカー

まずは、『ドラッカー わが軌跡』からの引用です。
私はその頃まだ、ビスマルクが勝利を収めた1878年のベルリン会議の後、大英帝国の宰相ディズレーリが言ったというセリフを知らなかった。「ドイツも可哀相に。ビスマルクも年だし、いつまでも生きていられるわけではない。臆病で何もできないか、馬鹿で何でもできると思っている奴が、後を継ぐ。どちらにしてもドイツは滅びる」(『ドラッカー わが軌跡』)
ドラッカーは、フランクフルト大学法学部の国際法のゼミを高齢の教授に代わって仕切っていた頃、大宰相は国にとって災厄であるとの感を深めていきました。

フランスはリシュリューの後遺症から抜け出せませんでした。オーストリアはメッテルニヒの成功のおかげで衰退し、ドイツもやがてビスマルクの成功のゆえに敗北しました。大宰相の後を継ぐ者は凡才となるからでした。

こうしてドラッカーは、大人物の後継にまつわる矛盾に関心を引かれました。

大人物でなければ、ビジョンもリーダーシップも期しがたいものです。凡才では無理です。この大人物の後に空白が生じることになります。教わったことしかできない者が後継となります。
自ら強力であって、かつ後継者が強力であるという真のリーダーは、一般に信じられている大人物とは、見た目も行動も大きく異なる。カリスマ性なるいかがわしいものとは無縁である。彼らは、勤勉さと献身によってリーダーとなる。権力を集中させずにチームをつくる。操作によってでなく、真摯さによってリーダーとなる。(『ドラッカー わが軌跡』)
もう一つは、『新しい現実』と、『未来企業』からの引用です。
新しい現実を踏まえた政治のモットーは、カリスマを警戒せよでなければならない。(『新しい現実』)
ドラッカーは、20世紀ほどカリスマ的なリーダーに恵まれた世紀はなかったといいます。その代表格が4人の巨大なカリスマ、ヒトラー、レーニン、スターリン、毛沢東でした。

左より、レーニン、スターリン、ヒトラー、毛沢東
そもそもカリスマは唯一無二とする万能薬まがいのプログラムを手にしない限り、なにもできません。カリスマはそれら万能薬を強制するうえで力を発揮できるにすぎません。

ところが、いまやそのようなプログラムが存在しません。したがってカリスマ的リーダーはまったく不要なのです。リーダーシップは必要です。しかしそれは、今日リーダーシップと名づけられ喧伝されているものとは違いまます。それはいわゆるリーダー的資質とは関係ありません。カリスマ性とはさらに関係がありません。
リーダーシップにはいささかの神秘性もない。それは平凡で退屈なものである。
リンカーンほどカリスマ性のない人物はいなかった。チャーチルにもカリスマ性はなかった。
それどころかカリスマ性はリーダーたらんとする者を破滅させる。ほかならぬそのカリスマ性が、自らの不滅性を妄信させ、柔軟性を奪い、変化不能とするからである。「リーダーシップの本質は行動にある。リーダーシップそれ自体はよいものでも望ましいものでもない。それは手段である。(『未来企業』)
このように掲載すると、私は一方的に社長を支持し、会長を退けているようにも見えますが、決してそうではありません。

しかし、会長のほうにより大きな判断ミスがあったものと思います。しかし、だからといって、社長の考えを全面的に支持するものではありません。

いずれにせよ、内部のことを詳しく知らないので、 結論はだせません。

しかし、この親子の話を聴いていて、私自身はどちらが良いとも早急に結論は出せないと思いました。ただし、今やカリスマ経営者の時代ではないことは明らかです。

なぜここまで事態が悪化するまで、手を打つことができなかったのか不思議です。

私が、この会社の会長か、社長であったなら、このようなことになる前に、複数ブランドを運営したと思います。



この複数ブランドは、今や珍しいことではなくなりました。たとえば、ユニクロとGUや、イトーヨカドーとセブン-イレブンなど、持ち株会社などの親会社が複数ブランドを運営するなどのことは全く珍しいことではありません。

複数ブランドを有するということは、環境変化対応がしやすいです。同一ブランドのみの運営だとは、継続的な変化には対応しやすいですが、断続的な変化には耐えられないです。

複数のブランドを持っていれば、たとえばあるブランドが駄目になったからといって、そのブランドを廃止することなく、他の業績が伸びているブランドに資源を集中することができます。また、駄目になったブランドにも、既存顧客がいる限りにおいては、事業規模を縮小して事業を継続して、既存顧客に商品やサービスを提供し続けることができます。

大塚家具も、はやめに、複数のブランドを持つようにすれば良かったと思います。古くからある大塚家具というブランドの他に家具でも他のブランドを創設し、ブランド別の小会社を複数持つようにすれば良かったと思います。

大塚家具製造販売株式会社は、大塚ホールディングスを筆頭に、大塚製薬、大塚製薬工場、大塚化学、大鵬薬品、大塚食品、アース製薬等、日本国内、海外の事業所および関連会社を含めると総176社で社員約3万9千人にも及ぶ大塚グループの一社です。

こういう大グループの一員であることから、大塚家具自身も、いくつかのブランドを持っても良かったと思います。そうして、管理会社と事業会社にわけて、小売の複数ブランドを持ち、管理会社が複数ブランドを管理するようにすれば良かったと思います。

そうして、現会長は、管理会社の社長か、会長になるということにすれば良かったと思います。そうすると、会長が築いてきた大塚家具のブランドは残り、他に複数のブランドが出来上がり、時代の変化にも対応しやすくなっていたものと思います。

会長は、過去の大塚家具にこだわらず、その精神は小会社に引き継ぎ、他の小会社とともに切磋琢磨させることに心血を注ぐべきだったと思います。最初は、2つの事業会社から初めて、うまくいけば複数ブランドの複数個会社を設立するという方針ですすめば良かったと思います。

このような、親会社、小会社に関しは、何も大企業にかぎらず、中小企業でもそのようにしているところはあります。だから、大塚家具くらいの規模になれば、やってやれないことはなかったと思います。

いまは見かけなくなった鳩のマークのイトーヨーカドー

ところで、イトーヨーカドーは、現在はスーパーのイトーヨーカドーという事業会社と、セブンイレブンという事業会社があり、セブン&アイ・ホールディングズという親会社がこれを管理しています。

実は、このイトーヨーカドーは、現在の形になる前は、イトーヨーカドーという一つの会社でしたが、そのまた昔、随分と前の数十年前の頃には、業態としてはスーパー一つだったのですが、そのスーパーが二種類あったことがあります。

一つは、「イトーヨーカ堂」であり、もう一つは「イトーヨーカドー」といいました。これは、ブランドというわけではありませんでしたが、「堂」のついたほうは、それこそ、昔からいた古参の幹部によって運営されていた店舗であり、もう一つの「ドー」という現在と同じ「イトーヨーカドー」のほうは、大卒などを含めた新しい人たちによって運営される店舗でした。

これは、随分前の話ですので、私自身も「堂」のほうの店はみたことがありませんし、、今や記憶にある人はあまりいないでしょう。おそらく、イトーヨーカドーでも、65歳以上の人でないと知らないことだと思います。

イトーヨーカードーは、こうして実質2つのブランドを競わせたわけですが、結局のところ「堂」は負けて、「ドー」のほうに吸収されてしまったのです。古いタイプの幹部たちは、いわゆる昔の非効率的、非合理的な伝統的な小売業のままの運営をしたので、結局新しいやりかたをする若い層の人たちによる運営には負けてしまったのだと思います。

これは、セブン-イレブンができるずっと前の話であり、私自身も、イトーヨーカドーの大卒一期生の方から聴いた話なので直接見聞きしたことではありません。それから、現在のイトーヨーカドーは直接は知りませんが、伊藤雅俊元会長の血縁にあたる人はほとんどいないと思います。

「イトーヨーカ堂」と「イトーヨカドー」が並立した時代には、複数ブランドという考え方や、複数小会社という考え方は、あまりなかったはずなので、これに近いことを実施した会社として、この頃からイトーヨーカドーは凄い会社だったのだと、思います。



企業はある程度の大きさになれば、血縁者が幹部になるというのはあまり褒められたことではないと思います。血縁者であろうとなかろうと、特に役員クラスは、まともな正当な手続きによって選任されるようにすべきものと思います。血縁者は、大株主ということで良いと思います。

企業は、ある程度の大きさになれば、それは個人商店ではなく、社会の公器です。

そのような考え方で、組織をつくり、組織運用をしてくれば、今日のようなことにはならなかったはずです。そう考えると、やはり、大塚家具が今日のようなことになったのは、創業者である会長に責任があると思います。

現状のようになってしまったからには、会長、社長のいずれに実権が移ったにしても、しこりが強く残ります。一番良いのは、会長も社長も退いて、いわゆる創業者の血縁者ではない人を経営者にして、しっかりとした社会の公器への道を歩むことではないでしょうか。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣―【私の論評】岩屋外務大臣の賄賂疑惑が日本に与える影響と重要性が増した企業の自立したリスク管理

特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣 渡邉哲也(作家・経済評論家) まとめ 米国司法省は500ドットコムと元CEOを起訴し、両者が有罪答弁を行い司法取引を結んだ。 日本側では5名が資金を受け取ったが、立件されたのは秋本司被告のみで、他...