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2019年11月18日月曜日

【映画】「一人っ子の国 (原題 – One Child Nation)」が中国共産党の正体と中国社会の闇を詳かにする―【私の論評】一人っ子政策は、民衆レベルでどのように実行されたのか?戦慄の事実(゚д゚)!




中国共産党が人口抑制策として、1979年から「一人っ子政策」を行ってきたことはあまりに有名だ。その効果が発揮され、中国の少子高齢化が急速に進んできたため、2015年にはこの政策を廃止し、2016年に「二人っ子政策」へと転換している。

また、何十年も実施してきた「一人っ子政策」の弊害として、中国では女性の数が圧倒的に少なく、結婚できいない男性が3000万人にも上ると報じられている

中国人口のアンバランスな男女比が原因で、今後30年内に、約3000万人の男性が数の上で結婚相手がいない状況に置かれると中国主要メディアが報じた。中国人男性の結婚難はすでに深刻な社会問題となっているが、今後も多くの「剰男」(余った男性、売れ残った男性)が出続けるとの見通しに、多くのネットユーザーの関心が集まった。 
 中国共産党機関紙、人民日報(電子版)がバレンタインデーを前にした13日、最近の人口に関する政府の計画や統計などを基に報じた。 
 それによると、2015年末の時点の中国の男性人口は7億414万人、女性人口は6億7048万人で、男性が女性より3366万人多かった。 
 男女別の出生比は、113・51(女児100に対して男児が113・51)。国際的にこの値は通常103~107とされるが、中国のケースは、これを軽く上回っている。
 別の統計によれば、80年代生まれの未婚の男女の比率は女性100に対して男性が136。70年代生まれでは女性100に対して男性が206と著しくバランスを欠いていた。 
 いびつな男女構成比は、1980年代半ばから見られるようになったとされる。1979年から36年間にわたって続いた「一人っ子政策」が大きく関わっているのは間違いない。−産経ニュース(2017.2.24)
しかし、「一人っ子政策」については聞いたことがあっても、そして中国で男女の人口比がいびつな状態であるというニュースを読んでも、それがどのように具体的に起きたのか、日本人そして世界のほとんどの人たちは知らない。

この疑問に答えたドキュメンタリー映画『一人っ子の国 (原題 – One Child Nation)』が、中国人映画監督のナンフー・ワンとジアリン・チャンによって制作された。監督の1人であるナンフー・ワンは、中国からアメリカに移住し、そこで男児を出産したことをきっかけに、母国中国で行われてきた「一人っ子政策」に興味を抱いたと映画の中で語っている。

中国で「一人っ子政策」が厳格に守られてきたのは、避妊具が普及していたからではない。また、男児が女児をはるかに上回る比率で生まれたのは、産み分けが行われたからでも早期の堕胎が行われたからでもない。「一人っ子政策」を厳格に守らせるため、そして人民の間では男児を強く望むあまり、ありとあらゆる非人道的な行為が行われてきた。この映画は、中国社会そして中国共産党の闇を白日の下にさらしている。

さらにこの映画が明らかにしている衝撃的な事実は、中国の孤児を引き取って養子にしてきた欧米人の多くが、実は中国による壮大な人身売買ビジネスに「多額の手数料を払う顧客」という形で加担してしまっていたということだ。

「不幸にも親から見捨てられた中国人孤児の里親になる」という良心から行なっていた行為が、実は中国国内で赤子を無理やり両親から引き剥がすという人身売買に加担する行為だったことをこの映画は明らかにしている。

とある孤児院は、中国人孤児を引き取りに来た欧米の里親のほとんどに対して、「この子は段ボール箱に入れられて捨てられていたのです」という同じ作り話を何十年も続けていたと、実際に中国人孤児を引き取ったアメリカ人男性が映画の中で語っている。彼はアメリカ人の里親に引き取られた中国人孤児について追跡調査を行なっており、孤児たちとその中国人の母親たちのDNAのデータベースを構築し彼らを引き合わせる活動を行なっている人物。

この映画はアマゾン・プライムが配信している

【映画の予告編】





(あいにく日本語字幕がついた予告編は見当たらなかった)


【私の論評】一人っ子政策は、民衆レベルでどのように実行されたのか?戦慄の事実(゚д゚)!

この映画、かなり背筋が寒くなる映画でした。はっきり言って、スティーブン・キングのホラー小説など霞んでしまうくらいの、恐ろしさでした。

これは、ドキュメンタリー映画なのですが。この『ワン・チャイルド・ネイション』、…邦題は「一人っ子の国」ですが、これは中国のことです。この映画は一般に封切りされたのかどうかはわかりませんが、現在アマゾンプライムでご覧になることができます。


このドキュメンタリー映画の監督は中国の田舎で生まれて後に、米国の大学を卒業して、現在はドキュメンタリー映画の作成をされている、1985年生まれのワン・ナンフー(Wang Nanfu)さんという人が作成したものです。

この映画の作成にあたり、この方は1人で中国に行って。自分でカメラを持ってたった1人で撮影をしたものをもとにドキュメンタリー映画を作成しているのてす。

この映画は、たった1人で撮影せずに、普通のドキュメンタリー映画として撮影されていたとしたら、その内容が中国当局の知るところとなり、絶対日の目をみなかったと思います。


この映画では、ワン・ナンフーさんに子供が生まれます。その赤ん坊が2ヶ月になったころ、その子連れて、米国から中国の田舎の親戚に見せに行くのです。

そうして、中国で自分が生まれた頃の話を聞いて回るんですが、そのワン監督が生まれた頃、ちょうど中国では一人っ子政策をずっと続けていたのです。

このドキュメンタリー映画は、ワンさん自身は、当時一人っ子政策がどのように実施していたのかということは、知りませんから、それを聞いて回るっていう内容なのです。ご自身の母親や祖父などに、聞いて回るという粗筋なのです。

中国の「一人っ子政策」推進のポスター

中国の一人っ子政策は、1980年から2015年までの35年間実施されました。中国の一人っ子政策そのものは、多くの人が聞いて知っていることですが、実際にどのようにして実行されていたのかを知っている人は少ないと思います。

映画の中で、ワンさんは、それを具体的に実行した人たちである、彼女の母親、祖父等に聞いて回っているのです。ちなみに、彼女の父親はすでに亡くなっています。

このドキュメンタリーの撮影では対象者を緊張をさせないように、通常のドキュメンタリーのスタッフである、照明係や、音声係などの人員はあえて使わずに、彼女自身が民生用のホームビデオのカメラで撮影しているのです。

映画の中で、ワンさんは、それで「私が生まれたときは、どうだった?」という質問をしてまわると、「女の子だから困った」って言われたのです。

ワンさんは、「ナンフー」っていう名前なのですが、「ワン・ナンフー」を漢字で書くと「王男栿」なのですが、これはつまり、「男の大黒柱がほしかった」ということでそのような名前にしたそうです。
ワンさんが生まれたのは都市部ではなく田舎でしたから(都市部と田舎では戸籍も異なる)、お金を支払って。あとは1人目が生まれた後に5年たてばもう1人、生んでも良いということになっていたそうです。田舎は農家多いですから、人手がないと農家の運営が大変だからっていうことで、特別な措置が取られていたようです。

その後ワンさんには弟が生まれたそうですが、祖父の話を聞いていたら、弟以外にも「女の子が生まれたが捨てた」っていう話が出てきたのです。

そこでワンさんが、「どうして?」って聞くと、「女の子が2人、生まれたりしたら、男の子を持てないから」という返事をしたというのです。

中国は韓国や日本と同じで男が家を継いでいくっていう、考え方があります。中国は特にその名字の問題がありね名字は夫婦別姓で女性の方が結婚をしても名字がもらえないのです。そういう差別があります。

ワンさんが、「どうして捨てたのか?」と母親に尋ねると、おじいさんに、「『捨てないと村八分にされるから、非国民になるから、捨ててくれ。もしあなたがその女の子を捨てないなら、私が殺すか、私が自殺する』という風にプレッシャーをかけられた」というのです。

つまり、男の子が生まれないと後も継げないから。自分自身が女性なのに、「男が生まれないから悲しい」って言うのです。

そうして、男である弟が生まれるまで、女の子ば殺し続けられたということなのです。

このワンさんは、地域のお産婆さんに会いに行くシーンもありました。ワンさんが自分を取り上げたお産婆さんに「覚えてますか?」と聞くと、「覚えているよ」と応えていました。

さらに、ワンさんが「何人ぐらい取り上げたんですか?」と聞くと「それは覚えてないけども、5万人殺したことは覚えている」って言われのです。

では、実際にどういうことが行われていたかというのは写真も残っていて今でも見ることができます。当時は、不妊手術ゃ中絶が国家によって奨励されていましたから、写真に撮って記録していたのです。

しかし、無論多くの女性にとつて、これは嫌なことでした。どんな子でも育てたいから、拒否しようとすると、産科でその場で縛り付けて強制的に手術をしちゃうなどのことが行われていたのです。

子供が、1人生まれて、2人生まれて、3人目は生まれないようにする手術とか、強制中絶とか、それを写真に撮って国家が奨励していたのです。言ってみれば、地獄のような世界だったのです。これが、ついこの間2015年あたりまでまで横行していたということです。

ドキュメンタリー映画には、カメラマンが1人、出てきます。その人は1980年代ジャーナリスティックなアート写真を撮っていて。中国ではその当時、ゴミがそこら中に捨てられていて。産業廃棄物とかの不法投棄がひどかったんです。


その実態を撮影しようとして、ゴミ捨て場の写真を撮っていたら、そこに人形みたいなものがあることに気がついて、よく見たら普通に出生した赤ん坊の死体だったというのです。

そのカメラマンは、さらに、いろんなゴミ捨て場を撮って回ったのですが。そこいら中のゴミ捨て場に、赤ん坊の死体が遺棄されていたというのです。

一人子政策を実行したがため、中国社会ではこのような酷いことがまかり通っていたのでする。また、子供が生まれたことを隠している人もいました。妊娠を隠していたり、子供が生まれたことを隠して、匿っていたりする親とかもいたのですが、官憲がその家に強制的に入って、子供をさらっていくなどのことが行われていました。。

ワン監督はそういうことを聞いて回るんですが。何でみんながそのような悍ましいとを話してくれるかっていうと、当時ははそれが国家に奨励されていたことで、そのことをしていたことは誇りと思っているようです。

これは、到底信じがたい話かもしれません。2012年『アクト・オブ・キリング』というインドネシアを題材としたドキュメンタリー映画がありました。あれはインドネシアで共産党員の人たちとか、中国系の人たちを虐殺した当事者たちにインタビューをしていくっていう筋でした。

当時インドネシアでは100万人以上が殺されました。ちょうどデヴィ夫人がインドネシアにいた頃に重なります。映画の中のインタビューて殺した人たちは国家の英雄になっていましたから、最初は自慢げに話していました。

中国を題材としたこのドキュメンタリー映画でも、このようなシーンがありました。中国計画出産協会という組織があり、そこが不妊手術や強制中絶を実施した主体です。そこで金賞をもらって表彰を受けた人で、それこそ10万人等というおびただしい数の処理をしたという女の人が出てきます。その女の人が、「勲章をもらって褒められたことをいまでも誇りに思う」って語るのです。

そのため多くの人は、残虐行為を悪びれずに語るのですが。ただ言いながら、だんだんと自分のやったことに耐えられなくなってくるようです。先にでてきた、お産婆さんはもう本当に罪の意識でいまも手が震えると語っています。

いまは中絶等は全部やめて、不妊治療の相談役をやっているそうです。「罪滅ぼしをしているんだ」ってその人は語っています。80歳ぐらいのお産婆さんなのですが、「私は子供が好きで産婆を始めたのに、なんでこんなことをさせられたんだ」というのです。

さらに、当時は中絶だけではなく、女の子が生まれると、カゴに入れて路上に放置というようなことが行われていたそうです。

その頃は中国の田舎に行くと、路上にいっぱいカゴがあって、そこいら中に赤ん坊が放置されているような状態だったそうです。そのまま餓死したり、動物に食われちゃったりするんです。それが、2015年までの、中国なのです。


40年間で道に捨てられてた35人もの子供を拾い救ってきた女性

このようなことが横行していたのは、政府が奨励をしていたからです。当時は、1958年から61年に毛沢東が「大躍進」という名前の工業とか農業の改革をやって大失敗ばかりで、3000万人から7000万人が餓死するという事態が起こったので、このまま人口が増えれば中国人が大勢餓死をしてしまうという危機感がありました。


だから政府が人口を減らそうとしたので。ただし、これ自体はもともとは、中国の考え方ではなく、18世紀のイギリスでロバート・マルサスという人が「このままだと食料がどんどんと足りなくなって餓死者が出るから人口自体を減らせ」ということを提唱したことがあったのです。

これは、本来なら実際の農産物などの生産量を増やせば済むことなのですが、いまだにそのマルサス主義が時々、噴出することがあります。「人口を減らせ!」っていう考え方はは、それが中国で噴出したのですが、最近も「人口を半分に減らせ!」みたいな人がいました。これは、映画『アベンジャーズ』の中にでてくるサノスという宇宙の帝王です。

しかし、時々こういう考えが現実世界に噴出することがあるのです。「経済が落ち込んでいるから人口を減らせば良い」などという形で出てくることがあるのです。そうして、堅実に中国はそれを徹底的に実施して、実際にその1980年から2015年までの35年間に4億人の人口を抑制したとしているのです。

中国の一人っ子政策の時代にう待たれた年代の人々は圧倒的に男性が多いです。男性は女性よりも3000万人以上多いと言われています。そのため、3結婚ができない男性が増えています。

この映画には、道端に捨てられている赤ん坊を見て「これはひどい」と思った人がいて、その子たちを拾って回って都会の孤児院に売っていた人も出てきます。

中国では孤児院が1992年ぐらいから外国に養子縁組をして、というかはっきり言うと赤ん坊を売り始めたのです。10万人以上が中国から米国等に売られていったそうです。

その金額もかなり高いものでした。値段はまちまちでしたけども、それが中国という国自体の大きな収入にもなっていたのです。

ところが、道端で拾った赤ん坊を孤児院に売っている人たちは結局、逮捕をさたのです。家業としてやっていたようですが、これらのトビとが10年ぐらいの刑を受けたりしているのです。この映画の中にもそのような人が出てきてインタビューを受けているのです。しかし、彼らは赤ん坊を助けていたのに、刑務所に入れられて、一方で赤ん坊を殺していた人たちは国家から奨励されていたのです。

この映画、このように、すさまじい内容でした。この監督は本当にカメラ1台で中国国内をインタビューして回っていました。ただ、下手すると中国当局に拘束をされるかもしれないいうことで、いつもGPSを携行していて、ニューヨークにいた共同監督が彼女の居場所を常にサーチしながら、拉致されたり拘禁されたりしていないかどうかを調べながら撮影したとされています。

この映画では、当時の中国当局がどのくらいのプロパガンダをやっていたかもわかります。当時は、子供を減らすということがどれだけ国にとって貢献をすることなのかっていうことを徹底的にテレビやドラマ、CM、芝居、歌などありとあらゆる形で政府がプロパガンダをしていました。そうして、多くの人々が完全に洗脳されたことも明らかにしています。

その結果、いまどうなっているのかというと、先日上海に行った人が聞いたのですが、1人小さい子が歩いていると、その後ろに6人ついていく光景を見たそうです。お父さんとお母さんとそれぞれの祖父母が。6人の親と祖父母の面倒をその1人が見るっていうことです。ね。

子供のときには、「小皇帝」などといわれ、可愛がられているのでしょうが、他の6人が高齢化したら、それを1人で介護しなければならなくなるということです。中国はすでに超高齢化社会に突入をしていて、中国という国自体の存続も非常に危うくなっています。


現在の中国はもうギリギリになって2人っ子政策を始めているのですが、もう遅すぎるかもしれません。一人っ子政策で、殺された子供たちとは一体何だったのでしょうか。それでも、当時母親だった人たちは、「私たちは間違っていない。政府に言われた通りにやっていたんだ。他にどうしようもなかった。それが正しいことだと思わされていたし、思っていた」って答えるのです。

このドキュメンタリー映画で、自分の小さな子、赤ちゃんをその監督は中国に連れて行きます。その子たちを見たインタビューをされる相手はみんな、「ああ、かわいい、かわいい!」って本当に子供を愛する普通の人たちなのです。

本当に善男善女の素晴らしい国民たちだからこそ、あのようなことをしてしまったのかもしれません。彼らは中国では模範的な人民であり、愛国者なのです。良い人たちなのです。

素晴らしい人たちだからこそ、政府が狂った時には全部恐ろしいことをやってしまうのです。ナチスドイツの時代では「良い国民、素晴らしい人」と言われていた人たちはユダヤ人を密告する人たちでした。ユダヤ人をかばう人たちは非国民と言われたのです。

いつまでたっても、世界中どこでもそんなことを繰り返し続けているのです。本当に、恐ろしい映画でしたね。見終わった後には、すぐには立てなくなるくらい衝撃を受けました。

以下に、TEDでナンフー・ワンさんが、中国の一人っ子政策について語っている動画を掲載します。これも是非ご覧になってください。TEDのサイトからご覧になると、日本語のスクリプトもごらんになることができます。




この映画、たった1人の女性が、がこの映画を撮影しているというところが、圧巻です。彼女は「中国を出て、米国に留学をするまでこんなことだとはまるで思わなかった。外に出てみないとわからない」って言っていました。

プロパガンダの対象にされているということは、日々淡々と送っているだけでは認識できないのです。『ワン・チャイルド・ネイション』、すさまじい映画でしたが、日本でもおアマゾンプライムでご覧になることができます。ご覧になっていない方は、是非ご覧になってください。


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