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2020年2月13日木曜日

新型肺炎が中国経済を崩壊させる…中小企業の3分の1が1カ月以内に倒産の危機に―【私の論評】新型肺炎が中国経済を滅ぼすのではない、自ら滅びる運命だったのだ(゚д゚)!

新型肺炎が中国経済を崩壊させる…中小企業の3分の1が1カ月以内に倒産の危機に
文=渡邉哲也/経済評論

新型コロナウイルスによる肺炎の感染が拡大しており、中国本土の死者数は1000人を超えたことがわかった。また、感染者数は累計4万2638人にまで増えたという。



中国では、春節明けの2月10日から一部の企業が操業を再開しているが、国際的なサプライチェーン停止の影響は各地に波及している。また、操業再開に伴い感染者が拡大するリスクも高まることになり、今後も予断を許さない状況が続くだろう。

今回の新型肺炎は当初の想定よりも感染力が強く、しばらくは自覚症状がない感染者も多い。そのため、潜伏期間中に他者に感染させるリスクもはらんでおり、ひとつの工場が操業を再開したことで工場全体に感染が拡大する事態も考えられる。つまり、工場や学校などが新たに大規模な感染源になる可能性も高いわけだ。

また、サプライチェーンの麻痺は物流の麻痺へと拡大している。たとえば、工場が止まれば工場に入るはずの資材の搬入も止まり、倉庫に荷物があふれていく。結果的に、上流の物流が止まり、モノは身動きが取れなくなってしまう。中国近海には、そのような貨物船が多数停泊中で、輸出のための荷物も動かなくなっている状況だ。一部の税関も機能が停止したままであるため、モノの出入国ができなくなっている。

そして、モノが止まれば金も止まる。中国では感染拡大を防ぐために人が集まったり会食したりすることを制限する動きが出ており、その影響が飲食業やサービス業を直撃しているのだ。すでに、北京市の有名カラオケ店が破産手続きに入ることが報じられているほどである。

清華大学と北京大学が中小企業995社を対象に行った調査によると、手持ちの現金で会社を維持できる時間について「1カ月以内」とした企業が34%で、85%が「3カ月以下」と回答したという。また、新型肺炎の2020年の営業収入に対する影響は「50%以上の低下」が30%、「20~50%の低下」は28%となっている。これらの結果に鑑みるに、今後の企業活動は壊滅的な状況が続き、資金ショートによる倒産や解雇が頻発するものと思われる。

中国の場合、給料日が日本ほどは統一されておらず、企業によってさまざまだ。そのため、今後は各社の給料日ごとに破綻の動きが出てくると思われる。そして、従業員に給料が支払われなくなれば各自のローンなども払えるはずがなく、企業への打撃は個人の住宅ローンなどのデフォルトも誘発させることになる。新型肺炎による経済停滞は、膨れ上がった中国の不動産バブル崩壊を加速させることになるかもしれない。

中国を襲う消費急落と金融不安

中国政府は、非常処置として国有銀行に緊急融資を行い、国有銀行を通じた緊急資金支援を行っているが、その対象は都市部を中心とした銀行のみであり、今後は地方銀行や農業貯蓄銀行などの破綻が相次ぐ可能性もある。この問題がいつ収束するか、影響がいつまで残るかもわからない状況であり、これは単なる延命処置にすぎないのが現実だ。原因こそ違うが、いわばかつての日本と同じように、消費の急激な落ち込みと金融不安が一気にバブルを崩壊させることになるのだろう。

一方で、株式市場は比較的好調に推移している。これは、現時点では新型肺炎は中国の問題であり、アメリカの市場への影響は限定的とみられているからであろう。

中国の人民元は国際化されたものの、いまだ国際決済に使用される割合は低く、米中貿易戦争の影響もあり、中国国内の生産は中国向けが中心というふうに変化している。スマートフォンなど中国への依存度が高い製品も一部あるが、それも関税の問題でサプライチェーンを変更する過程であった。また、アメリカは華為技術(ファーウェイ)をはじめとする中国製通信機器の排除に向けて動いているが、今回の問題は、この動きに対しては追い風となるだろう。

(文=渡邉哲也/経済評論家)

【私の論評】新型肺炎が中国経済を滅ぼすのではない、自ら滅びる運命だったのだ(゚д゚)!

中国の経済が近いうちに、崩壊するであろうことは、新型肺炎が明るみに出る前から、いわれていました。新型肺炎の前の中国経済を振り返ってみます。

米中貿易戦争に臨む米国は、「経済繁栄よりも国家安全保障を最優先させる」と不退転の決意です。その一端は、2回にわたるマイク・ペンス副大統領の演説で露呈しました。

演説するペンス副大統領

米国の対中冷戦は、貿易戦争の次元を超えて、国防権限法、並びに付随した諸法律、さらには非常事態宣言により、中国の経済、金融、そして軍事力の拡大阻止という「総合戦」に移行しました。

特に枢要部品の輸出禁止は効果的でした。インテルがZTE(中興通訊)への半導体供給をやめた途端、同社は倒産しかけました。米国が中枢部品の供給をやめれば次に何が起きるかは、目に見えています。

米商務省が発表したエンティティ・リスト(EL:米国にとって貿易を行うには好ましくない相手と判断された、米国外の個人・団体などが登録されたリスト)には、以下の中国企業が掲載されました。

ハイクビジョン(杭州海康威視数字技術)は監視カメラ企業。ダーファテクノロジー(浙江大華技術)は同じく監視カメラで世界シェア2位。センスタイム(商湯科技)はAI、特に自動運転の画像と認識技術の企業。メグビー(曠視科技)は顔認識技術。そして、アイフライテック(科大訊飛)はAIと音声認識と自動翻訳の最大手です。これら中国のハイテク企業を封じ込めることは、米中関係が後戻りのできない冷戦に入ったことを意味します。

また、中国の国内経済を見ても、不動産バブルが崩壊しかけていることがわかります。中国でいうところの「鬼城」である、人の住まないマンション群、ゴーストタウン、ゴーストシティは、いずれ「ゴースト・チャイナ」になることでしょう。

鬼城化した中国の高層アパート群、中国には全国各地にこのような施設が散在する

習近平外交の目玉「シルクロード経済圏構想」(一帯一路)は、鄭和艦隊の二の舞になりそうです。皇帝・習近平を悩ます難題は幾重にも複合してきました。日本から見て最悪の問題と思われる米中貿易戦争は習近平にとってそれほど深刻なことではなく、日夜頭が痛いのは国内の権力闘争、そして「香港問題」そうして「台湾問題」の決着です。

そのため、4中全会(第19期中央委員会第4回全体会議)を2019年10月末まで2年近く開催できなかったのです。

習近平は経済に明るくないため、実質的に最悪かつ解決不能の景気悪化、人民元激安、株価暴落、不動産市場の崩壊という、目の前にある危機への認識が低いようです。たとえば、銀行倒産が中国経済に死活的な凶器となることを習近平は重視していません。

側近や中央銀行(中国人民銀行)は嘘の数字で過大な報告をしているに違いなく、また人民銀行が近く予定している「デジタル人民元」の発行で問題はクリアできると、イエスマンと茶坊主しかいない側近らに吹き込まれているようです。

真実の数字は驚くべきもので、「ジニ係数は0.62、GDP成長率は1.67%、負債総額は6500兆円前後ある」とエコノミストの向松祚が警告したのですが、習近平の耳には届いていないようです。

米国企業の経理を監査する米国の監査法人が中国に進出し、企業税務を担当したのですが、あまりのずさんな報告に悲鳴を上げて、そのまま沈黙しています。情報の透明性などまったくないため、米国は「中国企業のニューヨーク(NY)市場上場を拒絶するべきだ」と言うのです。

昨年10月初旬に発表されたゴールドマンサックスの推計では、香港から「外貨預金」かなり流出して、シンガポールの外貨預金口座に40億ドルが流れ込みました。19年6~8月の速報だけの金額です。

過去1年分を見ると、163億米ドルがシンガポールの非居住者の外貨預金口座となっていました。米中貿易戦争に嫌気した外貨流出で、香港住民だけではなく香港に預金してきた中国共産党幹部らのカネも移動しました。香港の騒擾により将来へ不安を抱き、とりあえず余裕資金を外国に、それも香港と同じ国際金融都市であるシンガポールに移管したり、マレーシアやタイの不動産購入に走っています。

日本の論議では、香港がダメになると国際金融都市は深センに移行すると推定する軽率なエコノミストがいます。しかし、情報に透明性のない市場に世界の投資資金は流れることはありません。

中国経済が抱える債務膨張は天文学的数字で、企業破産は18年上半期だけで504万社でした。国有企業は別名「ゾンビ」です。巨大債務のなかでも中国企業がドル建てで外国銀行、投資家から調達した借金の年内償還は350億ドル。20年末までが320億ドル。償還が危ぶまれ、欧米金融機関は貸し出しに極めて慎重な姿勢に転じました。


19年8月段階で、希望した中国国有企業の起債は20%に達しませんでした。すでに2年前からドル建ての中国企業の社債にはNY、ロンドン、そして香港で2%以上の「チャイナ・プレミアム」が付いていることは周知の事実で、不動産関連企業の中には14%の高利でもドルを調達してきたところがあります。

デフォルト(債務不履行)の金額もすごいです。18年だけでも1200億元(170億ドル)。19年は9月までの速報でも900億元(128億ドル)。とりわけ注目されたのは、最大最強の投資集団といわれた「民投」(中国民生投資)が債権者を緊急に集めて1年間の償還延期を承諾してもらったことです。

日の出の勢いだったスマートフォン、自動車の販売にも陰りが見え、5Gの先行商品発売にもブームは起こらず、製造業はすでにベトナム、カンボジアなどに移転しています。産業別ではすでに空洞化が起こっています。

19年5月24日、中国は内蒙古省が拠点で倒産寸前だった「包商銀行」を国家管理にするため89%の株式を取得、国有化しました。金融パニック誘発前の予防措置です。中国銀行保険監督管理委員会(CBIRC)が「公的管理」し、債務は元本の30%削減という措置をとりました。心理恐慌の拡大を懸念した中央銀行は6月2日になって「これは単独の案件であり、金融不安は何もない」と発表しました。

投資家の不安はかえって広がりました。包商銀行の実体は不動産バブル、株投機の裏金処理、インサイダー取引の“ATM”でした。当該銀行を倒産させないで救済したのは、リーマン・ショックの前兆に酷似してきたと金融界が認識することを怖れたからです。

しかし、信用組合レベルの金融機関は倒産が続き、7月には遼寧省の錦州銀行が管理下に置かれました。ほか420の金融機関が不良債権のリスクを抱えていました。こうした矛盾は、全体主義システムの欠陥から来る宿命なのです。

例年、中国は3月の全人代(全国人民代表大会)で、その年のGDP成長率の目標を発表します。行政単位の市、県、村、鎮は、その数字(ちなみに19年は6~6.5%)を守るばかりか、それ以上の数字をはじき出すために無理を重ねます。

でたらめな計画の元に借金を増やし、何がなんでも目標達成がノルマになり、誰も乗らない地下鉄、クルマが通らない橋、人より熊の交通が多いハイウェイや事故が頻発するトンネル、テナントが入らないショッピングモール、そしてムジナとタヌキの住み家となった高層マンションが集合して、ゴーストタウンの乱立となっていたのです。

砂上の楼閣、蜃気楼の繁栄は、やがて泡沫のように消滅するでしょう。残るのは史上空前の借金です。成長率が落ちて、ゴーストタウン化が進み、工場が閉鎖され、潜在的失業は数百万人にのぼります。窮余の一策としての「一帯一路」は、余剰在庫と余剰労働力の処理のためのプロジェクトでした。それも、世界中から「借金の罠」と非難を浴びて世界各地で頓挫しています。

毎年チベットで開催される除霊祭。その願いは近いうちかなうかもしれない・・・・
近未来の姿は「ゴースト・チャイナ」です。これが、昨年の新型肺炎が起こる前の、中国の姿です。

まさに、中国経済は元々、自ら破綻するのは決まっていたのです。新型肺炎騒動は、それを若干はやめるだけのことです。

中国人民銀行(中銀)は今月3日、公開市場操作(オペ)で銀行など金融市場に1兆2000億元(約18兆6000億円)を供給しました。新型コロナウイルスによる肺炎の拡大が経済に与える影響を緩和する狙いがあるようです。しかし、この程度の規模では焼け石に水でしょう。結局何もしない、できないと言っているに等しいです。

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2018年8月5日日曜日

中小企業の深刻な人手不足が示す、日本経済の「現時点」―【私の論評】直近の経済指標をみれば、企業経営者が先行き不安になるのも当然!政府・日銀はこれを払拭せよ(゚д゚)!

中小企業の深刻な人手不足が示す、日本経済の「現時点」

景気回復。このチャンスをどう生かすか

ドクターZ

日本の99.7%は中小企業

アベノミクスが5年半以上継続中の日本経済において、中小企業の「人手不足」が深刻化しているという。

その現状を厚生労働省の加藤勝信大臣に訴えたのは、日本商工会議所(日商)の三村明夫会頭である。年々深刻化する人手不足や、若者の流出による地方の疲弊を理由に、中小企業に対する政策的な配慮を求めたのだ。

日本商工会議所(日商)の三村明夫会頭

中小企業の声を取りまとめ、代弁するのが日商の最大の役割であるが、どれほど窮地に立たされているのか、なかなか実感しづらいものがある。

そもそも中小企業とはなにか。

中小企業基本法において、製造業は資本金3億円以下または従業員数300人以下、卸売業は資本金1億円以下または従業員数100人以下、サービス業は資本金5000万円以下または従業員数100人以下、小売業は資本金5000万円以下または従業員数50人以下などと定められている。

その合計数は日本企業の99・7%にあたる380万社にのぼる。日商はこのうち約125万社の中小企業を傘下に従えているのだ。

中小企業とひとくちにいっても多種多様だが、たしかに人手不足で困っているところもあるだろう。ただし、これは景気が回復したことによる「嬉しい悲鳴」で、不況で仕事がなく、それでも人を解雇できない状況に立たされているのとはまったく次元が異なる。

成長がなによりの薬

むろん、失業率が改善していることは日本経済にとって好材料だ。だからあえて苦言を呈せば、中小企業はこのタイミングで賃上げを図り、人材を確保するほかない。20年以上続いたデフレを言い訳にして、労働者に負担を強いるのはもはや限界だろう。

もっとも、中小企業の経営者のこうした弱音は何度も飛び出してきている。特に高度経済成長期には、中小企業は大企業に人材を取られ、大企業からの下請けでも十分な利益が上げられないと悲観した。

だが、日本経済の成長とともにこうした声は小さくなった。要するに、成長がなによりの薬なのだ。

もちろん、下請けという関係性は、どうしても大企業が有利になりがちなので、政府には下請法などの法運用をしっかり行う必要がある。もっとも、最近ではインターネットでの営業など、大きな資本を持たない中小企業でもうまく立ち回る術は増えてきている。人手や資金不足を嘆く前に、考えることはたくさんあるだろう。

これからの時代、大企業ではAI・ロボット化が加速度的に進み、大量の労働力は必要とされなくなっていく。だからこそ、優秀な人材が中小企業に回るチャンスも増えていくだろう。機械化された雇用環境より、中小企業ならではのフェイス・トゥ・フェイスに新たな商機を見いだす人もいるかもしれない。

要するに、いつの時代も同じであるが、チャンスを生かすも殺すも経営者次第である。マクロ経済の調子が良ければ、ミクロ経済で勝者になるのは、中小企業でも難しくない。

もちろん日商の三村会頭はそうした事情を十分に承知しているだろうが、それでも上手く対応できない経営者のために言い訳を述べたのだろう。中小企業の経営者たちのもう少しの努力があれば、デフレ脱却は近いはずなのだが。

『週刊現代』2018年8月11日号より

【私の論評】直近の経済指標をみれば、企業経営者が先行き不安になるのも当然!政府・日銀はこれを払拭せよ(゚д゚)!

茂木敏充経済再生担当相

茂木敏充経済再生担当相は3日、2018年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を閣議に提出しました。12年末から約5年半に及ぶ景気回復は「戦後最長に迫る」と評価し、持続に向け、経済の実力を示す「潜在成長率」の引き上げが課題だとしました。経済成長の制約となる人手不足の悪影響が一部の産業で表れていると警戒し、社会人教育や技術革新による生産性向上が重要だと説きました。

米国発の貿易摩擦や原油高を注意点に挙げつつも、総じて政策運営の成果を強調する内容でした。

確かに、経済の長期トレンドをみれば、そのような状況であるともいえます。それは、以下のグラフをみても明らかです。


一方短期のトレンドをみてみると以下のような状況です。




名目、実質GDPともに1月―3月期は、対前期比でマイナス成長です。


これらの数値をみれば、雇用は劇的に改善はしていますが、肝心の経済はそうではないことがわかります。このような状況では、中小企業経営者は景気は良くならないのに人手不足感は強く感じるということになるのは当然のことです。

消費者物価指数も6月では対前年比はプラスにはなっていますが、伸び率はわずか0.8%です。

これは、まともな人が見れば、デフレ一歩手前であり、何か世界情勢が変わったりすれば、デフレに舞い戻る危険すらあると受け取るのが当然と思います。

このような状況であるにもかかわらず、来年10月には消費税が現状の8%から10%にあげられるかもしれません。

これを考えると、中小企業が先行き不安になるのは当然のことです。このブログでは、お隣韓国では金融緩和をせずに最低賃金を上げたために、雇用状況がかなり悪くなったことを掲載しました。

日本では、金融緩和をしている(金融緩和策は雇用対策でもあります)のでそのようなことはなく、雇用は良くなっています。特に、若年層の雇用は劇的に良くなっています。

ところが一方日本では、消費税を2014年4月から8%に増税しました。そのため個人消費がかなり落ち込み、来年10月からの消費税を10%にするということも決まっていることもあり、それが消費を押し下げている可能性もあり、GDPは伸びていないどころか、一歩間違うとデフレに舞い戻る危険すらあります。

お隣韓国では、金融緩和しないまま最低賃金をあげたため、雇用状況は悪くなり、特に若年層の雇用は最悪の状態にあります。ただし、増税はしていないので、GDPの伸びは日本よりは大きいです。日本は、未だに韓国よりもGDPの伸び率が低い状態です。

このような状況では、まともな企業経営者であれば、誰もが先行きに不安を感じるのは当然のことです。この状況で、積極的な設備投資や人材獲得、賃上げに積極的になれないのは無理もないと思います。

現状では、人手不足だからこそ、人材獲得・育成に幾分力を入れ、他に関しては未だ様子見をするというのが、まともな経営者の姿勢であると考えられます。

この不安を払拭するには、政府は10%増税を少なくと2年は先延ばしにし、日銀は物価目標を達成するために、再度強力な追加金融緩和をすることを宣言し、実施すべきです。

日商の三村明夫会頭も、労務の主務官庁である厚生労働省に人手不足がどうのこうのと訴えるのではなく、政府や日銀に対してもっと景気を良くするように、消費増税などの緊縮財政はやめて、積極財政を推進するように、さらに日銀には、物価目標を一日でもはやく達成するように、訴えるべきなのです。

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2018年2月4日日曜日

【中国GDP】17年中国GDP、地方合算が中央発表を52兆円超過 “水増し”鮮明、信憑性にも疑念―【私の論評】自転車操業の中小企業なみの粉飾決算をする金無し中国に最早魅力なし(゚д゚)!

【中国GDP】17年中国GDP、地方合算が中央発表を52兆円超過 “水増し”鮮明、信憑性にも疑念

GDP速報値を発表する中国国家統計局の寧吉哲局長=1月18日、北京
 中国全土に31ある省クラスの地方政府が3日までに個別公表した2017年の域内総生産(GDP)統計を産経新聞が独自に集計したところ、中国国家統計局が1月18日に発表した全土のGDP統計総額(速報値)を2兆9769億元(約52兆円)も超過していたことが分かった。

 中国ではかねて地方政府による統計の“水増し”疑惑が指摘されてきた。習近平指導部は昨年から、地方の統計当局を監視する組織の設置など対応策を強めたが、効果は限定的で、中国の統計全体の信憑性も疑われる事態となっている。

 国家統計局は、香港とマカオを除く全土の17年GDPを名目で82兆7122億元と発表。地方政府からの報告も参考にした公式統計だった。だが、中国中央テレビ(CCTV)などが報じた地方政府の個別統計を合算したところ、中央の発表を3・6%上回った。

 地方GDPの合算が中央統計を超過した額は、省クラスで国内11位の上海市(3兆134億元)にほぼ匹敵する規模となった。

 中国は昨年4月、「統計執法監督局」を新設して地方の統計当局を監視する態勢を強化し、8月には統計の捏造を厳罰に処する「統計法実施条例」を施行。横行するデータの水増しなどの撲滅に本腰を入れた。

 その結果、内モンゴル自治区や天津市で財政収入や工業生産額などの水増しが相次ぎ発覚し、GDPを下方修正させた。物価変動の影響を除く17年の実質成長率で、内モンゴルは前年比4・0%、天津市は3・6%と、いずれも全国平均の6・9%を下回った。昨年1月には遼寧省が意図的な統計捏造を認めている。

 その一方、17年の成長率で10・2%だった貴州省を始め、31地方のうち22地方までが6・9%を超過。中央と地方の整合性がとれなかった。省クラス最大規模の広東省(8兆9879億元)は7・5%だった。

 習指導部は経済成長を量から質に転換させる方針を打ち出しているが、地域の経済成長が地方政府の幹部の人事評価に反映される時代が長く続いたため、統計の捏造体質がしみついている。インフラ建設を重複してカウントするなどの手口も横行している。

 地方政府の統計水増しは00年代後半から顕著になってきた。中国の成長率は鈍化が続いてきたが、17年の6・9%で7年ぶりに前年を上回り、経済が加速に転じたことになっている。

【私の論評】自転車操業の中小企業なみの粉飾決算をする金無し中国に最早魅力なし(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事、私を含め多くの方々にとってはもはやニュースでも何でもないでしょう。中国の地方政府のGDPの合算が中央の統計を超過していることなど、数年前から多くの人が知っている事実です。

上記では、地方と中央での統計のズレを報道していますが、そもそも中央の統計も出鱈目であることは、今では多くの人が知っていることです。

中国経済の統計数値は、日本をはじめとする先進国のものとは全く性質や性格が異なるものと受け止めるべきです。それは、統計数値というよりは、「政治的メッセージ」に近いものです。

地方政府から中央政府に対する「政治的メッセージ」であり、中央政府から世界に向けて発信する「政治的メッセージ」です。

きわめて信憑性が低い中国のGDP成長率
中国当局は先月18日、2017年国内総生産(GDP)は物価変動を除く実質で前年比6.9%増となったと発表しました。当局は、昨年のGDP成長率は成長率目標「6.5%前後」をクリアし、7年ぶりに前年を上回り加速したとしました。しかし、海外メディアから中国当局のGDP統計の信ぴょう性を疑問視する声が上がりました。

中国当局の発表では、中国のGDP規模は2012年の50兆元、14年60兆元、16年70兆円と17年の80兆元と年々拡大してきた。成長率では、10年から14%までは毎年減速したが7%台を維持してきました。しかし、成長率は15年に7%台を割り6.9%まで下落しました。16年には、成長率が6.7%とさらに落ち込んだのです。

米紙・ニューヨークタイムズ(1月18日付)の報道によると「中国の年間成長率データは安定している。しかし、他の多くの国とは異なり四半期GDP成長率も安定していて、データは疑わしい」との見解を示しました。

同紙によれば、「政治が主要原因だ。地方政府の幹部らは、中央政府が設定した目標を達成しなければならない圧力に常に直面している」と延べました。

同報道によると、ニューヨークに本部を置く経済調査機関「全米産業審議会(Conference Board)」が中国経済を研究して得た17年GDP成長率は、中国当局の公表よりやや低いといいます。

また、英シンクタンク「イノド・エコノミクス(Enodo Economics)」が計算した中国経済の成長率は当局の公表より低い結果となっています。

中国当局のGDP統計の信ぴょう性は常に疑問視されてきました。昨年1月、遼寧省当局が省レベル政府として初めて、過去省内の経済統計データの水増し問題を認めました。

また、内モンゴル自治区当局は今月初め、16年度の工業増加値を約4割水増ししたと発表しました。

さらに、天津市濱海新区当局は先月11日、同区の16年度GDP規模は実際6600億元余りで、このほど発表した1兆元ではないと改めて公表しました。

このようなことの背景には、中央政府はGDP成長率を基準に、地方官員の昇格などを決めてきたということがあります。また、中国のGDP統計手法においては、かなり多くの不明瞭なところがあるため、地方幹部にとって捏造しやすいということもあります。

また、各地方政府がGDPデータねつ造を自白したのは経済情勢の悪化を反映したものでもあると考えられます。地方政府の財政は中央政府からの資金に頼っています。GDP成長率をねつ造して好景気をでっちあげると、中央政府からの補助金が少なくなります。

今、各地の住宅の在庫率が高く、国有企業も赤字経営で、地方政府の税収が減っています。この状況の下で、地方政府が仕方なく実態を白状した可能性があります。

董大勝氏
中国国営新華社通信の過去の報道によると、国家審計署(日本の会計検査院に相当)の元副審計長の董大勝氏は、15年3月中国人民政治協商会議(政協、国政助言機関)の関連会議に出席した際、過去数年中国の経済データのねつ造は「非常に深刻だ」と発言しました。

前述の「全米産業審議会」はニューヨークタイムズに対して、17年中国経済が減速から加速に転じたにもかかわず、「成長率の大部分は、債務によって生み出された」との懸念を示しました。

一方、米シンクタンク「外交問題評議会(CFR)」研究員のベン・スティル氏とベンジャミン・デラ・ロッカ氏が先月11日、CFRホームページに評論を掲載し、中国経済に潜む債務拡大リスクを警告しました。

両氏は、15年と16年中国株価大暴落以降、中国当局は景気刺激策として信用を拡大し、赤字経営の国営企業に対して与信を続けてきたとしています。

「短期的に、中国経済は信用と投資の拡大によって、成長が加速する。しかし長期的に、信用と投資拡大で不良債権が急増するだろう。現在最大の問題は、中国がどれほどの不良債権を抱えているのか、そして今後またどれほどの不良債権を作り出すのかにある」と指摘しました。

両氏の研究では、11年から16年まで中国民間企業の収益が18%の増加に対して、国有企業の収益は33%減となっています。また、中国債務総規模に占める国有企業の負債の割合は10年の59%から16年の80%に拡大したとしています。

「不良債権を計上すれば、中国の本当のGDP成長率は当局が発表する6.9%の半分もないだろう」。

また、両氏は中国当局は現在も、債務返済能力のないゾンビ企業に対して与信をしていると批判しました。両研究員は、将来中国では債務危機発生の可能性が高いと強い警戒感を示しました。

最近このブロクでは、中国の外貨準備は外国からの借金によって賄われていることを掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【田村秀男のお金は知っている】外貨準備増は中国自滅のシグナル 習近平氏の野望、外部からの借金なしに進められず―【私の論評】頼みの綱の一帯一路は幻影に過ぎない(゚д゚)!
 

詳細は、この記事を読んでいただくものとして、この記事では中国の外準の増加は外部からの外貨による借金で支えられているだけで、外準が増えることは中国経済の強さではなく、脆弱(ぜいじゃく)さを物語っていることを紹介しました。

外準を外貨で賄う、GDPが多いようにみせかける、これって何かに似ていると思いませんか。そうです。自転車操業しているにもかかわらず、粉飾決算をして業績が悪くないようにみせかけている中小企業のようです。

このような中国にはもう魅力も何もありません。未だに、日本で親中派、媚中派の方々が大勢いるというのが不思議です。

今の中国、経済的にも政府はもとより民間もかかわりを持つべきではありません。どうしても関わるというのなら、いずれ自分も大きな火の粉をかぶる覚悟がないととてもできません。日本にとって、中国に対してそこまでする義理があるとは到底思えません。

自転車操業の中小企業なみの粉飾決算をする金無し中国に最早魅力なしです。拝金主義の権化である今の中国は金だけが取り柄でしたが、今やそれすらなくなった中国はただの図体がでかいだけの発展途上国の集合体のような存在に変貌しつつあります。

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やはり正常ではない中国経済 GDPと輸入統計に食い違い ―【私の論評】政治的メッセージである中国の統計や戦争犠牲者数は、人民の感情に比例する?

特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣―【私の論評】岩屋外務大臣の賄賂疑惑が日本に与える影響と重要性が増した企業の自立したリスク管理

特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣 渡邉哲也(作家・経済評論家) まとめ 米国司法省は500ドットコムと元CEOを起訴し、両者が有罪答弁を行い司法取引を結んだ。 日本側では5名が資金を受け取ったが、立件されたのは秋本司被告のみで、他...