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2018年5月25日金曜日

【米朝会談中止】北、中国傾斜加速か 正恩氏、目算外れ窮地―【私の論評】正恩はオバマが大統領だった頃とは全く状況が違うということを見抜けなかった(゚д゚)!

【米朝会談中止】北、中国傾斜加速か 正恩氏、目算外れ窮地

金正恩

   米朝首脳会談に向け、「いかなる核実験も必要がなくなった。核実験場も使命を終えた」との宣言を実行するかのように北東部、豊渓里(プンゲリ)の核実験場を爆破した北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長。爆破直後のトランプ米大統領の反応はまさかの首脳会談の中止通告だった。自らが描いた行程表通りに事を進めていた金正恩氏だが、目算は完全に外れた。

 金正恩氏は1月の「新年の辞」で対米非難の一方、韓国に「緊張緩和のためのわが方の誠意ある努力に応えていくべきだ」と主張。以降、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は北朝鮮の期待に応じ続け、南北首脳会談を行い、「歴史的」な初の米朝首脳会談を控える段階にあった。

 今回の核実験場爆破を北朝鮮は、外国メディアに現地取材させ「核実験中止の透明性の確保」(4月20日の党中央委員会総会での政策決定)を誇示した。米朝首脳会談に向け非核化の意思を行動で示すことで、北朝鮮が米国に対し「一方的な廃棄要求には応じない」と相応の措置を求めてくるのは必至とみられていた。

 現に実験場廃棄の表明段階から、ロシアが米国と韓国に「適切に呼応する措置を取るべきだ」(露外務省の声明)と呼びかけるなどの“後押し”が金正恩氏を勇気づけた可能性もある。だが、トランプ政権の米国は、はるかにその上を行った。トランプ氏以下、米政府高官はこれまで「北朝鮮には二度とだまされない」と繰り返していた。

 北朝鮮は2008年にも海外メディアを前に寧辺(ニョンビョン)の核関連施設を爆破したが、その後も核実験を継続。最終的に金正恩氏が昨年11月末に宣言した「国家核戦力完成」に至った。

 今回爆破した実験場も「過去の実験で崩壊状態にあり、価値がない」(南成旭(ナム・ソンウク)高麗大教授)との見方が多い。6回の核実験を行った用済みで不要な核実験場を廃棄しただけの可能性もある。核開発中止の保証はなく、北朝鮮は核を廃棄せず保有している。

 「朝鮮半島非核化のためにわが国が主導的に講じている極めて有意義かつ重大な措置」と強調し核実験場爆破を見せた北朝鮮。金桂寛(キム・ゲグァン)第1外務次官の16日の談話に続き、24日にも崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官の談話で、米朝首脳会談の再考を警告した。

崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官

 譲歩の姿勢を見せる一方、要求が受け入れられないと交渉決裂を繰り返してきた北朝鮮。その裏切りの前例から疑念を捨てていない米国を、北朝鮮は甘く見ていた。金正恩氏にとって、米国の即座の反応は予想外だったに違いない。

 追い込まれた金正恩氏としては、3月以降、2度訪問し関係改善に努めている中国から手を差し伸べてもらうしかない。選択肢は限られ、北朝鮮が中国への傾斜を強めるのは必至とみられる。

 今年、平昌五輪を機に韓国に接近し、南北首脳会談で笑顔を振りまいた金正恩氏だったが、局面は一気に変わり、窮地に追い込まれた。同時に北朝鮮をめぐる“つかの間の春”は暗転し、朝鮮半島情勢は混迷と緊張が再現しそうな状況となった。

【私の論評】正恩はオバマが大統領だった頃とは全く状況が違うということを見抜けなかった(゚д゚)!

今回の米国の反応は、予想どおりのものでした。これについては、以前何度か掲載してきした。一番新しいのは以下のものです。
米韓首脳会談、文氏「仲介」は完全失敗 トランプ氏は中朝会談に「失望」怒り押し殺し…米朝会談中止も―【私の論評】米国は北攻撃準備を完璧に終え機会をうかがっている(゚д゚)!
文大統領(左)と会談したトランプ大統領(右)。金正恩氏の勝手にはさせない

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分のみ掲載させていただきます。
いずれにせよ、金正恩が過去1年間で恐喝、融和、手のひら返しのような様々な策を弄しているうちに、米軍は目的、目標、期間、規模、効果の観点からありとあらゆる方式で北朝鮮を攻撃する方法をシミレーションならびに演習を通じて実行できる体制を整えているのは間違いないです。軍はすぐにでも行動に移せる状態になっていることでしょう。
現在の米軍の北朝鮮対応力は1年前から比較すれば、格段に向上しています。昨年は、北朝鮮の海域に空母打撃群を3つも派遣しながら、結局攻撃しなかったのは、準備が整っていなかったからです。

そもそも、政治や安全保障に経験がないトランプ氏が大統領になったばかりでしたし、米軍のほうは、オバマ政権による軍事予算の削減で、かなり弱体化していました。さらに、オバマ前大統領のいわゆる「戦略的忍耐」が追い打ちをかけ、米軍が北朝鮮を攻撃することを思いとどまらせました。

「忍耐」と言えば、その背後に高尚な戦略、ないしは哲学が控えていると受け取る楽天主義者がいるかもしれませんが、オバマ氏の「忍耐」の場合、どうやらその文字のごとく、もっぱら黙ってきただけです。もしオバマ氏が戦略的「忍耐」ではなく、関与政策を実施していたならば、金正恩ものんびりと核開発に専心できなかったでしょう。
オバマ前大大統領

北は2006年に最初の核実験に成功しました。それから着実に核の小型化、核弾頭搭載可能の弾頭ミサイルの開発、プルトニウム爆弾だけではなくウラン原爆にも手を広げ、水爆実験も実施しました。

これらのことが全て事実とすれば、北は11年余りで、核計画を急速に進展させたことになります。その11年間のうち8年間はそっくりオバマ前政権下でした。北の核開発問題ではオバマ政権の責任が問われる理由はまさにここにあるわけです。

もちろん、オバマ大統領は国連安全保障理事会を通じて北に制裁を課してきましたが、その政策は終始中途半端でした。オバマ政権は北が核開発を急速に進めている中、米独自の軍事的圧力の行使は控えていました。

金正恩氏は父親から“金王朝”を継承した後、計4回の核実験を実施しました。そして北の過去6回の核実験のうち、4回はオバマ政権下でした。北側からオバマ政権は軽く見られていたことが推測できます。「オバマなら口で批判するが、何もしない。軍事制裁など全く視野にないだろう」と受け取られてきたわけです。

オバマ政権の8年間は北がその核開発を急速に進歩させた期間と重なります。
2006年10月 9日 1回目の核実験。プルトニウム型
09年 5月24日 2回目。プルトニウム型 (同年オバマ政権誕生)
13年 2月12日 3回目。小型化成功と主張  (同年オバマ政権二期目に入る)
16年 1月 6日 4回目。水爆成功と主張
9月 9日 5回目。核弾頭爆発実験成功と主張
17年 9月 3日 6回目。大陸間弾道ミサイル(ICBM)弾頭部に装着する水爆実験成功と発表。
18年 1月 トランプ政権誕生
(出所・時事通信)
繰返しますが、「核の小型化」、「核弾頭爆発実験」、「水爆実験」、「ICBM用の水爆実験」といった核開発計画の重要ステップはオバマ氏が忍耐している最中、北側が着実に達成していった技術的成果です。

クリントン米政権時代の国防長官を務めたウィリアム・J・ペリー氏は昨年初め、オバマ政権の対北政策「戦略的忍耐」について、「核・ミサイル開発はむしろ進み、状況は悪化した」と指摘している一人です。

いかなる軍事活動にもそれを指示した指導者の責任が問われる。北朝鮮の核問題では、オバマ氏は「忍耐」という名でその責任を回避してきた大統領だったといえます。

オバマ政権ではない政権が米国に誕生したという事実が、米国の対北朝鮮政策を根本的に変えたてのです。ただし、過去の1年間は、先に述べたように、政治や安全保障に経験がないトランプ氏が大統領になったばかりであったこと、軍事予算の削減で米軍がかなり弱体化していたこと、オバマ前大統領の「戦略的忍耐」による負の遺産により米軍が北朝鮮を攻撃することを思いとどまらせただけだったのです。

もしオバマ大統領が「戦略的忍耐」で責任を回避せず、本格的な制裁や、軍事制裁を検討していたとしたら、金正恩は今そこにある危機に対応するため、核兵器開発など後回しにし、通常兵力を強化していたに違いありません。

ところが、オバマの「忍耐」を良いことに、金正恩は通常兵器の強化は後回しにして、核兵器の開発に多くの資源を割当あてました。

そのため、現状の北朝鮮軍の通常兵器はかなり遅れています。まずは、防空体制ゼロといっても良いような状況になっています。北朝鮮のレーダーは40年前のもので、これでは現在のステルス機に対しては全くの無防備です。

戦闘機も、40年前からほとんど新しいものは導入されておらず、かつて中東上空や、ベトナム上空で米軍など先進国の空軍ととわたりあったこともある北の面影は今は全くありません。


たとえば、上は北朝鮮空軍の防空訓練の様子を撮影したとされる写真です。撮影日時、場所は不明です。写っている軍用機は、旧ソ連製のMIG21戦闘機とみられます。MIG21は1956年に初飛行し、東西冷戦時代には東側の主力戦闘機となった代物です。北朝鮮空軍ではこの古い機体が今でも使われています。

陸軍も、装備は貧弱で50~60年代のものが主力となっており、なかには第二次世界大戦で運用された兵器もあります。

個人装備もベトナム戦争で南ベトナム解放戦線(ベトコン)がアメリカ軍を相手に使ったAK-47が主力のようです。

ただし、数は多く、旧式といえども戦車だけでも3000両以上を保有しており、数だけならば自衛隊の定数300両を大幅に超えます。しかし、数が多くても、米韓軍の敵ではありません。

なぜこのようなことになったかといえば、核兵器の開発に力を奪われ、通常兵力の整備がおろそかになったからです。

実際に、通常兵力同士の戦いになったとしたら、北朝鮮には全く勝ち目はありません。頼みの綱の核兵器は、実際に使えば、米国に北核攻撃の格好の口実を与えることになり、おいそれと使えるものではありません。

それでも、国家破綻の淵に追い込まれれば、使う可能性もありますが、その兆候がみられれば、今や北朝鮮の情報に隅々まで精通した米軍により発射の前に叩かれてしまうことでしょう。叩きもらしも若干でるかもしれませんが、発射された核ミサイルも撃ち落とされる可能性は高いです。

金正恩は戦略を誤りました、昨年米軍が北を攻撃しなかったため、事態を軽くみてオバマが大統領だった1年前とは全く状況が違うということを見抜けませんでした。

一方米朝首脳会談が中止されたことで、アメリカは中国への圧力をさらに強めることになるでしょう。すでに貿易摩擦に発展している中興通訊(ZTE)への制裁に関しても、トランプ大統領は最大13億ドルの罰金を科すとともに経営陣の刷新を求める案を明らかにしています。

ウィルバー・ロス商務長官はアメリカ側が選んだ人物をZTEに送り込み、同社に法令順守部門を設置させる可能性も示唆しています。中国としては、アメリカによる査察体制の受け入れを許せば他業種にも波及する恐れがあるため、この条件はのみたくてものめないでしょう。

それに先立って行われた米中通商協議では、中国がアメリカの製品やサービスの輸入を大幅に増やすことで合意しましたが、アメリカが求めていた対米貿易黒字の2000億ドル削減については具体策な言及がなく、成果は乏しいものでした。

中国としてはZTEの制裁を緩和してもらいたいのはやまやまでしょうが、米議会が強硬に反対している以上は望み薄です。そこで、輸入拡大でお茶を濁しているという苦しい事情が見て取れます。

アメリカの国防権限法案には先端技術を保有する企業同士の買収を禁じる項目なども入っており、このままいけば、かつての対共産圏輸出統制委員会(ココム)のような仕組みがつくられる可能性もあるでしょう。

冷戦期に自由主義陣営を中心に構成されたココムは、共産圏諸国への軍事技術や戦略物資の輸出規制を目的とした組織です。すでにアメリカは知的財産権の侵害を理由に中国製品に対する制裁を進めていることからも、今後は中国を狙い撃ちにするかたちの21世紀版ココムがつくられたとしてもおかしくないです。

ココムというと、日本では東芝機械ココム違反事件が有名です。これは、1987年に日本で発生した外国為替及び外国貿易法違反事件です。共産圏へ輸出された工作機械によりソビエト連邦の潜水艦技術が進歩しアメリカ軍に潜在的な危険を与えたとして日米間の政治問題に発展しました。

習近平(左)と金正恩(右)

このような厳しい規制がさらに強化され制裁の次元に高まれば、中国経済はガタガタになります。そうなると、中国とて北朝鮮の後見をしたとしても、自国が苦しむだけになります。北朝鮮に肩入れすることはやめることになるでしょう。

いずれにしても、米中が本格的貿易戦争ということになれば、中国には全く勝ち目はありません。であれば、中国はいずれ北を完璧に見放すことになるでしょう。そのとき北朝鮮の命運は完璧に絶たれることになるでしょう。

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2017年3月11日土曜日

韓国狂乱…朴氏、不訴追特権失い逮捕・起訴の危機 文在寅氏が大統領なら「赤化統一」―【私の論評】米の正恩斬首作戦実行可能性が高まった(゚д゚)!


憲法裁の罷免決定を受けて、太極旗を手に泣き叫ぶ朴大統領の支持者たち
=10日、ソウル中心部    写真はブログ管理人挿入   以下同じ
韓国の国会から弾劾訴追された朴槿恵(パク・クネ)大統領について、憲法裁判所は10日、全員一致で罷免を認めた。韓国で現職大統領の弾劾成立は初めてとなる。即時失職し、不訴追特権を失った朴氏は逮捕・起訴の危機に立たされた。60日以内に実施される次期大統領選は5月9日投開票が有力だが、「従北」「反日」の極左候補が優勢に戦いを進める。韓国を覆う「悪夢のシナリオ」が現実味を帯びてきた。

朴槿恵大統領弾劾審判宣告日の10日午前李貞美裁判官は、憲法裁判所に
入る際に、緊張のあまり髪にパーマ用のカール挿したまま入庁した。
 ソウル中心部の憲法裁近くの路上に設置された大型画面で朴氏の失職決定の瞬間が生中継されると、「反朴派」は大きな歓声を上げ、歴史的決定を抱き合って喜んだ。

 「親朴派」もいったん静まりかえった後、怒りを爆発させ、警戒中の機動隊と衝突した。警官約2万人が厳戒態勢のなか、騒乱状態が続いた。

 午前11時に始まった決定言い渡しでは、朴氏が長年の友人、崔順実(チェ・スンシル)被告による私的な利益追求に関与、支援したと認定した。さらに崔被告による国政介入の事実を徹底的に隠蔽し、捜査にも協力しなかったと批判、憲法を守る意志がなかったと指摘し、裁判官8人全員が罷免に賛成した。

 韓国大統領の罷免は1948年の建国以来、初めて。決定に異議を申し立てる制度はないとされ、朴氏はこの瞬間に失職、大統領ではなくなった。

 朴氏は2013年2月、韓国初の女性大統領に就任。1979年に暗殺された父、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領(当時)と同じく任期を全うできなかった。87年改正の現行憲法下で5年の任期を終えられなかった大統領は朴氏が初めて。

 韓国では、現職の大統領は内乱罪などを除き、刑事訴追されないという特権がある。だが、大統領を罷免された朴氏はただの人に戻る。容疑が濃厚であれば、検察は朴氏を逮捕できる。

 朴氏と崔被告の疑惑を捜査してきた特別検察官(特検)は2月28日、朴氏について、韓国最大の財閥であるサムスングループの経営トップで、サムスン電子副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)被告側から、約430億ウォン(約42億円)の賄賂を受け取った「容疑者」と認定した。

サムスン電子副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)
 その後、特検は検察に捜査を引き継いだ。このため、検察も朴氏を「容疑者」として扱うことが予想され、「Xデー」が近づいたといえる。

 一方、朴氏の失職に伴い、大統領選は本来の12月から大幅に前倒しされ、60日以内に実施されることになった。韓国メディアは大統領選の日程について5月9日を有力としている。

 韓国の世論調査機関「リアルメーター」が今月9日に発表した調査では、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表が36・1%で1位、大統領代行を務めている黄教安(ファン・ギョアン)首相が14・2%、共に民主党所属の安煕正(アン・ヒジョン)忠清南道(チュンチョンナムド)知事が12・9%で続いている。

 大統領レースを独走中の文氏だが、韓国だけでなく、日本、世界まで危機に陥れかねない危険な人物なのだ。

文在寅(ムン・ジェイン)
 文氏は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で大統領秘書室長を務めていた2007年、国連の北朝鮮人権決議案が採択される前に北朝鮮の意見を求め、韓国の決議を棄権させていたことが当時の外交通商相の回顧録で暴露された。さらに、大統領に当選したら米国より「北朝鮮に先に行く」と発言したこともある。「親北」というより、「従北」と位置付けられる存在だ。

 韓国が不法占拠を続ける島根県の竹島(韓国名・独島)に上陸した経験もある。慰安婦問題をめぐる日韓合意や日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の見直し、さらには今月に韓国で配備が始まったばかりの高高度防衛ミサイル「THAAD」の配備延期も求めている。

 文氏が大統領になることで、北朝鮮主導による朝鮮半島の「赤化統一」や在韓米軍の撤退の恐れすら指摘されている。

 今月6日にも弾道ミサイル発射を強行した北朝鮮の脅威が距離的にも日本に近づき、日米は朝鮮海峡で北と対峙(たいじ)しなければいけなくなるのだ。

 拓殖大学の荒木和博教授は大統領選の行方について、「昔であれば、北朝鮮が何か挑発行動をすれば、保守層に傾く『左翼バネ』が働いていたが、今の若い人には通用しなくなっている。保守派にはこれといった候補もおらず、文氏当選の可能性が高いだろう」として、文氏が大統領になった後の韓国を次のように予想した。

 「米韓関係も悪くなるし、日本からすれば韓国に何を言っても話し合いができなくなるのではないか。左翼の労働組合などがやりたい放題になり、朝鮮半島全体が『学級崩壊』状態になる可能性がある。北朝鮮と同じく、国際社会から孤立する道に歩み出すかもしれない」

 相次ぐ弾道ミサイル発射に加え、金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件への関与も濃厚となり、北朝鮮への国際社会の目が厳しさを増しているが、韓国も歩調を合わせていく恐れがある。

 韓国はいつになれば正気を取り戻すのか。

【私の論評】米の正恩斬首作戦実行可能性が高まった(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事のように、朝鮮半島の「赤化統一」は避けられない状況になってきました。しかし、韓国の「赤化統一」は、たとえ文在寅が大統領に選出されたとしても、すぐに成就するわけではないと考えられます。ある一定期間のラグをおいて、徐々に進んでいくことが予想されます。

それについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【痛快!テキサス親父】韓国はまさに「赤化危機」 完全な日韓合意違反、国際的信用は失墜した―【私の論評】韓国の赤化で、半島全体が支那の傀儡になる?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では朝鮮半島の赤化統一のシナリオを掲載しました。その部分を以下に掲載します。ただし、この記事は1月13日に掲載したものであり、金正男氏がまだ暗殺されていない時期のものであり、正男氏の名前がでてきますが、そのまま掲載します。
そうして、韓国の赤化危機が現実のものとなりました。赤化といえば、韓国に親北政権ができるということにとどまらず、韓国の弱体化に乗じて支那の動きが活溌化することでしょう。 
金正恩は、支那の意思に逆らい、核・ミサイル開発を進めています。実戦配備されれば、北京や上海はその射程圏内となり、到底、中国として見過ごすわけにはいきません。
金正恩
しかし、中国が本気で制裁を加えれば、追い詰められた金氏が暴発して、南進しかねなくなります。そうなると、たちまち米韓軍に敗北し、朝鮮半島は韓国によって統一されてしまいます。

では、支那はどうするでしょうか。手っ取り早い方法として、北朝鮮のトップを金氏から、兄の金正男(キム・ジョンナム)氏か、中国の息のかかった人物にすげ替えることでしょう。北朝鮮を支那の傀儡にして、核・ミサイルや核施設を破棄させれば、北朝鮮の脅威はなくなるかもしれません。 
しかし、支那の本音は、別のところにあります。朝鮮半島全体を赤化して日米への楯にしたいというのが本音です。北朝鮮を傀儡化した中国は、かつて北朝鮮の金日成主席が描いたシナリオ通りに、韓国を吸収させようとするでしょう。

赤化した韓国は、THAADの導入を拒否するか、導入した後に撤去することになるかもしれません。そうして支那は、それを促すため、北朝鮮と韓国に平和条約を結ぶよう勧告するでしょう。そうして、支那は韓国に平和条約を結すべばTHADDの導入は必要ないことを強調することでしょう。

THAAD導入で支那から制裁を受け、経済面に苦しい韓国は、THAADを導入を断念すれば、韓国制裁を解くといわれれば、赤化した韓国は拒否できないことでしょう。軍事境界線に配備した長距離砲の撤去など、非核化した北朝鮮が韓国の要求をのめば、平和条約が締結される可能性はかなり高くなると思います。

平和条約締結後の韓国には、在韓米軍が存在する意義がなくなくなります。韓国は、米軍の撤退を要求するかもしれません。それに呼応して、在韓米軍は大幅に削減され、いずれ撤退することになるかもしれません。
次のステップは「南北連邦国家形成」ということになるでしょう。支那の意を受けた北朝鮮の工作員が「今こそ悲願の統一だ」と民族感情を刺激し、すでに赤化している韓国の人々は「一国・二政府・二体制での統一」という建前に熱狂することでしょう。そうして「南北朝鮮民主連邦」が実現することになります。 
そして、最終段階が「北朝鮮体制での完全統一」です。支那傀儡の北朝鮮は「一国二体制は非効率だ。一方の体制に統一しよう」と国民投票を韓国側に呼び掛けることでしょう。人口が2倍いる韓国は「北朝鮮をのみ込める」と踏んで、これに応じることでしょう。 
しかし、北朝鮮は約2000万人の有権者全員が北の体制を支持します。一方、韓国側の約4000万人の有権者はそうはいきません。仮に、投票率80%とすると投票者は約3200万人。うち、600万人以上が北の体制を支持すれば、北朝鮮側の勝利となります。

大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の人口の推移
「財閥を潰して社会格差を無くせるなら」「地獄の生活苦から抜け出せるなら」など、韓国には国全体をガラガラポンしたい衝動に駆られる住民が大勢存在します。 
国民投票で選ばれるのは、恐らく北朝鮮側の体制でしょう。そうなれば、韓国は北朝鮮にのみ込まれて「支那の属国」と化し、人々からすべての人権が剥奪されることになります。その時韓国は、真実の「HELL(地獄)のKOREA(韓国)」となるのです。 
上のシナリオは、悪夢のようですが、オバマ大統領の任期がもう少し長ければ実現したかもしれません。トランプ大統領の登場で上記のようなシナリオは成り立ちにくい状況となるでしょう。 
トランプ新大統領は、 韓国がTHAADの導入を断念したり、導入後廃棄などということは絶対にさせないでしょう。そうなれば、支那は対韓国制裁をやめることはないでしょう。 
しかし、日韓合意を簡単に翻すことができると思い込む韓国人が多数存在し、政府がそれを制御出来ない現状をみると、韓国に親北政権ができあがり、赤化した場合、似たようなシナリオで、朝鮮半島全体が赤化される可能性を否定することはできません。
この記事にもあるように、トランプ政権がやすやすと韓国を支那の傀儡国家にするとは考えられません。そうなると、このブログで何度か掲載してきたように、金正恩の斬首作戦が実行される可能性が高くなってきたのではないかと思わます。

この斬首作戦に関しては、以前にもこのブログに掲載したことがありますので、ここでは再度詳細を説明しません。以下にそのリンクを掲載します。詳細を知りたい方は、この記事を御覧ください。
米軍、金正恩氏「7日で排除」3月にも世界最強の軍事力行使か、韓国紙は日本配備のステルス戦闘機に言及―【私の論評】まさに、朝鮮半島は戦争前夜(゚д゚)!
故金正日総書記の生誕記念日「光明星節」を記念して開かれた
シンクロナイズドスイミングの公演=2月15日、平壌
金正男氏が暗殺され、韓国が赤化され、さらに朝鮮半島が完全赤化統一され、さらに支那の傀儡になるという事態になれば、これは日本にとっても安全保証上の大脅威ですし、アジアの安全保証にとつても重大な脅威であり、米国にとっても、南シナ海に次いで大きな脅威となります。

もし、朝鮮半島が赤化統一されれば、米軍は現在は韓国が北朝鮮や中国の緩衝地帯となっていたものが、それがなくなり、日本が韓国に変わって支那に対抗するための、最前線基地になることになります。

そうなれば、米国としては日本に自国の防衛を任せるというだけでは、アジアの安全保障が十分とはいえなくなるので、現在よりも強大な軍事力をアジア方面にさかなければならないことになります。

従来のオバマ大統領だと、そのような状態を自ら招いてしまったかもしれません。しかし、トランプ氏はそうではありません、朝鮮半島が赤化統一はどう考えても、米国の軍事的負担が増えるのは間違いないので、それを避けるために何らかのを手を打ちます。そのうちの、最も有効な手段が、金正恩氏の斬首です。

金正恩氏を斬首されれば、北朝鮮そのものが崩壊する可能性が大です。崩壊して無政府状態で核兵器が存在するということになれば、それもかなり危険なことです。国の体裁もなしていないような、ならず者が核兵器を所有することになります。これは、ISが核兵器を所有するという状態にも似た恐ろしい事態です。

そうして、その時に一番悪影響を被るのが、支那と韓国です。この状況に韓国が覚醒すれば良いのですが、そのようなことは期待薄です。北朝鮮とはロシアも国境を接しています。そうなると、支那、米国、ロシアによる信託統治などということも考えられます。実際そのような噂も流れているようです。

以上のようなことから、米国は現在のところは、韓国の状況の様子見をしていると考えられますが、韓国赤化が現実になることが確実になった場合には、金正恩斬首作戦を実行し、北朝鮮と支那を牽制し、韓国の立て直しをはかる可能性が大です。

その際には、朴槿恵元大統領の腐敗に匹敵するか、それ以上の韓国内の親北派の腐敗ぶりが、明るみに出され、韓国内は大混乱に陥ることでしょう。

今後の韓国の赤化の問題は今後の米国のアジア戦略にも大きな影響を与えるはずですが、これは無論日本にとっても大きな問題です。また、米国が金正恩斬首に踏み切るときには、日本もこれに必ず何らかの形で関与し、北朝鮮による拉致被害者問題解決の緒にすべきです。

そうして、もしも、北朝鮮の体制が崩れて、国連の信託統治ということにでもなれば、拉致被害者問題の解決は、かなり早まることになります。

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2016年11月20日日曜日

韓国「反・朴槿恵」狂騒 “犯罪者は晒し者に”の社会力学とは―【私の論評】大統領による統治システムは何度も同じ間違いを繰り返した、最早個人の倫理問題ではない(゚д゚)!

韓国「反・朴槿恵」狂騒 “犯罪者は晒し者に”の社会力学とは

朴槿恵大統領の辞任を求めるデモ 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 無論、我が国でも政治家の不祥事など珍しい話ではない。とはいえ、疑惑の当事者をテレビカメラの前に吊し上げ、パワーショベルが検察庁に突っ込む狼藉ぶりを目にすると、彼の国「らしさ」を感じてしまうのは事実。これこそが李朝時代から続く「情治国家」のなせるワザなのだ。

検察庁にパショベルが突っ込んだことを伝える韓国のテレビの画面
***

 もっとも、日本人にはやり過ぎに見えても、

「以前よりだいぶマシになったと思いますよ」

 と、元時事通信ソウル特派員で『悪韓論』の著者・室谷克実氏は苦笑する。

「韓国では犯罪者を晒し者にするのは日常茶飯事。かつては殺人犯が検察に護送される時も無理やり記者会見を開かせていた。もし逃げ隠れするようなら、テレビの撮影スタッフが髪の毛を引っ掴んでカメラの前に顔を突き出したものです」

 一方、元朝日新聞ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏によれば、

「先の大規模デモでは、デモ隊が許可されたコースを外れても警察は全く咎めなかった。それどころか、当の警察署長が“国を愛する皆さんの気持ちは十分に理解する。理性的な協力に感謝します”と、同情的な発言をして話題になりました」

 警察当局がデモ隊にエールを送るとは、さすがは「情」に厚いお国柄、と言いたいところだが、

 「韓国の情はエゴイズムと表裏一体です。子供がバスの指定席に座っていても、規定の料金を払っていない中年男性が割り込んでくる。“疲れている俺を座らせないなんて情がない”というわけです。デモにしても“俺は社会のために頑張っているのに邪魔をするのか”、と。警察や裁判所ですら、そうした“情”の世論を窺いながら動くので法治主義が根付かない」(同)

 実際、崔順実(チェスンシル)氏と同じように晒し者となった「セウォル号」の船長や「ナッツ姫」には想定外の重い罰が科せられている。

■「有銭無罪」

 さらに、韓国が法治国家になれない理由として、先の室谷氏は「有銭無罪、無銭有罪」を挙げる。

 「これは、金持ちは無罪で、貧乏人は有罪になるという司法の腐敗を嘆く言葉です。李氏朝鮮時代の貴族・両班(ヤンバン)は、庶民からカネを巻き上げても裁かれませんでした。その伝統はいまも続いている。朴大統領の要請で韓国企業が崔氏の財団に出資した疑惑も日本人が考える汚職とは異なります。何しろ、双方の利害が一致するわけではなく、単に権力者がカネを強奪しただけ。両班のやり口と変わらない」

 こうした不公平が身に染みているがゆえに、権力者の不祥事が表沙汰になると民衆の怒りは一気に燃え盛る。そして、法で裁き切れない悪人を、情で裁くというワケだ。

 「ただ、韓国ではもはや大統領のスキャンダルは5年に1度の恒例行事になっている。国民もメディアも感情に流されて政権叩きに奔走するばかりなので新政権も同じ過ちを犯す」(同)

 今回の狂騒ぶりも、“情”の国ならではの情況なのだ。

【私の論評】大統領による統治システムは何度も同じ間違いを繰り返した、最早個人の倫理問題ではない(゚д゚)!

私はこのブログに今日まで、今回の朴槿恵大統領のスキャンダルを掲載したのは一回だけです。なぜかといえば、ブログ冒頭の記事にもあるように、韓国では大統領のスキャンダルは5年に一度の恒例行事になっていたからです。

朴槿恵大統領ももちろんその例外ではなく、2018年までの任期ですから、いずれ任期が近づけは必ず何らかのスキャンダルが出てくるだろうと確信していました。ただし、2017年くらいからではないかと考えていたので、若干それよりは早いということですが、それにしてもさほど驚きはしませんでした。

ここで、過去の大統領についてふりかえっておきます。

一人目は建国の父・李承晩。12年間独裁者として君臨しましたが不正選挙で民衆の怒りを買い、ハワイへ亡命。建国した国から追われるという皮肉な結末となりました。

不正選挙を糾弾するデモ(四月革命) 
三人目は現職の朴槿恵大統領の父・朴正煕氏。側近に射殺され、妻も暗殺されるといった「裏切り」により人生の幕を閉じることとなりました。

朴正煕氏
五人目の全斗煥は光州事件の責任や不正蓄財で無期懲役の判決を受け、続く盧泰愚も懲役17年の判決を受けました。


 その後七人目の金泳三、八人目の金大中は共に親族が収賄により逮捕されています。

金泳三(左)と、金大中(右)
さらには九人目の盧武鉉。退任後、兄が収賄で逮捕され、自らにも捜査が及ぶと崖から飛び降り自殺。悲劇的な結末を迎えました。

盧武鉉氏の葬儀
竹島に上陸したことで物議を醸した十人目の李明博大統領は親族が収賄で逮捕されています。

李明博
過去10人の大統領のうち、8人の大統領がこの有様なのですから、これは異常というよりほかありません。

経営学の大家ドラッカー氏は以下のように語っています。
同じような間違いが何度も起こる場合、それは最早個人の問題でなく、システムの問題である。
ビジネスは個人的能力も大切だが、それよりもシステムを重視しなければならない。会社とは、平凡な個人に非凡な仕事をさせるシステムなのだ。
(ピーター・ドラッカー)


韓国の大統領による統治システムは、以上のように過去に同じような間違いが発生し、さらに現職の朴槿恵大統領にも間違いが発生しています。

こうなると、最早韓国の大統領による統治システムに問題があるのであって、個人の問題ではないと思われます。今後、このシステムを変えずに、朴槿恵大統領を辞任に追い込んだところで、システムが変わらない以上同じことがまた繰り返し起こることになります。

韓国の現状をみると、大統領による統治システムを変えるべきであるという声は聞いたこがありません。ただただ「朴槿恵辞任」の声が大きく聞こえるばかりです。まるで、問題は朴槿恵大統領の個人的な倫理観や資質にだけあるとでも思っているようです。

大統領による統治システムが上記でも掲載したように、過去数十年にわたり繰り返し同じような間違いを起こしているのです。これは、もう個人の問題というよりは、システムの問題も点検すべきです。そのことには、韓国人は気づいてないようです。

この問題を解消するためには、朴槿恵氏を単に辞任に追い込むだけではなく、朴槿恵氏を含め、韓国政府の人々にも今回の事態を証言させ、現在の大統領による統治システムの問題を明らかにすべきです。個人の追求などは、後回しで良いのです。

そうして、大統領制の制度そのものを変えるか、変えられなくても議院内閣制を取り入れるなどの方法も検討すべきです。

いずれにせよ、本来は、統治システムを根本的に変えるべきです。それを変えずに、朴槿恵氏の倫理観のせいにばかりしていては、何も解決しません。

しかし、韓国では今回の一連の問題を結局朴槿恵氏の個人の倫理観のせいにしてそれでおしまいにするのでしょうか、であれば、また次の大統領でも同じような問題が再び発生するだけになります。

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2016年6月13日月曜日

【アメリカを読む】ヒラリー・クリントン氏を突如襲ったチャイナマネー疑惑 「最も親しい友人」と中国富豪の関係にFBIのメスが… ―【私の論評】トランプ氏の暴言は日本にとっては暴言ではないし、米国にとっても良い大統領になる(゚д゚)!

【アメリカを読む】ヒラリー・クリントン氏を突如襲ったチャイナマネー疑惑 「最も親しい友人」と中国富豪の関係にFBIのメスが… 

2014年12月8日午前、京畿道庁状況室で行われた「京畿道-バージニア政策
協議会設置合意書」の署名式で、ナム・ギョンピル知事がテリー・マコーリフ
米バージニア州知事と握手をしている。写真はブログ管理人挿入。以下同じ。
米大統領選で民主党の指名獲得をほぼ確実にしているヒラリー・クリントン前国務長官(68)に、選挙戦に影響を及ぼしかねない新たな火種が浮上した。同氏に近いバージニア州のマコーリフ知事が中国人実業家から受けた選挙献金について連邦捜査局(FBI)が捜査していることが判明。実業家はクリントン一家の慈善団体「クリントン財団」にも寄付を行っており、チャイナマネーをめぐる捜査の行方次第では、11月の本選にダメージを与えるとの見方も出始めている。

■「最も近い友人」

全人代代表で企業家の王文良氏
バージニア州のマコーリフ知事に浮上した疑惑は、2013年の州知事選をめぐり、中国の全国人民代表大会(全人代)代表で企業家の王文良氏から12万ドル(約1300万円)の献金を受けたことに絡むもの。米CNNテレビが5月23日、FBIと米司法省が合同で捜査していると報じた。

王氏が経営する会社は13年に「クリントン財団」にも200万ドルを寄付していたことがすでに報じられている。

米国の法律では、大統領選や知事選などの立候補者が外国人からの選挙資金の提供を受けることを禁止しているが、マコーリフ氏側と王氏側は、王氏が米国籍を所有していることから違法ではないと主張。だが、当局はマコーリフ氏の選挙資金について広く捜査し、財団への寄付についても同氏が果たした役割に関心を示していると伝えられている。

州知事のスキャンダルが全米で話題になっているのは、同氏がクリントン氏の「最も親しい友人」(米メディア)とされるためだ。

マコーリフ氏は実業家として活動するほか、「クリントン財団」の幹部だった経歴を持ち、夫のビル・クリントン氏が再選を果たした1996年の大統領選や、クリントン氏が挑戦した08年の大統領選では選対幹部を務めた。資金集めの担当者として知られ、99年には、ニューヨーク市郊外にある夫婦の自宅の購入を援助したというエピソードもある。

マコーリフ氏はメディアを通じて身の潔白を主張しているが、地元紙の記者は「マコーリフ氏は自分のことだけでなく、クリントン氏の選挙への影響を懸念しているのだろう。クリントン氏が当選したら、自分が閣僚になる可能性を示唆していた」と指摘する。

■90年代から中国富豪と付き合い

今回の疑惑で改めてクローズアップされているのが、クリントン一家とチャイナマネーの関係だ。

米メディアによると、王氏はバージニア州で大豆の輸出業を手がけるほか、米国内で幅広く事業を展開。約3000人が出席する全人代の代表の一人で、ワシントンにある中国大使館の建設工事も請け負った。

中国政府にも近いと目される王氏から財団への献金について、「寄付する側としては、クリントン財団への寄付が間接的に政治的な影響を与えると考える。クリントン氏が著名な米国の政治家だから財団に寄付するのだ」(米メディア)と、批判する声も少なくない。

昨年10月の元国連総会議長が収賄容疑で逮捕された事件でも、クリントン氏の名前が取り沙汰された。贈賄側で逮捕されたマカオの不動産王、呉立勝容疑者は90年代、代理人を通じ、民主党全国委員会やビル・クリントン氏の選挙活動に100万ドルを提供したとして刑事事件に発展。呉容疑者は当時、刑事処分を免れたが、国連を舞台とした贈収賄事件を受け、呉容疑者とクリントン夫婦との親密な過去が蒸し返される形となった。

また、クリントン氏の実弟で実業家のトニー・ロドハム氏は、マコーリフ氏が電気自動車の会社を立ち上げる際、永住権取得を見返りに中国人実業家に投資を勧誘。投資永住権プログラムの手続きに、不適切な対応があったとして問題視されたことがあった。クリントン一家はこれまでも、たびたび中国がらみの金銭スキャンダルに悩まされてきたのだ。

■中立性を保てるのか…

米主要メディアは、クリントン財団への献金自体はFBIの捜査の対象になっていないとしており、クリントン氏に対する直接的な影響は不透明だ。

だが、バージニア州の有権者の投票動向には変化を与える可能性があるとみる関係者は少なくない。地元の大学が行った最新調査によると、共和党で指名獲得を確実にしたドナルド・トランプ氏(69)とクリントン氏の同州での支持率は「互角」。クリントン氏の支持が高いとみられてきただけに、本選を前に州知事のスキャンダルが浮上したショックは大きい。

01年に設立されたクリントン財団は、小児エイズの治療プログラムなどさまざまな慈善活動を行ってきた。一方で、クリントン氏の大統領選出馬前から外国政府や企業からの多額の献金問題が取り沙汰され、「大統領になる資格はあるのか」「中立性を保てるのか」などと攻撃の対象になってきた。

とりわけ、クリントン氏が国務長官時代に受けた献金については「利益相反」との疑念がつきまとう。米紙ウォールストリート・ジャーナルは昨年、クリントン氏が長官時代に国務省にロビー活動を行った少なくとも60社がクリントン財団に2600万ドル以上の寄付を行ったと報じた。献金の見返りに、国務省が有利な取り計らいを行ったと追及する保守系ジャーナリストもいる。

私用メール問題に続いて、チャイナマネーは、女性初の大統領を目指すクリントン氏のアキレス腱(けん)となるのか。トランプ氏との舌戦が激化していく中で、“側近”知事の捜査の行方が注目されている。

【私の論評】トランプ氏の暴言は日本にとっては暴言ではないし、米国にとっても良い大統領になる(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事、ヒラリー・クリントン氏に近いバージニア州のマコーリフ知事が中国人実業家から受けた選挙献金疑惑に関しては、突如起こった疑惑ということですが、クリントン氏にチャイナマネー疑惑があったことは前々から指摘されていることです。

ただし上の記事を最後までよく読めば、それが理解できますが、タイトルだけ見ると、クリントン氏のチャイナマネーこ疑惑がごく最近降って沸いたように見えるということで、紛らわしいです。

しかし、マコーリフ知事の疑惑は、どれほどクリントン氏にとって痛手なのか、まだ未知数のところがあります、今後注目していく必要があります。

さて、クリントン氏の疑惑については、このブログでは以前にも掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
米産業界、トランプ氏へ懸念の声 グーグルも対策議論?―【私の論評】日本にとって自腹で動くトランプが大統領になるより、中華マネーで動くヒラリーのほうがはるかに危険(゚д゚)!

この記事は、今年3月26日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部を以下に引用します。
この記事では、昨年4月のZAKZAKの記事を紹介しました。まずは、その一部分を以下に引用します。 
 女性初の米大統領に挑戦する民主党のヒラリー・クリントン前国務長官が、献金問題で苦境に立たされている。関係財団が外国政府から多額の献金を受けていたことをめぐり、メディアや共和党が追及姿勢を強めているのだ。韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領も巨額裏金疑惑でピンチだが、ヒラリー氏は危機を乗り越えられるのか。

問題の財団は、夫のビル・クリントン元大統領が主宰し、温暖化や貧困への対策、女性の地位向上に取り組む慈善団体「クリントン財団」だ。 
 ニューヨーク・タイムズ紙によると、ヒラリー氏周辺の資金の流れを追った「クリントン・キャッシュ」を来月出版する作家、ピーター・シュワイツァー氏が、同財団に献金した外国政府や企業が、ヒラリー氏が長官時代の国務省から有利な取り計らいを受けていた-と主張している。
さらにこの記事から、「クリントン・キャッシュ」に関する部分を引用します。ブログ冒頭の記事で"献金の見返りに、国務省が有利な取り計らいを行ったと追及する保守系ジャーナリスト"(太文字にした部分)とありますが、これはピーター・シュワイツァー氏のことであると考えられます。
米大統領選では、あれだけ大本命と言われたヒラリー・クリントン前国務長官が、民主党内の指名争いで、サンダース上院議員と大接戦になるほど追い込まれています。指名争い初戦のアイオワ州での党員集会では、両者はわずか0.3%差でした。

日本での報道からは、なぜかファーストレディーや国務長官を務めた「スーパー・ウーマン」ぶりしか伝わってこないだけに、この苦戦ぶりは私達には意外にも思えます。そこで、その謎を解く鍵になるのが、今年2月10日に発売された本書『クリントン・キャッシュ』(著・ピーター・シュバイツァー、監修・あえば直道)です。
クリントン・キャッシュ
著者のピーター・シュバイツァー氏はこれまでにも議員の不正行為などを果敢に暴いてきました。彼が今回、目を向けたのは、クリントン一家が運営している「クリントン財団」をめぐるお金の動きです。 
著者は財団の財務情報や、各国での報道などを調べ上げ、同財団に海外政府や企業などが多額の献金を行ってきた事実を丹念に描き出しています。しかも彼らは、クリントン一家がアメリカ政府を動かし、自分たちに便宜を図ってくれることを期待して、お金を振り込んでいた可能性があるというのです。 
こうしたスキャンダルにまみれたヒラリーは、ついに国民の過半数から「嘘つき」「信用できない」と思われるまでになってしまい、選挙戦でも痛手を被ったのです。こうした裏事情を知らなければ、大統領選の真相は見えてきません。ヒラリーの疑惑に斬り込んだ本書は、まさに大統領選を語る上で必読の書と言えます。 
この書籍で、もう一つの重要な点は、「チャイナ・マネー」です。南シナ海に人工島を建設するなど、中国による周辺国への脅威は日を追って増すばかりです。日本にとっても、同盟国アメリカと連携して、いかに危険な行動を抑止していくべきかが問われています。アメリカ大統領選は、外交政策を担っていくのかという問題でもあります。
さて、このような疑惑がもともとあったクリントン氏です。大統領選の過程で、この問題がいずれ大きくクローズアップされることは最初からわかっていたことです。

これに対して、クリントン氏は、昨年4月20日の時点では、ニューハンプシャー州で、記者団に以下のように語っています。
「(野党の出方は)予想していた。この手の攻撃はつきものだ」
実際に、この程度ですむのか、これは未だ未知数です。

トランプ氏は今月7日、ニューヨーク州ウエストチェスター郡の自身が所有するゴルフクラブで勝利集会を開きました。ワシントンの「既成政治」を批判する手法は変わらず、クリントン氏が政治活動を通じて私腹を肥やしていると激しく攻撃。しかし、自らも「トランプ大学」をめぐる訴訟でメキシコ系米国人の判事に差別的な発言をしたことが共和党内でも反発を買うなど、過激な発言や暴言が本選では自らの首を絞めかねない恐れが浮上しています。

この日、トランプ氏は大勢の支持者を前に「複数の世論調査で私は彼女を打ち負かしている。われわれは大幅にリードを広げていくだろう」と自信を見せました。

また、慈善団体「クリントン財団」がクリントン氏の国務長官時代に外国から献金を受けていたとされる問題で、「ロシアやサウジアラビア、中国が見返りを求めて(クリントン)夫婦に献金している」と主張。来週初めにクリントン一家に関する問題点をすべて公表するとました。

さて、日本では大統領選挙は、ヒラリー・クリントンが優位と伝えられています。毎日新聞の報道などはその典型的なものです。以下に、毎日新聞の報道のグラフを掲載します。


とはいいながら、まだ僅差であることには変わりありません。

フロリダ州オーランドで発生した銃乱射事件現場近くで犠牲者を悼む人々(12日)
オーランドで12日に起きた銃乱射事件は、米大統領選にも影響を与えるのは必至です。イスラム教徒の一時入国禁止などを主張していた共和党のトランプ氏(69)は、改めて自身の主張を正当化し、イスラム系の移民受け入れを厳格化する考えを示しました。民主党から指名を獲得するクリントン前国務長官(68)は、性的少数者への差別撤廃や銃規制の強化を唱えました。

共和党のトランプ氏は声明を発表し、「米国がイスラム過激派のテロリストに攻撃を受けた」と強調。犯人を「アフガニスタンからの移民の息子だ。9・11テロ以降、数百人の移民や彼らの子どもが米国でのテロに関与してきた」と指摘。ツイッターでも、「イスラム過激派に関して(自分は)正しかった」「(イスラム教徒の一時入国)禁止を求めてきた。厳しく対処しなければならない」と、自身が主張したイスラム教徒の一時入国禁止を正当化しました。

また、オバマ大統領やクリントン氏がイスラム教徒などへの配慮から「イスラム過激派」との言葉を使うのを避けていると批判。「クリントン氏は大統領選から撤退すべきだ」と述べました。

クリントン氏も同日に声明を発表。事件を「テロ行為だ」と非難し、国内外でこうした事件を予防するには「同盟国や友好国と協力し、国際テロ組織を撲滅することが必要だ」と訴えました。

犯人が性的少数者が集うナイトクラブを狙ったことを重視。「我々はあなた方が自由で、恐れることなく生活できる権利のために戦い続ける」と述べ、同性愛者同士の結婚などに否定的な共和党と論争していく考えを示唆しました。

また、「銃がテロリストや他の暴力的犯罪者の手に渡ることがないようにしなければならない」とし、銃規制の必要性も強調した。

今回の事件は、テロやイスラム過激派、移民、性的少数者の権利、銃規制など、これまでも大統領選の予備選で争点となったテーマを改めて提起する形となり、論争に拍車がかかりそうだ。

オーランドの銃乱射事件に関して声明を発表するオバマ大統領
オバマ大統領は、ISが米国内に与える危険性を認めないという姿勢でした。次の大統領は誰がなるにせよ、これを改めるべきです。オバマ大統領は12日に出した声明で、事件を「テロ行為」と断言したものの、「イスラム」「ジハード」「イスラム国」といった言葉はいまだに使用していません。大統領が口にした中で最も事実に当てはまる言葉は、オーランドの事件は「われわれのどのコミュニティーでも起こり得ることだ」というものでした。

大統領は恐らく銃撃事件を意味していたのでしょうが、その指摘はISによるテロにも当てはまります。連邦当局は、マティーン容疑者が最近、武器を不法に購入していたと明らかにしました。民主党が近いうちにこれを政治的に利用するのは間違いないでしょう。しかし、FBIがテロの脅威になり得る人物を特定できなければ、基本的な権利を否定することもできません。マティーン容疑者は免許を持った警備員でもありました。覚悟を決めたジハーディストはいつでも武器を手に入れることができることでしよう。

しかし、いくらアメリカ国内で環視活動を行ったところで、ISに感化されたあらゆるテロ行為を未然に防ぐことはできないというのが悲しい現実です。唯一の現実的な解決策は、世界中の若いイスラム教徒がISを未来の先導者とみなさないよう、国外の安息地にいるISを壊滅させることです。

オバマ大統領の政治的な負の遺産の1つは、自らの監視下でISをここまで危険な存在に成長させてしまったことです。大統領が米軍をイラクから撤退させることを選択した上、シリアでほとんど何もしなかったことで政治的空白が生まれ、ISはそれを利用して勢力を拡大していきました。次期大統領の仕事の一つは、この2つの歴史的な過ちによるダメージを修復することです。

これに関しては、少なくともクリントン氏よりは、トランプ氏のほうがこの2つの歴史的な過ちによるダメージを修復できそうです。

さて、以上はアメリカ国内の状況ですが、では日本としてはどうなのかということについて考えてみたいと思います。

「もしアメリカが攻撃されても日本にはアメリカを守る義務はない。これは不公平だ」と、トランプ氏は言いました。そうして「もっと日本に負担させよ」とも息巻いていました。しかし、彼は日米安保の再交渉をすべきだとも言っています。さら、日本や韓国が核武装することを容認する発言もしています。

「トランプ氏の発言は正論」と語る高須クリニック院長
ということは、日本の保守派にとっては念願の日本の独立がかなうことになります。安保を双務条約にし、独自憲法を制定し、さらに核保有国になって「自国を自分で守る」ことが実現するのだから、日本にとっては、トランプ氏は歓迎すべき大統領です。

さらに、人種差別発言の最たるものとされる「イスラム教徒のアメリカ入国を禁止しろ」「メキシコ人は麻薬や犯罪を持ち込む」「国境に万里の長城をつくる」などの発言は、すでに在日などの名称で従来は韓国から、最近では中国から大量の実質上の移民・難民を受け入れてきたた、これ以上「移民反対」で「難民受け入れ拒否」が本音の日本人にとって、まったく問題視すべき発言ではありません。

アメリカが移民の国をやめて、「移民反対」「難民受け入れ拒否というなら日本もこれをしても非難される筋合いはありません。これは、大歓迎です。

TPPにしても地球温暖化対策にもトランプ氏は反対のようですが、これも今の日本にとっては大歓迎です。 TPPでは関税自主権を失い、たいしたGDP押し上げ効果もないのですから、トランプ氏のいわゆる「暴言」とされる、一連の発言は、日本にとっては全く「暴言」ではありません。

一方クリントン氏のチャイナマネー疑惑は、最近日本の尖閣列島の接続水域に中国の軍艦が侵入した現在においては、日本にとってはマイナスでしかありません。チャイナマネーを受け取ったかもしれない大統領が、いざというときに、どちら側に立つかといえば、それは中国の側でしょう。

クリントン氏のチャイナ・マネー疑惑、そうして、ISとへの対応姿勢によっては、現状の支持率など逆転する可能性はまだまだあります。トランプ氏のいわゆる、暴言は、日本にとっては、暴言ではないし、アメリカにとっても良い大統領になる可能性が高いです。

自分の資金で戦っているトランプ氏は、なにを言ってもいい野放し状態になっています。それが、また、白人貧困層を中心に、中流層、ラティーノ、黒人の一部などにも受けているのですから、アメリカは従来とは明らかに違った国になっています。

このことをいちばんわかっているのが、トランプ氏自身で、リアリティ番組「アプレンティス」で培った視聴者受けの手法を使っているのは明らかです。

彼の言っていることを鵜呑みにするのはどうかしています。実際、彼の発言を吟味すると、整合性などありません。わざと、レベルを落として単純化して言うので、一貫するわけもありません。しかし、彼はこのことによって、自分自身が誰かの操り人形ではないことを多くの人に理解させようとしたということです

そうして、過去のアメリカ大統領の選挙を振り返ると、過去の候補がかなり過激なことを語ったりしています。無論、トランプ氏のような過激な発言ではなく、穏やかな表現ながら、その実かなり過激なことを語っていたことなどしょっちゅうです。

しかし、過激なことを語っていても、大統領になるとそんな発言などしなかったかのように、振る舞っても、それを公約違反であるなどと非難されることはほんどありませんでした。結局のところ、そんなことは、米国の一般国民も了解済みのことなのです。

ただし、トランプ氏の場合は、発言の仕方がかなり粗暴なことが多かったというだけのことです

トランプ氏が大統領になることを祈りつつ、今後の推移を見守っていきたいと思います。

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2016年3月2日水曜日

【米大統領選】トランプ氏、中国に敵意むき出し クリントン氏も「中国は大量の政府情報盗んでる」―【私の論評】トランプが大統領になる日、日本はどうなる(゚д゚)!




米大統領選のスーパーチューズデーで大勝し、指名獲得に近付いた共和党のトランプ氏と民主党のクリントン氏。いずれも環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に反対しているほか、対中強硬姿勢を鮮明にしており、両氏が大統領になった場合の対中、対日政策が注目されている。

「貿易でも軍事でも(他国に)勝利する」「日本や中国から雇用を取り戻す」

1日、オハイオ州の空港に専用機で現れたトランプ氏は、お決まりのフレーズで支持者に呼びかけた。夜にはフロリダ州の自身が所有する社交クラブで勝利宣言を行い、「建機大手のキャタピラーは、コマツと競争するのが円安で難しくなっている」などと発言し日本にクギを刺した。

「強い米国」の復活を掲げるトランプ氏は米中貿易改革も公約の一つで「中国の輸入関税を45%にする」と極論を展開。「中国は米国民が飢え死にすることを望んでいる」と発言するなど敵意をむき出しにする。

これに対し、クリントン氏も昨年7月、中国の南シナ海の軍事拠点化を「同盟国の脅威」と指摘し、サイバー攻撃では「中国は大量の政府情報を盗んでいる」と言い切った。9月には、中国の習近平国家主席が女性の権利向上に関する会合を国連で開いたことにツイッターで「恥知らず」と批判し、話題を集めた。

また今年2月、米紙への寄稿で改めてTPP反対を表明し、中国や日本が輸出拡大のために為替操作を行っていると批判。大統領に就任した場合は対抗措置を取るとしている。

競い合うように対中強硬姿勢を打ち出す両氏だが、トランプ氏の政策は実現困難との見方が多い。クリントン氏も自由貿易政策を支持してきた経緯があり、実際の政策運営がどうなるかは未知数だ。

【私の論評】トランプが大統領になる日、日本はどうなる(゚д゚)!

トランプ氏は、従来から中国に対しては厳しい発言をしてきました。ただし、日本に対しても、厳しい発言をしていました。

クリントン氏も、習近平に対して「恥知らず」と批判したことは、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
ヒラリー氏が習主席に「恥知らず」抗議女性拘束の中国が人権会合のホスト?―【私の論評】次期米大統領は、口先オバマのようには御せないことを思い知った習近平(゚д゚)!
ヒラリー・クリントン
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は昨年の9月28日のものです。以下に、元記事から以下に一部を引用します。

"
ヒラリー・クリントン前国務長官は27日、中国の習近平国家主席がニューヨークの国連本部で同日、女性の権利向上に関する会合を国連と共催したことに関し、自身のツイッター上で「恥知らず」とののしった。
ヒラリー・クリントン氏のツイッターから
ロイター通信によれば、中国当局は今春、公共交通機関内でのセクハラ行為に抗議しようとした女性5人を拘束。釈放したのは約1カ月後だった。これについてパワー米国連大使は「女性の権利向上を実現したいのなら、信条や考えを問題視して投獄などするな」と中国を非難していた。

習氏がホスト役を務めた会合は、女性の権利保障をうたった「北京宣言」(1995年)から20年になるのを記念する特別行事。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長や各国首脳らも出席した。
"
そろって、対中強硬論を打ち出すトランプ、クリントン両氏のいずれもが大統領になってもおかしくはない状況になりつつあります。実際にいずれかが、大統領になったとして、どの程度対中強硬路線を打ち出すのか、未だ未知数ではありますが、結局中国を増長させてしまったオバマ大統領のようなわけにはいかないと、習近平も覚悟を決めていることでしょう。

さて、クリントン氏が大統領になれば、日本としてはオバマ大統領が民主党であったこともあり、オバマが大統領であとったときとアメリカの政策はあまり変わらないものの、クリントン氏は及び腰だったオバマよりは、はるかに中国に対して強硬派であることから、かなり御しやすいことでしょう。

しかし、まかり間違って、トランプ氏が大統領になったとしたら、日本も習近平なみに覚悟を決める必要があることでしょう。

演説するトランプ氏

ご存知のように、トランプ氏の発言は超過激です。例えば、不法入国した1100万人のメキシコ人を全員強制送還し、国境に「万里の長城」を作り、その費用はメキシコに払わせると宣言しました。

これは、非現実的ではありますが、最近の米国は及び腰のオバマのせいで、世界中で中国、ロシア、中東諸国に譲歩を重ねてきた反動なのか、米国人は今、トランプのような強い指導力に飢えています。

オバマ氏は、米国は世界の警察官をやめると公言し、中国やロシアを増長させ、移民問題も含めて、外交政策には大失敗しました。この外交音痴ぶりについては、日本におけるあの鳩山氏よりも、米国内では評判が悪いです。

また、オバマが在任中に、財政赤字も膨らむ一方でした。一方、連邦議会も膠着状態に陥っています。政治家が公約を守らないことに、国民はあきれ果てています。不満が鬱積した米国民は少しくらい独裁的で下品でも、真実を語り、やるべきことをやる強いリーダーを求めています。


ドナルド・トランプ氏とエクイタブル生命保険が共同所有するトランプタワー
他の共和党候補は、トランプ氏のなりふり構わぬ戦い方に圧倒されています。政治経験全くなく、4度の破産経験があるトランプ氏が大統領になったら米国は一体どうなるのか、世界がどうなるのか、まったく読めません。良くなるかもしれないですが、悪くなる可能性も十分にあります。

特に、トランプ氏は、日本に対しては、集団的自衛権の片務性に関して、強く非難しています。

日本は、自国を攻撃されれば米国に防衛してもらうのに、米国が攻撃されても何もしないというのでは不公正だ、と声高々に批判しました。

昨年の8月21日、アラバ州モービル市の巨大なフットボールスタジアムに集まった3万人の聴衆に向かい、トランプ氏はこの発言を行いました。聴衆の間からは「ノー」という声がいっせいにわきあがりました。

昨年8月21日のアラバマ州モービル市の集会では、トランプ氏は赤いキャップを被っていた
トランプ氏は、「集団的自衛権」などという一般に馴染みのない用語は使っていません。日本や日米関係にも詳しくない平均的な米国民にとって理解しやすい表現で、米国からみて日本の集団的自衛権問題がいかに特殊であるのかをはっきりと描写しました。大衆アピールや扇動の巧みなトランプ流の演説だといえます。しかし、このような形で日米同盟の年来の片務性が米国一般に問題として提示されることは、日本側にとって好ましいはずはありません。

トランプ氏の演説には、この片務性は、本来米国による日本の弱体化の一環であるという歴史的背景を示す言葉が一切ありません。これでは、親日派や、知日派の人々は別にして、一般の人々には日本が卑怯であるとしか映りません。

そうして何よりも衝撃的だったのは、このトランプ氏の発言が行われたときに、ほかならぬ日本では、国会で集団的自衛権の行使を含む安保法案の審議が行われていたにもかかわらず、この発言に関してほとんど顧みられることなく、野党の「戦争法案」というレッテル貼りによる、審議拒否により、怒号と混乱の中で、安保法案が成立したことです。

及び腰の、オバマ氏の任期中、世界がどれほど揺れ動いたかを考えると、日本の安全保障を、いつまでも米国に依存するのは危険です。安全保障法制にまだ抗議している野党議員は、国家観や世界観など頭の片隅にもありません。日本は早く自立した国家になり、平和を愛する他の国々と協力して、リーダーシップを発揮すべきです。

特に中国に対しては、アジア一極支配や、海洋進出の野望を打ち砕きアジアの平和と安定を実現し、引き続きアジアの繁栄を確かなものにしていくべきです。

そのためには、私たち日本人も覚悟を決める必要があります。マスコミや、いわゆる識者の間では、トランプ氏は絶対に大統領になるべきではない人物との定評ですが、トランプ氏が大統領になることは、悪いことばかりではないと思います。

そもそも、アメリカは二大政党制の国で、大統領が民主党のオバマから共和党のトランプに変わったからといって、政治が驚天動地の変化をするということはありません。60%〜70%はどちらの政党がなったにしても、内容は変わりません。残りの、40%〜30%で前政権との違いを出します。

さらに、現状は、大統領は民主党ですが、議会は共和党が多数派です。それに、アメリカ大統領は、平時においては世界でもっとも権限が少ない国家元首ともいわれています。アメリカにも三権分立がありますが、平時には大統領の権限がかなり弱く、司法が最も強いともいわれています。

アメリカの政治は大統領独りで自由に変えられるものではない

そんな中で、トランプ氏がいくら強行発言をしたからといって、まともな手続きを経てでないと何もできませんから、トランプ氏が大統領になったからといって、実際にどの程度のことができるのか疑問です。

ただし、アメリカの法律は不思議なもので、平時は権限の少ない大統領なのですが、一旦戦争することを議会が承認したとなると、突然大統領の権限が増大し、オールマイティーになってしまうという国柄です。

トランプ氏は自らの強硬な発言を実現しようとすれば、議会を説得して、正式に戦争に突入するという道しかないです。

ただし、今年に入ってから、世界の各地でいつどこで戦争になってもおかしくはない状況にあります。もしアメリカがいずれの国であれ、正式に戦争ということになれば、トランプ氏が大統領なら、かなりのことができるようになります。

そんなことになっても私たちは、うろたえることなく、日本の正しい道を選択できるように今から準備をしておくべきです。

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2014年11月25日火曜日

米国防長官が辞任 シリア政策で大統領と対立―【私の論評】レームダック化したオバマの振る舞いは危険ではあるが、アメリカ議会が超党派で動き出しているし、日本にとってはアジアでの存在感を高め「戦後体制から脱却」を推進する良いきっかけになると心得よ(゚д゚)!

米国防長官が辞任 シリア政策で大統領と対立

オバマ大統領とヘーゲル国防長官
【ワシントン=吉野直也】オバマ米大統領は24日、ヘーゲル米国防長官の辞任を発表した。イラク情勢やシリア政策を巡るオバマ氏側との意見の対立が背景にある。オバマ政権で国防長官の辞任は3人目となる異例の事態だ。政権に打撃を及ぼすのは必至で、日米の同盟関係や北朝鮮情勢への対応など米国内外の外交・安全保障政策への影響も避けられない。

4日の米中間選挙で大敗した後の閣僚辞任は初めて。ヘーゲル氏は後任決まるまで職務を続ける。人事には米上院の承認が必要で政策の停滞を招く恐れもある。

ヘーゲル氏は共和党出身で昨年2月、2期目の目玉閣僚として迎えられた。ブッシュ政権下の共和に所属しながらイラク戦争に反対したヘーゲル氏をテコに超党派の政策を進める狙いだった。

オバマ氏は昨年、ヘーゲル氏が進言したシリアへの軍事介入を土壇場で見送る一方で、今年に入りライス大統領補佐官(国家安全保障担当)らの求めに応じてシリア領の過激派「イスラム国」への空爆を決断した。こうした経緯にヘーゲル氏は不満を強め、ホワイトハウスとの不協和音が伝えられていた。

エボラ出血熱への対応や「イスラム国」との戦いなど課題が山積するなか、司令塔となる重要閣僚の辞任は世界の安保体制にも波紋を広げる。

この記事は、要約です。詳細はこちらから!

【私の論評】レームダック化したオバマの振る舞いは危険ではあるが、アメリカ議会が超党派で動き出しているし、日本にとってはアジアでの存在感を高め「戦後体制から脱却」を推進する良いきっかけになると心得よ(゚д゚)!

シリア、ウクライナ、対中国等、オバマ大統領の外交には、かなりの疑問符がつきます。オバマの煮え切らない態度が、問題をかえって大きくしてしまっています。このようなことが、今回のヘーゲル国防長官の辞任劇に結びついているのは間違いないと思います。

日本では、マスコミなどがほとんど報道しないものの、尖閣の問題をこじらせたのは、オバマの責任でもあります。もし、オバマが早い段階で、「尖閣諸島は、日本固有の領土であり、日中間に領土問題はない」とはっきり声明を発表していれば、こじらすことはありませんでした。

さらに、中国がこのような声明を出しても、尖閣付近での領海・領空侵犯をやめなければ、尖閣付近で、日米両国による協同大軍事演習を実行するなどの実力行使にでるべきでした。無論、キーンソードなどの軍事演習は実行していますが、尖閣付近で実行するということに大きな意味と意義があります。それは、未だに実行していません。

このようなオバマの及び腰が、日中関係を複雑化させています。中国としては、このブログにも以前から何回か掲載してるように、尖閣問題や反日デモは憤怒のマグマが煮えたぎっている中国の人民の目を中国共産党政府から、日本にそらすため、意図して、意識して実行されたものです。

しかし、反日デモに関しては、それを許容していると、反日デモが政府追求デモに変わってしまうため、最近は官製主導のデモはやらなくなっただけです。

そうして、中国側には、その他の意図もあります。それは、日本にちょっかいを出してみて、アメリカがどう出るかを見ているというところもあります。早い時点で、アメリカが本気で怒りだしたら、尖閣問題はあそこまで、長期化しませんでした。

これについては、以前のこのブログでも掲載しました。そのブログのURLを以下に掲載します。
オバマ大統領が尖閣は安保条約の対象と明言、中国にも配慮―【私の論評】お花畑オバマは、尖閣衝突を誘発するだけ!!ブッシュなら中国に配慮するリバランスなど表明しなかっただろう(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の締めくくりの部分のみを以下に掲載させていただきます。
オバマ、最近外交はまるで駄目です。シリアでも、ウクラナイでも大失敗です。今回の尖閣問題に関しての発言は、時期を逸したということと、中国に配慮したリバランスしたということで全く意味のないものになったどころか、中国尖閣挑発の格好の裏付けを与えたようなものです。 
これは、オバマのシリア問題での大失敗、ウクラナイ問題での大失敗によっても十分証明されたと思います。 
このままだと、尖閣も第二のシリア、第二のウクラナイになってしまうおそれも十分あります。日本としては、中国が尖閣で挑発するなら、毅然たる態度で臨むべきでしょう。尖閣には、一兵たりとも上陸させない。上陸すれば、全員殲滅。寸土の土地も譲らないという態度でのぞむべきです。 
しかし、これほど米国大統領の来日が一般国民に軽視されることは過去69年間の戦後の日米関係の歴史でなかったことです。 
オバマ以前の大統領であれば、もっと歓迎されていました。 
たとえば、あのブッシュでさえ、もっと歓迎されていたと思います。
アメリカは超大国的な動きができなくなった?
オバマとブッシュの差異は、はっきりしています。たとえば、中国問題一つとっても、ブッシュまでは少なくとも年に一回くらいは大統領自らが、中国は、民主化されていないこと、政治と経済が分離されていないこと、法治国家化もされていないことなどに対して、苦言を呈していました。 
オバマも発言はするのですが、シリア、ウクラナイなどの例を見てもわかるように、すっかりタイミングを逸してから発言するなどの不手際が目立ちすぎです。最近の、プーチンのウクライナ対策などをみていると、オバマは超大国の大統領としての動きがとれていません。 
ロシアは、今や経済的にも軍事的にもとるに足りない国になりましたが、それでもロシアのプーチンは、超大国なみの動きをしていて、小国ロシアの国益のために努力しています。 
米国は、今や世界で唯一の超大国なのですが、オバマはとても超大国の大統領とは思えないような行動ばかりしています。 
このオバマの外交オンチ、いかんともしがたいです。 
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
オバマの外交オンチは、ごく最近のAPECでも露わにされました。それについては、以下の動画をご覧いただくと良くご理解いただけるものと思います。


この動画では、独立総合研究所の青山繁晴氏は、中国の習近平国家主席が言っている「新型の大国関係」とは、ハワイまでアメリカから奪い取る意味だと指摘しました。青山繁治氏は、それに同意しているオバマ大統領の外交姿勢をぶれぶれで困ったものだと批判しています。

ただし、上の動画で、日米関係がどうの言っているバカがいますが、この発言は明らかな間違いです。この発言は無視してください。

それにしても、オバマはハワイより西を中国にやるつもりなのでしょうか。とんでもないです。

そうして、上の動画では、習近平と安倍総理の会談がわずか、25分に過ぎなかったのですが、オバマとの会談ではかなり長時間を費やしかなりの厚遇をしたことも伝えています。

これは、何をあらわしているかといえば、中国の故事そのままです。

その故事とは、一言で言ってしまえば、「無能な敵将は厚遇し有能な敵将は冷遇する」というものです。

これは、著名な兵法書『六韜』が出典です。

第十五 文伐篇武力を使わず征伐(文伐)する方法を文王が呂尚(太公望)に尋ねる場面です。以下にそれを引用します。

呂尚図
文王が呂尚にたずねた。 
文王「武力を使わないで目的を達するには、どうすればよいか」 
呂尚「それには次の12の方法が考えられます。 
第一は、相手の欲するままに要求を聞き入れてやれば、やがて驕りの心が生じ、必ずや墓穴を掘るようなことをしでかします。 
第二は、敵国の寵臣を手なずけて、君主と権力を二分させるのです。 
第三は、側近の者に賄賂を贈って、しっかりとかれらの心をとらえるのです。 
第四は、相手国の君主に珠玉を贈り美人を献じ、女に溺れて政治を忘れるように仕向けたうえ、下手に出て、相手の言いなりになって調子を合わせるのです。 
第五は、相手国の忠臣を厚遇し、君主への贈物は減らして、相手の結束に楔を打ち込むのです。 
第六は、相手国の内臣を懐柔し、外臣を離間するのです。 
第七は、相手国の野心を封じこめるために、厚く賄賂を贈って寵臣を買収し、利益で釣って職責を怠るように仕向けるのです。 
第八は、相手国の君主に重宝を贈って、わが方を信頼するようにさせ、わが方に協力させるように仕向けるのです 
第九は、相手国の君主を褒め上げていい気持ちにさせ、手も足も出ないふりをして安心させ、政治を怠るように仕向けます。 
第十は、謙虚な態度で相手国の君主に仕えて心をつかみ、頼りになる味方だと思わせるのです。 
第十一は、相手国の有能な臣下に、内密に高い地位を約束し、重宝を贈って手なずけ、わが方に肩入れする人間を増やすのです。 
第十二は、相手国の乱臣を手なずけて君主の心を惑わし、美女や歌舞団を送って関心をそちらに向けさせるのです。 
以上の12の策をすべて試みてから武力を行使するのです。つまり、天の時、地の利を考え、これなら勝てると見極めてから、はじめて軍事行動を起すのです」
さて、オバマはこの策の九、十によって、半分籠絡され、習近平の言うことに生返事をしてしまったということです。安倍総理は、この手には全くのらなかったし、習近平の大負けであったということです。

習近平が大負けであったことを、象徴的に示す、ツイートを以下に掲載しておきます。
やはり、これから、日本をそうして、世界をリードしていこうという気概のある安倍総理と、もう中間選挙でも敗れて、レームダック化しているオバマとの違いは明らかです。

しかし、このようなオバマの体たらくですが、アメリカ議会は、こうしたオバマのレームダック化に業を煮やして超党派で、動きはじめています。

それに関しては、このブログでも掲載したばかりですので、その記事を以下に掲載します。
「米国の抑止力、とりわけ日本に対するそれを低下させる」中国軍の戦力増強に危機感-米委員会が年次報告書―【私の論評】国内の増税見送り、解散総選挙で見逃され勝ちな世界の動き、アメリカ議会の動きを見逃すな!アメリカは、日本の改憲を望んでいることを忘れるな(゚д゚)!
海岸防衛から大洋海軍を目指す中国海軍

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事から一部を引用します。
米連邦議会の超党派の諮問機関である「米中経済安全保障調査委員会」は20日、中国の軍事力増強に強く警鐘を鳴らす年次報告書を発表した。 
報告書は、米国に「新型大国関係」の構築を呼びかける中国が、現実には東シナ海上空に防空識別圏を設定し、南シナ海で軍事用滑走路を建設するなど、着々と覇権を拡大している事実を直視。「習近平国家主席には、高いレベルの緊張を引き起こす意思があることは明らかだ」と非難した。 
さらに、中国の行動パターンは「対中関係を和らげるために東アジアの同盟国を見捨てるのか、あるいは中国の侵略から同盟国を守って中国との潜在的な対立に直面するのか」を米国に迫ることが特徴だとし、強い警戒感を示している。
報告書は、こうした中国の脅威に対処するため、米国の地域におけるリバランス(再均衡)戦略を維持し、その進(しん)捗(ちょく)状況を検証することや、日本の集団的自衛権行使を後押しすることなどを提言している。 
オバマに関しては、もうレームダック化しており、特に外交においては、能力がどうのこうのという次元ではなく、もうやる気そのものがないようです。しかし、このようなオバマの投げやりな態度をそのまま、許容するわけにもいかず、アメリカ議会が超党派で動き出しているわけです。

そうして、このブログ記事では、このようにアメリカ議会は、日本の集団的自衛権行使を後押しすることなどを提言しています。そうして、ここで、多くの日本人が知っておかなければならないのは、このブログにも掲載したように、もう数年前から、「日本は憲法改正せよ」が米国議会で多数派になっているということです。

オバマのレームダック化は、ある一面では、脅威でもありますし、実際にオバマの優柔不断で、日本も被害を受け、尖閣問題が複雑化しています。

しかし、これはまた別の側面から見れば、日本にとってのチャンスになるかもしれません。アメリカは従来のように超大国でありつづけることは難しいかもしれません。しかしそれでも、ここ当面は世界唯一の超大国でありつづけるでしょう。

反面中国は、超大国とはなり得ず、直近では経済も落ち込み、もう富裕層からも見離されています。おそらく、現体制が長続きすることはありません。

そうなると、安倍総理が進めようとしている、「戦後体制からの脱却」が進めやすい環境が整いつつあるともいえます。

オバマの時代はもうすぐ、終わります、その次の大統領は、アジア、特に中国に対してどのような対応をするのか、いまのところ見えていませんが、オバマのようなやる気のない外交ということはあり得ないと思います。

年次記者ホワイトハウス晩餐会、レームダックを露呈したオバマ

オバマのやる気のなさは、中国を配慮したリバランスなどという矛盾を生み出し、中国近隣の諸国に混乱をもたらしました。しかし、こうした混乱があったらこそ、中国の海洋進出などの意図がはっきりして、それに対する脅威や、警戒感を生み出しました。

アメリカ議会もそれをはっきり理解して、今日では日本はアジアの平和に貢献して欲しいと考えるようになりました。日本国内でも、オバマのレームダック化ぶりは、安全保障を見直す、良いきっかけになると考えられます。

安倍総理は、このブログでも何回か掲載している「安全保障のダイヤモンド」をさらに推進して、アジアにおける日本の存在感をさらに高め、ゆくゆくは「戦後体制から脱却」を目指していただきたいものです。オバマのおかげで、そのような条件が、整いつつあるように思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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