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2020年2月19日水曜日

政府、広がる批判に焦り 「水際で失敗」、支持率に影―新型肺炎―【私の論評】ダイヤモンド・プリンセス号の教訓を活かし、挙党一致で武漢肺炎対策にあたれ(゚д゚)!

政府、広がる批判に焦り 「水際で失敗」、支持率に影―新型肺炎

首相官邸に入る安倍晋三首相=18日午前、東京・永田町

 新型コロナウイルスによる肺炎への政府対応に批判が広がっている。安倍晋三首相が先頭に立って取り組んだ水際対策は奏功せず、国内で感染が拡大。横浜港に停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に対する措置でも、乗客乗員を船内にとどめ置いた判断が「かえって集団感染を悪化させた」と指摘された。「未知の感染症」への国民の不安は内閣支持率にも影を落とし、政府・与党は危機感を強めている。

乗客下船、19日開始 新たに88人の感染確認―クルーズ、21日に完了か

 「事態を小さく見せようとし、水際で失敗した」。野党共同会派が18日に開いた新型肺炎に関する合同対策本部の会合で、国民民主党の泉健太政調会長は政府の対応を厳しく批判した。

 政府は当初、発熱症状や中国・武漢市への渡航歴、武漢滞在者との接触がある人らをウイルス検査の対象にしていた。ところが2月に入り、感染経路の分からない感染例が続出。首相側近は「1月時点で中国人全ての入国を止めるしかなかったが、もう遅い」と頭を抱えた。

 政府関係者によると、習近平国家主席の国賓来日を控えて中国側から「大ごとにしないでほしい」と要請があったといい、これも後手に回った要因だとみられる。

 ダイヤモンド・プリンセス号への対応に関し、政府高官は「最初から3700人を下船させたらパニックになっていた」と批判に反論する。ただ、ある閣僚は「本当は早く下ろして隔離すべきだったが、全員を収容できる施設がなかった」と内情を明かした。

 国会で「桜を見る会」をめぐる問題が連日追及される中、各種世論調査で安倍内閣の支持率は軒並み下落。新型肺炎への対応を通じて危機管理能力をアピールすることで、局面転換を期待していた政権幹部を落胆させた。

 自民党の鈴木俊一総務会長は18日の記者会見で「国民は必ずしもポジティブに政府の対応を評価していない」と指摘。菅義偉官房長官は会見で「良かった点、悪かった点をしっかり検証し、次につなげていきたい」と語った。

【私の論評】ダイヤモンド・プリンセス号の教訓を活かし、挙党一致で武漢肺炎対策にあたれ(゚д゚)!

日本では、ダイヤモンド・プリンセス号で知られるようになったクルーズ船ですが、これについては、知られていないことが多くあるようです。

ダイヤモンド・プリンセス号

世界のクルージングのビッグスリーは「カーニバル・コーポレーション(Carnival Corporation)」、「ロイヤル・カリビアン・インターナショナル(Royal Caribbean International)」、「ノルウェージャン・クルーズ・ライン(Norwegian Cruse Line)」である。この3社で世界のクルージングの82%のシェアーを持ち、それぞれ本社は米国にあります。

クルーズライン国際協会(CLIA)に加盟しているクルージングの主要船会社は58社あるという。水、食品、医療、下水設備、乗客安全などの守るべき規定がCLIAで定められています。

現在、世界で運行しているクルージング411船の内の70%はバハマ、パナマ、バミューダ諸島、マルタの4カ国の国籍になっているそうです。これらの国では環境規制が緩く、タックスヘイヴンの国でもあります。また客船の耐久性への規制は緩く、20年以上運行しているクルーズが結構あるといいます。

ブラックな労働環境、汚物の海洋投棄

前述のクルージング最大手3社は米国に本社を構える船会社ですが、乗組員は季節労働者のようなもので労働契約条件はその船が登録してある国籍の基準に従うことになっているそうです。

乗組員の契約は最高9カ月で、週労70時間、休暇はなく、家族と離れての生活で、しかも通勤があるわけではなく、同じ船内での寝泊まりとなります。乗客の目には見えない乗組員のこのような厳しい勤務事情があります。

更に、環境保護という面において、3000人の乗客が1週間乗船している客船の場合の人的廃棄物は7万5000リットル、浴室トイレそして食器洗浄に使用する水量は37万リットル。

加えて、洗濯などに使用される水も必要です。それに廃棄されるゴミの処理も必要です。これらの汚水そして汚物は海に捨てられるわけです。地球の環境保全という面において客船は必ずしも綺麗な観光業ではありません。

港に停泊している間もエンジンは作動しており、その間も汚水・汚物は海に流れ、大気中にCO2を放出しているわけです。シンフォニー・オブ・ザ・シーズの6つの発電機は1時間に14.9トンの燃料を消費しており、この量は5655台の車が約50kmの距離を移動するのに必要なのに匹敵するそうです。

乗船後の行方不明者も少なくない

また、日本でも寄港地周辺における万引きやポイ捨てなどの迷惑行為が目立つため、商店
街の中には、「クルーズ船客お断り」の貼り紙を掲示する店もあるといいます。

日本以上にクルーズ船が寄るスペインのマジョルカ島では、普段の人口は111万5999人ですが、一昨年8月は客船の入港で人口が一挙に207万8276人に膨れ上がったそうです。同島の人口がひと月でほぼ2倍近くになったのです。

その結果、地元市民にとって生活に不自由を感じるようになったのです。しかも、クルージングに乗船しての観光客は上陸して思い出になる商品を僅かに買って、記念写真を撮るだけというパターンが大半で地元の富の蓄積にはならないとしています。

そのため、シンフォニー・オブ・ザ・シーズの各寄港地では環境汚染や地元市民の生活を脅かすことになるとして市民から寄港反対の声が上がっているほどです。

さらなる問題もあります。それはなんと、「乗客が消息不明になる」問題です。

クルージング犠牲者協会(Cruise Victims Association)によると、2000年から現在まで200人が乗船したあと行方不明になっているといいます。大型客船はあたかも海上に浮かぶ小さな町といった感じですが、しかもそこには警察はいません。厳密に言えば船長などは警察と同様の権限を持つのですが、客の数から考えると、あまり機能しているとは言い難いです。

乗船した後、酔ぱらって海に落ちたり、殺害されたり、盗難やセクハラに合ったりで、乗客の安全という面においては些かどころか、かなり問題ありなのです。旅行中に何やら、問題があったにしても、飛行機なら何日もそれに付き合うこともないですが、クルーズ船では、かなりの長時間それにつきあわなければならないです。

クルーズ船の教訓

クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の乗客・乗組員隔離の状況は、CNNやBBCなど、世界中にニュースで広がりました。2月16日現在、全乗客3711人のうち355人が感染しました。

クルーズ船には、日本人だけでなく海外からの乗客も多数乗船していました。この中に1月下船した後に感染が発覚した香港人男性が感染源の可能性があるとされ、その後の2次感染3次感染が急速に広がったと考えられています。この例からも、新型コロナウイルスの感染力は非常に強いものと考えられます。

クルーズ船の教訓として以下の2つあげたいです。

第1として、感染拡大のために長期間下船させずに隔離という状況が良い判断だったか、隔離を解除して下船させるタイミンがあるとすればそれはいつだったかと、振り返る必要があります。

2月18日現在、一部下船ははじまりましたが、いまだにクルーズ船の非感染者の隔離は続いています。この中で、米国やカナダはチャーター機で乗客を自国に戻し、自国で隔離を継続することになっています。台湾やオーストラリアでも同じような動きがあります。

ダイヤモンド・プリンセス号の中を消毒する自衛隊員

しかし、当初の隔離処置が必要であったと言う判断自体が一概に間違っているとは言えないです。国内感染が明らかでない状況の中で、客船から感染の可能性のある乗客を下船させなかった決定は、致し方ないといえます。

感染の正体や今後の見通しが誰もわからない中、誰かが決定しなければならないのです。この中で、感染者を隔離という処置は、基本的考え方です。ただし、あとで振り返る必要はあります。どの時点で隔離に限界があると考えるか、下船させるべきか、見直す必要があります。そして今後の教訓にする必要があります。

第2として、換気の問題です。

感染経路が、飛沫感染(くしゃみや咳)や接触感染(手すりなどに触れること)以外に、注意すべき点はなかったのでしょうか。この点で、個人的には、空調環境の整備に注意する必要性があるのかもしれないと考えます。

ダイヤモンドプリンセス号は設備に優れた豪華客船であることは間違いないし、他の船に設備で劣ったところはないと思います。その上で、空調の新鮮空気量(外気の量)が、新型コロナウイルスのように感染力の強いウイルスの感染予防には、不十分となった可能性があるのではないかと考えます。

通常の風邪のウイルスでは問題にならない換気も、新型コロナのような強い感染力があるウイルスには、新鮮空気量100%の外気換気を行う必要があるのではないかと考えます。

平常時のダイヤモンドプリンセス号の換気は、通常はキャビン30%、公室・階段室50%、病院・ギャレ100%です。なお、今回の新型コロナウイルスの感染が問題となって以後は、外気換気が十分に行われているとのことです。

平常時に外気100%では、室内は快適な温度が保てない可能性があるので、普段の豪華客船なら乗客から不平が出るかもしれないです。平常時には新鮮空気量100%を行うことは難しいかもしれないです。

しかし今後、未知のウイルス感染が考えられる状況下では、少なくともすぐに、換気を十分にする措置を取る必要があります。

室内の空気を循環させるシステムを使った乗り物や建物では、ウイルス濃度が高められたまま感染を広げるリスクがあります。室内循環でも、もちろん通常の風邪のウイルスでは問題にならないです。

しかし、新型コロナウイルスは感染力が高いです。換気をすることで、ウイルス濃度を下げ感染率を下げることが出来ます。また、外へ放り出されたウイルスも、濃度が低ければ感染するリスクが低くなります。このため、換気が難しい場所でも、外気100%の換気システムの開発が望まれます。言うまでもなく、単純に窓が開けられれば、窓を開けることも重要です

挙党一致でウイルス対策にあたれ

日本のマスメディアでは連日新型コロナウィルス関連の報道で満ち溢れており、国民の関心は自分や家族の身をどうしたら守れるかに集中しているようです。ところが永田町では相変わらず「桜を見る会」の追求に明け暮れています。

野党は「桜」を安倍総理の最大の弱点と見て、政権交代へ追及の矛先を緩めようとはしていません。おそらく野党の見誤りであることは直ぐに明らかになることですが、もし総理が追い込まれて、今の時点で総辞職を余儀なくされた場合を考えるとゾッとします。

将来的に安倍内閣が無能政権だったと烙印を押される可能性はありますが、それでも今は挙党一致で新型ウィルスに対抗すべきです。

4月になって暖かくなり、湿度が高くなれば自然とウィルスの脅威も薄れると思います。少なくともそれまでは意味の無い政権攻撃は止めたら如何でしょうか。実際、東日本大震災のときには野党自民党は、いっとき与党民主党と休戦して、崩壊寸前だった菅内閣が命拾いしたということもありました。

黒岩氏(左)は安倍首相から反論される場面も=27日、衆院第1委員室

一刻も速い感染症対策が求められているのですから、国会議員の質問もやはり9割は武漢肺炎(COVID2019)への対策の現状と反省、および今後の対応へ充てられてしかるべきです。

厚労省直轄で対応することには無理があり、地方自治体でも独自の防衛対策が検討されつつあると思いますので、各党の県連を通して地方議会での議論を国会に吸い上げて、より有効な対策を打ち出す必要があります。

誤った方針の下で政権追求ばかりをしていると、国民は呆れ返ってしまい、次の総選挙では野党は大崩壊するでしょう。

内閣支持率は安倍政権のダイヤモンドプリンセスでの検疫失敗で大分下落を続けていますが、下がったポイントは野党には流れてはいないようです。

今回安倍総理は、危機管理の弱さを露呈しましたが、それでも代わりの適任者が浮かばないという、現実があります。まずは、ここしばらく4月あたりまでは、挙党一致でウイルス対策に邁進すべきです。

日本の住民一人ひとりが、感染予防のエキスパートに

新型コロナウイルスの感染力は、これまでに考えられないほど強いようです。これだけ多くの日本人医師が初めに感染を確認されていることは、これまでに例がありません。

おそらく空気感染を起こす結核よりも感染力が強いといえるかもしれないです。基本的には、飛沫感染と接触感染です。くしゃみや咳からウイルスがまかれ、そこから感染するのです。

感染者がウイルスのついた手で、手すりやつり革にふれ、その上を第3者が触れ、その手で自分の鼻や口をさわれば、ウイルスが体内に取り込まれます。だからこそ、手洗い・うがい・マスクは、非常に大切であり、感染予防の重要な行動となります。

私たちは、自分への感染も、他人への感染も、手洗い・うがい・マスクで、予防するのです。そして、自分を守り、他人を守り、日本を守り、世界を守るのです。私たち一人一人が、感染予防のエキスパートになって、早くマスクを取れるようになるべきです。そして、感染予防対策の先進国として世界に認められるようになりたいものです。

特に、ダイヤモンドプリンセスの例は、詳細に研究して、今後の対策に役立てるべきです。

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2018年8月31日金曜日

米も知らなかった…日朝極秘接触 7月にベトナムで拉致問題全面解決に向け協議 日米連携に影落とす危険性も ―【私の論評】ワシントン・ポストでは相変わらずパンダハガーが勢いを維持している(゚д゚)!


北朝鮮交換と接触したとされる北村滋内閣情報官
写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 日本と北朝鮮の情報当局高官が7月、ベトナムで極秘接触していた。日本人拉致被害者の全員救出を目指し、安倍晋三首相が信頼する内閣情報官が、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の側近である、金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長(統一戦線部長)に直結する女性幹部と非公式協議を行ったという。日朝首脳会談の可能性も探ったとみられる。ただ、ドナルド・トランプ米政権には事前に伝えておらず、今後の日米連携に暗い影を落とす可能性もある。

 米紙ワシントン・ポスト(電子版)は28日、衝撃の「日朝極秘接触」のニュースを、関係者の話として伝えた。

 同紙によると、日本からは北村滋内閣情報官、北朝鮮からは南北関係を担当する統一戦線部の金聖恵(キム・ソンヘ)統一戦線策略室長が出席した。拉致被害者問題などについて協議したという。

金聖恵(キム・ソンヘ)統一戦線策略室長

 北村氏は警察庁出身で、第1次安倍政権では首相秘書官(事務担当)を務めた。民主党政権時代の2011年12月末に、内閣情報調査室(内調)を率いる内閣情報官となった。自民党の政権奪還後も留任し、「首相動静」の登場回数が断トツなど、安倍首相の信頼は絶大である。

 金聖恵氏は、金日成(キム・イルソン)総合大学出身とされるエリート官僚で、金英哲氏が5月、正恩氏の親書を持参して訪米した際に同行して注目された。統一戦線部は、CIA(中央情報局)とともに、6月の米朝首脳会談への事前交渉を主導した工作機関であり、金聖恵氏は実務責任者とみられている。

 トランプ大統領と正恩氏がシンガポールで行った米朝首脳会談で、正恩氏は「日本と対話する用意がある」と前向きに語ったとされる。拉致問題は、米国任せだけでは解決しない。そこで、北村氏と金聖恵氏による日朝極秘接触がセットされたようだ。

 官邸周辺は「正恩氏は昨年以降、米朝対話の総指揮を金英哲氏に一本化している。米国でいえば、金英哲氏は国務長官とCIA長官を兼ねているような存在で、北朝鮮の外交と諜報の両面で絶大な力を持つ。官邸とすれば、拉致問題の解決のためには、金英哲氏に絶対につながる金聖恵氏は、ノドから手が出るほど欲しいパイプだった。このため、本来は格が上の北村氏(=格的には金英哲氏と同等)を直々に接触させたと聞く」と語る。

金英哲氏

 この後、8月にも河野太郎外相が訪問先のシンガポールで、北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相と短時間接触した。

 安倍首相にとって、拉致問題の全面解決は悲願である。

 拉致被害者家族会の結成20年にあたる昨年、安倍首相は夕刊フジの独占インタビューに応じ、次のように語った。

 「13歳の少女(横田めぐみさん)を含む、多くの日本人が拉致され、今も北朝鮮でとらわれたままだ。この問題を解決するのは、安倍政権にとって最重要課題だ」

 「正恩氏に対し、『拉致、核、ミサイルの諸問題を解決しない限り、北朝鮮は世界からますます孤立し、明るい未来を描くことはできない』と理解させなければならないと思っている」

 「拉致問題を解決するために、あらゆる選択肢を検討する用意はある。一方、『対話のための対話』では意味がない。私と正恩氏が握手するショーのための会談は、むしろ行うべきでないと思う」

 2002年の日朝首脳会談にも、官房副長官として出席した安倍首相は、北朝鮮の欺瞞(ぎまん)性を熟知している。北朝鮮が何度も日本や世界をだましてきたことも体験している。

 このため、安倍首相は6月、官邸で拉致被害者家族と面会した際、「拙速にはやらない。北朝鮮が被害者をすべて帰すといったら(北朝鮮に)行く」と、慎重に語った。

 「北朝鮮の非核化」をめぐる米朝協議が停滞・難航するなか、拉致問題をめぐる日朝協議の進展も簡単ではない。

 加えて、日朝極秘接触が事前に知らされなかったことに、米政府当局者らは不満を高めているという。

 前出のワシントン・ポストによると、複数の米政府高官は、北朝鮮政策について日本と日々情報を共有しているにもかかわらず、日本政府が接触の計画を事前に伝えなかったことに不快感を示したという。

 官邸周辺は「情報の出方を精査する必要があるが、今回の(ワシントン・ポストへの)リークは、北朝鮮問題をめぐる日米連携に暗い影を落とす危険性がある」と語っている。

【私の論評】ワシントン・ポストでは相変わらずパンダハガーが勢いを維持している(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事における、ワシントン・ポストの報道はすぐに真に受けない方が良いと思います。

ワシントン・ポストには「複数の米政府高官は、北朝鮮政策について日本と日々情報を共有しているにもかかわらず、日本政府が接触の計画を事前に伝えなかったことに不快感を示した」としていますが、これが具体的には誰なのかについては触れられていません。

当然のことながら、日本が北と接触することは、内密に行われていたことであり、米国には全く知らせないか、知らせたにしても、ごく一部にしか知らせない可能性もあります。

仮にワシントン・ポストが比較的下の職位の関係者に複数確認を入れたとしても、知らないのは当然なのかもしれません。

もし、複数の関係者の名称が具体的にあげられていたら、このワシントン・ポストの報道はかなり信憑性があると考えて間違いないです。日本側の関係者の実名もあげられていれば、さらに信憑性があるものといえます。

それに、そもそも独立国である日本が、米国に対して日本の高官が、北朝鮮の比較的低い職位の関係者に会ったことまで、何もかも報告する義務があるのでしょうか。

日米関係については、日本は何でも米国の言うとおりとする識者も結構いますが、それは、あのTPP交渉において、そうとばかりはいえないことがはっきりしました。TPP交渉反対派の人々は、TPP交渉をすれば日本は米国の良いようにされるといって大騒ぎしましたが、その懸念はトランプ大統領がTPPから離脱し、そうではなかったことがはつきりしました。

無論、今でも日本は米国の大きな影響下にあることは否定しませんが、何もかも米国の言いなりというのは、正しくはないです。

なぜ、このようなことを言うかといえば先日も、ワシントン・ポスト氏はトランプ大統領に関して間違った報道をしていましたので、特に日米関係の報道は、信憑性が疑われるからです。

それについては、昨日のこのブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
「真珠湾攻撃忘れないぞ」トランプ米大統領、安倍首相に圧力―【私の論評】日本のメディアは米国保守派の歴史観の変貌に無知(゚д゚)!
会談で握手する安倍首相(左)とトランプ米大統領=6月、ワシントンのホワイトハウス

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
米紙ワシントン・ポスト電子版は28日、トランプ大統領が6月にホワイトハウスで安倍晋三首相と会談した際「(第2次大戦の)真珠湾攻撃を忘れないぞ」と前置きした上で、難航している通商問題の協議を始めたと伝えた。異例の発言の背景には、対日貿易赤字の削減を目指し圧力を強める狙いがありそうだ。 
・・・・・〈中略〉・・・・・・・ 
一方多少まともに報道しているところもあります。これは、FNNの取材でわかったことですが、6月にアメリカで行われた日米首脳会談において、トランプ大統領は確かに「アメリカが日本の防衛費を負担して、対日貿易赤字も解消されなければ、ダブルパンチになる」と不満を表明しました。 
そのうえで、「真珠湾攻撃を忘れていない。日本も昔はもっと戦っていただろう。日本も周辺国ともっと戦うべきだ」と述べたのです。
この発言は、「日本が自国の防衛を強化して、アメリカの防衛費の負担を減らすべきだ」と、暗に求めたとみられます。 
関係筋などによると、この時トランプ大統領は、「日本はかつて真珠湾を攻撃したほどの軍事強国であったじゃないか」と言う意味で述べたもののようです。
日本は「防衛費をもっと増やすべきだ」という意味で発言したもので、通商問題で日本を非難する意味ではなかったとしています。
 また、トランプ大統領は、「パールハーバー」と発言したものの、「あのひきょうな攻撃を忘れないぞ」という批判的な意味、言い方はしていないとのことです。
外交上、際どい言葉は、異なる解釈を生み出すケースがあるため、そうした言葉が波紋を生んだケースだといえそうです。 
また、メディアとの関係もあります。トランプ大統領に対して批判的な米リベラル・メディアは、そういうふうに報道したというベースがあるとも忘れてはいけないです。
また、この記事では、 日本のパールハーバー攻撃を卑怯なだまし討とみるのではない見方もあることも掲載しました。米国では特に保守層では、真珠湾攻撃は日米両国がそれぞれの国益を追求した結果起こったものであるとして、日本を「侵略国」であると決めつけた「日本悪玉史観」は事実上、見直されているのです。

トランプ氏も保守派であることから、当然のことながら、こうした歴史観に立脚して「リメンバー・パール・ハーバー」という言葉を使っているとみるべきなのです。であれば、対日貿易赤字の削減を目指し圧力を強める狙いでこの言葉を使った事はありえないわけであり、ワシントン・ポスト紙によるトランプ大統領の「リメンバー・パールハーバー」報道はかなり偏向しているといわざるをえません。

ワシントン・ポスト紙は以前から、日本報道に関して、かなり偏向していました。たとえば、在米の複数の中華系団体は2016年8月15日付け付の米紙ワシントン・ポスト無料版に、日本最南端の東京都・沖ノ鳥島は「島ではない」と主張する意見広告を出しました。また、台湾が実効支配する南シナ海の太平島は「島」ではないとした7月の仲裁裁判所の判断は「不合理だ」と訴えました。

意見広告には台湾の大学の卒業生が組織したとみられる団体や、日本の戦争責任を追及する中華系の団体など台湾系を中心とするグループや個人が名を連ねました。仲裁判断への不満や、沖ノ鳥島を巡る異論を米国で認知させる狙いがあるとみらます。

このことから、ワシントン・ポストは、パンダハガー(親中派)が力を持った新聞であると考えれます。ちなみに、ワシントン・ポストは米国では発行部数が第5位です。

ルパート・マードック氏(左)と三番目元妻ウェンディ・トン氏(右)

一方米国で販売部数が第1位のウォール・ストリートはオーナーのルパート・マードック氏は三番目元妻ウェンディ・トン氏が、中国系であり、親中派であったとみられていますが、その後離婚しました。そのせいもあるのか、極端に親中的な報道をするということありませんでした。

そうして、今年の3月に、ウォール・ストリート紙は、ウェンディ・トン氏は「中国のスパイ」との疑惑を報じています。トン氏は米ドナルド・トランプ大統領の娘婿で、大統領上級顧問を務めるジャレット・クシュナー氏との親しい関係を利用して、トランプ政権内部の機密情報を入手し、中国共産党指導部に流しているというのです。

さらに、親中派の論客として知られ『鄧小平伝』も書いたデーヴィッド・シャンボー(ジョージワシントン大学教授)は大胆にも中国共産党の崩壊を予測し、「ウォール・ストリート・ジャーナル」(2015年3月10日)に寄稿していました。

これについては、詳細は、このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国寄りの専門家さえついに唱えだした「中国大崩壊」の論拠―【私の論評】ニッポン人中国スパイ、親中派、媚中派は速やかに転向せよ、そうでないと飯のくいあげになるぞ(゚д゚)!
デビッド・シャンボー教授
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、これはタイトルの通り、中国共産党による支配が、今後〈終焉に向かうだろう〉ことを、理由を挙げながら指摘したウォルストリート紙のコラムで。

これが世界的な話題となった理由の一つは、チャイナハンド(*注)と考えられた人物が中国の崩壊に警鐘を鳴らしたからです。中国に対するスタンスは本人も認めているようで、天安門事件後に体制崩壊と衰退が不可避だと主張する中国ウォッチャーがいるなか、より慎重な立場をとってきたとしています。

【*注:中国の立場を理解する外交官、ジャーナリスト、学者の総称】

つまり衝撃の正体は「あの中国にやさしい専門家さえ『危ない』といっている」という点にあったのです。

以前からこのブログで指摘しているように、米国の新聞は、全部がリベラル系であり、日本でいえば産経新聞がないといっても良い状況ですが、その中でも老舗のウォール・ストリート・ジャーナルは比較的まともな報道をしているといえそうです。

しかし、ワシントン・ポストはあいかわらす、パンダハガー(親中派)の勢いが強いのでしょう。

これは、同時に中国の現状の大変さを物語っているとも受け取れます。日米が協同して、中国を叩くということになれば、中国には太刀打ちできません。

中国としては何とかして、日本を味方に引き入れ、日本を親中派政権にして米国の経済冷戦をかわしたいと考えているのかもしれません。だからこそ、ワシントン・ポストを利用して、日米が離反するように仕向けている可能性があります。しかし、次の総裁選では安倍総理が圧倒的に有利ですから、そのような目論見は成就することはないでしょう。

これは、しばらく趨勢をみてみないことには、まだなんとも言えませんが、ワシントン・ポストの報道にはこういう背景があるということを知った上で、報道を吟味すべきと思います。特にワシントン・ポストを鵜呑みにする日本の報道には、留意すべきです。

【私の論評】


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