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2020年2月19日水曜日

政府、広がる批判に焦り 「水際で失敗」、支持率に影―新型肺炎―【私の論評】ダイヤモンド・プリンセス号の教訓を活かし、挙党一致で武漢肺炎対策にあたれ(゚д゚)!

政府、広がる批判に焦り 「水際で失敗」、支持率に影―新型肺炎

首相官邸に入る安倍晋三首相=18日午前、東京・永田町

 新型コロナウイルスによる肺炎への政府対応に批判が広がっている。安倍晋三首相が先頭に立って取り組んだ水際対策は奏功せず、国内で感染が拡大。横浜港に停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に対する措置でも、乗客乗員を船内にとどめ置いた判断が「かえって集団感染を悪化させた」と指摘された。「未知の感染症」への国民の不安は内閣支持率にも影を落とし、政府・与党は危機感を強めている。

乗客下船、19日開始 新たに88人の感染確認―クルーズ、21日に完了か

 「事態を小さく見せようとし、水際で失敗した」。野党共同会派が18日に開いた新型肺炎に関する合同対策本部の会合で、国民民主党の泉健太政調会長は政府の対応を厳しく批判した。

 政府は当初、発熱症状や中国・武漢市への渡航歴、武漢滞在者との接触がある人らをウイルス検査の対象にしていた。ところが2月に入り、感染経路の分からない感染例が続出。首相側近は「1月時点で中国人全ての入国を止めるしかなかったが、もう遅い」と頭を抱えた。

 政府関係者によると、習近平国家主席の国賓来日を控えて中国側から「大ごとにしないでほしい」と要請があったといい、これも後手に回った要因だとみられる。

 ダイヤモンド・プリンセス号への対応に関し、政府高官は「最初から3700人を下船させたらパニックになっていた」と批判に反論する。ただ、ある閣僚は「本当は早く下ろして隔離すべきだったが、全員を収容できる施設がなかった」と内情を明かした。

 国会で「桜を見る会」をめぐる問題が連日追及される中、各種世論調査で安倍内閣の支持率は軒並み下落。新型肺炎への対応を通じて危機管理能力をアピールすることで、局面転換を期待していた政権幹部を落胆させた。

 自民党の鈴木俊一総務会長は18日の記者会見で「国民は必ずしもポジティブに政府の対応を評価していない」と指摘。菅義偉官房長官は会見で「良かった点、悪かった点をしっかり検証し、次につなげていきたい」と語った。

【私の論評】ダイヤモンド・プリンセス号の教訓を活かし、挙党一致で武漢肺炎対策にあたれ(゚д゚)!

日本では、ダイヤモンド・プリンセス号で知られるようになったクルーズ船ですが、これについては、知られていないことが多くあるようです。

ダイヤモンド・プリンセス号

世界のクルージングのビッグスリーは「カーニバル・コーポレーション(Carnival Corporation)」、「ロイヤル・カリビアン・インターナショナル(Royal Caribbean International)」、「ノルウェージャン・クルーズ・ライン(Norwegian Cruse Line)」である。この3社で世界のクルージングの82%のシェアーを持ち、それぞれ本社は米国にあります。

クルーズライン国際協会(CLIA)に加盟しているクルージングの主要船会社は58社あるという。水、食品、医療、下水設備、乗客安全などの守るべき規定がCLIAで定められています。

現在、世界で運行しているクルージング411船の内の70%はバハマ、パナマ、バミューダ諸島、マルタの4カ国の国籍になっているそうです。これらの国では環境規制が緩く、タックスヘイヴンの国でもあります。また客船の耐久性への規制は緩く、20年以上運行しているクルーズが結構あるといいます。

ブラックな労働環境、汚物の海洋投棄

前述のクルージング最大手3社は米国に本社を構える船会社ですが、乗組員は季節労働者のようなもので労働契約条件はその船が登録してある国籍の基準に従うことになっているそうです。

乗組員の契約は最高9カ月で、週労70時間、休暇はなく、家族と離れての生活で、しかも通勤があるわけではなく、同じ船内での寝泊まりとなります。乗客の目には見えない乗組員のこのような厳しい勤務事情があります。

更に、環境保護という面において、3000人の乗客が1週間乗船している客船の場合の人的廃棄物は7万5000リットル、浴室トイレそして食器洗浄に使用する水量は37万リットル。

加えて、洗濯などに使用される水も必要です。それに廃棄されるゴミの処理も必要です。これらの汚水そして汚物は海に捨てられるわけです。地球の環境保全という面において客船は必ずしも綺麗な観光業ではありません。

港に停泊している間もエンジンは作動しており、その間も汚水・汚物は海に流れ、大気中にCO2を放出しているわけです。シンフォニー・オブ・ザ・シーズの6つの発電機は1時間に14.9トンの燃料を消費しており、この量は5655台の車が約50kmの距離を移動するのに必要なのに匹敵するそうです。

乗船後の行方不明者も少なくない

また、日本でも寄港地周辺における万引きやポイ捨てなどの迷惑行為が目立つため、商店
街の中には、「クルーズ船客お断り」の貼り紙を掲示する店もあるといいます。

日本以上にクルーズ船が寄るスペインのマジョルカ島では、普段の人口は111万5999人ですが、一昨年8月は客船の入港で人口が一挙に207万8276人に膨れ上がったそうです。同島の人口がひと月でほぼ2倍近くになったのです。

その結果、地元市民にとって生活に不自由を感じるようになったのです。しかも、クルージングに乗船しての観光客は上陸して思い出になる商品を僅かに買って、記念写真を撮るだけというパターンが大半で地元の富の蓄積にはならないとしています。

そのため、シンフォニー・オブ・ザ・シーズの各寄港地では環境汚染や地元市民の生活を脅かすことになるとして市民から寄港反対の声が上がっているほどです。

さらなる問題もあります。それはなんと、「乗客が消息不明になる」問題です。

クルージング犠牲者協会(Cruise Victims Association)によると、2000年から現在まで200人が乗船したあと行方不明になっているといいます。大型客船はあたかも海上に浮かぶ小さな町といった感じですが、しかもそこには警察はいません。厳密に言えば船長などは警察と同様の権限を持つのですが、客の数から考えると、あまり機能しているとは言い難いです。

乗船した後、酔ぱらって海に落ちたり、殺害されたり、盗難やセクハラに合ったりで、乗客の安全という面においては些かどころか、かなり問題ありなのです。旅行中に何やら、問題があったにしても、飛行機なら何日もそれに付き合うこともないですが、クルーズ船では、かなりの長時間それにつきあわなければならないです。

クルーズ船の教訓

クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の乗客・乗組員隔離の状況は、CNNやBBCなど、世界中にニュースで広がりました。2月16日現在、全乗客3711人のうち355人が感染しました。

クルーズ船には、日本人だけでなく海外からの乗客も多数乗船していました。この中に1月下船した後に感染が発覚した香港人男性が感染源の可能性があるとされ、その後の2次感染3次感染が急速に広がったと考えられています。この例からも、新型コロナウイルスの感染力は非常に強いものと考えられます。

クルーズ船の教訓として以下の2つあげたいです。

第1として、感染拡大のために長期間下船させずに隔離という状況が良い判断だったか、隔離を解除して下船させるタイミンがあるとすればそれはいつだったかと、振り返る必要があります。

2月18日現在、一部下船ははじまりましたが、いまだにクルーズ船の非感染者の隔離は続いています。この中で、米国やカナダはチャーター機で乗客を自国に戻し、自国で隔離を継続することになっています。台湾やオーストラリアでも同じような動きがあります。

ダイヤモンド・プリンセス号の中を消毒する自衛隊員

しかし、当初の隔離処置が必要であったと言う判断自体が一概に間違っているとは言えないです。国内感染が明らかでない状況の中で、客船から感染の可能性のある乗客を下船させなかった決定は、致し方ないといえます。

感染の正体や今後の見通しが誰もわからない中、誰かが決定しなければならないのです。この中で、感染者を隔離という処置は、基本的考え方です。ただし、あとで振り返る必要はあります。どの時点で隔離に限界があると考えるか、下船させるべきか、見直す必要があります。そして今後の教訓にする必要があります。

第2として、換気の問題です。

感染経路が、飛沫感染(くしゃみや咳)や接触感染(手すりなどに触れること)以外に、注意すべき点はなかったのでしょうか。この点で、個人的には、空調環境の整備に注意する必要性があるのかもしれないと考えます。

ダイヤモンドプリンセス号は設備に優れた豪華客船であることは間違いないし、他の船に設備で劣ったところはないと思います。その上で、空調の新鮮空気量(外気の量)が、新型コロナウイルスのように感染力の強いウイルスの感染予防には、不十分となった可能性があるのではないかと考えます。

通常の風邪のウイルスでは問題にならない換気も、新型コロナのような強い感染力があるウイルスには、新鮮空気量100%の外気換気を行う必要があるのではないかと考えます。

平常時のダイヤモンドプリンセス号の換気は、通常はキャビン30%、公室・階段室50%、病院・ギャレ100%です。なお、今回の新型コロナウイルスの感染が問題となって以後は、外気換気が十分に行われているとのことです。

平常時に外気100%では、室内は快適な温度が保てない可能性があるので、普段の豪華客船なら乗客から不平が出るかもしれないです。平常時には新鮮空気量100%を行うことは難しいかもしれないです。

しかし今後、未知のウイルス感染が考えられる状況下では、少なくともすぐに、換気を十分にする措置を取る必要があります。

室内の空気を循環させるシステムを使った乗り物や建物では、ウイルス濃度が高められたまま感染を広げるリスクがあります。室内循環でも、もちろん通常の風邪のウイルスでは問題にならないです。

しかし、新型コロナウイルスは感染力が高いです。換気をすることで、ウイルス濃度を下げ感染率を下げることが出来ます。また、外へ放り出されたウイルスも、濃度が低ければ感染するリスクが低くなります。このため、換気が難しい場所でも、外気100%の換気システムの開発が望まれます。言うまでもなく、単純に窓が開けられれば、窓を開けることも重要です

挙党一致でウイルス対策にあたれ

日本のマスメディアでは連日新型コロナウィルス関連の報道で満ち溢れており、国民の関心は自分や家族の身をどうしたら守れるかに集中しているようです。ところが永田町では相変わらず「桜を見る会」の追求に明け暮れています。

野党は「桜」を安倍総理の最大の弱点と見て、政権交代へ追及の矛先を緩めようとはしていません。おそらく野党の見誤りであることは直ぐに明らかになることですが、もし総理が追い込まれて、今の時点で総辞職を余儀なくされた場合を考えるとゾッとします。

将来的に安倍内閣が無能政権だったと烙印を押される可能性はありますが、それでも今は挙党一致で新型ウィルスに対抗すべきです。

4月になって暖かくなり、湿度が高くなれば自然とウィルスの脅威も薄れると思います。少なくともそれまでは意味の無い政権攻撃は止めたら如何でしょうか。実際、東日本大震災のときには野党自民党は、いっとき与党民主党と休戦して、崩壊寸前だった菅内閣が命拾いしたということもありました。

黒岩氏(左)は安倍首相から反論される場面も=27日、衆院第1委員室

一刻も速い感染症対策が求められているのですから、国会議員の質問もやはり9割は武漢肺炎(COVID2019)への対策の現状と反省、および今後の対応へ充てられてしかるべきです。

厚労省直轄で対応することには無理があり、地方自治体でも独自の防衛対策が検討されつつあると思いますので、各党の県連を通して地方議会での議論を国会に吸い上げて、より有効な対策を打ち出す必要があります。

誤った方針の下で政権追求ばかりをしていると、国民は呆れ返ってしまい、次の総選挙では野党は大崩壊するでしょう。

内閣支持率は安倍政権のダイヤモンドプリンセスでの検疫失敗で大分下落を続けていますが、下がったポイントは野党には流れてはいないようです。

今回安倍総理は、危機管理の弱さを露呈しましたが、それでも代わりの適任者が浮かばないという、現実があります。まずは、ここしばらく4月あたりまでは、挙党一致でウイルス対策に邁進すべきです。

日本の住民一人ひとりが、感染予防のエキスパートに

新型コロナウイルスの感染力は、これまでに考えられないほど強いようです。これだけ多くの日本人医師が初めに感染を確認されていることは、これまでに例がありません。

おそらく空気感染を起こす結核よりも感染力が強いといえるかもしれないです。基本的には、飛沫感染と接触感染です。くしゃみや咳からウイルスがまかれ、そこから感染するのです。

感染者がウイルスのついた手で、手すりやつり革にふれ、その上を第3者が触れ、その手で自分の鼻や口をさわれば、ウイルスが体内に取り込まれます。だからこそ、手洗い・うがい・マスクは、非常に大切であり、感染予防の重要な行動となります。

私たちは、自分への感染も、他人への感染も、手洗い・うがい・マスクで、予防するのです。そして、自分を守り、他人を守り、日本を守り、世界を守るのです。私たち一人一人が、感染予防のエキスパートになって、早くマスクを取れるようになるべきです。そして、感染予防対策の先進国として世界に認められるようになりたいものです。

特に、ダイヤモンドプリンセスの例は、詳細に研究して、今後の対策に役立てるべきです。

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2015年2月25日水曜日

君は批判する権利があるか? 批判のマナーを教えてくれた教授の一言が人生でめちゃくちゃ教訓になっている―【私の論評】ニッポン人も日本人も、日本の原点にたちかえり、そこから自分の立ち位置を確認して、物事を考えなければ、本当の意味での学問もできないばかりか、現実を把握することもできず、組織運用にも支障が生じる(゚д゚)!

君は批判する権利があるか? 批判のマナーを教えてくれた教授の一言が人生でめちゃくちゃ教訓になっている

Jerk Chicken, Green Fig Salad, Sauteed Cassava / anax44
ぼくは意気揚々と相手を「批判」したつもりでいました。 「この部分は事実認識と甘いんじゃないですか」 「この部分に対してのヨーロッパの視野は狭すぎませんか」「……、ということでちょっと良い主張とは思えませんでした」 自信満々のぼくの「批判」に教授が言った一言は ぼくが批判を考える上で大学生活6年間の中で今でも大事な言葉です。 Jerk Chicken, Green Fig Salad, Sau...

【私の論評】ニッポン人も日本人も、日本の原点にたちかえり、そこから自分の立ち位置を確認して、物事を考えなければ、本当の意味での学問もできないばかりか、現実を把握することもできず、組織運用にも支障が生じる(゚д゚)!

上の文章、批判の仕方が間違っていたことを教授に指摘されたことを掲載しています。この文書を読んでいて、私は以下のように考えました。そうして、この内容は、NewsPicsに投稿しました。
「現在では、大学院あたりでも、こういう指摘されるこういう子供っぽい人がいるんですね。だから、教授に指摘されたのです。そういうことをこれくらの年齢になって指摘されるのは、非常に恥ずかしいことです。

それをこのような記事にして、それを吐露できてしまう今の社会はどこか狂っています。そもそも、いい年をした大人が馬鹿真似をする世の中ですから・・・・・。

現在では自己中心的であることを大学院レベルで、はじめて知るような人たちが、企業にはいってくるわけです。企業もこれに対応しなければならないということです。

いやはや・・・・・。親の顔をみてみたい。でも、そんなことを言ってもしょうがないです。現実がそうなのですから、私達もそれに対処しなければなりません」。
これが、これが、ブログ冒頭の記事に対する偽らざる私の感想です。

これが、中学生や高校生の作文なら、それはそれなりに評価しますが、大学生や大学院生レベルでは、評価にも何も値しないと思います。

だから、この記事の内容は、ほとんど掲載しませんでした。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。そもそも、これ自体を掲載することが、なにやら気恥ずかしく感じてしまいます。

私は、そう思います。

そもそも、日本でいわゆる話し合いの文化が始まったのは歴史が古く、それに関して文字で書かれた一番古い文献は17条憲法です。和をもって貴しとなす。物事は話し合って決めようということが書かれています。そうして、古事記、日本書紀、万葉集などもそうなのですが、考えかたの根底に上は天皇から下は乞食まで同じ日本人であるというのがあります。

これは、世界的にみてもとんでもなく革新的です。そもそも、奴隷制度があった他国ではあり得ない発想です。そうして、この話し合いには、そもそもまともな批判を前提としています。

このまともな批判について、経営学の大家ドラッカー氏は以下ようなことを述べています。

ドラッカー
未来に何かを起こすには、勇気を必要とする。努力を必要とする。信念を必要とする。決定のためには、いろいろな案がなくてはならない。ただし、可・否の二案だけでは不足だ。決定しないという決定もあることを忘れない方がいい。反対論がない場合には結論を出してはならない。勇気と勉強に不足があれば反対論は出ない。
このようなことは、実は17条憲法の前提となっています。しかし、最近のニッポン人(日本の伝統を継承しな日本人という意味)は、この精神を忘れています。

一昔前までの日本人なら、「和を持って貴し」という精神が息づいていて、批判をすることの本来の意義は誰に言われなくとも、育った環境の中で自然と身についたはずです。

しかし、現状では、ドラッカーなどの理論を借りてきてやさしく、説明しないと理解できない自己中心的なニッポン人が増えてきました。

しかし、そうはいっても、企業などの組織をまともに運営するためには、こうしたニッポン人を外国人の理論を借りてきても、納得させ理解させ、まともな組織人に育てなければなりません。

昔からの日本人の精神を背骨として、育っていれば、このようなことも必要がないのに、今ではこうした回り道をしなければならないというのが、非常に回りくどいし、残念なことです。

昨日は、以下のようなことがありました。
「(外国記者は)日本について全く無知で、いい加減なこと触れ回る」 朝日「吉田証言」2万人訴訟会見で、なぜか海外メディアとバトル
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の要約を以下に掲載しておきます。
 いわゆる従軍慰安婦が多数強制連行されたとする「吉田証言」に基づく誤報を朝日新聞が30年以上取り消さなかった問題で、「朝日新聞を糺(ただ)す国民会議」が2015年2月23日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見した。同会議は、日本や日本国民の国際的評価を低下させたとして、朝日新聞に損害賠償と謝罪広告の掲載を求めて提訴している。
 この日の会見では、訴訟の意義を「事実関係を司法の場で明らかにする」ことだと説明。さらに、対朝日新聞だけではなく、「日本について全く無知で、いい加減なことを触れ回っている」「朝日新聞と同じようなイデオロギー色に満ちた報道しかしていない」といった外国記者に対する批判も相次ぎ、記者からは「侮辱はすべきでない」などと反発する声が出た。
ちなみに、加瀬氏から奴隷制度について以下の様なコメントがありました。
日本は歴史を通じてslaves(奴隷)、slavery(奴隷制)が全く存在しなかった文化。特に、米国のつい19世紀後半まで奴隷制があった国からsex slaves(性奴隷)とか何とか言われたくない。それに日本には、宗教抗争、例えばカトリックとプロテスタントが際限なく殺し合うような宗教対立も宗教抗争も存在しなかった。多くの外国のジャーナリストの方々が、日本について全く無知で、いい加減なことを触れ回っているから、日本の評判が悪くなっている面が大変大きいと思っている。是非みなさん、日本について勉強していただきたい。
以下に、この記者会見の模様の動画を掲載しておきます。



事の是非をここでつまびらかにするつもりはありません。それについては、動画をご覧になった皆さんが決めて下さい。

ただし、加瀬氏や水島氏の言いたいことも理解できます。そもそも、外国人記者らは、古事記や、万葉集などの日本の伝統文化については理解しておらず、無論のこと文献としての17条憲法やその前提など全く知らない人がほとんどです。そうして考えかたの根底に上は天皇から下は乞食まで同じ日本人であったということを理解していません。

これが、当の日本人も理解していない人が、多くましてや外国人の場合は、まったくコミュニケーションがなりたたず、苛立ちを覚えているのだと思います。

これは、私が冒頭の記事を見て、苛立ちを覚えるのと、ある程度共通点があるものと思います。

ニッポン人も日本人も、もう一度日本の原点にたちかえり、そこから自分の立ち位置を確認して、そこから、物事を考えなければ、それこそ本当の意味での学問もできないばかりか、現実を把握することもできず、組織運用にも支障が生じてくると思います。事は、一個人の自己中ということではすまなくなります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年11月2日日曜日

クルーグマン教授“日本に謝りたい…” 教訓生かせぬEUのデフレ危機を嘆く―【私の論評】同じ内容の記事を読んでも、受け取る人によって様々、EUも日本の既存マスコミも黄昏時をむかえたか?

クルーグマン教授“日本に謝りたい…” 教訓生かせぬEUのデフレ危機を嘆く

クルーグマン博士

世界経済の低迷が続く中、海外メディアでは特にユーロ圏の経済危機に警鐘鳴らす記事が目立ちはじめている。多くは、1990年代後半以降の日本を例に挙げ、デフレスパイラルに陥る危険性を論じている。中でもノーベル賞経済学者のポール・クルーグマン教授は、ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙上で「欧米は日本以上に深刻なスランプに陥った」と悲観的だ。

◆クルーグマン教授「我々は今、日本に謝るべきだ」
クルーグマン教授は、日本の「失われた20年」は、「反面教師として、先進国経済が進むべきではない道を示してきた」とNYTに寄せたコラムで述べている。そして、自身も日本が取った政策を批判してきた一人だと記している。しかし、「我々は今、日本に謝らなければならない」と心情を告白。批判そのものは間違ってはいなかったが、認識が甘かったとしている。

それは、欧米が日本の教訓を全く生かすことなく、「起きるはずではなかった」数々の失敗を積み重ね、日本よりもさらに深刻な状態に陥ったからだという。「特に2008年以降の失態は、日本の失敗が霞むほどに大きなものだった」と嘆く。その例として、ドイツをはじめとするヨーロッパの緊縮政策や、「2010年以降のアメリカのインフラ支出の崩壊」を挙げている。また、欧州中央銀行がインフレを予防するために行った2011年の利上げは、「積極的に成長を破壊した」致命的なミスだったと指摘する。

欧米が日本の教訓を生かせなかった理由については、「我々の社会に巣食う根深い格差のためだと思う」と述べている。

この記事は要約です。詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】同じ内容の記事を読んでも、受け取る人によって様々、EUも日本の既存マスコミも黄昏時をむかえたか?

上の記事は、NewsPicsというニュース・サイトにも掲載されていて、このサイトでは、SNSも使えるようになっていて、このニュースを見た人がどのような感想をもったのか、書き込むことができます。

その内容は、以下のURLからご覧になれます。
https://newspicks.com/news/681080/?topnews=true
同じニュースをみても、受け取る人によって、様々です。中には、クルーグマン氏が、過去の日本のデフレ対策に対する批判をを誤りだと認めたように受け取る人もいます。しかし、それは全くの間違いです。

クルーグマン氏は、一昨日の日本での講演でも「謝罪」しています。しかし、誤った政策提言はしていないと語りました。氏の主張は、講演でも、この記事においても、特にEUは、日本のような間違いはしないと、クルーグマンしが語っていたにもかかわらず、同じような失敗をしてしまったというニュアンスです。そもそも、過去の日本に対する批判そのものが誤りと認めるなら、アベノミクスを好意的に評価するはずもありません。

クルーグマン氏は欧米特にEUは、日本よりもっとまともか、ましなデフレ対策をするに違いないということを前提として、日本の過去のデフレ対策を辛辣に批判してきました。しかし、実際には、特に直近では、EUのデフレ対策は、日本以下であることが明らかになってきました。

EUはメルケルの緊縮政策によって成長力、競争力も明らかに落ちています。自国で赤字国債を発行しない事に満足しているドイツ政府。フェデラル・ファンド金利が0,05%なのに消費者物価指数は思ったほど上昇していません。PIIGSの政府総債務残高(対GDP比)は悪くなる一方です。ユーロ圏の経済危機再燃が懸念されてもおかしくない状況に陥っています。一言で言えば、愚かです。

このような常軌を逸した状況なので、クルーグマン氏は、日本に対して、謝罪をしています。

かつて、日本の失われた10年は欧米からの揶揄の対象ともなったが・・・・・・

いずれにせよ、この記事は引用が断片的にすぎます。できたら、原典にあたりましょう。 以下にURLをあげておきます。
http://nyti.ms/1wKCZks 
この中では、欧米が見習うべき、日本で今起きている事を近々書くと、クルーグマン氏は語っています。楽しみです。

なお、クルーグマン氏が日本に対しての批判を謝罪するのは、今回が初めてではありません。過去に何度か行っています。この謝罪に関して、日本のマスコミは断片的に誤解を招くような報道をしてきました。

これに関して、解りやすく解説しているサイトがあります。

タイトル『クルーグマン「日本に謝罪」の断片的引用にはうんざりですよ』
http://d.hatena.ne.jp/optical_frog/touch/20120527/p1
ここまでご覧になれば、どう考えても、クルーグマン氏が、過去の日本のデフレ対策に対する批判を誤りであったと語っているわけではないことが良くご理解いただけるものと思います。

しかし、上の記事も、虚心坦懐に読めばこのブログにはクルーグマン氏の発言の引用部分しかあげなかったものの、エコノミスト誌や、 カナダの経済紙『フィナンシャル・ポスト』の内容をあげて、EUの経済対策のまずさを指摘しているわけですから、クルーグマン氏の発言の真意を十分汲み取れると思うのですが、一部の人には、そうではないようです。

いかに、思い込みとか、他の情報源の刷り込みによる影響が大きいか、愕然としてしまいます。

EUは日本がかつて歩んだ道を踏襲しようとしている・・・・・・・

それにしても、クルーグマン氏の態度には、潔さを感じます。自らの、経済理論に間違いはないと確信しているものの、その正しい理論で、日本に対して間違った論評・批判をしてしまったことにはすぐに謝っています。この人の、批判はかなり辛辣なこともありますが、こうした謝罪をするということで、誠実さが感じられ憎めません。そうして、こうしたことができるのは、自分の理論は正しいとの自信のあらわれです。

朝日新聞などとはえらい違いです。無論、これはただ謝っているだけではなく、EUに対する強烈な皮肉でもあるのですが・・・・・・・。

日本のエコミストや、識者、政治家、官僚など、後からどう考えてみても明らかに間違いであるようなことを発言しても、全く謝罪の言葉がありません。日銀の元総裁白川氏などその典型中の典型と思います。こういうのを傍若無人とか、鉄面皮というのだと思います。

それにしても、次にNYTに日本への謝罪を寄稿すべきは誰でしょう。それは、当然NYTに寄稿する日本人の反日カルトでしょう。あとは安倍首相の歴史認識や、首相・閣僚の靖国参拝などを批判したNYT編集部と過去20年のNYT東京特派員でしょう。

それはさておき、そもそも、ヨーロッパの人々には、ローマ帝国への憧憬があって、昔から一つにまとまって、強くなろうという意識がありました。古くは神聖ローマ帝国から、ナポレオンの野望、ヒトラーの野望、そうして今日のEU。そもそも、たとえばポルトガルと、ドイツ、スゥエーデンなど各国の経済はあまりにも違い過ぎます。言語と、習慣もかなり違います。宗教も一様ではありません。私自身は、EU統合は、最初から無理があったものと思います。

ヨーロッパの人々には未だローマ帝国への憧憬がある


上で述べたように、同じ内容の記事を読んでも、受け取る人によって様々です。これは、このような内容を報道するには断片的引用だけでは駄目という格好の事例といえるでしょうか?

私は、断片的引用も駄目ですが、日本では朝日新聞が典型的な例であるようにのあまりにも酷い報道がまかり通っていて、それに多くの人が惑わされたり、扇動されているところがあるという点も考慮しなければならないと思います。

日本のマスコミも、EUや米国のマスコミのように、少なとくも自社が自国の利益と信じる事柄に立脚して報道すべきものと思います。

日本のマスコミは、日本を否定することに立脚して報道しているところがほとんどです。だから、最近では、朝日新聞のように明らかに存立基盤が危うくなってきているだと思います。これは、何としてでも是正すべきものと思います。

それにしても、従来のメディアとは全く異なる、NewsPicsのようなメディアが出てきたことは素晴らしいことと思います。このようなメディアがなければ、私は冒頭のクルーグマン氏の記事を読んで納得するだけで終わってしまったのでしょうが、このサイトの他の人のコメントを読んで、あたかもクルーグマン氏が過去の日本のデフレ対策のまずさへの批判に関して謝罪していると思いこむ人が存在していることを認知して、それに対する反論をコメントしたり、このようにブログに掲載しているわけです。他の人も、大勢そのうようなことをしています。

日本の既存のメディアも、EUももう黄昏時を迎えたのだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

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独占インタビュー ノーベル賞経済学者 P・クルーグマン 「間違いだらけの日本経済 考え方がダメ」―民主党のハイパーマクロ経済大音痴にはつける薬はない?





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2014年9月27日土曜日

【日本人の座標軸(9)】利己欲、大衆迎合、ゆとり教育、欲望の肥大化…「日本の自殺」から学ぶ4つの教訓―【私の論評】日本は自殺しつつあるのか? 本当に自殺しつつあるのは中国ではないか?『中国の自殺』が相応しいタイトルではないか!!

【日本人の座標軸(9)】利己欲、大衆迎合、ゆとり教育、欲望の肥大化…「日本の自殺」から学ぶ4つの教訓

画像はブログ管理人挿入 以下同じ


神戸に単身赴任していた昭和50年頃のことである。帰宅途中にふらっと立ち寄った書店で、「グループ1984年」という匿名グループが執筆している「日本の自殺」と題した論文が掲載された『文藝春秋』に出会う幸せに恵まれた。以下はその要点である。

過去6千年間における21の文明について、栄枯盛衰の歴史のドラマを比較研究した。諸文明の没落の原因を探り求めて、われわれの到達した結論は、あらゆる文明が外からの攻撃によってではなく、内部からの社会的崩壊によって破滅するという基本的命題であった。

トインビーによれば、諸文明の没落は宿命的、決定論的なものでもなければ、天災や外敵の侵入などの災害によるものでもない。それは根本的には「魂の分裂」と「社会の崩壊」による「自己決定能力の喪失」こそにある。

第1の教訓は、国民が狭い利己的な欲の追求に没頭して、自らのエゴを自制することを忘れるとき、経済社会は自壊していく以外にないということである。

第2の教訓は、国際的にせよ、国内的にせよ、国民が自らのことは自らの力で解決するという自立の精神と気概を失うとき、その国家社会は滅亡するほかないということである。

福祉の代償の恐ろしさはまさにこの点にある。エリートが精神の貴族主義を失って大衆迎合主義に走るとき、その国は滅ぶということである。

およそ指導者は指導者たることの誇りと責任とをもって言うべきことは言い、なすべきことはなさねばならない。

第3の教訓は、年上の世代はいたずらに年下の世代にこびへつらってはならないということである。若い世代は、古い世代との厳しいたたかいと切磋琢磨のなかに初めて成長していくものである。

古い世代がやたらに物わかりよくなり過ぎ、若者にその厚い胸を貸し、鍛えてやることを忘れるとき、若者はひ弱な精神的「もやしっ子」になるほかない。

第4の教訓は、人間の幸福や不幸というものが、決して賃金の額や、年金の多少や、物質の豊富さなどによって計れるものではないという極当たり前のことである。

欲望は際限なく広がり、とどまる所を知らないものである。欲望の肥大化のサイクルから解放されて自由にならない限り、人間は常に不平不満の塊りとなり、欲求不満にさいなまされ続け、心の安らぎを得ることはないであろう。

足立勝美(あだち・かつみ)兵庫県立高校教諭、県立「但馬文教府」の長、豊岡高校長などを務め、平成10年に退職。24年、瑞宝小綬章受章。『教育の座標軸』など著書多数。個人通信「座標」をホームページで発信。養父市八鹿町在住。鳥取大農学部卒。76歳。

この記事は、要約記事です。詳細はこちらから。

【私の論評】日本は自殺しつつあるのか? 本当に自殺しつつあるのは中国ではないか?『中国の自殺』が相応しいタイトルではないか!!

この記事を書かれた、足立勝美氏の元記事では、「日本の自殺」に関して、要点と感想も書かれています。上の要約記事では、足立氏の感想はカットさせていただきました。

この「グループ1984年」という匿名グループが執筆している「日本の自殺」と題した論文が掲載された『文藝春秋』ですが、今は手に入りませんが、この論文そのものは、書籍かされていて、現在でも手に入るようです。

日本の自殺 (文春新書 863)
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Amazonで調べて見ましたが、やはり手に入るようですが、現在は品切れ状態のようです。ただし、また入荷するようです。

足立氏による元記事は、日本のことを事例として、たとえば数年前にミイラ化された死体が見つかり、親の死後も年金をもらい続けていた話、民主党政権の話などを事例として感想を述べています。

この書籍の内容は、読んではいないので、書籍そのものに関する論評はしませんが、足立氏の記事に関する論評をしようと思います。

この記事の元になっている論文では、21の文明を検証したとしています。その中には当然中華文明も含まれていることでしょう。

1970年代といえば、日本は上記で示すような様々な矛盾が出ている時代でした。しかし、中国では鄧小平のよる改革・開放路線が始まったばかりで、経済的にも軍事的にもとるにとらない存在でした。

しかし、後でわかったことですが、中国では2010年くらいまでは、毎年平均で暴動が他2万件ほど発生していました。だから、この当時も暴動がかなり発生していたのだと思います。

そうして、経済発展したことを除けば、今と変わらぬ日本などからは理解も及ばない、異質な世界であったと思います。

ただし、当時はインターネットもないですから、人々の伝聞による不確な情報しか得られず、中国の筆舌に尽くし型ほどの異質性はほとんど理解されていなかったのだと思います。

だから、この論文にも、その当時の中国の記載などもあまりなく、日本のことが中心になったのだと思います。

現代中国を念頭におきながら、『日本の自殺』の内容をみてみると、まさに、これは日本というより、現代中国により多く当てはまっているようです。

まず、第1の教訓については本当に現代中国に当てはまっています。

国民が狭い利己的な欲の追求に没頭して、自らのエゴを自制することを忘れるとき、経済社会は自壊していく以外にない。

これは、不動産バブルが崩壊した、現代中国そのものです。とにかく、現代中国人は自らのエゴを自制することもできず、経済社会が自壊しつつあります。これなど、裸官の話一つとっても明らかです。

中国の裸官を揶揄した漫画
中央政府や、地方政府の官僚がこの有り様ですから、一般人民も似たようなものです。とにかく、金になれば何でも良いということで、地溝油なる酷いものを人に平気で売りつけたり、安全でない食品を儲けのためなら平気で売るし、他商品のコピーなども平気で日常茶飯事のことです。


中国の地溝油の業者

日本でも似たようなこともありましたが、それにしても、中国のこれらの危険な食品の間口の広さと、奥行きの深さには、驚かされ、唖然として、怒りを通り越して絶望的になります。私は、今なら中国に行っても、中国のレストランの食事はしないと思います。

第2の教訓も良く当てはまっています。国民が自らのことは自らの力で解決するという自立の精神と気概を失うとき、その国家社会は滅亡するほかないのですが、中国では建国以来いわゆる選挙というものが一回も実施されたことがありません。

それも、国単位でもありませんし、地方レベルでもありません。

国民が自らのことは自らの力で解決しようにも、そもそも選挙権がないということでは、自分たちに関わる大きなことなど、ほとんど何もできません。

厳密な意味において、中国には政治家は一人も存在しません。なにしろ、選挙がないのですから、中国に存在するのは、官僚のみです。この第2の教訓も、ドンピシャで現代中国にあてはまります。

第3の教訓は、年上の世代はいたずらに年下の世代にこびへつらってはならないということですが、現代中国はご存知のように、一人っ子政策を実施してから随分たちますし、現在でも実施中です。

そのため、多くの子どもがかなり甘やかされて育ち、自己主張が強くなっています。そのため、子どものことを小皇帝と呼ぶ有り様です。子どもの頃から甘やかされて育った子どもどうなるのか、想像にあまりあります。

子どもの頃から甘やかされて育った小皇帝

軍事評論家の、井上和彦氏は、「戦争になったら一人っ子の兵士は我先に後方へ逃げていく」としています。これに関しては、以下の動画をご覧になって下さい。



第4の教訓は、人間の幸福や不幸というものが、決して賃金の額や、年金の多少や、物質の豊富さなどによって計れるものではないというものですが、現代中国は、1907年代から始まった鄧小平主導による改革により、すっかり金銭的な尺度のみが定着し横行してしまいました。

鄧小平の改革のスローガンは、「富めるものから富め」というものですが、確かに富裕層ができたものの、貧困層も増える一方で、今の中国はとんでもない状況になっています。

現状では、「富めるものから富め」というスローガンがそのまま生き残り、富の偏在化がさらに拡大されているだけです。

こうみてくると、1970年代に発表された「日本の自殺」は、「現代中国の自殺」を言い当てているのではないかと思えてくるほどです。

足立氏は、民主党政権を例に出して、「鳩山、菅、野田と続いた民主党政権はこのとおりであった。いま振り返ってみると全く、ひどかった。何も決めないし、決められなかった。この様子を、かつての野田首相からとって“のだる”という流行語が若者の間で流行したものだ」としています。

私自身としては、あのトンデモない民主党政権を誕生させてしまいながらも、日本が内乱状態にもならず、日本という国体も崩さず、結局崩壊してしまったということを評価しています。

日本は、民主党政権という愚かな政権が政権の座についても、何とか統治された、まともな国だということです。

それが、間違いか正しいかは別にして、現中国で政権交代など絶対に起こりえません。体制が崩壊して、新しい体制になることは、あっても現体制の中で、民主的な手続きによって、それまでとは全く異なる政権が新しい体制を創りだすなどということはありません。

こうしたことを考えると、日本は素晴らしい国だと思います。

そうして、私達としては、確かに「日本の自殺」による教訓は、現代では日本よりは、「中国」のほうが当てはまるのですが、これを他山の石として、日本のことを考えていくべきと思います。

その意味では、『日本の自殺』は多いに参考になる論文であり、今なお読まれ続けているのだと思います。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

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2012年7月18日水曜日

【国際政治経済学入門】税収減、失業増…消費増税失敗 英の教訓―【私の論評】増税はまだ本決まりではない!!まだ防ぐ機会はある!!

【国際政治経済学入門】税収減、失業増…消費増税失敗 英の教訓:



ロンドン五輪まであと1週間余り。英国全土は、聖火リレーなど華やかな関連行事で沸いている。が、経済社会に目を転じてみると、かなり暗い。

2010年5月に発足したキャメロン保守党・自由民主党連立政権は、さっそく付加価値税率17.5%を11年1月から20%に引き上げる緊縮財政政策を決定した。他にも銀行税を導入するほか、株式などの売却利益税の引き上げ、子供手当など社会福祉関連の予算削減にも踏み切った。他方で法人税率を引き下げ、所得税控除額も12万円程度引き上げ、成長にも多少配慮した。(グラフ下参照)

こうして国内総生産(GDP)の10%まで膨らんだ財政赤字を15年度までに1.1%まで圧縮する計画なのだが、結果は無残である。

グラフを見ればよい。付加価値税収は11年から激減し、この5月までの1年間でも前年同期比でマイナス8.4%減である。個人消費動向を示す消費者信頼指数は08年9月のリーマン・ショック時よりもっと冷え込んでいる。景気の悪化を受けて、所得税収、法人税収とも前年同期比マイナスに落ち込んだ。政府債務残高のGDP比は11年末で85.7%(10年末79.6%)と増え続けている。


窮余の一策が、中央銀行であるイングランド銀行(BOE)による継続的かつ大量の紙幣の増刷(量的緩和)政策である。BOEといえば、世界で初めて金(きん)の裏付けのない紙幣を発行し、フランスなどとの戦争費用を政府に提供した中央銀行であり、その大胆さは世界でもずぬけている。

BOEは11年秋から英国債を大量に買い上げ、ポンド札を金融市場に流し込んでいる。BOEはリーマン・ショック後、米連邦準備制度理事会(FRB)に呼応して量的緩和第1弾に踏み切ったが、インフレ率が上昇したのでいったんは中断していた。

インフレ率は5%前後まで上昇したが、そんなことにかまっていられず、ことし5月にはリーマン前の3.7倍にまでマネタリーベース(MB)を増やした。幸い、インフレ率は需要減退とともにこの5月には2.8%まで下がった。国債の大量購入政策により、国債利回りも急速に下がっている。ポンドの対米ドル、ユーロ相場も高くならずに推移し、ユーロ危機に伴う輸出産業の競争力低下を防いでいる。


英国のお札大量発行は増税に伴う経済災害を最小限に食い止める大実験なのだが、財政政策面ではブレーキをかけたまま、金融政策でアクセルを踏むわけで、効果ははかばかしくない。

量的緩和政策を渋る日銀が、今後仮に英国のように政策転換したとしても、脱デフレや景気てこ入れ効果は限られるかもしれない。

自動車など主要企業は国内生産に見切りをつける。若者の雇用機会は失われ、慢性デフレで細った勤労者の家計はジリ貧になる。税収は減り、財政悪化に加速がかかる。

衆院解散総選挙が気になる増税3党はあわてて、東日本大震災からの復興予算の上積みや「列島強靱(きょうじん)化」を名目にした公共事業の積み上げを言い出す始末で、いかにもドロナワ式だ。景気が気になるから、増税前に財政のばらまきに走ると言うなら、建設国債でも発行して大型財政出動に踏み切るのが王道というものだ。まずは、英国の増税失敗を教訓にして消費増税を撤回すべきなのだ。

(特別記者・編集委員 田村秀男/SANKEI EXPRESS)

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【私の論評】増税はまだ本決まりではない!!まだ防ぐ機会はある!!



イギリスのインフレ率

上の記事にもある、イギリスの経済について、あのノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン氏が、以下のようなことを語っています。


インフレ懸念論は大間違いだときっぱり言い切るぼくらに対して,イギリスが反例に出されることがあった――「イギリスは高失業率な上にあちこちで経済停滞がみられるけれど、インフレ率は上がりっぱなしじゃないか!」なんてね。これはたんに一度っきりの特別な出来事(ポンドの下落、付加価値税の引き上げ、一次産品の値上がり)が続いただけで、インフレはやがて低くなっていくよ、と反論しても、バカにされたっけ。
これは、不況時であっては、増刷するべしというクルーグマンらの主張に対して、そんなことをすれば、ハイパーインフレになるだけで、不況から脱することはできないとする人々から、良くイギリスが引き合いに出されていたことに対するクルーグマンの反証です。




これは、上の記事にもあるように、イギリス中央銀行であるイングランド銀行(BOE)による継続的かつ大量の紙幣の増刷(量的緩和)政策を打ち出し実際にインフレが続いていたことから、クルーグマンなどが言っていること間違いであるとして、格好の事例として、増刷反対派などが良く引き合いにだしていたものです。

上で、クルーグマンを馬鹿にした人たちの中には、無論、政治家も含まれます。しかし、上のグラフを見ている限り、クルーグマン氏を馬鹿にした人たちが馬鹿だったということです。

本当に馬鹿で間抜けですね。私も、イギリスのインフレ率はいずれ下がっていくものと思っていました。本当にそのとおりになりました。それにしても、ハイパーインフレ論者って、どうして、現実を見ようとしないのでしょうか。

増税して、増刷ですから、不自然といえば、不自然です。本来は、増税せずに、景気対策として、財政出動ならびに増刷をして、景気が回復して、インフレが加熱してきたところで、増税するべきでした。こんな異常なことをするから、増刷の効果が薄れて、景気がなかなか浮揚しません。当たり前の真ん中です。

そうして、このようなことがわからない政治家が、他の国にもいます。無論、それは、消費税増税で三党協議をした民主・自民・公明の政治家です。こちらの馬鹿さ加減は、上の馬鹿よりもはるかに上回っています。

上のインフレ率のグラフを見て下さい。イギリスは、ここしばらく、1%以下にインフレ率が下がったことがありません。しかし、日本はといえば、デフレです。デフレとは、このグラフで、インフレ率が0未満ということです。

そうして、日銀は、インフレ目処1%などと称して、何やら、インフレ率を1%以上にするというのてではなく、上限を1%にすることにばかりこだわっています。!%を少しでも超えそうな勢いになると、追加緩和措置をすぐに取りやめるという状況です。あいかわらず、金融引締めばかりやっています。

このような状況で、増税したとすれば、増税する前からイギリスよりも悪い状況なのに、さらに、これを悪化させるだけです。イギリスの反省から学ぶまでもなく、今の日本で必要なのは、政府による大規模な財政出動と、日銀による量的緩和による金融緩和です。この二つを同時にやることです。

それになのに、全く逆のことをやり続けデフレを維持し、それどころか、今度は、増税でさらにとどめを刺そうとしています。

こんなことをすれば、本当に上の記事のように、若者の雇用機会は失われ、慢性デフレで細った勤労者の家計はジリ貧になる。税収は減り、財政悪化に加速がかかることになります。


増税法案は、マスコミなどではもう本決まりのような扱いですが、そんなことはありません。まだ参議院を通過していません。それに、平成14年の4月から増税するか否かは、来年の9月に決定します。


まだ、増税を防ぐ機会が二度あるということです。特に、来年9月までには、必ず衆議院議員選挙があるものと思います。私たちは、この機会を最大限に生かして、増税を絶対阻止するため、増税を主張する馬鹿な候補者ではなく、増税しないことを主張する候補者に一票を投じるべきと思います。皆さんは、どう思われますか?



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