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2020年6月27日土曜日

【日本の解き方】秋の3次補正と衆院解散観測 経済対策の柱は消費税の減税…予備費10兆円活用で対応可能 — 【私の論評】安倍総理は、先進国定番の大規模な財政出動・無制限の金融緩和政策を実行し、再び強運を引き寄せろ!(◎_◎;)

【日本の解き方】秋の3次補正と衆院解散観測 経済対策の柱は消費税の減税…予備費10兆円活用で対応可能 


自民党の甘利税調会長

 自民党の甘利明税調会長がロイターとのインタビューで、「新型コロナウイルスからの復興に向けて、秋に本格経済対策を打つ予定」だと発言した。対策発表後には「安倍晋三首相が、衆院解散を行う可能性はゼロではない」とも指摘している。

 衆院議員の任期は来年10月までだ。今年10月で丸3年となるが、これまでの歴史では、任期途中で衆院が解散されることが多く、平均任期は3年弱となっている。

 今回は新型コロナウイルスの感染拡大で、東京五輪・パラリンピックが1年延期された。ということは、来年には、それに関連した各種イベントがめじろ押しになることが予想され、解散総選挙どころでなくなるかもしれない。

 逆に各種イベントがないこの夏の政治スケジュールは空いており、コロナ禍によって海外への渡航も制限されている。そこで政治家同士の国内会合があると、話題は総選挙の話題になり、これまでの経緯から「4年目はないだろう」となる。

 しかも、4月と5月の経済状況は、緊急事態宣言による各種の自粛活動もあってひどいものだ。それらが解除された6月以降、経済活動はやや持ち直しがあるが、それでも平年並みに戻るまで3カ月から半年を要するだろう。2回の補正予算により、50兆円程度の有効需要は創出されたが、国内総生産(GDP)の落ち込みをカバーするにはまだ力不足で、3次補正が必要だ。

 そこで、任期3年目が終わる10月までに補正予算のための臨時国会の招集、そこでの衆院解散というストーリーは自然に出てくるわけだ。

 ポイントは消費税減税だ。全国民への10万円の特別定額給付金は、地方事務として行ったこともあってあまりに手間がかかり予想通り日数を費やした。麻生太郎政権時代に実施した経験から、時間がかかることを見越した上で、2回目の給付金を阻止するという陰謀でもあったのかと邪推しそうになるほどだった。だから、筆者は海外の標準策である政府小切手の送付を主張した。

 それに比べれば、消費税減税や社会保険料減免は、効果がすぐ出る政策だ。

 甘利氏は別のインタビューで、消費減税について、財政に与える影響が大きいとして強く否定している。

 ただし、2次補正で予備費が10兆円あり、あと3兆円の追加補正をすれば、1年間の時限措置として消費税5%分の減税の財源確保ができ、甘利氏の懸念はなくなる。

 緊縮財政のドイツですら消費減税をやろうとしている。日銀の金融緩和政策との合わせ技なら、財政問題が生じない。

 今回のコロナ・ショックは、生産の落ち込みもあるが、それを上回る需要の落ち込み、特に消費需要の消滅の影響が大きい。これを喚起するには、消費減税が政策として望ましい。

 経済対策といいながら、消費減税を外すのは、まさに画竜点睛(てんせい)を欠くというものだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】安倍総理は、先進国定番の大規模な財政出動・無制限の金融緩和政策を実行し、再び強運を引き寄せろ!(◎_◎;)


今年の3月、昨年10月の消費増税の影響を受けた10~12月期のGDPが前期比7.1%減(年率換算)という衝撃的な経済統計が発表されました。しかし、コロナショックの影響が含まれた今年1~3月期は前期比3.4%減(同)、4~6月期も前期比25%減程度(同)というすさまじい数字が出るでしょう。このGDPを取り戻すには、総額で50~100兆円の真水が必要になります。

第2次補正予算では、25兆円の真水を出すべきだったのです。そうして最低ラインの50兆円になりました。2回目の10万円給付、家賃減免や雇用調整金の増額など、実施すべきことはいくらでもあります。

労働者の休業手当を助成する雇用調整助成金は、事業主が毎月支払っている雇用保険料の一部が原資です。民間保険なら〝万が一〟のとき、だいたい1週間以内で保険金を受け取れるはずです。

ところが、雇用調整助成金は申請が通るまでに1カ月以上もかかってしまうのです。実際4月下旬で2~4月に申請された案件の1%しか認可されていないとのことです。

雇用調整助成金について説明する厚生労働省のHP

これでは全く〝保険〟ではないではありませんか。事業主はいったい、何のために雇用保険料を支払ってきたのでしょうか。それは、今回のような万が一のためです。その万が一がいまやってきたのです。官僚は自らの天下り先に潤沢な資金を使ってきたはずなのに、天下り先の事業者も含まれるであろう、事業主に対してここでケチるなど全くもって信じられないことです。

財務省は、何のために省益を追及するかといえば、高級官僚が天下り先で、超リッチなセレブライフを謳歌するためのものであったはずです。無論私は、これが正しいことだと言っているわけではありません。

財務省の立場に立ったとしても、財務省はその省益すら忘れて、ひたすら緊縮に走るようになってしまったのかと思ってしまいました。だとしたら恐ろしいです。本来の自分たちの目的も忘れ、ひたすら緊縮に走ることが善であるという、宗教団体にでもなってしまったのでしょうか。

この未曾有の緊急事態のど真ん中で、国際情勢や国内情勢にも無頓着な財務省の盲目的な緊縮イデオロギーこそ〝日本の敵〟であることがはっきりしたと思います。その最中に、専門家チームに経済の専門家4人が加わりました。しかしメンバーの1人、小林慶一郎東京財団政策研究所研究主幹は筋金入りの増税派、財政破綻論者です。東日本大震災後のように、「復興税」が導入されるようなことがあれば、日本経済は終わりです。


これは、自民党の主導で第2次補正予算が検討されたので、財務省が〝緊縮牽制球〟を投げたのでしょう。西村康稔経済再生担当相はツイッターで、「(前略)任命に際し本人と何度も話しました。最近の氏の論文では、今は財政再建にこだわらず国債発行してでも厳しい状況にある人の支援を行うべきと、財政支出の重要性を主張しています。経産省の後輩でもあります」と投稿しましたが、大丈夫でしょうか。

財務省は復興税だけでなく〝2匹目のドジョウ〟を狙っている気さえします。緊急経済対策で財政支出を強いられるので、財政悪化を理由に復興税、その勢いで消費税も12%、15%へホップ・ステップ・ジャンプという具合に増税キャンペーンを始めるかもしれません。要注意です。

一方、日銀は4月27日の金融政策決定会合で、国債の買取について「年間80兆円」という上限の撤廃を決めました。無制限の国債買取は米国のFRB(連邦準備制度理事会)、ECB(欧州中央銀行)も実施していることです。しかし上限を撤廃ところで、これが現実的な財政出動に結びつかなければ意味がありません。

「無制限」というと聞こえは良いですが、日銀の年間国債買取額は2016年9月に長期(10年物)国債金利を0%程度で推移するように国債を買い入れるイールドカーブ・コントロールを導入してから、年間20兆円ベースに減っていました。これでは、白川方明前日銀総裁の頃と変わりません。〝黒田バズーカ〟は鳴りを潜め、黒田総裁の〝白川化〟してしまい「80兆円枠」は実績と乖離し、有名無実化していました。コロナショックを口実に撤廃しただけのことです。

わざわざ「無制限」といわなくても、20兆円ベースの現場では60兆円くらい国債を追加購入する余裕は十分ありました。25兆円の真水など造作もなくできたのです。これからは口だけでなく、実際にどれくらい購入するかが重要です。政府・日銀の連合軍をつくり、財政を気にしないでカネを刷れば良いのです。

これについてはこのブログでも何度が主張しましたが、政府が発行した国債を日銀が買い取れば、財政への負担はありません。利払い費が国庫納付金として政府に戻るくらいですから、財政負担など全くありません。

国債を日銀がいくらでも買い取るという仕組みはできました。政府と日銀は協調して、前例のない大規模な財政出動を行うべきです。思い切って「3年間消費税0%」というスローガンを打ち出せれば、国民も元気になると思います。

党派を超えて減税運動が起きていますが、消費減税は是が非でも実現させるべきです。「ゼロ」はムリなら、時限的に5%へ下げるべきです。社会保険料の免除もすぐに実行すべきです。「支払猶予」じゃなく、「免除」です。社会保険料はすべての国民が払っているのですから、止めるのも簡単です。なぜ実施しないのか、本当に不思議です。

今の状況を見ていると、ある意味で安倍首相は強運な政治家だと思います。昨年10月の消費増税に加えて、今春に予定されていた習近平の国賓招聘が実現していたらどうなっていたでしょうか。日本経済も復活させられず、安倍首相の肝煎で確立させた対米機軸外交も台無しになったでしょう。

保守層の総スカンを食らってオリンピック後、自民党内外の安倍おろしの圧力にあい惨めに首相の座を降りるだけだったでしょう。しかしここで、誤解を恐れずにいえば、安倍首相にはコロナショックという機会が巡ってきたのです。財務省との戦いに勝ち、大規模な経済対策を実施できれば、もう一度求心力を高めることができるはずです。

安倍首相には2度目の〝ちゃぶ台返し〟で、家賃補填、休業補償の拡充と消費減税を実現すべきです。ただ、安倍首相のまわりには緊縮イデオロギーに染まった人たちが囲っています。与野党問わず政治家は相変わらずですし、軽減税率という〝毒まんじゅう〟を喰らった新聞も、社会保険料の据え置きや法人減税というニンジンをぶら下げられた経済界も財務省の味方です。

それでも第1弾の緊急経済対策はギリギリ合格点であったように、大規模な財政出動・無制限の金融緩和という先進国の〝定番政策〟に近づいています。そして国民のマクロ経済政策への理解は、東日本大震災のときよりはるかに高まっています。これが日本経済復活への一縷の望みです。

安倍首相は、大規模な財政出動・無制限の金融緩和でふただび強運を引き寄せていただきたいです。そうすれば、また総裁選四選の目も出てくるかもしれません。



私自身は、安倍総理の政策を是々非々で見ており、安倍首相ファンというわけではないのですが、現行の安倍政権は、過去20年では、無論満足とはいかないまでも、最もパフォーマンスの良い政権だと思います。それにポスト安倍の顔ぶれを見ていると、いずれを見ても安心できないのです。特にマクロ経済と安保の両方に関してある程度は妥協したとしても、それでも安心して任せられると思える人材が見当たらないのです。

無論野党にも残念ながらそのような人材は見当たらないのです。本当に情けないです。安倍首相には、ポスト安倍を一度だけ実行していただき、次世代の首相にふさわしい人物を選ぶなり、育てるなどをしていただきポスト安倍の日本の安寧をより確かなものにしていただきたいのです。

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2016年12月15日木曜日

衆院解散 1月見送り 安倍晋三首相決断、来秋以降―【私の論評】蓮舫・民進党の体たらくと財務省の弱体化で安倍首相は政局運営がやりやすい(゚д゚)!

衆院解散 1月見送り 安倍晋三首相決断、来秋以降

最近の安倍首相
 安倍晋三首相(自民党総裁)は、来年1月の衆院解散を見送る方針を固めた。各種情勢調査の結果を分析した結果、現状で衆院選を実施すれば、自民、公明両党で3分の2超を有する現有議席を割り込む公算が大きく、衆院任期2年弱を残して勝負を打つメリットはないと判断した。来夏は東京都議選が予定されているため、次期衆院選は来秋以降にずれ込む見通し。

 首相は、年末か来年1月の衆院解散を選択肢の一つとして、自民党の古屋圭司選対委員長に所属議員の集票力などを調査・分析するよう内々に指示していた。若手議員の一部差し替えも検討したが、民進、共産両党などが共闘して各選挙区の候補者を一本化した場合、自民党の現有議席(292議席)を割り込み、与党の議席数が3分の2を下回る可能性が大きいことが分かった。

 加えて、衆院任期を2年近く残して厳冬期に衆院選に踏み切れば「党利党略で国民を振り回すな」という批判が強まりかねない。首相はこのような情勢を総合的に勘案し、1月解散を見送った。首相は周囲に「1月の解散はない。メリットはない」と語った。

 来年の通常国会では、平成29年度予算案などに加え、天皇陛下の譲位に関する法整備など重要案件を抱えている。米英伊比など各国で首脳交代が相次いでいることもあり、首相は今後、外交・安全保障や内政などの政治課題に全力を傾注する構え。

 首相の悲願である憲法改正に関する審議は来秋の臨時国会以降に持ち越されることになる。このため、憲法改正の本格審議を前に、首相が来秋に衆院解散するかどうかが政局の焦点となる。合わせて日本維新の会など第三極勢力の動きが活発化する可能性がある。

 ただ、民進党の支持率は低迷を続けている上、蓮舫代表が「二重国籍」問題を抱えていることもあり、与党内では早期解散を望む声は少なくない。来年の通常国会冒頭で28年度第3次補正予算案を成立させ、速やかに解散すべきだという意見もくすぶっている。

【私の論評】蓮舫・民進党の体たらくと財務省の弱体化で安倍首相は政局運営がやりやすい(゚д゚)!

首相の来年早々の衆院解散については、このブログでも何度か掲載し、昨日の記事にもその話題に触れました。昨日の私の結論は来年早々の解散はないであろうとのものでした。昨日この話を掲載した途端に本日産経のこの報道が本日の夕方5時にあったので、本日はこの記事を掲載し、解説を加えることとしました。

なお、この首相の来年1月の衆院解散見送りの報道は、いまのところは新聞では、産経新聞だけのよううです。テレビなどでもほとんど報道されていません。

昨日のこのブログの記事のリンクを以下に掲載します。
GDP下方修正を読み解く 再びデフレ突入の瀬戸際も「600兆円」は達成可能―【私の論評】来年こそは安倍首相が財務省無視で、積極財政を推し進める(゚д゚)!
 
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、昨日の記事では、以下で述べる背景から、来年早々の衆院解散はないであろうと結論づけました。
①次の選挙戦で野党共闘が実施されれば、与党は議席をかなり多く失う可能性がある。
➁蓮舫民進党の体たらくと、強力だった政治集団財務省の弱体化により、安倍総理として政局を含めてかなりいろいろなことがやりやすくなった。
以上の二点から、来年早々の衆院解散はないであろうと結論を下しました。ただし、今から考えると、世界情勢の変化なども大きく影響を与えたと思います。ブログ冒頭の記事には掲載されていませんが、米国の大統領かトランプ氏に決まったこと、そうしてお隣韓国で朴槿恵政権が死に体になっていることも影響したと思います。

ところで、注目を集めた党首討論で安倍総理にこてんぱんにやられ、論理的に言い返せなくなった蓮舫氏はヒステリックに安倍総理を「嘘つき」「逃げる」「答えない」などとブーメランな言葉を吐きまくりました。

そのときの様子が風刺画になって、現在ネット上で実に的確であると話題になっています。その風刺画を以下に掲載します。




ブーメランを投げるどころか間髪入れずに自分の頭にぶち込む蓮舫氏の様子はまさに現実であった討論の様子そのもののようです。対する安倍総理は唖然としており、理解できない言行を繰り返す蓮舫氏に驚いています。

この風刺画をつくったのは絵を描くのが趣味というTwitterユーザーの「ヒカル@zwSZkh6wB2p5F9J」さん。投稿はあっという間に話題になり、即日3,000リツイートを超えて拡散されました。

党首討論など、普通はあまり話題にならないのですが、蓮舫氏の党首討論での振る舞い、発言があまりに上記を逸していたので、ネット上でもかなり話題になっています。

蓮舫氏は未だに二重国籍問題に関しては、はっきりさせず、未だに不明瞭です。そのためか、以下のようなピコ蓮舫の風刺画もネット上に人気を博しています。残念ながらこれを作成した方は誰なのか不明です。


このような時期には、選挙をするというより、安定的な政局運営をすべきと首相は判断したのだと考えられます。蓮舫氏は安倍政権の強力なチアリーダーをやってくれているのですから、確かにこれを利用しない手はないと思います。

そうして、上の記事に掲載してあるように、首相の悲願である憲法改正に関する審議は来秋の臨時国会以降に持ち越されることになりそうです。

そうなると、憲法改正に関する審議をするために、安倍政権が何をすべきかが、見えてきます。

それは、憲法改正審議の直前までに、なるべく内閣支持率を上げることです。そのためにできることのうち、最もやりやすくてかつ、効果のあるものは、やはり経済対策です。



これに関しては、この記事でも掲載したように、金融政策においてはさらなる量的緩和の拡大で、失業率を2.7%くらいまでにすることです。そうして、金融政策の効き目にはある程度のタイムラグがあり、来年秋ころまでにすぐに効果は出ない可能性もあるので、やはり、強力な積極財政政策を打ち出すことが考えられます。

過去を振り返ってみると、安倍政権における経済対策は、金融緩和はうまくいき、雇用状況はかなり良くなっていますが、残念ながら、財政政策においては、8%増税を実施してしまったため、その悪影響が未だに続いており、GDPの伸びは低迷していて、デフレに逆戻りしそうな状況にあります。

残念ながら、安倍政権が成立してからも、なぜか大規模な積極財政策は見送られるどころか、増税して、その悪影響を避けるために、補正予算を組むなどという、なんともちぐはぐな経済対策が行われるという有様でした。

この状況は何が何でも変えなければなりません。変えなければ、健忘改正までに経済を上向かせるようなことは到底無理です。大規模な28年度第3次補正予算案を打ち出すのは当然のこととして、消費税増税の悪影響の克服関しては、減税などの積極財政を打ち出すべきです。

安倍首相が、財務省の意向など完全無視して、選挙で民意を問うこともなく、安倍政権の裁量でこれを実行することができれば、経済はかなり上向き、憲法改正審議もうまくことが期待できます。

来年、安倍総理がまさに、財務省とは関係なく、政治主導でどの程度の積極財政ができるかによって、憲法改正への道が開かれる開かれないかの分水嶺になります。

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