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2020年5月19日火曜日

中国ファーウェイを潰す米国の緻密な計算…半導体の供給停止で5Gスマホ開発が不可能に―【私の論評】米国は逆サラミ戦術で、中国の体制を変換させるか、弱体化しつつあり(゚д゚)!

中国ファーウェイを潰す米国の緻密な計算…半導体の供給停止で5Gスマホ開発が不可能に

文=渡邉哲也/経済評論家



アメリカが、中国の通信機器大手である華為技術(ファーウェイ)への規制を強化した。米商務省は、すでにファーウェイを禁輸措置対象に指定しているが、今後はファーウェイや関連会社が設計に関与する半導体は外国製であっても、アメリカの製造装置を使用している場合は規制の対象となる。従来の抜け穴を完全にふさいだ形だ。

 また、現在の「アメリカ由来の技術やソフトウエアが25%以下」の部分も「10%以下」に変更される予定になっており、そうなれば、ファーウェイはほとんどの海外技術が使えない事態に陥る。さらに、ファーウェイが使用しているSoC(複合CPU)は半導体受託生産の世界最大手である台湾積体電路製造(TSMC)の製品であるが、TSMCはファーウェイからの新規受注を停止したことが報じられた。TSMCからの供給が絶たれることで、ファーウェイは5Gに対応する各種通信機器を生産することができなくなる。

 以前から、アメリカはTSMCに生産拠点を自国に移転することを求めており、TSMCはアメリカのアリゾナ州に最先端の半導体工場を建設することを発表していた。これは5nmの最新プロセスに対応したもので、総投資額は120億ドル(約1兆3000億円)になる見通しだという。また、日本もTSMCとの連携を含む半導体の国内生産回帰を後押しし始めており、今後は日米政府の支援下で、日米台が連携する形で先端技術開発が進むことになるのかもしれない。

 いずれにしろ、アメリカの規制強化とTSMCの新規受注停止により、ファーウェイは新規の半導体の設計すらできない状態に追い込まれることになるだろう。

半導体市場で“窒息”するファーウェイ

 現在、半導体生産はファブレスの設計会社とファウンドリ(受託生産会社)による分業が進んでいる。また、設計に関しても、アームなどのCPUの基本回路、半導体版CADに該当するシノプシス、ケイデンス・デザイン・システムズ、メンター・グラフィックスのアメリカ3社の協力なしでは、新規の開発はできない。

 また、設計だけでなく、TSMCなどからの販売を禁止することで製造の部分も押さえているため、ファーウェイは最先端プロセスでの半導体が手に入らなくなるわけだ。これに対応するために、中国は中芯国際集成電路製造(SMIC)にオランダのASMLの半導体製造装置の輸入を画策していたが、これもアメリカに止められている。そのため、現行の14nmプロセスが最新ということになるわけだが、これでは低消費電力と小型化が求められる5G対応の最新スマートフォンなどに使用することはできない。

 その上で、アメリカの規制を破った企業にはドル決済禁止や巨額の罰金などの厳しい制裁が課されることになっており、それは企業の倒産を招くことになる。中国は巨額の報酬で人を集めているが、これは製品販売だけでなく技術移転の禁止でもあるため、人も制裁対象になる。

 そして、制裁の対象になった人は、得た利益と個人資産を没収され、長期の懲役刑が待っている。外国であっても、犯罪人引き渡し条約があればアメリカに身柄が引き渡されることになり、同時にアメリカは世界中の銀行口座を監視しているため、外国資産であっても凍結や没収の対象になるのである。

 すでに、アメリカの大学内では“スパイ狩り”が始まっている。中国は「千人計画」の名のもとに世界中の研究者に資金援助を行い、技術移転を求めてきたが、これは本来、米当局への許可や報告が伴わなくてはならない。現状では、最先端分野の研究に関して許可が下りる可能性はないに等しく、多くは無許可無報告で行われていたわけだ。これに対して、順次調査が進んでおり、摘発が相次いでいる。

 また、アメリカは新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、中国に滞在する約7万人の自国民に帰国命令を出しているが、そのほとんどがホワイトカラーであり、技術者や研究者である。

 通信業界では、NTTが主導する形で2025年に5.5G、30年に6Gの採用が始まる予定になっており、日本の通信および半導体メーカー復活に向けての希望となっている。そして、これはインテルやマイクロソフトなど米企業との協力と連携によるものであり、日米両政府が支援するプロジェクトだ。必然的に、この枠組みからファーウェイをはじめとする中国企業が外されることは必至である。

 アメリカの一連の対応は、まるで詰将棋を見ているかのようではないだろうか。

(文=渡邉哲也/経済評論家)

【私の論評】米国は逆サラミ戦術で、中国の体制を変換させるか、弱体化しつつあり(゚д゚)!



TSMCはアリゾナ州と米国政府からの詳細不明の「支援」を受け、120億ドルを投じてアリゾナ州に次世代製造工場を建設する計画を5月15日(米国時間)に明らかにしました。この工場は、新しい5ナノメートルプロセス技術を使用したチップを生産可能で、最初の商用ロットは2024年に生産予定だといいます。

ナノメートルとは10億分の1メートルのことであり、ナノスケールでの製造には原子レヴェルの操作が必要になります。TSMCによると、アリゾナ州の工場は月20,000枚の半導体ウェハーを生産し、ハイテク分野における1,600人以上の雇用を創出するといいます。

TSMCは、アップルやNVIDIA、クアルコムを含む米国の大手企業にとってマイクロチップの重要な調達先です。TSMC製のチップは最新のiPhoneにも搭載されており、最近の人工知能(AI)の進歩を支えています。ところがTSMCは、ファーウェイの半導体子会社であるハイシリコン(海思半導体)が設計した重要なチップも製造しています。

今回の工場誘致は、トランプ政権とアリゾナ州にとっては大きな勝利です。なぜなら、TSMCは、まさに半導体技術の最先端を走っているからです。

トランプ大統領は大統領選において、17年にフォックスコン(鴻海科技集団)が発表したウィスコンシン州の工場の場合と同様に、アリゾナ州の工場を自分の交渉力と雇用創出能力の高さを示す証拠だと言い張るかもしれなです。ところが、ウィスコンシン州のプロジェクトはその後、大幅に縮小されています。

TSMCの新工場は比較的小規模であり、24年までには最も先進的な工場とは言えなくなっているでしょう。TSMCは自社の最高技術の米国への移転を警戒しているかもしれないです。TSMCはまだ3ナノメートル技術を開発している段階ですし、それに産業スパイが暗躍している舞台は中国だけではありません。

上の記事にもあるように、米商務省産業安全保障局は、ファーウェイが米国の技術で製造された半導体を使用することを制限する目的で、外国で製造された直接製品に関する規則を改定すると15日に明らかにしています。これはTSMCに合わせた協調的な動きの一環である可能性があります。

実際にTSMCを含むほとんどの半導体メーカーが、米国の技術を製造に利用しています。ということは、この規則の改定は、TMSCを含む国際的企業が製造する先進的な半導体から、ファーウェイを実質的に締め出すことになります。それは世界第2位のスマートフォンメーカーにとって大きな痛手となり、米中関係を破壊する“爆弾”となる可能性もあるのです。

最高クラスのチップへのファーウェイのアクセスを遮断することは、逆の見方をすると、中国がグーグルとアップルを同時に“殺そうとしている”ようなものです。おそらく、中国は中国で製造している米国企業または中国に販売している米国企業を標的に、中国が報復措置に出てくるでしょう。

中国政府は以前、ファーウェイへのさらなる規制が実施されれば、アップル、シスコ、クアルコムなどの米国企業を「信頼できない事業体リスト」に追加し、規制を課すことになると主張していました。中国政府はこの措置の実行を進めると同時にボーイングの航空機の購入も見合わせると、中国の政府筋は中国政府系メディア『環球時報』に伝えています。

知的財産権の窃盗や中国政府とのつながりが疑われることから、トランプ政権は先進テクノロジーへのファーウェイのアクセスを制限することに意欲的です。米国の諜報機関関係者のなかには、先進的な5G技術の世界各国への提供におけるファーウェイの主導的地位を特に懸念する向きがあります。

ファーウェイの5G技術が、中国の諜報機関に多くのグローバル通信への“侵入口”を実質的に与える可能性があると考えているからです。

ウィルバー・ロス商務長官は声明のなかで、新たな制限措置は「米国の技術が米国の国家安全保障や外交政策の利益に反する悪意ある活動を可能にすることを防ぐだろう」と述べています。商務省は米国の技術を中国で利用する動きに対して、幅広い規制を設けることを提案しています。

ウィルバー・ロス商務長官

これらのふたつの出来事は、半導体製造の進歩が大国間の競争と防衛戦略にとっていかに重要であるかを浮き彫りにしています。これらの出来事は、新型コロナウイルスの影響を受けて深刻化した米中関係の急速な悪化も反映しています。

米国政府は、中国への依存度が低いサプライチェーンの構築を目指しながら、米国企業への最先端部品の供給を保証することにも意欲的です。TSMCは中国の上海と南京で2つの工場を運営しています。

TSMCは、7ナノメートル規模の高度な生産技術によって半導体を製造できる数少ない企業のひとつです。生産プロセスが微細化するほど、チップの性能を高めることができます。

そうして製造された半導体は、スマートフォンなどの一般消費者向け機器や、オンラインサーヴィスを支えるクラウドコンピューティングプラットフォームの基盤に使われることになります。インテルも同様の高度なプロセスを利用して米国でマイクロプロセッサーを製造していますが、他社向けのチップは扱っていません。

中国が競争力のある半導体製造産業を構築しようと数十年にわたって躍起になってきた事実は、この種の技術の習得に莫大な投資と時間が必要であることを浮き彫りにしています。中国最大の半導体ファウンドリーである中芯国際集成電路製造(SMIC)は、最近14ナノメートルプロセス技術を使用してファーウェイ向けチップの製造を開始しました。

一部の業界関係者は以前から、ファーウェイを含む中国のテック企業に対する規制の強化が裏目に出て、中国が米国の技術に代わる代替技術の開発を加速させる結果に終わる可能性を示唆していました。そうは言っても、必要とされる半導体製造能力を中国が開発するには、まだ何年もかかるでしょう。

旧ソ連による人類初の人工衛星の打ち上げ成功が西側諸国に衝撃を与えたスプートニク・ショックのときのように、今回の動きは中国のハイテク部門を新たな軌道に乗せてしまう可能性があるかもしれません。ただし、それには相当時間がかかるものと考えられます。


また、それには、旧ソ連の経済を停滞させた、軍事開発や、宇宙開発のように膨大な資金を要することは間違いありません。

中国がこれに耐えられるだけの経済力を維持するのは、かなり困難が伴います。さらには、米国にはまだまだ、中国に対する報復手段があります。

他にも様々な手段がありますが、最終的に米国などにある中国共産党幹部らの資産を凍結することもできます。さらには、中国が保有する米国債無効化の措置もあります。

これに対して、中国が米国に報復するのは困難です。そもそも、米国の富裕層は中国の銀行に金を預けるような習慣はありません。

中国が米国債を米国債を売却すれば米国債価格の暴落などのシナリオもありますが、「中国による米国債売却」は「切れないカード」と評価すべきでしょう。

1977年に施行された国際緊急経済権限法では、大統領が非常事態宣言を行えば、当該対象の米国との貿易が禁止、米企業が当該地域で活動できなくなる他、金融取引なども禁止されることが定められています。

トランプ大統領はメキシコ産品への関税賦課や米企業の中国撤退などの可能性に言及してきましたが、これらは同法を念頭に置いたものです。同法の前提は「異例かつ重大な脅威」ですが、非常事態宣言一つで柔軟な運用も可能です。

中国側は米国債を売却しようとするかもしれないですが、無効化され、ペナルティを課されるかもしれない中国との取引というリスクは簡単にはとれないでしょう。中国による米国債売却を封じ込めるためには、実現にはリスクをともなう「保有の無効化」まで踏み込まずとも、「取引無効化の可能性」で十分です。

米国側は、最終的にはこのことも視野にいれて、これから着実に中国を追い詰めていくことでしょう。

中国はかつてサラミ戦術という手法で、自己に有利なるように振る舞ってきました。サラミ戦術とは、敵対する勢力を殲滅または懐柔によって少しずつ滅ぼしていく分割統治の手法です。 別名サラミ・スライス戦略、サラミ・スライシング戦略ともいわれます。

最近の米国の中国に対する戦略は、中国のお株を奪うような逆サラミ戦術とでもいえるような様相を呈しています。

いきなり、中国要人の個人資産を凍結したり、中国保有の米国債を無効化するなどということをやってしまえば、中国は無論のこと様々な国々から批判されるのは目に見えています。

しかし、これは、最終段階として、今回のようなフェーウェイへの措置や、TSMCの工場之誘致や、最近の台湾に対する支援や、WTOにむけての措置など、とにかく中国を追い詰めるために、徐々に規制や制裁を強めていくことにより、それでも中国が態度を改めない、体制を変えないという現実を顕にしつつ、締め上げていけば、いずれ最終手段をとることも可能です。

ブログ冒頭の記事で、渡辺哲也氏の「米国の一連の対応は、まるで詰将棋を見ているかのようではないだろうか」という指摘は正しいです。

米国は逆サラミ戦術により、中国が体制を変えるか、変えないというのなら、経済的に疲弊して、ロシアのように経済が疲弊して、世界に大きな影響を及ぼすことができいくらい、弱体化していくことでしょう。

中国は無論手を拱いていることはなく、米国に対する制裁を実施するでしょう。それにしても、中国による制裁は確かに米国にとっては痛手かもしれませんが、米国による中国に対する制裁から比べれば、はるかに小さなものでしょう。

いずれにせよ、米国は中国の最大得意先であったにもかかわらず、得意先を怒らせてしまったのですから、仕方ないです。得意先を怒らせるということは、商売上ではあり得ないことであり、そのあり得ないことをした中国の末路は身から出た錆ということで決着がつくことになるでしょう。

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2019年11月14日木曜日

台湾支持を強調するペンス対中演説―【私の論評】今後米国は貿易戦争から、中国共産党を弱体化させることに軸足を移していく(゚д゚)!

台湾支持を強調するペンス対中演説

岡崎研究所

10月24日、ペンス副大統領は、米シンクタンク、ウィルソン・センターで対中政策演説を行い、中国との衝突を望んでいないとしつつ、中国の権威主義的で規範を守らない多くの行動を具体的に指摘しつつ厳しく非難した。ここでは、演説の中で台湾がどのように位置づけられているか見てみる。まず、台湾に触れた個所を2か所紹介する。



1.我々は、中国共産党が中国人民の信教の自由を弾圧していることを指摘してきた。何百万もの民族的・宗教的マイノリティが共産党による宗教的・文化的抹殺と戦っている。

我々は、新疆におけるイスラム少数派の取り扱いにつき北京に説明を求めてきた。9月、トランプ大統領は、ウイグル人その他の中国のイスラム教徒迫害のかどで、共産党幹部にビザ発給制限を課し、20の治安当局と8の中国企業に制裁を科した。

そして、我々は、苦労の末に手に入れた自由を守ろうとしている台湾の味方である。トランプ政権下で、我々は、追加的な武器売却を承認し、世界で最も貿易が盛んな経済体としての台湾、中国の文化と民主主義のかがり火としての台湾をよく認識している。

そして、我々は、何百万もの香港の人々が平和的デモに繰り出すたびに、彼らのために発言してきた。トランプ大統領は、当初から、1984年の中英共同宣言にある通り、香港人の権利を尊重する平和的解決がなければならない、と言ってきた。

2.トランプ政権は「一つの中国」政策の尊重を続けるつもりだが、この1年、中国は札束外交を通じて更に2か国の外交的承認を台湾から中国に替えるように仕向け、台湾の民主主義に対する圧力を強めている。

国際社会は、台湾への関与が平和を脅かすものではないということを決して忘れるべきではない。それは、台湾と地域全体の平和を守ることになるのだ。米国は常に、台湾が民主主義を受容していることは全ての中国人により良い道を示している、と信じている。

参考:‛Remarks by Vice President Pence at the Frederic V. Malek Memorial Lecture’, October 24, 2019

ペンス演説の中核には、中国が自由、人権、民主主義、国際的規範を守らないことへの強い非難がある。演説では、台湾を、そうした中国と対照的な存在として称賛し、強く支持している。

上記で紹介した1か所目では、新疆―台湾―香港が自由をめぐる戦いのラインとして効果的に描かれている。台湾は自由、民主主義、繁栄の象徴である。新疆、台湾、香港は、いずれも中国が「核心的利益」と位置付けている。ペンス演説からは、そういうことは認められないという米国の強い意志が伝わってくる。

2か所目では、台湾の平和と民主主義を守ることが、台湾のみならず地域の平和と安定に資すると、国際社会に強く呼びかけている。これは、最近の蔡英文総統の「自由、人権、民主主義の価値を共有する国々が結束して中国の権威主義に対抗しなければならない」「台湾が中国から受けている嫌がらせや圧力は、明日は他の国にも降りかかり得る」といった主張と軌を一にしている。仮に来年の総統選挙で台湾に、中国との関係を重視する国民党政権が誕生すれば、中国との対決姿勢を辞さない、現在の米国の対中政策とは齟齬をきたす恐れがある。したがって、来年1月の総統選挙は、地域の安定と平和にとり極めて重要である。米国が蔡英文政権に対して事実上の支持を表明するのは自然なことである。

なお、台湾の外交部(外務省)はペンス演説を受け、10月25日、演説に感謝を示すとともに、米国など理念が近い国家との連携を継続し、共に民主主義と国際秩序を守っていく姿勢を、改めて表明している。

【私の論評】今後米国は貿易戦争よりも、中国共産党を弱体化させることに軸足を移していく(゚д゚)!

以下に、まずペンス副大統領のウィルソン・センターで対中政策演説の動画を掲載します。


このブログでは、10月24日のペンス副大統領の演説は断片的には掲載していますが、全体を掲載して解説したことはありません。本日は、全体を要約しつつ解説しようと思います。

なお、このペンス演説の文字おこしは、以下のリンクからご覧になれます。(英文)


では以下に要約と解説を掲載させていただきます。

(1) トランプ大統領は中国の時代を終わらせた

ペンス氏: わずか20年未満の間に「世界史上最大の富の移転」が見られました。過去17年間で、中国の国内総生産(GDP)は9倍以上成長した。世界で2番目に大きな経済国となりました。この成功の多くは、米国から中国への投資によるものです。そうした時代は終わりました。トランプ大統領は、3年未満でその物語を永遠に変えました。

補足解説: 日本も1990年代より一貫して、中国を重要なビジネスパートナーとしてきました。ところがGDPの成長を見れば、中国は儲かり、日本が衰退したことは明らかです。日本の富もまた、米国と同じく、中国に流出しています。貿易は本来、ウィン・ウィンの関係でなければならないはずです。

(2) 米国経済は強くなっている

ペンス氏: 専門家は、「わずか数年で中国経済が米国経済を上回る」と予測していました。しかし、トランプ大統領が進めた大胆な経済政策のおかげで、すべてが変わりました。大統領は、アメリカ史上最大の減税と税制改革に署名しました。結果、米国経済は世界史上最も強くなっています。

補足解説: 対中貿易などの不均衡の是正や、米国史における歴史的な税制改革により、米国は再び力を取り戻しました。そして、中国を引き離していのか。日本は「増税路線」を続けていますが、これが誤りであることを米国は教えてくれています。

(3) 中国は宗教者を苦しめている

ペンス氏: 少数民族や宗教的少数派の数百万人が、宗教的・文化的なアイデンティティーを根絶しようとする、中国共産党の試みに苦しんでいます。中国共産党は、キリスト教の牧師の逮捕や聖書の販売禁止、教会の破壊、100万人以上のイスラム教徒のウイグル人の投獄に及んでいます。

補足解説: 中国は、高度な監視システムなどを通じて、宗教者の自由を著しく侵害しています。これを受けて米国は、中国外交官の米国国内での行動を規制するなど、対抗措置を打ち出しています。

(4) 中国は尖閣諸島などを脅かしている

ペンス氏: この1年間での中国の軍事行動や近隣諸国へのアプローチは、ますます挑発的になりまはた。中国の指導者たちは、2015年に「南シナ海を軍事化するつもりはない」と述べましたが、人工島に対艦ミサイルや防空ミサイルなどを配備しました。

東シナ海では、緊密な同盟国である日本において、中国の挑発に対する緊急発進の回数が今年、過去最多となる見通しです。また中国の沿岸警備隊は、日本に施政権がある尖閣諸島の周辺海域に60日以上連続で艦船を送り込みました。

補足解説: 中国の挑発はエスカレートしています。日本人14人を「反スパイ法」を根拠に逮捕し、すでに9人を起訴するなど、「人質外交」まで展開しています。それにもかかわらず、日本政府は「完全に正常な軌道へと戻った日中関係を新たな段階へと押し上げていく」との立場を示しています。日中関係が正常ではないということは、誰が見ても明らかです。

(5) アメリカは台湾を支持する

ペンス氏: 私たちの政権は、これからも「1つの中国」政策を尊重していきますが、中国はここ数年の小切手外交を通して、台湾を承認している2カ国以上に、中国の承認へと変えるよう仕向け、台湾の民主主義への圧力を強化しています。

補足解説: 台湾との関係を強化することが、中国との約束を反故にすることにはならないと強調しました。ところが、そのような中国は今や、台湾に「一国二制度」を受け入れるように迫り、現状変更を試みています。日本はそれを追認・黙認せず、台湾を強力にサポートすべきです。

(6) アメリカは香港とともにある

ペンス氏: この1年の間で、自由に対する中国共産党の反感を、香港の情勢ほど示したものはないです。トランプ大統領は、「米国が自由を支持する」と明言してきました。(拍手) 私たちは国家の主権を尊重します。

当局が香港の抗議者に対して暴力で訴えれば、米国との貿易交渉を妥結するのは、一層困難になると繰り返し言及してきた。(拍手) 米国は香港の人々を尊重するように中国に促し続けます。そしてここ数カ月、権利を守るために平和的にデモを行ってきた香港の数百万人の人たちと、私たちはともにいます。

補足解説: 米国が改めて、香港をサポートすることを明確にしました。香港の民主活動家をはじめ、デモに参加・賛同する多くの人々が勇気づけられるでしょう。


ちなみに、香港情勢はますます悪化の一途をたどっているようです。以下に本日の香港に関するツイートを掲載します。



(7) 検閲を受け入れる米企業は「非米国的」

ペンス氏: 人権侵害を故意に無視する進歩的な企業文化は、進歩的ではありません。それは抑圧的です。(拍手) 米国の企業、プロスポーツ、プロ選手が検閲を受け入れるならば、それは単なる間違いではなく、非米国的です。米国企業は、国内と世界で米国の価値観のために立ち上がるべきです。

補足解説: ペンス氏は昨年10月の演説で、プライバシーを軽視するグーグルを批判し、行動を改めるように要求しました。根底には、利益追求を第一とする「グローバリズム」への批判があります。日本の一部企業も、中国の経済的利益に誘惑され、中国の要求に屈しています。

演説はアメリカ政府の公式見解

ペンス氏の演説は今年6月から延期され続け、ようやく行われた形です。内容は、昨年の演説に続いて、中国共産党体制を厳しく糾弾するものとなりました。だが前回の演説では、香港情勢への言及はありませんでした。この1年で起きた問題を反映したという意味で、今回の演説は、「最新のアメリカ政府の公式見解」として注目に値します。

日米の演説を見比べると明らかですが、米国の政治が優れている点は、「善悪の価値判断」を明確にすることです。米国は、「自由」「民主」「信仰」といった普遍的な価値観に基づき、我が国はこのような意思決定を行う、ということを明確に示しています。日本の発信力に足りないのは、この点です。

日本は米国の対中国政策と共同歩調をとり、世界の平和に貢献すべきでしょう。

台湾に関しては、このブログでも以前から述べてきたように、本来大陸中国こそ現在の台湾の民主的な制度を参考にしつつ、受け入れるべきなのです。

これは、ベンス副大統領の演説の「米国は常に、台湾が民主主義を受容していることは全ての中国人により良い道を示している、と信じている」という言葉にあるように、米国もそのように考えていることがわかります。

台湾にできたことが、大陸中国ではできないはずはありません。それを阻止しているのが、中国共産党なのです。



このペンス演説に続き、ポンペオ米国務長官は8日、ドイツのベルリンで演説を行い、米中の対立について「米国と中国共産党政権の対立であり、平和を望む世界各国と中国共産党政権による全体主義の戦いである」と強調しました。

今後米国は、対中国冷戦に関しては、単なる「貿易戦争」の次元から、中国共産党を弱体化させることに軸足を移していくことになるでしょう。「貿易戦争」はそのためのツールの一つに過ぎないということになるでしょう。

日本としても、習近平を国賓として招くような真似をすれば、世界、特に米国に誤ったイメージを植え付けかねません。これは取りやめたほうが良いでしょう。そうして、そうすれば、そもそも招くことを最初からしなかったよりも、さらに多くの打撃を習近平と中国共産党に与えることができると思います。

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2019年7月3日水曜日

中国との競争に欠かせない米欧日協力―【私の論評】米国ができるのは、日欧と協力して中国経済の弱体化を早めること(゚д゚)!

中国との競争に欠かせない米欧日協力

米中2国間取引には限界がある

岡崎研究所

米中貿易戦争は、米中両国の報復関税のかけ合いとなっている。その影響は、米中両国のみならず、少なからず国際情勢に影響を及ぼしている。


 トランプ大統領は、貿易に関しては、中国のみならず、同盟国を含む他諸国にも関税をかけているか、かけようと脅している。鉄鋼・アルミニウムに関しては、日欧も例外ではなかったし、移民問題では、メキシコからの輸入に関税をかけるとした。

 そんな中、米国でも、トランプ政権は、中国と対峙して勝ちたいならば、欧州を味方に付けなければならないという論調が出て来た。例えば、6月12日付のニューヨーク・タイムズ紙に掲載された、バイデン元米国副大統領の補佐官を務めたジュリアンヌ・スミスの論説がそうである。筆者は、中国との競争に当たって、米国は同盟国と協調して対処すべきで、米欧の足並みを揃え、日本等に連携を拡大すべきだ等と主張している。米欧が結束して中国に当たるべきとの指摘は正にその通りだ。

 トランプ大統領は、中国と二国間で貿易取引しようとしているが、それには限界がある。欧州や日本などを含め有志連合を作って中国と交渉するほうが余程効果的だと思う。中国には頼るべき友好関係は余りない。圧力も集団の方が大きくなる。但し、今のような関税乱用のアプローチでは、なかなか連合も容易でないかもしれない。

 最近、欧州が経済、政治など中国のリスクに覚醒してきたことは、やや遅い感はあるが、歓迎すべきことである。2015年3月、英国が突如アジア・インフラ投資銀行(AIIB)の構想にG7で初めて参加を決定し、直ちに、ドイツ、フランス及びイタリアがこれに追随したことは大きな驚きだった。英国のオズボーン財務相の決定は理解に苦しんだし、英国など欧州諸国の説得をしていた米国は当然不満を露わにした。すなわち、トランプ政権以前から、欧米の対中政策ギャップは存在していた。米国からの働きかけにもかかわらず、欧州は聴く耳を持たなかったと言うことである。日米両国とカナダは不参加を貫き、AIIBの外から、透明性の確保やプロジェクトの審査基準などについて、種々中国へ働きかけた。

 「一帯一路」構想についても、日米両国は慎重に対処し、受け入れ国の債務負担や環境の重視などを指摘した。その後、中国は若干変化したようにも見える。今年4月に開催された北京の会議で、習近平は、財政の持続性などを確保する、国際基準に則って進める、入札や資材調達の手法を見直すなどと言及した。

 米欧などの連携による対中政策について問題となるのは、依然として欧州である。欧州は英国のEU離脱問題やポピュリズムの台頭などで結束を欠いている。独仏などの中国観は現実的になってきたが、南欧や東欧のEU加盟国の対中姿勢は未だ問題である。例えば、イタリアは、今年、G7諸国の中で、初めて「一帯一路」プロジェクトの受け入れに署名した国となった。また、EU加盟国以外も含んだ東欧諸国と中国が「17+1会議」を開催している。今の欧州の状況は、依然注意を要する。

 中国に対する政策に関しては、日米欧の継続的な対話が重要である。中国に限らず、共通の関心事項について、議論する三極の首脳会議を考えても良いかもしれない。幸い日米関係は旨く運営されているが、日欧関係の強化にも努めていくことが重要である。

【私の論評】米国ができるのは、日欧と協力して中国経済を弱体化を早めること(゚д゚)!

トランプ政権は、覇権国として中国が米国を抜くことを甘受するつもりはありません。あらゆる手立てを講じて中国の台頭を遅らせ、中国に抜かれないようにし、中国に対抗し、中国を抑え込む意思を固めています。そうして、これはもうトランプ政権の姿勢ではなく、米国の意思になっています。

トランプ政権はもとより、議会も超党派で中国に対抗しようとしています。なぜここまで、対抗心を顕にするかといえば、まずは中国の台頭はかつてのソ連がそうだったように、技術の窃盗によるものだからです。ファーウエイの技術は確かに進んでいますが、5Gを含めて、通信技術などは元々米国が主導で開発されてきました。

そもそも、インターネットは米国が開発し、自由の象徴のようなインフラでした。ところが、中国は「サイバー主権」なる主張をして、インターネットを国家が人民を監視するものとしてつくりかえようとしています。そうして、ファーウェイは5Gを道具として、その尖兵の役割を果たそうとしていたのです。

河南省鄭州市で容疑者を顔認識で見分けられるサングラスをかけ、行き交う人々を見つめる警察官。
雲南省昆明市では同じ機能を持つ透明な眼鏡が採用されている

5G等の技術は、米国等が基礎を開発し、まさに時間と金をかけて、実用段階にもっていく直前に中国はこれを盗み、膨大な政府の補助金を投下して、世界に先駆けて実用化させようとしていたのです。中国のいわゆる最新テクノロジーとはほとんどがこのようなものです。これは米国としてはとても許容できないわけです。

さらに、中国と米国などの先進国の社会は全く異なるものです。一般には、全体主義と民主主義などということがいわれていますが、もつと詳しくいえば、中国は先進国とは異なり、民主化されておらず、政治と経済が分離されていないどころか、政府と経済はまさに表裏一体です。さらには、法治国家化もされていません。

中国と日米欧の価値観は全く異なるのです。もともと、人権などは欧米では白人だけのものとされてきましたが、日本が第二次世界大戦を戦ったことにより、世界中で植民地が独立して、人権などの観念は、白人だけのものではなくなりました。



現在の先進国と、中国とでは全く価値観が異なるのです。その中国が台頭すれれば、その価値観は世界に敷衍されていくことになります。新たな邪悪な世界秩序が出来上がりかねません。これも、米国とはじめとする先進国には耐え難いことです。

一方、中国は2050年に米国を抜いて世界一になる目論見を抱き、そのため技術大国を目指し、軍事力の増強しています。今のところ、この方向性に修正を加えている気配はありません。つまり米中関係の基本構図は、対立と緊張にあります。

しかし米中ともに世論ないし国内の雰囲気に強い影響を受けます。トランプ大統領にとり、次の大統領選挙への影響が最大の関心事であるように、習近平国家主席にとっても国内の安定が政権維持の前提条件です。特に、共産党内の覇権・派閥争いには、常に勝利をおさめ続けなければなりません。

中国には、選挙という民主的手続きがないため、中国共産党も、幹部自身も常に統治の正当性を主張し、それを確かなものにしなければなりません。そうでないと、正当性を失いすぐに滅びることになります。

米国政治には景気動向が世論に大きな影響を及ぼしますが、中国政治では経済動向に加え統治の正当性が影響力を持ちます。一方で、統治の正当性に気を遣いながら米国に毅然とした姿勢をとる必要があり、他方で経済にマイナスの影響が出ないように米国との妥協を考えなければならないのです。

統治の正当性を無視すれば政権基盤はすぐに弱体化し、経済がうまくいかなければ社会はすぐに不安定化します。

米中は、いやおうなしの現在の世界経済に完全に組み込まれてしまっており、しかも第1位と第2位の経済大国といわれています。簡単にぶつかり合って、それで終わりということにはなりません。現状では、貿易戦争の形をとっていますが、これは将来確実にかつての米ソ冷戦と同じように、米中冷戦の次元にまで高まります。

しかし、力関係は米国に有利です。交渉が米国優位に進むことも不可避です。現在の米中交渉は、中国がこれまでやってきた発展パターンの不可逆的修正を米国が求め、それに中国が抵抗する構図となっています。

しかし、昨年7月以来の制裁関税合戦は状況の変化を生み始めています。つまり当初、米国の制裁発動がどの程度の影響を及ぼすか確信が持てなかった中国当局は、その影響が現状では許容範囲にあることを見定めつつあるようです。

今回も民営企業の投資心理の冷え込みに気を配りつつ、政府の刺激策で乗り切ろうとするでしょう。そして農業、半導体、車といった分野で米国がさらに嫌がる対抗措置をとるでしょう。

トランプ大統領は、最後は中国からの輸入全てに関税をかけると脅しています。中国もそれに屈するわけにはいきません。いわゆるチキンゲームが続くということです。結局、それぞれの経済が受ける打撃の程度を判断しながら、どこかで落としどころを見つけることになるでしょう。

それには中国も譲歩するでしょうが、米国も譲歩せざるを得ないです。米国に不満が残ることになります。米国は再び新たな材料を見つけ出して中国たたきを続けることでしょう。次の段階では、金融制裁も発動するでしょう。米国は基軸通貨国であり、さらに世界の金融を支配しています。これには中国も対抗するのは不可能でしょう。

この米中の対立は経済・金融だけでは済まないでしょう。軍事安全保障面での対立はさらに強まり、グローバルガバナンス、つまり国際秩序の遵守、運営管理の問題にも及ぶでしょう。米中対立の構図は長期間続きます。ただし、この対立の構図は、米国が対中認識に修正を加え、中国が方向性を変えることによって、かなり穏やかなものになる可能性があります。

米国はそれを狙っているのかもしれません。米国は、中国がグローバルガバナンスの問題で、本当に実行するかどうかは別にして、現行の国際秩序を護持すると明言し、すでに修正し始めている点を正確に認識すべきなのかもしれません。米国が日欧と共同戦線を張ることさえできれば、基本はわれわれの望む国際秩序となると目論んでいるかもしれません。

米国側からみて、中国が方向性を修正すべきは、1つは経済であり、中国市場をより自由で公正なものとする方向で軌道修正することです。2つ目は、中国軍の問題です。今のままで軍拡を続ければ米国だけではなく近隣諸国とも衝突します。中国の安全保障戦略の方向性の修正が必要です。

ただし、これは言うは易し、行うは難しの典型のようなものです。おそらく、米国はこれを単独で中国に実行させることは不可能でしょうし、中国共産党もこれを受け入れるのは困難でしょう。

なぜなら、中国市場をより自由で公正なものとするのは、かなり困難だからです。これを実行するには、公共工事のように中国政府が人民に掛け声をかけ、大量の投資をすればできるというような生易しいことではないです。

かつての先進国が、長い時間をかけてときには流血もともなった革命や改革によってなしとげてきた、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を成し遂げなければならないからです。これができなければ、中国の市場だけが、米国などの他の先進国の都合の良いようにある日突然、自由で公正なものになるわけではありません。

実際これが非常に困難であることから、多くの国が中所得国の罠から逃れることができないのです。中所得国の罠には、無論例外もあることはありません。それは、日本とアルゼンチンです。


日本は、現在開発途上国から先進国になった唯一の国です。アルゼンチンは、現在先進国から開発途上国になった唯一の国です。日本は中所得国の罠から逃れ先進国になりました。アルゼンチンは、高所得の先進国から、中所得以下の発展途上国になりました。

他の発展途上の国々や、新興市場の国々はどうかというと、経済が従来よりも急速に発展しても、中所得国の罠から逃れられず、そこから一歩もあげれないか、元に戻ってしまっているのです。なぜ、そのようなことになるかといえば、やはり先進国を先進国にならしめている、民主化、政治と経済の分離、法治国家が困難だからです。

このような社会になっていなければ、中間層が自由に社会経済活動を行い、結果として富をを築くということはできないのです。

これを考えると、米国も中国に対して、中国市場を自由で公正なものにさせることは困難でしょう。そもそも、中国共産党自体がそれを実行しないでしょう。そのようなことをすれば、中国共産党自体が統治の正当性を失い崩壊することになります。中共として何が何でも、現在の体制を崩すことはないでしょう。

そうなると、トランプ政権ができるのは、中国経済を弱体化させて、経済的にも軍事的にも、無意味な存在にすることです。それは、米国単体でもできるかもしれませんが、やはり米欧日が協力したほうが、はやく実現することでしよう。

それにこの体制を築いておけば、他の先進国が中国にすり寄ることでもあれば、米国が厳しく制裁する措置をとることなどで、抜け道を塞ぐことができます。先進国のすり寄りがなければ、中共の体制崩壊もはやまります。中共崩壊後には、新生民主中国があらたに歩みだすときに、良いスタートを切ることができます。日本としては、米国等が過去に日本に対して実施したような一方的な軍事裁判や占領政策など明らかな国際法違反を未然に防ぐことができます。

目標としては、現在のロシアの次元にまで経済力を弱体化させることで良いでしょう。現在のロシアのGDPは韓国を若干下回る程度(韓国は東京都と同程度)です。無論ロシアは、ソ連の核と軍事技術を継承しており、侮ることはできませんが、それにしても世界に対する影響力には限界があります。米国に対抗して何かを実行するなどということはできません。ましてや、世界秩序をつくりかえることなどできません。これを本気実行すれば、米国に潰されるだけです。

ただし、経済の弱体化により、中共が崩壊した場合には、米欧日は新生民主中国の建国に協力すべきです。

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2019年2月20日水曜日

米国務省が警笛を鳴らす中国の人権問題―【私の論評】中国を「法治国家化」するには、経済を弱体化させ中共を崩壊させるしかない(゚д゚)!

米国務省が警笛を鳴らす中国の人権問題

岡崎研究所

 2019年1月29日付で、米国務省は、中国の人権派弁護士、王全璋(Wang Quanzhang)氏に対する判決に関して、以下のようなプレス・リリースを発表した。

中国の人権派弁護士、王全璋(Wang Quanzhang)氏

 「1月28日に中国天津で、人権派弁護士の王全璋氏に対して「国家転覆罪」で4年半の禁固刑が言い渡されたことに、米国は深く憂慮している。王氏は、2015年7月9日(「709」)の中国政府による法の支配提唱者や人権擁護者に対する取り締まりによって最初に拘留された者の一人であり、判決を下された最後の者の一人である。

 中国が王氏を判決前に3年半も拘留、監禁し、彼が選定した弁護士は認められず、その弁護士は報復にあったことを、我々は問題視する。

 我々は、王氏が即時に釈放され、彼が家族のもとに戻れることを、中国に要求する。中国において、法の支配、人権及び基本的自由の状況が悪化していることを、我々は憂慮している。そして、中国が国際的人権ルールを守り、法の支配を尊重することを、引き続き要請する。」

参考:Department of State‘Sentencing of Wang Quanzhang’January 29, 2019
https://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2019/01/288664.htm

 2015年7月9日に開始された「709」キャンペーンでは、2-3週間の間に、300名もの人権擁護や民主主義、法の支配を訴えていた弁護士や法律顧問等が逮捕、抑留され、弁護士資格を剥奪されたり、仕事を失ったりした。

 この中で、上記に掲げた王氏のほか、少なくとも 4 名が収監された。2016年 8月、周世鋒(Zhou Shifeng)氏と胡石根(Hu Shigen)氏は、それぞれ7年と7 年半の禁固刑を言い渡された。2017年11月には、江天勇(Jiang Tianyong)弁護士が2年の刑に処せられた。その翌月2017年12月には、人権活動家の呉淦(Wu Gan)氏が8 年の刑を言い渡された。

 また、上記のプレス・リリースで指摘されている、王氏の弁護士に関しては、そのうちの一人、余文世(Yu Wensheng)弁護士とは連絡が付かず、 彼は1年以上拘束されているとも言われている。

 なお、この問題に関しては、1月31日付の米ワシントン・ポスト紙が社説で取り上げている。

 中国については、共産党が大きな役割を果たし、はたして市場経済であるのか否かとか、世界標準を外れた行いを中国の特色として正当化する傾向があるとか、いろいろな問題があるが、人権無視の問題はその中でも中国を尊敬できない、恐ろしい国にしている主要な問題である。このことについては、不断に注意喚起をしていく必要がある。

 中国で人権のために勇敢に戦っている人々は、民主主義世界の支持に値する。

 旧ソ連でも、1975年まで人権はひどく無視されていたが、ヘルシンキでの全欧安保会議でヘルシンキ宣言が採択された後、状況は徐々に変わっていった。中国に関しては、もちろんヘルシンキ宣言のようなものはないが、人権規約のうち社会権規約は締結済みであり、自由権規約についても署名済みである。自由権規約の批准、締結を求めていくことが適切である。

 また、中国の人権問題を、ウイグル、チベットの問題を含め問題にしていくことは大切である。それが中国を異形の大国である度合いを低めることになる。国内での法の支配の強化につながるし、国際的な場での法や規則の尊重にもつながると思われる。

 日本の人権活動家も、もっと中国の人権状況に関心を払うべきであろう。

【私の論評】中国を「法治国家化」するには、経済を弱体化させ中共を崩壊させるしかない(゚д゚)!

中国が掲げる「法治」は、共産党独裁を支える強権の追認でしかありません。法治に名を借りた人権弾圧を、決して見過ごしてはならないです。

中国は先進国のように「法治国家」されていません。そもそも、中国では憲法は中国共産党の下に位置づけられており、まさしく共産党は何でも意のままにできるというのが実態です。

法律体系もある程度は整えられているのですが、細かなところはあまり決まっていません。細かなところまで決めてしまうと、これに共産党が足を引っ張られて、意のままに動けないから、決めないのです。

天津の地裁にあたる裁判所は、ブログ冒頭の記事にもでてくるように、人権派弁護士の王全璋(おう・ぜんしょう)氏に懲役4年6月の判決を言い渡した。

「国家政権転覆罪」の適用にあたり裁判所は、家族や支援者らの傍聴すら認めませんでした。王氏が法廷で裁判批判を展開し、傍聴者を通じて王氏の主張が広まることを恐れた措置とみられています。

文化大革命で「反革命犯」とされた共産党の女性幹部、張志新は銃殺前にのどを切り裂かれました。刑場で不都合な言葉を叫ばせないための措置だったといいます。

張志新

裁判所の発想は、文化大革命当時のままではありまんせんか。

支持者の傍聴を認めず、判決理由すら示さない裁判が存在すること自体が現代の奇観です。裁判そのものが不当であり、王氏の即時釈放を強く求めます。

王氏と同じく、人権派弁護士や民主活動家を狙った2015年7月の摘発では、320人以上が連座しました。王氏の拘束は3年半あまりと最長に及びます。王氏が転向を拒み続けたためです。

拘束された者の多くが肉体的、精神的な拷問を受けたとの証言があります。夫との面会を求めた王氏の妻、李文足さんも治安当局の嫌がらせを受け続けました。

権力強化を進める習近平政権には、弁護士らが進める自由民主の価値観や権利意識の広がりが目障りだったのでしょう。改めて、中国共産党とは価値観を共有できないことを印象づけました。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、王氏の裁判そのものを「ひどい茶番」と断じています。

ドイツのメルケル首相は昨年の訪中時に北京で李文足さんと面会し、写真が公表されました。国際社会は中国の人権弾圧を注視しているという重要な取り組みです。

北京で李文足さん(左) と面会したドイツのメルケル首相

習国家主席との米中首脳会談を予定するトランプ大統領も、通商だけではなく中国の人権問題に言及してもらいたいものです。

それにしても、中国がまともに「法治国家化」できないのにはそれなりの理由があります。

先日新聞を読んでいると「中国の農村でも法治が進んだ」という趣旨の記事が目に入りました。大意を記せばこのような話です。

河北省のある農村で土木工事の請負を生業にしている自営業者がいました。2014年に用水路掘削の仕事を受注、完工したのですが、一向に代金が支払われないのです。こうした話は過去にもあり、泣き寝入りのケースも多かったそうです。

そこで自営業者氏は町のゴロツキ連中を雇い、発注者を脅かして一部を取り立てました。しかしその後、この人物は「このやり方は間違っている」と改心し、政府を頼ることにしました。役所の相談窓口に通って法的手続きを申し立て、司法機関の介入の下、見事に工事代金を手に入れたそうです。何事も「法治」で解決することが重要だという内容です。

たわいのない話ではありますが、中国社会で「法治」という言葉がどのような意識で使われているかがうかがわれます。まさに、多くの中国人が、私的な実力で問題を解決するのではなく、公的機関に訴えて自己の利益を守ることが「法治」であると考えているようで、実際政府もそのような行動を奨励しているにです。

もちろんこれらも「法治」の一部には違いないですが、日本をはじめとする先進国などの社会の「法治」の概念とはズレがあります。

私たちが日常的になじんでいる「法治」は「法律という一つの体系の下、社会的地位や属性などに関係なく、すべての参加者が同じルールでプレーすること」という考え方です。一方、中国社会の「法治」は「法律という道具を社会の管理者(権力者、政府)がしっかりと運用し、社会正義を実現すること」という意味合いが強いです。

こうした中国社会の「法治観」には一つの前提があります。それは社会には必ず国民の上に立つ「統治者(権力者、政府)が存在している」ということです。

日本を含むいわゆる議会制民主主義の国々では、社会を管理しているのは国民、つまり私たち自身です。うまく管理できているか否か、その実態はともかく、理屈の上では私たちは自ら代表を選び、その人たちに国の方向づけと管理を行ってもらっているすなわち信任していると考えます。

代表が十分な仕事をしていないと考えれば、人選を変えることができます。つまりこの社会を管理し、社会正義を実行するのは私たち自身の責任である。社会がうまくいかなければ自分たちで何とかするしかない。そういう大原則があります。

ところが中国の社会はそうではありません。現在だけでなく、中華民国時代の短い一時期、国内の一部で議会制民主主義が行われたことがある以外、古代から今に至るまで、中国には常に「支配者」が存在し、実力で世の中を制圧し、民草の意志とは無関係に「自分たちの都合」で統治を行ってきました。

法律とは支配者が「自分たちの都合」を実現するために作るものなのです。これは「良い、悪い」の問題ではなく、天地開闢(てんちかいびゃく)以来の現実としてそうであったし、現在の体制も例外ではないのです。

だから中国社会で暮らす人々にとって統治者の存在は水や空気のように当たり前であり、「自分たちで社会を管理する」という発想はほぼないのです。社会を統制し、「良い」世の中にするのは天から降ってきた「偉い人」の仕事であり、統治者がその仕事をうまくできなければ不満を言うのです。

ただ、あまり強く文句を言うと身に危険が及ぶから、周囲の空気を忖度しながら要求を出したり引っ込めたりするのです。要は「社会を良くする」「社会正義を実現する」のは民草の責任ではなく、統治者の義務であるという点がポイントです。

そして、そのような状態を中国の普通の人々は、「喜んで」ではないのですが、受け入れているのです。それは、そのような状況しか体験したことがないから比較のしようがないこと、さらには統治者に対する不満はあれども、間違いなく「無秩序よりはマシ」だからです。

5年に一度開催される全国人民代表大会。最新のものは2017年に開催された。
その時の写真。習近平が演説している。この大会は最早実社会から乖離している。

そして、統治者が仕事の遂行のために作る道具が「法」であり、それを使って世の中の秩序を維持することが「法治」です。人々は、統治者がそれを実行してくれるが故に、嫌々ながらも「税」という名の対価を払います。そういう構造が明らかに存在しています。

このような考え方を根本から変えなければ、中国は法治国家できません。

ただし、西欧の先進国でも近代になって国民国家が樹立されるまでは似たような考えでした。しかし、いくつかの国がさきがけて、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を推進し、多くの中間層を輩出し、それらが自由な社会経済活動を行い多くの富を生み出し、経済的にも軍事的にも強国になりました。これに負けじと多くの国々がこれを実行して強国になりました。

なぜ、このようなことになったかといえば、自分の国も強国にならなければ、他の強国に潰されてしまい、多くの国民の生命、財産が奪われ、国民も他国に従属せざるをえなくなるという恐怖があったからです。

ただし、中国はこのような体制を整えることなく、海外から多くの資金が流入して、経済だけが発展するという歪な発展を遂げました。先進国は中国が豊かになれば、自然と民主化、政治と経済の分離、法治国家化がすすみ、先進国と同じようになると期待していましたが、その期待はことごとく裏切られ今日に至っています。

今のままであれば、中国が「法治国家」することなど考えられず、人権問題はいつまでも放置されることになるだけです。

やはり、米国等よる経済制裁等で、中国を経済的に弱体化させ、中国共産党を崩壊させ、そこから再構築するしか道はないようです。

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2019年1月28日月曜日

【日本の選択】韓国に“譲歩”し続けてきた日本、これ以上はダメだ 思い出す福沢諭吉の嘆き「背信違約が韓国の人々の特徴」―【私の論評】中国がまともになるか、弱体化するまで、日本は韓国と断交せよ(゚д゚)!

【日本の選択】韓国に“譲歩”し続けてきた日本、これ以上はダメだ 思い出す福沢諭吉の嘆き「背信違約が韓国の人々の特徴」



 韓国軍合同参謀本部は23日、自衛隊哨戒機が、韓国海軍の艦艇に高度約60~70メートル、距離540メートルの「近接威嚇飛行」を行ったと発表した。さらに、18、22日にも「威嚇飛行」を行ったと主張し、「明白な挑発行為だ」と非難した。これに対し、岩屋毅防衛相は、韓国側の主張を完全否定し、自衛隊が国際法規、国内法に則って合法的に活動していたと指摘した。

 またしても、日本と韓国の主張が明らかに食い違っている。

 だが、冷静に考えてみて、自衛隊哨戒機が韓国海軍に威嚇飛行する必要や意義がないのは明らかである。それでも韓国側の主張こそが正当だというのであれば、そうした証拠を出せばよいだけの話だ。根拠なく日本を攻撃するだけでは、謂れなき誹謗(ひぼう)中傷というより他ない。

 事実を軽んずる韓国の姿勢を繰り返し見せ付けられると、福沢諭吉の言葉を思い出さずにはいられない。

福沢諭吉

 福沢は『脱亜論』で、中国、朝鮮を「悪友」とし、悪友と親しむ者も悪名を免れないとして、日本は亜細亜と離れるべきだと福沢は説いた。福沢は当初から中国や朝鮮を軽蔑していたわけではない。むしろ、中国や朝鮮と連帯する可能性を模索していた思想家だった。

 だが、福沢の希望はことごとく裏切られ、その結論として『脱亜論』に至るのである。福沢は自らが創刊した『時事新報』において、痛切に朝鮮の不誠実を非難したことがある。

 「左(さ)れば斯る国人に対して如何なる約束を結ぶも、背信違約は彼等の持前(もちまえ=本来の性質)にして毫(ごう=ほんの少し)も意に介することなし。(略)朝鮮人を相手の約束ならば最初より無効のものと覚悟して、事実上に自ら実を収むるの外なきのみ」

 背信違約こそが、朝鮮半島の人々の特徴であり、約束が約束として機能しないというのだ。

 一つの民族、国民を一括りにして論じているのだから、今で言えば「ヘイト・スピーチ」の類といってもよい。確かに、韓国の中に誠実な人が一人もいないと断ずるのは大げさだろう。だが、一連の韓国政府、軍部の行動をみていると、福沢ならずとも、彼らの誠意を疑わざるを得なくなってくる。

 私は日韓がいがみ合っていることは、決して日本の国益にならないと考えている。できるのであれば、友好関係を維持すべきである。

 だが、事実を曲げ、約束を違えるような韓国政府に、日本政府が媚(こび)を売る必要は全くない。およそ日韓関係において、日本はあらゆる譲歩をしてきた。これ以上、譲るところは何もない。あとは、かの国が成熟した民主主義国家へと変貌することを待ち望むだけである。

 彼らが「千年の恨み」と繰り返すのであれば、向こう千年間、冷ややかに傍観し続けるくらいの余裕が日本には必要だろう。

 ■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。拓殖大学客員研究員等を経て、現在、大和大学政治経済学部政治行政学科専任講師。専攻は政治哲学。著書に『平和の敵 偽りの立憲主義』(並木書房)、『「リベラル」という病』(彩図社)、『政治学者が実践する 流されない読書』(育鵬社)など。

【私の論評】中国がまともになるか、弱体化するまで、日本は韓国と断交せよ(゚д゚)!

この段階まで来たのであれば、既に韓国政府を相手に交渉をしても無駄です。やはり、前かこのブログでも主張してきたように、断交をするのが一番だと思います。

断交する前に、それを韓国にわからせるため、効果的な制裁を課した上で、それでも韓国が態度を変えなかった場合、断交で良いでしょう。

韓国に対する制裁はすでに始まっています。

防衛省は、韓国で開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)の拡大国防相会議(ADMMプラス)に合わせ、釜山港に、いずもなど護衛艦数隻を派遣することを計画していました。

海自はいずもの釜山への入港は見送るものの、各国海軍と洋上で行う共同訓練への参加は検討を続けるそうです。

いずも

これから、様々な制裁が発動されていくものと思います。実効性のある制裁は以下のものが考えられます。

最初の制裁としては、「在韓日本大使の帰国」である。この問題が解決するまで、大使を韓国に戻さない決意が必要です。

第2の制裁は「ノービザ渡航の廃止」など、韓国人の日本入国のハードルを上げることです。商用出張の長期滞在ビザについても、窓口規制でビザ取得までに時間をかけると同時に、発行数も極端に減らすべきです。

最近、日本で働く韓国人の数が増えています。

17年末時点で、「技術・人文・知識・国際業務」ビザを取得した韓国人は2万1603人で、前年比で約14%も増加しました。一昨年の韓国大卒者の就職率はわずか67・7%です。何と今後5年で、韓国青年1万人の日本での就職を目指すプロジェクトを韓国政府が発表しています。まず、この動きをストップするのです。

当然、就職ビザがなければ、韓国人は日本で働けない。「世界一反日」ともいわれる韓国から、なぜ、多くの就職者を受け入れなければならないのか。同じ外国人を受け入れるにしても、もっと親日的な台湾や東南アジア、インドなどの国々があるではないか。

第3の制裁は「輸出信用状の発行制限」です。

貿易関係者によれば、日韓の輸出入に関しては、日本の銀行の信用枠を利用することが多いといいます。韓国にもいくつかの国策銀行が存在しますが、財務状況が悪いところから信用枠が狭く、日本側に依存しているといいます。この信用枠利用を即刻、制限すべきです。

第4の制裁として「日本の資本財や中間財の輸出制限」も考えられます。日本から、IT製品の基幹部品や素材、工作機械の輸出を止めれば、韓国経済は機能しなくなります。

いずれの懲罰も、日本側にも痛みを伴うものである。財界・産業界の支持や協力が不可欠で、日本政府の一時的救済策も必要でしょう。

ですが、ここで日本国民が団結して、韓国の「卑怯で無法な脅迫」に屈しない態度を示さなければ、韓国の「反日暴走」はとどまるところをしらないです。

日本としては、このくらいのことを実施し、それでも韓国政府の態度が改まらないときには、断交すれば良いのです。

このようなことを実施しても、米国は何も驚きはしないでしょう。米国は、すでに2013年当時戦略的変化を選択しました。集団的自衛権行使を含む日本の軍事力強化に対して、歓迎と協力の意を公に表明したのです。

米国は同年10月3日、日米安全保障協議委員会(2+2)の閣僚共同声明に「集団的自衛権の行使容認に向けた取り組みなど、日本の努力を歓迎する」という趣旨の文言を盛り込みました。

米国のこうした考えは、それまでも複数のルートで感知されていました。しかし米国は、アジアにおけるもう一つの同盟国である韓国の懸念などを考慮して、こうした意向を明確にすることは避けていました。

当時のこの声明は、日本にアジア・太平洋地域の防衛に関する役割を委任することが、北東アジアをめぐる今後の米国の戦略的利害と合致したため実現したというのが、専門家らの一致した分析でした。

米国は、当時の軍備縮小の流れの中で、北東アジアの安全保障についてかなりの部分を日本に「アウトソーシング(委託の意)」し、負担を減らしたいというわけです。ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)で東アジア担当大統領特別補佐官を務めた経験を持つ戦略国際問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーン日本部長は「日本が防衛費を増やし軍事力を強化することは、米国の立場から見て望ましく、必要なこと」と語りました。
当時米国は、政府支出の自動削減措置(セクエスター)により、当時10年間で国防費をはじめとする安全保障予算を1兆ドル(現在のレートで約97兆円)以上も削減しなければならないことになっていました。

当時の米国の外交問題評議会(CFR)は「国防予算の削減で米国の軍事的衰退は避けられず、これにより韓半島(朝鮮半島)を含む米国の(戦争)抑止力、防衛力、紛争対応力は弱まるだろう」と分析しました。

ただし、この状況は現在のトランプ政権で一変しました。米国は軍事予算を増やしています。ところが、一旦予算が減らされた軍隊を元に戻すにはそれなりに時間がかかります。
米国は、当時からすでに韓国を信頼していないのです。そうして、最近でも中国に引き続き従属しようとする姿勢を崩さない韓国には業を煮やし、今後は北朝鮮を対中国の強力な盾として利用しようとしているようです。

実際、このブログにも掲載してきたように、北朝鮮は中国からの完全独立を希求しています。この点で、韓国とは全く異なるのです。北の核は米国も狙っていますが、無論中国も狙っています。

北朝鮮の核は結果として、朝鮮半島への中国の浸透を防いでいる

だからこそ、まがりなりにも北朝鮮は独立していられるのです。もし北が核を開発していなければ、今頃、朝鮮半島は中国の一省になっていたか、そこまでいかなくても朝鮮半島は統一されて、中国の傀儡政権が実権を握っていたかもしれません。

金王朝は、傀儡政権によって命脈を断たれたかもしれません。金一家はこれを恐れたたため、核を開発して中国に対峙してきたのです。

これからの朝鮮半島情勢は、米国の対中国冷戦を抜きには語れません。というより、安全保障上では中国に対峙することこそが、決定要因であり。北朝鮮、韓国などは制約要因に過ぎないです。

中国がまともな体制に変わるか、経済的に弱体化させて、他国に影響を及ぼせなくすることが、本命であり、これが解決されれば、北朝鮮や、韓国の問題などほぼ自動的に解消されます。これは、米国にとってもそうですが、日本にとっても同じです。

中国をどうにかしない限り、韓国は図に乗りっぱなしですし、北も同じく拉致問題などの緒もつかめないままになってしまうでしょう。

以上のようなことから、日本は韓国といずれ断交すべきです。中国がまともな体制となるか、弱体化すれば、北は中国の頸城から開放され、韓国は従属先を失うことになります。そこから、全く新しい朝鮮半島の秩序が形成されていくことになります。そうなれば、統一への道筋もつけられるかもしれません。

日本としては、朝鮮半島がまともになるまで、断交で良いです。

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2018年4月13日金曜日

アメリカの2度目のシリア攻撃は大規模になる―【私の論評】今後の攻撃はアサド政権を弱体化させ、反政府勢力と拮抗させる程度のものに(゚д゚)!

アメリカの2度目のシリア攻撃は大規模になる

リース・ドゥビン、ダン・デ・ルーチェ

シリアの首都ダマスカス。アサド大統領のポスターの前で警備に当たるロシア軍とシリア軍兵士。
米軍が大規模な攻撃を仕掛ければ、ロシアとぶつかる危険がある

<トランプ政権が化学兵器使用への制裁でシリアを再び攻撃するなら、化学兵器使用を止められなった1年前のミサイル攻撃より大規模でなければならない>

もしドナルド・トランプ米大統領が、シリアの首都ダマスカス近郊で4月7日に起きたシリア政府によるとみられる化学兵器使用を受けて攻撃に踏み切るなら、1年前のような限定的な攻撃でなく、より大規模な軍事作戦になるのはほぼ確実だ。

「シリアのバシャル・アサド大統領が、2度と化学兵器を使う気にならないほど懲らしめるには、前回より攻撃対象を広げる必要がある」と、米シンクタンク、新アメリカ安全保障センター(CNAS)のニコラス・ヘラス研究員は言う。「シリア軍を事実上無力化するぐらいの規模だ」

1年前、トランプ政権はアサド政権がシリア北西部イドリブ県ハーンシャイフーンで猛毒の神経剤サリンを使用したことへの対抗措置として、米軍の巡航ミサイル「トマホーク」でシリアの空軍基地を攻撃。メディアもそれを大々的に報じた。だが1回限りの攻撃では、アサド政権による化学兵器の使用を止められなかった。

それでも化学兵器を使い続けたアサド
米軍は、当時シリア軍が化学兵器による攻撃の拠点にしていた空軍基地に向けて、地中海の洋上からトマホーク59発を発射したが、シリア政府が保有する化学兵器や軍事能力に深刻な打撃を与えることはできなかった。実際、米軍の攻撃を受けた数時間後には、同じ空軍基地からシリア軍の戦闘機が飛んでいた。

アサド政権はそれ以降も、全域で反政府勢力との戦いに化学兵器の使用を続けた。ハーンシャイフーンでのサリン攻撃の後も最低2回、塩素ガスを使用した。だが国際社会はほとんど反応を見せず、アメリカも報復しなかった。

そうした経緯に加えて、超タカ派と言われるジョン・ボルトン元米国連大使が国家安全保障担当の大統領補佐官に就任したことで、トランプ政権が大規模な軍事行動に乗り出す可能性はますます高まっている。

ジョン・ボルトン氏

「失うものが大きいからと言って攻撃を前回より手控えるようなことをすれば、トランプ政権の権威が失墜しかねない」、と米議会関係筋は言う。

ヘラスによれば、米軍はシリアの西部と東部の両方で、シリア政府軍の拠点を標的にした攻撃に踏み切る可能性がある。

だがアメリカが大規模な軍事作戦に乗り出せば、アサドの最大の後ろ盾であるロシアとの直接対決に発展しかねない危険性もある。

「バランスを取るのが難しい」、と米イエール大学中東研究所でシニア研究員を務めるロバート・フォード元駐シリア米大使は言う。「(アサド政権を)徹底的に叩きたいという強硬論も、米軍のなかからは出てくるはずだ」

トランプ政権幹部は、イギリスとフランスと合同で軍事行動を取る可能性について検討を進めている。英仏両国は、シリアやイラクにおけるISIS(自称イスラム国)掃討作戦で米主導の有志連合にも参加している。

エマニュエル・マクロン仏大統領は2月、シリア政府が民間人に対して化学兵器を使用した証拠が見つかれば、フランスは軍事行動を取ると言った。トランプと4月8日に行った電話会談では、「強力な合同の対抗措置」をとることで一致した、とホワイトハウスは声明を発表した。

「トランプ政権は深入りしていく、と私は見ている」と、ヘラスは言った。「(シリア政府は)トランプのレッドラインを越えた」

【私の論評】今後の攻撃はアサド政権を弱体化させ、反政府勢力と拮抗させる程度のものに(゚д゚)!

シリアというと、私はルトワック氏の「戦争にチャンスを与えよ」という書籍の内容を思い出します。

ルトワック氏は、この書籍で以下のような主張をしています。
戦争に中途半端に介入してはならない。なぜなら、戦争が終わらなくなるからだ。介入するなら、50年は駐留し、文明化した新しい世代の人間が出てくるまで待つ覚悟が必要だ。 
例えば、アメリカはイラクに民主制を導入すれば全て丸く収まると考え、サダム・フセインを排除しましたが、その結果、スンニ派、シーア派や数々の民族が”終わりなき殺し合い”を続けています。 
アメリカはイラクのことをロクに理解しないまま手を出してしまい、しかもそうして地獄を作り出しておきながら、その責任をとっていないのです。今のイラク住民に聞けば「フセイン政権時代の方がはるかにましだった」と言うでしょう。 
こういった例はリビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ、パレスチナ、シリアなど、いくらでもあります。先進国は「無知なまま中途半端な介入をする」という愚を繰り返しているのです。
つまりルトワックの言う「戦争にチャンスを与えよ」とは、人道主義という美名に惑わされず、落ち着いて論理的に行動せよ、ということです。決して戦争を賛美しているわけではありません。

確かに私たちは、戦争をしている国を見ると、そこにいる人々を助けるために色々とやりたくなります。少なくとも「放っておく」という選択肢は選び難い。しかし、その善意からくる介入によって、その国の戦争がかえって終わらなくなり、住民がいつまでも新しい生活を始めることができない、という地獄になってしまうことがあります。

サラエボなど、未だに復興が進んでいません。それは、今が”休戦状態”なのであって、まだ戦争が終わっていないからです。私たちが本当に人を救いたいと思うなら、感情的になりたくなるのをグッと我慢し、徹底的なリアリズムでもって考えなくてはならない。ルトワックはそう訴えています。
このルトワックが2013年にシリアに関して記事をニュヨークタイムズに寄稿をしています。その記事のリンクを以下に掲載します。
In Syria, America Loses if Either Side Wins


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に翻訳を掲載します。
どちらが勝ってもアメリカはシリアで敗北する
2013年 8月24日 byエドワード・ルトワック
先週の水曜日のニュースでは、シリアの首都ダマスカスの郊外で化学兵器が使われたことが報じられた。人権活動家によれば、これによって数百人の民間人が殺害されたということであり、エジプトの危機のほうが悪化しているにもかかわらず、シリアの内戦がアメリカ政府の関心を引きはじめた。 
しかしオバマ政権はシリアの内戦に介入してはならない。なぜならこの内戦では、そのどちらの側が勝ったとしてもアメリカにとっては望ましくない結果を引き起こすことになるからだ。 
現時点では、アメリカの権益にダメージを与えない唯一の選択肢は「長期的な行き詰まり状態」である。 
実際のところ、もしシリアのアサド政権が反政府活動を完全に制圧して国の支配権を取り戻して秩序を回復してしまえば、これは大災害になる。 
カギを握るのは、イランからの資金や武器、そして兵員たちやヘズボラの兵士たちであり、アサド氏の勝利はイランのシーア派とヘズボラの権力と威光を劇的に認めさせることになり、レバノンとの近さのおかげで、スンニ派のアラブ諸国やイスラエルにとって直接的な脅威となる。 
ところが反政府勢力側の勝利も、アメリカやヨーロッパ・中東の多くの同盟国たちにとっても極めて危険である。その理由は、原理主義グループたち(そのうちの幾つかはアルカイダだと指摘されている)が、シリアにおける最も強力な兵力になるからだ。 
もしこれらの反政府勢力が勝利するようなことになれば、彼らがアメリカに対して敵対的な政府をつくることになるのはほぼ確実だ。さらにいえば、イスラエルはその北側の国境の向こうのシリアにおいてジハード主義者たちが勝利したとなれば、平穏でいられるわけがない。 
反政府運動が二年前に始まった時点では、このような状況になるとは思えなかった。当時はシリア国内全体が、アサド政権の独裁状態を終わらせようとしていたように見えたからだ。 
その頃は穏健派がアサド政権にとって代わることも現実としてありえる感じであった。なぜならそのような考え方をもつ人々が国の大半を占めていたからだ。 
また戦闘がここまで長引くことも考えられなかった。長い国境線を接している隣国で、はるかに巨大な国で強力な陸軍を持つトルコが、その力を使って介入してくることも考えられたからだ。実際に2011年の半ばにシリアで内戦がはじまると、トルコのエルドアン首相はすぐにその内戦を終結させるようシリアに要求している。 
ところがアサド政権の報道官はそれに屈する代わりにエルドアン首相をバカにする発言を行い、軍はトルコの戦闘機を撃ち落とすという行動をとったのだ。さらにそれまでにトルコ領内に繰り返し砲撃を行っており、トルコとの国境では車に爆弾をしかけて爆破させている。 
ところが驚くべきことに、トルコ側からは何も復讐はなかった。その理由は、トルコ領内に大規模な少数派民族がいて火種をかかえており、彼らは政府を信用していないだけでなく、トルコ軍も信用していないからだ。 
そういうわけで、トルコは権力を行使するどころか、むしろ機能停止状態であり、エルドアン首相はシリア内戦をすぐそばで眺める、単なる傍観者にしかなれていないのだ。 
結果として、アメリカはトルコが支援した反政府勢力にたいして武器やインテリジェンス、それにアドバイスを行うことができず、シリアは無政府的な暴力による混乱に陥ることになったのだ。 
内戦は小さな軍閥やあらゆる種類の危険な原理主義者によって闘われている。たとえばタリバン式のサラフィー派の狂信主義者は、熱心なスンニ派まで殺害しているのだが、これは彼らがスンニ派の異質なやり方をマネすることができなかったからだ。 
スンニ派の原理主義者たちは無実のアラウィー派やキリスト教徒を殺しているのだが、その理由は単に彼らの宗教が違うからだ。そしてイラクをはじめとする世界中からのジハード主義者たちは、シリアをアメリカやヨーロッパにたいするグローバルなジハード運動の拠点にすることを宣伝している。 
このような悪化する状況を踏まえると、どちらかの勢力が決定的な結果を出すことも、アメリカにとっては許容できないことになる。イランが支援したアサド政権の復活は、中東においてイランの権力と立場を上げることになるし、原理主義者が支配している反政府勢力の勝利は、アルカイダのテロの波を新たに発生させることになるのだ。 
よって、アメリカにとって望ましいと思える結末は「勝負のつかない引き分け」である。 
アサドの軍隊を拘束し、イランとヘズボラの同盟をアルカイダと共闘している原理主義の戦闘員たちとの戦争に引きこませておくことによって、ワシントン政府は四つの敵を互いに戦争をしている状態におくことなり、アメリカやアメリカの同盟国たちへ攻撃を行うことを防げるのだ。 
これが現在の最適なオプションなのだが、これは不運であると同時に、悲劇でもある。しかしこれを選択することは、シリアの人々にとって残酷な仕打ちになるというわけではない。なぜならそれらの多くが全く同じ状態に直面しているからだ。 
非スンニ派のシリア人は、もし反政府勢力が勝てば社会的な排除か虐殺に直面することになるし、非原理主義のスンニ派の多数派の人々は、もしアサド政府側が勝てば新たな政治的抑圧に直面するのだ。そして反政府勢力が勝てば、穏健なスンニ派は原理主義的な支配者たちによって政治的に排除され、国内には激しい禁止条項が次々と制定されることになる。 
アメリカは「行き詰まり状態」を維持することを目標とすべきだ。そしてこれを達成する唯一の方法は、アサド側の軍隊が勝ちそうになったら反政府勢力に武器を渡し、もし反政府勢力側が勝利しそうになったら武器の供給を止めるということだ。 
この戦略は、実はこれまでのオバマ政権が採用してきた政策である。オバマ大統領の慎重な姿勢を「皮肉な消極的態度だ」として非難している人々は、その対案を示すべきであろう。アメリカが全力で介入して、アサド政権をとそれに対抗している原理主義者たちをどちらも倒すということだろうか? 
こうなるとアメリカはシリアを占領することになるが、現在アメリカ国内でこのような費用のかかる中東での軍事的な冒険を支持する人はほとんどいないだろう。 
どちらか一方にとって決定的な動きをすることは、アメリカを危険にさらすことになる。現段階では「行き詰まり状態」が唯一残された実行可能な選択肢なのだ。
互いに闘わせておけ、ということです。ルトワックのように、介入するなら中途半端はしないで、米軍を50年くらいはシリアに駐留させ、文明化した新しい世代の人間がでてくるのを待つ必要があります。

しかし、現状ではそれは期待できません。何しろ、シリアのアサド政権、反政府派のいずれが勝ったにしても、反米的な政権ができあがり、米国は結局敗北することになり、勝利はないからです。

そのようなところに、50年も米軍を進駐させたにしても、ますます混乱するだけであって、米国としては何ら得るところはありません。

親米的な勢力がでてきたときには、それを助けて、勝たせて50年くらい米軍を進駐させ、民主的な新世代の人間がでてくるのを待つという選択肢も可能です。

ただし、今回はアサド政権にロシアが後ろ盾になっているということがありますから、2013年にルトワック氏が上の記事を書いた頃よりは、若干複雑にはなっています。米国としてはある程度大規模な、武力行使が必要になるでしょう。ただし、ある程度アサド政権を叩いて、反政府勢力と拮抗させる程度に弱体化させることでしょう。

その後は、ルトワック氏の主張しているように、反政府勢力側に兵器の供給を武器として使う「オフショア・バランシング」的なやり方をして、様子を見るという方式が現状では最も良いやり方ということになると思います。

シリアのフメイミム基地で働くロシアの軍人。

なお、ロシアとの対決を心配するむきもありますが、私はそれはさほど心配するべきではないと思います。

確かに、ロシアは軍事的に強い軍隊を持ち、ソ連時代に培った軍事技術の粋を引き継いでいるので、脅威であることには違いなく、決して侮れるような相手ではありません。しかし、現在では経済の規模は韓国とあまり変わりありません。というか、GDPでは韓国についで世界13位であり、韓国よりも低い水準にあります。

その韓国のGDPは、日本にたとえると、東京都と同じくらいです。東京都のGDPは、都市としてはかなり大きいほうの部類で、世界にはこれよりも小さな国々があるのは事実です。しかし、東京都程度のGDPの国が米国と戦ったとして、最終的に勝ち目があるでしょうか。最初から負けるのはわかりきっているので、東京都が米国と戦争はしないでしょう。

ロシアも同じことです。現状の経済力では、周辺諸国に対しては影響力を及ぼすことはできますし、シリアのアサド政権に間接的に肩入れすることはできますが、アサド政権に直接肩入れしてロシア正規軍を大量投入して、内戦の矢面に立ち、アサド政権を勝たせてロシアの事実上の傀儡国家にすることなどはできません。

そのため、米国がたとえイラクでどのような軍事オプションを選択しようとも、ロシアがそれに対して直接ぶつかることは避けるでしょう。たとえ、何らかの形でぶつかったにしても、ロシア側のほうから拡大することを避けるでしょう。

以上のようなことを考えると、私は今回の攻撃は先回のものよりは、大規模にはなるものの、アサド政権を転覆させるほどではなく、アサド政権を弱体化させ、反政府勢力と拮抗させる程度のものになると思います。

今後も、米国によるシリアに対する攻撃は続くこともあると思いますが、いずれもアサド政権と反政府勢力を拮抗させる程度のものになるでしょう。ただし、親米的な勢力、あるいは民主的な勢力がでてきた場合には、米国が本格的にイラクに駐留するというオプションを選択する場合もあるでしょう。

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2017年11月13日月曜日

加計学園報道、もうマスコミは「敗北」を認めた方がいい―【私の論評】現状のままでは野党もマスコミもかつてない程弱体化する(゚д゚)!

加計学園報道、もうマスコミは「敗北」を認めた方がいい

間違った指摘を繰り返すなら意味がない


経済学者 嘉悦大学教 高橋洋一


さすがに黙っていられない

文部科学省の大学設置・学校法人審議会(設置審)が、11月9日、加計学園の獣医学部新設計画に対し「可」とする答申を行った(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/1398164.htm , http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/__icsFiles/afieldfile/2017/11/10/1398164_1.pdf)。

それに対して、マスコミがいろいろと報道をしているが、未だにお粗末であるから嘆かわしい。筆者は過去に何度も加計学園についての「疑惑報道」の問題点を指摘したが、本稿を改めて書いてみようと思ったのは、10日のNHKの報道(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171110/k10011219211000.html)があまりに酷かったからだ。

これを見ると、NHKは特区の役割と文科省設置審の役割がまったくわかっていないようだ。それであるのに、「文科省認可がおかしい」というトーンで報じている。

これらの報道を見ているときに思うことは、まず、マスコミは基本的なリテラシーがないということだ。役所から出す情報は、①法律・政省令・告示の公文書、②統計データ、③答申が基本である。ところがマスコミは、これらの基本情報すら読めない。これは筆者が官僚だった時代の実感でもある。

特に①と②については全滅、つまり理解できないのである。そこで、なんとか理解しようと官僚のレク(説明)を求めるのだが、こうなると官僚が記者を操作することが可能になる(いわゆる「役所ポチ」の誕生だ)。

さて、加計報道に関しては、まずメディアが①を読んでいないという致命的な欠陥が浮かんでくる。

本コラムの読者であれば、筆者が早い段階からこの問題について何度も書いてきたことをご承知だろう。その中で、一貫してマスコミは「加計学園獣医学部の設立に関しては、総理の意向があった」というが、各種の公表資料を見たうえで、「そんな意向はなかった」といってきた。

もちろん、マスコミが決定的な証拠を出せば、筆者の負けであるが、これまで週刊誌がこの問題を最初に報道してから9ヶ月程度がたっており、国会での関係者の証言などもあったが、総理の意向を証明するものはなかった。
マスコミにとっては、元文部科学省事務次官の前川喜平氏の証言だけが頼りであったが、結局前川氏も国会で明確にその「意向」を立証できず、その他の関係者は総理の意向を完全に否定していた。

筆者がなぜそうした結論に達したかは簡単だ。加計学園を特区で扱ったのは、大学学部認可の申請を行えるように告示改正をしたからだ。文科省設置審は、認可申請の後に認可審査を行うところであるのだが、NHK報道はこの点を無視しているのか、まったく言及していない。

大学学部認可というと大げさにみえるが、行政法では、「運転免許」と同じようなものである。行政の世界では、大学学部認可の申請といえば、大学が「自動車学校」に入学するような話であり、大学学部認可とは、大学に「運転免許」を与えることを意味する。その後、文科省の設置審が「可」の答申を出すことは、自動車学校において、学科・実地試験に合格することと同じである。

このたとえで、加計学園の問題の本質がわかるだろう。次ページでその本質を説明しよう。

文科省の開き直り

要するに、加計学園はもともと自動車学校へ入学する(新たな学部の申請を行う)という段階で、免許合格までは保障されたものではない。メディアはこの段階で「総理の意向があったはずだ」というのだが、そんな初期の段階で、偉い人の助けを借りるだろうか。筆者の役人の時の経験からいっても、入学の段階でわざわざ総理の意向なんて介在する余地などない。

しかも、大学学部認可は、50年以上も申請させていなかったという。これは本コラムで、認可制度の運用として、違法まがいであることを指摘してきた。たとえばある学生には自動車学校への入学をさせない、という規制であり、現実にそんなものがあれば問題になるだろう。

しかも、申請させないという規制は、法律ではなく告示という形でなされた、文科省だけの判断によるものである。

このたびの加計学園の問題では、50年以上も新学部の申請をさせないという「ゆがんだ行政」が、申請できるように「正された」だけである。

筆者がはじめて加計学園の問題を聞いたとき、認可の申請をさせるような規制緩和(告示改正)なら簡単にできると直感した。公表されている内閣府と文科省との間の議論をみれば内閣府の完勝である。だから、総理の意向なんてありえないと思ったところだ。

ところが、文科省は卑劣にも「総理の意向があった」と文科省内文書に書き、それをマスコミにリークした。それがほぼ半年前である。そのときは、安倍総理が改憲の意向を強めているという新聞記事が出た直後なので、改憲潰しに加計問題を利用するつもりかと思ったくらいだ。

そのとき、出てきたのが前川喜平氏である。筆者は、自らが手がけた天下り規制がようやく本格的に適用できた文科省の組織ぐるみの天下り斡旋問題で、その首謀者に前川氏がなっていたことを知っていた。

それが明るみに出たのが今年初めであり、前川氏は文科省天下りを組織ぐるみで行っていた責任をとって今年3月に辞任した。本来であれば懲戒免職ではないかと思い、官邸関係者に聞いたこともある。

しかも前川氏は、新国立競技場の建設をめぐっても、高額発注で問題を起こしたことがある人物だ。その段階で通常であれば役人を辞めるのだが、文科省ではなぜか生き残ってきたのは、役人の経験がある筆者から見れば不思議だった。文科省は一般に三流官庁と言われているため、人材が不足しているのだろう。

これ以上は、税金の無駄遣いでは…?

いずれにしても、マスコミが問題をみつけた当初の段階で「疑惑」と報道するのはいい。それは彼らの重要な役割でもある。しかし、最初の週刊誌報道から9か月も経っている。文科省文書のリークを朝日新聞が報じてからも半年経っている。その間、マスコミは疑惑を言い続けているが、何も新たな決定的な証拠を示していない。

もともと、これは「悪魔の証明」であり、「そんなものはない」という人に挙証責任を負わせるべきものではなく、疑惑を指摘する側のマスコミが決定的な証拠を示さないと話にならない。

疑惑と言い続けているのは、マスコミが仕事をできないことを白状しているようなものだ。普通の民間企業であれば、半年も進展のないプロジェクトであれば、もう終わりにすべきだろう。

また、これを延々追及する国会議員も情けない。もちろん、これもマスコミと同じで、決定的な証拠をつかめたのなら話は別だ。ただ、彼らもさんざん血税を使って調べたはずだろう。それでも答えを出せないものを追及するのは、税金の無駄使いでしかない。

去る10日には、毎日新聞が改めて前川氏の話を聞いて「(加計学園獣医学部)「認可すべきではない」前川氏が疑問呈す」と報じた(https://mainichi.jp/articles/20171111/k00/00m/040/101000c)が、これも酷かった。

認可すべきでない、というのなら、どうして現役の官僚の時に、そうした行動をとらなかったのか。不思議で仕方ない。前川氏については、本コラムで何度もその主張の問題点を書いてきたが、この記事の中でも致命的なものがある。

ネットでは、前川氏の「(加計学園には)博士課程もないのに先端研究ができるわけがない」という主張に対して、飯田泰之氏が「一期生が最終学年になるまで博士課程は設置できない」といったことが取り上げられていた(https://anonymous-post.com/archives/15671)。

しかし、これはやや勘違いだろう。大学院は、大学院大学と言うくらいで、学部とは独立した存在である。学部のない大学院大学もある。つまり、学部がなくても大学院は設置できるわけだ。

そうであるので、飯田氏のいう「一期生が最終学年になるまで博士課程は設置できない!」というのは、ちょっと勘違いだとは思う。大学院設置の関係文書をみても、そうした規制は筆者の見る限りない。

医学部が37年ぶりに新設され、加計学園と並んで話題になった国際医療福祉大は、昨年の17年度に学部を開設している(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/1376289.htm http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/__icsFiles/afieldfile/2016/08/26/1376289_02_2.pdf)。

そして大学院は、今年の18年度大学院開設になっている(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/1398164.htm http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/__icsFiles/afieldfile/2017/11/10/1398164_2.pdf)。

これを見れば、学部と大学院は同時に開設しなくてもよいことが分かる。常識的に考えても、大学は学部申請をするだけで忙しく、大学院も同時に申請することはできないだろう。しかも、昨年の国際医療福祉大医学部の時には、前川氏が事務次官であったときだ。そのとき、大学院はまだ認可していない。

それにもかかわらず、今回の加計学園で「加計学園には大学院がないから問題」ということは、自分が現役官僚時代にやったこと否定するもので、いかにも前川氏らしい、二枚舌・ダブルスタンダードであり、自分への大ブーメランとなっている。

こんな人のコメントを載せるぐらいしか「追及」の方法がないのなら、もう報道する価値はないはずである。いったいいつまでマスコミはこのことについて報道するのか、さすがにあきれてしまう。

最後に、マスコミ報道も「やり過ぎ」というレベルになれば、「根拠なく加計学園の名誉を毀損し、営業を妨害した」となりかねないのではないだろうか…という懸念を表明しておきたい。

【私の論評】現状のままでは野党もマスコミもかつてない程弱体化する(゚д゚)!

高橋洋一氏の以下の主張を私なりにもう少しわかりやすくしてみようと思います。
加計学園はもともと自動車学校へ入学する(新たな学部の申請を行う)という段階で、免許合格までは保障されたものではない。メディアはこの段階で「総理の意向があったはずだ」というのだが、そんな初期の段階で、偉い人の助けを借りるだろうか。
加計学園を受験生とします。これが、文部省大学という大学の入学試験を受けることになつたとします。この受験生は文部省大学に対して、受験の申請を行い、文部省大学が加計受験生に対して、受験票を交付しました。無論受験票を交付されたらといって、大学に即合格というわけではありません。

この受験生は、文部省大学が指定する、日付・日時に試験場におもむき、所定の試験を受けて、その後試験結果の判定を受けて合否が決定され、合格ということになれば、はじめて文部省大学に入学することができます。この段階では、文部省大学に入学できるかできないかは、受験生はもとより、文部省大学側もわかりません。(いわゆる加計問題で、大学学部認可の申請に相当する)

大学入試では受験票を交付されたからといって合格するわけではない。受験生は
大学等が指定する受験会場に所定の時間におもむき試験を受けなければならない
この段階で、この受験生は不正入試をしたと疑われ、学長と受験生は友達関係にあり、文部省大学は不正行為をしたとされ、マスコミがこれを報道し、国会議員は国会でこれを追求しました。こんなことは、あり得ないだろうと高橋洋一氏は主張しているわけです。

ただし、この段階でこの受験生が何やら不正をしていたことがはっきりとわかるような証拠があれば、にわかには信じられないとはしても、確かに不正があったとできるかもしれないですが、数ヶ月たっても何の証拠もあがってきていないのです。

そうして、その後文部省大学の、入試担当の教員(いわゆる加計問題での文部科学省の大学設置・学校法人審議会にあたる)が、11月9日、加計学園の獣医学部新設計画に対し「可」とする答申を行ったが所定の手続きにより、この受験生の合格を決定したということです。

この段階で、不正があったというのなら、まだ話は理解しやすいです。ただし、この段階ばすでに不正があったとするのも、不自然です。受験票の交付の段階で、不正ありとすでに疑われていたのですから、その後入試担当の教員らがわざわざ不正行為をすることは考えにくいです。教員らは所定の手続きにしたがって、合否を判定したと考えられます。そうて、その後不正行為をしたという証拠も無論あがっていません。

それに、この疑惑は、受験票の交付時点での疑惑が主なものであり、そもそも、マスコミも野党の政治家も最初から筋悪の追求をしていたとしか思えません。

高橋洋一氏は、さらに以下のような主張をしています。
マスコミは基本的なリテラシーがないということだ。役所から出す情報は、①法律・政省令・告示の公文書、②統計データ、③答申が基本である。ところがマスコミは、これらの基本情報すら読めない。これは筆者が官僚だった時代の実感でもある。 
特に①と②については全滅、つまり理解できないのである。そこで、なんとか理解しようと官僚のレク(説明)を求めるのだが、こうなると官僚が記者を操作することが可能になる(いわゆる「役所ポチ」の誕生だ)。
①については、特区のワーキング・グループの議事録なども、私はこのブログにも掲載し、不正行為があり得ないことを主張しましたが、 マスコミはそれすらもしていません。マスコミや野党も、②の統計もほとんど閲覧している様子は伺えませんでした。

やはり、マスコミも野党も、基本的なリテラシーに欠けているとしか思えません。これは、財務省や日銀関連の報道にも良くみられることです。マスコミは、役所の発表した資料や官僚が説明をした内容を咀嚼することもなく、そのまま報道していることがほとんでです。経済に関するまともな知見などないのでしょう。

このブログでは、マネジメントの原則から見た民進党消滅の要因を掲載したことがあります。これは、民進党に限らず、マスコミにもあてはまると思います。その記事のリンクを以下に掲載します。
リベラル勢力たちの自業自得 「反安倍なら何でもあり」では国民から見捨てられるだけ―【私の論評】マネジメントの原則から見る民進党消滅の要因(゚д゚)! 
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に短くまとめます。
第1は、自分たちの使命は「政権や権力と戦うこと」と定義してしまうと、本来の使命を考えなくなってしまうことです。

これは、誰が考えてもわかります。「政権や権力と戦うこと」自体は、手段に過ぎません。「政権や権力」と戦って、相手を潰したり、あるいは弱めたりすれば、自分たちの主張が通りやすくなります。 
これは、あくまで自分たちの主張を通すための手段です。戦って、相手を潰したり、弱めた後には、自分たちは何をしたいのか、何をするのかはっきりしていなければ、全く意味がありません。 
経営学の大家であるドラッカー氏はリーダーシップと、使命について以下のように語っています。
真のリーダーは、妥協を受け入れる前に、何が正しく、望ましいかを考え抜く。リーダーの仕事は、明快な音を出すトランペットになることである。(『プロフェッショナルの条件』)
ドラッカーは、リーダーシップとは、人を引きつける個性のことではないといいます。そのようなものは煽動的資質にすぎないとしています。まさに、「安倍政治を許さない」は、扇動的キャッチフレーズに過ぎないものです。
第2に、「アベ政治を許さない」では、まともな意思決定ができないということがあります。経営学の大家ドラッカー氏は、意思決定について以下のように述べています。
決定においては何が正しいかを考えなければならない。やがては妥協が必要になるからこそ、最初から誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならない。(『経営者の条件』)
決定においては何が正しいかを考えなければならないというのは、別な方面からると、誰が正しいか、誰が間違いであるかを考えてはならないということです。

これは、誰でも理解できます。社会問題を解決したり議論するときに、「誰が正しい、誰が間違い」などと議論することは不毛な結果しか招きません。やはり、「何が正しい、何が間違い」という議論をすべきです。
第3に、民進党は、「アベ政治を許さない」という信念に凝り固まって、妥協の仕方が下手だということもあります。ドラッカーは次のようにも述べています。
頭のよい人、しかも責任感のある人は、せっかくの意思決定も実行されなければ意味がないと思う。そのため、最初から落としどころとしての妥協を考える。(『経営者の条件』)
安倍総理は、意思決定においては、最初から落とし所の妥協を考えているわけではありません。無論政治の世界には妥協はつきものなので、全く考えないということはないですが、少なくとも、野党と比較するとその度合いはかなり少ないです。

ドラッカーは、妥協について以下のように述べています。
妥協には2つの種類がある。1つは古い諺の「半切れのパンでも、ないよりはまし」、1つはソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」との認識に基づく。前者では半分は必要条件を満足させる。パンの目的は食用であり、半切れのパンは食用となる。半分の赤ん坊では妥協にもならない。(『経営者の条件』)
ソロモン王の裁きの故事に基づく絵画 「ジェームズ・ティソ作 19世紀」


この3つの要因は、そのままマスコミにも良くあてはまっていると思います。ただし、第3の項目は、さほど当てはまってはいないようにもみえます。政治の世界は、何を行うにしても妥協の産物にならざるをえないところがありますが、マスコミはビジネスであり、政治の世界ほどは妥協は少ないからです。

それにしても、ある程度は妥協は必要ですが、マスコミも妥協の仕方は下手なようです。おそらく、「加計問題」でも、正しい妥協ができないマスコミがでてくるのではないかと思います。

いくら自分たちの使命は「政権や権力と戦うこと」であり、「アベ政治を許さない」と言う揺るがない信念をもって報道にあたっても、今回の選挙でも野党はボロ負けしています。

希望の党と、立憲民主党をあわせて、130以上の議席でも獲得できれば、野党として政治にある程度大きく関与できたでしょうが、現実には105です。これでは、まともに立ち直るだけでも数年はかかるでしょう。

マスコミは良かれと思い、「加計問題」でも、野党を応援するような報道を行ったにもかかわらず、この有様です。

今後も筋悪の「加計問題」を追求し続ければ、野党にとっては良いようにもみえますが、最初から何の生産性もない問題に野党を拘泥させることになり、野党は政策も、政局も見失いますます衰退していくことになると思います。

野党がますます衰退することになれば、今のままではあれば、マスコミも衰退することになるでしょう。この場合、マスコミも妥協を行い、「加計問題」からは距離をおくなどの正しい妥協を行えばよいのでしょうが、妥協の仕方を誤れば大変なことになるでしょう。

今回は、加計問題を受験生にたとえてみましたが、この架空の受験生のようなことが本当に起こったとして、私や私の家族がこの受験生だったとしたら、マスコミが疑惑を報道しつづけるというのなら、私は確実にマスコミや野党の議員を訴えます。

これは、高橋洋一氏も指摘していますが、今までも酷かったですが、これからも酷いことをすれば、加計学園が訴訟を起こすことになりかねません。そうなれば、当然のことながら、野党の関与も調べられることになります。不正の証拠がないということになれば、有罪になる可能性は高いです。

そうなれば、野党もマスコミもかつてないほどに、弱体化することになると思います。そうして、今のところはその確率が非常に高いと思います。

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