オバマ米大統領は13日、週末恒例のラジオ・インターネット演説で、医療保険改革を徹底することにより10年間で3130億ドルの支出を新たに節約することができると強調した。これにより、大統領が目指す国民皆保険制度の実現に向け、これまでに示した財源措置と合わせ9480億ドル(約93兆円)が確保された形となる。
皆保険は大統領の最重要公約の一つだが、野党共和党は財政赤字が拡大するとして抵抗している。大統領は演説で、医療改革によって「今後10年間、財政赤字を増やさないことを堅く誓う」と言明した。(2009/06/13-19:11)
オバマ大統領社会変革に本気で取り組む-日本はどうなのか?
アメリカでは、この10年本当に経済一辺倒で社会がないがしろにされてきました。金融馬鹿や、賭博師だけが優遇され、何と国民の9割が自分は負け犬か、敗残者であると評価するまでになっていました。こうした風潮に対して、ノーベル経済学賞を昨年受賞したポール・クルーグマン氏は経済誌などに辛らつな論文を掲載するなどして、徹底的にブッシュ政権を批判してきました。
社会がなおざりにされてきて、すっかり疲弊して嫌気のさしたアメリカ国民は、オバマ大統領という選択肢を選びました。だからこそ、オバマ氏は社会改革にのりだしているわけです。今回のこの措置で医療保険改革を本気で実施するということだと思います。アメリカには、メディケアとメデケイドという医療保障制度があります。メディケア(medicare)はアメリカとカナダの「高齢者医療保険」です。メディケイド(medicaid)はアメリカとカナダの、連邦政府と州政府が共同出資する低所得層向けの「医療扶助」のことです。
「自由競争の国」であ
これは、長い間問題とされ、アメリカが豊な国であるにもかかわらず、医療保障が十分でないことは、アメリカの恥部だともいわれてきました。たとえば、病院に患者が担ぎ込まれてきて、重度の癌であることがわかっても、もしメディケアに加入していなければ、治療しなければいけないとわかっていても、即退院させるというような冷酷なことが行われていました。メディケアに加入していないばかりに、普通に治療すれば治るも治らないとか、挙句の果てに死亡してしまったなどという話は決してめずらしいものではありませんでした。
先ほど述べた社会問題の中には、貧富の差、人種対立などいろいろありますが、その中で最も深刻で対策に急を要するのは、医療保障です。オバマは、日本では、グリーン・ニューディール政策などばかりが注目されていますが、社会問題にもかなり積極的に取り組んでいます。
先ほど掲載したノーベル賞経済学者のポール・クルーグマンは、日本の新聞などの報道では、定額給付金やエコ・ポイントなどを一蹴したことばかりが強調されています。
日本の新聞報道では、米プリンストン大教授のクルーグマン氏が与謝野馨財 務・経財相と対談し、政府の2兆円の定額給付金について「米国など他国ではほとんど貯金に回り、使われていない。なぜ日本が実施するのか理解できない。0 点だ」と酷評していたことが分かったとしています。
フジテレビの報道番組が24日に放映した。日本経済の先行きについても、与謝野氏が「来年春にはプ ラス成長になっていると思う」と説明したのに対し、クルーグマン氏は「最悪の状況を脱したと思うが、いつ退院できるかは分からない。5年、10年先かもし れない」とヤンワリ否定。省エネ家電への買い替えを優遇するエコポイント制度についても「ポイントが何に使えるか分からないのに、ポイントが与えられる理 由がよくわからない」と切り捨てたなどと報道されています。
しかし、各社報道の仕方が不十分だったと思います。本当はこの前後で、「方向性としては日本の経済対策は間違っていない。ただし、投資額が不十分だこのまなまではいつ退院できるのか判らない、5年先、10年先かもしれない」と述べているのです。定額給付金や、エコポイントなどについては、マクロ経済の立場からみれば、ほんど意味のないことを強調したかったのだと思います。
私もそう思います。麻生総理の経済対策は、巷でいわれいるように見当はずれでも何でもないし、さらには、将来の国民に負担を強いるものでもありません。やっていること自体は、オバマ氏と大差のないことをしています。追加予算措置も含むと、全部で類型で90兆円くらいにもなると思いますが、今の日本の経済の規模を考えるとこれでは、全く不十分です。アメリカでは、医療保険改革単体でも93兆円もの巨費を投ずるのです。
私は、クルーグマン氏の指摘は全く的を射たものであり、これだけ経済のパイが巨大になった日本では、少なくとも総額で150兆円以上、できれば、200兆円以上の対策を打たなければ、景気は浮上しません。それに、少なくとも年金問題、医療問題、少子高齢化に関連した社会改革に50兆円以上は投資すべきと思います。その中では、私がかねてから主張しているNPOにかなりの部分を任せるような体制もとるべきと思います。社会改革には、時間もかかることでしょうから、5年くらいもかけてもかまわないとおもいますが、いずれにせよ、財源は確保すべきと思います。国民に社会問題も解決されて、これから住みよい社会になると希望を持たせることができたら、実体経済にもかなり良い影響を与えるものと確信しています。
それには、やはり、赤字国債をすることも辞さない心構えで実施すべきものと思います。ただし、赤字国債とはいっても日本の場合は、本当の赤字ではありません。それにしても、普段ならそんなにたくさん刷るべきではありませんが、今は、100年に一度の金融危機なのですから、いまこそ赤字国債の刷り時なのではないかと思います。それに、役所の体質をかえて、無駄遣いされているものをこれに当てては、などという考えもあると思いますが、これは、いつ達成できるかわかりません。いつ達成できるか、わからないものに期待して経済対策などたてることは困難です。やはり、経済対策はこの種の問題とは別に実施すべきであり、役人の不経済の是正もこれとは別に同時に進めていくべきものと思います。赤字国債を多めに刷ったとしても、財政赤字にはならない理由に関しては、ここに掲載していると長くなるので、それに関する記事のURLを下の関連記事に掲載しますので、これも是非お読みください。
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