2020年1月24日金曜日

歴史も証明。中国という国を滅ぼしかねぬ新型肺炎という「疫病」―【私の論評】新型肺炎の感染拡大で、習近平の国賓待遇での日本訪問は難しくなった(゚д゚)!

歴史も証明。中国という国を滅ぼしかねぬ新型肺炎という「疫病」

体温検査を受ける武漢を出て列車で移動する乗客。1月23日、杭州市

中国の武漢市を中心に猛威を振るう新型肺炎。1月25日の春節を含む大型連休には億単位の中国人が移動するとも言われ、パンデミックの可能性も囁かれていますが、過去にも中国から多くの疫病が世界に広がったとするのは、台湾出身の評論家・黄文雄さん。黄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、中国の「疫病史」を紹介するとともに、現在も複数存在する「中国発の疫病」が世界に広がる要因を記しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年1月22日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】「中国発パンデミック」はなぜ厄介なのか

新型肺炎、発症者540人超に拡大 死者は17人

中国湖北省武漢市を中心として広がる新型肺炎の感染が止まりません。ついに死者は17人、発症者540人超にも拡大しました。ついにアメリカでも武漢を訪れていた男性1人の感染者が確認されました。中国以外では、アメリカ、日本、韓国、タイで発症者が出ています。WHO(世界保健機関)が緊急事態宣言を出す可能性も出てきました。

死亡率は現在のところ2%でまだ低いですが、これから上昇していく可能性もあります。ちなみに、SARS(重症急性呼吸器症候群)も中国の広東省を発端として各国に広がりましたが、このときは発症者8,096人のうち774人が死亡しています(致死率9.6%)。

Summary of probable SARS cases with onset of illness from 1 November 2002 to 31 July 2003

また、2012年から中東やヨーロッパで発症例が報告され、2015年には韓国でも流行したMERS(中東呼吸器症候群)は、2,494人が発症し、そのうち死者は858人(致死率34.4%)でした。

Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)

これに比べれば、まだまだ致死率は低いものの、前回のメルマガでも書いたように、これから旧正月によって一気に拡大する可能性があります。

また、かつてユーラシア大陸で流行った疫病は、必ずといっていいほど日本に入ってきています。江戸時代には天然痘(疫病)、麻疹(はしか)、赤痢が見られ、このうち天然痘は18世紀前期に大流行。麻疹も同時期に2~3回大流行し、赤痢は18世紀から19世紀にかけて大流行しました。いうまでもなく、中国からの伝染です。

中国では、1880年に広東と寧波でコレラが大流行。翌81年には北京でも大流行しました。この感染経路は、発源地を広東とする2003年のSARS流行とそっくりです。そして、中国でのコレラ大流行直後の1882年10月~11月の中旬、日本でもコレラが大流行することになります。北里柴三郎や初代内務省衛生局長であった長与専斉によれば、その日本侵入経路の起点は中国で、これがまず長崎に入り、そうして日本全国へ広がったといいます。

日本では、これに対処するため、1885年に函館、新潟、横浜、神戸、下関、長崎の港に常設の消毒所を設置。その後、1899年に「海港検疫法」が公布されるなどして、検疫制度が確立していきます。こうした取り組みが中国からの疫病侵入を防ぐ力となったのは言うまでもありません。しかし、一方の中国は、現在に至るまで根本的な対策は取られないままできているのです。

この日本と中国の衛生観念や防疫意識の違いは、台湾にも如実に見て取れます。日本植民地時代の台湾には、疫病の大々的な流行がほとんど見られませんでした。というのも、総督府は1900年代に入ってすぐに、都市計画に始まって衛生教育に至るまでを徹底して実施。北里柴三郎に依頼して、その一番弟子を台湾に呼んでまで、防疫をはじめとする公衆衛生に取り組んできたからです。

それが終戦で一変しました。日本が台湾から引き上げ、かわりに中国軍が台湾に進駐したとたん、すでに絶滅していたはずのコレラ、天然痘、ペスト、チフス、マラリアといった疫病の大流行が台湾全島を急襲したのです。1946年にはペストとコレラの、翌47年には天然痘の大流行に見舞われています。台湾から見た中国人とは、まさに疫病神以外の何者でもありませんでした。

中国でも日本軍が進出した際、地方の農民が大歓迎するケースも少なくありませんでした。それは、日本軍が通過した地方は、かならず伝染病が消えていき、衛生の問題と課題が消えるからでした。

中国の疫病流行は、すでに史前から甲骨文に刻まれています。現在、その甲骨文から確認できる殷周時代の古代人の疫病は約16~20種類もあります。そして、周初から漢代に至る「大疫」(疫病大流行)の記録では、しきりに「死者万数」「人多死」「士卒多死」「其死亡者三分有─」と、多くの死者を出したことを示す文言が繰り返し出ているのです。

中華帝国以後の中国は二千余年間、周期的、加速的に水害、旱魃等の天災に見舞われてきました。そして、旱魃の後に大飢饉が、水害の後に大疫病が発生するというのが、いわば「定番」になっています。歴代王朝の「正史」には疫病の大流行が数年ごとに、時には連年で記録されていることが、それを証明しています。

中国の歴代王朝は、実際には「大飢」や「大疫」によって滅ぼされた場合が多くあります。「大飢」によって生まれた流民が「大疫」の媒介や運び役となって世界へ拡散していくのです。

たとえば明の滅亡については、政治腐敗と、それに蜂起した農民反乱軍によって滅亡したと語られていますが、実は、それだけが要因ではありません。明末には「大疫」や「大飢」が間断なく襲い、餓死者や疫死者が続出。流民、流賊、流寇もあふれていたのです。これもまた、農民が反乱する要因にもなっていました。

ことに明末の万暦、崇禎年間(1573~1644年)には、華北地方で疫病が猛威をふるい、少なくとも1,000万人の死者が出ました。主にペストや天然痘です。明王朝は、実はこの大疫によって倒れたのであり、清に滅ぼされたわけではないのです。

また、黒死病(ペスト)といえば、中世のヨーロッパを襲った恐るべき流行が、史上でもっとも有名で、1348~51年の3年間で、人口の3分の1を死に至らしめています。その伝染経路については諸説があありますが、もっとも有力なのは中国大陸を発源地とするものです。

下の版画はパウル・フュルスト(Paul Fürst)の『Doktor Schnabel vonRom(ローマの嘴の医者)』(1656年)です。

当時はペストの原因として瘴気(悪性の空気)が考えれており、ハーブやスパイスが詰められた この独特のマスクは、ガスマスクの役割を果たしていました。ちなみに、当時の主な治療法は蛭(ヒル)による瀉血でした。


最初に大流行したのは南宋王朝です。この時、南征中だったモンケ・カーン(チンギス・カーンの孫、フビライ・カーンの兄)が病死していますが、その病気がペストだったとも指摘されています。南宋と戦っている間にモンゴル軍に伝染したのです。

このモンゴル軍の遠征を通じて、ペストは西アジア、クリミア、ベネチア、北アルプスを経て北上し、やがて全ヨーロッパに伝わっていきました。

元末の至正年間(1344~62年)の間には、「大疫」だけでも11回も起こっています。中華帝国の人口は、1200年には1億3,000万人いたとも推定されていますが、ペストの大流行によって、すでに1331年の時点で3分の2が死んでいます。ユーラシア大陸の東西ともにペストに襲われ、人口が大量に減ったのです。

また、それより以前、隋の煬帝末期の610年から唐初の648年の約40年間には、7回も疫病が大流行。隋も瘟疫で倒れています。

その他、インフルエンザ系の疫病はSARSに限らず、その発源地はほとんどが中国です。たとえば、1918年の秋に全世界で猛威を振るったインフルエンザ。感染者は地球人口の20~40%にも及び、感染からわずか4ヵ月で2,000万人が死亡し、その死亡率は約2.5%でした。日本でも2,000万人以上が感染し、死者は約40万人に上っています。

これが「スペイン風邪」と呼ばれるインフルエンザで、名称からスペインが発源地であると誤解する人が多いですが、実は、これも中国が発生源でした。そもそもは、1917年に中国の南方で発生したものが、船便を通じて世界各国へと拡散したのです。

中国で医療衛生が制度化されたのは、なんと20世紀になってからのこと。義和団事件後に変法派官僚によって、やっと天津に衛生総局が設立(1902年)されたのです。それも、中国から世界にペストがばら撒かれることを危惧した列強からの強い要請があって、ようやく重い腰を上げたというのが本当のところです。外国人を排斥する大事件が引き金になって、その外国の圧力によってようやく医療衛生が制度化されるという、皮肉な話です。

一方、儒教の影響が現在も色濃い中国では、医師の社会的地位は非常に低いものです。たとえば日本と台湾では、通常、成績がいい学生が大学の医学部へ進みますが、中華の世界ではまったく逆で、成績の悪い学生が医師になるのです。だから、中国では現在も医者は軽んじられる存在なのです。

たとえば、中国では医者に対する患者の暴力行為が頻発しており、「医閙(イナオ)「医傷」などと呼ばれています。その件数は年間数万件にも及ぶため、中国政府は2018年に、毎年8月19日を「中国医師の日」にすることを定め、医者を尊重するよう呼びかけているほどです。

また、2012年の調査によると、臨床医の初任給は1カ月あたり平均2,339元ですが、中国の新卒の平均的な初任給は1カ月あたり3,051元であり、医師と看護師がもっとも低水準なのです(「中国網」2013年10月8日付)。このような状態であるため、誰も医師になりたがらないし、医療体制も低いままなのです。

また、日本のような医療保険制度がほとんど普及していない中国では、高額な医療費のために、病気になっても医者にかからない人民も多い。そのため、疫病が拡大してしまうのです。

もちろん、中国は言論統制の国であり、また、WHOまでもカネの力で牛耳っているため、事実隠蔽が平然と行われ、そのために被害が大きくなってしまうという点も重要です。

このように、中国発の疫病が世界に広がる要因は複数存在しています。日本人にとって、これからもっとも注意すべきは、パンデミックの流行です。中国への渡航、あるいは中国人観光客が多く集まる場所へ出かけていく場合には、十分に気をつける必要があります。

【私の論評】感染拡大で、習近平の国賓待遇での日本訪問は難しくなった(゚д゚)!

約20年前に流行したSARSは当初、ハクビシンが感染源と疑われましたが、現在はキクガシラコウモリが感染源であると考えられています。今回の新型肺炎の感染源は竹ネズミかアナグマ、蛇と説が分かれています。いずれもジビエ(野生の鳥獣食)として食されており、市場での取引を通じて人間に伝染したとの見方が強いです。

キクガシラコウモリのスープ
無論、他国の食文化を単純に否定するつもりはないですが、こうした食文化にも、病気を蔓延させる原因がある可能性ず大きいです。日本では、欧米では食べないクジラや、魚の刺し身を食すという食習慣がありますが、そもそも海産物であること、さらに細心の注意をはらった調理などにより、それが大規模な感染症の原因になったということは聞いたことがありません。

いくら食文化といっても、それが大規模な感染症を招くというリスクがあるなら、中国としてもそのような食文化は廃するか、それが不可能なら感染症を防ぐ方向で議論をすすめるべきです。


      竹ネズミの調理の動画。このくらいの衛生的な環境で調理されるなら
      問題はないのかもしれないが、劣悪な環境下での調理もあり得る

それに中共政府の対応も悪すぎです。もともと中国では、2019年12月の時点で、武漢で原因不明の肺炎患者が出ているとの情報がSNS上で出回っていました。その後も「海外で患者が出ているのに、国内の他地域にいないわけがない」との声があがっていました。

それから1カ月あまりで情報公開が始まったのは遅きに失した感が否めないです。中国の報道機関「財新メディア」は、現地からの報道として「複数の医師が最終的な感染者は6000人を超える可能性があると推計している」と報じました。財新はかつて当局によるSARS情報隠ぺいをスクープして名を馳せたジャーナリストの胡舒立氏が率いる独立系メディアです。

一方で当局寄りの論調が強い「環球時報」も、「武漢の対応の遅さを教訓とし、その他の地方での対応を急げ」という社説を掲げました。「早くから患者の全面隔離を実施し、伝染の経路をふさぐべきだった」と主張し、武漢当局を厳しく批判する内容ですが、こちらは責任を地方政府に押しつけ、中央への波及を防ぐ算段と見えなくもありません。

中国では24日から、春節に合わせた大型連休が始まりました。延べ約30億人が大移動する見込みで、日本など海外への旅行客も700万人を超える見通しです。

中国共産党機関紙、人民日報(電子版)によると、新型肺炎の発症者は24日朝までに31の省・自治区・直轄市のうち29で確認されており、武漢市だけ封鎖しても、新型肺炎が一気に国内外に拡散する危険性があります。

習近平は「(感染防止の取り組みが)非常に差し迫って重要だ」「(感染に関する情報は)直ちに発表しなければならない」と指示していますが、「社会全体の安定を断固として守らなければならない」とも述べており、パニックを阻止するための情報統制を示唆しました。

今後、日本国内で感染拡大・死者発生という事態になれば、初期の封じ込めに失敗した中国のトップ、習氏を「国賓」として歓迎できるのでしょうか。特に、仮に日本でも多くの人々がなくなることがあった場合、その責任者ともいえる人物を国賓として迎え入れるということは、国民感情が許さないと思います。

習近平

これ以外にも、元々中国は尖閣諸島付近の艦船による示威行動がますます過激になっているということもあります。これらをやめたというなら、国賓として迎えるということも筋が通りますが、そうでなければ、日本政府がいかに、丁寧に説明してもどう考えても無理筋です。

安倍首相は22日、衆院本会議での代表質問で、習氏の「国賓」招聘(しょうへい)について「日本と中国は地域や世界の平和と繁栄に大きな責任を有しており、その責任を果たす意思を内外に示す機会としたい」「同時に、中国との間には懸案が存在している。主張すべきは主張し、中国側の前向きな対応を強く求めていく」と語っています。

新型肺炎の拡大は、習氏の「国賓」来日に直撃するのでしょうか。もしそうなれば、無論習近平は国内の疫病の問題を放置して、来日することは許されないでしょう。やはり、常識的に国内に陣取り、疫病対策の陣頭指揮をとるべきです。

仮に、日本で同じようなことがおこったとして、総理大臣がそれを無視して外遊ということになれば、とんでもないことになります。

日本としても、新型肺炎が蔓延している中、その当事者であり責任者でもある元首を国賓として迎え入れるなどということは、常識的にあり得ないです。

新型肺炎をめぐる中国の情報統制のような対応を見る限り、中国は発生国として国際的責任を果たしているとは思えません。習近平が国賓として来日すれば、天皇陛下も含めて日本全体で歓迎しなければならないですが、これまでの経緯もあり、祝賀ムードで迎えることを国民が許すとは考えにくいです。新型肺炎の感染拡大で、さらに習近平の国賓待遇での日本訪問は難しくなったのではないでしょうか。

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