2021年4月20日火曜日

中国爆撃機10機超、9時間にも及ぶ爆撃訓練…台湾への攻撃力アピールか―【私の論評】中国が台湾侵攻のため航空機を派遣すれば、甚大な被害を被る(゚д゚)!

中国爆撃機10機超、9時間にも及ぶ爆撃訓練…台湾への攻撃力アピールか

空軍の爆撃機「轟(H)6」

 中国軍で台湾を管轄する東部戦区は20日、空軍の爆撃機「轟(H)6」10機以上が最近、連続9時間に及ぶ爆撃訓練を行ったとSNS上で伝えた。中国は日米首脳会談の共同声明で台湾問題が明記されたことに反発しており、台湾への攻撃力を誇示する狙いがあるようだ。

 中国東部の軍用空港を離陸後に編隊飛行し、敵地と想定した訓練場に爆弾を投下した。香港紙サウスチャイナ・モーニングポストによると、訓練場は内陸部の青海省にあるという。

 H6は対地・対艦ミサイルを搭載でき、台湾有事の際は台湾本島の攻撃を担うとみられている。

【私の論評】中国が台侵攻のため航空機を派遣すれば、甚大な被害を被る(゚д゚)!

台湾国防部(国防省)によると、中国軍機延べ20機が3月26日に、台湾の設定する防空識別圏に一時侵入しました。これだけの数の中国軍機が1日に侵入するのは異例。台湾側は空軍機を緊急発進(スクランブル)させました。

侵入が確認されたのは、戦闘機「殲16」10機、「殲10」2機、H6K爆撃機4機など。一部はバシー海峡上空を太平洋方向に飛行し、中国側に戻った軍用機もありました。最近では、今回の中国による爆撃訓練も含めて、このような中国による台湾への挑発が目立つようになりました。

日本のマスコミは、中国軍機が台湾の領空なとに侵入したことのみを報道し、台湾のこれに対する対抗手段などほとんど報道しません。そのため、多くの人は、台湾が簡単に中国に打ち負かされてしまうと思ってしまうことでしょう。これでは、バランスを欠いていると思いまます。そのため、本日は台湾の防空体制に関することを掲載しようと思います。

台湾への中国軍機による侵入が頻繁に行われている最中に、台湾国防部は3月31日、今年生産予定の地対空ミサイル「天弓3型」23基が全て完成したと明らかにした。また、中国からの威嚇に対抗するため、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の改良型「PAC3-MSE」の調達を決めたと発表した。2026年までに配備を完了させる見通しだとしています。

2007年10月10日のパレードで撮影された「天弓3」の写真

以下に、天弓3型ミサイルの性能を示した表を掲載します。

性能緒元(「天弓3型」ミサイル)
全長7m
直径46cm
重量1,635kg
弾頭重量不明(HE 着発/近接信管)
最大速度マッハ4.5
最大射程200km以上
最大射高25,000m
誘導方式中間誘導:慣性+指令誘導(修正)
  終末誘導:アクティブ・レーダー誘導


天弓3型は政府系研究機関、国家中山科学研究院(中科院)に生産を委託し、2015年から2024年まで製造されていすま。総予算は748億台湾元(約2905億円)超。蔡英文(さいえいぶん)総統が2019年1月に中科院を視察した際、天弓3型と対艦ミサイル「雄風3型」の生産を加速させるよう求めていました。

国防部は2007年から2021年までを期間とした「PAC2性能向上・PAC3調達」計画に関し、2017年にPAC3 の配備が完了したことも合わせて明らかにしました。

「天弓3号」の性能などの詳細については以下のサイトをご覧になってください。
「天弓3型」長距離地対空ミサイル
2007年10月10日のパレードで撮影された「天弓3」用の4連装ランチャーの写真

今回の爆撃機「轟(H)6」は、ソ連のTu-16を中国が国産化したものです。Tu-16は1940年代後半から開発が開始され、1952年に初飛行し、1954年には実戦配備が始まったものです。

当然のことながら、Tu-16にはステルス性が全くありません。そのため、この爆撃機が台湾を爆撃したり、ミサイル攻撃しようとしても、台湾側にすぐに察知され、「天弓3型」などのミサイルや、台湾空軍のF-16戦闘機等に撃墜されてしまうことになります。

ただし、このような古い爆撃機でも、役にたちます。それは、米軍のB-52爆撃機が現在でも現役で活躍しているのと同じ理由です。

たとえば、ミサイルや戦闘機を持たない、あるいはあったにしてもあまりないような脆弱な相手を攻撃するときです。あるいは、相手がミサイルや戦闘機を所有していても、こちら側が制空権を握った場合です。

現代の航空戦で雌雄を決するのは、ステルス戦闘機でしょう。米軍にはF-21やF-35のようなステルス戦闘機があり、それらが敵の戦闘機や、地対空ミサイルなどを駆逐してしまえば、その後にはB-52のような大型爆撃機で陸上や海上の目標を攻撃するほうが効率的ですし効果的でもあります。

そうして、中国にもステルス戦闘機があるとされています。ところが、このステルス性とやらが、かなり怪しいことがわかっています。

特殊加工が施されたステルス機は通常、レーダーでは探知が困難とされます。しかし、チベットで飛行訓練していた中国人民解放軍の最新ステルス戦闘機は、インド軍のレーダーによって探知されていたことが明らかになっています。軍事情報サイト・インド国防研究所(IndianDefenceReseachWing)が2018年5月20日に報じています。

報道によると、インド空軍は、中国軍ステルス戦闘機「殲20(J-20)」がチベット自治区空域を飛行訓練していたのを確認し、インド空軍のSu-30を出動させ追跡しました。すると、Su-30はJ-20をレーダーで捉えることができたというのです。

殲20(J-20)

インド空軍指揮官ArupShaha氏は「中国のJ-20にステルス性(隠密性)は全くない。特別な技能を使わずに通常のレーダーで探知できる」と同メディアに語りました。

中国国営メディアは、J-20はチベットで飛行訓練を行っておらず、「中国脅威論」に基づく捏造だと主張しました。

いっぽう、フランス国営RFIによれば、2018年の初めに発行された中国人民解放軍報には、運20、殲20、殲10などの軍機は「高原地区」で離着陸訓練を行う予定であると明記されていました。

中国のJ-20は、2002年に成都飛機公司所研が開発をはじめました。レーダーに検出されにくい特殊な外装で、ミサイルを搭載できる第五世代ステルス戦闘機として製造されました。2017年3月に正式に就役しました。

米軍では早くから、その性能に疑問を呈していました。米空軍のデービッド・ゴールドフェイン参謀総長(大将)は、2016年8月、米国防省で開いた会見で、J-20の能力は米軍の最新ステルス機と「比較する意味もない」と一蹴。30年前に発表された米国ステルス戦闘機F-117程度だと明かしました。

これが本当だとすれば、中国が台湾を攻撃しようとして、台湾に戦闘機と、爆撃機を派遣したとしても、中国の戦闘機は爆撃機を支援できません。

戦闘機も爆撃機も天弓3型ミサイルなどに撃墜されることになります。無論台湾が所有する地対空ミサイルの数を超えて、中国側がいくら犠牲を払ってでも、航空機を派遣してくれば、台湾もミサイルがつきて対抗できないことにもなるかもしれません。

しかし、台湾の地対空ミサイルは「天空3型」だけではありません。「天空2型」「天空1型」もあります。全部でどれだけの数があるのかはわかりませんが、いずれにしても、台湾を攻撃する航空機は甚大な被害を受けるのは確実です。

そのようなことは、中国側としても理解しているのでしょうが、このような演習とともに領空侵犯等を頻繁に繰り返すことにより、台湾が折れてくることを狙っているのでしょうが、台湾にはそのようなつもりは全くないようです。


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