今日(12日)中国官営CCTV(中国中央テレビ)などによると、北京の気象当局は 11日の午後5時から13日の午前8時までに 豪雨が降るものと予測し、黄色警報(4段階のうちの下からレベル2)を発令した。北京市は累積60ミリから100ミリの雨が降り、一部の地域では 200ミリから300ミリの大雨が降るものと予想されている。
このことにより 北京の空港は、計500便ちかくの航空便が欠航となった。この日の前まで北京の首都空港では 285便の航空便が欠航となり、その後も航空便が調整されている。北京の都心から南に遠く位置する北京の大興国際空港では、156便の航空便が欠航となった。
また 北京市内の幼稚園・小学校・中学校などにも、全て休校令が発令された。
会社は弾力的な勤務が適用され、万里の長城をはじめとした144の観光地も 全て閉鎖された。
一方 北京だけでなく、天津・河北・内モンゴルなどの周辺地域でも 豪雨に備えている。
中国西部の四川省では、すでに洪水被害が起きている。11日午前10時基準で、四川省では 約59万人の被害者が発生し、11万人ちかい住民たちが避難している。
直接的な経済的損失だけでも、17億7400万人民元(約301億8200万円)に達している。
【私の論評】食料を海外から円滑に調達できなくなった中国に、危機迫る(゚д゚)!
中国は、洪水が続いていますが、ここまでの水害となると、やはり心配は食料です。その中でも、中国人の主食であるコメの生産はどうなっているのでしょうか。
中国政府が今年1月に発表した報告書によれば、昨年南部地域は1998年以来最も深刻な増水に遭遇し、農作物の被災面積は約1996万ヘクタールに達したといいます。その被害規模は中国の全耕地面積(約1億3486万ヘクタール、2017年時点)の約15%に相当する甚大なものでした。
「長江流域がこれだけの自然災害を被ればコメ不足に陥るのは必至である」と判断する向きが少なくなかったのですが、予想に反して中国政府は「全国レベルで引き続きコメの供給は順調だった」と総括しています。
中国政府が講じたコメ対策は、(1)増産、(2)食品ロスの削減、(3)備蓄米の放出、(4)海外からの緊急輸入などです。
まず増産だが、中国政府は四川省や湖北省などの農家に補助金を支払って果樹からコメへの作物転換を促しました。しかし農民が政府の増産の呼びかけに応じたかどうかについては疑問符がついています。
中国政府が講じたコメ対策は、(1)増産、(2)食品ロスの削減、(3)備蓄米の放出、(4)海外からの緊急輸入などです。
まず増産だが、中国政府は四川省や湖北省などの農家に補助金を支払って果樹からコメへの作物転換を促しました。しかし農民が政府の増産の呼びかけに応じたかどうかについては疑問符がついています。
近年、農民の間で農業に対する意欲が減退しているからです。この傾向は特に若い世代に顕著であり、膨大な面積の耕作放棄地が各地に広がっています。土壌汚染の深刻化により、基準値以上のカドミウムを含むコメが全国に大量に出回っているという問題もあります。
このような状況から「農民に土地所有権を与え、都市住民と同じ権利・福祉を付与しない限り、解決できない難題である」との認識が強まっています。
次に食品ロスの削減ですが、長江地域の洪水被害が生じた昨年8月から習近平指導部は食品ロスのキャンペーンを実施しました。効果のほどは定かではないですが、中国で1年に出る残飯の量は3000万~5000万人分の1年間の食料に相当するといいます。
次に食品ロスの削減ですが、長江地域の洪水被害が生じた昨年8月から習近平指導部は食品ロスのキャンペーンを実施しました。効果のほどは定かではないですが、中国で1年に出る残飯の量は3000万~5000万人分の1年間の食料に相当するといいます。
食べ残し防止のスローガンが貼られた中国の飲食店 |
さらに備蓄米の放出ですが、中国政府は昨年8月、360万トンの備蓄米を市場に放出しました。安全保障上の理由で中国の国家の穀物備蓄量は公表されていません。
最後に、海外からの緊急輸入ですが、昨年12月、中国は世界最大のコメ輸出国であるインドから10万トンのコメを輸入する契約に調印しました。中国はタイやパキスタンなどからコメを輸入しているが、コメの自給率は95%を維持しているとされています。
中国は2005年に主要穀物の世界最大の輸入国となりましたが、国民のメシ(主食用穀物)であるコメについては「絶対的に自給する」と政府は宣言しています。主食用穀物の絶対的自給を確保できなければ、他の食料の輸入が脅かされた場合、国内での飢餓などの混乱を回避できないと考えているからです。
毛沢東 |
「毛沢東時代に使用した食料配給切符が一部地域で復活するのではないか」と危惧されていたのですが、昨年の大水害はなんとか乗り切りました。しかし、今年も同様の被害が出るのであれば、中国政府が公約する「コメの絶対的自給」に赤信号が灯る可能性があります。
中国はこれまで外国からの円滑な食糧調達を期待できましたが、米中対立の激化など国際環境が変動するなか、未曾有の危機を乗り切ることができるのでしょうか。
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