2021年7月13日火曜日

<社説>那覇市議選野党躍進 基盤揺らぐ「オール沖縄」―【私の論評】単純に米軍基地反対だけを唱えていれば、確実に「オール沖縄」は崩壊する(゚д゚)!

<社説>那覇市議選野党躍進 基盤揺らぐ「オール沖縄」

琉球新報

当選確実の報道を受け、支持者らと万歳三唱で喜ぶ外間有里氏(前列左から4人目)
=11日午後11時42分、那覇市安里の選挙事務所


 11日投開票の那覇市議選で、城間幹子那覇市長を支持する市政与党は現有より1議席減らした。一方の野党は5議席を増やし、躍進した。

 県都・那覇の市議会与野党構成は、県内の政治勢力の優劣を測る指標となる。今回の選挙は、秋の衆院選、特に那覇市を含む沖縄1区の情勢に与える影響は大きい。天王山に位置付けられる来年の知事選の行方を占う意味でも重要だ。このため各党・各派は前哨戦として、しのぎを削った。

 城間市長や支持勢力は名護市辺野古の新基地建設反対を一致点に結集する「オール沖縄」勢力の一角だ。「オール沖縄」にとって今回の結果は今後の選挙に向け、厳しいかじ取りが迫られる。一方、躍進した野党の自民・公明勢力にとっては弾みとなった。

 「オール沖縄」を率いる玉城デニー知事は選挙後、記者団に対し野党の躍進について野党系候補者数が多かったことを一因に挙げた。ただ「オール沖縄」勢力は候補者数に占める当選の割合も野党に劣る。現有議席を一つ減らした結果を真摯に受け止めるべきだ。次期衆院選に向けては、沖縄1区現職で共産党の赤嶺政賢氏を支援する同党の現職2人を落としたのは痛手だ。支持基盤が揺らぎかねない。

 議席を増やした自公勢力にも課題がある。沖縄1区では、自民党の現職国場幸之助氏と無所属現職の下地幹郎氏による保守分裂選挙になる可能性がある。下地氏側は自民党への復党を目指しているが、めどは立っていない。今回、下地氏が支援した立候補者5人のうち3人が当選し一定の勢力を保った。保守系同士の候補者調整の可否が情勢を左右しそうだ。

 市議選では20~40代の比較的若い候補が目立った。しかし投票率は50%を切り、46.4%と過去最低を更新した。新型コロナ感染症防止のための行動自粛が響いた面もあるだろう。ただ市長選や知事選、県議選などの各種選挙でも那覇市の投票率は軒並み下がり続け、低下に歯止めが掛からない。背景に政治不信があるとみられる。その払拭(ふっしょく)は与野党共通の大きな課題だ。

 一方、定数40のうち女性議員が9人から13人に増え、3割を超えたことは大きい。しかし社会の男女構成比と照らすとまだ少ない。男性議員も一緒になって男女平等社会の実現に取り組んでほしい。

 早稲田大マニフェスト研究所による2018年度議会改革調査で、回答した全国1447議会のうち那覇市議会は県内過去最高位の20位だった。情報公開や傍聴のしやすさ、議会基本条例制定などが評価された。当選した市議らはさらなる改革に挑み、市民の政治参加を促してほしい。

 秋の衆院選から来年にかけて注目選挙が続く。コロナ禍の出口が見えない中、有権者は、選挙での選択は私たちの暮らしや経済に直結することを再認識し、政治の場に意思を反映させたい。

【私の論評】単純に米軍基地反対だけを唱えていれば、確実に「オール沖縄」は崩壊する(゚д゚)!

那覇市議選の結果をメディアは殆ど報じません。上の記事も、沖縄地元紙「琉球新報」の記事です。これは、菅政権支持率低下という大手メディアの望む展開に水を差すからでしょう。

しかし、このようなことは本来大手メディアのやる事ではありません。沖縄の反日勢力が惨敗し野党が躍進するのは当然です。沖縄は中国の脅威を本土より強く認識できるからです。多くの沖縄県民が、不安を抱えていることでしょう。公明党には問題がありますが、与党は間違いなく玉城知事を追いつめているのです。

沖縄県では長きにわたり米軍基地を容認するか否かを軸に保守・革新が対立してきました。その沖縄県内で保革対立を乗り越えた枠組みをうたい、普天間飛行場の名護市辺野古への基地移設反対を旗印に、各種選挙で圧倒的な存在感を発揮してきたのが政治勢力「オール沖縄」です。

革新系や一部の保守系らが結集してきたが、近年、その支持層の柱となってきた県内経済界の重要人物が相次いで「オール沖縄」からの離脱を表明するなど、距離を置く動きを見せています。一体何が起こっているのでしょうか。


「オール沖縄」というキーワードは、2012年の米軍の新型輸送機オスプレイの沖縄配備や、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古移設に反対する保革を超えた政治勢力を指して使われてきました。その流れをつくり出したのは、翁長雄志・前沖縄県知事(故人)でした。

翁長氏自身は保守系の二世政治家で、自民党の那覇市議、沖縄県議、那覇市長(2000~14年。4期目途中で知事選に出馬し、知事に転身)を歴任しました。日米安保体制を支持する立場を取り、県議時代には普天間飛行場の辺野古移設推進を主張。当時の大田昌秀知事(故人)と激しく対立しました。

若くして自民党沖縄県連幹事長も務めるなど頭角を現し、県内保守政界の“エース”と目されました。 

大票田の那覇市での得票が結果を大きく左右する国政選挙や県知事選では、自民党から出馬する候補の選挙対策本部長を必ずと言っていいほど務めるなど、“キングメーカー”としても力を発揮しました。 

その翁長氏が、県内世論に耳を傾けずオスプレイ配備が強行されたことなどをきっかけに「イデオロギーよりアイデンティティ」を訴え始めたのです。 

この動きに県内の革新勢力のみならず、那覇市長時代から翁長氏を支えた一部保守系や経済界の重鎮らが呼応。14年の知事選では、前回知事選で自らが選対本部長を務め、再選した仲井眞弘多知事の対抗馬として出馬し圧勝しました。

その後、翁長氏を支えた勢力が「オール沖縄」として団結し、知事選挙や国政選挙で「辺野古移設反対」を訴える候補を擁立し、多くの選挙で圧勝し、現在にいたります。

翁長前沖縄致死

とはいえ、異なる勢力が結集しているゆえ、基地問題に関する反対の立場で一つになれても、それ以外で「オール沖縄」が統一的な政策を掲げているわけではありません。特定政党の主義主張が頭をもたげることもあり、それが亀裂を生じさせ、2018年ごろから表面化しました。

きっかけは、けん引役となってきた地元の著名な経済人が、翁長知事の支持団体「オール沖縄会議」から相次いで「離脱」すると表明したことです。 

その1人が、県内でスーパーや建設業などを展開する「金秀グループ」の呉屋守将(もりまさ)会長。翁長氏を全面的に支援する考えを打ち出し、県内の選挙にも積極的に関与してきました。

ところが、18年2月の名護市長選で、「オール沖縄」が支援した現職が政府与党の強力なバックアップを受けた新人に敗れたことを理由に、呉屋会長は「オール沖縄会議」の共同代表を辞任すると表明(18年3月)。辞任に際し、オール沖縄は「政党色が強くなりすぎた」と語りました。


「金秀グループ」の呉屋守将(もりまさ)会長

「オール沖縄」の退潮を印象づけたもう一つの出来事が、県内ホテル大手「かりゆしグループ」のオール沖縄会議からの脱会(18年4月)でした。オーナーの平良朝敬会長もまた、翁長氏を支援してきた代表的な沖縄の経済人。

「オール沖縄」を保守側から支えるシンボルだった呉屋、平良の両氏が距離を置いたことで、「オール沖縄」の革新色は強まったことは否めないです。対立してきた自民党内からは「オール沖縄にもはや実態はなく、共産党や社民党などでつくる革新共闘に過ぎない」(自民県議)とやゆする見方があります。

急逝した翁長氏の後を継いだ玉城デニー氏は18年9月の県知事選で、普天間飛行場がある宜野湾市長で、辺野古移設を容認した 佐喜眞淳氏に大勝。

また、「オール沖縄」の立場を掲げる国政野党の議員が多く当選していることからも分かるように、選挙における「オール沖縄」の影響力は健在です。県議会でもかろうじてですが、玉城知事を支える県政与党議員が多数を占める構成となっています。

沖縄県内の選挙は「自民・公明VSオール沖縄」の対決構図が定着し、米軍基地問題を背景に「政府VS沖縄県政」の代理戦争の様相を呈しています。この流れは当面続く見通しです。 

沖縄県内11市の首長選挙でも「オール沖縄」の影響力は地元メディアで盛んに取り上げられてはいます。21年2月の浦添市長選では「オール沖縄」を掲げる新人候補が大敗を喫し、三選を果たした現職を支援した自公を勢いづかせました。

ただその一方で、ここ3~4年の間、11市のうち9市を占めていた自公系の首長は21年5月現在6市に減り、「オール沖縄」の威勢が衰えたわけではないようてす。 

玉城知事の任期は折り返しを過ぎ、22年秋には県内政界の天王山たる知事選が予定されています。それまでの間、21年内に必ずある衆院選から22年1月の名護市長選をはじめとする県内の各市長選、次期参院選(22年7月)など、沖縄県内は選挙ラッシュとなります。単純に、米軍基地反対を唱えているだけでは、「オール沖縄」はいずれ崩壊するでしょう。

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