2022年2月8日火曜日

台湾、福島など日本5県産食品の輸入解禁 早ければ今月下旬にも公告へ―【私の論評】日台には未だ尖閣、南京に関する懸案事項が存在するが、互いに関係を深めていくべき(゚д゚)!

台湾、福島など日本5県産食品の輸入解禁 早ければ今月下旬にも公告へ

関係省庁のトップらと共に会見に臨む行政院の羅報道官(右から4人目)

 行政院(内閣)の羅秉成(らへいせい)政務委員(無任所大臣)兼報道官は8日、福島など5県産食品に対する輸入禁止措置の解除について、早ければ今月下旬にも正式に公告する見通しだと明らかにした。今後は規制の対象を「特定の地域」から「特定のリスクのある品目」に変更し、福島など5県産のコシアブラやキノコ類、野生鳥獣肉(ジビエ)の輸入は引き続き禁止する。

 台湾は2011年の東京電力福島第1原子力発電所事故以降、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県産食品の輸入を禁止していた。環太平洋経済連携協定(TPP)への加入を目指す蔡英文(さいえいぶん)政権にとって、輸入規制の撤廃は解決すべき重要な課題だったが、昨年12月の国民投票で成長促進剤「ラクトパミン」を使用した豚肉の輸入継続が決まったことが5県産食品の禁輸解除への追い風となった。

 5県産食品の輸入に当たっては、リスクがある品目を対象に放射性物質検査証明と産地証明の2つの証明の添付を求めるほか、5県産の全ての食品に対して水際で全ロット検査を実施する。日本で流通が禁じられている食品の輸入は認めないとしている。

 羅氏は記者会見で、現在TPP加盟国を含む40余りの国々がすでに輸入規制を完全に撤廃しており、米国やイスラエルも昨年、これに続いたと言及。5県産食品の輸入を完全に禁止しているのは世界で台湾と中国のみであり、ハイレベルのTPPに加入を果たすならば科学的基準と根拠は無視できないと主張し、「政府は日本が提示する合理的な訴えから目を背けることはできない。責任を持って問題に向き合い、問題を解決する必要がある」と説明した。

【私の論評】日台には未だ尖閣、南京に関する懸案事項が存在するが、互いに関係を深めていくべき(゚д゚)!

自民党の高市政調会長は8日、台湾当局が福島県など5県産の食品に関する輸入禁止措置の解除を発表したことを受け「台湾との友情、協力関係を深めていきたい」と強調しました。

台湾当局は2011年、東日本大震災による福島第一原発事故以降、福島県、栃木県、群馬県、茨城県、千葉県の5県産の食品の輸入禁止措置を続けてきました。

8日に台湾当局がこの禁止措置解除を発表したことを受けて、高市氏は記者会見で「この緩和というのは多くの加工業者、生産業者にとって嬉しいことだと思う」と歓迎する考えを示しました。

その上で「台湾との友情、協力関係をこれからも深めてきたい」と語りました。また中国や韓国を念頭に、輸入制限を続けたままの国々に解除を促すよう政府に対応を求めました。

高市政調会長は、この件に関して、以下のようなツイートもしています。
台湾は親日国とされていますが、日台間には様々な懸案事項もあります。その一つが、福島県など5県産の食品に関する輸入禁止措置でした。

他にはどのようなものがあるかについては、以前このブログで述べたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「尖閣は台湾のもの?」“二重国籍”蓮舫新代表が知っておくべき日本と台湾の対立点―【私の論評】南京・尖閣問題で台湾は決して親日ではない(゚д゚)!
民進党代表決定の名前を呼ばれる直前にハンカチで目頭を押さえる 蓮舫新代表=2916年9月15日

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に台湾と日本の対立点をこの記事より引用します。
台湾は、戦後のある時期から「尖閣諸島は我々のものだ」と主張をしており、今もその立場を変えていない。

尖閣問題というと、対中国(中華人民共和国)のことを想定しがちだが、台湾もまたこの問題に絡んでいるのだ。

この主張がかなりの無理筋であることは、この記事に掲載してありますので、是非それを参照していただきたいです。

もう一点は、現在でも中国と台湾の両方が、いわゆる南京虐殺事件において「30万人(100万人とも言っている)の南京市民が犠牲になった」と主張していることがあります。これについても、この記事に詳細を記してありますので是非御覧ください。

尖閣は台湾領であることと、南京虐殺に関しては台湾は現在でもそう主張しています。これは、事実です。

無論だからといって、私は日台がいがみ合うべきなどと主張するつもりはありません。ただ、懸案事項に関しては、これから話し合いをして、解消に向けて努力すべきだと言いたいのです。

日台には、福島など日本5県産食品輸入禁止のように、後に撤回されたものもあります。

沖ノ鳥島は、日本の領土ではなく単なる「岩」だとした主張を事実上撤回したことです。

2016年5月5日海上保安庁が沖ノ鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)で違法操業していた台湾漁船1隻を拿捕(だほ)した問題で、台湾の馬英九政権が、沖ノ鳥島を国連海洋法条約でEEZを設定できる「島」ではなく、設定できない「岩」だと主張し始めました。

台湾ではこの拿捕をきっかけとして、小規模の抗議活動が起こり、台湾当局は 公船を当該海域に派遣するなどして緊張が高まったのですが、5月 20 日の政権交代を機に対話路線へ転じ ることとなりました。

沖ノ鳥島に上陸して、日章旗を掲げた在りし日の石原慎太郎氏 2012年5月

台湾の行政院(内閣に相当)の童振源報道官は2016年5月23日、沖ノ鳥島について、国連大陸棚限界委員会の決定を尊重し、決定前には「法律上、特定の立場を取らない」と述べ、「岩」だとした馬英九前政権の主張を事実上、撤回しました。

また、日台双方の窓口機関が「海洋協力対話」の枠組みを立ち上げることで一致したとも発表しまし。そうして、この対話は実際に何度かなされています。

このような問題も日台で話し合われているわけですから、尖閣や南京に関しても、両国で話あいの場を持ち解決の道を模索していくべきです。

そうして、日台は友好国から、実質的な同盟国にまで関係を深めていくべきと思います。台湾が香港のように中国に飲み込まれてしまえば、日本にとって大きな危機となります。

だからこそ、麻生太郎前副総理兼財務相は昨年7月5日、東京都内で講演し、中国が台湾に侵攻した場合、安全保障関連法が定める「存立危機事態」に認定し、限定的な集団的自衛権を行使することもあり得るとの認識を示したのです。



今回の福島など日本5県産食品の輸入解禁により、台湾のTPP加入ははずみがつくと思います。日本としては、台湾のTPP加入を後押しし、安全保障の面でも関係を深めていくべきです。

私は、このブログでは主に軍事的根拠を示しつつ、中国による台湾武力侵攻はないであろうことを強調してきました。しかし、武力侵攻以外にも台湾に浸透する方法はいくらでもあります。

特に台湾には、戦後に台湾に移り住んだ、外省人やその子孫の人たちも大勢います。その人達の中には大陸中国に親しみを感じる人も多いです。さらに中国では国民動員法が施行されて以来台湾に在住する中国人は有事には中国共産党の意図に沿って動かざるを得ないこともあり得ます。

その意味では、台湾は常に安全保障上の危機に直面していることは間違いないです。こうした面でも、日本は台湾に協力すべきですし、スパイ防止法すらない日本は、それを有するとともに、中国の浸透を防ぐために施行された「反浸透法」を有する台湾を参考にすべきです。

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