自民党役員会に臨む岸田文雄首相=31日、東京・永田町の同党本部 |
自民党は31日の役員会で、党所属国会議員に対し、今後は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を絶つよう徹底するなどとした基本方針を確認した。同党はこれまで教団とは組織ぐるみの関係はないとして、各議員の個別点検による関係適正化の指示にとどめていたが、世論の批判や反発は収まらず、より厳正な対応に踏み込まざるを得なくなった。
岸田文雄首相(党総裁)は役員会で、党所属議員と教団の関係について「国民の疑念、懸念は自民党に対する信任に直結するもので重く受け止めなければならない」と指摘。「所属議員は過去を真摯(しんし)に反省し、しがらみを捨て当該団体との関係を絶つことを党の基本方針とし、徹底する」と指示した。
今回、取りまとめた基本方針は(1)党所属議員への点検結果の概要公表(2)旧統一教会や関連団体、社会的に問題が指摘される団体と関係を持たないことをガバナンスコード(統治指針)に明記(3)会合出席の是非など議員側のチェック体制を支援(4)霊感商法など被害者救済対策の検討―の4点。
茂木敏充幹事長は記者会見で基本方針について「重い決定だ。仮に守ることができない議員がいた場合は同じ党では活動できない」と強調。方針を順守できない議員に離党を求める可能性にも言及した。
同党は既に祝電送付や会合出席、選挙支援など8項目にわたり教団や関連団体との関係を尋ねるアンケートを所属議員に配布し、9月2日までに回答するよう求めている。
これに関し茂木氏は会見で、会合で講演したり、資金のやりとりや選挙協力などがあったりした議員については、氏名の公表を検討していると明らかにした。
霊感商法に関しては、先日もこのブログで指摘したように、ここ数年でかなりの前進がありました。安倍政権だった頃の、2016年10月から、いわゆる「消費者裁判手続特例法」が施行されました。それまで、消費者が企業(事業者)から何らかの財産的被害を受けた場合、自らその被害回復を図るためには、自力で事業者を相手に交渉するか、訴訟を提起する必要がありました。
しかし、消費者契約に関する共通の原因により相当多数の消費者に生じた財産的被害の集団的な回復を図ることを目的として、本法が制定されました。いわゆる日本版クラスアクションです。これには、霊感商法の被害も含まれます。
さらに、19年6月から、消費者契約法改正が施行されました。その結果、霊感等による知見を用いた告知により締結された消費者契約の取り消しができるようになったのです。
岸田文雄首相(党総裁)は役員会で、党所属議員と教団の関係について「国民の疑念、懸念は自民党に対する信任に直結するもので重く受け止めなければならない」と指摘。「所属議員は過去を真摯(しんし)に反省し、しがらみを捨て当該団体との関係を絶つことを党の基本方針とし、徹底する」と指示した。
今回、取りまとめた基本方針は(1)党所属議員への点検結果の概要公表(2)旧統一教会や関連団体、社会的に問題が指摘される団体と関係を持たないことをガバナンスコード(統治指針)に明記(3)会合出席の是非など議員側のチェック体制を支援(4)霊感商法など被害者救済対策の検討―の4点。
茂木敏充幹事長は記者会見で基本方針について「重い決定だ。仮に守ることができない議員がいた場合は同じ党では活動できない」と強調。方針を順守できない議員に離党を求める可能性にも言及した。
同党は既に祝電送付や会合出席、選挙支援など8項目にわたり教団や関連団体との関係を尋ねるアンケートを所属議員に配布し、9月2日までに回答するよう求めている。
これに関し茂木氏は会見で、会合で講演したり、資金のやりとりや選挙協力などがあったりした議員については、氏名の公表を検討していると明らかにした。
【私の論評】法律の厳格な適用や新設の検討を飛び越して、旧統一教会との決別を厳命した岸田内閣に明日はない(゚д゚)!
今回の岸田首相の判断、間違っているように思えてなりません。今後は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を絶つとしていますが、そのようなことは本当に可能なのでしょうか。
マスコミは統一教会叩きに余念がないが・・・・ |
たとえば、今後、選挙運動のボランティアを募集するときに、志望者一人ひとりに、「あなたは、統一教会の信者ですか」と聞くことなどできるでしょうか?
ますば、聞けないと思います。これは、非現実的であり得ないです。私は「統一協会の信者です」と言われたらといって、「じゃあ、あなたは来ないでください」といえるでしょうか。そのようなことをすれば、信教に対する人権侵害になりかねないです。
このブログでも以前掲載したように、憲法20条における政教分離は、国家に対して〝宗教への国家の中立性〟を求めるものであって、国民に対して〝宗教者の政治参加〟を禁じたものではありません。そのため、創価学会のような、宗教団体が政治に関与することは、そもそも違憲ではないし、旧統一教会が選挙運動の応援をすることも違憲ではありません。
日本は法治国家です。私は旧統一教会の教義には全く共感できないですが、公党は、国民の人権にかかわる問題への対応をマスコミが作り出した「空気」で判断してはならないです。党の決定を適正に運用するには、反社会的団体の定義と根拠を規定する法律が不可欠です。
しかし、消費者契約に関する共通の原因により相当多数の消費者に生じた財産的被害の集団的な回復を図ることを目的として、本法が制定されました。いわゆる日本版クラスアクションです。これには、霊感商法の被害も含まれます。
さらに、19年6月から、消費者契約法改正が施行されました。その結果、霊感等による知見を用いた告知により締結された消費者契約の取り消しができるようになったのです。
法律の新設や改定によって安倍政権下で霊感商法による被害は1/10に |
一方、宗教法人に対する法外な寄附金は、詐欺罪等が明確に成立するときなどには、これを適用できますが、それ以外は適応できません。これについては、新たな対応をすべきです。
それについては、たとえば、このブログにも以前掲載したように、米国のような制度を導入する事が考えられます。
その制度とは、まずは、寄附金をする際には、寄附金額に応じて寄附者が所得税控除を受けられるというものです。米国では、宗教法人を含む公益法人に寄附をすると寄付者が所得控除を受けることができます。
日本では、寄附を受けた宗教法人が税金を払わなくても良いことは、広く知られているようですが、宗教法人に寄附した寄付者は所得控除等が受けられないということはあまり知られていないようです。
さらに、米国では、寄附する人が、宗教法人を含む公益法人に寄附をできるのは、収入の30% 〜50%などと明確な規定があり、これを超えて寄附することは違法です。
寄付者がたとえ、膨大な資産を持っていたとしても、公益法人に寄附をする場合は、ケースバイケースですが、前の年の収入の30%〜50%以上を寄附すると違法になってしまいます。
日本もこのように税法を変えてしまえば、宗教法人に対する法外な寄附を防ぐ事ができます。
出展:内閣府経済社会総合研究所[2008]より作成 ※ 表と円グラフのデータは出展が異なるため一致しない。 |
以上のような「消費者裁判手続特例法」、「改正消費者契約法 」を厳格に適用すれば、いわゆる「霊感商法」は法律に沿った形で正しく解決することができます。
法外な寄附金についても、米国のように、宗教法人への寄附についても、寄付者を所得控除の対象にし、収入による縛りをつけるように税法を改正すれば、法外な寄附金の大部分は違法とななります。
以上のように、既存の法律の適用の厳格化をしたり、税法の改正をすれば、現在の宗教による社会問題のかなりの部分は解消できると思います。さらには、日本には破防法という法律もあります。
正式名称は「人権及び基本的自由の侵害をもたらすセクト的運動の防止及び取締りを強化するための2001年6月12日法律2001-504号」です。
適用され初めて有罪になったのは1961年の三無事件。他に中核派に対する破防法事件に対しても適用されています。
なお、1995年には地下鉄サリン事件など一連のオウム真理教事件を起こしたオウム真理教に対して解散を視野にした団体活動規制処罰の適用が検討され、公安調査庁が処分請求を行ったのですが、公安審査委員会(委員長:堀田勝二)は「将来の危険」という基準を満たさないと判断し、破防法の要件を満たさないとして、適用は見送られることとなりました(オウム真理教破壊活動防止法問題)。
これについては、オウム真理教にすら適用されないのなら、一体何に適用されるのか、実質的に適用できない法律ではないのかという根強い批判もある。オウム真理教に対しては代わりに団体規制法が制定・適用されることになりました。
日テレ「24時間テレビ」に旧統一教会信徒が募金、ボランティア 連日追求『ミヤネ屋』MCの宮根誠司は〝反省〟「われわれも自己点検していかなければいけない」―【私の論評】現在の宗教問題の本質は、宗教法人は寄附金控除の対象ではなく、寄附金額の縛りもないこと(゚д゚)!
上記のように、日本では不十分ながら、反社会的とみられる宗教団体を含む団体に対して、規制をする法律はあります。税法を改正すれば、反社会的な宗教法人・団体をとりまるには十分です。これらの法律を無視したり、法律の不十分さをそのままにしたままで、当該団体との関係を絶つことを党の基本方針としてしまうことには、問題がありすぎます。
拒否された側が訴える可能性も排除できませんし、宗教法人から支援を受けてきた議員の中でも、それだけが原因で不利益を被った議員が出てくれば、訴える可能性すらあります。
自民党が、暴力団を排除するなら理解できますが、批判が多いという理由で統一教会を排除した場合、信教の自由を阻害する懸念がありますし、憲法上も法律上も大問題です。岸田政権としては、まず実施すべき事は旧統一教会が法に抵触していれば提訴し、法体系が不備であれば、整備する方向で検討し、実施するということだったはずです。
法律の厳格な適用はすぐにできますが、新設などには時間がかかります。それまでの間は、得意の検討使の技で乗り切っていただきたかっです。それをすぐに、「関係を絶つよう徹底する」などと言ってしまったことはあまりに短慮だったと言わざるを得ません。
これは、結局かなり筋違いな批判に対し毅然とした対応をとらなかった為、結構相手の土俵に上ってしまった最悪のパターンといえるかもしれません。
結局、日本の政権与党が法的根拠もなく特定の宗教団体を排除したということです。これでは、日本はワイドショーとこれにマインド・コントロールされた情弱な人々が支配する人治国家であると謗られても反論できません。岸田政権は、魔女狩りに屈服しまったようです。法治の下の自由と民主主義を愛する人にとって、岸田政権はとても支持できる存在ではなくなってしまったようです。
今後の政局は、私が以前このブログでも主張したように、自民党を毀損しない形で、いかに岸田政権を短期で終わらせるかという方向に急速に向かっていく可能性がでてきたと思います。まともな野党が存在しない現在、自民党は是非そちらの方向に進んでいたたきたいです。
その方向に進んだとして、その過程で、とんでもないことが起こるかもしれません。岸田総理は「現在」を乗り切ることに懸命のようですが、今回の事は後々の自民党に悪影響与えることになるかもしれません。
マスコミなどは、その時々で都合よく動き、前言など平気で取り消したり、二重基準を適用したりします。ワイドショー民などが、「統一教会叩き」や「国葬叩き」に飽きた後は今度は「自民党政権が憲法や法律を無視した」として糾弾することになるかもしれません。
岸田総理がそのときに、今回のことが大きな間違いだったと認識しても手遅れです。
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