2022年8月25日木曜日

与党、防衛費概算要求を了承 抜本強化へ過去最大額―【私の論評】中露北という核兵器を持った専制国家のすぐ隣にある日本が、防衛費を増やさなければ岸田政権は国内外から不興を買う(゚д゚)!

与党、防衛費概算要求を了承 抜本強化へ過去最大額

防衛費の概算要求について自民党会合であいさつする浜田防衛相

 自民、公明両党は25日、党安全保障調査会などの会合をそれぞれ開き、いずれも防衛省の2023年度予算概算要求を了承した。同省は岸田内閣が掲げる防衛力の抜本的強化に向け、過去最大の5兆5947億円を計上。さらに具体的な金額を示さない「事項要求」を多数盛り込み、最終的な予算額は22年度より1兆円以上多い6兆円台半ばを視野に入れている。

 自民会合やそれに先立つ幹部会では、増額に必要な財源について、国債発行で確保すべきだとの意見や、財務省に議論の主導権を握られると増額幅が圧縮されかねないと懸念する声が上がった。

【私の論評】中露北という核兵器を持った専制国家のすぐ隣にある日本が、防衛費を増やさなければ岸田政権は国内外から不興を買う(゚д゚)!

さて、日本の防衛費の概算要求は了承されましたが、台湾では行政院院会(閣議)は25日、2023年度の中央政府予算案を決定しました。歲出は2兆7191億台湾元(約12兆2932億円)、歲入は2兆5565億元(約11兆5580億円)で過去最大規模。国防費には過去最高の5863億元(約2兆6503億円)を計上しました。22年度比13.9%増となります。

台湾空軍のF16V戦闘機

戦闘機などの装備のための1083億台湾ドルの追加支出や国防部(国防省)向けの特別予算を盛り込んだ。詳細な内訳は公表していません。

防衛予算の増加率は17年以降4%未満に抑えられていましたが、一気に2桁の大幅増となりました。

特別予算を除く防衛予算の伸び率は12.9%。全体の予算案は20.8%増でした。防衛予算が歳出全体に占める割合は14.6%と、項目別では社会保障、教育・科学・文化、経済発展に続き4番目に大きくなりました。

国防部は声明で、予算は「敵の脅威」を全面的に考慮したもので、来年の域内総生産(GDP)予想の2.4%相当と説明。「近年の中国共産党による継続的な標的を定めた軍事行動や、台湾周辺の空海域への侵入の常態化に直面し、軍は戦争を求めず力で国家の安全を守る戦争準備の原則を順守する」としました。

蔡英文総統は軍の近代化を優先事項としています。


こうしてみると、日本の防衛費も結構なものと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、そうともいえないです。

日本と台湾のGDPを以下に掲載します。( 単位:百万US$)
日本 4,912,147
台湾 841,209
日本のGDPは台湾の5.8倍であるにもかかわらず、防衛費は2.3倍に過ぎません。それも6兆円で計算してこの程度です。少なくとも3倍くらいにはすべきです。現状の世界情勢を考えれば、もっと増やしても良いくらいです。

防衛費を増やすと大変だと思われるかたもいらっしゃしゃるかもしれませんが、現在の日本の防衛産業は、防衛省の出す条件が悪すぎで青い気吐息であり、防衛省が競争入札をしても、これを引き受ける企業が少ないと有様です。

もっと良い条件にして、長期にわたって取引をし、国内防衛産業が繁栄するようにすれば、そのお金は国内にも循環して、日本経済も潤うことになります。

そのためにも防衛費を増やすべきです。そうして、増額の財源としては、安倍元総理が主張していたように、日銀政府の連合軍で、調達すべきです。政府が国債を大量発行して、日銀がそれを買い取る形にすべきです。

政府が防衛費を支出すると、そのお金がこの世から消えるなどということはありません。

防衛産業に従事する人たちが、賃金などとして受け取り、経済活動を活発化させ、そのお金はまた税金として政府に戻ってくるのです。

ここが、一度支出するとお金がなくってしまう家計とは大違いです。さらに、政府の下部組織である日銀は、お金を増やすこともできるのです。これらを家計と同じように考えれば、安保、福祉も、教育も何もできなくなります。

これを実行したとししても、以前からこのブログでも、主張したように、現状の日本経済の状況でインフレになることも、将来世代へのつけになることもありません。むしろ、未だ需給ギャプが30 兆円も存在する日本では、防衛費を増やし、国内の防衛産業に様々な仕事をしてもらったほうが、経済にも良い影響を及ぼすのです。

しかし、緊縮命、増税命の、財務省は、こうしたことにことごとく反対するでしょう。それも、様々な手段を駆使して、防衛費の増額を阻止するように行動するでしょう。


例えば、防衛費2%の議論においては、財務省が怪しげな手を使ってきているのですが、これは北大西洋条約機構(NATO)基準というもので、入れるときに海上保安庁の予算を一緒に加えて計算するのです。

こういうときに海上保安庁に関しては、適当に数字をかさ上げして入れたりするのです。本来海上保安庁の予算と、防衛省の予算は別の扱いでしたが、財務省はこのような操作を平気でやってのけるのです。

ただ、 海保の予算が優遇するということではなく、「海上保安庁は国交省のなかだから、国交省の予算でやってくださいね」ということにしそうです。そうすると旧建設、旧運輸の予算の取り合いのなかで、「そこまでは海保予算を削れませんよ」というようなことで、海保に十分な予算が割かれず、数字上のマジックで、海保の予算を一部防衛費に入れて、防衛費を大きくみせるというトリック使う可能性があります。

財務省からはこれから、そのような紛らわしい数字が多数出てくることが予想されますので、惑わされないようにすべきです。

ただ、今回のような閣僚人事だと、防衛省の方からもそういうものが出てきそうで、本当に困ったものです。

これは、一つの事例で、財務省は他にも様々なトリックをつかって、防衛費の嵩上げを計る可能性が高いです。

自民党そうして、岸田総理はこのようなトリックに騙されることなく、そうして、防衛費の増額は国債によって賄うことを貫いていただきたいものです。

それにしても、財務省が様々なトリックを行使して、財務省の嵩上げに成功したにしても、これはいずれ、明るみに出され、自民党内でも不興を買うことになるでしょう。

台湾は軍事費を増やしていますが、これは世界情勢がそうさせているのです。日本も財務省の意向に沿って、数字のトリックで増えたようにみせかけただけで、実際に増やさいないということになれば、国内だけではなく、米、英、豪、印のようなQuad諸国からも不興を買うことになるでしょう。それは、下のグラフをみても明らかです。


日本は、今のままだと、GDP比で防衛費は主要国の中で最低なのです。中国、ロシア、北朝鮮という核兵器を持った専制国家のすぐ隣にある日本が、今のままの防衛費でやり過ごすというなら、国内外から不興を買うのは当然です。

岸田首相は、このことを肝に銘じて、実質的な防衛費の増額を実現していただきたものです。

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