2022年8月16日火曜日

FBI家宅捜索に新展開:トランプには持ち帰った文書を機密解除する「内務規定」があった―【私の論評】 背景には「トランプに弱みを握られた」かもしれない有力者の不安がある(゚д゚)!

FBI家宅捜索に新展開:トランプには持ち帰った文書を機密解除する「内務規定」があった

<引用元:JustTheNews 2022.8.13
トランプ前大統領事務所が、マーアラゴの機密文書につながったこれまで申告されなかった手続きを説明

 
ドナルド・トランプ事務所は12日、FBIがマーアラゴの邸宅から押収した機密文書は、大統領在任中に夜も継続して作業するためにホワイトハウスの住居への持ち込みを許可した「内務規定」の下で、機密解除されていたと本紙に述べた。

公式声明は、FBIとバイデン政権司法省が、トランプが大統領記録法が適用される記録を盗んだかスパイ防止法において機密文書の取り扱いを誤ったかを捜査する中で、前大統領の弁護の焦点となる可能性がある。それらの容疑は12日にフロリダ州連邦裁判所によって公開された捜査令状に含まれたものだ。

大統領の弁護は、大統領と副大統領には米国政府の究極的な機密解除権限があり、もっとも最近ではジョージ・W・ブッシュが2003年に、バラク・オバマが2009年に出した大統領令によって、大統領と副大統領は他の連邦機関や当局者が従わなければならない厳重な機密解除手続きに従うことを特別に免除されるという法的な原則に根差している。

トランプは数週間の間、退任後に保有していた機密印のある文書は全てこれまでに機密解除されたものだと主張してきた。12日夜、本紙に提出された声明では、トランプの記憶でその機密解除が一体どのように行われたかを説明していた。

これらの文書がマーアラゴに存在していたという事実こそ、機密であるはずがなかったいう意味だ、と前大統領の事務所は述べた。「誰もが共感できるように、自宅に仕事を持ち帰らなければならないことは誰でも時として起こることです。アメリカ大統領も全く同じです。トランプ大統領は、次の日の仕事の準備をするために、大統領執務室から自宅に機密文書を含む文書を持ち帰ることがしばしばありました」

声明は続く。「大統領執務室から住居へと持ち去られた文書は機密解除されたと見なされるという内務規定がありました。文書を機密化したり機密解除したりする権限は、もっぱら合衆国大統領にあります。大統領が委任した機密権限を持つ一部の事務手続きを行う官僚が機密解除を承認する必要があるという考えは、ばかげています」

政権の後半でトランプのために働いた2人の元側近は、トランプが日常的に文書を提出した秘書官や情報局員に返さずに住居に持ち帰っていたことに気付いていたと述べた。内務規定があったかという質問に対してある元職員は「それに異議を唱える者も、異議を唱えることも知りません」と答えた。

通常大統領が機密解除した文書はその後、回収されてからそれまでの機密の印に取り消し線が引かれて機密解除の印がつけられる。だが大統領の元高官は、大統領の機密解除権限は絶対的であり、機密解除の決断が即座に下されることもあったことを認めた。

ある元政権高官は、外国の首脳との会談中に大統領が極秘情報をその首脳に与え、極秘とマークされた文書で見た情報を単に伝えるだけで機密解除した例について語った。別の高官は、大統領が会議中に極秘の文書を受け取ったが、ある高官は機密レベルが低かったために退席しなければならなかったという例について語った。

「大統領は即座にその職員が留まって極秘の情報を知ることを許可しました。その時点でそれが大統領の職務にプラスになったからです」とその人物は本紙に語った。

議会、司法省、そしてインテリジェンス・コミュニティで前大統領をけなす人々は、前大統領の主張に異議を唱えるだろう。だが国家安全保障法に詳しい高官は、大統領の機密解除権限は広範囲であり、そのプロセスはブッシュとオバマの2003年と2009年の大統領令が明確にしたように、偶発的である場合が多いと裁判所は通常考えてきたと述べた。

2009年に出されたオバマの大統領令第13526号は、あらゆる連邦政府高官と機関が機密解除のために従う必要のある厳しい手続きを提示したが、在職中の大統領と副大統領をそうした手続きに従うことから明確に免除した。

「現職大統領や副大統領、現職大統領のホワイトハウス職員や現職副大統領の職員、現職大統領の任命した委員会、委任者、役員、また現職大統領にもっぱら助言と補佐を行う大統領府の他の存在から生じた情報は、本条の項(a)の適用から除外される」とオバマの大統領令には書かれている。

FBIはトランプの声明にある「内務規定」があったことを知るか認めることができる高官や証人を見つけようとするだろうと高官は述べた。だが結局のところ、大統領の機密解除権限は広範囲であり、裁判所からはそのように見なされるだろうと高官は述べた。

【私の論評】 背景には「トランプに弱みを握られた」かもしれない有力者の不安がある(゚д゚)!


そもそも機密文書というものは、大統領権限等によって解除されるものです。それにほとんどの機密文書は、いずれは機密解除されるものです。機密にしておくべき期間が長いか、短いかの違いはあるものの、いわゆる当初機密文書された文書が、未来永劫にわたって機密にされれば、誰も真実を知ることができなくなります。

はっきりいえば、機密文書なるものは、いずれ公表されることを予期しつつ、作成されるものです。本当に機密にしたいものなど、文書にするはずがありません。文書にせず心に刻みこみ、大統領など関係者は墓場まで持っていくべきものです。民主国家においては、そのようなことは極わずかだと思います。中露などの全体主義国家ではその割合はかなり大きいでしょう。

多くの人が、真実を知ることができなければ、国政でも外交でも支障が生じます。これは、企業などでも同じです。たとえば、ある企業が大々的なキャンペーンをする場合、ライバル会社に知られないようにするために、その内容は当初は機密です。

しかし、大々的なキャンペーンをするとなれば、かなり多くの人々を動かさなければなりません。そこで一部機密は解除されることになります。そうして、直前には正社員はもちろん、パート・アルバイトまで知ることになります。そうでないとキャンペーンは実施できません。

さらに、キャンペーン期間中は逆に、お客様を含め多くの人々に知ってもらうようにします。そうでないとキャンペーンの意味がありません。このあたりを理解せずに、とにかく機密主義で、本当に直前になってからしか開示しなければ、キャンペーンは大失敗します。

公文書も同じことであり、一時発信された、機密文書が未来永劫にわたって機密でありつづけるとすれば、国政も何もできません。それに、国民も政府が正しく行政を行っているのか確かめることもできません。だからこそ、中露、北朝鮮などの国は別にして、多くの民主国家では一定の手続きに従い情報開示がされています。

そうして、機密解除された文書は多くの人が閲覧できます。

日本では、国立文書館で閲覧できます。これは、Webでも閲覧できます。


米国の公文書も閲覧できます。


現在では誰でも閲覧できる過去の機密文書 クリックすると拡大します

では、なぜ機密文書の扱いが問題になっているのでしょうか。

米国政府のもつ数多くの機密情報、トランプは大統領として知り得る立場にありました。

CIAの中南米での非人道的行為、ロッキードマーチン社とアフリカ独裁者との関係、中国に買収されていた有力政治家等など、国益の観点から未だ開示されていないかなり多くの機密情報があるはずです。

しかし、どのような機密情報があるかわからないわけですから、実際に保管されている情報以上に関係者は心配しているでしょう。

「我々の恥部であるX情報も保管されているかもしれない、もしそうなら絶対公開されては困る」と思っている有力機関、個人は多いでしょう。そして彼らは「トランプにそれを見られたかもしれない」と恐れているはずです。

今回の強制捜査で、どういった機密資料をトランプの自宅から押収したかを大雑把にでも公表されれば「少なくとも我々はトランプの関心事ではなかったようだ」と多くの有力関係者は安心できるでしょう。

その意味で、このFBIの強制捜査は機密の暴露を心配する関係者の要望にも沿うものと言えます。

また、こういった「トランプに弱みを握られた可能性がある」と思う人達が、トランプは嘘つきであると言う印象を世界中に与え、発表する手段を奪う事を画策することも十分にありえます。

彼らが意図して意識して、そうしたかどうかは別にしても実際にそうなっています。

彼らが大手のマスコミに影響を与えて反トランプのキャンペーンをしているのかもしれません。トランプを恐れる有力機関の力が自然に結集されているようです。これをトランプは「ディープ・ステート」と呼んでいるようです。

トランプ氏は、政治界の部外者の身として、政府の汚職をなくすことを国民に約束し、それを比喩した「Drain the swamp.(沼地のヘドロ水を抜く)」は選挙時のスローガンでした。

「ディープ・ステート」というと、何やら陰謀論めいた響きがありますが、米国にはいわゆるエスタブリッシュメントといわれる、ほんの一部の支配層が支配する国であることが広く知られています。私は、トランプ氏は、このエスタブリッシュメントのことを「ディープ・ステート」と呼んでいるだと思います。

そのエスタブリッシュメントのうちの多数派の中国に対するエンゲージメント派は、いずれ中国は民主化するであろうと見ていたようで、中国は将来的に米国にとって自分たちが御せる良い市場になると信じていたようです。

米国には親中派のエンゲージメント派と中国反対派のコンテインメント(封じ込め)派が存在しており、アメリカの富の大きな部分を握ってるわずか上位0.1%エスタブリッシュメントの多くがエンゲージメント派であったため、米国の中国に対する態度は、将来も変わらないだろうと見られていました。

そうして、この0.1% のエスタブリッシュメント派の富により、米国の政治がかなり左右されてきました。これは、陰謀論でもなんでもなく、多くの米国人が認めるところです。そもそも、大統領など彼らの操り人形にすぎないと揶揄されてきました。

ところが、エスタブリッシュメント派とは全く関係ない、トランプが大統領になったわけですから、彼らの心は穏やかではないでしょう。

これは、マスメディアが想像していた以上に米国民の既存のエスタブリッシュメントの影響が大きい政治体制 への不満と怒りが大きく、 トランプ候補に賭けるリスクを冒してでも変化を求めた帰結であったといえます。

そうして、このトランプ大統領は、中国は米国に対して「地政学的戦い」を挑んでいることをはっきりと認識した初の米国大統領になりました。

地経学的な戦いとは、兵士によって他国を侵略する代わりに、投資を通じて相手国の産業を征服するというものです。経済を武器として使用するやり方は、過去においてもしばしば行われてきました。

そうして、中国が特殊なのはそれを公式に宣言していることです。その典型が「中国製造2025」です。これは単なる産業育成ではなく、たとえばAIの分野に国家が莫大な投資を行うことで、他国の企業を打倒すること、そして、それによって中国政府の影響力を強めることが真の狙いなのです。

その意味で、中国は国営企業、民間企業を問わず、「地経学的戦争における国家の尖兵(せんぺい)」なのです。たとえばイギリスがアジアを侵略する際の東インド会社のような存在なのです。

中国企業がスパイ行為などにより技術の窃盗を繰り返したり、貿易のルールを平然と破ったりするのは、それがビジネスであると同時に、国家による戦争だからです。

トランプ政権になって、米国がそうした行為を厳しく咎め、制裁を行うようになったのも、それを正しく「地経学的戦争」だと認識したからであり、だからこそ政権が交代しても、対中政策は変わらなかったのです。この点については、エスタブリッシュメントの、完全敗北であり、彼らの権威もかなり落ちたでしょうし、この点だけでも、彼らにとっては脅威に感じられたでしょう。

トランプ大統領のこの認識は、まともなものです。それ以外問題についてもたとえば、移民政策についても、国境の壁などについて馬鹿げたもののように報道されていましたが、実は極まともな主張をしていますし、さらにトランプ減税で米国の雇用はかなり良くなり、投資の国内回帰も顕著になり、雇用も格段に良くなりました。それが米国の一般市民の心を動かしました。

このトランプ氏が大統領時代にエスタブリッシュメントの様々な秘密を掴んでいて、いずれそれを根拠に自分たちを攻撃してくるのではないかという恐れを抱くのは、当然のことだと思います。そもそも、トランプ氏はそれ以前の、エスタブリッシュメントの影響下にある大統領ではなく、彼らからすれば、何をするか予想もつかないのです。私は、今回のFBI家宅捜索には、このことが背後にあると思っています。

そうして、日本では上記で述べたような、トランプの業績や立場を報道機関は報道していません。トランプは貧乏な白人を騙しているといった解説ばかりが目につきました。

現在でもバイデンは中国に対して厳しい姿勢を維持しています。エスタブリッシュメントの中国ビジネスの夢は絶たれてしまいました。

テキサス州知事は、バイデンの人権的な国境政策に強固に反対しており、トランプの政策を支持しています。史上最大の不法移民が押し寄せているからです。

テキサス州知事は独自にトランプの壁の建造を続け、捕まえた不法移民をホワイトハウスのあるワシントンDCに航空機なども用いて搬送して釈放しています。バイデン大統領への警告であり露骨な嫌がらせです。

しかし、これらを日本のTV局や新聞はほとんど報道していません。不思議な事です。

さらには、亡くなった安倍元総理に対しても生前から執拗な攻撃や、安倍元総理に対しては、何を言っても良いという雰囲気をつくりあげてきました。亡くなってからもまだ、続いていましす。インド太平洋戦略に関して、安倍総理が大きな役割を果たし、実質的に世界の構造を変えてしまったたことも報道されていません。

そもそも、中国は日本を含む西側諸国に対して「地政学的戦い」を挑んでいることをはっきりと認識したのは安倍元総理が最初です。それは、2012年の第2次安倍政権発足直後、首相名で発表されたチェコ・プラハに所在地がある言論サイト「ブロジェクト・シンジケート」の英文の論文「アジア民主主義防護のダイアモンド」構想をみてもはっきりしています。

安倍元総理と親交があったために、トランプ氏はそれをしっかりと認識することできたのだと思います。

トランプ大統領と安倍総理

このようなことがほとんど報道されないため、多くの国民は、安倍総理の海外からの評価が高いことを安倍総理が亡くなってはじめて知ったようです。ただ、未だになぜそうなのかというその本質は、一部の人が知っているだけのようです。

米国では、主要新聞はすべてリベラル派に占められています、大手テレビ局は、保守系のFOXTVを除いてすべてリベラルです。さらに、当然のことながら、エスタブリッシュメントの影響や圧力も強いでしょう。

日本では、マスコミのほとんど全部がリベラルです。大手新聞の産経新聞のみが保守系という状況です。日本には、米国のようなエスタブリッシュメントが存在するかどうかわかりませんが、左翼・リベラルは少数派のはずなのに、かなり強い影響力を行使しています。

日米ともに安倍・トランプ報道はまともに受け取るべきではありません。ただ、安倍報道に関しては、最近の米国の安倍元首相に関する報道はまともです。それに比較すると、日本の報道は、たとえは、朝日新聞の川柳などに象徴されるように、常軌を逸したものが目立ちます。

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